株式会社フライヤー

会社概要
社名:株式会社フライヤー
設立:2013年6月4日
事業内容:法人向け人材育成に資するSaaSサービスの運営・自己研鑽に資するコンテンツの提供

IPO情報

■吸収金額 4.98億円(推定)
■業績の伸びの推移

出典:EDINET閲覧(提出)サイト https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100V3WJ.pdf

■株主構成およびロックアップ EDINET閲覧(提出)サイト https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100V3WJ.pdfより抜粋して作成

質疑応答:初値の受け止めについて

質問者:初値への受け止めと感想をお聞かせください。

大賀:初値は1,178円になりました。公開価格に対して、非常に高く評価いただいていると思っています。非常に多くの方にご期待いただいているというのは、ありがたく思っていますし、当社としては、中・長期的にさまざまな投資家の方に応援していただけるような事業運営をしっかりしていきたいです。しっかり励んで、期待にお応えできるように努めたいと思います。

質疑応答:サービス導入数を増やすための取り組みについて

質問者:法人向けのご契約社数が今の社数に至った経緯をもう少し具体的におうかがいできたらと思います。

大賀:法人事業のところですね。これはさまざまですが、ここ1年ほど強化してきているのは大企業向けの営業のところで、例えばご紹介などで、大企業のトップ層の方々にお会いしたりするなど、さまざまな方にさまざまなルートでしっかり認知、ご理解をいただいて、できる限り大きな規模で取り入れてもらうというところに注力していくというのが1つです。

あとは、やはり中堅企業や成長企業の方々にも知っていただいて、導入数を増やしていきたいと考えています。

我々は、会社規模はまだそれほど大きくないので、全国ネットでしっかり認知度を拡大して、お客さまにご紹介していくということを実現するために、営業代理店などをここ1年ほど強化しております。そういったところでより大きな規模の導入につなげていきたいと思っています。

質疑応答:サービス展開における課題や苦労について

質問者:本の要約サービスは、新しくその本を買いたくなるきっかけになると同時に、その要約サービスでだいたい満足してしまって本を買わずに済むということもあると思います。そういう点では、出版社さんの協力を得るのは大変なのかなと思うのですが、どういう課題や苦労がありましたか?

大賀:特に初めの頃ですかね。創業して数年の頃は、やはりなかなか他にないサービスなので、それが本の売上や認知拡大にどういった効果をもたらすことができるのかがまだ見通しきれない状態でしたが、徐々にご理解いただき始めて、今では190社と、国内の主要な出版社にはほぼご協力いただいています。出版社の方々や著者の方々に評価をいただいて、結果としてウィンウィンのかたちで、協力関係を築いています。

年間7万点ほど出版される書籍の中で、個人が思い浮かべることのできる書籍は10冊や20冊程度だと考えた時、いかにその中の1冊に加えていけるかが大切です。出版されてからの認知の拡大が出版社や著者の方々にとって非常に重要な要素であり、そういったところで「flier」が貢献できるところがあるのかなと考えています。

質疑応答:貢献度合いの可視化について

質問者:例えば貢献度合いは可視化して出版社さんに提示できたりするんですか?

大賀:そうですね。流通経路はさまざまあるので、一番認識されているのは出版社ご自身なのかなと考えていますが、我々としても、例えばどういうふうに展開されたのか、どういう方々に届いたのかなど、最大限お答えするようにはしています。

質問者:どういう人が読んだのかという、ユーザーの情報を提供できるということですか?   大賀:ユーザーの個人情報まではななかなか共有でませんが、ご興味を持っていただいた際は、可能な限り協力しています。

質疑応答:本の選定基準について

質問者:本の選定基準について教えていただけますか?

大賀:選書委員会というものを月2回ほど行っています。本当にさまざますばらしい本がたくさん出ている中で選ばせていただくかたちになっており、候補のリストの中から1冊1冊を吟味して、選んでいます。

新しい視点やアイディアといった革新性。、主張がクリアで明瞭性であること、あとは実生活に活きる応用性があるかというところですね。その3つの観点が満たされているものを優れた本と定義し、基準を満たしたものの中から、1冊1冊選ばせていただきます。

読者の方にとってもさまざまな種類の本が紹介されていることがメリットになると思っているので、例えばビジネス書といわれる、マーケティングとか、ファイナンス、コミュニケーションとかだけではなく、哲学とか歴史とか科学とか、そういうリベラルアーツに属するような本も含めて、ラインナップとして選書委員会の中で選ばせていただいています。

そして1冊1冊、出版社のご担当の方や著者の方々に許諾をいただいて、要約の作成に入っていくかたちです。

質疑応答:本の要約プロセスについて

質問者:本の要約に関して、原稿の作成は内製化されているんですか?

大賀:要約の作成プロセスは、先ほど申し上げた、選書委員会で選ばせていただいて、事前に許諾をいただくというところがまずスタートラインになるのですが、そこから大きく3つのステップがあります。

まず1つが、これは弊社の社員もやることがあるのですが、主には社外の協力ライターの方々に実際にその本を読んでいただいて、要約の原稿をしっかり作成いただくというのが、ファーストステップの要約の原稿作成です。

社内に出版社の編集者だったメンバーがたくさんいるので、そのメンバーが同じ本をしっかり読んで、要約として最適なものになっているかをブラッシュアップする編集作業を行います。

次にその確認を終えたものを、本の作り手の方々、ー出版社の担当編集者の方や著者の方々ーに見ていただいて、場合によっては直しが入り、それを反映したものを公開します。

今「flier」には3,800冊以上の要約がありますが、すべての要約でそのプロセスを通してきているというのが、一番大事な要約のクオリティを担保するための仕組みです。

質疑応答:フライヤー社の強みについて

質問者:社長が考える御社の強みは何かを教えてください。

大賀:まず比較的わかりやすいところとして、3つほどあります。まず1つは、質の高いコンテンツをしっかり作り上げる組織的なノウハウや計画力だと思っています。

ここが何よりもユーザーの方々にご期待いただいているところで、優れた読書体験が得られるというところを一番大切にしています。

それに関連するところとして、例えば出版社の方々、著者の方々、書店の方々、法人でご利用いただく企業の方々など、さまざまな方々とのネットワークの構築も、弊社の強みの2つ目として考えているところです。

3つ目は、コンテンツを届けていくにあたって、技術的に最先端のものでサービスを具体化する、サービスの開発力です。ここに関しては、創業してから継続的に強化してきており、しっかりしたプロダクトが作れるようになってきました。

あとは客観性をなかなか主張しきれないところはありますが、フライヤーの社員はとても優秀で、エネルギーのあるメンバーに集まってもらっていると思っているので、本当の強みは社員だと思っています。

質疑応答:上場で得た資金の使途について

質問者:今回の上場で得た資金の使途についておうかがいできればと思います。

大賀:資金使途に関しては、成長領域への投資を中心に考えています。法人向け事業を展開するのエンタープライズ事業セグメントの成長が非常に著しいので、そこへの営業人員や、ご契約いただいた後に利用を促進・サポートを担当する、カスタマーサクセスの人員強化です。

あとは、特に直近ではAIがかなり使いやすくなってきており、サービスへの実装が進み始めているので、エンジニアの人員拡充など、このあたりを中心に投資をしていきたいと考えています。

質疑応答:利益と成長投資のバランスについて

質問者:売上は順調に拡大で、利益も今期黒字化というタイミングでの上場となりました。今後の成長性について、もちろん成長投資も大事だと思いますが、利益と成長投資のバランスをどう考えていらっしゃるのでしょうか。

大賀:弊社の事業の特性として、何か大きな仕入れが発生したり、大きな設備が必要となることはなく、しっかりコンテンツを作り上げ、提供するというものなので、売上の多くの部分が利益貢献につながる事業モデルになっています。

質疑応答:今後の展望について

質問者:売上と利益を上げていく、今後についてどんなイメージを持っていらっしゃるでしょうか。

大賀:やはり今後の利益拡大の主要なドライバーは、売上の拡大だと思っています。そこに向けてしっかり投資をして、高成長を実現していこうと考えています。

質疑応答:具体的な数値目標について

質問者:具体的な数値目標をおうかがいできますか。

大賀:このタイミングでは、まだ具体的な数値目標までは申し上げられないのですが、我々としてはこの上場がスタートラインだと思っており、できるだけ早く法人事業が持続的に拡大できる体制を整え、高成長をしっかり持続拡大できるようにしたい思っています。

質疑応答:生成AIを使った要約について

質問者:先ほどのAI投資の関連についてリスク要因も書かれているのですが、AIに要約させる上で、著作物を全文学習させることは、判断が分かれるという点で、なかなか難しいと思います。

例えば、著作権者である出版社や著者が生成AIを使って自分たちで要約してしまうとか、そういうケースはまだないのですか?

大賀:我々が認識している限りでは、まだ具体的な動きはないのかなと思っています。我々は、基本的に実際の人が読んで、人がしっかりまとめて、磨き上げた要約を提供するという立場です。

著作権の有効期限が切れた古典に関しては、「クラシックコレクション」というシリーズでトライアル的に我々もAIに要約原稿を作ってやっているのですが、品質の高い要約という意味では、最新のエンジンを持ってしても距離があると思っています。例えば『平家物語』など、戦に苦戦すると、ストーリーよりも先に戦死するなどが起きたりしますので、まだまだそういった大事なところはしっかり人の目で確認して、信頼性の高いコンテンツに磨き上げる必要性があるだろうと思っています。