2025年3月期 連結決算説明資料

中西義人氏:財務経理本部の中西です。よろしくお願い申し上げます。これより、2025年3月期連結決算概要および業績予想について、ご説明します。

2025年3月期 連結決算概要(前期比)

概要ですが、売上高は、国際関連での航空貨物運賃市況の回復、および海外現地での取扱量増加、メキシコやカナダでの子会社連結化の効果、空港関連での国際旅客便の復便等の取扱量増加、および機材大型化等による収受単価の上昇、エンジニアリング関連での大型工事案件の獲得、食品プロダクツ関連における得意先堅調や新拠点稼働による倉庫・輸送取扱量増加のため、売上高3,449億円、前期比9.5パーセント増収となりました。

利益は、空港関連での取扱量増加に伴う業績回復に加え、2022年4月よりスタートした「新中期経営計画2023年3月期~2025年3月期」の基本方針である収益力の向上に継続して取組み、継続しての業務効率化、適正単価の収受等を進めた結果、営業利益は、213億8,500万円、前期比28.6パーセント増益となりました。

経常利益は、212億9,500万円、前期比25パーセントの増益です。親会社株主に帰属する当期純利益は、140億5,000万円、前期比23.8パーセント増益となりました。

2025年3月期 セグメント別決算概要(前期比)

セグメント別業績について、ご説明します。複合ソリューション事業では、売上高は、空港関連における国際旅客便の復便および機材大型化等による収受単価の上昇やエンジアリング関連での大型工事案件の獲得、食品プロダクツ関連における倉庫・輸送取扱量の増加や新拠点の稼働により、売上高2,166億円、前期比7.2パーセント増収となりました。

利益は、空港関連での取扱量増加に伴う業績回復に加え、継続しての業務効率化や適正単価の収受により、セグメント利益205億8,900万円、前期比18.4パーセント増益となりました。

国内物流事業では、売上高は、食品関連(定温)における取扱量の増加や適正価格への変更、生活関連(物流)における通販品の取扱量の増加により売上高567億円、前期比5.2パーセント増収となりました。

利益は、増収効果に加え適正単価の収受及び業務効率化等により収益改善に努めた結果、 セグメント利益38億700万円、前期比23.6パーセントの増益となりました。

国際物流事業では、売上高は、航空貨物運賃市況の回復や米国冷凍冷蔵倉庫等での取扱量の増加、メキシコやカナダでの子会社の連結化により売上高は716億円、前期比21.1パーセントの増収となりました。

利益は、取扱量の増加や航空貨物運賃市況の回復、新規連結の効果等によりセグメント利益47億2,600万円、前期比57パーセントの増益となりました。

2025年3月期 分野別売上高概要(前期比)

各事業分野別の売上高について、主な増減をご説明します。概要は、先ほどのセグメントと同じ内容となります。

エンジニアリング関連では大型工事案件の獲得により、前期比19.3パーセントの増収となりました。

食品プロダクツ関連では倉庫・輸送取扱量の増加や新倉庫の稼働により、前期比4.1パーセントの増収となりました。

メディカル関連では新規院内事業の受注や適正価格への変更により、前期比5.3パーセントの増収となりました。

空港関連では国際旅客便復便等の取扱量増加及び収受単価の上昇により、前期比34.1パーセントの増収となりました。

生活関連(物流)では通販品取扱量の増加により、前期比3.4パーセントの増収となりました。

食品関連(定温)では取扱量の増加や適正価格への変更により、前期比8.6パーセントの増収となりました。

国際関連では航空貨物運賃市況の回復や米国冷凍冷蔵倉庫等での取扱量増加等により、前期比21.1パーセントの増収となりました。

2025年3月期 連結決算概要(予想比)

次に、業績予想比の説明です。売上高では、予想比0.6パーセントの減収です。営業利益は、予想比0.5パーセントの減益としています。経常利益は、予想比0.9パーセントの減益としています。親会社株主に帰属する当期純利益は14.8パーセントの減益となり、予想比で減収・減益となりました。

2025年3月期 セグメント別決算概要(予想比)

セグメント別業績については、記載のとおりですのでご覧ください。

2025年3月期 分野別売上高概要(予想比)

分野別の売上高業績となります。こちらも記載のとおりですのでご覧ください。

2025年3月期 連結営業利益の増減分析(前期比)

営業利益の増減について、滝グラフにてご説明します。左側に記載した、2024年3月期の営業利益166億3,400万円から、右側に記載の2025年3月期営業利益213億8,500万円と、前期比プラス47億5,100万円の増益となりました。

売上高は、国際関連、空港関連の増収により増加しました。費用面は、労務費が空港関連での旅客便需要回復への対応に伴い、増加しています。また、外注費が売上高の増収に伴い、増加しました。

経費は労務費増加に伴う法定福利費や、新倉庫稼働による減価償却費の増により、増加しています。また、販売費及び一般管理費は、システムセキュリティ関連費用の増加、メキシコやカナダ子会社の新規連結などにより、増加となりました。

こうした状況により、利益については、47億円増益となりました。

2025年3月期 連結貸借対照表概況

連結貸借対照表の主な増減項目について、ご説明します。

流動資産では、受取手形、売掛金及び契約資産が、49億円増加しています。固定資産では、機械装置及び運搬具が、34億円増加しています。

流動負債では、短期借入金が21億円増加しています。固定負債では、社債が長短振替により、50億円減少しています。純資産では、利益剰余金が102億円増加となりました。

以上により、総資産は2,897億円となり、前期比126億円増加となりました。

2025年3月期 連結キャッシュ・フロー概要

連結キャッシュ・フローの概要について、ご説明します。

営業活動によるキャッシュ・フローは、234億円となりました。償却前・税金等調整前当期純利益が増加したことによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、マイナス169億円となりました。設備投資による支出が主な要因です。

財務活動によるキャッシュ・フローは、マイナス128億円となりました。社債の償還による支出が主な要因です。

2025年3月期 設備投資・減価償却費の概要

設備投資・減価償却費について、ご説明します。2025年3月期における設備投資実績額は、202億円、減価償却費は、87億円となりました。

主要な設備投資案件は、酉島新センターへの倉庫リース投資が約17億円、インド鉄道子会社JKTI社の鉄道コンテナ輸送用車両投資が約14億円、KONOIKE GROUP人材開発センターへの投資が約11億円です。

2025年3月期 設備投資実績(大型投資案件)の詳細

先ほどご説明しました主要な投資案件については、こちらを含めて3ページご参照ください。

2026年3月期 業績予想 連結決算概要(前期比)

続いて、2026年3月期の連結業績予想について、ご説明します。

2026年3月期の業績予想ですが、売上高は、鉄鋼関連でのインド鉄鋼子会社の連結化や、空港関連での国際旅客便の復便対応、国際関連でのインド鉄道貨車輸送量増加により、売上高3,670億円、前期比6.4パーセントの増収としています。

営業利益は、鉄鋼関連での鹿島地区高炉休止の影響はあるものの、生活産業関連(生活)での業務用空調機改装工事取扱量増や、メディカル関連での新規院内事業の受注や適正価格への変更、生活産業関連(定温)での既存業務の取扱量増加や適正価格への変更、倉庫および配送における業務効率化、国際関連でのインド鉄道貨車輸送量増加により、営業利益は220億円、前期比2.9パーセントの増益を見込んでいます。

なお、業績予想策定においては、為替は1ドル145円、軽油は各拠点の2024年10月から12月までの平均単価に10円程度の加算を前提としています。

経常利益は215億円、前期比1.0パーセントの増益としています。親会社株主に帰属する当期純利益は145億円、前期比3.2パーセントの増益を⾒込んでいます。

2026年3月期 セグメント別予想の概要(前期比)

セグメント別業績予想について、ご説明します。

複合ソリューション事業では、鉄鋼関連での鹿島地区高炉休止の影響はあるものの、インド鉄鋼子会社の新規連結化や、空港関連での国際旅客便の復便、生活産業関連(生活)での業務用空調機改装工事取扱量増により、売上高は2,315億円・前期比6.4パーセントの増収、セグメント利益は214億円、前期比3.0パーセントの増益の見込みです。

国内物流事業では、生活産業関連(物流)での通販物流センターの取扱量増加、生活産業関連(定温)での既存業務の取扱量増加や適正単価への変更、倉庫および配送における業務効率化により売上高は578億円、前期比3.5パーセントの増収、セグメント利益は37億円、2.1パーセントの増益を見込んでいます。

国際物流事業では、インド鉄道貨車輸送量増加およびカナダ子会社の通期連結化により、売上高は776億円、前期比8.4パーセントの増収、セグメント利益は48億円、前期比1.6パーセントの増益見込みとなっています。

なお、2026年3月期より生活関連と食品関連を統合し、生活産業関連としています。

2026年3月期 分野別売上高予想の概要(前期比)

各事業分野別の売上高については、資料に記載のとおりですので、ご参照ください。

2026年3月期 連結営業利益予想の増減分析(前期比)

営業利益の増減について、滝グラフにてご説明します。

左側に記載した2025年3月期の営業利益213億8,500万円から、右側に記載の2026年3月期営業利益220億円と、前期比6億1,500万円の増益を見込んでいます。

売上高は、鹿島地区高炉休止影響があるものの、鉄鋼関連でのインド鉄鋼子会社の新規連結化や空港関連での国際旅客便の復便、国際関連でのインド鉄道貨車輸送量の増加等により増収の見込みです。

一方で利益は、空港関連での旅客便需要回復への対応に伴う労務費の増加等はあるものの、生活産業関連(生活)での業務用空調機改装工事取扱量増加や、各セグメントにおける適正価格への変更等により、前期比約6億円の増益を⾒込んでいます。

2026年3月期 設備投資計画・減価償却費予想の概要

最後に、設備投資・減価償却費について、ご説明します。設備投資額は236億円、減価償却費は86億円を想定しています。

主要な設備投資案件は流通センターへの投資となり、国際物流事業での建設地への投資が約26億円、複合ソリューション事業でのリース投資が約21億円、国内物流事業でのリース投資が約10億円です。

以上で、2025年3月期の連結決算ならびに2026年3月期の業績予想についてのご説明を終わります。

中期経営計画2027 (2026年3月期~2028年3月期)

鴻池忠彦氏:代表取締役会長兼社長執行役員の鴻池です。本日は、2026年3月期からスタートする3ヶ年の「中期経営計画2027」についてご説明します。

まず、前中期経営計画の振り返り、次に中期経営計画2027の内容について、最後に2030年ビジョンの目標数値の見直しについてご説明します。

前中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)の振り返り

前中計では「人と技術のシナジーで時代とともに変化する『期待を超える価値』を創造しよう」という方針のもと、ご覧の4つの重点事項を中心に具体化を進めてきました。

項目ごとの振り返りはここにお示ししたとおりです。コロナ禍以降、継続的に進めてきた「収益力の向上」については、最終年度には当初の利益目標160億円を大きく上回り、利益率についても過去最高となりました。

一方で、当社が創業以来重視している「安全・安心の追求」については、労災度数率の改善が見られず未達成となりました。従業員が安全で安心して働ける職場環境の実現に向けて、より一層、安全確保に取り組んでいきます。

前中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)の振り返り

資料のとおり、財務目標・非財務目標ともに大幅に達成し、過去最高益を3年連続で更新しました。

前中期経営計画の振り返り:ROICの改善

次に資本効率(ROIC)の推移では、安定した基盤事業の業績をベースに、改善事業では収益性の改善を進めると同時に、注力事業では利益を伴う成長を実現し、全社では「増収」と「資本効率の改善」を両立することができました。

今後は、このような大きな事業の括りだけではなく、個々の拠点の成長可能性や収益改善可能性にも着目し、グループ全体の成長と収益改善の取り組みを強化していきます。

中長期的な事業環境認識

次に、中期経営計画2027について、ご説明します。

計画策定時の環境認識として、地政学リスクとそれに起因する影響の増大、地球温暖化など環境問題、AI Agentなど技術革新のさらなる進展、金利の上昇など、環境要因の変化が激しく、先行きが不透明な時代であると認識しています。

さらに、人手不足が加速する中、新技術や技術革新による生産性向上が急務であると認識しています。

「中期経営計画2027」

中計の全体像です。成長投資と人・技術・ICTへの基盤投資で、従業員の幸せと企業価値の最大化の実現を目指して進めていきます。

基本的な取り組み骨子はご覧のとおりですが、大きなくくりである「Ⅰ.事業戦略」「Ⅱ.財務・資本政策」「Ⅲ.経営基盤強化」を順にご説明します。

I.① 海外事業拡大 注力地域(インド、北中米)の成長加速

まず、海外事業の拡大については、昨年M&Aを実施したインドと北中米において、事業基盤構築と拡大を進めていきます。インドの鉄鋼スラグ処理会社FSNLの新規顧客開拓を図るとともに、エンジニアリング領域で事業開発を進めていきます。

また、「物流事業の拡大」では、鉄道事業の収益安定化、南部インドにおける都市ガス事業関連など物流事業への参入を計画しています。

北中米においては、高収益のロサンゼルスの定温倉庫事業において段階的に増床を行い、売上高100億円の達成を目指していきます。

また、昨年買収したPVP社が提供する梱包事業と、物流、エンジニアリング事業を一体化させ、複合ソリューションモデルとして確立し拡大していきます。米国の関税引き上げによる影響には、臨機応変に対応していきます。

これらの注力地域で、当社の海外事業の成長を牽引していきます。

I.① 海外事業拡大 注力地域(インド、北中米)の成長加速

インド・北中米での成⾧イメージについては、それぞれ記載のとおりです。

I.② 国内事業の成長加速 サービス分野(メディカル・空港)の強化

次に、国内事業の成長加速について、2つの取り組みをご紹介します。

1つ目は、サービス分野(メディカル・空港)の強化です。メディカル分野では、医療機関、小中学校検診向けに滅菌事業の拡大、医療機器メーカー(人工関節や眼科レーザーなど)向けに、洗浄・メンテナンス事業の強化を進めていきます。

空港分野では、進出済の国内7空港における受託業務の拡大に加え、インバウンド需要の増加している地方空港への新規進出にも取り組んでいきます。

I.② 国内事業の成長加速 複合ソリューション含む物流3領域の戦略 (一般・定温・戦略アカウント物流)

国内事業の成長加速の2つ目は、国内物流についての取り組みです。

国内物流事業を、「①定温物流」「②一般物流」「③戦略アカウント物流」の3領域に分け、経営資源の最適化と連携強化を通じ、付加価値の高い物流ソリューションの提供を目指していきます。

I.③ 事業構造の改革 既存事業分野での保全/メンテ領域の拡大

当社はこれまで、鉄鋼、食品、飲料、生活、空港、メディカル、国際と幅広い事業領域で、請負事業と物流事業を展開してきました。今後、これらの領域において人手不足問題から、自動化・省力化・機械化が急速に進むと予想されます。

今後、これらの設備やシステムを保全・メンテナンスするというニーズが生まれてくることが見込まれ、当社では、それらのニーズに応えることができるよう、人材を養成し、保全やメンテナンスの業務を強化していきたいと考えています。

このような動きは、製造業だけでなく、空港や病院、物流などのサービス分野においても同様に見込まれ、これらの分野でも取り組みを強化していきます。

I.③ 事業構造の改革 KOMBO活動による生産性向上と事業モデル変革

事業構造改革の2つ目は「KOMBO活動」です。これは当社の造語であり、現場のノウハウと新技術の組み合わせ、顧客へ付加価値の高い提案をしていくことを目指しています。

これまで当社の現場では、顧客に対し生産性向上や効率化の改善提案をアナログ的な手法で行ってきました。ドローンの活用、コノマップ、KBX(フォワーディングDX)など、現場のノウハウと新たな技術の組み合わせによって、顧客から高い評価をいただいています。今後は、これらのサービスを全社展開していくために、担当本部を定め事業戦略を明確にして取り組みを強化していくことにしました。

「コノマップ」の事例で次にご説明します。

I.③ 事業構造の改革 KOMBO活動による生産性向上と事業モデル変革

「コノマップ」とは、鉄鋼事業の現場のニーズから生まれたシステムです。

当社では、製鉄所内でさまざまな業務を受注していますが、作業員が一人で設備点検を行う業務が数多くあります。これらの点検作業は、1ヶ所に留まるのではなく、移動しながらの作業となり行動範囲は非常に広範囲になります。しかも、複数の作業員が、複数の点検業務を行っているため、管理者が作業の進捗を鳥瞰的に把握する必要がありました。

そこで開発したのが、携帯電話のカメラ機能とGPS機能を組み合わせたスマホ用のアプリ「コノマップ」です。現場の写真と位置情報を、リアルタイムに関係者全員が共有することで、安全性の向上、的確な作業指示、効率性の改善などが可能になりました。

より多くの情報が正確に、しかもリアルタイムで現場のさまざまな動態管理ができるようになった結果、利用者数は顧客の従業員を含め急速に増加しています。今後は、既存システムとの連携機能を充実させ、さらに付加価値の高い事業へと進化させていく計画です。

I.③ 事業構造の改革 事業継続性評価による収益構造の変革

事業構造改革の3つ目は、「事業継続性評価」制度です。

これまでも収益改善の取り組みは行ってきましたが、収益改善事業などの一部の拠点を主な対象としており、それ以外は低収益のままになっている拠点もありました。

そこで、今回の中計より、グループすべての拠点から一律の基準で低収益拠点を選定する仕組みに変え、継続・債権・撤退の判断を行う審議会を設け、全社の収益水準の底上げを図ります。

この効果は、新中計3年間の合計で、約9億円の連結営業利益の改善を見込んでいます。

II 財務・資本政策

続いて、財務・資本政策についてご説明します。当社は「資本コストを上回る資本効率の持続的創出」をテーマに、企業価値の向上を目指し取り組みを進めています。

現在、ROEは2020年3月期の4.7パーセントから2025年3月期には10パーセントまで上昇しました。しかしながら、当社が認識する株主資本コストである8パーセントから9パーセントを安定的に、かつ、十分には上回っていないと認識しており、引き続き資本効率の改善を進めていきます。

すでにご説明した事業戦略を含め、企業価値向上に向けてご覧の4つの取り組みを強化し、ROE10パーセント以上の安定的な創出を目指していきます。

II 財務・資本政策 キャッシュアロケーション

2026年3月期から2028年3月期にかけてのキャッシュアロケーションの考え方についてご説明します。

「従業員の幸せと企業価値の最大化を実現する」方針のもと、従業員の処遇改善等の人的投資を3年間で200億円以上実施したうえで、営業キャッシュフロー約730億円を主な財源とし、これに加えて手元資金および有利子負債約180億円の活用を含めて、計画的な投資を推進していきます。

具体的には、成⾧投資として480億円、そのうちM&A枠として200億円を確保しています。この資金枠は、当社事業の成⾧をけん引していく、空港・メディカル・エンジニアリング事業、地域としてはインド・北中米に重点的に配分していきます。また、維持強化投資には240億円を計画しており、既存事業の競争力維持・強化を図ります。

加えて、今後革新的にレベル向上が期待できるDXやAI等の先進技術導入による生産性向上、技術・ICT投資などにも積極的に取り組むことで、中⾧期的な競争力と各組織機能の持続的向上を支えていきます。

II 財務・資本政策 財務・資本政策のありかた

財務・資本政策としては、「財務安定性・成長投資余力の確保」と「資本コストを上回る資本効率」の両立を目指した最適な財務バランスの実現に向け、ご覧の4つの指標で取り組んでいきます。

II 財務・資本政策 株主還元の充実

株主還元については、成長投資とのバランスを取りながら、継続的かつ安定的な配当の実現を基本とし、現行の配当性向30パーセント以上から40パーセント以上へと引き上げを実施します。

加えて株式の流動性向上を優先しつつ、事業環境や財務状況に応じて自己株式取得も柔軟に検討していきます。

III.① 人材戦略の強化

中期経営計画2027の主要取り組みの最後に、経営基盤の強化として本年4月に新設した3つの委員会についてご紹介します。

まず、「人材戦略委員会」です。人に関する課題認識は事業環境においてもお話ししたとおり、全社的な重要課題です。したがって、単に人事部門だけでなく、事業部門・営業部門等とともに全社的見地で、かつ、実効性をもって課題解決を図っていきます。

主な取り組みはご覧のとおりです。

III.② 技術・ICT戦略の強化

次に、基本方針にもあります「技術戦略委員会」です。

前中計においては、サステナビリティ委員会傘下の技術資本ワーキンググループにて、全社の現場にある事業ノウハウなどの無形資産を技術ライブラリに吸い上げ、全社での利活用に向けて基礎を構築するとともに、技術部門がそれぞれに現場の改善、新技術の導入を進めてきました。

これらの実績をもとに、新設した技術戦略委員会では技術革新本部、ICT推進本部が中心となって全社的な技術・システムロードマップに基づいて統合的に展開を進めていきます。

III.③ 内部統制の強化

最後が「内部統制委員会」です。

今後、国内外の事業の推進・拡充が進んでいく中では、さまざまな内部統制上のリスクが想定されます。こうした課題に迅速かつ的確に対応していくために、私自身を委員長とする内部統制委員会を発足し、内部統制活動の強化、実効性の向上を図っていきます。

中期経営計画2027 経営指標

中期経営計画2027の主要KPIはご覧のとおりです。

2030年ビジョンの見直し

最後に、2030年ビジョンの目標です。

従来、財務目標を営業利益250億円としていましたが、中期経営計画2027でこれを上回る目標を掲げましたので、2030年はさらなる高みを目指すべく、営業利益300億円に挑戦していきます。

また、単なる利益増を目指すだけではなく、より付加価値の高い事業を構築していきますので、営業利益率、また重要な事業戦略とした海外事業も目標に加えました。非財務目標については、従来から変更ありません。

私からの中期経営計画2027のご説明は以上です。

Q&A

<質問1>

質問:関空や成田では今後発着枠の拡大の計画があると思いますが、それらに応じて空港事業は既存の延長でも成長が可能なのでしょうか。また、一部の地方空港では異なる航空会社での共有化が開始される中で、地方空港における展開可能性について教えてほしいです。

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