目次

澤登拓氏:株式会社フレアス代表取締役社長CEOの澤登です。ただいまより、2025年3月期決算についてご説明します。スライドの目次に沿って、2025年3月期の決算概要、2026年3月期の見通しの順にお話しします。

各セグメントの事業環境(修正予想比)

2025年3月期の決算概要をセグメントごとにお伝えします。マッサージ直営事業は売上高が39億6,500万円、営業利益は12億2,700万円となりました。マッサージフランチャイズ事業は売上高が10億2,500万円、営業利益が2億7,200万円となりました。

新規事業である施設系介護のメディカルケア事業は、売上高が22億3,500万円、営業利益がマイナス6億2,000万円となりました。その他の訪問看護を含む事業は売上高が3億5,600万円、営業利益が2,500万円です。

全社では本部費用が10億1,000万円となりました。合計の売上高は75億8,200万円、営業利益はマイナス1億500万円という結果です。

マッサージ直営・マッサージフランチャイズ事業の事業環境

マッサージ直営・マッサージフランチャイズ事業の事業環境です。マッサージ直営事業は売上高39億6,500万円、営業利益12億2,700万円、マッサージフランチャイズ事業は売上高10億2,500万円、営業利益2億7,200万円と、どちらも順調に伸びています。

残念ながら目標を達成しなかった部分もありますが、前年度より業績を伸ばしています。マッサージ直営事業については、昨年6月の療養費改定という追い風もあり、かなり売上高が伸びました。

営業力強化の目的で相談員を増員したため、販管人件費が増加しています。料金改定によるプラスがあった一方で施術単価が上昇し、業務委託費が増加しています。

マッサージフランチャイズ事業については、こちらも療養費改定により施術単価が増加し、加盟店からのロイヤリティ収入が伸びています。

また、フランチャイズ加盟店開発において、通常加入プランより安価な加入プランでの加盟が増加したものの、通常プランの加入が減少し、フランチャイズ加盟に係る売上高が減少しています。

メディカルケア事業の事業環境(医療対応型療養施設)

メディカルケア事業の事業環境です。こちらは施設系介護事業のうちの医療対応型療養施設、いわゆるホスピス事業となります。売上高が22億3,500万円、営業利益はマイナス6億2,000万円と、大きくマイナスとなってしまいました。

その理由として、事業環境の変化、看護師の採用遅れ等による訪問看護提供回数の減少が発生し、これに伴う加算取得の不足がありました。そのため、訪問看護に係る売上高が減少しましたが、第4四半期からは回復傾向にあります。

また、一部施設において介護士の採用遅れにより訪問介護提供回数が減少し、訪問介護に係る売上が減少しました。

稼働率に関しては、既存施設である「フレアスメディカルケアホーム元橋本」において、2024年10月と12月に末期の悪性腫瘍の入居者比率が高くなり、ご逝去等が重なったため、一時的に稼働率が減少しています。

新規施設である「フレアスメディカルケアホーム四季の森公園」「フレアスメディカルケアホーム小田原」においても、2024年12月にご逝去等が重なり、一時的に稼働率が減少しています。

また、2024年5月に開設した「フレアスメディカルケアホーム板橋西台」において、開設時の入居者獲得の遅れが発生したため、稼働率が大幅に減少しましたが、8月以降は回復傾向にあります。

なお、中期経営計画にはなかった事業譲り受けにより取得した、「フレアスメディカルケアホーム新潟大学前」の開設費用が発生しています。

KPI:稼働率(%)(月間延べ利用者数/入居可能数)

KPIとして挙げている稼働率についてご説明します。中期経営計画では稼働率82パーセントを計画していますが、達成した月もあれば未達の月もあります。特に、新規開設があると大幅に数値が減る傾向です。

KPI:稼働率(%)(月間延べ利用者数/入居可能数)

稼働率について、既存店と新規店に分けてご説明します。前期以前に開設した既存店については、概ね高い稼働率を保っています。特に、昨年3月は82パーセントの目標に対し90.7パーセントと非常に高い稼働率でした。したがって、既存施設の稼働率については大きな問題はないと感じています。

KPI:稼働率(%)(月間延べ利用者数/入居可能数)

続いて、2025年3月期に開設した新規開設の稼働率についてです。こちらも8月、9月、10月、は概ね高い稼働率でしたが、施設によってばらつきがあるのが実際のところです。前年度3月に開設した「フレアスメディカルケアホーム静岡葵」は、一度は67パーセントに下がったものの、現在は順調に稼働率を上げています。

メディカルケア事業の事業環境(看多機)

看護小規模多機能型居宅介護事業(看多機事業)です。メディカル事業の売上高22億3,500万円の一部が看多機モデルになります。

メディカル事業の営業利益マイナス6億2,000万円のうち、半分近くが中期経営計画の目標からの遅れによるものです。ホスピス事業と看多機事業はともに、目標から1億5,000万円ずつ程度下振れてしまった状況です。

当社は、看多機に訪問看護を加える「ナーシングモデル」を開始して単価が増加した施設があるものの、前年第3四半期まで全体的に稼働率が停滞していました。稼働率停滞の理由として、新規利用者の獲得が計画どおりに進まなかったことが挙げられます。

一部、「フレアスメディカルケアホーム県立美術館前」「フレアスメディカルケアホーム板橋西台」など順調に進んでいないところもありますが、ゆっくりと概ね順調に推移し、前年度3月単体では看多機事業は黒字になりました。まずは事業部での利益が確保できたことは非常に良かったと思っています。

KPI:稼働率(%)(稼働利用者数/定員数)

看多機事業の稼働率です。スライドでおわかりのとおり、9月の「フレアスメディカルケアホーム厚木」新設時には、稼働率が大幅に下がってしまいました。第3四半期までは芳しくなかったのですが、第4四半期に大きく回復しました。こちらについては、人員投下や営業工数の管理など営業強化に取り組んだ結果、手応えがあり改善しました。

その結果、稼働率は1月62.9パーセント、2月69.4パーセント、3月には74.1パーセントとなり、この事業単月で黒字になったという状況です。加えて、当面は新規開設がないため、看多機事業はいったん安全圏に入ったと理解しています。

その他(訪看含む)事業・全社の事業環境

その他事業は主に訪問看護事業となっています。売上高が3億5,600万円、営業利益は2,500万円となりました。全社の経費は10億1,400万円と、当初の計画よりはかなり下回る実績となりました。また、2024年11月に、その他事業の都内3拠点を事業譲渡したため、売上高が減少しています。

2025年3月期決算の概要

2025年3月期決算の概要です。「あはき」は「あん摩マッサージ」「鍼」「灸」のことを言いますが、あはき療養費改定によるマッサージ直営事業の施術単価増及び施設系介護サービス事業の施設数増により、売上高は前年同期比32.8パーセント増の75億8,200万円となりました。残念ながら、営業損失はマイナス1億500万円となっています。

四半期別業績推移

四半期別の業績推移です。2025年3月期は、売上高は順調に伸びたものの、営業利益は第2四半期のみ黒字で、その他は赤字で推移しました。施設系介護サービス事業での投資が影響しています。

2025年3月期 営業利益増減要因(前年同期比)

営業利益増減要因のグラフです。資料としてご覧ください。

2025年3月期決算(セグメント)

セグメント別の業績です。売上高は前年同期比32.8パーセント増の75億8,200万円でした。マッサージ直営事業は、売上高は前年同期比12.5パーセント増、営業利益は前年同期比22.9パーセント増となり、概ね順調に推移したと考えています。

マッサージフランチャイズ事業は、売上高は前年同期比15.3パーセント増、営業利益は前年同期比21.1パーセント増となりました。当初の目標には届かなかったものの、前年同期比で2桁成長となりました。

一方で、メディカルケア事業の施設系介護サービス事業は、売上高こそ前年同期比154.4パーセント増加しましたが、想定以上に赤字幅が広がり、営業利益はマイナス6億2,000万円となりました。

四半期別セグメント業績推移

セグメント別の業績推移です。スライドのグラフに緑で示しているメディカルケア事業は、売上を大きく伸ばしています。一方で、営業利益は第1四半期から第4四半期までマイナスとなり、まだ投資フェーズにあります。

マッサージ直営事業及びマッサージフランチャイズ事業は順調に黒字を維持し、利益に貢献しています。

KPI:累計利用者数 推移

マッサージ直営事業の利用者数の推移です。2025年3月期は10万3,955件となり、前年同期より増加しました。安定して伸びています。

KPI:利用者1人あたりの月間利用回数

利用者1人あたりの月間利用回数は前年同期から変わらず、7.3回でした。

KPI:施術者1人あたりの1日の施術回数推移

施術者1人あたりの1日の施術回数も前年同期から変わらず、10.3回でした。安定した生産性と利用者数の増加を維持しています。

2025年3月期 拠点数

2025年3月期の拠点数は、在宅マッサージが423拠点、うち直営店が79拠点、フランチャイズ加盟店が344拠点です。

対前期では、フランチャイズ加盟店が16拠点増加し、直営店が6拠点減少しましたが、こちらは異常値ではありません。重なっている部分を統廃合して効率化したことによるもので、深刻な理由があったということではありません。

訪問看護は1拠点増加の8拠点となりました。訪問介護は変わらず2拠点です。看護小規模多機能型居宅介護は、4拠点増加の12拠点になりました。前年3月に黒字になったため、当面は増やす計画はなく、安定期に入ったと思っています。

医療対応型療養施設は、いわゆるホスピスです。まだ投資フェーズにあり、対前期で8拠点増加の11拠点となりました。合計456拠点で活動しています。

バランスシートの状況

バランスシートの状況です。ここでお伝えしたいのは自己資本比率です。施設系介護サービス事業はリース会計に則り、どうしても資産に含まれてしまうため、自己資本比率が下がります。直近では17.5パーセントまで下がりました。

ただし、MSワラントを数ヶ月前に発行し、かなり消化が進んでいます。4月末時点で9割を行使しており、ワラントの解消も間近だと認識しています。

事業領域の考え方(療養から看取りまで)

2026年3月期の決算見通しです。事業領域は変わらず、介護現場の医療依存度が高い方を対象としています。

2026年3月期 通期 決算予想

通期の決算予想です。売上高は115億1,300万円、前年同期比51.8パーセントの増加を計画しています。営業利益は、前年度は大変申し訳ないことに赤字でしたが、今年度は黒字での着地を見込み、3億100万円を計画しています。

2026年3月期 通期 セグメント別決算予想

セグメント別決算予想です。売上高は、マッサージ直営事業が前年同期比8.3パーセントの増加、マッサージフランチャイズ事業は前年同期比24.5パーセントの増加、メディカルケア事業は大きく売上を牽引し、前年同期比165.8パーセントの増加を見込んでいます。

営業利益は、マッサージ直営事業は前年同期比9パーセントの増加、マッサージフランチャイズ事業は前年同期比38.5パーセントの増加を目指しています。

メディカルケア事業は、残念ながらまだ赤字です。看護小規模多機能型居宅介護事業は黒字ですが、ホスピス事業がまだ赤字となることが要因です。その結果、全社費用を含めてスライドに記載の数字を計画しています。

これからフレアスが目指す世界

トピックスです。退院してから看取りまで、在宅領域を総合的に支援する企業を引き続き目指していきます。

医療対応型療養施設 開設実績(8施設)

医療対応型療養施設の開設実績です。現在8施設あります。

当社の強み ホスピス

当社の強みは、祖業である鍼灸マッサージの導入に加え、ただ死を待つ場所ではなく、イベントやレクリエーションの充実を図っていること、手厚い「人員配置」、最期までその人らしくあるために、痛みや心のケアにも取り組んでいることです。

当社の強み ホスピス

実際に、キッチンカーの招致やイベント開催などを多数行っており、アンケートを取っても非常に満足度の高い結果となっています。これからも我々のテーマである「時間価値の最大化」を提供し、利用者に喜んでいただける活動を目指していきます。

当社の強み ホスピス

東京大学医学部附属病院の住谷昌彦先生にご協力いただき、痛みのない終末期を引き続き提供していきたいと思っています。

適正な保険請求の徹底について(訪問回数)

昨今話題のコンプライアンスについてです。当社も昨年度から非常に力を入れており、適正な訪問回数の徹底を行っていきます。個別性が重要であるため、訪問回数を一律にするのではなく、入居した方の病状や身体状態に合わせて、適正な回数・内容の医療を提供していきます。

適正な保険請求の徹底について(訪問人員数)

適正な訪問人員数の徹底にも取り組んでいきます。

適正な保険請求の徹底について(訪問人員数)

ホスピス事業では複数回訪問もありますが、訪問人数を一律に設定するのではなく、本当に必要な人に必要な回数訪問することを引き続き徹底していきます。

適正な保険請求の徹底について

当社は外部のケアマネージャー比率が100パーセントですので、我々だけでケアプランやサービス内容を決めるのは困難です。

コンプライアンス上も、密室空間ではなく、外部の方の目も入ることで、適正なサービスを続けるのに非常にプラスであると思っています。今後も、外部のケアマネージャー比率100パーセントという体制を継続していきます。

資料末尾にAppendixを掲載していますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

澤登氏からのご挨拶

前年度の結果を踏まえて、「日本の在宅事情を明るくする」というビジョンのもと、在宅療養の方の「時間価値の最大化」を目指し、今年度も精一杯がんばっていきます。ご支援いただいた株主のみなさまに報いるような企業活動を行っていきますので、引き続きご支援のほどよろしくお願いします。ご清聴ありがとうございました。