Voicy「ログミーFinanceの株式投資ラジオ」

オープニング

荒井沙織氏(以下、荒井):「ログミーFinanceの株式投資ラジオ」をご視聴いただき、ありがとうございます。今回の放送の司会を担当します、荒井沙織です。この番組は、個人投資家、アナリスト、ストラテジストなどの方々へのインタビュー、対談などを通して、みなさまとともに投資の知見を深めていくための、ログミーFinance主催のラジオ番組です。

今回のログミーFinanceの株式投資ラジオでは、前回に引き続き、個人投資家のヘムさんをゲストとしてお招きし、ヘムさんご自身も実施されている増配期待銘柄への投資についてうかがっていきたいと思います。それでは放送スタートです。

ヘム氏が今後の増配に特に期待している銘柄 コンドーテック

それでは、まずはゲストのご紹介をいたします。前回に引き続き、個人投資家のヘムさんにお越しいただいています。今回もよろしくお願いします。

ヘム氏(以下、ヘム):お願いします。

荒井:前回の放送では、増配期待銘柄の魅力についてうかがいました。そこでお話しいただいた内容も踏まえつつ、今回は今後の増配に特に期待している銘柄について、具体的に3つの銘柄を挙げつつ、お話ししていただければと思います。

それではさっそくお話を進めていきたいと思うのですが、ヘムさんが今後の増配に特に期待している銘柄の1つ目、そしてその銘柄をお選びいただいた理由について教えてください。

ヘム:1社目はコンドーテックという会社で、証券コードは7438です。この会社は産業資材のメーカー兼商社で、1953年に設立した会社なんですけれども、設立以来、経常利益ベースで赤字になったことはない会社です。業績が安定しているというのは魅力の1つです。

今(※)の足元の配当利回りは、3.5パーセントとそこそこ高めである。今の利回りが1パーセントとか2パーセントだったら、多少増配してくれても「いつになったら高利回りになるんだ」となるので、今の時点でそれなりに高利回りということは大事です。

この会社が今後も増配を継続してくれると思っている理由が3つあるんですけども、それを順々に挙げていきます。

1つ目は、この会社は足元で14期連続増配予定です。かつ日経連続増配株指数採用銘柄です。これは前回お話ししたと思うんですけれども、日経連続増配株指数は全上場企業約4,000社のうち、(選ばれるのは)わずか70社なんです。採用されていること自体がすごく名誉なことなので、企業はできるだけこの指数を外れたくないという気持ちが働きます。

なおかつ、この会社というのは、IR、個人投資家に向けた説明会をよくします。僕もその説明会に2回ほど行ったことあるんですが、表紙の1ページ目に「14期連続増配予定」とか「日経連続増配株指数採用」をドーンと謳っているんですよね。これを売りにしているわけなんです。

つまり継続したい。ところが連続増配株っていうのは、1回でも配当を据え置いたり減配すると、14の記録がゼロになってしまうわけです。これはすごく嫌なことなので、少しぐらい企業の業績が減益したとしても、増配だけは続ける可能性が高いということで、増配が期待できるというかたちになります。

実際この会社は業績自体もずっと右肩上がりで、なおかつ配当性向といって、利益のうち何パーセントを配当に回しているかという数字があるんですけれども、この会社は今、35.63パーセントです。利益の約3割5分を配当に回しているわけです。(自己株買いはゼロの前提では)6割5分はおつりがあるわけですね。このおつりというのは、企業の中にためていくわけです。ちょっとずつ貯金していくというイメージです。これだけ余力があるということなんです。

例えば、次の年に利益が変わらなかったとしても、配当性向35パーセントを40パーセントに上げると、配当はその分増えるというかたちになるので、これは余力と考えられるということです。

2つ目の理由は、この会社は配当政策にDOE4パーセントというのと、累進配当を掲げています。後半の累進配当というのは、配当を下げないという意味なんです。配当は据え置くか、増やすしかないよということです。これを言っている時点で、減配の可能性っていうのはないよねと。なおかつ、先ほど話したみたいに、日経連続増配株指数に採用されているんだから、増配を続ける可能性が高いよねということになります。

同社は、累進配当に加えてDOEも採用しています。これはちょっと聞き馴染みのない言葉かもしれないんですけれども、先ほどの配当性向は「利益の何パーセントを配当しますよ」ということでした。一方、DOEは「資本の何パーセントを配当しますよ」ということです。

資本とは、簡単に言うと、もともとの株主の出資金に毎年の利益剰余金を積み重ねたようなイメージです。利益剰余金というのは、毎年の利益から、配当と自己株買いの株主還元に使った上で余った剰余金と言うことです。これが資本に積み重なっていきます。

企業が黒字で、その黒字の範囲内で株主還元を行えば、余ったぶんが毎年資本に積み重なって増えていきます。DOEを採用している企業は、資本の〇〇%を配当として支払ってくれるので、毎年資本が増えていくような場合は増配が続くということになります。

コンドーテックの場合は、過去長期に渡って資本は増え続けているので、今後も増配が続く可能性が高いと考えているわけです。

3つ目、この会社は「DOE4パーセントにする」と宣言をしています。でも実は今、この会社は前期DOEの3.1パーセントしか配当していません。今期の予想では、だいたい3.4パーセントから3.5パーセントぐらいのDOEになっています。約束は4パーセントなのに、まだ3.1パーセントとか3.5パーセントなわけです。

この会社とは僕は何回も話をしているんですけれども、「最終的には4パーセントに持っていきます。でも段階的に上げていくんですよ」というふうに話しているわけです。ある程度分散して増配をしていきたいという考えでやっているわけです。

この配当基準すなわち、DOE3.5パーセントを4パーセントにするだけで、配当は14パーセント増える余地があるということです。これらをすべて総合すると、この会社は今後も増配していく可能性は極めて高いのかなと思っています。

僕の試算では、この会社の配当利回りは、今と同じ株価なら2028年には5パーセントを超えることになります。5パーセントの配当利回りって十分高いので、その分、株価が押し上げられるかなと期待できて、なおかつ2028年以降についても増配が続くことが期待できるので、(EPSの年間成長率5%、DOEを2028年までに段階的に引き上げて4.0%にするとの前提であれば)いい投資先かなと思っています。

ちなみにこの会社は株主優待ポイントも採用していまして、1,000株保有すると1万ポイントの優待ポイントがもらえて、カニとかフグとか、ちょっと高級なお肉がもらえたりできるので、そういううれしいポイントもついているという銘柄になります。

荒井:ありがとうございます。

ヘム氏が今後の増配に特に期待している銘柄 イントラスト

魅力的な銘柄を教えていただきましたが、続いて2つ目の銘柄をお願いします。

ヘム:はい。イントラストという会社です。先ほどのコンドーテックっていう会社は、DOEに注目した銘柄でした。今度は配当性向に注目した銘柄です。この会社は家賃保証の会社で、実は足元(※)PER12.9倍、PBR2.7倍と、あまり割安というわけではないんです。でもこの会社の魅力というのは、成長力と増配の期待度が高いという2つです。

まず、足元の配当利回りは3.16パーセントです。配当性向は40.8パーセントです。そこそこ高利回りですね。

もう1ついい点は、100株保有でQUOカードの優待がありまして。QUOカードというのは、もう実質お金に近いと考えられます。100株で500円の優待があって、これは利回りにすると0.63パーセントになります。合わせると、優待配当利回りは100株保有の時に3.79パーセントになります。

これ自体で足元、利回りはそれなりにいいんですけれども、じゃあこの会社がどうして増配すると僕が思っているかっていうと、中期経営計画で、2027年の3月期に配当性向を60パーセントに引き上げるとしていることです。中期経営計画というのは、「これから3年後とか5年後、企業がこういうふうに成長していきますよ」ということを発表しているんですけども、それに併せて「配当政策をこんなふうにするよ」ということも入れているところが多いです。

この会社は今、足元で配当性向40パーセントなのを、2027年の3月期に60パーセントに引き上げるってしているわけです。つまり、利益成長がなくても、今は利益の4割配当しているのを、2027年には6割配当する。配当は1.5倍に増えるということです。

先ほど配当利回りが3.16パーセントというお話をしたと思うんですけれども、配当性向を40パーセントから60パーセントに引き上げるんですが、株価が今のままなら配当利回りは4.7パーセントになります。これに先ほどの優待を足すと、(100株保有の前提で)優待配当利回りは5.3パーセントになります。これは十分魅力的な利回りだと思っています。

さらにこの会社の魅力がもう1つあって、高い成長力です。先ほどの前提は利益成長ゼロだったんですが、この会社は、2027年の3月期までに年率10パーセントの利益成長を続ける可能性が高いと考えています。

この会社は過去の5年の売上高の平均成長率が28.8パーセントもあるんですね。利益面、経常利益でも、年平均の成長率は過去5年で19.8パーセントありました。今期も経常利益12.1パーセントの成長を見込んでいて、今、足元、第3四半期が終わっているんですが、今の時点で経常利益は前年比11.9パーセントの増になっています。

この会社は今後も成長を見込めると思っているんですが、家賃保証の会社で、主要な顧客は大手の不動産管理会社なんです。今、賃貸市場というのは、大手の不動産管理会社に集約されていて、小さいビルのオーナーさんとか管理会社とかが今まで自分のところでやっていたのを「もう大手に任せよう」とするという流れがどんどん出てきているんですよね。

イントラストのお客さんは大手の管理会社なので、何もしなくても成長が期待できる。こういうのを「オーガニックな成長が期待できる」と言うんですが、これだけでも既存のビジネスが成長していくことが期待されます。

それに加えて、この会社は保障のエリアを広げようとしていて、医療分野とか介護分野での保障に進出しています。コロナ前からけっこう長いことこの分野をがんばっていて、実はなかなか芽が出なかったんですが、この1年間、急速に芽が出だしています。利益も出だしていて、今後数年間においても高い成長をこの会社も予想しています。これがもう1つのエンジンになるという状態です。

先ほどの話だと、利益が変わらなくても配当は1.5倍になる。それに加えて利益自体が今後増えていく。つまり2つのエンジンで配当が増えていくということが予想されるということです。

もう少し具体的な数字で話すと、この会社は中期経営計画で、2025年の3月期、つまり今回ですね。今期の営業利益は23億円と予想しているんですが、2027年3月期、配当性向を60パーセントにするタイミングですが、ここでは営業利益を30億円にするという目標を立てています。23億円が30億円です。つまり、2年間で1.3倍の利益成長です。

仮にこのとおり成長するとすると、配当利回りは6.11パーセントになります。100株保有で優待を含めると、優待配当利回りは6.74パーセントになるんですね。これはかなりの高利回りです。2027年ですから、もう少し先、2年と少し先の話で、これだけ短い期間で、配当利回りが上がる会社の株価が上がらないわけがないということで、この会社もいいかなと思っています。

この皮算用が現実のものになるかのポイントは2点で、2027年の3月期に本当に配当性向60パーセントにするという約束を守ってくれるか。もう1つは、2027年の3月期の営業利益が、2025年の3月期に比べて1.3倍になるという計画が現実化するか。この2点です。僕は2つとも現実化する可能性が高いと思っています。

1つ目の約束を守るかについてですが、僕はこの会社のIRとは何度も話してきているので、もう肌感覚になるんですけれども、この会社はするんじゃないかなということを感じているし、IRも「そうする」という言い方をしています。

2つ目は、「中期経営計画の2027年3月期の営業利益30億円を達成できるか」ですが、これも達成の可能性が高いと考えています。というのは、過去を振り返ると、前回の中期経営計画、これは2021年から2024年の期間で、この時の中期経営計画も高めの目標を設定していたんですが、これも(売上高と営業利益の目標を)達成しています。

それに加えて、ここの会社は桑原さん(桑原豊氏)という方が社長さんなんですけれども、説明会にも積極的に出られていて、僕も話を聞いたことがあるんですが、今回の中期経営計画も「絵に描いた餅ではなく、実際に数字を積み上げたもので、十分達成可能な目標だと考えている」とお話しされています。

少なくともこのお話を、僕は2度は聞いています。ですので、今期予想の営業利益が23億円であるものが30億円にいく可能性も十分あると思うし、30億円にいかなかったとしても、27億円とか28億円ぐらいにはいくだろう。それでも十分高配当になるだろうということが予想されるので、増配期待の高い銘柄の2社目として挙げさせていただきました。

荒井:ありがとうございます。かなり細かい分析、ヘムさんの見方が入っていて、とても勉強になりました。

ヘム氏が今後の増配に特に期待している銘柄 大石産業

それでは最後になりますが、3つ目の具体的な銘柄をお願いします。

ヘム:はい。3社目は大石産業という会社になります。この会社を増配期待があると挙げた理由は3点ありまして、1つ目はDOE採用企業だから。2つ目はこの会社の還元姿勢に変化が見られるから。3つ目は優待に長期特典があって、この会社もQUOカード優待なんですが、長期でどんどん増えていく。この3つを合わせると、増配期待が大きい。この増配期待には優待の利回りも含んでいるのですが、説明していきたいと思います。

まずこの会社は、足元の時点(※)で配当利回りが4.14パーセントあります。十分高利回りです。配当性向は35.51パーセントで、増配余力もある状態です。今の時点で十分高配当なんですが、この企業はDOEを採用していて、毎期自己資本を積み上げています。なので、今の配当利回り4パーセントから、これからも増え続ける可能性が高いと思っているのが1つ目の理由です。

もう1つ。この会社は還元姿勢をどんどん強化しています。その理由は、今、東証改革でPBR1倍割れの会社が問題視されているんですけれども、この会社のPBRは0.49と大きく1倍を下回っています。

このこと自体、大石産業も問題視していて、次々に株価対策を打っています。この半年ほどで株式分割、優待の拡充、DOEの基準を1.5パーセントから2パーセントへの引き上げと、どんどん株価を上げようということをしていっているんですね。

でも株価を上げようとしているにもかかわらず、今の足元のPBRは0.49倍なんです。ぜんぜん目標を達成していないわけです。まだまだ足りていない。でもこの対策を打ったことによって株価は上がったので、PBRも少しは上昇したんです。でもまだまだ足りないから、もっと対策を打っていかないといけないと考えている可能性が高いと思っています。

具体的には、自己株買いをやってくれるんじゃないかなとか、DOEを1.5パーセントから2パーセントに引き上げたものを、さらに2.5、3パーセントと引き上げてくれるんじゃないか。そうなると、さらなる増配が期待できるということです。

3つ目、先ほどお話しした優待の拡充というところで、この会社の優待はQUOカードなんですが、このQUOカードに長期保有特典を設けていて。100株保有の時、スタート時は1,000円のQUOカードなんですが、これを5年保有していると2,000円になります。10年保有していると3,000円になります。1年目の1,000円の時の優待利回りは0.88パーセントなんですが、10年保有すると優待利回りだけで2.64パーセントになるんですね。

荒井:大きいですね。

ヘム:大きいですね。これもお金みたいなもので、これも増配と考えられるので、この2つを両方合わせて5年後&10年後シミュレーションを僕のほうでしてみたんですが、仮にこの会社のこれからの利益の成長率をインフレ、プラスアルファ程度と考えて、年間3パーセント成長と仮定します。

配当政策は今、1.5パーセントを2パーセントに引き上げたので2パーセントのまま、これ以上引き上げないとします。けっこう保守的な前提です。利益についても保守的だと思います。この前提でシミュレーションして5年後にどうなるかといいますと、配当利回りは4.75パーセントになって、(100株保有の前提の場合)優待配当利回りは6.51パーセントになります。

10年後は配当利回りが5.66パーセントになって、(100株保有の前提の場合)優待配当利回りは8.3パーセントになります。8.3パーセントというのはかなりの高利回りで、市場が放っておくわけがないと思うので、株価が上がる要素にもつながると思います。なおかつDOE自体も上がる可能性もあると考えているので、この会社は増配期待が高いかなと思って挙げてみました。

こんなふうに今回は増配期待銘柄を3社を挙げてみたんですが、案外簡単だと思うんですね。というのは、企業が出している配当政策とか、約束していることを自分でシミュレーションして計算しただけのものなので、これは誰がやってもできるんですよね。誰がやってもできるんだから、そんなに株価が大きく上がるということは、実は期待ができないんです。

それでも、3年後とか5年後の配当利回りが5パーセントとか6パーセントになっている会社を市場が放っておくということはまずないです。最悪放っておかれたとしても、買い値に対する利回りが、5パーセントとか6パーセントになっている。

なおかつ、今後、その利回りが上がっていくのであれば、十分安全な投資と考えられると思うので、今の配当利回りとは別に、将来の配当利回りに着目した投資をしようというのは、優れた投資手法だと思っています。

荒井:ありがとうございます。そういった銘柄をいかに早く見つけられるかというのが大事になってくるのかなというふうにも思いました。

ヘム:そうですね。

荒井:ありがとうございます。さて、前回からの放送をとおして、増配機械銘柄への投資に興味を持たれたというリスナーの方もいらっしゃるかと思いますが、今回お話しいただいた選定理由などを参考に、ご自身の投資にぜひお役立ていただければと思います。

それではお時間になりましたので、今回の放送はこちらで締めたいと思います。ゲストは個人投資家のヘムさんでした。ありがとうございました。

ヘム:ありがとうございました。

エンディング

荒井:今回は個人投資家のヘムさんをゲストとしてお招きし、増配期待銘柄への投資についてうかがいました。みなさまいかがでしたでしょうか?

なお、本放送については書き起こし記事も公開されますので、気になる方はログミーFinanceのWebサイトをぜひご覧ください。書き起こし記事内では、次の放送テーマや出演者の募集も行う予定です。「こんなテーマを聞いてみたい」「この人に出演してほしい」など希望がありましたら、ぜひご意見をいただければと思います。

それでは今回は以上になります。また次回の放送でお会いしましょう。さようなら。


※各企業の数値データについては下記時点の情報です。
コンドーテック・・・2025/1/25、イントラスト・・・2025/2/3、大石産業・・・2025/2/3