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太田剛氏(以下、太田):みなさま、こんにちは。株式会社ハブ代表取締役社長の太田です。本日は大変お忙しい中、当社の決算説明会をご視聴いただき、誠にありがとうございます。それでは、2025年2月期決算説明を始めます。

本日は、中期経営計画STEP1の振り返り、2025年2月期の業績、2025年2月期の取り組み、中期経営計画STEP2の2025年から2027年について、順にご説明します。

創業50年ビジョン(2022-2030)

当社の長期ビジョン「創業50年ビジョン」についてです。2022年度から2030年度を対象期間とし、2030年度において「心を豊かにするリアルコミュニケーションの場としてPUBが社会において重要な役割を果たし続けている」ことをありたい姿として定義しています。

創業50年ビジョン STEP1 中期経営計画(2022-2024)の位置づけ

「創業50年ビジョン」は、2022年度から創業50周年を迎える2030年度までの9年間を対象期間としています。この9年間を3つの中期経営計画に分け、最初の3年間である2022年度から2024年度をSTEP1「復活のフェーズ」として経営を行ってきました。

創業50年ビジョン STEP1 中期経営計画(2022-2024)の振り返り

2022年から2024年の3年間は、原材料費、人件費、資材費等のあらゆるコストが高騰し、インフレの傾向が継続しました。

2022年度は、コロナ禍による業績の低迷を受け、収益構造の立て直しに注力しました。また、大株主である株式会社MIXIとの業務提携をはじめ、各社との協業によるIPコンテンツコラボレーションの取り組みを開始しています。

2023年度は、当社の特徴的なサービスオペレーションであるキャッシュオンデリバリーのシステムを大幅に刷新すべく、C.O.D.2.0を年度方針に掲げ、店舗の生産性を高める取り組みを実行し、黒字化を達成することができました。さらに、出店を再開し、年度内に出店した3店舗の売上は好調に推移しています。

業績サマリ累計 P/L(前年同期比較)

P/Lです。STEP1の最終年度にあたる2024年度については、売上高106億3,200万円、前年比108.7パーセントとなり、5年ぶりに年商100億円を超えることができました。営業利益は4億5,300万円、前年比163.6パーセントとなっています。

経常利益は4億4,100万円、前年比172.7パーセントとなり、当期純利益は4億4,600万円、前年比164.8パーセントで着地しました。

業績サマリ B/S(前年度末比較)

B/Sです。純資産合計は28億9,400万円、自己資本比率は46.7パーセントと、財務面においても着実に安定化が進んでいます。

有利子負債残高は14億4,000万円となり、計画的な返済が進んでいます。金利上昇を踏まえ、今後も借入金の返済を着実かつ積極的に進めていく方針です。

業績サマリ C/S(前年度末比較)

キャッシュフローです。投資活動によるキャッシュフローはマイナス3億3,500万円となりました。こちらは、3店舗の新規出店投資が主な要因です。

現金及び現金同等物の期末残高は26億4,200万円で着地しました。

月次推移

全店および既存店における売上高、客数、客単価の前年比の月次推移です。既存店の売上高は前年比103.6パーセントと増加しましたが、客数は前年比97パーセントと前年を下回っています。客単価については前年比106.8パーセントとなりました。

年度内に価格改定を実施したことで客単価は伸びていますが、客数が前年を下回っているため、より一層のサービスの磨き込みや施策強化などの対策が必要だと認識しています。

全店実績については、売上高が前年比108.9パーセント、客数が前年比101.6パーセント、客単価が前年比107.2パーセントとなっています。前年度以降に出店した店舗の業績は、いずれも好調に推移しています。今後の成長には、既存店のさらなる磨き込みと新店の成功が重要な鍵になると考えています。

業績予想の差異

業績予想の差異につきましては、売上高はマイナス4億6,800万円、営業利益はマイナス700万円となり、残念ながら予想には届きませんでした。一方、経常利益は2,100万円、当期純利益は7,600万円のプラスの差異が出ています。

当社は5年ぶりに年商100億円を突破し、外部環境が厳しい中でもしっかりと利益を確保することができました。この実績により、PUB事業継続の挑戦権を勝ち取れたと自己評価しています。

なお、売上高の計画差異については、価格改定に伴い既存店の客数が計画を3パーセント程度下回ったこと、また新規出店が計画の6店舗に対し、実績は3店舗にとどまったことが要因として挙げられます。

メニュー施策

2024年度の具体的な取り組みについてご説明します。メニューに関しては、「HUB」「82」ともに仕入価格の高騰を受け、販売価格の見直しを行いました。これにより、上昇傾向にあった原価率は前年度とほぼ同水準で着地することができましたが、一方で客単価が上昇し、客数が減少する状況となりました。

永続的な営業を目指す視点から、大きな課題と捉えており、進行期においては、客数増の施策に注力する方針です。

来店目的を創出

2024年度期中においても客数減の傾向は出ていたため、インバウンドの集客を図るべく、海外で人気の高いスポーツ番組の放映や、IPコンテンツとのコラボレーションの企画を積極的に展開するなど、新規顧客の獲得に注力してきました。

インバウンド集客に関しては、店舗近隣のホテルにご協力いただき、「この試合を見るなら『HUB』、もしくは『82』」というご案内をしていただく働きかけを実行しました。

具体例として、当社の株主であるロイヤルホールディングス社の「リッチモンドホテル」に、スライド右側にあるようなチラシを設置していただくなど、多大なご協力をいただきました。ホテルへのアプローチは、インバウンド宿泊客を送客いただく施策として手応えのある取り組みとなりました。

このように近隣ホテルとの協力体制を強化することで、インバウンド客の獲得はもちろん、国内旅行のお客さまの集客にもつながる取り組みとして、さらに発展させていきたいと考えています。

来店目的を創出:ブランド認知拡大

新規顧客開拓の取り組みとしては、SNSのさらなる活用や、当社監修商品のコンビニエンスストアでの販売を継続的に実施していきます。これらの取り組みにより、「HUB」「82」を知らないお客さまへ当社の魅力を伝えていきます。

メンバー会員動向

メンバー会員の動向についてです。当社が展開するメンバーシステムの会員数は、前年同月の37万人から約16万人増え、53万人となりました。当社からプッシュ通知で働きかけられるアプリメンバーは7万人増加し、22万人となりました。総売上に占めるメンバーの売上構成比は41.1パーセントとなりました。

既存顧客の来店促進策として、メンバー会員へのアプローチも継続的に実施しています。また、しばらく来店のないメンバー会員には来店促進クーポンを発行し、再来店を促す取り組みを適宜実施することで集客につなげています。

メンバーシステムの活用

インバウンドカードやIPコンテンツとコラボレーションしたメンバーズカードを発行することで、新規顧客をリピーターへと変えていく働きかけを継続的に実行しています。このシステムにより、新規来店から再来店につながるサイクルを形成できています。

セグメント販促

先ほどお伝えしたメンバー会員への販促活動について、一例をご紹介します。メンバーシステムにおける購買間隔などのデータをもとに、顧客の来店傾向に合わせた来店促進クーポンを配信しています。

スライドには、直近の2ヶ月から3ヶ月の間に来店のなかった累計15万名のアプリ会員に向けて、クーポンを配信した結果を示しています。合計で約1万6,000名の方にご来店いただきました。クーポン利用率は10.9パーセントという実績です。再来店の早期化につながる施策だと捉えています。

このようなセグメント別の販促活動で、「HUB」「82」から足が遠のいてしまったお客さまへ再来店のきっかけを提供することにより、メンバー会員のさらなる囲い込みに挑戦していきます。

今後もさまざまなセグメントへのアプローチを重ねることで、顧客層と販促の組み合わせの結果をデータ化し、積み上げていくことで、より効果的な販促活動につなげていく方針です。

生産性指標推移

年度の定量目標としていた生産性指標についてです。人時売上高は目標の6,800円を218円上回り、7,018円で着地することができました。また、人時生産性も78円上回って4,878円で着地しました。

この結果、当期は従業員のベースアップを実施しましたが、人件費率は2023年度の35.9パーセントから、2024年度は34.6パーセントへと、1.3パーセントの低減を実現しました。

店舗オペレーションの生産性向上

2023年度に店舗の生産性を高める取り組みに着手し、2024年度にその成果が大きくあらわれたことも関係しています。

21店舗にフードサーブシステムを導入し、料理を届けるテーブルが一目でわかる仕組みを構築しました。また、レジでの会計を一部セルフ化するセミセルフレジを導入するなど、さらなる生産性の向上を目指しています。

人事戦略

「創業50年ビジョン」のもと、人事制度の基本方針を長期視点で設定し、生産性向上の取り組み、成長による収益改善を原資とした、人的投資を含む段階的な処遇改善を計画しています。2024年度においては、人事制度を改定し、ベースアップも実施しました。

全国への展開を支える厚みのある人財体制の構築を目指しており、2024年度の採用実績および2025年度の入社については、スライドに記載のとおりとなっています。

ストックオプション実施について

当社の復活を信じて残ってくれた従業員257名に対し、株式報酬型ストックオプションとして割り当てる新株予約権を発行しました。コロナ禍を耐え抜いたメンバーを中心に、全社一丸となって「創業50年ビジョン」の達成に挑戦します。

株主様還元

株主のみなさまに対しては、今年度、配当性向30パーセントを目安とする配当および株主様ご優待を実施します。配当予想については過日リリースしましたが、1株あたりの配当額を9円から10円へ上方修正しています。

CSR:地域の魅力を発信

2024年度は、社会貢献活動の一環として、ANAあきんど社と連携し「地域の魅力発信プロジェクト」を展開しました。このプロジェクトでは、地域の特産品を当社がメニュー化して販売し、併せて地域の観光情報などを発信しています。具体的には、2024年3月に函館フェア、2024年10月に徳島フェア、2025年1月・2月に鹿児島県北薩摩うんまかフェアを開催しました。

このプロジェクトは、47都道府県への出店に向けて、非常に有効な取り組みとして発展することも期待しています。実施店舗では、多くのお客さまに喜ばれ、地域関係者の方々にも満足いただき、良好な関係を築くことができました。

新規出店:JR商業施設

STEP1においては、出店対象をこれまでのドミナント戦略から日本全国へと拡大し、さらに交通・人流の拠点となる施設への出店に戦略をシフトさせました。2024年度に出店した博多、新潟、大阪の店舗は、いずれもJRの駅商業施設への出店であり、売上も好調です。STEP2においても、駅商業施設を中心に新規出店していく方針です。

店舗数 2025年2月期 店舗数 107店舗

2024年度の新潟県への初出店により、エリアが拡大しました。店舗数は「HUB」が91店舗、「82」が15店舗、「HUB+82」が1店舗で、合計107店舗となりました。

創業50年ビジョン STEP1 中期経営計画(2022-2024)の振り返り

中期経営計画のSTEP1である2022年度から2024年度を振り返ることで、中長期的な課題が見えてきました。

新規出店に伴う人財の確保・育成をはじめ、地方物流の効率化、ベースとなる既存店舗の客数回復、生産性のさらなる向上、株主のみなさまへの還元など、STEP1で顕在化した課題に果敢に挑戦していきます。

中期経営計画(2025-2027)の位置づけ

2025年度は、中期経営計画STEP2の初年度にあたります。STEP1で事業継続の基盤が整ったため、STEP2では、いよいよ「挑戦」のステージに移ります。

2025年度経営方針

2025年度の経営方針です。2025年度においては「TRADE ON 矛盾を乗り越え、新たな可能性の扉を開く」を経営方針に掲げ、中長期的な課題に取り組んでいきます。

成長戦略:SmasH47 交通・人流の拠点となる施設内への出店を戦略の要としていく

成長戦略の要は「SmasH47」と位置づけました。交通・人流の拠点となる施設内への出店を47都道府県すべてを対象に実施し、当社の事業拡大につなげていきます。

2023年度にオープンした「HUB羽田空港第2ターミナル店」「HUB COCONO SUSUKINO店」、2024年度にオープンした「HUB博多筑紫口デイトスアネックス店」「HUB Echigo Beer PUB CoCoLo新潟店」「HUBエキマルシェ大阪ウメスト店」の業績は、いずれも好調に推移しています。

2025年度においては、4月に、当社としては初となる改札内店舗である「HUB JEF UNITED PUB ペリエ千葉エキナカ店」が開店します。7月には、宮崎県初出店となる「HUBアミュプラザみやざき店(仮称)」がオープン予定です。いずれの店舗も、JR駅構内への出店となります。

成長戦略:SmasH47 地域のタイアップ企業との協業により成長を加速

「SmasH47」の側面として、地域の企業とのタイアップや協業により、成長を加速させていくことも狙っています。これは、出店の成功確率を上げる取り組みになると考えています。

「HUB COCONO SUSUKINO店」においてはサッポロビール社と、「HUB Echigo Beer PUB CoCoLo新潟店」においては当社の「HUB ALE」「82 REAL ALE」を長年醸造いただいているエチゴビール社とタイアップすることで、地域のみなさまとの結びつき強化を図っています。

4月にオープンする「HUB JEF UNITED PUB ペリエ千葉エキナカ店」は、その店名のとおり、Jリーグチーム「ジェフユナイテッド市原・千葉」とのコラボレーション店舗です。地元チームとコラボレーションすることで、地域に愛される店舗となることを目指しています。

創業50年ビジョン STEP2 中期経営計画(2025-2027) 「挑戦」組織としての力を強化

「SmasH47」を推し進めるにあたり、全国展開を見据えた物流や人財採用・育成が必要となります。さらに、出店地域独自のメニュー開発やプロモーション、コラボレーション企業との協業と、取り組むべき課題は山積しています。

それらの体制構築において課題を解決するために、何かを諦めるのではなく、アイデア、工夫、また時にはDXによるシステム化により、「TRADE ON~矛盾を乗り越え、新たな可能性の扉を開く~」の年度方針に挑戦します。

2026年2月期業績予想及び配当予想

2026年度2月期の業績及び配当予想については、売上高113億円、営業利益4億7,000万円、経常利益4億5,000万円、当期純利益4億2,000万円、配当10円を予想しています。

中期経営計画におけるキャッシュアロケーション

中期経営計画におけるキャッシュアロケーションの考え方です。当中期経営計画においては、出店戦略「SmasH47」を軸とした加速度的な出店に挑戦するため、適正な自己資本比率を維持しながら、店舗・人財・システムへの成長投資を計画的に実施します。また、投資家からの外部調達については適宜、状況に応じて対応していきます。

創業50年ビジョン STEP2 中期経営計画(2025-2027)

2025年度から2027年度までの中期経営計画、STEP2の数値計画です。新規出店については、2025年度に5店舗、2026年度に12店舗、2027年度に16店舗を計画しています。

英国風PUBの価値を磨き続ける

コロナ禍から5年が経過しました。この間、外食業界の中でも特に当社のビジネスモデルは、存在すら危ぶまれる大きなダメージを受けました。人と人とのつながり、リアルコミュニケーションの場そのものが否定されましたが、コロナ禍が終息に向かう中で、「やはり外食はいいね」「リアルコミュニケーションの場は必要だね」という声とともに、お客さまが店舗に戻ってきてくれました。

STEP1では、原材料価格、人件費、エネルギーコストなど、あらゆるコストの上昇に耐えうる収益構造の立て直しに全力で取り組みました。その結果、PUB事業継続の挑戦権を得たと捉えています。

この復活のステージ、STEP1を振り返る中で、あらためて本来のPUBの価値とは何か、お客さまが「HUB」「82」に期待し、求めることは何か、そして、PUBの存在意義とは何かを真剣に考えました。

その答えは創業時の原点にありました。週刊誌を買うようなリーズナブルな価格で気軽に立ち寄ることができ、その場に居合わせた仲間と気軽に会話を楽しめ、限られた時間でもさっと切り上げられ、そして、店舗を出る時には「明日もがんばろう」と思えるポジティブな場を提供することこそが、当社の目指すPUB文化の本質だと結論づけました。

生活様式が変わる中で、さまざまな価値観が生まれた今だからこそ、原点に立ち返り、利用目的、利用シーン、そしてそれらに応じた体験価値をあらためて知ってもらうことで、お客さまにとって使い勝手のよい店舗の1つに選ばれるよう、PUB本来の価値を追求していきます。

質疑応答:駅中店と路面店の投資上の差異について

司会者:「JR駅構内への出店は、一般的な店舗と比較すると、1店舗あたりの投資金額に差異があるのでしょうか? また、売上の期待値による投資リターンに違いはありますか?」というご質問です。

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