業績サマリ

岩本浩久氏:株式会社電通総研代表取締役社長の岩本です。本日はお忙しい中、ご参加いただき、誠にありがとうございます。2025年12月期第2四半期決算について、ご説明します。

はじめに、決算概況です。上期の業績は、いずれも前年同期比で、売上高8.1パーセント、営業利益2.9パーセントの増収増益となりました。のれん償却費などの増加を、増収効果で吸収しました。上期として過去最高の業績となります。

一方で、期初予想比は売上高マイナス3.3パーセント、営業利益マイナス7.3パーセントとなりました。

ビジネスソリューションとコミュニケーションITは計画を上回りましたが、金融ソリューションと製造ソリューションが計画を下回りました。受注高は前年同期比プラス3.4パーセント、受注残高は前年同期比プラス3.3パーセントの積み上がりです。積極的な営業活動が功を奏し、金融ソリューションとビジネスソリューションの案件獲得が進みました。

これらの状況を踏まえ、通期業績予想を修正しました。下期に向けた受注は想定以上に進んでいますが、上期の未達幅が大きかったため、売上高予想を20億円下方修正します。一方で、下期の売上高が期初想定を上回る見通しであることに加え、生産性の向上を進めることで、営業利益の予想は据え置きます。

連結業績

連結のP/Lです。売上高は802億円、営業利益は106億円となりました。売上高、およびすべての利益項目において、上期として過去最高を達成しています。

一方で、スライド右側に記載しているとおり、期初予想との比較では、すべての項目で予想を下回る結果となりました。一番下に、就業人員数を記載しています。人員数は、前年同期比5.6パーセントの増加です。

営業利益の増減要因【前年同期比】

営業利益の増減要因を、前年同期との比較からご説明します。スライドの一番左、前年同期の営業利益103.6億円に対し、一番右、当期は106.6億円と、3.0億円の増益となりました。

増減の内訳は、増収効果で21.9億円のプラス、売上総利益率低下の影響で4.9億円のマイナス、販管費増加の影響で14.0億円のマイナスです。

売上総利益率は前年同期比で0.6ポイント低下しました。ソフトウェア製品の開発計画見直しに伴う原価増に加え、収益性の高いソフトウェア製品のライセンス、およびソフトウェア商品のアドオン開発が減収となったことが影響しています。

開発計画の見直しは、統合人事ソリューションの「POSITIVE(ポジティブ)」です。次世代版の投入を早めることとしたため、開発中だった現行改良版の一部モジュールを除却しました。

販管費の増加は、M&Aに伴うのれん償却費、人員数の拡大に伴う人件費、営業活動強化に伴う販売促進費などの増加によるものです。

営業利益の増減要因【期初予想比】

営業利益の期初予想比の増減要因です。スライドの一番左、営業利益115.0億円の期初予想に対して、一番右、実績は106.6億円と、8.4億円の減少となりました。

その内訳は、減収の影響で10.2億円のマイナス、売上総利益率低下の影響で9.9億円のマイナス、販管費減少による効果が11.7億円のプラスです。

売上総利益率は計画比で1.2ポイントのマイナスでした。収益性の高いソフトウェア製品のライセンスと、ソフトウェア商品のアドオン開発が計画を下回ったことに加え、「POSITIVE(ポジティブ)」の開発計画見直しに伴う原価増、さらに一部の技術者人件費の計上を販管費から売上原価へ変更したことが主な要因です。

販管費の減少は、人件費、業務開発費などの減少によるものです。

営業外損益・特別損益

営業利益から下の項目です。金利上昇に伴う受取利息の増加を中心に、営業外収益が改善しました。

報告セグメント別売上高および営業利益

セグメント別の状況です。金融ソリューションは、日銀決済管理システム「Stream-R(ストリームアール)」や、顧客接点改革領域におけるソフトウェア商品の販売が拡大したものの、会計領域のソフトウェア商品が減少したことにより、前年同期比で減収減益となりました。

ビジネスソリューションは、連結会計ソリューション「STRAVIS(ストラビス)」が、商社を中心に拡大したことに加え、統合人事ソリューション「POSITIVE(ポジティブ)」が、保険業やサービス業向けに拡大したことにより、前年同期比で増収増益となりました。

製造ソリューションは、ソフトウェアで制御する車の開発や、マーケティング支援のコンサルティングに加え、PLMなどの販売が、輸送機器業向けを中心に拡大し、前年同期比で増収となりました。一方で、収益性の高いソフトウェア商品の減収などにより、前年同期比で減益となりました。

コミュニケーションITは、公共向けビジネスが拡大したことに加え、昨年下期から連結対象となったミツエーリンクスの貢献があったことにより、前年同期比で増収増益となりました。

スライド右側に売上高の期初予想比を記載しています。ビジネスソリューションは第2四半期で売上を大きく伸ばしたことから計画を上回りました。コミュニケーションITも好調な一方、金融ソリューションと製造ソリューションが計画を下回って推移しています。

(参考)第2四半期会計期間(4-6月)連結業績

直近3ヶ月の連結業績とセグメント別の状況です。売上高は前年同期比7.7パーセントの増収、営業利益は前年同期比6.1パーセントの増益です。セグメント別にみると、ビジネスソリューションが大幅な増収増益の一方、金融ソリューションの回復がまだ数値には表れていない状況です。

サービス品目別および電通グループ向け売上高

サービス品目別と電通グループ向けの売上高です。コンサルティングサービス、アウトソーシング・運用保守サービス、情報機器販売・その他が、前年同期比で大きく拡大しました。

ソフトウェア商品は、前年同期並みにとどまり、期初予想を大幅に下回りました。大型案件の反動減がある一方で、新規の開拓が伸び悩んだためです。

電通グループ向けについては、数値は前年同期比で減少していますが、その要因は、協業ビジネスにおいて、電通グループ経由の請求から、顧客に直接請求する案件が増えたことによるものです。電通向けのビジネスも、電通との協業ビジネスも、それぞれ堅調に推移しています。

業種別売上高

業種別の売上高は、スライドに記載のとおりです。最も伸びたのが、自動車を中心とする輸送機器業で、前年同期比20.2パーセントの増収です。

電機・精密機器、機械、その他製造業の減収については、前年同期に売上貢献したSAPや、「POSITIVE(ポジティブ)」のお客さま向けが一段落したことによるものです。製造業は関税影響が心配されるところでしたが、上期時点での影響はありませんでした。

受注高・受注残高

受注高と受注残高です。スライドの赤枠は、左から直近3ヶ月の受注高、中間期累計の受注高、6月末の受注残高です。

一番上、合計の欄に記載のとおり、直近3ヶ月の受注高は前年同期比0.8パーセントの増加、累計で3.4パーセントの増加、受注残高は前年同期比3.3パーセントの増加となりました。金融ソリューションとビジネスソリューションは、大型案件を複数受注し、受注残高が大幅に増加しました。

一方、製造ソリューションは、SAPの大型案件の反動減と、サブスクリプション契約の売上計上の進捗を理由に、減少しました。

連結貸借対照表

連結貸借対照表は、スライドに記載のとおりです。

連結キャッシュ・フロー

連結キャッシュ・フローは、スライドに記載のとおりです。

2025年12月期 通期業績予想

2025年12月期通期業績予想の修正についてです。積極的な営業活動の結果、下期の案件は積み上がりつつありますので、上期の計画比マイナス27億円の一部を織り込み、通期の売上高予想を20億円下方修正します。これを必達ラインと考えています。

一方で、営業利益の予想は据え置きます。下期だけでみれば、売上高計画を期初想定より増額することに加え、1人あたりの生産性を向上させることで、減収影響をカバーします。人員数についても採用計画を見直します。経常利益と当期純利益は、上期の状況を踏まえ増額とします。

2025年12月期 報告セグメント別売上高予想

セグメント別の売上高予想です。上期の進捗を鑑み、金融ソリューションと製造ソリューションをそれぞれ下方修正、コミュニケーションITは上方修正としました。

2025年12月期 サービス品目別売上高予想

サービス品目別の売上高予想です。上期の進捗状況から、大型案件の反動減があるソフトウェア商品を下方修正します。

下期業績予想

下期に向けた見通しと注力領域をご説明します。通期業績予想から、上期実績を差し引いて作った、下期の業績計画です。

金融ソリューション、ビジネスソリューションは受注残高が前年同期比20パーセント以上増加と、パイプラインが極めて堅調です。また、受注残高の数値が弱い製造ソリューションにおいても、複数年の業績貢献が見込める大型案件の商談が、自動車メーカーなどと進んでおり、下期中のスタートが期待できます。

これらの状況を踏まえ、売上高、営業利益ともに期初想定よりも増額の目標とします。関税の動向が不透明ではありますが、確実な受注と生産性の向上を通して、高成長路線への回帰を狙っていきます。

下期業績予想 報告セグメント別およびサービス品目別売上高

報告セグメント別およびサービス品目別の下期売上高予想は、スライドに記載のとおりです。

下期の見通しと注力領域①

下期の見通しと注力領域をセグメント別にご説明します。金融ソリューションは、昨年下期に発生した大型案件2件の中断による影響が一巡し、銀行業向けに、会計・融資・海外・顧客接点の領域で、複数の案件を受注しました。下期に向けても、ボリュームの大きい開発フェーズの受注が控えています。

さらに、ソフトウェア製品の強化として、地銀向け営業支援、ファンド・動産の管理、分散型金融基盤の領域における研究開発も加速させます。ビジネスソリューションは、会計領域・人事領域ともに、昨年度の案件端境期を脱し、回復基調にあります。

「STRAVIS(ストラビス)」と「POSITIVE(ポジティブ)」の大型案件がスタートしたことに加え、「Ci*X Financials(サイクロス フィナンシャルズ)」でも新規顧客の獲得が進みました。競争優位性のさらなる強化と高成長の維持に向けて、体制強化を継続していきます。

下期の見通しと注力領域②

製造ソリューションは、ソフトウェアによる機能制御やソフトウェア開発管理の領域などで、製造業の投資意欲は底堅く推移しています。例えば、大手自動車メーカー向けには、AIエージェントを活用した自動設計や技術伝承の案件が始まっています。SAPもマーケット自体は堅調なことから、クラウドサービスに注力していきます。

コミュニケーションITは、民間向けでは顧客接点領域のソリューションが活況であり、官公庁・自治体向けには業務遂行支援や生産性向上のニーズが高まっています。電通グループ向けの事業も堅調に推移しており、今後も安定した推移が見込まれます。

さらに、電通グループが推進するAI戦略「AI For Growth」に参画し、マーケティング領域でのグループAI協業拡大を狙います。

中期経営計画の達成に向けて

こちらのスライドは、2月の中計発表資料に含めたものですが、本日もう一度掲載しました。次の50年に向けての心構えを示したもので、ことあるごとに社員と共有しています。

「製造業のグローバル競争力強化」「企業の生産性向上」「企業と社会の生活者体験価値向上」の3つのリーダーシップを発揮し、当社の成長とともに、お客さまと社会への、より一層の貢献に励んでいきます。

私からのご説明は以上です。以降のページで、中期経営計画の重点施策におけるトピックを紹介していますので、後ほどご覧ください。以上、ありがとうございました。

質疑応答(要旨)①

Q:コミュニケーションITセグメントで、官公庁・自治体向けにニーズが高まっているとのご説明がありましたが、どのような案件でしょうか?

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