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中外炉工業株式会社1964

東証プライム

建設業

目次

尾崎彰氏:中外炉工業株式会社社長の尾崎です。株主さま、お客さま、協力会社さまをはじめ、ステークホルダーのみなさまには常日頃から大変お世話になっており、この場をお借りして感謝申し上げます。

本日はスライドの目次に沿って説明します。当社グループの2025年度中間期決算概要、2026年度までの5ヶ年中期経営計画、重要戦略の状況に続き、企業価値向上に向けた取り組みについてお伝えします。

1-(1)2025年度上期業績と通期予想の概要

はじめに、2025年度上期の連結業績および通期業績予想の概要について説明します。2025年度上期の連結業績は、脱炭素を含む新分野への積極的な営業活動と受注消化が順調に進み、前年度を上回る実績となりました。

利益面では、営業利益が1億6,300万円で前年同期比8,500万円の改善、経常利益は2億6,100万円となりました。保有株式の売却利益などにより、親会社株主に帰属する中間純利益は10億5,500万円を計上しました。

2025年度の通期業績予想については、投資有価証券の一部売却による特別利益の計上を見込むとともに、最近の業績動向を踏まえ、純利益を従来の28億円から37億円に上方修正しました。

1-(2)受注残高・売上高・営業利益の推移

次に、受注残高・売上高・営業利益の推移についてです。2025年度上期末の受注残高は約417億円で、前年同期比約47億円の増加となりました。

2025年度下期は、受注残案件の国内外鉄鋼向けプロセスラインや、機械部品・機能材熱処理炉などの工事が進捗し、売上高は227億円程度を確保する見通しです。また、下期営業利益は約28億円を確保し、通期業績予想を達成できる見込みです。

1-(3)2025年度 上期営業利益の変動要因

営業利益の増減要因の分析結果です。2025年度上期の売上総利益は、利益率改善の効果が大きく、2億500万円増加となりましたが、販管費は人件費の上昇などにより1億2,000万円増加しました。その結果、営業利益率は0.6ポイント改善、営業利益は8,500万円増加し、前年度に続き上期黒字を達成しました。

1-(4)資産・負債・純資産の状況

次に、バランスシートの状況を説明します。資産合計は前期末より約10億円減少の約476億円となりました。負債合計と純資産合計はそれぞれ減少し、負債合計は約193億円、純資産合計は約283億円となり、財務健全性の基準としている自己資本比率50パーセント以上を引き続き維持しています。

1-(5)セグメント情報

セグメント情報です。熱処理事業では、前期に積み増した受注残高の消化により、売上高は前年同期を上回る増収となり、営業利益も中間期での黒字を維持しています。

プラント事業では、過去に受注した大型プラント案件の売上計上が順調に進んでいることに加え、バーナ事業の好調継続により、売上高と営業利益ともに前年同期を大きく上回りました。

開発事業は、グリーンイノベーション基金事業以外での新規案件獲得に苦戦しており、ペースダウンしています。ただし、開発の歩みを止めることなく、電気炉ダストリサイクル設備などの拡販を進め、今後の挽回を見込んでいます。

子会社関連のその他セグメントは、過去に好調だった受注の消化により売上高は伸びましたが、海外子会社の採算性が低下し、営業利益はマイナスとなりました。今後は改善に向けた取り組みを進めていきます。

2.経営理念と中期経営計画:重要戦略の状況

ここからは、2022年5月13日に発表した5ヶ年の中期経営計画「経営ビジョン2026」の重要戦略の状況について説明します。

当社の経営理念は、「熱技術を核として新しい価値を創造し、これを通じて社会に貢献するとともに企業の繁栄と社員の幸福を実現する。」です。この「新しい価値の創造」に着目し、当社を取り巻く環境の変化や、それぞれの課題に対応する3つの重要戦略に基づき計画を推進しています。

重要戦略の1つ目は「カーボンニュートラルを中心に新市場の創出」、2つ目は「既存商品のニーズ適合ブラッシュアップで拡販と利益向上」、3つ目は「働きがいのある職場作り」です。これら3つの重要戦略について、現在の状況を説明します。

2-(1)カーボンニュートラルを中心に新市場の創出

まずは、「カーボンニュートラルを中心に新市場の創出」についてです。当社の脱炭素目標について説明します。当社は、サプライチェーン全体の排出量の中で特に製品使用時の排出量が大きいことを踏まえ、2050年に向けた独自の脱炭素目標を設定しました。

スライドのグラフの縦軸は、当社の稼働中の製品が排出するCO2量を示しています。パリ協定の基準年である2013年の排出量は約1,200万トンで、日本全体の排出量の約1パーセントに相当します。当社は、2050年までに実質ゼロを目標として設定しています。

実際に排出を完全にゼロにすることは難しいため、既存商品以外でのCO2削減も含め、2050年にはカーボンニュートラルを達成する方針です。グリーンイノベーション事業の研究成果を活用し、電熱、水素、アンモニア関係の脱炭素型工業炉や水素系ガス加熱装置などの社会実装を進め、目標を達成していきます。

また、2025年9月末時点での国内製造工業の能力指数や稼働率指数を考慮した2013年度からの累計削減量は、270万トンとなりました。削減割合は23パーセントとなり、2026年度目標の20パーセントを早期に達成しました。

2-(1)カーボンニュートラルを中心に新市場の創出

さらに、このテーマの具体的な事例について説明します。1つ目は、東京製鐵より受注した電気炉ダストリサイクル設備についてです。この設備は、回収した粗酸化亜鉛を外部に販売できるという大きなメリットを持つため、今後、電炉メーカ各社へ積極的に提案していきます。

2つ目は、戦略的技術提携先であるマイクロ波化学へ納入した設備についてです。リチウム製錬におけるCO2排出の主要因となっている熱処理プロセスを電化し、低炭素化を実現するこの装置は、リチウムイオン電池の需要が高まる中で、今後ますますニーズが増加すると考えています。

2-(2)既存商品のニーズ適合ブラッシュアップで拡販と利益向上

次に、「既存商品のニーズ適合ブラッシュアップで拡販と利益向上」の具体的な事例について説明します。お客さまであるトヨタ自動車北海道より「技術開発賞」を受賞しました。

これは、従来製品である真空浸炭炉をお客さまのニーズに合わせて改良し、小型化と高品質処理を実現したことが評価されたものです。前期のトヨタ自動車からの技術開発最優秀賞に続く受賞となり、大変光栄に思います。

プラント事業におけるブラッシュアップの状況については、スライド下段のとおりです。工業用バーナにおいては、各製鉄会社の高炉から電炉へのシフトを商機と捉え、従来の省エネバーナを活用した提案を積極的に行っています。

さらに、大型プラントにおいても、従来設備を進化させた省エネ・高性能型を提案し、上半期に大型案件を2件受注しました。

2-(3)働きがいのある職場作り

最後に、「働きがいのある職場作り」の具体的な事例について説明します。2022年に新設した業務改革推進室が進めている設計支援システムはすでに稼働し、本年度より調達支援システムもテストを開始しました。

現在、各業務においてテストから実際の運用へのシフトが逐次進められています。さらに、生成AIの導入も完了しており、中期経営計画の指標である1人当たりの営業利益の拡大と労働時間短縮の来年度達成を目指して、さらなる効率化を図ります。

3.企業価値向上に向けた取り組みの状況

企業価値向上に向けた施策の現在の状況について説明します。公表している7項目のうち、すでに5番目の取締役会体制改革は完了しており、それ以外の6項目についても達成、または達成水準を継続する見通しで順調に推移しています。

3.企業価値向上に向けた取り組みの状況(配当金の状況)

配当金については、税引後営業利益(NOPAT)の60パーセント以上とし、併せて自己株式取得を含めた総還元性向を50パーセント以上とする目標を継続しています。

説明は以上です。今後とも一層のご理解とご支援を賜りますようお願いします。ご清聴ありがとうございました。

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