事業変遷
棚橋祥紀氏(以下、棚橋):イノテック株式会社、代表取締役専務執行役員の棚橋です。本日はよろしくお願いします。
イノテックは、最終消費者に届くような製品を作っているわけではありません。また、そこまで大きな会社ではありませんが、事業も多岐にわたっており、わかりにくいと感じている方もいらっしゃるかと思いますので、なるべくわかりやすくご説明します。
事業変遷を少しだけお話しします。イノテックは輸入商社として、1987年に設立されました。具体的には、海外のいろいろなエレクトロニクス関係、特に、半導体に関わる製造装置や半導体を設計するためのソフトウェアなどを海外から輸入し、日本の半導体関連の企業に販売するところから始まっています。その後、電子部品やハードディスクなども取り扱うようになりました。
日本の半導体業界は、1990年代は非常に隆盛を誇っていましたが、その後、調子が悪くなってしまったため、我々のような業態がなかなか難しくなりました。商社の場合、規模を大きくしないと、なかなか利益を上げられません。しかしながら、電子部品やハードディスクに関しても、ある時期から、我々にとっては少し厳しくなってきました。
そのようなことから、我々は徐々に商社ビジネスから撤退していきました。スライド下部に記載があるように、自社製品や自社でサービスを行うソフトウェアを含めた事業を徐々に立ち上げていきました。また、M&Aで自社製品ビジネスを獲得するなど、業態をかなり変えてきたのが特徴です。
したがって現時点では、自社製品ビジネスの割合のほうがかなり多くなっています。東証の業種分類も、もともとは卸売でしたが、2022年10月に電気機器に変わりました。このように、業態がかなり変わっています。一方で、商社ビジネスも少し行っているため、商社とメーカーの両面を持っているというのが、我々の非常に大きな特徴になります。
事業内容:イノテックのビジネスとは
棚橋:イノテックのビジネスは大きく2つの分野に分かれています。半導体関連とシステム・サービスです。
半導体関連分野は、いわゆるデバイスとしての半導体設計のお手伝いをしたり、検査する機械を提供したりしています。しかしながら、我々独自の半導体を作っているわけではありません。半導体を作っている会社に、開発段階や検査の部分でのサービスを提供するのが、我々の大きなビジネスの1つです。
システム・サービス分野は、半導体そのものというよりは、もう少し最終製品に近いものが対象です。
自動車のほか、いろいろなエレクトロニクス製品を開発・製造するところに我々の技術を活用していただきます。あるいは、我々が開発をお手伝いしたり、我々の製品をお客さまの製品の一部に採用したりしていただき、より良いものにしていただくのがシステム・サービス分野の事業になります。
テストソリューション事業
棚橋:我々は、事業を3つのセグメントに分けて行っています。スライドはテストソリューション事業です。簡単にご説明すると、デバイスとしての半導体を検査する装置を我々が自社製品として作り、お客さまに提供する事業です。
スライド上部に記載のテストシステムは、イノテック本体で行っている事業で、我々が提供しているのは主にNAND型フラッシュメモリーという半導体です。
わかりやすく言うと、みなさまがお持ちのスマートフォンなどで動画や写真を記憶するための半導体です。こちらは、他にもいろいろな用途に使われています。我々は、メーカーが作った半導体を検査するための機械を作ってお客さまに提供しています。
また、デジタルカメラなどに使われる半導体のCMOSイメージセンサーの検査装置も作っています。我々の大きな特徴は、お客さまのニーズにぴったりと合ったものを作っているという点です。
テスターについても、大手の会社が非常に高度なものを作っていますが、我々と直接バッティングすることはありません。我々は、お客さまの求めている最小限の機能を備えた、わりと安価なテスターを製造して、トータルのテストコストを下げているのが特徴だからです。
スライド下部に記載の信頼性評価装置とプローブカードについてです。我々は、半導体のテスト事業を行っているSTAr Technologiesという台湾の企業を2014年に子会社化しました。この事業はそちらで行っています。
信頼性評価装置とプローブカードは、半導体のテストに使う機械です。スライドには大手ファウンドリ用と記載がありますが、STAr Technologiesのお客さまは全世界に存在しています。
台湾には大手企業がいくつかありますが、半導体を製造する会社と開発する会社に分かれています。そのうちの、半導体の製造を受託する会社を主なターゲットにして、いろいろなテストを行うための装置を提供しているのがSTAr Technologiesの事業になります。
半導体設計関連事業
棚橋:半導体設計関連事業です。スライド上部にEDA(半導体設計)ソフトウェアと記載がありますが、こちらは、事業変遷でご説明した商社ビジネスにあたり、創業当時から行っています。
EDAは、半導体の設計を自動化するソフトウェアです。我々は長い間、アメリカの大手EDAメーカーであるCadence社の国内代理店となっています。お客さまにソフトウェアを提供し、そのサポートを行うために、非常に多くのエンジニアを有しています。
お客さまに提供するソフトウェアを、2年や3年といった期間ライセンスというかたちで提供しているため、半導体関連事業のわりには、非常に安定的な売上が見込める事業です。
スライド下部に記載のある三栄ハイテックスおよびモーデックは、両方とも我々の子会社で、半導体設計関連のセグメントに属しています。
三栄ハイテックスでは、独自の半導体を設計しているわけではありませんが、お客さまが半導体を設計する際に、我々が一部を請け負う、あるいは技術者を開発現場に派遣するというビジネスを行っています。
モーデックについてです。いろいろな開発の場面において、実際の電子部品を使わずに、電子部品の電気特性を数式化して、シミュレーション上で、どんどん開発を進めていく方法がありますが、モーデックはそのためのシミュレーションモデルを作るという非常に特殊な会社になります。
つまり、トータルで半導体を設計している会社のお手伝いをしているのが、こちらのセグメントとなります。
システム・サービス事業
棚橋:システム・サービス事業です。こちらは、半導体そのものというよりは、もう少し最終製品に近いところで、我々がいろいろなかたちでお手伝いしています。それぞれ少し毛色の違った事業も含まれているため、一つひとつご説明します。
組込みシステムの事業については、イノテック本体で行っており、自社製品となります。CPUボードというのは、パソコンなどに使われている緑色の基板に、いろいろな半導体や電子部品が回路でつながっているものです。
スライドの写真にあるようなボックス型、筐体付きのものも含めてですが、要はコンピューターです。みなさまがお使いのパーソナルコンピュータやスマートフォンは、いろいろなソフトウェアをダウンロードすれば、いろいろな使い方ができる汎用コンピュータになります。
しかしながら、我々が提供するのは、非常に特定用途で使っていただくためのコンピュータです。
コンピュータは、券売機や行先表示板のような交通分野のほか、医療分野や産業機械分野など、いろいろなところで使われています。我々は、組込みシステムと呼ばれる産業用の特定用途のコンピュータを提供しています。
こちらは我々が自社で開発し、製造においても国内のEMSにお願いしているため、海外メーカーのもののほうが、若干、価格では優位です。しかし我々は、より信頼性を重視するお客さまにご評価いただいており、それが特徴でもあります。
次に、検証ツール/検証サービスです。スライドにはロゴの掲載のみとなっており、大変わかりづらいかもしれませんが、2014年に買収したガイオ・テクノロジーという子会社で行っている、自動車向けの組込みソフトの事業です。
自動車に関して、みなさまご承知かと思いますが、エンジンやトランスミッション、ブレーキなどがソフトウェアでコンピュータ制御されています。
ガイオ・テクノロジーは、ソフトウェアそのものを作っているわけではなく、開発されたソフトウェアを検証するツール、あるいは、そのようなツールを使った検証サービスそのものを提供しています。
我々が作っているツールは、ISO26262の安全規格等にも準拠しているため、非常に広く使われており、高い収益率を維持しています。
システム・サービス事業
棚橋:同じくシステム・サービス事業の中には、組込みソフト分野の会社である、アイティアクセスという子会社があります。こちらは、もともとブラウザなどを扱っている会社で、いろいろな機械のユーザーインターフェース部分に関するソフトウェアの開発が得意でした。
近年では、スライドにも記載があるように、クラウド決済システムが主力事業に成長しました。みなさまは、電子マネーやQRコードでいろいろなものをお買い物されると思いますが、我々はそのための決済システムを開発しました。
現在は、飲料メーカーの自動販売機で多く使われています。こちらの事業の売上が、アイティアクセスの売上の半分以上を占めており、非常に大きく伸びている事業になっています。
特徴としては、最初に申し上げたクラウドです。我々が参入する前の、従来の電子マネーによる決済は、端末側にいろいろな機能が凝縮されていました。我々が開発したものは、電子決済で買い物をした時に、クラウドというかたちで、ホストコンピュータのようなところと通信して決済が行われます。
端末側は非常に簡単なシステムで済むため、価格も抑えられ、ユーザーが非常に導入しやすくなります。また、通信のため、リアルタイムで売上の情報がわかります。さらに、不具合があった時も、もちろん、実際に出向かなければいけない場合もあるかもしれませんが、遠隔操作でソフトウェアの書き換えなどができるところが非常に評価されています。
最後に、2012年に買収したレグラスという子会社についてです。こちらの会社は、画像処理に関する技術者を多く有する会社です。
もともとは、カメラメーカーを含め、画像処理に関するビジネスを行っている会社で、いろいろな仕事を請け負っていました。我々が買収してからは、自社製AIカメラシステムを開発しました。
建設機械やフォークリフトを使うような作業の場など、非常に見えにくいところで作業をしている人物を検知し、危険な場合はしっかりとアラームを出すというカメラシステムで、現在、このビジネスが伸びてきています。
こちらのシステム・サービスセグメントを含めて、いくつかの企業は買収によって獲得した事業のため、商社ビジネスから徐々に自社の製品やサービスを増やしていこうということで、各ビジネスを立ち上げて、今、成長させているところです。
過去の業績推移
棚橋:最近の業績等を簡単に、おさらいしたいと思います。スライドは、直近5年分の売上と営業利益の推移です。売上高は、わりと順調に伸びてきています。
営業利益も、5年以上前までさかのぼると、10億円台前半だったものが、今は20億円近いところまで安定的に利益計上できるようになってきています。しかし、この3年ほどは十分に利益を伸ばせていないため、我々の今の課題となっています。
自社製品売上比率の推移
棚橋:自社製品の売上比率の推移です。冒頭から申し上げているとおり、我々は商社から自社製品のビジネスに変わっていったため、自社製品の比率が徐々に上がってきており、現在では7割方を占めています。
一方で、スライドグラフの緑色の部分が、いわゆる商社的なビジネスです。こちらが減り、自社製品の割合が増えているわけではなく、両方とも順調に増やしているということがおわかりいただけるかと思います。
ROEとROICの推移
棚橋:スライドのグラフは、後でご説明する中期経営計画などでも我々が重視している、ROEやROICといった資産や資本に対する収益率の推移です。
直近5年よりも前の段階では、もう少し利益水準が低かったということもあり、2015年から2017年と比べると、ROE、ROICといった指標が徐々に上昇してきています。ROEも、一度は10パーセントに乗りましたが、この3年ぐらいは少し利益が伸び悩んでいます。
2026年3月期 通期予想
棚橋:ただし、今期に関しては、再び20億円台後半の利益を目指せるだろうと考えており、ROEのような指標も、再び上昇に転じると我々は想定しています。具体的には、売上高435億円、営業利益26億円を目指していきます。
2026年3月期 通期予想のポイント
棚橋:先ほど、増益を目指せると申し上げましたが、その要因についてご説明します。この数年、利益が伸び悩んでいるとお伝えしましたが、この主な要因として、テストソリューション事業における国内のテスター需要が非常に厳しい状況にあったことが挙げられます。
現時点では、この状況はそう大きくは改善しないと我々は想定しています。もちろん、改善されれば非常にうれしいのですが、過度な期待はしていません。海外のメーカーに我々のテスターを買っていただける目処がだいぶ立ってきていることが、大きな増益の要因になると考えています。
また、半導体設計関連事業の中のEDAのビジネスは、数年間の契約で売上を徐々に計上していく期間ライセンスでの事業が中心になっているため、安定的に増収増益が今年も見込めるのではないかと考えています。
システム・サービス事業については、先ほどご説明したいくつかの事業は概ね順調に推移するだろうと考えていますが、少し慎重に見ているのが、ガイオ・テクノロジーの事業です。
ガイオ・テクノロジーは、去年も過去最高益を更新している会社ですが、自動車業界は、関税の影響を受けます。関税も落ち着いたという見方もあるかもしれませんが、自動車業界の会社は、やや慎重になっているというところも含めて、やはり我々も、ガイオ・テクノロジーの業績に関しては少し慎重な見方をしています。
そのようなことをトータルしても、営業利益26億円という数字を目指せる環境にあると考えています。
2026年3月期 事業別売上予想
棚橋:事業別売上予想については、数字が多いため、詳しいご説明は割愛し、一部についてご説明します。テスター事業は低迷していましたが、2026年3月期には倍程度の売上になると考えており、その要因が海外向けというかたちになっています。
STAr Technologiesの売上が減少すると予想していますが、去年の秋に一部事業を譲渡した影響によるものです。実は今、売上は減るけれども利益は増えるような計画を立てています。現状では計画どおりに進捗しているため、ご心配していただく必要はないかと思います。
先ほど申し上げたとおり、ガイオ・テクノロジーについては、少し減少するという見方をしています。
2026年3月期第1四半期 実績
棚橋:我々は、8月8日に第1四半期の決算発表をしました。内容をご覧いただいた方の中には、「大丈夫かな?」とお感じになった方もいらっしゃるかもしれません。スライドに記載のとおり、第1四半期の売上高は94億5,700万円、営業利益は2億3,400万円で、昨年の実績を下回っています。
通期で昨年よりもかなり大幅な増益を計画しているわりには、第1四半期の実績はそこまで増えていません。なぜなら、我々にとって毎年、第1四半期は、あまり大きな利益を計上できない期間となっているからです。
特に、STAr Technologiesが、毎年、第1四半期はある程度赤字を計上し、第2四半期以降に盛り返して黒字化するというパターンが続いています。そのため、第1四半期の利益が少なくなっていますが、いつものパターンだと申し上げてよいと考えています。
次に、昨年度と比べて減少している点についてご説明します。昨年度のテスターの売上は、我々にとっては小さい数字でしたが、実はそのうちの半分以上を第1四半期に計上しています。
第1四半期だけが少し良かったということではありませんが、年間としては、第1四半期で一気に売上を上げて、その後ずっと低迷してしまったという状況です。その第1四半期と今回を比べての数字になりますので、年間の計画に対してビハインドしているわけではありません。
半導体業界ですので、今後なにがあるかわからないところはもちろんありますが、現時点で当初の計画よりも悪いことが起こるということではないという点をご理解ください。
全社経営戦略 - 目指すべき姿
棚橋:今後の戦略について簡単にお話しします。我々は、イノテックという社名のとおり、「テクノロジーでイノベーションを起こすこと」を目指しています。
ただし、我々はもともと商社であるため、新しい技術を我々が生み出すというよりは、最先端の技術を利用して、お客さまにいろいろなソリューションを提供することが使命だと考えています。
そもそも商社から生まれた会社ということもあり、お客さまのニーズを的確に捉えて、それに対するソリューションを提供します。また、最適な部品、最適なソフトウェア、最適なサービスを提供します。そのことが我々の非常に大きな特徴になります。
スライドには、「『イノテックならでは』の付加価値の提供を目指す」と記載していますが、非常に汎用的な機能を提供するというよりは、我々にしかできない、あるいは我々だからこそできること、すなわちお客さまのニーズを捉えて、非常に特徴的な製品を提供することを目指して取り組んでいきます。そこに我々の存在意義があるということです。
中期経営計画(2024~2026年度)数値目標
棚橋:中期経営計画としては、収益性と成長性の両方を求めていこうと考えています。資産に対する収益性として、この数年で少し下がっているROEやROICを十分な水準まで持っていきます。
連結営業利益で過去最高益となったのが、商社ビジネスがまだ大きくあった2007年度でした。この中期経営計画期間にそちらを更新したいと考えています。
中期経営計画(2024~2026年度)グループ共通の事業戦略
棚橋:多岐にわたる我々の事業の中でも、共通して意識しているのがスライドに記載の3つになります。
1つ目は「営業利益率向上」です。当然ながら、収益性をどんどん上げていきます。資産に対する利益率を上げるためには、まずは売上高に対する利益率を上げていかなければいけません。
我々の自社製品は、簡単にいうとメーカー化しつつあるため、利益率を上げられる余地がもっとあるのではないかと考えています。
2つ目は「経営資源の再分配による事業ポートフォリオの最適化」です。事業を商社型からメーカー型に徐々に変えていく過程で、我々は非常に多くの事業を抱えています。したがって、何かから撤退することを決めているわけではありませんが、注力する分野をもう少ししっかりと決めて、成長のスピードを上げていきたいと考えています。
3つ目は「業績の安定性向上」です。我々は、半導体関連のビジネスを行っており、テスターのような装置も扱っているため、売上が上がる時期とそうでない時期がどうしても非常に極端になります。したがって、そのあたりを埋めていけるような、ストック型のビジネス等を増やしていこうと考えています。
中計事業戦略の進捗 ~テストソリューション事業~
棚橋:それぞれの事業における戦略の方向性についてご説明します。テストソリューション事業は、現状ではNAND型フラッシュメモリー向けにかなり依存しているところがあるため、製品ラインナップを拡充していきたいと考えています。
一方で、STAr Technologiesに関しては、ファウンドリといわれる半導体の製造を受託する会社向けのビジネスの収益性が非常に高くなっています。先ほど一部の事業を譲渡したとご説明しましたが、負担に関してはファウンドリ向けのビジネスに集中していこうと考えています。
このように、それぞれの事業に沿ったかたちで製品ポートフォリオを最適化していくことが今の戦略になっています。
次世代デバイス向けテスターの研究開発投資
棚橋:次世代デバイス向けテスターの研究開発投資についてです。スライドにMEMORYやCIS(CMOSイメージセンサー)について記載していますが、いろいろなかたちでのテスターの研究開発を進めていき、製品ラインナップを拡充していこうと考えています。
中計事業戦略の進捗 ~半導体設計関連事業~
棚橋:半導体設計関連事業です。主にEDA事業が売上の大きな部分を占めており、商社ビジネスで、そのツールを提供していくというビジネスになります。しかし、半導体設計を生業としている三栄ハイテックス等がグループ内にあるため、もう少し設計サービス寄りのビジネスも増やしていくことが、我々の付加価値を高める要因になっていくかと考えています。
したがって、半導体設計関連事業は、収益の基盤をしっかりと固め、安定した収益を出す事業として位置づけています。
中計事業戦略の進捗 ~システム・サービス事業~
棚橋:最後にシステム・サービス事業です。造語的な部分もありますが、スライドの一番下に「マスカスタマイゼーション&パーソナライゼーション」と記載しています。
我々はこの事業の中で、いろいろなお客さまにいろいろなソリューションを提供していきます。どちらかというと、カスタマイゼーション、つまりお客さまのニーズに合ったものを作っていくのですが、それをある程度マスマーケットに展開していけるようなものにしていきます。
そのようなかたちで収益性の向上、あるいは売上そのものの拡大を目指していきます。そしてそれらをどんどん増やしていき、成長の戦略としたいと考えています。
IT Access 決済端末システムの垂直展開と水平展開
棚橋:アイティアクセスの決済端末システムについてです。現在は、飲料メーカーの自動販売機向けで、ロケーションが比較的良く、自動販売機として売上が高いところで導入が進んでいます。しかし、もう少し安価なものを作り、ロケーションがあまり良くない場所でも導入を進めていきたいと考えています。
飲料の自動販売機以外の決済の場面でも使っていただけるよう、ある程度マスマーケットに対して訴求していけるような戦略を打っているところです。
財務戦略(2024-2026年度)成長戦略と株主還元を重視したキャピタルアロケーション
棚橋:中期経営計画期間での大まかなキャッシュフローの試算についてです。株主還元や既存ビジネスの設備投資に多くのお金を使っていきながら、新規成長投資も積極的に行っていきたいと考えています。
我々の今の財務体質を鑑みて新規成長投資に40億円程度を考えており、無理がない規模感であると考えています。
財務戦略(2024~2026年度) 株主還元(配当+自社株買い)
棚橋:財務戦略の中でも、みなさまは株主還元に興味があるかと思います。我々は基本的には配当性向50パーセント程度を目安にしています。もちろん50パーセントちょうどではなく、少し上下する可能性はありますが、あまり極端に減配・増配を繰り返すということではありません。
おおむね50パーセント程度を目安としようということです。それ以外で自社株の取得も行っていき、キャッシュフローをどのように株主還元に振り向けていくか、バランスを取っていこうと考えています。
財務戦略(2024~2026年度) 成長戦略と株主還元を重視したキャピタルアロケーション
棚橋:中期経営計画の初年度である2024年度に関しては、2024年度から2026年度のキャピタルアロケーションに対して、我々の予定よりも営業キャッシュフローが少ない結果となりました。
そのため、2年目、3年目は、しっかりと利益を出しながら、新規の成長投資枠にさらにお金を投入できるように取り組んでいきたいと考えています。
サステナビリティに関する取り組み
棚橋:サステナビリティに関する取り組みについてです。我々も当然ながらサステナビリティやESGなどを非常に意識しながら事業を進めています。
我々は設備を多く持っている会社ではないため、やはり一番重視しているのは人的資本経営です。そちらにさまざまな施策を打ち、しっかりと事業を発展させていけるように取り組んでいます。
そうは言っても、我々はもちろん気候変動への対応も気にしています。新横浜にある本社ビルの屋上には、ほぼ全面にソーラーパネルを設置しています。
企業としていろいろなかたちで地域に貢献していきたいと考えています。スライドの一番下にその例を記載しています。消防庁の依頼でいろいろな研修等に協力したり、我々はエレクトロニクスの会社ですので、近隣の小学生に向けてプログラミング教室を開催したりしています。このように地域に根づいた企業として地域貢献を長く継続していきます。このような取り組みを通じて企業価値向上を目指しています。
質疑応答:海外事業の地域別売上割合について
分林里佳氏(以下、分林):「海外事業の売上割合について、地域別に教えてください」というご質問です。
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