2025年11月期第2四半期決算説明

川村俊之氏:ファーストブラザーズ株式会社執行役員経営企画部長の川村です。2025年11月期第2四半期の決算についてご報告します。

決算内容の説明に入る前に、あらためて当社の決算の特徴についてご説明します。当社決算には2つの大きな特徴があります。

1点目は、売上高ではなく売上総利益額を重視していることです。投資銀行事業における不動産売買案件は1件あたりの取引金額が大きく、物件ごとに原価率もそれぞれ異なります。

大型物件を売却したとして、原価率が高い場合は売却利益が出なくても売上高だけが膨らみます。そのため、売上高や利益率だけで業績を測ることは適切ではなく、当社の正確な実態を表しているとはいえません。以上の理由から、当社では指標として売上総利益を重視しています。

2点目は、1件あたりの取引金額が大きいため、不動産売却の有無によって決算期ごとの業績が大きく変動しやすいことです。保有する賃貸不動産の規模を拡大することにより安定的な収益基盤を強化していますが、決算における物件売却のウエイトが依然高いため、件数や規模の違いで業績に大きなブレが生じます。

当社はマーケット動向を慎重に見極め、物件の価値が最も高まったタイミングで売却を行うことが中長期的に収益を生み、株主価値を最大化できると考えています。

以上の観点を踏まえ、今回の決算についてご説明します。

エグゼクティブサマリー

サマリーとして2025年11月期第2四半期の決算概要を示しています。

主に賃貸不動産に投資をしている投資銀行事業は、目立った物件売却はなかったものの、第1四半期に引き続き賃貸収益が伸長し、不動産賃貸粗利は18億700万円となり、前期比22.9パーセント増となりました。

施設運営事業は、旺盛な宿泊事業を背景に売上総利益1億9,300万円となり、前期比24.7パーセント増でプラスの着地になりました。

結果、売上総利益は20億5,200万円で前期比16.3パーセント増となりました。各段階利益については後ほどご説明します。

また、前年度末比では不動産含み益が約10億円程減少していますが、こちらは一部物件の評価を保守的に見直したことによります。マーケット全体の影響というよりは、特定の物件の個別事情により収益見通しを保守的に見直したことが理由です。こうした時価評価の見直しは随時行っており、不動産時価評価額の適切性を保っています。

ファーストブラザーズのビジネス

事業セグメントについてご説明します。当社には、主に3つの大きな収益の柱があります。

自己勘定で投資・運用を行う投資銀行事業、投資家から資金を預かりファンドを運用する投資運用事業、宿泊施設の運営を行う施設運営事業です。

業績ハイライト

各段階利益の概要です。先ほどご説明したとおり、主に賃貸収益の増加、施設運営事業の売上増等により、売上総利益は20億5,000万円で前期比16.3パーセントの増益となりました。

一方で、金利上昇による支払利息負担の増加や新規借入時の融資手数料の計上等により、3億4,000万円と、経常利益は前期比8.3パーセントの減益となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益については、2億2,000万円で前期比24.8パーセント増です。これは今期のみの特殊要因ではありますが、太陽光発電設備の売却・関係会社株式の売却により特別利益を計上したことが要因です。

賃貸不動産ポートフォリオ

ここからは個別の事業についてご説明します。投資銀行事業では、中長期的に安定収益が見込まれる賃貸不動産ポートフォリオを構築しています。変動はあるものの、残高・利回りを着実に増加させています。賃貸不動産は取得価格ベースで残高は676億7,200万円となりました。物件数は90物件で、NOI利回りは7.6パーセントと高水準を維持しています。

物件簿価、時価、含み益の推移

賃貸不動産の時価と簿価の差額である含み益は201億5,500万円となりました。前年同期の169億4,000万円に対し、約32億円の増益です。この含み益は、将来、売却時に顕在化し、利益に貢献するとともに再投資の源泉となります。

賃貸不動産ポートフォリオの所在地別、用途別内訳

保有物件の内訳をグラフで示しています。都内だけではなく、全国の主要都市を中心に、幅広い地域で投資を行っているという特徴があります。用途としては、テナントニーズの固い立地にあるオフィスや商業施設に加え、ホテル・旅館へも投資しています。

当社は一定のアセットタイプ比率にこだわらず、時代や市場の変化に応じて柔軟に投資対象を選定し、さまざまなエリア・タイプへ投資をしています。

不動産賃貸売上・粗利

賃貸収益および売買収益の推移を示しています。賃貸収益は着実に増加し、売上高は38億500万円、粗利で18億700万円です。

不動産売却売上・粗利

売却は売上高5億4,100万円、粗利1,300万円ですが、当第2四半期は利回りの低い小型物件を早期売却を重視して優先的に処分したことから、粗利計上を企図したものではありません。売却益を見込んだ物件売却は、下期の実行を予定しています。

資金調達の概要

資金調達は不動産ビジネスの重要な要素です。不動産投資に際しては借入を活用し、物件を取得します。投資を進めるにつれ、借入残高は増加する傾向にあります。

資金調達の概要

当社では原則として、借入期間を10年以上に設定し、リファイナンスリスクを抑制しています。資金調達は主に変動金利行い、加えて一部金利を金利スワップを活用して固定化し、金利変動リスクへ対応しています。

当第2四半期は、日本銀行のマイナス金利政策解除を受けて長期金利が上昇しました。変動金利の基準となるTIBORや短期プライムレートは緩やかに上昇をしていますが、足元では安定しつつあります。

なお、今期業績予想には一定の金利上昇を織り込んでいますが、現状では想定の範囲内に収まっています。不動産市場に対する金利上昇の影響については現時点では大きな影響は見られませんが、今後も動向を注視します。

不動産アセットマネジメント

投資運用事業についてご説明します。今期においては、金利上昇の影響や国外不動産の市況から投資家は慎重な取引姿勢となっており、当社としてもファンドでの取得はありませんでした。

一方で、期中管理業務を受託している案件での売却が発生したため、受託残高が減少するとともに、売却フィーを収受するなどAM報酬を受領しました。

業績サマリー

施設運営事業は第1四半期に引き続き、観光需要は高まっており、売上高、各段階利益ともに前期比で改善しました。ただし、コストの増加やのれん償却負担等により、営業利益では800万円の営業損失として着地し、第1四半期のように黒字化には至りませんでした。

業績予想

冒頭で申し上げたとおり、当社の業績は現状、不動産売却に大きく左右されることから、期によって業績の変動が大きいという特徴があります。

ご承知のとおり、国内外の金利動向やインフレ率の変動、金融政策の変化など経済情勢が大きく変化しています。このような中、当社は2024年11月期において慎重な投資判断を行いました。この状況は、現時点でも変わっていないと考えています。

そのため、2025年11月期においては、不動産の取得および売却について市場動向を注視しつつ、慎重かつ柔軟な姿勢で判断したいと考えています。将来にわたり、安定的な収益源となっている賃貸不動産については継続保有しつつ、最も高いリターンが見込めると判断したタイミングで投資を行う方針です。

以上から、2025年11月期は売上高179億円、経常利益21億円、当期純利益13億円を計画しています。

配当の基本方針

最後に株主還元です。繰り返しとなりますが、当社の業績の特徴としては、期ごとの利益は変動が大きくなります。一方で、株主資本については毎期着実に利益を計上し続け、右肩上がりです。

これは不動産ポートフォリオをしっかりと成長させ、賃貸収益・売却収益を得て、利益を再投資し、よりよいアセットを取得するサイクルを生み出した結果、企業が成長している証と認識しています。

当社は、株主資本の増加を企業成長の指標の1つであると位置付けています。この考えのもと、配当方針として株主資本に連動した指標である「株主資本配当率(DOE)」を基準とし、安定的かつ継続的な配当を実施しています。具体的には、DOE2.0パーセントを目安に配当額を決定し、年1回の期末配当を行っています。

2024年11月期においては、当期の業績が一定基準を上回ったことから、従来の期末配当に加え、中間配当を実施しました。一方で、2025年11月期については、2024年11月期の決算内容を踏まえ、中間配当の実施基準には達していないため、中間配当は実施しません。

しかし、当社は引き続き株主資本を着実に成長させており、この成長を反映し、DOE2.0パーセントを基準に1株当たり35円の期末配当を実施する予定です。当社は今後も、株主資本の持続的な増加を通じて、株主のみなさまへの安定した利益還元を行っていきます。

株主優待制度

なお、株主優待についてはこれまでと変わらず、株主のみなさまへの日頃のご支援に感謝するとともに、当社株式への投資魅力を高め、中長期的に保有いただけるよう「ファーストブラザーズ・プレミアム優待倶楽部」を導入しています。保有株数・期間に応じポイントを付与しており、ポイントはアマゾンギフト券などへ交換が可能です。

ご説明は以上です。投資家のみなさまにおいては、今後とも変わらぬご愛顧賜りますよう、どうぞよろしくお願いします。