社名の由来
星知也氏(以下、星):株式会社うるる代表取締役社長の星です。本日はよろしくお願いします。
自己紹介も兼ねて、まずは弊社の概要です。社名は株式会社うるるです。「うるるって、エアコンを作っている会社ですか?」とよく聞かれますが、エアコンの「うるるとさららシリーズ」とはまったく関係ありません。
オーストラリアにあるエアーズロックのことを、先住民のアボリジナルの方たちの言葉で「ウルル」と呼んでいます。エアーズロックの呼び名は「ウルル」へ正式に変更されています。
私は20歳の時に、ワーキングホリデーというビザを使ってオーストラリアを1年間旅した時期がありました。そこでウルルを見た時に、非常に感銘を受けました。
ウルルはオーストラリア大陸のちょうど真ん中にあるため、「地球のへそ」「大地のへそ」「地球の中心」など、聖なる場所として崇められています。私たちも世界の中心と呼ばれるような会社になれるように思いを込めて、社名を「うるる」と名づけました。
今、手掛けているサービスとはつながりのない社名ですが、そのような思いが込められています。
ビジョン
私たちは「労働力不足を解決し 人と企業を豊かに」というビジョンを掲げ、世界に期待されて応援される企業になろうという思いで、2006年にマンションの一室で4名からスタートした会社です。
このビジョンの背景として、日本では少子高齢化に伴い、労働人口も年々どんどん減っている状況です。具体的には2017年時点で、2040年までに約1,600万人の労働人口が失われると言われています。そしてこの1,600万人を単純に1人当たりの年収と掛け合わせた場合、約69兆円分の労働力が失われると推計されています。
労働力不足はすでにあらゆる業界で問題になりつつあり、例えば外食産業や医療、保育、介護、建設などの現場で、人が足りない状況になってきています。さらに人口減少に伴う労働力減少によって、人手不足は日本において深刻な社会課題になっていくと推計されている現状があります。
私たちはITやAIを活用したり、今まで労働力としてカウントされてこなかったような方々を新たな労働力として活用できるようにしたりして、労働力不足を解決していく事業を展開したいと考えています。2006年の創業以来、労働力不足の解決につながるさまざまな事業を創出し、運営しています。
ひと目でわかる“うるる” (財務データ)
まず、数字的なお話から始めます。「ひと目でわかる“うるる”(財務データ)」です。スライド左上側の売上高CAGRは、5年間の平均で22パーセントの成長をしています。売上高は5年前には24億円だったものが67億円と、約2.7倍に成長しています。
5年間平均の売上総利益率は70パーセントと、非常に収益性の高いビジネスモデルを展開しています。
前期2025年3月期のEBITDAは10億円で着地しており、EBITDAマージンが15パーセントとなりました。成長性だけではなく、高い収益性を確保しています。
後ほどご説明しますが、弊社は複数のSaaSを展開しており、それを合算するとARR(年間経常収益)が52億円となっています。全体売上高の70パーセントを、SaaSのリカーリング売上が占めています。
上場して以来開示している利益目標は、EBITDAベースで6年連続達成しています。配当は2年前から始まっており、今は2年連続で配当を継続しています。
ひと目でわかる“うるる” (事業の変遷)
ここからは、私たちのビジネスモデルについてです。時系列でご説明します。
冒頭でお話ししたように、私たちは「労働力不足の解決」というビジョンを掲げています。そのためにまず、子どもが小さくて外に働きに出られない、あるいは家族の介護が必要でなかなか働きにいけない主婦の方を、労働力として活用できないかと考えました。
自宅でパソコンやスマホなどを活用して、子どもが寝た後の30分、あるいは主婦だけではなく土日だけや平日の仕事が終わった後の数時間、または電車での移動時間といったスキマ時間を労働時間として活用できる仕組みを作り、お仕事をしていただきます。そのような仕組みを作り、BPO事業を最初に始めました。
今ではそのような業務はほとんどありませんが、当時は名刺の情報をエクセルに入力したり、アンケートを集計したりという業務を受託して、そのお仕事を在宅ワーカーに再委託するというかたちで、これまで労働力としてカウントされていなかった主婦の方たちを活用する仕組みを構築していきました。
「シュフティ」というマッチングサイトも作りました。私たちが仕事を取ってきて在宅ワーカーに再委託するのは受託業務として手掛けていますが、企業と在宅ワーカーが直接やり取りできるのがこの「シュフティ」という、いわゆるクラウドソーシングサイトです。こちらは現在47万人の在宅ワーカーの方が登録しており、大半が主婦の方です。
そして、これは私たちが作った言葉ですが、CGS(Crowd Generated Service)事業です。弊社は、在宅ワーカーを活用して生成される事業を展開しています。
代表的なのは「NJSS(入札情報速報サービス)」「えんフォト」「fondesk(フォンデスク)」などです。「fondesk」は直近でタクシー広告を展開していたため、お目にかかった方もいらっしゃるかもしれません。これらのCGS事業は、すべてプロダクトとして企業にご利用いただいているWebサービスです。
例えば「NJSS」は、全国8,800機関の入札情報を人力とWebクローラーを組み合わせて集め、データベース化して提供しています。「fondesk」は企業にかかってくる電話の受付代行サービスであり、オフィスの電話が鳴ることなく在宅ワーカーであるオペレーターに転送されて、一次受付するというものです。そして、オペレーターが受け付けた内容はメールやSlack、LINEなど普段利用しているチャットからお知らせされます。
このように、自宅でのスキマ時間を活用して働きたい方々を労働力として活用しプロダクトを作り、SaaSというかたちで企業へサブスクで提供する事業を展開しています。
さらに「NJSS」「fondesk」「えんフォト」の横展開というかたちで、さまざまな新たな事業を創出して展開しています。
ひと目でわかる“うるる” (事業の領域)
私たちの特徴についてです。スライド右側の扇形の図で示すとおり、「IT・AIのチカラ」の活用という軸と、「人のチカラ」を活用するという2つの軸のアプローチで、労働力不足の解決を目指しています。
人の力を活用して展開している事業、IT・AIの力を活用して展開している事業、そしてハイブリッドでIT・AIと人の力をかけ合わせて使うことによる付加価値の高い事業を展開しています。
今まで「あと少し人力を絡ませればクオリティの高いサービスになるのに」となっていた「ラストワンマイル」について、在宅ワーカーの人力を使います。ある程度ITやAIで自動的に作られてきたものに人力を絡ませることで、非常にクオリティの高いデータベースやサービスに仕上げて、それを企業に提供するというのが弊社の最大の特徴になっています。
ひと目でわかる“うるる” (成長フェーズの変遷)
売上の推移についてです。上場した2017年度から増収増益で成長してきたものの、このままの成長率では物足りないということで、2020年度から2024年度の5年間の中期経営計画を策定しました。「5年後にはこれだけの利益と売上を出すので、赤を掘らせてください」という内容で中期経営計画を開示したため、この間はでこぼこしており、赤字の期もありました。
この時に戦略的な投資をして、売上高CAGRを14.1パーセントから20パーセント以上へ成長させることができました。そして「最終年度にEBITDA15億円を出します」という約束どおり、最終年度で約15億円のEBITDAを達成することができました。売上も当初はもう少し低かったものを上方修正し、最終的には約59億円までトップラインを伸ばすこともできました。
その中期経営計画が終わって、現在は新たな中長期経営方針を策定して進んでいる最中です。
FY25/3実績とFY26/3以降の見通し
前期の着地と今期の着地見通しです。売上高は前期が約67億円で、今期が約77億円の着地予定となっています。EBITDAは前期が約10億円で着地していますが、今期は10億5,000万円から12億円で着地させる予定です。
中長期経営方針としては、売上高の成長率とEBITDAの成長率20パーセント以上を目指していこうと考えています。また、株主配当に関しても累進配当を目指すと掲げています。
トピックス|「fondesk IVR」のタクシー広告放映開始
トピックスです。現在「fondesk IVR」のタクシー広告を展開しています。
トピックス|株式会社横浜綜合写真の完全子会社化のリリース
直近では「えんフォト」というプロダクトに関わるM&Aを実施しました。その詳細はスライドのとおりです。
「NJSS」のデモンストレーション
私たちの売上の軸として「NJSS」が全体の約50パーセントの売上を占めています。ここで「NJSS」がどのようなプロダクトなのか、デモンストレーションします。
こちらが「NJSS」にログインした画面です。「NJSS」を簡単に説明すると、全国の官公庁や自治体が民間企業に仕事を発注する時には、必ず入札しなければいけません。この入札というのが、官公庁・自治体全部を合わせると、年間25兆円分ぐらいを民間企業に発注されています。
「入札といえば建設工事でしょう」というイメージを持ってらっしゃる方も多いかと思いますが、実際には物品・役務といわれる建設工事ではない案件が約6割で、建設工事が約4割となっています。したがって建設工事のほうが少ない状態です。
例えば、制服を作っている会社が入札を行う場合、案件名に「制服」というキーワードが含まれているものを一気に検索することができます。官公庁や自治体の数はだいたい8,800機関くらいあるのですが、この8,800機関を全部一括検索できるように作っています。
例えば、消防署や警察官の職員の制服なども全部入札になります。現在、「制服」というキーワードは45件受付中で、千葉県庁や宇都宮市、奈良県などから発注されています。全国の自治体や国の機関の案件がこのように一括検索できます。
また、私たちは入札情報を集める際に、人力で集めづらい落札情報も全部集めてくるのですが、その落札情報もこのようなかたちで見ることができます。過去16年間分の中から「制服」というキーワードが含まれる案件は、8,600案件ヒットしました。
例えば「東村山市役所から出ていた消防署の制服を渡辺武商店さんが187万円で落札した」「さいか屋さんが160万円で落札した」などのように、どの案件をどの企業がいくらで落札したのかも確認できます。
したがって、入札を行っている会社さまが「ライバル企業がどんな案件を落札しているのか」「いくらで落札できるのか」「この案件は、今度はいくらで応札すればいいのか」などというようなヒントを、ここで得ることもできます。
会社名で調べれば、その会社が落札した案件を調べることができます。例えば電通で調べると5,000件くらいヒットしますが、過去に電通が落札した案件の落札金額やどの機関から落札したかなどをすべて調べられます。
毎年20兆円から25兆円分ある案件を、どの会社がいくらで落札したのかという過去の情報も、ここで検索することができます。
したがって、入札で売上を上げたい会社さまの場合は、自治体のホームページを1件1件見て確認するよりも、この「NJSS」を使っていただいたほうがよいかと思います。社員を1人雇って1件1件調べるよりは、抜け漏れもなく、機会損失もなく簡単に調べることができます。
入札を行っている会社さまにとっては、非常に有益なサービスとしてご利用いただいています。現在、約8,000件の有料契約をいただいています。入札を行っている会社は40万社くらいあるため、弊社としては、まだまだ伸びしろがある、成長させられるサービスであると言えます。
これ以外にも私たちは「fondesk」や「えんフォト」、「eas(イース)」などいろいろなCGSサービスを企業向けに提供しているのですが、このプロダクト1個1個においては、IT・AIだけではなく人力を活用し、ラストワンマイルの「かゆいところに手を届かせられればいいのに」を、人力を使って届かせるようなビジネス展開をしています。
IR情報発信のご案内
最後にお知らせです。私たちはさまざまな情報を「X」でもつぶやいています。最近、弊社CFOの内丸が「X」を開始しましたので、こちらのQRコードから登録いただけると、最新情報が確認いただけるかと思います。以上、ご清聴いただきありがとうございました。
司会者:20年くらい前に入札案件に関わっていたので、その時に「NJSS」があったらなと思いながらうかがっていました。すごいサービスですね。
星:ありがとうございます。
質疑応答:独自のビジネスモデル「CGS」について
司会者:「CGSという独自のビジネスモデルを展開されていますが、どのような内容で、競合との違いは何でしょうか?」というご質問です。
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