目次

田中義一氏:みなさま、おはようございます。共和電業代表取締役社長の田中です。本日はお忙しい中ご出席いただき、誠にありがとうございます。

本日は、当社のご紹介、2024年12月期決算概況、事業の状況、今期の見通し、最後に今年よりスタートする中期経営計画「KYOWA Vision 2027」の順にご説明します。

会社概要

会社概要についてです。タイ子会社が連結から外れたことにより、連結子会社は8社となっています。

業績ハイライト

2024年12月期決算の概況についてご説明します。

当期の売上高は、自動車試験分野を中心とするシステム品の売上増加、部品調達難の影響を受けていた測定器関連の生産回復により、前期比3.0パーセント増の153億5,000万円となりました。

収益面では、汎用品の売上増加と生産増加に伴う原価率改善により、営業利益は前期比22.5パーセント増の13億5,600万円、当期純利益も18.7パーセント増の10億6,600万円と大幅な増益となりました。収益の詳細については、後ほどご説明します。

売上高・営業利益推移

売上および営業利益の推移です。2022年に部品調達難の影響で売上・営業利益ともに一時的に落ち込みましたが、その後は順調に持ち直し、2期連続の増収増益となりました。

受注高・受注残高推移

受注の状況についてです。受注高は155億2,900万円と前期比で5.6パーセント増加しました。

高速道路向け設置型車両重量計や、高速鉄道向け台車温度検知装置等の大口受注があり、受注残高も前期末に比べ約1億8,000万円増加しています。

収益の増減内訳

収益の増減内訳についてです。営業利益は売上増で1億7,000万円、原価率改善で1億7,000万円の増益となりました。

販管費で労務費および経費が9,100万円増加したものの、営業利益は前期比で2億4,900万円の増益となりました。

経常利益は為替差益が3,100万円あったことなどにより、営業外損益で前期比4,100万円増加し、2億9,100万円の増益となりました。

当期純利益は関係会社株式売却益で2,800万円の計上がありましたが、前期に投資有価証券売却益が1億2,800万円あったことから、増益額は1億6,800万円となりました。

財政状態の概況

財務の状況です。資産については前期末に売上が集中したことで、増加していた売上債権が8億7,000万円減少したことから、資産合計は5億5,800万円減少しました。

負債については、短期借入金の返済が進み、合計で10億5,500万円減少しました。

純資産は当期純利益による増加と配当金により、差し引きで4億9,600万円の増加となりました。この結果、自己資本比率は75.3パーセントと前期末と比べ3.9ポイント上昇しました。

キャッシュフローの概況

キャッシュフローの概況についてご説明します。営業活動におけるキャッシュ・フローは、前期末に増加した売上債権の回収が進み、また、売上の平準化により期末の売上債権が減少したことから通常時よりも大きく増加し、18億7,300万円の増加となりました。

一方で、財務活動によるキャッシュ・フローは、中間配当の導入などにより2億4,300万円の減少となりました。

この結果、期末における現金及び現金同等物の残高は59億6,600万円となり、前期末に比べ1億7,600万円増加しました。

配当金について

配当についてです。株主のみなさまへの利益還元の機会を充実させるため、当期より定款を変更し中間配当制度を導入しました。

また、中期経営計画で掲げた「配当性向50パーセント以上」を堅持するため、当期末における配当金は1株あたり12円、配当性向は51.1パーセントとなります。中間期と合わせた年間配当額は、前期から3.5円増配の1株あたり20円を予定しています。

セグメント別・品種別の状況

事業の状況についてご説明します。初めに、セグメント別・品種別の売上状況です。計測機器セグメントの売上高は、前期比2.2パーセント増の139億2,800万円となりました。

コンサルティングセグメントは、中期経営計画における魅力的なフィールドエンジニアリングの提供に向けた取り組み施策の効果もあり、前期比11.6パーセント増の14億2,100万円となりました。

主要事業分野の売上高

主要事業分野別の売上状況です。前期と比べ自動車試験分野が大きく伸びている一方で、運輸・交通インフラ分野は大口案件の減少に伴い減収となりました。

主要事業分野の売上高【自動車試験分野】

自動車試験分野の売上高は、前期比20.2パーセント増の39億3,500万円となりました。EV化の推進に伴う新車開発による計測需要で、自動車衝突試験システムを中心に売上が増加しました。

また、欧州でのEV化推進の方針転換により、エンジン周辺試験のリピート案件が復調したことで、汎用品の需要も増加しました。

主要事業分野の売上高【工業計測分野】

工業計測分野の売上高は、前期比3.6パーセント増の34億7,800万円となりました。電機メーカーや海外の日系企業を中心とした設備投資関連で、汎用品の売上が増加しました。

当分野は、汎用品を中心とした需要のもと、今後も増加傾向にあります。

主要事業分野の売上高【環境・防災・エネルギー分野】

環境・防災・エネルギー分野の売上高は、前期比6.4パーセント減の23億6,100万円となりました。ダム関連の堤体観測装置の更新需要は、当期の売上は減少となりましたが受注は依然好調であり、今後も堅調な推移が見込まれます。

エネルギー関連では、洋上風力など再エネ関連も含めた設備投資需要が増加しています。

主要事業分野の売上高【運輸・交通インフラ分野】

運輸・交通インフラ分野の売上高は、前期比12.3パーセント減の23億5,400万円となりました。道路関連は前期に高速道路向けの設置型車両重量計測システムの大口工事物件の売上があったことから当期は減少となりましたが、鉄道関連や航空宇宙関連で売上が増加しています。

また、鉄道関連では特注・システム品と計測コンサルティングの売上が大きく増加しました。

主要な海外地域別の売上高

海外の地域別売上状況についてご説明します。海外売上高は、前年同期比2.8パーセント増の21億5,800万円と増加しました。

中国では、景気の低迷が続くものの、現地自動車メーカーなどローカル企業への販売網が拡大しました。

欧州では、エンジン周辺の試験で使用される高温用ゲージの需要が復調した結果、売上増加に貢献しました。

アジア地域は、当期よりタイの子会社が連結対象から外れたことと、前期に大口案件があったことから減少となりました。

2025年の業績予想

今期の見通しについてご説明します。今期の連結業績予想は、売上高158億円、営業利益14億円、経常利益14億5,000万円、当期純利益11億円と、3期連続の増収増益を見込んでいます。

配当については、第2四半期末に10円、期末に10円、年間合計で1株あたり20円の配当を予定しています。

業績達成に向けた取り組み

業績予想達成に向けた取り組みとしては、計測の入口から出口まで一括受託可能な強みを活かしたトータル提案を加速していきます。汎用品、特注システム品、計測コンサルティングなどの商品サービスをフル活用し、お客さまの課題解決にフォーカスした提案営業により、業績を確保していきます。

また、引合情報を活用した生産対応により、リードタイムの短縮や平準化を促進し、収益力の向上を図っていきます。

代表取締役の異動

代表取締役の異動についてご案内します。昨年12月23日にリリースしたように、定時株主総会後に下住取締役が代表取締役社長執行役員に就任する予定ですので、よろしくお願いします。

引き続き下住より、中期経営計画「KYOWA Vision 2027」を説明します。

下住晃平氏:取締役上席執行役員の下住晃平です。簡単に自己紹介をさせていただきます。1995年に当社に入社した後、長い間、技術職として製品開発・設計や生産技術に携わり、その後経営管理と経験を重ね、今日に至ります。

社是に掲げる「大会社たらんよりは最良の会社たらん」の創業精神のもと、安心で持続可能な未来づくりに貢献することを目指し続けていきますので、ご支援いただきますよう、よろしくお願いします。

それでは、本年よりスタートした中期経営計画「KYOWA Vision 2027」についてご説明します。

1.前中期経営計画(2022~2024)の振り返り 位置づけ・基本方針

はじめに、2022年から2024年の3年間に取り組んできた前中期経営計画について振り返ります。

前中期経営計画は「計測を通じ、お客様と共に社会と人の安全を実現し、安心な未来をつくる」という新たな経営ビジョンの実現に向けて、6つのミッションと4つの基本戦略を定め、取り組みを続けてきました。

1.前中期経営計画(2022~2024)の振り返り 位置づけ・基本方針

6つのミッションと4つの基本戦略については、スライドに記載のとおりです。

1.前中期経営計画(2022~2024)の振り返り 主な取り組み

前中期経営計画の主な取り組みと成果についてご説明します。4つの基本戦略に基づいたさまざまな施策により、事業基盤の強化を推進し、成長に向けた土台を整備してきました。事業基盤の強化と、さらなる成長に向けた取り組みは、今年からスタートした中期経営計画でも継続して取り組みます。

1.前中期経営計画(2022~2024)の振り返り 業績推移

前中期経営計画の業績推移はスライドの表のとおりです。中期経営計画開始初年度より、コロナ禍に伴う部品調達難の影響などを受け、売上高は当初計画を下回る結果となりました。

2023年下期以降は、新型コロナウイルスの収束傾向に加え、部品調達難の緩和により、売上高と生産高が回復し、原価率が改善されました。また、事業基盤の強化に向けた取り組みが着実に成果を上げ、営業利益とROEは当初計画を達成しました。配当についても、配当性向50パーセント以上という方針を堅持しました。

2. 基本方針

今年からスタートした3ヶ年の中期経営計画「KYOWA Vision 2027」をご説明します。本中期経営計画の基本方針は「既存分野の深耕とサービスの拡充・創出により持続的な事業の成長を目指す」「収益力の向上と資本効率の改善により企業価値向上を目指す」の2点です。

この方針に沿った施策として、主要事業分野における重点取り組み事項に加え、基本戦略の1つ、「計測事業のさらなる拡充」をさらに深掘りして、3つの重点施策を定めました。

3.主要事業分野

主要事業分野における重点取り組み事項についてご説明します。当社の主要な各事業分野において、成長が期待される市場に重点的にアプローチしていくことで、業績を確保します。

自動車試験分野では、EV・水素燃料自動車など、脱炭素社会に向けた新車開発が活発化していることから、増加する試験需要に応えつつ、技術とともに変化していく試験ニーズを捉え、付加価値の高い計測ソリューションを提供します。

工業計測分野では、自動化の加速や規制・基準の強化等を背景に、幅広い分野での研究開発や設備投資がより一層促進されています。これらの市場情報を活用し、お客さまへの営業提案と確実な生産対応によって、受注の獲得を狙います。

環境・防災・エネルギー分野では、電力需要の増加への対応と脱炭素社会実現への取り組みの両立に向け、再生可能エネルギーの普及や原子力発電の安全性向上など、エネルギー関連市場は拡大傾向にあります。そこで、エネルギー施設の維持管理などに対する計測需要への対応力向上を当社グループ全体で図ります。

運輸・交通インフラ分野では、高速道路や鉄道などの交通インフラの安全を支える計測装置の更新需要が堅調に推移しています。

また、航空・宇宙関連においては、ロケット等の宇宙関連や小型航空機メーカーなどのスタートアップ企業からの計測需要が増加しており、市場拡大が見込まれています。当社の計測技術と積極的な営業活動によるフォローアップで、新技術の発展に貢献します。

4. 事業戦略 基本戦略:1.計測事業のさらなる拡充

本中期経営計画では、前中期経営計画での取り組みを引き継ぎながら強化することで、事業基盤をより強固にし、ミッションの達成とビジョンの実現に取り組みます。

1つ目の基本戦略である「計測事業のさらなる拡充」は、お客さまのニーズを満足する時代に合った商品のタイムリーな提供と、現地調整・点検作業などのフィールドビジネスの強化に加え、3つの重点施策を進めます。

重点施策の1つ目を「校正事業の拡大」、2つ目を「クラウドサービスの事業化」、3つ目を「生産強化に向けた投資の推進」としました。

4.事業戦略 計測事業のさらなる拡充 重点施策

3つの重点施策は、「事業領域の拡充」と「生産力強化」により、持続的な成長を目指すものとなっています。

生産強化に向けた投資の推進により、持続的成長を支える土台を強化します。事業領域の拡充は、計測機器メーカーとして欠かすことのできない校正事業を重点事業とし、拡大に向けた取り組みにより、成長を促進します。

また、新たにクラウドサービスを展開し、事業化を進めていくことにより、お客さまへ新たな価値を提供・創出します。

重点施策:①校正事業の拡大

まず、「校正事業の拡大」についてご説明します。現在の事業環境については、世の中全体でコンプライアンス意識が高まっており、計量器や計測器の精度を国際的に証明するニーズは年々増加しています。その中でも特に、自動車分野を中心に、国際MRA対応のJCSS/ASNITE校正の需要が急速に拡大しており、今後も増加が見込まれています。

現状のままでは、当社は急激な需要増加に対してサービス提供能力が追いつかず、対応の遅れや機会損失が発生する可能性があります。

重点施策:①校正事業の拡大

そこで、国際MRA対応のJCSS/ASNITE認定校正サービスの対応力強化に取り組みます。具体的には、校正設備の更新・増設や、対応人員の増強と育成といった投資を実行し、新たな公的認定を取得することで、2024年比約310パーセントとなる約2億円の校正事業での売上と、自動車試験分野を中心とした関連製品の売上増加を見込んでいます。

重点施策:②クラウドサービスの事業化

続いて、「クラウドサービスの事業化」についてご説明します。当社の計測器とサービスの目指す方向性として、当社が保有する計測技術をベースに、技術領域を拡大・進化させることで、最適な計測ソリューションの提供を目指しています。クラウドサービスの事業化は、当社の目指す方向性に沿った事業展開の1つとなっています。

現在の社会環境において、DXの重要性は高まり続けており、デジタル技術の需要は拡大を続けています。幅広い分野でクラウドが利用されており、今後も需要の拡大が見込まれています。

当社のクラウド事業は、幅広い分野での計測ニーズに適用が期待されています。クラウドサービスという新たな事業領域を獲得することで、当社の計測サービスに新たな価値を創出できると考えています。

重点施策:②クラウドサービスの事業化

クラウドサービスの事業化で取り組む内容は、IoTによる多点計測データの一元管理・監視サービスの実施・運用と事業拡大に向けた取り組みです。

使用用途によって使い分けられる2種類のサービスの提供を開始します。また、組織、人員体制の段階的整備やクラウド対応製品を拡充し、長期的にはAI分析など、プラットフォーム機能の拡充を見越した取り組みを実施します。これらの取り組みにより、クラウドサービスによる新たな計測手法の提案が可能となり、関連製品の売上増加も見込まれます。

重点施策:③生産強化に向けた投資の推進

重点施策の最後となる「生産強化に向けた投資の推進」についてご説明します。

本施策では、売上拡大・原価低減に向けた生産対応力の強化に取り組みます。1つは、山形工場の全体最適化・効率化の推進、もう1つはセンサの生産対応力強化に向けた新たな投資の推進です。さまざまな角度から現状分析を行った上で、投資計画を策定・推進します。これらの取り組みにより、的確なQCDの確保と未来の成長を支える基盤を構築します。

4.事業戦略 基本戦略:2.顧客満足のさらなる向上

2つ目の基本戦略である「顧客満足のさらなる向上」では、ECサイトのラインナップ拡充、デジタルの積極的な活用による提案・販売強化策に加え、お客さま視点に立った情報発信力の強化、汎用製品の計測ソリューション対応力強化など、さまざまな着眼点からお客さまに提供する価値を高めます。

4.事業戦略 基本戦略:3.変革を促す事業基盤の強化

3つ目の基本戦略である「変革を促す事業基盤の強化」は、IT環境の再構築、生産性の高い組織を実現するための働きやすい環境整備への投資、人とつながり協働するための企業風土の醸成、収益力向上に向けた製品戦略と資産効率の改善をテーマにして取り組みます。

これにより、経営資源の効率的な運用を実現するとともに、社員1人ひとりがいきいきと活躍できる環境を整備することで、組織全体の遂行能力を向上させます。

4.事業戦略 基本戦略:4.ESGへの取り組み

4つ目の基本戦略である「ESGへの取り組み」は、当社のマテリアリティに対して、施策の着実な実行とモニタリングに取り組みます。

5.財務目標数値

中期経営計画の財務目標数値についてご説明します。これまでご説明した各施策の着実な実行により、既存事業の成長、収益力の向上、資本効率の改善を進め、2027年に売上高170億円、営業利益17億円の達成を目指します。

6.資本コストや株価を意識した経営 現状分析

資本コストや株価を意識した経営についてご説明します。当社の現状として、PBR(株価純資産倍率)は足元で0.6倍前後と1倍割れが続いています。これはROE(自己資本利益率)の低さに課題があると認識しています。

ROEについては、CAPM算定による株主資本コストに近い水準で推移しているものの、市場の期待リターンとの間には乖離があると認識しています。そのため、収益力の改善と株式市場での評価向上に向けた取り組みが必要な状況です。

6.資本コストや株価を意識した経営 取り組み

当社の資本コストや株価を意識した経営に関する目標として、中期経営計画の着実な実行を通じて、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現し、「ROE8パーセント」「PBR1倍以上」の達成を目指します。

目標達成に向けて、4つの取り組みを実行します。1つ目は「収益性の向上」、2つ目は「バランスシートの最適化」、3つ目は「株主還元の充実」です。配当金の維持・増配を目指す累進配当を基本方針とし、投資家のみなさまにより安心して当社株式を保有いただけるようにします。また、3年間で15億円以上の自己株式取得を見込むとともに、株主優待制度の導入を検討していきます。4つ目は「市場評価の向上」です。これらの施策と中期経営計画を一体として推進します。

6.資本コストや株価を意識した経営 【参考】配当の推移

スライドは株主還元の参考として、これまでの配当の推移を掲載しています。

6.資本コストや株価を意識した経営 2025年~2027年のキャッシュアロケーション

中期経営計画期間におけるキャッシュアロケーションについては、持続的な成長と企業価値向上に向け、重点事業への投資や経営基盤強化に資本を積極的に配分するとともに、財務健全性を維持しながら、株主還元の充実を図ります。

これからも企業価値向上に向けて各施策を確実に実行していきますので、ご支援賜りますよう、よろしくお願いします。本日はご清聴ありがとうございました。