株式会社アシロ個人投資家向けIRセミナー
中山博登氏(以下、中山):株式会社アシロ代表取締役社長の中山です。本日も第2四半期決算説明会をご覧くださいまして、誠にありがとうございます。また、アーカイブもご覧いただきまして、誠にありがとうございます。
さっそく決算プレゼンを開始します。私のプレゼンは非常に短いですので、今日これからでも質問を数多く送っていただけたらうれしいと思っています。よろしくお願いします。
25年10月期2Q マネジメントメッセージ
中山:マネジメントメッセージの部分で私が追加してご説明するのは、派遣事業の売却に関しての補足です。
弊社が今後予定している大きな構造改革において、AIを中心に事業を営むという決断をしました。その中で、売却したヒトタスという人材派遣事業が、どうしてもAIの活用や活用できる領域、そしてAIの活用によって競争優位性を作ることが非常に難しいと判断しました。そのため、選択と集中という観点から派遣事業を売却するに至ったということです。
売上が思ったより伸びなかった、事業成長が見込めないというよりは、そうした事業の選択と集中が我々の意思決定として大きな軸となっています。
それ以外に関してはスライドに記載のとおりですので、省略します。
25年10月期2Q マネジメントメッセージ ー3Q以降の見通しー
中山:第3四半期以降の見通しに関するメッセージは、スライドに記載のとおりです。我々もすでに流行などという次元ではなくなってきていると感じています。
スライドに記載のとおり、全領域にAIを活用しきっていかないと本当に取り残されるという危機感を持って、抜本的に事業構造を含め変えていく必要があると判断しています。AIをフル活用していく企業に変わっていくのだという意思決定を行っています。
既存の業務フローの改善や既存商品のブラッシュアップのようなことをすでに実施しています。今期中に我々独自のAIプロダクトもローンチできる見込みで進んでいます。なんとか今期中に我々らしいAIプロダクトもお見せできればよいと思っています。
今後に関しても、基本的にはAIが絡むか絡まないかによって、その事業領域に進出していくのか、していかないのかという判断にはなっていくかと思います。したがって、基本的にAIがまったく絡まない領域に関しては、基本的には我々が事業として戦略的に進出していくことは、あまりなくなっていくかと思います。
CONTENTS
中山:サマリー等についてご説明します。まず3点、お詫びがあります。
1点目が前期、第2四半期中に私の株式の持分に関して、リリース等に誤った情報が出たことをお詫び申し上げたいと思っています。
2点目は、抜本的なAI活用によって第1四半期にかなりの期待値を持っていただいて、第2四半期はなおいっそう変えていく、期待してほしい、というご説明を差し上げた点です。
もちろん抜本的に変えていますし、AIもフル活用しています。しかし、おそらく投資家さまからすると、AIを活用していくのだと言っているのはわかるが、実際収益にどうやってつながるのか、あるいは、どのようなプロダクトで、どのように成長を牽引していくのかが、わかりづらかったと思います。
実際のところ今回の決算発表で、我々はAIを活用して、このように収益につなげていくのだという、収益のところまでセットでご説明を差し上げるはずでした。しかし、諸事情により諸々の進捗が遅れた部分もあり、第2四半期の決算にAIと数字の部分を絡めてご説明するところまで間に合わなかったという点をお詫びしたいと思います。
同時に、AIと収益とがまだ絡まずに、今回の決算の数字が出てきています。まだ新しいことが絡んできていない段階で、この数字が出ていることに関しては、ご期待いただいてもよいのかと思っています。
すみません、3つ謝ることがあったのですが、3点目を忘れてしまいました。大事なお詫びですので、思い出したら、あらためてお詫びします。いったん、次に移ります。
荒井沙織氏(以下、荒井):では、続いてお願いします。
事業内容(事業分類)
中山:既存事業はスライドに記載のとおりで、前回と同様なのですが、AIに関しては、スライドの左側にあるように、すでに全領域で現場ではかなり活用されてきています。
事業内容(収益構成比)
中山:売上と営業利益の構成比率です。売上と営業利益のところにHR事業が加算されてきているのが大きな変化なのかと思っています。
ビジネスモデル
中山:ビジネスモデルはスライドに記載のとおりです。
25年10月期2Q(25年2月-25年4月)決算サマリー
中山:売上収益です。営業利益率はスライドに記載している数字になっており、もう少し高めることができたのではないかという反省を感じています。
25年10月期2Q(25年2月-25年4月)事業別サマリー
中山:事業別サマリーです。売上収益はともに順調に拡大しています。しかし、よいことばかりお伝えしても仕方がありませんので、少しだけネガティブなことをお伝えさせていただきます。
派生メディアの部分で、AIにおける検索エンジンの変化という現象がかなり頻繁に起こっています。リーガルメディアの領域ではあまり大きく影響を受けていないのですが、派生メディアの自然検索で、若干AIにおける検索結果の要約のようなものが発生するようになってきています。
現状、実態としてその影響を懸念しているというわけではないのですが、これまでとかなりルールが変わってきている点で、今後我々も少し注視していかなければいけないことは、一応ご説明しておきます。
なお、全社ではYoYで減っているのですが、これは前期に投資的な開発や第2四半期の減損といった、全社的なコスト増加が発生したためです。
ただAIのプロダクト開発などに確実に注力しており、投資も着実に進めている中で、この売上・利益水準を保てているという点は、ご理解いただけたらと思っています。
25年10月期 通期予算に対する進捗率
中山:通期予算に対する進捗です。悪くない進捗ですし、上方修正してもおかしくないような数字となってきています。
これまでの我々の収益の立て方で言うと、第1四半期から第2四半期にかけて数字が上がっていく一方、我々の会社の歴史上、第2四半期から第3、第4四半期がやや下がる傾向にはあるものの、上期と下期を比較して、下期が上期に大幅にショートするといったことはなかなか起こりづらいことを考えると、上期と同等レベル、あるいは、それ以上の売上および利益が生じてもおかしくない状況ではあります。
しかし、なぜ上方修正しないのかをお伝えすると、保険新商品の販売の時期が未確定であるという点にあります。
また、保険新商品を販売できる時期によって、備金がいつ発生するかが不確定要素としてまだ残っているという点を鑑みて、予算は変更していません。しかし、保険を除くメディアやHRという事業に関しては、これまでの実績どおりいけば、上期と同等か同等以上に売上や利益が出ても別におかしくないかと思っています。
なお、売上収益が上方修正されて、営業利益も上方修正された場合、配当がどのようになるかを、追記としてご説明しておきます。
基本スタンスとして、配当性向30パーセントを上場来継続しています。そのため、営業利益が上方修正されれば、もちろん配当も上方修正されることになるかと思いますので、ご期待いただければと思っています。
売上収益(事業別 四半期推移)
中山:売上収益は、YoYでかなり伸ばせているという状況です。特にリーガルメディアの高価格帯の商材が、我々が思った以上にニーズが強く、ここが我々の想定よりも大きく数字に反映されてきているところです。
営業利益(四半期推移)
中山:営業利益率の数値は第1四半期と同等程度出せたはずではないかと思っていますので、ここは反省する点と感じています。
コスト構造(四半期推移)
中山:先ほどご説明したYoYでのコストに関する部分です。全体として上がっていますが、確実に投資もできています。よって、コストを無理やり下げて営業利益を出したわけではありません。
25年10月期 2Q事業ハイライト
中山:スライドに記載のとおりですので、ご覧ください。
収益モデル及び主要KPI
中山:スライドに記載のとおりですので、ご覧ください。
収益モデル及び主要KPI
中山:スライドに記載のとおりですので、ご覧ください。
収益モデル及び主要KPI
中山:スライドに記載のとおりですので、ご覧ください。
収益モデル及び主要KPI
中山:スライドに記載のとおりですので、ご覧ください。
連結四半期決算(PL)
中山:スライドに記載のとおりですので、ご覧ください。
連結四半期決算(BS/CF)
中山:スライドに記載のとおりですので、ご覧ください。
弁護士数の増加による市場拡大
中山:スライドに記載のとおりですので、ご覧ください。
インターネット広告市場の拡大
中山:スライドに記載のとおりですので、ご覧ください。
企業内弁護士数の増加
中山:スライドに記載のとおりですので、ご覧ください。
新ASIROに込めた想い
中山:ロゴが変わりました。
荒井:新しくなり、さらに格好よくなりましたね。前のロゴも私は非常に好きだったのですが、なにか動きが出ましたね。
中山:ありがとうございます。AI企業への挑戦という意味で、「ASIRO is All In on AI.」としています。AIを善導していく社内外に対するメッセージも込めて、ロゴを変更しています。
また、投資家さんは誰も気づかれていないかもしれないのですが、ホームページのリニューアルも本日の決算発表の直前に実施しています。格好よくなっていますので、ご覧いただけたらうれしく思います。
新しいロゴで心機一転、AIを中心に引き続き成長を継続できればと考えていますので、みなさまもご期待いただければと思っています。私からのプレゼンは以上です。
荒井:ありがとうございました。ロゴといえば、中山社長はロゴ入りのTシャツ姿などのイメージがありますが、今日はまっさらな状態ですね。
中山:そうですね。新ロゴに変わったものの、新ロゴのTシャツがさすがに間に合わなかったため、今回は真っ白です。何ものにも染まっていない状態で来たのですが、次回の第3四半期の決算発表会では、新ロゴのTシャツを着て挑めるのではないかと思っています。
荒井:白黒なのか色が入るのか、そのあたりも楽しみにしています。
質疑応答:新中期経営計画の達成確度について
荒井:「新中期経営計画について、中山社長として達成確度はどの程度あるのでしょうか?」というご質問です。
中山:2030年に売上収益200億円、営業利益40億円です。実は正式な新中期経営計画を出しているわけではないため、この数値は、おおよその目線として、最低の数値を出しているに過ぎません。
新中期経営計画は、今準備している保険商品や新商品の販売実績などがある程度出てこないと、蓋然性があまりに低いかと思っています。そのようなものを外部にお出しするのは、あまりに申し訳ないという理由で、正式な新中期経営計画はお出しできていません。ただ、目線としては200億円、40億円を2030年までには絶対実現したいと思っています。
達成確度という点では、これまでの我々の成長率などの積み重ねをご覧いただければ、ある程度の勢いを保ったまま成長していけそうならば、お出しした200億円、40億円という目標は達成してもおかしくないということはご理解いただけるのではないかと思います。高すぎて、まったく手が届かない目標になっているということもないかと思っています。
荒井:今は達成できないことはないという目線をうかがったのですが、現時点で、その達成に向けて不足している要素があるとすると、どのようなところでしょうか?
中山:それはありません。
荒井:ありませんか。
中山:はい。
荒井:わかりました。ありがとうございます。
質疑応答:個人向け弁護士保険の募集停止理由について
荒井:「個人向け弁護士保険の募集停止理由について教えてください。新商品投入もないのでしょうか?」というご質問です。
中山:まず新商品に関しては、今準備していますので、より早期に発表できればと思っています。
新商品に関しても選択と集中を意識しています。個人向けの分野で、より我々のリソースを割いていくのは、我々のアセットを有効活用していくという観点であまり得策ではないと判断を下しました。
同じ金額、同じ人材、同じリソースを利用するのであれば、もっと違うところに活用したほうが、より短期的にも中期的にも、会社価値が伸ばせると判定し、停止したという判断に至っています。
質疑応答:ヒトタスの売却について
荒井:「ヒトタスの売却手法に懸念を持ちました。なぜ先行きの見通しが立たないとして切り離したにもかかわらず、アシロは貸付を行ったのでしょうか?」というご質問です。
中山:まず、売却に関する我々の判断基準は、収益的な先行きの見通しが立たないからではなく、AIを活用できるような領域がないという意味で、将来的な先行きがそこまで期待できないということです。
収益と利益で言うと、ほとんど損益分岐点まで持っていくことができており、ここから利益が出なくもないというほどの水準までは来ていました。よって、保持しておいてもよいという判断もできたかもしれません。
ただ、我々としては、会社全体でAIという部分にもっと中心を持っていくのだという判断の中において、なかなかAIが事業の中心になりません。先行きが見えているものを持ち続けるのは得策ではないと判断して、売却というかたちを取りました。
売却先については、当然候補もいくつか探したのですが、もともとの事業のスタートの仕方が、要はシナジーでした。法律事務所で事務員はよく使われるため、すでに我々のクライアントである法律事務所に派遣社員を派遣できるのではないかという発想で始めています。
実際に、我々の広告の既存クライアントのところには派遣社員が一定数派遣されていましたので、運営元をごっそり変えてしまうと、すでに今もクライアントである法律事務所にご迷惑をおかけする可能性があるということも鑑みました。
運営母体が大きく変わりすぎないほうが我々としてはよいのではないかという判断もありました。また、事業責任者である会社社長も変えないほうが、お客さまに対する負担が少ないのではないかという決断のもと、これまで我々の会社で事業責任者、子会社の社長を務めていた人間に売却しました。
AIが活用できないという先行きが不透明な部分があり、さらには、売却先として、もともと当社の社員で子会社の社長だった人間に任せたのは、お客さまへのご負担を減らしたいからです。
したがって、後ろめたさなどといったことはまったくありません。ご懸念等やご不安点等がありましたら、すべて回答できるかと思いますので、ご質問いただければと思います。
もう1点述べると、我々の会社全体の全事業の中でも、そこまで大きなインパクトがあった事業ではありません。既存事業に関しても、この動きによって特段なにかが変わってしまうということもありませんので、ご安心いただければと思っています。
質疑応答:AIプロダクトのローンチについて
荒井:「年内にアシロ初のAIプロダクトがローンチ予定とありますが、セグメントは保険事業ですか?」というご質問です。
中山:すでにAIを活用した業務改善というものは作られているのですが、我々自体が作って、有料で売るプロダクトを年内に開発予定です。そちらに関しては、まだ秘密なのですが、社内ではすでにAIを活用しています。
プロダクトとして売れるようなものをご用意するのが年内ですが、保険でもすでに活用していますし、全事業でも活用しています。
質疑応答:AI事業の外注化について
荒井:「AI事業は内製化を図らず、外注ではいかがでしょうか?」というご質問です。
中山:これは是々非々で、弊社では社内でも作っていますが、外部も使っています。外部のリソースも活用しながら、最もスムーズに事業開発ができるように進行させています。社内外リソースを使いながらスムーズな事業運営ができればと思っています。
質疑応答:AI事業の競争優位性について
荒井:「AI事業は、既存事業のアセットを活かしたものというイメージでしょうか? リーガル領域にもさまざまな他社企業の参入が予測される中で、どの程度競争優位性があるものがリリースされるか気になっています」というご質問です。
中山:本当に楽しみにしていただきたいと思っています。私個人としても各社、特にエージェントなどに対しては、AIを活用したSaaSのようなものは非常に多く出てくると思っています。また、逆に未上場企業などでAIのエージェントやプロダクトを作り、非常に大きな資金調達を行う会社も今後多く出てくるのではないかと思っています。
しかし、私はあまり甘くないと感じています。これまでも国内で、SaaSなどさまざまなものが出てきていますが、AIの登場によってプロダクトがコモディティ化する速度、大衆化する速度が、これまでの比ではないレベルになってくると思っています。
単純にこのようなAIエージェント、AIプロダクトという便利なものができましたよ、というだけでは、なかなか競争優位性が作れないと思っています。アシロが培ってきたアセットおよび競争優位性が確実に出せるような領域で、我々らしいAIプロダクトをご用意できればと思っていますので、ここはご期待いただければと思っています。
質疑応答:AIプロダクトの展開について
荒井:「言及しづらい箇所かもしれませんが、質問させてください。新規の商標登録を3つ確認しました。AIプロダクトに関しては、1つではなく複数展開する予定でしょうか?」というご質問です。
中山:今後に向け、いろいろ仕込んでいるところです。「ログミーFinance」は、投資家さまだけでなく、いろいろな会社や競合会社が思っている以上に見ています。
したがって、私がうかつに、「このように考えています」と言うと、けっこうばれてしまい、おそらく社員から、「お前、しゃべるなよ」と怒られると思います。本当のところ私はかなりサービス精神旺盛でしゃべりたいタイプなのですが、ご容赦いただければと思います。
荒井:画面の向こうを意識してですか?
中山:株主さまのためにしゃべれません。
荒井:楽しみにしています。ありがとうございます。
質疑応答:広告費の具体的な使途および今後の方針について
荒井:「第2四半期において、広告費が9億2,000万円と、第1四半期に比較して大幅に増加しています。もし第1四半期と同じレベルでの広告費だとしたら、営業利益は7億円に迫るほどだったように思います。前年度までで先行投資的な費用は出尽くしたと考えていましたが、驚きました。具体的な使途と今後の方針について詳細の説明をお願いします」というご質問です。
中山:決算発表資料を細かくご覧いただければご理解いただけると思いますが、広告は通常の事業会社であれば、PLの中でも、一般的には販売管理費に入っていくものです。
一方我々の場合、広告費は実は原価のほうに多く入っています。要するに、広告で仕入れたものを売っているという会社になっているのです。したがって、広告費が増えていなければ仕入れられていないため、売るものがない状況になります。
ただ、投資的な意味合い、すなわち、会社やプロダクト全体への投資的な広告であれば、販売管理費に計上されます。
つまり、我々の既存のプロダクトであるマーケティングのような商材の場合、広告費で仕入れて販売することになるため、逆に広告費がなければ売上がなかった、さらに原価がない、仕入がない、というご説明になるのです。
今後、原価とは違う販管費レベルに計上されるべき広告費に関しては、販売管理費につけて、わかりやすく、通常の事業とは別の違う広告費として投資的に使っているというご説明ができればと思います。
ただし現時点では、前期までの投資的な広告費も今期の事業上の広告費も、決算発表資料上は同じような記載になっています。不確かで紛らわしいというご指摘もあるかもしれませんが、仕入がないと売上がなかったというご理解をいただけたらと思っています。
質疑応答:新保険商品「bonobo」の許認可の進捗について
荒井:「法人向けの新保険商品『bonobo』の許認可の進捗について教えてください」というご質問です。
中山:今日、申請を出してよいという許可をいただいたところです。申請を出して、これから当局で許認可まで動いていただくというようなステータスです。
荒井:その「bonobo」ですが、代理店募集の進捗はいかがでしょうか?
中山:時間を十分に使い、しっかり入念に準備を進められています。
質疑応答:派生メディアの利益が伸びない要因について
荒井:「派生メディアの収益の伸びに関して、利益の伸びが物足りなく感じますが、要因は何でしょうか?」というご質問です。
中山:私も物足りないと感じています。
荒井:どのように伸ばしていかれるのでしょうか?
中山:第1四半期などにけっこう細かいミスも出ており、事業責任者も反省していますが、守りの話としては組織内で人員配置を変えたり、戦略を大きく変換したりします。攻めの話としては、新しい領域にきちんと打って出るようなところでしっかり伸ばしていくべきなのではないかと思います。
ただ、これはメディアやマーケティング領域の中の話です。アシロ全体としては、ポートフォリオをもっと大きく分散させて、事業をいくつも作り、「派生が伸びていなくても、違う事業がしっかり伸びているから会社全体として伸びている」という状態を目指しています。
どのような事業もそうですが、例年ずっと調子がよいということはなかなかありません。1つの事業の調子が悪い時には別の事業でカバーできるような「オールアシロ」で、しっかり事業成長できればと思っています。第2四半期の利益率・利益幅が少なかったことに関しては、私も投資家のみなさまと同じように物足りないと感じています。
質疑応答:HR事業の人員増加について
荒井:「売上を伸ばすためには従業員の人数が必要だと思っています。HR事業の人員については、昨年対比でどのくらい増えていますか?」というご質問です。
中山:昨年対比は、IRにお問い合わせいただいたほうが正確な数字が出るかと思います。
荒井:法人などはいかがでしょうか?
中山:法人はバンバン人を取らないとなかなか伸ばせない領域ですので、人を増やしていくことになるかと思いますが、私が廊下から見た感じでは、去年の倍くらいになっているのではないかと思います。
荒井:体感で言うといかがですか?
中山:人の密度が倍になったようには感じています。
荒井:詳しい数字については、書き起こしのほうでお答えいただけるのでしょうか?
中山:そうですね。書き起こしで記載するようにします。
※HR事業では20数名の従業員が所属しています。YoYではほぼ横ばいとなっています。一時期HR事業部の生産性、効率性を見直し人員配置を変更したことで10数名となっていましたが、そこからさらに人数が増え、結果YoYで横ばい、という状況です。
質疑応答:営業利益率悪化の要因について
荒井:「今回『利益率は第1四半期くらい出したかった』との発言がありましたが、どこのコストがかさみ利益率が悪化してしまったのでしょうか?」というご質問です。
中山:先ほどの説明とはまた違った話なのですが、派生のパフォーマンスなどの部分において、我々が想定した以上に細かいミスが重なったことで、思ったよりも利益率が上がらず、全体として少し営業利益率を下げる要因になりました。
質疑応答:AIプロダクトについて
荒井:「AIのプロダクトについて、方向性としては、1番・既存顧客へのクロスセルの扱いで顧客単価を上げる狙い、2番・まったく新しい顧客を開拓する種類の商品、3番・その他、の3つのうちどれに該当するのか、言及できる範囲で商品の種類について教えてください」というご質問です。
中山:2番です。
荒井:つまり、まったく新しい顧客を開拓する種類の商品ということですね。
中山:はい。
荒井:少しずつご質問で深掘りが始まっています。
中山:深掘りされても答えられません。
荒井:今日のところは、このあたりまでということですね。
中山:しかし、質問は大好きですので、質問自体はいただけたらと思います。
荒井:うっかり答えていただけるかもしれません。
質疑応答:第2四半期の営業利益率について
荒井:「第2四半期の営業利益率は24.7パーセントでしたが、来期以降は20パーセントが目途でしょうか?」というご質問です。
中山:将来的には、営業利益率は30パーセントまで押し上げていきたいと考えていますので、最低限20パーセントという意識は持っています。中長期的には、安定して30パーセント以上出せる会社にしていきたいと思っています。
質疑応答:金額ベースでの伸びについて
荒井:「絶好調なことは大前提として、あえて突っ込んで質問をさせていただきます。リーガルメディア事業が絶好調ですが、一方で金額ベースでは、QonQでプラス8,000万円で、プラス8.8パーセント(前回は、QonQベースでプラス1.25億円でプラス16パーセント。前々回は、プラス1.38億円でプラス21パーセント)となっています。
これは、高単価新商品が前期第3四半期頃から販売が増えてきて、徐々に軌道に乗ってきたために伸びが鈍化しているように見えるという理解でよろしいでしょうか? 1年以上前の数字の推移からすると、金額ベースで大きく伸びているのは重々理解しています」というご質問です。
中山:この第3四半期あたりから非常に安定して大口の商品が売れ始め、それを安定的にご満足いただけるものにするため、そこまで一気にというイメージではなく、少し調整局面にかかっているかとは感じています。
ご指摘のとおり、第3四半期から第4四半期、第4四半期から第1四半期にかけて、そこまで急激に増えている状態ではないものの、顧客満足度をここでしっかり確保できれば、予算をまだ増やしていける領域はあるかと思っています。
アシロは、「ベンナビ弁護士保険」の成長のさせ方もそうでしたが、一気に営業をかけてどんどん取っていくというよりも、取っては顧客満足度をしっかり引き上げて、ある程度安定させた上で次に行くというステップを踏む会社です。
そこに物足りなさを感じられるかもしれないのですが、中長期的な会社価値を考えると、ご満足いただけるものを一つひとつ確認しながら進めていくことは、非常に重要であると感じています。
質疑応答:今日の社長の雰囲気について
荒井:「今日の中山社長は何かぐっと耐えているといいますか、株主に対してごめんなさいというような雰囲気が非常に出ているように見えますが、気のせいでしょうか?」というご質問です。
中山:理由は3点あります。1つ目が株主さまに対して申し訳ないということ、2つ目が少しお腹が痛いこと、そして3つ目が、先ほど連絡があったのですが、長男が近所の家に石を投げて大層怒られたということです。
荒井:個人的なご心配もあったのですね。
中山:ありました。申し訳ありません。この3つが懸念点として重なりました。
荒井:3つ目によって2つ目が起こっているのかもしれないですね。
中山:そうですね。2つ目で1つ目が起こっているのかもしれません。ただ、根本的には元気なのでご期待ください。
荒井:息子さんも元気だということですね。お腹はあと20分くらい耐えていただけますか。
中山:大丈夫です。
質疑応答:「bonobo」の旧商品との違いについて
荒井:「『bonobo』について、『ベンナビ弁護士保険』が撤退ということで、保険事業の難しさを重々理解された上での新規事業だとは思うのですが、得られた教訓、そして旧商品と新商品の違いなどをうかがいたいです」というご質問です。
中山:抜本的に、その新商品と旧商品はまったく異なるものになります。決算説明会やセミナーは、本当にいろいろな会社が見られるため、リリースまでご期待いただければと思っています。
本当に難しさを感じているのと同時に、私は投資家のみなさまが大好きなのですが「少し厳しすぎないか」と、まだ私と見解の相違があるなというところが1つだけあります。
それは「アシロはM&Aが下手だ」という烙印が押されていることです。私はまだ2回しか行っていません。どちらも減損したのですが、事業上撤退したのは2分の1です。もう1社は、まだ保険として事業は残っています。
もし仮に保険事業が爆発的に伸びたら、「アシロはM&Aが下手だ」「中山はM&Aが下手だ」という認識は変えていただきたいと思っています。
荒井:ニュートラルに戻していただきたいということですね。
中山:はい。ニュートラルな状態にしていただきたいと思っています。2戦で1敗は確定していますが、2敗はまだ確定していませんので、下手だという烙印はまだ押さないでほしいと思っています。
荒井:もう少し見守っていただければというところですね。
中山:はい。
質疑応答:ミスの改善について
荒井:「先ほどの『細かいミスが重なった』というご発言は、前回の第1四半期の決算説明会でもあったかと思います。そのミスというのは、現状で改善は進んでいるのでしょうか?」というご質問です。
中山:我々が認識しているミスに関しては、改善はほぼ完了しています。
質疑応答:第2四半期の疲弊具合について
荒井:「以前の説明会で『お金を使い事業を推進しすぎると、組織が疲弊してしまう学びがあった』とおっしゃっていましたが、第2四半期においての疲弊具合はどの程度の感触でしょうか? 売上や利益の満足度というよりは、疲れ具合のちょうど良さをうかがいたいです」というご質問です。
中山:疲れ具合の、ちょうど良さですか? 難しいですね。
荒井:気持ちのよいところという感じですよね。
中山:そこまで費用対効果がはっきりしない先行投資的なものは使っていないため、お金を使いすぎた疲弊感のようなものはないのですが、AI、開発といった投資をしなければいけないことに関してはしっかり投資できていますので、非常に心地のよいレベルの状態は保てているかと思っています。
質疑応答:営業利益率を上げるための対策について
荒井:「『第2四半期の営業利益が物足りない』というお話がありましたが、具体的な問題点と、そこへの対策は終わっているのかを教えてください。終わっているとしたら、下期は利益率が上がるのでしょうか?」というご質問です。
中山:営業利益率に関して言うと、今のレベルは維持したいと思っていますし、目線としては、第1四半期で出た営業利益率は十分出せるのではないかと思っています。
保険の新商品の販売や、先ほどの備金などの関係でずれる可能性がありますが、それがなければ基本的には同等レベルか、第1四半期ぐらいの営業利益率が出せてもおかしくないのではないかとは考えています。
質疑応答:リーガルメディアでの好調の継続性について
荒井:「リーガルメディアで高単価商品が好調とのことですが、継続性はあるのでしょうか? 契約形態・期間等、可能な範囲で教えていただきたいです」というご質問です。
中山:今日はたまたま、みなさまからは見えていない私の左のほうに、その新商品を扱っているメンバーが集まって決算説明会を見ています。
しゃべらなくてよいのですが、新商品はどうですか? まだ伸びますか? 全員うなずいていますので、大丈夫そうです。ご期待ください。
質疑応答:ビットコイン事業への参入について
荒井:「M&Aが下手ではないという話に関して、保健事業に加え、『ビッコレ』での経験を活かしてビットコイン事業を手がけることで1敗も勝ちにできるのではと思いますが、可能性はありませんか? むしろ『ビッコレFX』を終わらせて、その人材やアセットを活かして金融事業を行うという既定路線なのかと思っていました」というご質問です。
中山:私もここまでビットコインが市場内で跳ねるとは思っていませんでした。当然個人としても会社としても、単純にビットコインの取引所とのマーケティングだけでなく、ビットコインというものの価値に私自身も期待値を持っていますし、仕組み自体にも非常におもしろいものを感じていました。
当時はタイミングが本当に悪く、進入するタイミングだけだったとは感じていますが、今後も我々自身は、仮想通貨に投機的に投資して会社価値を上げていくようなことはあまり検討はしていません。
ファイナンス領域に関しては注視して、参入余地があるところは引き続き探り続けたいと思っています。
質疑応答:社員の給料について
荒井:「社員の給料は、どのようなペースで上げていく計画なのでしょうか?」というご質問です。
中山:評価制度があるため、その評価制度にのっとり個別で評価され、給与が上がっていく予定です。
また、国内全体のインフレ率も給与上昇の一因になります。「この給料でよいでしょう」と我々の基準で進めた結果、国内全体で見た時に、社員の生活が非常に苦しくなってしまうような状況は避けなければいけないと思っています。
社員が安定した生活を営めて初めて事業に集中できる環境を作れると思っているため、単純に他社より高い、安いだけではなく、いろいろな市場環境を鑑みながら、給与を決定していくべきであると考えています。
かなり複合的な要素が絡んでくるかと思っていますが、基本的には個人のがんばりを可視化して、定量的に引き上げていきます。反対に下がる可能性もありますが、上げていけるような制度をしっかり作っています。
質疑応答:ファイナンス領域を注視することの意味について
荒井:「先ほどビットコインのお話がありましたが、ビットコインや仮想通貨について『ファイナンス領域については注視して』というのは、どのような意味でしょうか?」というご質問です。
中山:私個人が、そのファイナンスの領域での金融のサービス化について調べており、まったく興味や関心がない領域ではないという意味です。どのようなかたちであれば、ある程度の競争優位性を持ってファイナンス領域に進出できるか、このようなサービスがあればよいのではないかということは常々考えています。
みなさまは忘れがちなのですが、保険も金融商品であり、アシロ少額短期保険自体が金融会社であることが、私が金融に興味を持っていることの証左かと思っています。
質疑応答:来期以降の投資方針・規模について
荒井:「今期は益出しの年として、来期以降の投資方針・規模に関しては固まっていますでしょうか?」というご質問です。
中山:「投資期間中にお金を使い過ぎて疲弊した」というご説明のとおりなのですが、あまり目に見えない、つかみようがない投資は極力節約した上で、蓋然性のあるところにしっかりお金をかけて投資はしていこうと思っています。
また、アシロのアセットやエクイティも含めフル活用していくことも重要視しています。現金を何の意図もなく積み上げていくようなことはあまり望ましくないと思っているため、エクイティなども我々なりに活用しながら、全社のアセットやリソースをフル活用して会社価値を上げていくことは重要かと思っています。
質疑応答:弁護士の将来的な必要性について
荒井:「弁護士の必要性について教えてほしいのですが、国民の数が減っても、弁護士はまだ求められる存在となるのでしょうか?」というご質問です。
中山:求められると思います。専門性があり、あれだけの資格を取られた方でしか対処できない問題というのは、日本が法治国家である限り起こり続けると思います。よって、弁護士の需要がなくなることはあまり考えられないでしょう。
AIがいくつも判例を読み込めば、裁判も含めた判断基準が十分に作っていけるのではないかという議論もたまにあるのですが、個別の事案や背景なども深掘りして、いろいろな点を鑑みて判決を出すことは、そう簡単ではありません。
例えば医療のように、画像で見つけた病巣を取り除くにはどのような治療がよいかなどということに関しては、AIは非常に強いかと思います。しかし、バックグラウンドではどのような人生で、どのような背景があって、どのような事件が起こったなどということは、簡単ではありません。
弁護士など、司法に関わる人はAIに代わりやすいと言われがちですが、私は個人的にはかなり時間かかるのではないかと思っています。
質疑応答:AI領域への挑戦について
荒井:「決算説明会資料において、AI領域に挑戦していくということのIRが少し物足りないと感じていらっしゃるようなのですが、AI事業に参入というIRを出すなど、あらためてそこに特化した発表などはされるのでしょうか?」というご質問です。
中山:そうですね。冒頭のお詫びでしかないのですが、AIの我々なりの活用の仕方と、このようにして収益を立てていきますというセットがあれば納得感は生まれたかと思います。この収益のところを今回セットでご説明しきれなかったことから、物足りなさにつながっていたと思います。
私は、決算発表や投資家さまからどう思われるかなどはあまりストレスに感じないタイプです。しかし、今日お腹が痛い原因は、息子の件もそうなのですが、今回の決算発表をどのように受け止めてくださるかということが、潜在的にストレスに感じていたのではないかと思います。
AIの新たな発表と、我々なりのAIの活用の仕方を、収益とともにセットでご説明しきれなかったために物足りなさを感じさせたことに関しては、本当に申し訳なかったと思います。
ただ、その余地を残しながらのこの進捗は、逆に期待値として持っていただけると思います。そう遠くない将来、AIの活用の仕方と収益をセットでご説明します。もう少しお待ちいただければ物足りなさは十分に払拭できるのではないかと思いますので、ご期待ください。
質疑応答:AIの収益説明について
荒井:「AIの収益説明は、第3四半期の説明会では可能でしょうか?」というご質問です。
中山:もうしゃべりたくて仕方がないのですが、勘弁してください。
荒井:本当に知りたいことはたくさんあるということですが、今回はお話しいただける範囲で、ニュアンスをお話しいただけたのではないかとは思います。
質疑応答:社員の評価について
荒井:「社員の方の評価は、光通信のような体育会系の評価をされているのでしょうか?」というご質問です。
中山:よくわかりませんが、おそらく私が体育会系だからでしょうか。
荒井:おそらく、見た目からでしょうか。
中山:私はけっこう文学的な人間で、外で遊ばずにずっと部屋の中で本を読んでいるタイプです。まったく体育系ではないのですが、おそらく見た目からです。
荒井:見た目に反してということですね。
中山:おそらく光通信からすれば、このような軟弱な人間が光通信にいるわけないだろうというお叱りを受けるのではないかと思います。まったく光通信的ではありません。
荒井:比較はできないということでしょうか?
中山:いえ、私は光通信の評価方法も知りません。光通信は、おそらくみなさまが思われているよりもすばらしい会社です。あれだけの成長を続けられていますし、あれだけの優秀な人材がいろいろなところで活躍できるのは、本当にすばらしい評価制度を持っている会社なのだと思います。
我々の会社はそのようなレベルにまったく達していませんので、比較するのも非常におこがましいのが実情です。したがって光通信的かはわからないものの、我々らしく、数字だけではなく価値観や方向性なども重要視しながら、バランスを持ってある程度評価できるような制度にしていかなければいけないと思っています。
人事評価は、会社にとって最後のサグラダ・ファミリアです。サグラダ・ファミリアは完成するとのことですので、完成しないものの比喩にはならないのですが、本当に完成させるのが難しいものです。
ここがしっかり決まれば、事業成長は揺るがないものになるのではないかというくらい、我々は何度も試行錯誤して改善しています。体育会系的に「おら、やるぞ」「おっしゃ、やったな。給料上げたろ」のような単純なものではありません。しかし、光通信もそのようなものではありません。
荒井:社長の見た目で体育会系をイメージされてしまうかもしれませんが、そのようなことはないということですね。
中山:はい。
荒井:最後に、下期に向けて株主の方や投資家のみなさまへの、意気込みと社長の熱意をあらためてうかがいたいと思います。
中山氏からのご挨拶
中山:先ほどお詫び差し上げたのですが、物足りなさのようなことは十分あったと思います。我々なりのAIの活用方法や収益へのつなげ方などが、投資家さまの一番気にされるところかと思います。
第3四半期以降、どのタイミングかは確定できないものの、我々らしいAIと収益のつなぎ方をご覧いただければと思っています。まだまだこのようなレベルでは満足していないため、ご期待ください。
また、AIとはまったく関係ないのですが、保険に関して、現在は新商品の準備でずっと動き続けています。我々の会社でいうと、10パーセントから20パーセントくらいのリソースが、まったく収益に貢献されないかたちで活用されているわけです。
要するに、第2四半期は左手を使わずに勝負しているような状態です。したがって、より早いタイミングで強い左手が動き始めれば、両腕を使って勝負することになります。アシロの本領発揮を楽しみにしていただければと思っています。