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若山健彦氏(以下、若山):ミナトホールディングス株式会社代表取締役会長兼CEOの若山健彦です。本日はお忙しい中、決算説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。2025年3月期通期決算について、説明資料に基づいてご説明します。その後、Q&Aと質疑応答を進めていきます。

グループ各社が担うセグメント領域 (2025年5月1日現在)

グループ各社のセグメント領域についてご説明します。デジタルデバイスのセグメントは、サンマックス・テクノロジーズおよび香港の現地法人が担っています。デジタルエンジニアリングのセグメントは、ミナト・アドバンスト・テクノロジーズ、エクスプローラおよび上海の現地法人が担っています。

ICTプロダクツのセグメントとしてプリンストン、その他のセグメントとして日本ジョイントソリューションズ、リバース、ミナト・フィナンシャル・パートナーズ、5月1日からグループに入ったブレーンとダイキサウンドが含まれています。

2025年3月期 通期決算ハイライト

2025年3月期通期決算ハイライトです。売上高が245億4,000万円で、2月10日に上方修正した230億円の売上予想に対し、107パーセントの進捗でした。

我々がメインの指標に置いている営業利益については、当初から発表している7億3,500万円の予想数値に対し、104パーセントの進捗となる7億6,700万円と、ともに業績予想を上回って着地することができました。

4月から始まった2026年3月期については、若干の減収にはなるもののほぼ横ばいで、売上高が240億円、営業利益が8億5,000万円、経常利益が7億5,000万円、当期純利益が4億8,000万円です。

利益指標はそれなりに大きく成長しています。配当については、前期は普通配当等を入れて14円としていましたが、来年度は15円と予想しています。

2025年3月期 通期連結業績

2025年3月期通期連結業績です。売上高245億4,000万円、営業利益7億6,700万円に加え、為替ヘッジや差損等により、経常利益は予想より少しマイナスの5億8,200万円、当期純利益は3億7,300万円で、当初の予想どおり増収減益となりました。

前期は事業会社の売却等があり、株式売却益が多く出たために当期純利益が大きくなりました。加えて、ROM書込みサービスが大幅な利益を出し、営業利益・経常利益も高かったことから、今回減益となりました。後ほど詳しくご説明しますが、デジタルデバイスのセグメントが連結業績を牽引しました。

2025年3月期 通期 連結売上高

デジタルデバイスのセグメントについては、昨年度の売上高は安定して推移しています。昨年度の第2四半期、第3四半期、第4四半期の3四半期にわたっては、大型スポット案件と呼ばれるメモリを受注したことで大きく伸長し、売上高60億円以上を達成しました。

2025年3月期 通期 連結営業利益

利益面でも、第2四半期、第3四半期では十分に営業利益を出すことができました。第4四半期も、不透明な環境ではあったものの1億円弱の営業利益を出し、累計営業利益は7億6,700万円となりました。

前期比で大きく減益した要因としては、ROM書込みサービスの数量減少や、当社とミナト・アドバンスト・テクノロジーズ本社社屋の設備投資、また建物への投資の減価償却費が増えたことなどが挙げられます。

2025年3月期業績予想に対する達成状況

売上高、営業利益ともに通期連結業績予想を上回って着地しました。売上高230億円は当初よりも大きく上方修正していましたが、それをさらに上回る106.7パーセントの245億4,000万円、営業利益は104.4パーセントの7億6,700万円となりました。経常利益、当期利益については予想を若干下回る数字となりました。

連結営業利益の増減分析

営業利益については、スライドに記載しているような増収効果があった一方、収益性の低下もありました。特に、ROM書込み数量の減少が大きく影響しました。

ただし、スライド右側のグラフにあるように、営業利益に減価償却費を足したキャッシュを生み出す力で言うと、前々期の約16億円に対し前期が14億3,500万円で、それほど大きく下がったわけではないことがご理解いただけるかと思います。

2025年3月期 通期連結貸借対照表

連結貸借対照表です。総資産は約175億円で、前々期より少し増加しました。利益もしっかり上がり、純資産は59億1,000万円となっています。株価は現在72億円から73億円の地価総額で、PERは純資産の1.3倍となっています。

また、在庫や売掛金の増加に伴い借り入れが多少増えており、長期と短期合わせて84億円という状況です。

セグメント別 2025年3月期 通期業績

セグメントごとの通期業績です。240数億円の売上の中で、約140億円がデジタルデバイス、約28億円がデジタルエンジニアリング、約75億円がICTプロダクツとなっています。デジタルデバイスのセグメントは、スポット案件等の獲得などから前年度比で大幅な増収増益となり、営業利益に至っては倍以上の結果を出すことができました。

一方で、ミナト・アドバンスト・テクノロジーズがROM書込み等を担うデジタルエンジニアリングのセグメントは減収減益となりました。特に利益がマイナス7,400万円と、減価償却費の負担もあり、残念ながら営業利益を十分に上げることができませんでした。ただしこれは一時的なものであり、今後大きく回復していくと予想しています。

ICTプロダクツのセグメントは、プリンストンが手がけるPCやモバイルの周辺機器、Web会議システム等の販売により、利益率を確保することができました。円安の一服もあり増収増益となり、1億9,100万円の営業利益を上げることができました。その他セグメントでも、しっかりと営業利益を上げることができました。

2025年3月期 通期 セグメント別ハイライト

今お伝えした内容をこちらのスライドにも記載しています。その他セグメントについては、前年度に全株式を譲渡したシステム開発会社のクレイトソリューションズを連結範囲から除外したことにより、大幅に数字が下がっています。

セグメント別 【デジタルデバイス】

デジタルデバイスについては、第2四半期、第3四半期、そして第4四半期でスポット案件と呼ばれるメモリの販売案件があったことにより、前年度、前々年度よりもさらに大きく売上を伸ばすことができました。

セグメント別 【デジタルデバイス】

利益についても、第2四半期、第3四半期、第4四半期で確実かつ高水準となる営業利益を出すことができました。通期で約15億円の営業利益となり、営業利益率も前期の8.8パーセントから10.6パーセントにアップしました。

セグメント別 【デジタルエンジニアリング】

デジタルエンジニアリングについては、ミナト・アドバンスト・テクノロジーズ、エクスプローラ等の事業会社の内容です。売上としては安定しているものの、非常に好調だった前年度に比べると少し下がりました。サイネージのビジネスも若干伸びましたが、トータルではやはり書込みサービス事業での減少が大きく影響したと思います。

セグメント別 【デジタルエンジニアリング】

利益面においては、前年度が良かったことに加え、本社社屋や設備投資に当てたことで減価償却費が大きく増えた面もあり、通期および四半期ごとでも営業利益を大きく出すことはできませんでした。

セグメント別 【デジタルエンジニアリング】

トピックスとして、2025年1月には、サイネージを組み込んだスイングドアの初展示を行いました。さまざまな取り組みを積極的に進めている様子をご理解いただけるかと思います。

セグメント別 【デジタルエンジニアリング】

函館に本社を構え、横浜にも営業所を持つエクスプローラが、関西エリアでも開発等の受注ができてきているとして、2025年4月1日付で我々グループの既存の大阪オフィスに大阪営業所を開設しました。

セグメント別 【ICTプロダクツ】

ICTプロダクツのセグメントはプリンストンが担っています。デジタル関連機器事業において大型案件の受注や新規プロダクトの取り扱いがあったことから、前期比で売上高が増加しました。

セグメント別 【ICTプロダクツ】

テレワークソリューション事業においては据置型会議システムの需要が軟調でしたが、モニターやメモリなどのデジタル関連機器事業で十分に利益を上げることができました。前年度、前々年度は非常に厳しい状況にありましたが、円安の一服もありそこを克服して、しっかりと利益を上げられるセグメントになってきています。

セグメント別 【その他】

その他のセグメントとして、システム会社を連結から除外したことにより大きく減収となっていますが、既存のメンバーでしっかりと利益を上げることができました。

セグメント別 【その他】

投資事業を行っているミナト・フィナンシャル・パートナーズでは、さまざまなベンチャー投資や、IPOに向けた投資、海外のベンチャーキャピタルへの投資なども行っています。

ソーラーパネルやディスプレイを搭載したScootVisionというEVスクーターにも我々が出資しました。このような会社と事業を提携しながら、新しい時代のビジネスにもしっかりと対応しつつ、チャレンジしていることをご理解いただければと思います。

ROM書込みサービス事業の業績見通し

今年4月からスタートしている2026年3月期の、ROM書込みサービス事業の業績見通しです。減価償却費は、昨年度は5億8,800万円と大きく伸びましたが、今年度はそこより約2億円減少し、来年度はさらに1億5,000万円ほど減るのではないかと予想しています。

ただし、そのようなコストのマイナスがあるということで、再び売上、利益ともに成長軌道に乗るのではないかと予測をしています。

ブレーン、ダイキサウンドをグループ会社化

我々はM&Aというかたちで新しい事業や企業に投資してグループ会社化する中で、昨年度後半よりメディア・トラストグループと討議を重ねています。

そのうち、神楽坂に映像編集スタジオを持ち、原宿でライブハウス等の事業を行っているブレーンと、以前上場していたこともあるダイキサウンドの2社が、2025年5月1日付で我々の連結子会社となりました。

5月から我々のグループの事業会社として、売上利益ともに連結していきます。経理的な連結は第2四半期からになるのではないかと思いますが、新たな事業を取り込むという面では大変意味のあるものかと思います。

ブレーン、ダイキサウンドをグループ会社化

2024年11月期、12月期の売上高は、ブレーンは約4億3,000万、ダイキサウンドは約15億円の合わせて約20億円です。

2026年3月期 連結業績予想

昨今のアメリカの関税措置などにより、先行きは非常に不透明です。したがって、大きく出して下げていくのではなく、過去にも好んで行ってきた慎重に出して上げていくスタイルで考えた場合、現状の予想としては、売上高は昨年度より若干減収にはなるもののほぼ横ばいの240億円、営業利益は10パーセント以上伸びて8億5,000万円と予想しています。

経常利益は7億5,000万円と30パーセント近く伸び、当期純利益についても4億8,000万円と30パーセント近い伸び率を達成する意欲的な数字を予想しました。また、年間配当金は7パーセントアップの15円を目指すと発表しました。

ミナトグループのビジョン

弊社は「デジタルコンソーシアム構想(DC構想)」の実現を目指しています。成長戦略としてここ数年掲げているため、なじみに思っていただいている方もいるかと思います。

デジタルコンソーシアム構想とは

デジタルコンソーシアム構想について説明します。弊社では、デジタル分野に特化した技術やビジネスを持っている会社との提携、M&Aを行っています。コンソーシアム(共同体)の強化によりシナジーを創出し、売上が上がってコストがマイナスになることで利益が高まっていく効果を出していきます。

また、新しい市場にチャレンジしてサステナブルな未来を創造していくことで、社会貢献を目指しています。

デジタルコンソーシアム構想イメージ図

デジタルコンソーシアム構想のイメージ図です。現在のセグメントであるデジタルデバイスやデジタルエンジニアリング、ICTプロダクツという領域に加え、デジタル分野に強みを持ちつつも、今までの分野とは少し毛色が異なるデジタルコンテンツやデジタルプロモーション、編集技術などを持っているブレーンとダイキサウンドとともに、デジタルを共通項にして仲間を増やしていこうと考えています。

これまでのDC構想実現に向けた取り組み

50パーセント以上の連結事業会社になれば、売上利益に貢献していくことになります。私は今期で14年目になりますが、代表になった当初は、売上高が63億円で利益が大きくマイナスというところから、いろいろな企業と手を組んでグループに入ってもらったり、仲間を増やしたりしてきました。

結果として昨年度の売上高は240億円強となり、2022年3月期の過去最高の売上に迫る勢いとなってきました。利益面ではその前の2024年3月には及ばないものの、安定して利益を出せる企業グループになってきています。

DC構想実現に向けM&Aページを新規開設

デジタルコンソーシアムの1つの柱であるM&Aについては、ミナトグループのM&Aとして特集ページを自社Webサイトに新規開設しました。どのような企業と手を組んできたのか、その結果どのようなかたちで売上利益に貢献してきたのかアピールし、我々のM&Aが一つひとつの企業にとってどのようにプラスとなるか丁寧に説明しています。

「中期経営計画2027」の達成を目指し、各種取り組みを推進

一方で、2年半近く前に発表した中期経営計画については、2025年度と2026年度という残り2年での取り組みを推進しているところです。

「中期経営計画2027」の概要①

中期経営計画の柱は3つあります。1つ目は、今ある事業をしっかりと伸ばしていこうという既存事業領域の拡大です。

2つ目は新規事業領域への投資で、これは、M&Aやベンチャー投資を通じて、我々の投資によって新たな事業を勉強する、あるいは連結という形で拡大をすることで、新規事業領域を取り込んでいきます。

3つ目はグローバル展開です。すでに台湾の支店や台湾の企業にも投資をしていますが、アジアの地域で我々のビジネスを伸ばしていきたいと思っています。また、米国のベンチャーキャピタルや米国への足がかりを求めるグローバル展開も1つの柱にしています。

「中期経営計画2027」の概要②

「中期経営計画2027」は、数字だけが目標ではありません。今お伝えしたようなデジタルコンソーシアムの拡大がありますが、売上高480億円、営業利益25億円を目処に、すでにROE15パーセント以上、自己資本比率30パーセント以上は達成している部分もあります。このような比率も1つの目標としています。

サステナビリティ経営について

サステナビリティ経営については、QOL向上の実現やダイバーシティの尊重を大きく掲げています。我々は公開企業として、対外的にも誇れるような施策をとって結果を出していきます。

株価の推移

次は、株主還元についてです。本日は投資家の方も多くご覧いただいているかと思いますが、1年半ほど前には1,500円というレベルをつけました。昨年度中には500円台となったり、直近では1,000円近くの高値を出したりもしましたが、本日は約900円と、株価時価総額で71億円から72億円くらいで推移しています。

5年前、10年前と比べると大きな進捗ですが、この2年間ではスライドのような推移となっています。

株主還元の考え方

株価は市場が決めるものですので、売ったり購入したりというバランスで変わっていきますが、弊社では2019年3月期から20数年ぶりに復配をしまして、2円、4円、9円、10円、14円と増配しています。

株主還元は、株式配当に加えて、自己株式の取得と株主優待という3つの柱で構成されています。現在は、この配当をしっかり出すことと、自己株式の取得を含めて総還元性向を30パーセント以上にすることを目標にしています。

昨年度は約80パーセントと大変高い還元率になっていますが、その前の年度までも20パーセントから30パーセントという安定した還元性向を維持しています。

自己株式取得の状況

70パーセントになった1つの理由に、昨年、1億9,100万円という過去最大規模の自己株式の取得を実施したことがあります。その結果、1億9,100万円の自己株式取得に我々の収益を使いました。株主優待はプリンストンの割引などで行っていますが、今後も拡充を含めて検討していきたいと思います。

積極的なIR活動を展開

本日と同様、投資家のみなさまに我々のことを理解していただくために、IR活動をしっかりと行っています。機関投資家との1on1ミーティングも年を追うごとに増え、個人投資家向けのIR説明会やIRフェアなどの展示会にも出展しています。

IRサイトやWebサイトも、ますます充実した内容にしていこうと少しずつグレードアップしているところです。

ミナトホールディングス 会社概要

スライド48ページから50ページは、我々の会社概要や経営理念ビジョンのほか、グループ会社の事業内容など、普段から資料として提示しているものです。Webサイトにも出ている内容ですので、ぜひお時間のある時に見ていただければと思います。

ミナト・アドバンスト・テクノロジーズ株式会社

一番右側の写真は、ミナト・アドバンスト・テクノロジーズの新社屋です。昨年新しいスタートを切っています。

ミナト・アドバンスト・テクノロジーズ株式会社

そのほか、ディスプレイのビジネスやプリンストンのビジネスには、スライドの52ページから53ページにあるような製品を販売しています。

日本ジョイントソリューションズ株式会社、株式会社リバース

日本ジョイントソリューションズも、Webサイトの制作分野で大変成長している企業です。

株式会社エクスプローラ

北海道を本社とするエクスプローラにも活躍が見られます。

ミナト・フィナンシャル・パートナーズ株式会社

ファイナンスビジネスを行うミナト・フィナンシャル・パートナーズは、スライドの56ページにあるようなベンチャー企業にも出資をしています。

株式会社ブレーン

今回仲間に加わったブレーンは、スタジオや編集室の運営のほか、「ラドンナ原宿」というライブハウスの運営なども行っています。

ダイキサウンド株式会社

ダイキサウンドは、アーティストやレーベルのパートナーとして、デジタルプロモーションやディストリビューションを中心に行っています。今後資金を投じることで、利益を確保していけるのではないかと非常に期待しています。

免責事項

免責事項についてはこちらをご覧ください。

質疑応答:デジタルデバイスの大型スポット案件について

司会者:「デジタルデバイスについては、大型スポット案件で収益が伸びたとのことですが、2026年3月期にも継続されるものでしょうか?」というご質問です。

若山:スポット案件という名前のとおり、毎月確実に同じお客さまから注文があるタイプのものではありません。定期的に大きな施設にメモリを入れるなど、そのような案件で入札や引き合いがあり、何社かが競合する中で我々のグループのSanMaxなどで結果を出せれば、そこで発注が起こって売上利益が大きく上がるケースがあります。

毎月あるわけではないという意味では継続性はありませんが、今年度も大型案件を受注する機会は何回かあるかと思います。そのような機会をしっかりと捉えて、入札、提案を行い結果を出していきたいと思っています。

質疑応答:ROM書込みサービス事業について

司会者:「ROM書込みサービス事業について、日本サムスン、トーメンデバイスとの共同プロジェクトの現状と、今後の見通しを教えてください」というご質問です。

若山:昨年度は予想していたとおり受注数量が減りました。日本サムスンのチップを我々が書き込み、トーメンデバイス経由で国内大手メーカーに販売するかたちのこのプロジェクトが、今後伸びていくことを期待しています。

昨年度は数量の減少で売上が下がったことに加えて、減価償却費の増加がありました。今後はプロジェクトの受注が再び増え、減価償却費のコストが下がることで、増益基調を維持できればと期待しています。

質疑応答:関税の影響について

司会者:「日本サムスン、トーメンデバイスとの共同プロジェクトであるROM書込みサービスの対象となる大手国内メーカーに、関税の影響はどの程度ありますか? また、影響があるのであれば、御社の業績予想にも織り込まれているのでしょうか?」というご質問です。

若山:大手企業の昨年度の決算発表なども相次いでいますが、各社とも、これから実際に何パーセントの関税がかかり、どの程度の影響があるのか、その関税をどのように吸収してコストに転嫁していくのかという方針も、まだ完全には決まっていないと思います。

日本政府としても、アメリカとの交渉や、いろいろな条件調整を行っていると思います。関税が増えることによる影響は多かれ少なかれあるのではないかと想定しますが、我々のお客さまが具体的にどのような売上や利益となり、それをメモリの発注にいかにつなげていくかについては不透明です。したがって、業績予想は普段よりも多少慎重に、保守的に見ています。

質疑応答:トランプ関税や為替の影響について

司会者:「トランプ関税や為替変動の影響をどのように考えていますか?」というご質問です。

若山:毎年そうなのですが、為替レート自体の予測がなかなか難しいことから、我々としては一定のパーセンテージの為替ヘッジを行っています。

トランプ関税についても、我々が最終製品を輸出しているわけではないため直接的な影響はないと思いますが、それぞれの業界における我々のお客さまにはさまざまな影響が出るかと思います。今回の通期予想では、我々の社内の予算や目標に対して若干慎重な見通しを出していますが、今後の動きを注視し、変動があれば発表していきます。

質疑応答:M&Aの考え方について

司会者:「御社の成長の大きな柱であるM&Aに対する考え方を教えてください」というご質問です。

若山:先ほど、ミナトホールディングスグループの成長戦略でお話ししたとおり、デジタルコンソーシア厶構想として、デジタル分野を企業と手を組んで開拓していきます。その中にM&Aも入っていきます。50パーセント以上の株式を保有して連結事業会社になれば、売上利益が増えていくことになります。

当社のウェブサイトにもM&Aページを開設しました。我々のグループに入ることによって、ミナトグループの信用力や上場企業としての信頼も厚くなると思います。事業成長のノウハウもありますので、各社の名前やオリジンを大事にして、無理やりミナトグループの色に染めるのではなく、各社の個性を活かしていきます。

また、ミナトグループがしっかり管理することによって、事業に集中、専念できると思います。例外はありますが、我々は基本的に株式を持ち続けてグループにとどまっていただくプランを提供しています。そのような安定性もメリットになるかと思います。

質疑応答:ブレーンとダイキサウンドの貢献度について

司会者:「2026年3月期にはブレーンとダイキサウンドを連結子会社化しましたが、両社の業績への貢献度をどの程度と見ているか教えてください。また、ミナトグループとして期待しているのはどのようなことでしょうか?」というご質問です。

若山:昨年度は通期で20億円くらいの売上があったとご説明しました。今期は第2四半期から3回の四半期の取り込みとなるため、約15億円の売上、利益についても若干のプラスに貢献すると予想しています。

今後は、売上利益をしっかり伸ばせるよう各社にノウハウを共有し、売上を上げてコストを下げることで利益を増大させ、結果を出すことに非常に期待しています。

質疑応答:今後のM&Aの予定について

司会者:「今後のM&Aの予定を教えてください」というご質問です。

若山:決まったM&Aについては、取締役会決議後すみやかに発表することにしているため、現状では決まった案件はありません。

先ほど挙がったブレーンとダイキサウンドは、さまざまな決議と発表を経て5月1日から我々の連結事業会社になりましたが、現在も取り組んでいる案件はたくさんあります。その中で、どの案件が合意に至って実行が終わり、M&Aが完了するか、我々もなかなか予測しにくいところです。決議が終わって発表できる段階になりましたら、すみやかに発表していきたいと思います。

質疑応答:中期経営計画の進捗状況について

司会者:「中期経営計画の達成に向けての進捗状況について、どのように考えていますか?」というご質問です。

若山:先ほどもお伝えしたように、「中期経営計画2027」は、残り2年を含む5年間の計画です。売上や利益についても順調に安定化しており、成長を目指した基盤ができてきていると思っています。

スライドの数字のみを見ると、最終目標の480億円に対して2022年3月期の売上高は245億円程度であり、昨年も同程度の数字ですので、達成に向けては若干距離があるかと思います。営業利益についてはかなり基盤ができてきたため、残り2年で確実に達成していきたいと思いますし、ROEや自己資本比率についてはすでに達成しているものもあります。

我々の中期経営計画は、このような数字だけではなく、グループ全体の戦略やサステナビリティ経営も含めたものです。今後もそれぞれの分野で進捗を管理していきたいと思っています。

質疑応答:現在の株価と株主還元について

司会者:「現在の株価と株主還元をどのように考えていますか?」というご質問です。

若山:現状で株価は約900円、時価総額として約71億円に付けています。純資産が59億円くらいですので、それ以上に評価されてもよいのではないかと常に思っていまが、株価は市場の投資家のみなさまが決めるものです。

会社としては、着実に売上利益を上げ、将来的にも伸びていくという期待を持っていただけるよう、IR活動や事業活動を行っていくことが重要だと思います。

株主還元についても、総還元性向30パーセント以上という1つの目標があります。利益水準が上がってくれば、配当や自己株式取得、株主優待にかけるコストは増えていき、結果的に株主のみなさまにも還元できるのではないかと思っています。

質疑応答:今期の業績予想について

司会者:「今期の業績予想については慎重に見ているのでしょうか?」というご質問です。

若山:我々は、2026年3月期のみならず、例年、公表予想を慎重に行っています。先ほども言及したように、強気に大きく出して下げていくより、保守的に出して上げていく方針で、昨年度も1回の上方修正、その前年度には2回の上方修正を行っています。

今年度は、現状でトランプ関税をはじめ世界情勢も非常に見通しが難しく、より慎重になっている部分はあります。ただし、昨年よりも増益とし、成長軌道、増益基調に乗せると謳っているように、まずはこの目標を達成できるように努力していきます。

若山会長からのメッセージ

若山:本日は我々の決算説明にご参加いただき誠にありがとうございます。みなさまからのいろいろなご質問やご意見は非常に励みになっています。時には大変厳しい、また我々が気づかなかったようなご指摘をいただくこともあり、大変感謝しています。

我々は中長期的に売上利益を伸ばすことを目標にしており、5年、10年の単位では、M&Aや事業成長を通じて売上利益を着実に上げています。その結果として株価や時価総額も徐々に上がってきていることは、投資家のみなさまをはじめお客さまや従業員のおかげと感謝しています。

過去に行ってきたことを繰り返すだけではなく、今後も新しいことに常にチャレンジしていきますので、引き続きご支援、ご指導のほどよろしくお願いします。