FY25 2Q連結業績ハイライト
田中耕平氏(以下、田中):みなさま、本日はお集まりいただき誠にありがとうございます。グロービング株式会社代表取締役社長の田中です。それでは、2025年5月期第2四半期の決算説明会を開始します。よろしくお願いいたします。
まずは、第2四半期の業績および通期業績予想についてご説明します。第2四半期の累計売上高は38億7,000万円、YoY136.8パーセントの成長となりました。累計営業利益は14億2,000万円、営業利益率は37パーセントとなっています。
後ほど詳細をご説明しますが、第2四半期は短期プロジェクトの受注数が多かったこともあり、四半期累計で見ても大きな売上成長と高い営業利益率を達成しています。
連結ベース四半期ごとの売上/営業利益
連結ベースでの四半期ごとの売上と営業利益の推移です。2025年5月期第2四半期の売上高は21億5,000万円、営業利益率は38パーセントとなりました。
こちらは3週間から4週間という短期のM&Aプロジェクトの受注数が想定よりも上振れしたことが要因です。その結果として約2億5,000万円の売上スパイクが発生しました。この売上スパイク分を除く19億円の売上高は、従来の通期業績予想と同水準となっています。
売上スパイクに伴い、営業利益も1億1,000万円ほど上振れしています。このスパイクを除いた営業利益は7億円で、通期業績予想と同水準となっています。売上スパイクを除けば計画どおりの売上および営業利益率となり、順調な成長を達成できていると考えています。
KPIハイライト
KPIハイライトです。調整後コンサルタント数、コンサルタント平均年収、AI関連のコンサルティングプロジェクト売上比率は、おおむね計画どおりで順調に成長してきています。
Joint Initiativeの売上高比率は38パーセントで、第2四半期の売上実額は8億2,000万円と金額ベースで順調に拡大しています。3週間から4週間という短期のM&Aプロジェクトによる売上スパイクが売上の母数を押し上げたことから、第2四半期単体で見るとJoint Initiativeの売上比率は若干減っている状況です。
ただし、売上スパイクによる要因を除けば、すべての主要KPIにおいて順調に拡大できているものと考えています。
Joint Initiative(JI)型コンサルティングモデル
Joint Initiative型コンサルティングモデルについては従前よりお話ししていますが、弊社の特徴としてあらためてスライドを掲載しています。
日本企業においては、新たな変革プロジェクトや新規事業を立ち上げる際に、事業推進の中核となるメンバーをなかなか社内でアサインできないという課題があります。弊社は、そのようなことについてクライアントの役員の方々から多くの相談を受けました。
そこで弊社としては、出向等も含めたかたちで弊社のコンサルタントがクライアントのプロジェクトに参画し、事業責任者やプロジェクト責任者の役割を担います。そこでプロジェクトの責任者となった弊社のコンサルタントがクライアントメンバーとともに変革を推進し、そこにコンサルティング契約も加えることで、事業変革やプロジェクト推進をドライブしていきます。
それにより、クライアント企業としては早期に事業価値の向上を図ることができます。また弊社としては、長期契約での報酬保証や変革プロジェクトで構築したツールのIPを確保でき、クラウドプロダクトやAIプロダクトへ乗せることができます。
弊社のコンサルティングモデルは、このようなところを狙ったスキームになっています。
主な経営トピック - JI型コンサルティングの拡大
今後は、さらに大型のJoint Initiative型コンサルティングプロジェクトが開始される見通しです。スライドには、2つの例を挙げました。
1例目として、日系大手製薬会社へ弊社のシニアメンバーが出向し、CxOロールに就任します。加えてCxOを支える数名のメンバーも出向し、現場でデジタル変革を支えるチームを補強するかたちでコンサルティング契約を締結することで、現場も弊社のコンサルタントがドライブします。
役員クラスからデジタル変革の現場を含め、上から下まで一気通貫で変革をドライブするJoint Initiative型コンサルティングプロジェクトが始まる見通しです。
2例目として、日系大手自動車OEMに弊社メンバーが出向します。全社レベルでのAI活用に関する戦略立案からAI実装までを含めたプロジェクトにおいて、弊社メンバーがPM(プロジェクトマネジメント)ロールを担当し、中核メンバーとして変革をドライブします。加えて、実際の変革をリードするところにも弊社のコンサルタントがコンサルティング契約で入ることで、さらなる変革を推進します。
今後は、このような大型のJoint Initiative型コンサルティングプロジェクトが開始される見通しとなっています。
PLサマリー
PLサマリーです。第2四半期にはDXやAI活用、新規事業開発などの旺盛な需要に後押しされたほか、短期M&Aプロジェクトの増加によるインパクトもあり、累計売上は38億7,400万円となりました。また、前期の一時的な投資要因と今期の売上スパイクを含めた売上増の影響により、上期の成長率はYoY136.8パーセントと高水準になっています。
販管費についてです。2024年5月期は一時的な投資を実施していたため、販管費率が少し高まっていました。しかし今期は、一時投資がないことに加えて前期の投資効果も生まれてきたことから、販管費率は下がっています。
これらの結果を受け、営業利益は14億2,800万円、営業利益率は36.9パーセントで着地しました。親会社株主に帰属する中間純利益も、8億7,900万円まで上昇しています。
25年5月期 通期連結業績予想(24年11月公表内容から変動なし)
通期の連結業績予想についてご説明します。弊社の業績予想は「売上高10パーセント、各段階利益30パーセントの変動」という修正基準に抵触する蓋然性が高いかどうかで判断しており、当第2四半期は修正を行っていません。
通期業績予想は従来どおり、売上高は対前期成長率82.3パーセントの76億1,200万円、営業利益は21億8,400万円、営業利益率は28.7パーセント、当期純利益は14億100万円と見込んでいます。
今後の成長戦略サマリ
今後の成長戦略についてご説明します。まずは今後の成長戦略サマリです。
コンサルティング事業は、先ほどご報告したとおり順調に拡大しています。「0→1」のフェーズを終え、成長基盤を確立できたと考えています。具体的には、Joint Initiativeスキームによる粘着性の高いコンサルティングモデルの確立と、コンサル事業経営の方法論についても経営プロセスオペレーションへの組み込みが完了しました。
コンサルティングファームのあるべき姿として、パートナーシップ制度による複数のパートナーの集合知で経営することを創業当初から志向しましたが、これまでにかなり有力なパートナーを採用できてきていることから、複数のパートナーを主軸に事業を拡大させる経営モデルも完成に近づいていると考えています。
コンサルティング事業の成長基盤を確立して成長を維持しながら、さらに成長を加速させるため、今後は大きく2つの施策を打ち出しています。
1つ目は、コンサルタントを代替するAIエージェントの開発と展開です。現在は世界中に230万人のコンサルタントがいますが、そちらをAIエージェントに置き換えることを目指しています。
2つ目は、日本発祥の経営方法論の体系化と展開です。日本型経営の長所を紡ぎ出した経営方法論を体系化し、それを言語の壁がないAIエージェントに乗せて世界展開することを狙っています。
これらの施策により、世界で約40兆円あるコンサルティング市場の完全代替を目指そうと考えています。
そして、この2つの強化策を推進するために新組織を設立します。創業者である輪島が、「0→1」を担う新組織の立ち上げをリードしていくことを考えています。加えて、将来的には経営の硬直化を防ぎ、激しく変わる成長領域への柔軟なシフトを可能にする経営体制も検討します。弊社自身も変革していくという意味で、新しい経営体制を検討していきます。
検討例としては、経営メンバーの連携促進や、FoxconnやHuaweiなどの企業が採用している次世代経営者の育成も狙ったCEO輪番制などがあります。
次の成長に向けた強化策
次の成長に向けた強化策の全体像についてご説明します。大きく2つの施策となっています。
1つ目は、コンサルタントを代替するAIエージェントの開発と展開です。コンサルタントの主要タスクの中でも、AIエージェントで代替できる部分は代替していきます。機能を順次追加しながらAIエージェントを強化し、旧来型コンサルタントに代わるAIエージェントを活用することで、全世界のコンサルタントのAIエージェント化を進めていきます。
2つ目は、日本発祥の経営方法論の体系化と展開です。人を組織の中心に置く日本的経営の長所を生命観を捉え直した生物学における動的平衡の考え方とかけ合わせて体系化し、新しい日本型サステナブル経営の方法論として展開していきたいと思っています。弊社の造語である「“動的平衡”マネジメント」を展開していくことが大きな柱です。
この2つの柱を支えるかたちで弊社の経営改革を推進し、成長を加速するための新組織を設立して動いていきたいと考えています。
世界中のコンサルタントのAIエージェント化、および「“動的平衡”マネジメント」で、言語の壁も越えて、約40兆円の市場であるコンサルティング業界の完全代替を狙っています。
A.全世界のコンサルタントのAIエージェント化(1/2)
1つ目の柱である、全世界のコンサルタントのAIエージェント化についてです。スライドには弊社が目指している世界観を示しています。
最上部に青色で示しているJoint Initiative型コンサルタントは、従来どおり弊社のJoint Initiative型コンサルティングで、クライアントの中に入り込んでしっかりと協働し、事業価値を高めていきます。
加えて、旧来型のコンサルタントの業務はAI Consultant「グロービングくん」が代替することにより、人間が時間を取られていた作業を手放し、思考作業を深くすることに特化して力を発揮するような役割分担に変わっていきます。このAI Consultant「グロービングくん」は、全世界230万人のコンサルタントをAIエージェントに置き換えることを狙っています。
さらに、データを活用して経営の意思決定に活かすCloud Productもあわせて展開します。これにより、クライアントが本来取り組むべきである、付加価値を生み出す業務に集中できるようにすることで、事業価値を高めていくことを全体でサポートしたいと考えています。
A.全世界のコンサルタントのAIエージェント化(2/2)
具体的には、2025年2月に第1弾として「AI議事コン」という議事録作成を自動化するAIエージェントツールのリリースを予定しています。こちらはプロジェクトや社内で使われている用語をAIが学習し、社内の文脈を理解した上で、リサーチやパワーポイント作成など、より付加価値の高い業務につなげていくツールです。
最終的には、世界に約230万人いる旧来型のコンサルタントが担っている業務を、AIエージェントで完全に代替していくことを狙っています。
B.“動的平衡”マネジメントの展開
2つ目の柱は、「“動的平衡”マネジメント」の展開です。こちらは、欧米型のトップダウンでマネジメントしていくガバナンス経営に対するアンチテーゼでもありますが、人を中心とした日本的経営の長所を、生物学における動的平衡から捉え直し、マネジメント手法に落とし込みたいと考えています。
生物学における動的平衡とは、ロックフェラー大学客員教授、青山学院大学教授である福岡伸一教授の「生命とは何か?」という本質的な問いから出てきた考えです。
動的平衡では一つの考え方として、「生命は分子生物学(メカニズム)で動いていない」要素(細胞)と要素の間で起きる相互作用にあると捉えています。「“動的平衡”マネジメント」では、「生命」を「企業」、「細胞」を「人」と置き換えることで、人を中心にした日本型企業の経営の長所を捉え直していきたいと思っています。
今も、福岡先生とともに「“動的平衡”マネジメント」の骨格となる考え方を深めているところです。今後は「“動的平衡”マネジメント」の書籍出版や、日本の経営者の方々を集めた経営者コンソーシアムを立ち上げなどにより、さらにこの考え方を深めていきたいと思っています。最終的には、先ほどご説明したAIエージェントもあわせて世界に展開していきたいと考えています。
成長を加速する新組織の設立
以上2つの施策を推進するために、「0→1」の新成長戦略を担う新組織「GLB TLS Institute」を設立します。これはコンサルティング事業本部とクラウドプロダクト事業本部にまたがるバーチャル組織で、TLSは「Thought Leadership」の略語です。新組織は創業者の輪島が立ち上げをリードし、「“動的平衡”マネジメント」および「グロービングくん」を推進していきます。
この新組織では、「“動的平衡”マネジメント」についてはコンサルティング事業本部と連携して体系化・展開し、AIエージェント「グロービングくん」についてはコンサルティング事業本部内の「GLB Intelligence」チーム、およびクラウドプロダクト事業本部とも密に連携しながら開発・展開を進めていくことを考えています。
この取り組みにより、全世界のコンサルタントのAIエージェント化、コンサルティング業界全体の完全代替を狙っていきたいと考えています。
更なる成長戦略のイメージ
さらなる成長戦略のイメージです。従来の成長戦略とあわせてご説明します。
従来の成長戦略については、先ほどご説明したとおり、パートナー陣を中心とした共同経営方式で成長していくための基盤が構築できたと思っています。これをしっかりと伸ばしていくことが大前提ですが、今回発表した全世界のコンサルタントのAIエージェント化、および「“動的平衡”マネジメント」の展開により、さらなる非連続な成長の達成を目指していきます。
最終的には全世界230万人のコンサルタントをAIエージェント化することで、約40兆円のコンサルティング業界の市場を完全代替することを狙っています。以上が弊社が目指す成長戦略のイメージです。
質疑応答:売上スパイクの詳細と今後の発生可能性について
司会者:「2025年5月期第2四半期の売上高は、前年同期比でプラス153パーセントとなっていますが、その要因となっている売上スパイクの詳細を教えてください。短期M&Aプロジェクトは今四半期だけで発生したのでしょうか? 過去や将来における発生可能性はいかがでしょうか?」というご質問です。
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