① 2025年3⽉期 業績ハイライト
新田裕二氏:SANEI株式会社2025年3月期決算説明資料をご覧いただき、誠にありがとうございます。常務取締役執行役員コーポレート本部長の新田です。
当社の決算内容ならびに当社について、よりご理解を深めていただきたく書き起こしとしてまとめました。
2025年3月期は、売上が前年より3.4パーセント増収、創業以来最高となりました。要因として高機能シャワーなど、高付加価値製品が好調でした。
一方で、為替の変動などにより原材料費が上昇しました。また、周年行事など一時的な支出が増加し、営業利益は前年より4.6パーセント減益となりました。
期初の業績予想に対しては新設住宅着工戸数の減少等の影響を受け、計画未達となりました。
② 損益の概要
続いて、損益の概要です。売上高は販売価格改定の浸透とデザイン水栓シリーズ、ウルトラファインバブル製品や高機能シャワー製品など高付加価値製品の販売拡大により、前年より3.4パーセント増収となりました。
利益面の増減明細については、「⑤ 営業利益の増減要因」で後述します。
③ 四半期業績の推移
売上は、例年の傾向と同じく後半にかけて増加し、年間を通して堅調に推移しました。
営業利益は、第2四半期に周年行事など一時的な支出が増加して、通期では価格改定などが浸透したものの、減益となりました。
④ 販売ルートの概況
販売ルート別の売上構成は、前期から大きな変動はありませんでした。前年からの売上高増減は、資料中の矢印では横ばいになっているルートもありますが、全体としては増加しています。
管工機材ルートでは、販売価格改定による売上増加に加えて、コロナ禍の収束に伴い展示会での拡販活動が増加しました。また、デザイン水栓シリーズの売上も堅調に推移しています。
リテールルートでは、EC市場、ホームセンター市場の売上が増加しました。ウルトラファインバブルをはじめとした高機能シャワー製品の売れ行きが好調でした。
メーカールートでは、住設メーカー向け標準採用品を中心として好調な売上でした。新規の標準採用も増加しました。
⑤ 営業利益の増減要因
営業利益の増減要因として、価格改定の効果は年間を通してプラス要因となりました。
材料・仕入価格の高騰は、前期から高止まりの状態が継続しており、利益を押し下げる要因となりました。また、創業70周年関連費用などの支出により利益が減少しました。
⑥ 連結BS(資産・負債・純資産)
続いて、連結BSです。総資産は前期末(2024年3月)より1億4,800万円増加し、243億6,600万円となりました。
資産では棚卸資産が8億8,800万円減少となりましたが、生産調整を行ったことによる棚卸資産の減少が主な要因となります。岐阜工場の増改築などにより、固定資産は増加しました。
⑦ 連結キャッシュフロー
連結ベースでの現金及び現金同等物の期末残高は、期首から4,400万円減少して14億5,300万円になりました。
当期の営業CFが大幅に増加しているのは、棚卸資産が大幅に減少したことや、前期中に支払手形・電子記録債務の支払サイト短縮を実施したものの、当期はそのような特別な要因がなかったためです。
投資CFにおいては、岐阜工場の建て替えなどにより有形固定資産の支出が12億3,600万円となりました。
財務CFにおいては、配当金の支払額が2億7,200万円となり、配当金額は順調に増加しています。
営業活動によって稼ぎ出したキャッシュを工場の建て替えなどの設備投資支出に充てて、次の稼ぎを生み出すサイクルが順調に回っています。
⑧ 2026年3⽉期 連結業績予想
2026年3月期の連結業績予想は、売上高が300億円、営業利益と経常利益が22億円、親会社株主に帰属する当期純利益が14億5,000万円となり、いずれも創業以来最高となる見込みです。
⑨ 株主還元(配当実績・計画)
当社は、2025年3月期まで9年連続で増配を継続し、2026年3月期も10年連続の増配を予定しています。
今後もその方向性を継続していくことを明確にするために累進配当の導入を決定し、2024年6月25日に公表しました。
また、2024年10月1日付で1株につき2株の株式分割を実施しました。表中の配当実績は、株式分割後を基準に換算したものになります。
⑩ 当社の売上⾼推移
当社の成長性をご説明するため16年間の売上高推移をグラフにしています。当社は、新設住宅着工戸数が減少傾向にある状況下においても、順調に売上高を伸ばし続けています。
今後も少子高齢化などの状況から新築住宅着工戸数は伸び悩むものと想定されますが、新たな水まわり空間の研究と開発、インスタレーション提案に取り組み、事業領域の拡大を進めることで継続的な成長を達成します。
⑪ 企業価値向上への取り組み
当社の今後の企業価値向上への取り組みと2026年3月期の業績予想、コンセプトについてご説明します。
企業価値向上については「売上高・収益性の向上(事業領域の拡大)」と「継続的な株主価値の向上」を2本の柱にしています。「継続的な株主価値の向上」については「⑨ 株主還元(配当実績・計画)」にて前述しましたので、ここでは、「売上高・収益性の向上(事業領域の拡大)」を中心にご説明します。
事業領域の拡大では主に3つの方針があります。1つ目は「『水をつなぐ』SANEIブランドの更なる向上」です。水の音、流れる姿、手に伝わる感覚に至るまで、どこまでも美しい体験を追い求め、意匠、仕上げ精度、使用感、すべてにおいて最上級に相応しいものづくりへの挑戦を続けています。
2つ目は「水まわりにおける住空間をインスタレーション提案できる事業展開」です。当社は2018年に株式会社三栄水栓製作所から現在のSANEI株式会社へと社名変更を行いました。
これは、生活空間における水栓という「点」から、水の通り道すべての「線」、そして水まわり空間全体の「面」への事業展開の広がりを意味しています。
キッチン、バス、洗面と定型化されている従来の住まいに、新たなカルチャーを持ち込む試みでもあります。
このような取り組みの一環として、ショールーム&ショップ「WAILEA」を東京の表参道と大阪の御堂筋に展開しています。
3つ目は「宿泊施設・飲食店・介護医療・公共施設など非住宅市場におけるシェア拡大」です。当社はこれまで住宅市場を中心に事業を拡大してきました。今後、国内人口の減少に伴い、住宅着工戸数も減少することが予測されています。非住宅市場向けの商材を拡充することにより、事業領域の拡大を進めていきます。
これらの取り組みの結果、PBRは3月末時点で0.64倍となりました。引き続き、PBR1.0倍超を目指して企業価値向上への取り組みを続けていきます。
⑫ 企業価値の現状分析(各指標の推移)
こちらでは、企業価値に関連する各指標の推移を5年間にわたって掲載しています。表中の株価及び1株当たりの数値はすべて分割後を基準に換算しています。
⑬ PBR改善に向けた取り組み
株式の流動性を高めながら、PBR1倍以上の株価水準を目指します。具体的には、事業領域の拡大や収益性の向上を通じて、ROEの改善に取り組んでいきます。
⑭ TOPICS
トピックスの1つ目は、「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」の会場整備にブロンズパートナーとして協賛参加し、会場内の手洗い施設に、センサー付き自動水栓やデザイン水栓を提供しています。
大阪で生まれ育った企業として地元の一大イベントに貢献するとともに、企業認知度の上昇と、非住宅市場におけるシェア拡大に向けて提案していきます。
2つ目は、コップなどを簡単に洗い流すことができる予洗い水栓「プレパシュ+」が、昨年に続き本年もカラーバリエーションを増やして「建築・建材展」に出展しました。
I 企業情報
ここからは、当社の企業情報などの補足資料です。
当社の企業概要です。1954年に創業し、昨年2024年に創業70周年を迎えました。またグループ会社として、水道設備工事・メンテナンス業務を行う株式会社アクアエンジニアリング、中国にて水栓部品製造を行う大連三栄水栓有限公司、岐阜県にて水栓部品製造販売を行う株式会社水生活製作所があります。
II 企業理念
当社は1954年の創業以来、「人類ある限り水は必要である」を理念とし、地球に生きる一員としての自覚を持ち、企業活動に取り組んできました。独自の技術と柔軟な感性で、数々の画期的な商品を提供することはもちろん、水まわりから快適な暮らしを追求し、空間全体をコーディネートするなど、自然環境やニーズの変化を見つめながら、水と暮らしの理想の姿をご提案していきます。
III 当社のあゆみ
当社の創業以来のあゆみと事業の展開について、簡単にご説明したいと思います。1954年の創業からしばらくは、水栓金具やシャワーヘッドなどを単体で販売していました。この時代を、我々は製品単体を売っていた「点」展開の時代と考えています。
1980年頃から、家の水道メーターから蛇口まで、家の水道インフラ全体をカバーするものづくりを推進してきました。水栓金具単体でなく、配管部材も合わせて販売していくという態勢を整えてきたこの時期を、我々は「線」展開の時代と考えています。
2018年頃からは、水まわりに対して機能性・安全性だけでなく、リラックスしたい・ゆとりを感じたいといったことに応えることを目指しています。そのために、水栓金具を使う空間全体をトータル的にカバーする「面」の展開を提案しています。
IV 取扱製品
当社の取扱製品についてご説明します。当社が近年力を入れている水回りの「面」展開に対応した製品として、デザイン水栓シリーズがあります。
従来から販売している「線」展開としては、継手や配管部材があります。また、創業当初より取り扱っている「点」展開の製品として給水栓や給排水金具がありますが、これらも非接触で給水できるセンサー式水栓や、ウルトラファインバブルのシャワーヘッドなど、より高機能な製品も取り扱っています。
Ⅴ SANEI DESIGN COLLECTION
本ページのデザイン水栓シリーズをご紹介します。国内外で活躍するデザイナーのみなさまとのコラボレーションから生まれた製品と、人と水のよりよい関係を現代空間の中で追求するインハウスの「WAILEA」によるデザイン製品など、さまざまなシーンに合わせられる製品を開発しています。
当社ホームページにも、「sAnei PRODUCT」ページがありますので、ぜひご覧ください。
Ⅵ Think Life. Make Act. 行動しよう。未来のために
当社は、1954年の創業以来、「人類ある限り水は必要である」を理念とし、地球に生きる一員としての自覚を持ち、企業活動に取り組んできました。
当社のSDGsへの取り組みはこちらにまとめていますので、ご覧いただければ幸いです。