会社概要
三本幸司氏:Hmcomm株式会社代表取締役社長CEOの三本幸司です。これより、2025年12月期第1四半期の決算説明を始めます。よろしくお願いします。
はじめに、会社概要をご説明します。Hmcommは「Human Machine Communication」、人と機械との融合を会社名に込めています。
事業内容は、AIプロダクトとAIソリューションです。前年度の売上高は9億4,000万円、純資産は19億円、従業員数は38名となっています。
会社の紹介
当社を一言で表現すると、「人の音声と"場"の自然音を認識し、異音検知をマネタイズする『音×AI』のスペシャリスト」になります。
主な沿革
主な沿革です。2012年に創業し、2014年に「産総研技術移転ベンチャー」認定をいただいたことを契機に、音に着目した専門的な研究・開発をスタートしました。
2015年より音声認識・言語解析プロダクトを開発し、2018年には音の特徴を捉えて異常を早期発見するプロダクト(異音検知)の研究・開発にも着手しています。
2021年6月よりデータ解析ソリューションをスタートし、音声認識、異音検知で収集したデータを活用するAIソリューション事業を開始して現在に至っています。
事業内容
事業内容です。AIソリューションは、特定のお客さまのニーズに合わせたオーダーメイドのサービスで、高度な専門知識が求められるプロジェクトベースの取り組みが中心となっています。
これに対してAIプロダクトは、幅広い顧客層に対して汎用的に利用できる製品です。導入の容易さと即効性を重視したサブスクリプション型でパッケージ型のサービスとなっており、「FAST-D」「ZMEETING」「Terry」「Voice Contact」の4つのプロダクトを創出しています。
エグゼクティブサマリー
エグゼクティブサマリーです。2025年12月期第1四半期の累計ですが、売上高は通期見通し進捗率15.9パーセントと、ほぼ計画どおりで着地しています。
事業譲受によってコンサルタント人材を取得しました。売上高は2億3,000万円、経常利益はマイナス1,000万円、経常利益率はマイナス6.5パーセントとなっています。
一方、2025年12月期通期の売上高は第2四半期以降、堅調に推移する見通しです。複数の案件が第2四半期以降に本格寄与する見通しで、通期目標達成に向けた進捗を見込むことから業績予想は据え置いています。
売上高は14億5,000万円、経常利益は1億6,000万円、経常利益率は11.7パーセントを見込んでいます。
ITコンサルティング事業の譲受
2025年12月期第1四半期の主なトピックスを3つご報告します。
1つ目は、事業譲受を実行しました。さまざまな業界知見を有するコンサルタント人材を、本スキームによって拡充できました。従来のテック目線からの脱皮を図り、AIソリューション事業に寄与するお客さまの課題をきちんと見つけ出すことができました。
また、これらの人材は、当社ではアプローチできない業界や顧客を持っているため、新規顧客の拡大にも寄与するのではないかと考えています。
ビジネスプロセス~事業化・社会実装の実例(2025年12月期新規例①)
2つ目は、AIプロダクトの5つ目の製品である「Voice Digest」をリリースしました。これは、企業のコールセンターや電話応対業務において、通話内容を録音しつつ、AI音声認識と生成AIを使って要約、分析、セキュリティチェックをする製品です。ファーストカスタマーとして、ベネッセコーポレーション社に導入していただきました。
ビジネスプロセス~事業化・社会実装の実例(2025年12月期新規例②)
3つ目は、コールセンター大手のBPO事業者であるTMJ社に「Voice Contact」をOEMで提供しました。本ソリューションによって、TMJ社がお持ちの幅広いお客さまの業務フローを効率化し、効果を実感していただけるものと考えており、こちらも業績への大きな寄与を期待しています。
2025/12期1Q決算概要
2025年12月期第1四半期の決算概要です。2025年12月期第1四半期の売上高は2億3,000万円です。AIプロダクト・AIソリューションともに、ほぼ計画どおりに推移しています。
損益面では、第1四半期は経常損失で着地しています。これは、コンサル人材の先行採用による費用増加や、一時的な外注加工費の増加による影響です。第2四半期以降は人材採用の強化・内製化の推進などによって、費用水準は徐々に改善する見通しです。
売上構成の状況
AIソリューション・AIプロダクトの売上構成についてご説明します。AIエージェントなどの新たな技術・新たな分野のプロジェクトの受注によって、AIソリューション比率が増加しています。
AIソリューションはAIプロダクトの先行指標となっており、これが増加するということは、後にAIプロダクトが伸長する傾向を示しますので、AIソリューションにもしっかりと力を入れた成果が出ていると考えます。
スライド右側は、顧客別売上構成のグラフです。2024年以降、特定の上位取引先への依存度を低下させ、取引先の多様化を推進してきました。これによって、売上構成の健全化と経営リスクの低減が実現できてきています。
AIソリューションとAIプロダクトの事業状況
AIソリューションのプロジェクト数と平均単価についてご説明します。
AIプロダクト案件の先行指標となるAIソリューションに関しては、2025年12月期第1四半期時点ですでに、計画比34パーセントを達成する堅調なスタートとなっています。プロジェクトの平均単価は、前年同期比約10パーセント上昇しています。
次に、AIプロダクトのアカウント数とアカウント当たりの平均単価についてご説明します。2022年12月期以降から、平均単価重視ということで鋭意推進してきました。アカウント当たりの平均単価は、前年同期比45パーセントの上昇という成果になっています。アカウント数についても、新規取引先へのアプローチに注力しており、効果が出てきている状況です。
B/Sの状況
B/Sの状況です。有利子負債を完済し、自己資本比率は90パーセント超の無借金経営であり、財務基盤は盤石となっています。
この第1四半期は、事業譲受によりのれんを計上しています。現預金は減少したものの、総資産の約70パーセントを維持しており、投資資金は潤沢に確保できていますので、今後もこのような攻めの投資をしていければと考えています。
2025/12期通期業績予想
続いて、2025年12月期通期見通しについてご説明します。まずは、2025年通期業績予想についてです。売上高は53パーセント増を想定しています。牽引役はやはりAIプロダクトの先行指標であるAIソリューションで、新しい分野、新しい業界でのプロジェクト型の案件増を追い風として、大幅な増収を見込んでいます。
営業利益は83パーセント増、経常利益は135パーセント増と、前期に計上した上場関連費用の消失が寄与すると現段階では想定しています。
当期純利益の減少については、主に法人税等調整額の一時的な調整によるものです。
経常利益見通し 想定増減要因分析
経常利益見通しと想定増減要因分析です。経常利益の見通しの増加要因は、AIプロダクトの顧客単価の上昇、AIソリューションのプロジェクト数の増加などの増収効果になります。
一方、外注加工費等の増加により原価率がアップします。また、先行投資の人件費増などによるコストアップが見込まれることから、増益幅は若干限定されるものの、増益率はプラス135.1パーセントと高水準を維持する見込みとなっています。
ビジネスフロー
当社のビジネスモデルについて、あらためてご説明します。
まず、ビジネスフローについてです。当社はBtoBビジネスで、代理店経由のケースもありますが、全社売上の8割は直接契約になっています。先ほどTMJ社の例をお伝えしましたが、今後は、代理店経由での販売をアライアンスを組んで行うことで、代理店経由での売上もしっかり伸ばしていくという戦略を考えています。
また、当社のコア技術であり、メインとなる高度専門技術は当社のプロパー社員が行います。しかし、コア技術以外、例えばテストしてもらったり、コーディングやプログラムの一部をお手伝いいただいたりといったところは、外注先の方々に担っていただいています。ですので、外注先のエンジニア、外注先のテスターというのも、当社の1つの戦力であると思っています。
独自の研究開発型ビジネスプロセス
次に、独自の研究開発型プロセスです。当社は、スライドの図に記載のとおり、研究開発から製品開発まで自社で完結しています。
また、課題解決型の研究開発を皮切りに、構築した学習モデルの次の課題解決への転移転用を推進しています。
開発の初期段階では、産総研(産業技術総合研究所)やJST(科学技術振興機構)、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)などと共創体制を組み、社会課題の解決につながる研究テーマにフォーカスし、スタートしていくかたちで、この図にあるスパイラルをぐるぐる回していくのが当社の1つの特徴かと思います。
ビジネスプロセス~当社の優位性
繰り返しになりますが、当社は独自の研究開発型ビジネスプロセスにより、AIソリューションからAIプロダクトまで一気通貫で対応しています。
当社独自で企業固有の課題、業界固有の課題を見つけ出し、それをこの一気通貫のプロセスにより課題解決まで導くことが、当社の1つの強みであり、目指している姿になります。
ビジネスプロセス~共創フェーズ(AIソリューション)の取組み
AIソリューションの取り組みについてです。最初のとっかかりの部分について具体的にご説明します。スライド図の左側から順に取り組んでいきます。
まず、産総研から技術移転を受けた特許を活用しつつ、音声認識プロダクト、異音検知プロダクトによる学習モデルを転移転用し、複数の共創先とともに課題解決型の研究開発を実施していきます。これが、AIソリューションの最初の取り組みになります。
そして、研究開発や実証実験により得た成果を多くの企業で活用できるようにプロダクト化、AIプロダクトにコンバージョンしていくことが、当社の1つの重要なプロセスになっています。ゆえに、コンバージョンをすることでAIプロダクトを増やしていきます。
このAIプロダクトによる、サブスクリプション収益を増やしていくことが、当社のミッションであり、大きな特徴であり、成長指標になります。
ビジネスプロセス~共創フェーズの実例
こちらのスライドは、共創フェーズの実例です。
先ほどから、AIソリューションが重要であること、プロジェクト型であること、お客さまとともに課題解決していくことをご説明してきました。
スライド記載の主な共創先であるお客さまと昨年度、AIソリューション領域として、共創プロジェクトを組成し、対応しています。
2024年度12月末の時点において、共創先が36社、プロジェクト件数で66件が進行していました。
以上が、2025年12月期第1四半期の決算説明となります。主に会社概要とビジネスモデルについてもご説明させていただきました。本日は、ありがとうございました。引き続き、当社にご支援のほどよろしくお願いします。