目次

角裕一氏(以下、角):ウィルグループ代表取締役社長の角です。ウィルグループについてご説明します。本日の内容は、当社の概要、中期経営計画、2025年3月期通期業績予想、株主還元についてです。

1.ウィルグループとは -代表者紹介-

:当社概要と私自身についてご説明します。当社は1997年に創業し、2006年に設立しました。人材サービスを中軸に成長し、現在は国内をはじめ、シンガポールやオーストラリアなどに48社のグループ会社を有しています。

私自身は2003年に新卒として入社し、複数の事業部に携わり、グループ全体を管轄する人事部門の執行役員を経験した後、事業会社の代表取締役として事業を牽引しました。その後、2023年にウィルグループの3代目代表取締役社長に就任しました。

また、昨年9月25日付でリリースしているとおり、私自身が市場から約3億円規模となる当社の株式取得を行いました。30万2,300株の買い付けが完了し、私自身の当社株式の保有数は、1月末時点で33万3,000株となりました。あらためて、株主のみなさまとウィルグループの成長にコミットし、思いを共有したいと考えています。

関本圭吾氏(以下、関本):私からご質問します。まずは、社長自らの株式取得は非常にすばらしく、がんばっていただきたいと思っています。今後新たに社長になる方も同じことができるとよいと思いますので、視聴者の方も圧力をかけていきましょう。

今回、角社長が3代目に就任された背景が気になっています。他の取締役陣よりもお若いことが印象的ですが、どのような経緯で代表取締役に就任されたのでしょうか?

:今回の代表取締役交代は、数年前からサクセッションプランを準備し、計画的に実行してきました。

なぜそのように進めてきたかと言うと、日本ならびに海外での成長拡大をしていく際、マーケットの変化に対応し続け、世代という観点も持ちながら持続的な成長能力を持った経営陣を作っていくためには、「10年ほどのサイクルでバトンを渡し続けるスタイルが望ましいのではないか」と考えたためです。その計画の中で、私が代表取締役に選ばれました。

関本:ありがとうございます。日本の社長の平均年齢は50歳から60歳のため、40歳は非常にお若いと思います。応援しています。

:ありがとうございます。

1.ウィルグループとは

:本日お伝えしたい内容は、3つあります。1つ目は、ウィルグループは「職のミスマッチ」という、これからより深刻になっていく社会課題の解決に挑戦しています。

2つ目は、ウィルグループは職種(カテゴリー)に特化した専門人材サービス企業です。グループで見るとさまざまな事業を行っていますが、人材サービスにおける業種ごとに事業を展開し、各領域に特化して取り組んでいます。

3つ目は、ウィルグループは安定的で持続的に成長することのできるポートフォリオを有している企業グループです。以上の3つを覚えていただければと思います。

1.ウィルグループとは -日本の労働市場の展望-

:1つ目の「職のミスマッチ」についてご説明します。スライドのグラフは、三菱総研が発表している、2030年までの職種別の労働需給ギャップです。

グラフ上部が過剰、下部が不足する職種を示しています。スライド右側に記載のとおり、2030年には、生産職や事務職は合計200万人強が過剰となる一方、ITや建設、製造のエンジニアなどの専門職は170万人が不足すると予測されています。

これはあくまでも予測であり、さまざまな変数で変わっていきますが、この要因として、テクノロジーの進化が非常に大きな影響を与えています。

日本の派遣市場で最もシェアが高い職種は、今後過剰が見込まれている生産職と事務職です。当社グループでは事務職はほとんど扱っていませんが、生産職は、メイン職種として多くの案件を取り扱っています。

この需給ギャップに対して、当社は非常に強い危機感を持っています。このままでは派遣市場の中でスタッフが働き続け、キャリアを積み重ねていく選択肢が途絶えてしまうと考えています。

そのため、人材が圧倒的に不足するITや建設、製造のエンジニアなどの専門職領域に対し、当社グループ内のキャリアパスを活用することで、今後も派遣スタッフがポジティブな選択肢を持ち続けられるようサポートしていきたいと考えています。

また、人材ビジネスにおいて、派遣スタッフと派遣会社は運命共同体です。つまり、派遣スタッフが豊かにならなければ、当社の経営の観点でも豊かになれません。日本の労働人口は減り続けていくと予測されているため、新たに人を増やすこと自体は非常に難しくなっていきますが、人の価値を上げていくことは可能だと考え、働く人をエキスパートにするキャリアパスの最大化と最適化に向けた取り組みを行っています。

さらに、お客さまもオートメーション化やオフショアの導入を進める中で、エンジニアなどの専門人材がますます必要になっていきますが、人材が足りていません。当社のスタッフがエンジニアとしてジョブチェンジし、リスキリングしていくことができれば、お客さまの経営的な機会損失を抑えられます。

働き手、当社、お客さまの3者における課題を解決することが互いのポジティブな結果に結びつくという考えのもと、「職のミスマッチ」という非常に深刻な社会課題の解決を目指しながらチャレンジしています。

1.ウィルグループとは -当社グループの現在の主要事業領域-

:2つ目の「職種(カテゴリー)に特化した専門人材サービス企業」についてです。スライドに示しているように、当社はさまざまな職種で事業を展開しています。

当社の成長の背景には、「定着率が悪い」「人手不足が慢性化している」「参入時に当社がシェアを取りにいける優位性がある」という3つの条件を揃えている職種を時代ごとに見極め、参入してきたことがあります。

現在の当社のポジションは、事業開始から時間が経ち成熟している、販売員派遣、オペレーター派遣、介護人材派遣の領域でトップ3のシェアを獲得しています。

スライド下段に示した食品・製造業派遣領域では、7位です。食品カテゴリー単独では各社ポートフォリオや正確な数字を把握しづらいため当社調べではありますが、上位に位置していると考えています。

また、建設技術者派遣は一番最近参入した領域ですが、昨年の11位から現在は8位と、ハイピッチでシェアを拡大しています。さらに、海外人材サービスも展開しています。

基本的に、当社は「勝ちにいく」と決めた領域にのみ取り組んでいます。人材派遣サービスは差別化を図りにくい上にプレイヤー数が世界一多く、競争が非常に激しい市場です。その中で、当社がこれほどマーケットシェアを拡大し、順位を上げてこられた勝利の秘訣は、スライド下段の赤枠で示している「成果追求」「人材育成力」「定着率向上」という3つの強みです。

最も大切なのは、「成果追及」です。派遣ビジネスの請求形態は「人数×時間単価」であり、成果は関係ありませんが、ただ時間と人数を提供するだけでは、「当社が選ばれる理由」にはなり得ません。そこで、当社は早い段階から価値を高めることに着手しました。

しかし、回転率が高く、有期契約をベースとしているカジュアルなワークスタイルでは、定着率を高めることが難点でした。そこで、どの職種においても、人材育成力と定着率の向上をテーマに掲げ、チームを作って成果を出すサイクルを進めてきました。

1.ウィルグループとは -ハイブリッド派遣とは-

:その有効な仕組みが「ハイブリッド派遣」です。簡単に言うと、スタッフが働く現場に当社の社員である管理者が常駐するスタイルです。このスタイルには、大きく2つの利点があります。

1つ目は、スタッフの不安を解消し、安心して働いてもらえることです。短期間で辞めてしまう理由は大きく分けて2つあり、仕事についていけないこと、人に馴染めないことです。勤務初日は誰に頼ればよいかよくわからず不安を感じるものですが、当社社員が現場に常駐していることで、最初のトレーニングを行ったり、他のスタッフとの接点を作ったり、さまざまな面でスタッフをサポートすることができます。

2つ目は、派遣先のお客さま側の利点です。さまざまな派遣会社から多くの派遣スタッフが就業している中では、当日欠勤や遅刻、「子どもが熱を出して出勤できない」など、日々さまざまな労務上のトラブルが発生します。

「さまざまな派遣会社があり、どうしたらよいかわからない」という際も、派遣会社の社員が目の前にいれば、「カバーしてもらえませんか?」とすぐに相談できます。1ヶ月や2ヶ月先の新たなプロモーションや新製品の発売時にも、「何十人必要なのですが、準備できますか?」と現場で直接相談できるのです。

つまり、当社が近い距離でお客さまと関係を築くことで、お客さまの課題と触れ合うことができます。このように働き手とお客さま、両方に近い距離で対応できることが当社の強みです。

関本:ありがとうございます。ハイブリッド派遣について、1点質問です。メリットが多い仕組みだと思いますが、他社ができない理由は何ですか?

:このご質問は、今まで多くの方からいただいてきました。おそらく、管理者である社員の配置はすぐにできます。しかし、当社と同じようなパフォーマンスを発揮することは難しいのではないかと思います。

その理由の1つは、現場に常駐する管理者は働き手とお客さまの矢面に立つため、非常にタフな職務です。「このお客さまのシェアを絶対No.1にする」「このお客さまから一番にウィルグループが選ばれる」という、ウィルグループに対する社員の強いエンゲージメントが必要になります。

もう1つは、先ほど例で挙げたように、他社で派遣スタッフの欠勤が発生した場合や、「来月の新商品製造のために何十人のスタッフを手配できないか」といった相談があった際、その課題を解決する手段は現場管理者が選びますが、実際に手段を実行するのは現場管理者自身ではなく、管理者が所属する支店です。

そのため、支店側との連携が重要となります。そして支店にいる社員たちも矢面に立つ現場管理者が非常にタフな職務であることを理解しているため、サポートに全力を注ぎます。

このように、高いエンゲージメントと成熟したオペレーションの2つがしっかり構築されていることが、他社では対応できない理由だと思います。

関本:そもそもの社員の質に加え、単純に人を置くだけでなく、裏側の体制まで整えなければいけないということですね。

:そのとおりです。

1.ウィルグループとは -現在の事業内容と売上構成-

:3つ目の「安定的で持続的に成長することのできるポートフォリオを有している企業グループ」についてです。スライドの円グラフの外側は国内Working事業と海外Working事業の売上比率、内側は職種ごとの売上比率を示しています。

売上収益の60パーセントが国内Working事業、40パーセントが海外Working事業です。内側の円も、特定の事業領域に偏ることなく、比較的均等なバランスで構成されています。そのため、どこかの事業が厳しい状況になっていたとしても、別の事業でカバーしながら、しっかりとグループ全体を伸ばすことができます。

また、ポートフォリオ上でキャッシュを強く創出できるものの成長は軟調になってきている事業と、大きく投資して成長期に入っている事業があり、持続的かつ安定的に高い成長を実現できるポートフォリオとなっています。

1.ウィルグループとは -沿革と成長の軌跡-

:当社の沿革です。現在展開している事業は、1997年に大阪での軽作業の請負からスタートしました。

2000年に人材派遣業に参入し、2002年にはセールスやコールセンター分野の人材サービスを開始しました。2012年には海外人材サービスをスタートし、2014年に介護人材サービスを開始、直近では建設技術者人材サービスを開始しています。このように、時代ごとにチャンスを見定めて参入し、成長力を培ってきています。

1.ウィルグループとは -国内市場と業界における当社のポジション-

:当社のポジションです。スライド左下のグラフは人材業界における売上ランキングを示しており、当社は現在9位となっています。また、スライド右下のグラフは過去10年間の売上成長率であり、当社は3位となっています。

1.ウィルグループとは -ウィルグループの成長力-

:10年間の株価、売上、営業利益の成長力についてです。株価は2.9倍、売上は6.2倍、営業利益は7.4倍となっています。

2.中期経営計画(WILL-being2026) -中期経営計画策定に向けての課題と方針-

:中期経営計画です。まずは、中期経営計画を策定した背景について簡単にご説明します。

スライド左側の課題が念頭にあります。前中期経営計画ではポートフォリオシフトとデジタルシフトによる高収益体質化を目指していましたが、前中期経営終了時点で営業利益率は依然として3パーセント台という課題がありました。

また、国内Working事業と海外Working事業のセグメント別で見た際、前中期経営計画では海外Working事業の成長が非常に顕著である一方、国内Working事業は成長が鈍化しているという課題がありました。

したがって、営業利益率と国内Working事業の再成長の2つの課題をどのように解決していくかが、中期経営計画の基本的な骨子になっています。

2.中期経営計画(WILL-being2026) -基本方針と戦略-

:基本的な骨子に沿って、どのような計画を立てているのかをご説明します。基本方針は、「国内Working事業の再成長」で、国内を中心に利益率の高い事業を伸ばすことです。

国内Working事業では、建設やそれ以外の領域においても、正社員派遣や外国人雇用支援など、利益率の高い領域に取り組んでいくこととしました。海外Working事業では、人材紹介を中心に安定した成長を作っていくことが、基本的な中期経営計画の内容です。

スライドに記載のとおり、中期経営計画最終年度の2026年3月期に、売上高1,700億円、営業利益65億円の経営目標を定めていましたが、昨年、経営目標とそれに伴うKPIを修正しました。

2.中期経営計画(WILL-being2026) -経営目標修正の背景-

:修正理由は複数ありますが、最も顕著だったのは、海外の人材市場の見立てを誤ったことです。

海外Working事業は、2023年3月期まで非常に大きく成長しました。新型コロナウイルスの最初の流行期である2020年頃、シンガポールやオーストラリアでは厳しいロックダウンが実施され、企業の採用が停止していましたが、2021年後半から2023年にかけて、新型コロナウイルス感染症拡大のリバウンドバブルにより市場が急激に動き出し、特に人材紹介を中心にすさまじい伸び方をしました。

この急成長がバブルであるという認識がなかったわけではなく、それなりに成長の鈍化を想定していたものの、実際は鈍化ではなく減退したことにより、中期経営計画初年度の業績に大きな乖離が生じました。

さらに、リバウンドバブルの影響に加え、インフレによる賃金の急激な伸びも起こりました。現在は日本もインフレの影響で賃上げの傾向にありますが、その比ではないほどオーストラリア、シンガポールなど当社が事業展開をしている地域では大きく賃金が引き上がっています。リバウンドバブルで多く雇用を抱えた中での、インフレによる人件費高騰の影響で、企業は新規採用に対して慎重になっている状況です。

これは、リーマンショックやファイナンシャルクライシスとは異なり、健全なマーケットに戻るまでにはそれなりに時間がかかるだろうと考えています。

国内Working事業の再成長のプランをすべて止め、利益を捻出するスタイルをとれば、お約束した営業利益65億円を実現できるのではないかと経営陣の中で検討しました。しかし、再成長のプランをすべて止めたことで、中期経営計画が終了した2026年以降、国内Working事業はさらに深刻な状況になっているとすると、株主のみなさまが期待することは一時的な利益の創出ではなく持続的な成長であると考えました。将来思い切り成長するエネルギーを蓄えることを優先したいと判断し、中期経営計画を修正しました。

2.中期経営計画(WILL-being2026)-サービス毎の収益モデル-

:先ほどお伝えした、「国内Working事業の再成長は、収益性の高いゾーンを伸ばしていく」ということを示したものが、スライドの表です。

赤枠が正社員派遣と外国人雇用支援で、赤枠の左にある有期派遣と業務請負が、これまで当社が成長を拡大してきたゾーンです。これらを比較すると、赤枠は売上総利益率が高いだけでなく、定着率と市場成長性も高いことがわかります。

既存のオペレーションや社員スキル、顧客基盤などのアセットをそのまま活かすことができるため、新規参入で新たなマーケットに挑戦するのではなく、うまく事業転換をすることができるということです。収益性の高い正社員派遣と外国人雇用支援でしっかり伸ばしていくことが、現中期経営計画の基本的な考え方です。

2.中期経営計画(WILL-being2026)-事業ポートフォリオの転換-

:スライドのグラフでは、どのように事業ポートフォリオを転換していくかを示しています。縦軸が営業利益率、横軸が投下資本です。グラフに記載のとおり、赤枠部分の正社員派遣と外国人雇用支援を拡大していきたいと考えています。

2.中期経営計画(WILL-being2026)-KPI進捗-

:中期経営計画のKPIに対する進捗です。戦略Ⅰは、建設技術者領域のさらなる成長、収益化の実現です。建設技術者領域を伸ばすには、採用人数と定着率が上がれば、当然ながら成長していきます。この2つのKPIは順調に推移し、計画を上回る状態になっています。

戦略Ⅱは、建設技術者領域以外の職種でも正社員派遣を行い、外国人雇用支援も行うということです。正社員派遣稼働人数と外国人雇用支援人数、ともに計画を上回る進捗で推移できています。

2.中期経営計画(WILL-being2026)-戦略I(国内W)建設技術者領域の進捗①-

:建設技術者領域の進捗についてご説明します。スライド左側のグラフは四半期別売上の推移、スライド右側のグラフは採用人数の推移を示しています。四半期別売上は順調に伸びており、採用人数は毎期、前年同期を上回っています。

2.中期経営計画(WILL-being2026)-戦略I(国内W)建設技術者領域の進捗②-

:正社員派遣の場合、稼働率、定着率、そして単価が非常に重要です。稼働率に関しては、98.6パーセントと高い水準を維持しています。

また、今後は定着率をさらに上げたいと考えているため、来期以降は定着率に焦点を当てたオペレーションに切り替えます。

平均契約単価を上げ続けることは、定着率と収益の上昇にも大きく効果を及ぼすため、生命線となる部分ですが、新卒・未経験者の平均契約単価は、前年同期比で約6パーセント上昇しています。一言で言えば、建設技術者領域は順調であるということです。

2.中期経営計画(WILL-being2026)-戦略I(国内W)建設技術者領域における取組み-

:社員のエンゲージメントを高めることは、非常に大切です。そのため、入社式をはじめ、研修、自信を持ってお客さま先に臨めるようにするための資格取得も含め、サポートを行っています。

また、社員は基本的にお客さま先にいるため、社内での研修の際には交流会も行っています。

関本:建設技術者領域については、他の正社員とは異なり独立して目標設定されており、御社の「注力するぞ」という思いが表れていると思います。また、このあたりを伸ばそうとした時には採用と育成方法が大事だと個人的に思っています。

先ほど、採用については定着率の向上を図りたいというお話がありましたが、具体的にどのような取り組みをされるのでしょうか? 実際に今年や来年に体制変更を考えているなど、施策面についてお聞かせください。

:まさにこのビジネスにおいて採用は非常に大事な部分となるため、短期的なアプローチと長期的なアプローチの2つを重視しています。

短期的なアプローチとしては、競争がかなり苛烈になっているため、エージェント、いわゆる外部パートナーを含めてウィルグループ採用チームを編成し、積極的な採用活動を行っています。

例えば、若年層に大きな強みを持つROXXというエージェントと資本業務提携し、AIなどを活用したり、ROXXサイドとのオペレーションの組み合わせのようなものやシステムを使ったりして、リードタイムが短く、マッチング精度の高い採用を目指しています。

長期的なアプローチとしては、テレビCMなどのマスプロモーションを実施し、認知度を高め、自社メディアからの流入を増やすことを目指しています。

Google検索のアルゴリズムでは、当社の社名を直接入力することが検索結果に強く影響しているため、認知度を上げ、実際に自社メディアへの流入を増やし、採用人数を伸ばしていくという、短期と長期のアプローチを組み合わせて進めています。

関本:まさに、最近上場したROXXと現場の領域で採用支援を行い、そのような取り組みを応援しているということですね。

:おっしゃるとおりです。

関本:やはり、採用環境は苛烈ですか?

:相当苛烈です。「今、満足な人数の採用ができ、十分なチームを組めています」と言える日は、おそらく来ないと思います。常に力を入れ続けなければいけません。

当社は、他社に比べて新卒採用が圧倒的に強いです。中途採用チームと新卒採用チームの2つが常に動いており、当社の新卒採用の人事に関わるメンバーは常にジョブチェンジしてチームを構成しています。また、リクルーターと呼ばれる当社の社員が学生や求職者と常に短い距離でコミュニケーションを取りながら採用するなど、全社総力戦で取り組んでいるイメージです。

関本:採用と育成に取り組むために、ミドルバックのようなところの陣営強化を含めて取り組まれているのですね。

:おっしゃるとおりです。

2.中期経営計画(WILL-being2026)-戦略II 国内W(建設技術者領域以外)の再成長(正社員派遣の進捗)-

:戦略Ⅱは、建設技術者領域以外の国内Working事業の再成長です。正社員派遣採用人数と正社員派遣稼働人数は順調に推移し、計画を上回る状態になっています。

セールスアウトソーシング領域のペースが若干低下気味ですが、一昨年前から始めたファクトリーアウトソーシング領域における正社員派遣の採用人数と稼働人数の拡大により、全体的には伸びています。

当社のポートフォリオのバランスは、ここでも功を奏していると思っています。

2.中期経営計画(WILL-being2026)-戦略II 国内W(建設技術者領域以外)の再成長(外国人雇用支援の進捗)-

:外国人雇用支援の進捗です。こちらも、入社人数や支援人数は順調に伸びています。

関本:外国人雇用支援では、どのようなところにクライアントのニーズがあるのでしょうか?

:日本人だけでは従業員不足を解消しきれないということから、外国人に向けた技能実習や特定技能を導入していきたいというお客さまからのニーズがあります。

まず、外国人を雇用する際、そもそも採用方法がわからないということがあります。さらに、雇用にあたっては、日本語学習の機会の提供、日本人との交流促進、住居の確保、銀行口座等の開設、水道・ガス・電気等の生活に必要なインフラの契約支援といった、雇用者に義務づけられている対応項目が複数あります。

つまり、外国人を雇用する際には日本で安心して生活・就労できる環境を整えるための支援をすべて行い、雇用者としての義務を果たさなければならないという障壁もセットで付いてくるということです。

したがって、「ちょっと人手不足を解消したいから、日本人ではなく外国人を雇用してみようか」というスタンスでは、外国人を雇用することができません。

さらに、例えばとある企業が初めてベトナム人を採用しようとした時、自社にベトナム語を話せる人がいなければ会話をすることも難しいなど、他にもさまざまな障壁があります。

当社の外国人雇用支援は、それらをすべて支援するということです。当社には10数ヶ国の社員が在籍しており、外国人雇用の際の採用や導入後の環境の準備など、すべてをサポートするサービスになります。

関本:採用から育成まで、これまでの体制にはないものを用意しなければいけないところをサポートするというイメージですね。

:おっしゃるとおりです。

関本:この領域における御社のポジションについては、トッププレーヤーなのか、まだ立ち上がりの途中なのか、現在はどのような状況ですか?

:上場している人材サービスプレーヤーの中では、このポジションを確立している当社はトップクラスだと思います。非上場の企業を含めると、もう少しプレーヤーがいる状況です。

2.中期経営計画(WILL-being2026)-戦略II 外国人雇用支援における取組み①-

:外国人雇用支援における取り組みとして、日本語の教育や資格取得を支援しています。

2.中期経営計画(WILL-being2026)-戦略II 外国人雇用支援における取組み②-

:外国人雇用支援における入社後フォローとして、社内表彰制度や資格支援等も行っており、実際に資格を取得している方がたくさんいます。

2.中期経営計画(WILL-being2026)-戦略II 外国人雇用支援における取組み③-

:ベトナム政府から表彰をいただいています。ベトナムに構えている現地法人WILLOF Vietnam Company Limitedが、ベトナム国内の数多くの外国企業の中で、質の高い教育や価値の高い雇用支援を行ったことを評価いただいているかたちです。

2.中期経営計画(WILL-being2026)-戦略I・II 売上総利益のサービス別構成比の変化-

:中期経営計画における戦略を通じて、どのようなインパクトを出しているかご説明します。スライド左側のグラフは前中期経営計画の最終年度となる2023年3月期、スライド右側のグラフはその1年9ヶ月後の2025年3月期第3四半期累計の国内Working事業の売上総利益の構成比を示しています。

売上総利益のうち、正社員派遣および外国人雇用支援が占める割合は、2023年3月期の約29.8パーセントから2025年3月期第3四半期の43.0パーセントとなり、順調に拡大しています。その結果、トータルの粗利率も18.5パーセントから19.7パーセントとなり、1.2ポイント上昇しています。

以上、中期経営計画の背景や進捗状況についてお伝えしました。

2.中期経営計画(WILL-being2026)-戦略I・II「WILLOF(ウィルオブ)」プロモーションの成果-

:先ほど少しお話しした、プロモーションについてです。「WILLOF(ウィルオブ)」の認知率は約370パーセント上昇し、指名検索数は約450パーセント上昇、利用意向度も約310パーセント上昇しました。

テレビCM、SNS、YouTubeを使ったプロモーション施策は、良い結果が出ています。指名検索数の十分な伸びが、コンバージョンを高めるポイントとなります。

2.中期経営計画(WILL-being2026)-国内Working事業(領域別売上、営業利益)-

:国内Working事業の領域別売上や領域別営業利益のグラフをご覧いただくと、濃い赤色で示した建設技術者領域が順調に伸びていることがわかります。

建設技術者領域は、前四半期は赤字に振れていましたが、とにかくトップラインを伸ばすことにフォーカスしてきた結果、第2四半期には黒字へと転換できました。計画は順調に進捗しているということです。

2.中期経営計画(WILL-being2026)-戦略III海外Working事業の安定した成長-

:海外Working事業は、2012年からスライドのグラフでお示ししているような伸びを作ってきています。

先ほどお伝えしたように、中期経営計画を見直す背景にもなった海外Working事業の不調については、マーケット環境が悪い中でも耐え抜こうと努力しており、基本的にはしっかりと成長を作ることができていると考えています。

関本:海外Working事業は、国内Working事業と比較して、過去には収益性高く成長していました。しかし、この3年間を見ると、特に利益面が低下しています。この点についてどのような分析をされているのか、また、復調できるかどうかについて教えてください。

:売上収益に対して営業利益が落ちている要因は、2つあります。

1つ目は、利益率の低い人材派遣売上が増加し、利益率の高い人材紹介売上が減少していることです。粗利率で見ると、人材派遣は10数パーセントであるのに対し、人材紹介は90パーセントから100パーセントとなっています。人材派遣の売上高はシンガポールで大きく伸び、オーストラリアでは若干減少が見られます。

2つ目は、マーケットの鈍化要因にもなっている、インフレによる当社社員の人件費の高騰です。当社自身も、コンサルタントの新規一括採用は行っておらず、在職中の優秀なコンサルタントをキープすることが重要となっています。それと同様のことが、顧客先でも発生しているということです。

関本:このあたりのテコ入れも、かなりしっかりと体制を組んで行われているのですね。

:おっしゃるとおりです。加えて長期的に見た際、私自身が海外Working事業をもっと理解し、この厳しいシチュエーションの中を主導して切り抜けていかなければならないという考えから、1月から海外の中間持株会社のCEOも兼任しています。

とにかく意思決定のスピードを上げるために毎月海外に行き、何をしなければいけないかということを各社のCEOと話し、決めるということを行っています。

関本:2025年3月期は立て直し期というイメージですが、戻っていくと思ってよいですか?

:ご期待ください。

2.中期経営計画(WILL-being2026)-海外Working事業(契約形態別売上、営業利益推移)-

:海外Working事業における、人材派遣と人材紹介の内訳です。スライドの契約形態別売上のグラフをご覧いただくと、人材紹介の売上が減少していることがわかります。それに伴い、営業利益も減っているかたちです。

ROI(投資収益率)を見ると、しっかり成果を出せている部分と出せていない部分があります。そのため、ROIの低い部分を見極め、局所的な不況を切り抜けるためのコストコントロールを実施しています。

大事なのは、筋力を下げないことです。当社の競争力のある分野での人材投資は維持しつつ、持続的な成長エネルギーをきちんと残しながらコストコントロールを実施することが大切だと考えています。

3.2025年3月期通期業績予想、株主還元 -2025年3月期業績見通し-

:2025年3月期通期の業績予想です。スライドに記載のとおり、売上収益、営業利益、親会社の所有者に帰属する当期利益は、順調に推移しています。

3.2025年3月期通期業績予想、株主還元 -2025年3月期配当予想-

:株主還元です。累進配当を行っているため、これまでの方針に基づいて前期実績の1株当たり44円を据え置きます。総還元性向は61.9パーセントの見通しとなっています。

関本:株主還元累進配当と還元性向30パーセント以上は、積極的でうれしいポイントになります。逆に、その他の投資部分のお金の使い方に関する記載がないことが気になります。M&Aやその他の投資についてのお考えをお聞かせください。

:前中期経営計画までは財務部分をどのように改善するかにフォーカスしていましたが、今後の投資においては、M&Aにフォーカスします。

当社は、どの分野を伸ばすかを見極め、投資判断をしています。現在はM&Aに向け、着々とアクションを進めています。

関本:人材系の会社は、キャッシュ・フローが出やすい面があります。配当性向が高い企業も多いと思いますが、株主還元の拡大余地はありますか?

:非常に前向きに考えていきたいところもある一方で、当社の業績をどのように作っていくかということもあります。アロケーションについては、綿密に考えていきたいと思います。

関本:要するに、投資と成長の両面で考えていくということですね。

:おっしゃるとおりです。

3.2025年3月期通期業績予想、株主還元 -株主優待-

:株主優待です。現在行っている優待制度を続けていこうと考えており、配当利回りは4.4パーセントとなります。私からのご説明は、以上です。

質疑応答:IT人材の採用状況について

飯村美樹氏(以下、飯村):「IT人材は、昨今の生成AI需要の伸びにより、完全に不足している状況だと思います。実際の採用状況はいかがでしょうか?」というご質問です。

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