2024年12月期決算説明

トーマス・アクイナス・フォーリー氏:シルバーエッグ・テクノロジー株式会社代表取締役社長兼CEOのトーマス・アクイナス・フォーリーです。本日は、2024年12月期決算発表説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

2024年は厳しい環境の中、減収減益となりました。オンラインでのリアルタイムパーソナライゼーションへの需要は世界的に伸長し、ECツール市場では統合が進み、生成AIの影響が拡大しています。これらを成長と収益拡大の機会と捉え、事業構造を再構築していきます。

2025年、当社は市場におけるリーダーシップを再確立します。新たな販売チャネルで、圧倒的な優位性を持つ新世代のAI搭載サービスを展開します。同時に当社の技術を最大限に活用し、成長市場に本格的に参入していきます。

変革はすでに始まっています。困難を乗り越え、これまで以上に強固な体制を築くことができると確信しています。

取締役兼共同創業者のフォーリー淳子より、詳細をご説明します。

目次

フォーリー淳子氏:シルバーエッグ・テクノロジー株式会社取締役のフォーリー淳子です。本日は、会社概要、2024年12月期通期決算概要、2025年12月期業績予想の順にご説明します。どうぞよろしくお願いします。

会社概要

会社概要についてご説明します。当社は1998年8月に創業し、2025年8月に27年目を迎えます。主な事業内容は、機械学習、AI技術を活用したマーケティングサービスの提供です。2024年12月末時点での従業員数は50名です。

ミッション

当社のミッションは、「AIによるクラウド型サービスで、あらゆるタッチポイントにおけるリアルタイム・パーソナライゼーションを実現すること」です。創業以来、AIマーケティングのリーディングカンパニーとして、事業を展開してきました。

提供サービス

当社が提供する主なサービスをご紹介します。AIレコメンドサービス「アイジェント・レコメンダー」は、ECサイトやアプリ内で、ユーザーごとにパーソナライズされた商品やコンテンツを表示するレコメンドサービスです。このサービスには、各種オプション機能が装備されています。

レコメンドメールサービス「アイジェント・レコガゾウ」は、メールや「LINE」でのパーソナライズレコメンドを実現するもので、特許取得済みです。

レコメンド広告サービス「HotView」は、オンライン広告内で、パーソナライズしたコンテンツをレコメンドする仕組みです。

ターゲティングエンジン「プロスペクター」は、企業が販売する商品に興味を持つユーザーを抽出できるツールです。

「ハッシュタグ・ジェネレーター」は、アパレルEC向けのサービスで、商品画像を解析して適切なハッシュタグを生成し、ECサイト内に埋め込むことができるツールです。

これらのサービスはすべてSaaS型で提供され、月々のご契約で運用サポートも提供しています。この他にも、クライアント企業の課題に応じたコンサルティングや、特化したシステム開発も実施しています。

導入実績

当社は創業以来、累計500社を超える企業にサービスを提供し、長期にわたる信頼関係を築いてきました。特に、当社の主力サービスであるレコメンダー市場において、約41パーセントのシェアを誇っています。

パートナー企業

当社は販売・OEM・ソリューション連携を通じて、多岐にわたるパートナーシップを構築しています。

2024年12月期 業績ハイライト

2024年12月期通期決算概要についてご説明します。2024年12月期は、営業収益が前年同期比で減収となりました。営業利益は、想定以上の減収に加え、新領域の事業への戦略的投資や、為替の影響による通信費増加の影響を受け、前年同期比で減益となりました。

2024年12月期は事業の収益構造改革を目標に掲げ、今後の力強い事業成長の足がかりに向けて、当社のコアであるAI技術を軸に、既存事業の進化と新事業の確立を両輪とした事業活動を行ってきました。詳細については後ほどご説明します。

2024年12月期 業績概要

2024年12月期通期の営業収益は12億2,900万円、前年同期比で2.2パーセント減となりました。減収の主な要因は、主要顧客であるアパレル業界のECサイトにおいて、秋冬物の需要が低迷した影響です。

営業利益の推移

営業利益の推移です。成長機会の拡大に向けた人材・研究開発などの戦略的かつ積極的な投資や、当社が依存しているドル建てクラウドサービスへの支払いが為替影響により増大したことによる、通信費の増加が影響しています。

通信費のコスト削減への取り組みには一定の効果が見られたものの、想定以上の減収もあり、営業利益は6,500万円、前年同期比31.4パーセント減の着地となりました。

財政状態

財政状態です。資産は前事業年度末に比べ増加し、安定した財務体質を維持しています。

2024経営計画- 振り返り

2024年12月期の経営計画について振り返ります。既存事業においては、当社レコメンドサービスの優位性である「高性能」をさらに高めるために、さまざまな取り組みを行いました。多様な情報データを駆使する複数の新アルゴリズムを同時に開発し、一部顧客企業への先行導入において、精度を実証しました。2025年は、より多くの顧客企業へ提供を開始する予定です。

また、従来のレコメンドサービスの課題といわれていた、新ユーザーや新商品へのパーソナライズ対応を実現する新機能「V-レコ」をリリースしました。こちらには、大規模言語モデル(LLM)技術が使用されています。さらに、高性能かつコストパフォーマンスに優れた低価格モデル「アイジェント・レコメンダーS」の提供を開始しました。こちらにより、多様な企業のニーズに応えられるサービスラインナップを構築しました。

一方、プライバシー保護の潮流に対応するため、世界水準のセキュリティ基準へ準拠を完了しています。このようにプロダクトラインナップの拡充に伴い、販売戦略の強化にも努めています。

新事業モデルの確立については、生成AIを活用したダイレクトリクルーティングDX「レコタレント」のβ版をリリースしました。また、建設業向けのDXソリューション開発を開始し、2024年12月に納品を完了しました。

当初予定のスケジュールからは若干遅れがあるものの、収益基盤の強靱化に向けて複数の新領域のサービス開発に着手し、収益源の種をまくことができました。今後も既存事業の強化と新事業の拡大を進め、より多くの企業に価値を提供できるよう努めていきます。

2024年12月期第4四半期トピックス①

2024年のトピックスを5点、ご説明します。既存のAIマーケティングサービス事業では、株式会社日本流通産業新聞社が発行する『日本ネット経済新聞』による、「ファッションEC売上高ランキングTOP150」において、上位10社のうち6社に当社が開発・提供するAIレコメンドサービス「アイジェント・レコメンダー」が採用されています。

「アイジェント・レコメンダー」が購入率向上と顧客単価の向上、リピート利用の活性化等で効果があると評価され、ファッション・アパレル業界各社を中心に広く信頼いただいています。

2024年12月期第4四半期トピックス②

2つ目のトピックスです。当社の主力サービスである「アイジェント・レコメンダー」が、顧客ビジネスの売上向上と顧客の関係構築、つまりエンゲージメントに大きく寄与している事例をご紹介します。

株式会社中川政七商店が運営するオンラインショップ「中川政七商店」に、「アイジェント・レコメンダー」を導入いただいています。店頭での提供と同じように、隠れた商品と顧客の感動的な出会い、いわゆるセレンディピティをオンラインでもリアルタイムで実現できることや、販促記事などのコンテンツのレコメンドができることを評価いただいています。

当社は引き続き、顧客企業のみなさまのWebサイトにおける信頼の高いユーザー体験の実現のために、独自のAI技術とパーソナライゼーションで支援していきます。

2024年12月期第4四半期トピックス③

3つ目のトピックスです。新領域の事業のサービスの第1弾として、2024年11月に、人材発掘AIソリューション「レコタレント」β版をリリースしました。

こちらのサービスは、AI技術によってダイレクトリクルーティングを効果的かつ効率的にサポートするもので、2024年12月に、人材業界の企業に向けてデモンストレーションウェビナーを開催しました。

2024年12月期第4四半期トピックス④

4つ目のトピックスです。新領域の事業のサービスとして、建設企業の課題解決を目的に、多様なパブリックデータをデータビジュアライゼーション化し、迅速な意思決定をDXで解決するシステムを納入しました。

2024年12月期第4四半期トピックス⑤

5つ目のトピックスです。当社は人材への投資が最重要項目であると考えており、人材活用戦略の一環として、従業員の健康やウェルビーイングに配慮し、組織生産性の向上を両立させるオフィス作りを実施しました。これまで、東京オフィスの移転と大阪オフィスリニューアルを行いました。引き続き、従業員とともに変革を起こしていきます。

2025年12月期 業績予想

2025年12月期業績予想についてご説明します。2025年12月期は、解約時期の集中により現時点では減収減益の見込みですが、事業構造の転換と新領域への事業に対する積極的な開発投資により、早期黒字化を目指します。

2024経営計画- 振り返りと次期計画に向けて

2024年は、大きな成果を得ることができた1年でした。新しい道を歩み始めることができた一方、いくつかの課題も明らかになっています。市場が成熟し、消費者の行動が変化していく中で、将来の成長に向けて、事業構造の改革を進めていきます。

具体的には、既存事業の収益力をさらに強化するために、新アルゴリズムによる高性能のレコメンドのリリースや、既存サービスのさらなる品質強化、コスト構造の見直しなどを行い、より効率的な運営体制を整えます。

さらに、新たな成長の柱として、新領域の事業展開にも注力します。AIを活用した新サービスの拡充や戦略的かつ積極的な事業投資、事業提携、M&Aの活用も視野に入れていきます。2025年は、こちらの取り組みを着実に進め、さらなる成長を目指していきます。

次期経営計画の方向性

次期経営計画の方向性です。レコメンド単体ツールベンダーの枠を超え、より多様な市場で価値を創出する企業へと進化していきます。なお、計画内容の詳細は、2025年3月に発表予定の中期経営計画にてご説明します。