2025年3月期第2四半期決算補足説明
司会者:ただいまより、クルーズ株式会社2025年3月期第2四半期決算の補足説明会を始めます。
本日は2025年3月期第2四半期決算についての補足説明を、代表取締役社長の小渕、取締役副社長の古瀬、取締役副社長の仲佐、取締役副社長の稲垣を中心に行います。事前に今回の決算の開示資料や決算説明動画等を見ていただいている前提で質疑応答をメインとさせていただきますので、いただきましたご質問に回答する形で決算の補足説明とさせていただきます。
質疑応答:新たな収益源となる新規事業領域について
司会者:「2025年3月期第1四半期決算のCEOメッセージに記載されていた、『既存事業とは異なる全く新しい新規事業領域で新たな収益源を作る動きを進めています』について教えてください」というご質問です。
小渕 :決算発表でお伝えしたITアウトソーシング事業と「Ada.」(エイダ)の事業を指しています。主に、ITアウトソーシング事業を指しています。
質疑応答:ITアウトソーシングへ踏み切った背景について
司会者:「変化への意志を強く感じる決算説明資料でした。ITアウトソーシングへの注力に踏み切った背景は何だったのでしょうか? また、役員のみなさまでどのように話し合いがあったのでしょうか?」というご質問です。
小渕:おっしゃるとおり、変化をしなければならないという強い意志を持って、今回は資料作りと、具体的な戦略作成を実行しました。既存事業の「SHOPLIST」、広義の意味のゲーム事業、それからメディア事業の「ランク王」など、いろいろありますが、今までインターネットを軸に事業を行ってきました。端的に言うと、ゲームは「当たるも八卦当たらぬも八卦」で、事業としてはかなり不確実性が高いと以前から感じていました。
今後10年先などを見越した時に、もう少し資産として強みが積み上がるものを行っていきたいと思いました。広義の意味で言うと、今のままだとなかなか安定した経営をするのは難しいという背景がありました。
「SHOPLIST」も同様です。インターネットを中心としてファッション通販サイトを運営してきたわけですが、20年前にインターネットが立ち上がり、その後、デバイスもスマートフォンなどが出てきて、大きなチャンスがさまざま見つけられた時代と、この2020年代では大きく異なっています。市場環境が違うため、戦い方を変えなければならないと思っています。
2000年代初頭は、スピードが勝った時代なのですが、2020年代になってからは「スピード+資本」です。このあたりが複数絡まなければ、インターネットを軸としたものだけでヒットさせるのは、かなり難しいのが実情です。
例えば、新しいサービスを作る時に、以前は1億円以下の投資でできていたものが、極端な話だと、ゲームに40億円から50億円かける会社も出てきています。スピードもですが、資本が非常に大事なものになってくるわけです。
もし新しい事業に大きく投資してチャレンジする場合、上場企業はかなり向いていない時代になってきていると思います。
よって、市場環境と競争環境を鑑みた上で、今の時代や会社のステージ・体力に合わせた戦略を取っていかないと、戦には勝てません。単純にそのような背景があり、先ほどお伝えしたような内容を役員で話しました。
役員とは、5年くらい前から、継続的に新規事業について話してきたという経緯があります。
質疑応答:営業利益の目標に対する温度感について
司会者:「2028年3月期の営業利益15億円は、それほど高い目標ではないと思いますが、これはコンサバなのかどうかの温度感を教えてください」というご質問です。
小渕:営業利益15億円がそれほど高い目標ではないと言われてしまうと、疑問に思います。2桁億円の利益を出すことは、それほど簡単ではなく、笑っていてできるような仕事ではないと思っているため、高い目標だと思います。コンサバかどうかというご質問の回答としては、コンサバです。
このような話は、昔からいろいろ聞きますが、ベンチャー企業で営業利益2桁億円出せる会社は、そこまでありません。「SHOPLIST」やゲーム事業もそうですが、チャレンジしている大きな事業は、創業以来かなり順調に進んできました。それはそれで幸せなことだと思っています。
ただし、そのような大きな事業がへこんで、駄目になってしまう会社のほうが九割九分という状況の中で、生き残って変化を続けていく時に、既存事業を行いつつ新しい事業で、さらに2桁億円の売上を2事業で作っているのですから、それほど簡単ではないと思います。
質疑応答:将来的な営業利益について
司会者:「かつては営業利益が40億円以上あったと思いますが、将来的にはこのITアウトソーシングで、そのあたりの営業利益まで見ているのか教えてください」という質問です。
小渕:そのあたりまで見ています。
質疑応答:SESサービスの利益および1人当たりの単価について
司会者:「SESサービスについて、過去は利益が出ていましたが、売上規模が増加しても利益が減っています。今後も売上が増えても固定費が増加して利益が出ないのではないでしょうか? また、1人当たりの単価が安いのではないでしょうか?」というご質問です。
小渕:2024年3月がへこんだのですが、これは対象会社となる、496株式会社および通称グラハムグループの中で、将来の売上を作るために、SES以外にもさまざまな新しいサービスにチャレンジしたためです。
つまり、固定費が先行して増加したために、利益が出ていないように見えただけであって、損益分岐点は超えています。そのような投資の大小のコントロールをうまくすることによって、へこみは少なくなります。
しかし、そうすると、同じグラハムグループの中において、少しだけ変わった収益源を見つけようとした場合に、多少実現までのスピード感が遅くなります。よって、利益よりも売上を追求した結果、新サービスに投資しました。それによって固定費が若干増え、利益が出ていないように見えることになりました。
「1人当たりの単価が安いのではないか?」という質問に関しては、そのとおりかもしれません。これは別の者から、回答を補足します。
横倉 一真氏(以下、横倉):496株式会社副社長の横倉です。今は、採用については転職サイトを活用して行っていますが、その転職サイトに、競合他社が集めている、例えば単価100万円のような高スキルのフリーランスの方々は登録していないため、単価が低くなっています。
現状はその転職サイトでの採用がほぼすべてですので、高スキルで高単価のエンジニアを集めようとはしていません。
質疑応答:不動産投資および開示情報について
司会者:「不動産投資が増えていますが、うまくいっているのでしょうか? 不動産投資に関して具体的に教えてください。株の売買の判断は開示された情報を元に行いますが、御社が開示される情報は実際のところ少なすぎますし、不誠実だと感じます」というご質問です。
稲垣:不動産投資については、余剰資金の運用の一環ということでお伝えしています。当社では余剰資金の運用として、従前からスタートアップへの投資を行ってきましたが、不動産投資についても最近追加しています。
スタートアップへの投資は数年前より行っており、前期で10億円、今期も上半期時点で12億円の利益を計上しています。
不動産については、スタートアップ企業への投資に比べると、爆発力というよりは安全性・安定性が一般的には高いジャンルかとは思っています。うまくいっているかというご質問については、まだ始めたばかりのため、はっきりお伝えすることはできません。
しかし、少なくとも余剰資金運用という中で、同じ不動産と比較しても流動性が高く、換価が容易なものによって、堅実なやり方をしていると思っています。投資ですから、将来の大きな価値向上が期待できるものを厳選して行っていますので、少なくとも現場の温度感としては前向きに考えています。
小渕:「開示情報が少なすぎるし不誠実」というコメントについてですが、上場企業として、適時開示すべき内容は開示していますし、しなくてもよいところについては開示していません。
主に事業の話であれば、もう少し情報が欲しいというのはわかりますが、余剰資金の不動産投資やベンチャー株への投資などの多くは、相手がいる話で、不動産オーナーやベンチャー企業の代表、他の株主もいるため、あまり情報は開示するものではないと考えています。必要であればルールに則って行いますし、必要がない場合は、開示しても仕方がないと思っています。
事業についてはお話ししますが、あくまでも余剰資金での純投資については相手のいる話ですし、情報を多く開示しすぎるのは良くないと思っていますので、そこはご理解ください。もし、細かく開示することになってしまうと、手の内を全部明かすことにもなると思います。
実行した結果が不確実にもかかわらず、先行して情報を開示するには、どこまで開示すればよいのか、おそらく悩むと思います。
したがって、今後もルールに則って必要なものはお話ししますし、必要でないものについては開示しません。全部を公開することは、すべての手の内を明かすことになりますので、そのあたりは楽しみ半分でお待ちいただければと思います。
質疑応答:自己株を活用したアライアンス強化について
司会者:「自己株を活用したアライアンス強化などはお考えでしょうか?」というご質問です。
小渕:資本提携などということでしたら、今のところ、そのような考えはありません。
質疑応答:EC事業の反省点について
司会者:「EC事業は競争激化からの集客低迷だったと思いますが、EC事業の振り返りや反省点があれば教えてください」というご質問です。
小渕:振り返ると反省点がかなりあることは事実です。結果論でしか言えないのですが、経営者としてまだまだ不勉強だったというところがあり、事業はやはり難しいと思います。
細かく言えば、かなりたくさんありますが、1つは、時代の5年先、10年先を読めていなかったことが、振り返りの大きな反省点かと思います。
例えば具体的には、大手の大成功されたファッション通販サイトでは1個大きなブランドを獲得して、そのほか追随するようなブランドをたくさんサイト内に集めたため、それにユーザーが集まってきました。したがって、ブランドがプロモーションになるという話なのですが、我々は低価格に絞っていました。
もともとクルーズブログという、10代から20代前半の女性たちがたくさん集まるサイトを持っており、その集客力を利用しようと始めたため、入口が違いました。
結果論で言えば、有名な名だたるブランドがたくさんあったほうが、ユーザーへのプロモーションや集客効果につながります。つまり、お金をかけなくても集客してくれるということです。
一方で我々は、低単価のもので行っていましたので、自分たちでプロモーションのコストもかけなければいけないのですが、それが高止まりすると、その先は売上が落ちていくことになるわけです。
低単価の商品が売れなくなったわけではなく、ニーズはたくさんあります。日本社会の可処分所得を見ていただいても、低単価のものが売れやすい市況環境にあると思います。
よって、狙っている方向自体は間違えていなかったのだと思いますが、我々が1,000円や2,000円で売っている時に、まさか同じ服を、500円や400円、または下手をすると300円という単価で、世界各国から強い企業が黒船として乗り込んでくるのは、さすがに読み切れませんでした。
例えば、SHEINは数兆円の時価総額で、資金調達を10パーセントとしても1,000億円、2,000億円近くの現金が入ってきます。未上場企業ですから、赤字を気にせず、自由に打ち込める環境にあり、工場に対してもふんだんな資金力を活用します。先に工場に物を作ってもらい、現金を先に払います。そうすると、みんながそちらに流れていきます。次第に原価は安くなり、どんどん販売金額が低くなっていきます。
若い人たちは、口コミの伝播力が強いため、瞬く間にサービスとして広がっていきます。クルーズと「SHOPLIST」が瞬く間に認知を獲得してきた時と同じですが、それをグローバルレベルでされてしまいました。
ここを読み切れなかったのが、本当に大きな反省点かと思います。しかし、こればかりは、行ってみないとわからない部分ではあります。
日本で言えば、フィーチャーフォンがなくなってしまったわけですが、あれを先読みできたのかというと、そうでもないと思います。
あの時に一世を風靡したSNSのゲームサイトが、スマートフォンの登場によって違う世界観になるとは誰も予想できていなかったことかもしれません。インターネットのビジネスは、これがおもしろいところでもあり、恐ろしいところでもあります。そのような振り返り、反省がありました。
細かい点を挙げれば、本当にきりがないのですが、次の事業に活かしていけるよう、役員会で共有できたのが1つの財産ですが、とにかくインターネットビジネスは大変だと思います。
質疑応答:大株主とのミーティングについて
司会者:「大株主との対話では、どのような内容のミーティングになっているのでしょうか? お話しできる範囲内で知りたいです」というご質問です。
小渕:ミーティングはしていません。好意的な「がんばれ」というコメントで、「とにかく全力でホームランを打て」という話を人づてには聞いています。私も期待に応えたいと感じていますが、直接の対話はしていません。
質疑応答:株価対策について
司会者:「株価対策について、どのようにお考えか教えてください」というご質問です。
小渕:株価対策というと、一般的にはおそらく自己株買付、配当および株主優待とかになると思います。大手のプライム上場企業で、1,000億円、2,000億円というように売上規模や利益規模が大きく、社会的なインフラになっている企業では株価の流動額も大きく、1日の売買代金が最低でも100億円から200億円で、1,000億円といった規模になることもあります。その場合については有効だと思いますが、今の私たちが小手先のことをしても、おそらく株価対策にならないと考えています。
以前からお伝えしているとおり、唯一の株価対策は業績を上げることだと私たちは考えています。小手先のことをしても意味がないとは言いませんが、おそらく株主の方が期待される効果にはならないと考えています。これはシンプルに言い続けていることですが、中長期的に業績を安定して上げ続けて、期待されるような業績を出し続けることだと思います。
それが投資家の方にとっても、「こうなっているだろうな」ということが読めるような状況を作ることだと考えており、それについては真剣に役員全員で「安定して成長して、10年先でも業績も株価も伸び続ける事業を作ろう。そのような会社にしていこう」と、常日頃から検討しています。
その一環が、先日のITアウトソーシング事業や、インターネット一本足軸からの脱出という話に表れていると思っています。
配当については「配当しよう」とすぐ決めようと思えば決められるかもしれません。しかしながら中長期的な業績の成長について「今すぐ決めて、実行しろ」というのは無理な話で、ここについては以前からお伝えしているとおり、非常に時間のかかる話だと考えています。
これができたばかりの「売上もゼロ円です」というベンチャー企業でしたら、それはわかります。しかしながら、我々はすでに3桁億円の売上や取扱高が出ている会社であり、事業も23年間にわたり展開してきています。
それを軌道修正などで今の業績を維持しつつ、あるいは上げていくということについては、非常に難しい手術と同じぐらい気を使っていますし、精神を削って、役員も従業員も魂を削って取り組んでいます。それは一長一短にできるものではありません。
一方で、小手先でできる話としては、先日、自己株買い付けを行いました。規模でいうと20億円ぐらいを計画しており、業界およびその市場の中でも、企業規模に対して相当な額となる思い切った策だったと思います。しかしながら、株価は上がっていません。
ですから、株価対策というのは「自己株買い付けをしたらいい」「配当を出したらいい」というような浅い話ではないわけです。事実、数字として表れていないと思います。以前から「自己株買い付けをしろ」という話を多方面からもいただいていますが、「その結果、どうでしたか?」という話です。
したがって、まったく本質的ではないと思っています。本質的な株価対策についての考え方は「中長期的に事業で上げていく」ということになります。
質疑応答:配当方針と今後の見通しについて
司会者:「配当方針と今後の見通しについて教えてください」というご質問です。
小渕:配当方針も先ほどの話と同じです。おそらく株価対策の一環かと思います。配当方針についての個別具体的な話であれば、かなり以前には「配当性向30パーセントを目指す」と言っていました。
企業規模が安定して事業が高成長になり、「これは5年先、10年先を見通せます」という話になった場合は、基本的な考え方として、配当性向については30パーセント以上目指したいと思っています。
これはあくまでも意思決定しているものではなく、「頭の中に入っている方針の基礎的な考え方を教えてください」という話であれば、そのようなご説明となります。
今後の見通しについては、まったく立っていません。まず業績を復活させることが最優先で、余っている現金はなるべく事業に使いたいと考えています。
事業に限らず、ベンチャー投資も不動産投資も含めて、1円でもP/Lが改善されるようなところにも使っていきたいと思っています。
質疑応答:株主還元について
司会者:「今後、リスクの高い事業への投資が少なくなるのであれば、不動産投資などではなく配当や株主などの株主還元をするつもりはありますか?」というご質問です。
小渕:こちらは「リスクの高い事業への投資が少なくなるなら、不動産投資などではなく配当に回してほしい」というお考えだと思います。
私としては、「なぜ1円でも売上や利益を増やそうとして、売上や利益に返さないのか」と思っています。株主還元については、中長期的に継続して取り組んでいかなければなりません。そのため、まず事業で卵を産んでくれるものに投資したほうが良いと考えています。
先ほどのご質問と同じ回答になりますが、中長期的に事業の成長が見込めた段階で考えたいと思っています。それまではお金を1円でも生むところに投資するべきだと思っています。
同様のご質問やご意見をかなりいただくのですが、私の個人的な考えで言うと、よく役員とも話しているのが、特に短期の売買をされる方とはまったく意見がかみ合わないと思っています。
私たち経営陣は、最低で5年、長きは10年と、先を見ていろいろな策を決定します。事業の話もそうですし、株主還元もそうで、最低でも5年、10年先を見ているのです。
おそらく、このような話をされるのは短期の売買をされる方かと思いますが、5時間とか50時間先の株価を見ている人と、5年、10年単位で事業をどうするか、会社をどうするかという話がかみ合うわけがありません。このような考え方もひとつかもわかりませんが、私は普通に事業に回していくべきだと思います。
質疑応答:赤字の可能性について
司会者:「何年か前に赤字になることはもうないとおっしゃられており、その言葉を信じて自分の中ではかなりの株を買いました。しかしこのままいけば赤字になるのではないでしょうか? その具体的な説明をお願いします」というご質問です。
小渕:すみませんでした。それについては、確かに言ったこともあります。当時は、その時に手掛けていた事業であれば、おそらく大丈夫だろうと思っていました。
その言葉を信じていただいてかなりの額の株を買っていただいたということであれば、本当に申し訳ありません。
「私のことを信じていただいてありがとうございます」という気持ちと、「本当に申し訳ない」という気持ちです。
その時はこのまま行けば大丈夫だと思っていました。GameFi事業もしかり、「SHOPLIST」も「ランク王」もしかりですが、あまりにも大きな変動というか、事業において良くないほうの転換がかなり重なってしまったところを読み切れませんでした。
本当にその時は大丈夫だと思ったということしか言えないのですが、そこについては、自分自身では読みが甘かったと振り返って反省したいと思います。
「このままいけば赤字」ということについて、それも赤字かどうかについては、この直近の話についてはなかなか上場企業としてコメントしにくいところです。
ただ、既にお伝えしていますとおり、単体の事業それぞれで見ると、2桁億円の収益を出した新しい事業が2事業あります。それも現場の人たちがかなり苦労して作ってくれているわけですが、その単一の事業でいうと、損益分岐点もクリアしており、かなり調子が良いと思います。
あとは、今の既存事業の落ち込みがこれ以上のスピードなのか、現状と同じようなスピードで推移するのかによって変わってくるかと思います。
そのため、「このままいけば赤字かどうか」については、直近の話についてはコメントができないですが、実際にならないように努力しています。
新規事業については芽が出ています。あとは数字を見ていただくしかないと思っています。
質疑応答:ストックオプションの全額行使について
司会者:「2023年10月11日に決議されたストックオプションは、期日までに全額行使が確定したという理解で大丈夫でしょうか?」というご質問です。
小渕:この質問はどういう意味だろ?行使なんて確定なんてしてないよね?(稲垣氏に確認)
稲垣:はい、開示内容をご覧いただければわかる話かと思いますが、確定していないです。
小渕:うーん、まあ開示内容見てくださいって感じ。これ多分わかっていてわざと言ってるよね? だとしたら、こうゆうくだらない質問は取り扱わなくていいよもう。これ嫌味で言ってるでしょ? くだらないから取り扱わなくて良いです。「開示見ろよ!」です、以上。
質疑応答:ストックオプションの運用見直しについて
司会者:「ストックオプションについて、付与条件などの達成条件もなく異常に多いストックオプションの発行であり、強制行使価格もかなり低く設定されているように思います。今後役員に有利なストックオプションの運用について見直すつもりはありますでしょうか?」というご質問です。
小渕:まず第三者機関に算定していただいて、ストックオプションの金額を含めて条件など諸々を決めています。そのため、行使する時には2桁億円以上の現金をクルーズに対して資本金として振り込まないといけません。
そのためまったく有利ではないと思っており、相当なリスクを取っています。したがって、「役員に対して有利」という話については、まず有利ではないという回答です。これを有利とするなら、今後も特別見直すつもりはありません。
この4年でITアウトソーシング事業も30億円近くの売上があり「Ada.」についても、1年足らずで2桁億円です。これを実現してくれている人たちに対してのストックオプションなわけです。
ベンチャー企業でも、本当に創業間もない会社で、4年または1年でこれだけの売上を出す、もっと言えばGameFi事業も「XENO」もそうでしたが、そこまでできる人材を集めることは、まずそもそも簡単にできることではありません。
そのような人材は、IT業界の中にも、ビジネスの世界にもそこまでいないと思っています。
もちろん、卸業など規模の大きい単価のものを扱っていたら売上規模を出せるかもしれません。ただしゼロから1を作っていく時に、これだけのパフォーマンスを出せる人材をまず集めること自体が、非常に難しいことです。
その難しいことを実行してくれる役員に対してインセンティブをつけていくというのは、至極当然の話だと思います。また役員の中で偏った付与をした場合も資本政策上、それは適切な話だと思います。
コスト的には、2桁億円以上の額をクルーズに対して払い込むわけですし、これは有利でも何でもないと考えており、見直すつもりもありません。
むしろ、成果を出してくれた役員がもし今後も出てくるのであれば、私の分をあげてもその人に出していきたいと思いますし、さらに追加で出したいと思っているぐらいです。
今回、簡単な手術を会社として行ったわけではありません。一方で違う解釈で見た場合に、単純にここでおっしゃっているような解釈をされる方も、中にはもちろんいらっしゃると思いますが、ご自身の立場で考えていただいた時に、これが有利なのかどうかお考えになってほしいと思います。
私が外の人間ならば、私はこの条件で社長を引き受けてくれと言われても嫌です。このような条件でオプションを用意してくれるような会社でなければ、私は役員を引き受けません。「ITアウトソーシングの経験があるのでお願いします。」「『Ada.』の運営をお任せします。ファッション通販サイトの経験ありますよね」と言われても嫌です。そのようなものだと考えています。
質疑応答:自社株買いの目的と適正株価について
司会者:「自社株買いは何のために行われているのでしょうか? また御社の適正株価はいくらぐらいだとお考えでしょうか?」というご質問です。
稲垣:先ほど小渕からもお話ししたとおり、自社株買いによる株価への明確な影響は見て取れない現状ではあります。「何のために自社株買いを行うのか」というご質問に対してお答えすると、1株当たりの価値の向上と、株主のみなさまへの利益還元が目的になっています。
自己株取得を通じて、1株当たりの利益は上昇することになります。また当社は現在PBR1倍を大きく割った状態になっており、非常に低位な状況になっています。結果的に、自己株の取得を通じて1株当たりの純資産額を上昇させるかたちになります。
適正株価については、我々はコメントする立場にないため、差し控えたいと思います。
質疑応答:業績予想の開示について
司会者:「業績予想を1回か2回だけ出されましたが、なぜ急に出して、また急にやめられたのでしょうか?」というご質問です。
稲垣:業績予想についてはご指摘いただいたとおり、直近で出しています。大前提として、業績予想は出したほうがみなさまにとっても良いと考えており、できる限り出していきたいと考えています。
ただ、これまで当社は新規性の高い事業が多かったこともあり、なかなか出すことが難しく、控えていたという文脈があります。
そのような中で、先日2回ほど連続で業績予想の開示を行いましたが、結果的にかなり大きなずれが生じる結果となってしまいました。
したがって、まだ今は難しいという判断で非開示に戻しています。ただ、今後は業績を読みやすいITアウトソーシング事業がメイン事業になったため、売上の比重が高まるにつれて自信持って出せる段階になれば、また開示を検討したいと思っています。
質疑応答:EPOCH FACTORY社との関係性について
司会者:「EPOCH FACTORY社とはどのような関係でしょうか? 同社の社長と御社が投資しているマイゴルフでつながりがあるようですので教えてください」というご質問です。
稲垣:EPOCH FACTORY社との関係については、過去にも何度か質疑応答を含めてお伝えしていると思います。当社とEPOCH FACTORY社との間で資本関係等はなく、第三者の会社と捉えていただければと思います。
質疑応答:「ランク王」の更新について
司会者:「『ランク王』は5月ごろから記事の更新がされていませんでしたが、何があったのか教えてほしいです」というご質問です。
仲佐義規氏:結論から言うと、新規の記事を出すよりも、既存の記事をリライトしたほうが効果的だという戦略の転換によるものです。
背景についてご説明しますと、「ランク王」自体はGoogleの検索結果にかなり影響を及ぼされるところがありますが、5月のタイミングで大きなアルゴリズム変動があり、今新規で記事を投資しても、期待リターンが取れないほどへこんでしまったためです。
質疑応答:ゲームの今後の展開について
司会者:「『PROJECT XENO(プロジェクト ゼノ)』や他のタイトルの今後の展開について教えてください」というご質問です。
小渕:今後の展開についてはまだ何も決まっておりませんが、決算説明で発表したとおり、ITアウトソーシング事業に注力して資本投下していきたいと思っています。したがって、ゲームを何本も作るという考えはありません。
質疑応答:「GXE」の上場について
司会者:「『GXE』の上場の話は進んでいますでしょうか?」というご質問です。
古瀬祥一氏:現時点でお伝えできる内容はありません。
質疑応答:貸倒引当金について
司会者:「貸倒引当の件の詳細について教えてください」というご質問です。
稲垣:貸倒引当金の詳細について、第2四半期で約5億3,000万円の特別損失を計上しています。この内容が、GameFi事業を担うCROOZ Blockchain Labの協業先に対する、債権の回収遅延に伴う貸倒引当金が中身になっています。
本件については、CROOZ Blockchain Labの代表である古瀬からも詳細な状況や経緯を聴取しており、その上で11月6日に「特別損失計上の見込みに関するお知らせ」というタイトルで開示している内容がすべてです。そちらをご確認いただければと思います。
質疑応答:協業先の不良債権について
司会者:「協業先の不良債権とはどのようなものでしょうか? 具体的な会社名を教えてください」というご質問です。
稲垣:これは先ほどの貸倒引当金の開示の中に、「協業先に対する債権」と書かせていただいているため、その協業先の名称を指しているかと思います。
こちらは相手もある話であり、協業先も営業活動を持続している状況です。営業に支障が出る可能性があるため、このような公の場で社名を公表することは差し控えさせていただきます。
質疑応答:御社の競合と強みについて
司会者:「勉強不足で申し訳ありませんが、今回、御社の名前を初めて知りました。御社の競合と強みについて教えてください」というご質問です。
横倉:弊社の競合に関しては、正社員エンジニアを中心としたSES事業を展開している会社でして、株式会社SHIFTや、株式会社ボードルアあたりが競合になるかと思っています。フリーランス市場とはまた集客が違うので、現状、そちらは競合とは捉えていません。
強みは、M&Aせずに採用単価30万円水準で年間純増200人という採用を作れる点だと認識しています。
質疑応答:副社長が3人いる意味について
司会者:「会社の規模に対して、副社長が3人いる意味は何かあるのでしょうか」というご質問です。
小渕:おそらく、会社の規模に対しての一般論を指されているのだと思います。会社、組織は生き物です。会社それぞれで考え方、文化も違えば、中で働いているタレントの種類や質もまったく違います。そのため、一概に一般的な比較はなかなか難しく、経営の中で置かれた状況に合わせて適切に判断していくものだと思っています。
現在のクルーズのグループ会社は15社以上あるのですが、それぞれの子会社に対して代表取締役や取締役がいます。
その十数名から直接、私が報告を受けるのでは、理解するのに少々時間がかかる場合もありますので、管掌取締役として私の代わりに代理執行ができる人間と考えた時、肩書も副社長とするのが対外的にも良いと考えたことが理由の1つです。単純に組織規模や子会社の規模も大きく社数も多いため、それぞれに管轄を用意しました。
2つ目の理由としては、以前に「永久進化構想」と申し上げたことがあったと思いますが、会社は、ゴーイング・コンサーンでずっと継続していかなければならないということです。
私が起業したのは26歳ですから、24年ぐらい経ったわけです。そのため、次の世代や私の代わりに代表取締役ができる人間を育成していかなければいけません。これは当たり前のことだと思います。
例えば私の代理ができるような人間がいないのに、「じゃあ明日辞めます」と言ったらどうなるでしょうか? おそらく会社の中は大騒ぎになります。そのような無責任なことはできません。
さすがに創業者で24年やってきて、長くから私に付いてきてくれている社員もいるので、その人たちもやる気なくして会社が崩壊したら、業績も悪化するでしょう。すると株主や投資家の方にも迷惑がかかります。そのような会社を作るわけにはいかないです。
創業者としてきちんと愛を持ってこの会社を生んでいますから、きちんと育てていかなければいけないなという時に、代わりの人間を3名どころか5名、10名と作っていかなければいけないと思っています。そのため、副社長という肩書きを与えて「いつでも私の代わりになれるようにしなさいよ」という文化作り、教育、育成というのは、代表取締役として普通の話だと思っています。
副社長が3人いることに意味があるかないかで言うと、意味はありますし、当然のことだと考えているため、これ以上のコメントはありません。
質疑応答:5年後、10年後を見据えた特筆すべき動きについて
司会者:「5年後または10年後を見据えた特筆すべき動きがあれば教えてください」というご質問です。
小渕:特筆すべきことはありませんが、コメントをするならば、「やはり日々活動していることが強み、資産となり、さらに言うと、売上を分解した時の重要なKPIが例えば3つあるとしたら、そのうちの1個が毎日事業活動によってどんどん増えていく、市場が低迷する以外に落ちることはありません。」と、そのような感じで取り組んでいく事業をとにかくきちんと作り、せっかく会社を創業し、このような仕事をさせてもらっているからには、社会に対して何を残していくのか、社会課題の何にアプローチするのかなどを中長期的に考えていかなければいけません。
そうではないと、なかなか後世に引き継ぎができないという個人的な悔しさがありますし、社長としての責任もあります。次回以降、頭を整理してお伝えしていきたいと思いますが、現時点であえて特筆すべきところはありません。日々の活動が強みとなり資産となるビジネス展開をすべきだと思っています。
質疑応答:大幅変更の発表タイミングがなぜ第二四半期決算だったのかについて
司会者:「第2四半期決算のタイミングで大幅変更に至ったのは、前第4四半期で方針はある程度固まっていたものの、このタイミングで確定して発表されたというイメージでしょうか?」というご質問です。
小渕:方針は決まっていませんでしたが、何かを発表したり何かの意思決定をする場合、1点だけを捉えての意思決定はやはりできません。複数の絡みあった課題について先読みをして、検討し、意思決定していくべきだと思いますし、そうしてきています。そのため、質問の答えとしては、固まってはおらず、最適なタイミングで発表するのが今だったということになります。
質疑応答:新たな事業の柱の構想はあるのかについて
司会者:「新たな事業の柱という構想はあるのでしょうか?」というご質問です。
小渕:新たな事業の柱は、経営者として常に考えています。現時点で発表できる構想はありませんが、起業家、経営者として常にアンテナを立てています。
なるべく現在、既存で行っている事業の強みや資産を活かして展開していけるものなら勝ちやすいと思いますし、そのほうが良いとは思っています。
配当方針や還元をどのように考えているのかについて
司会者:「社長はある意味とても正直で、好感を持てます。中長期か短期かの話ですが、中長期で持つために、配当の方針や還元をどう考えているかということだと思います。」というご意見です。
小渕:おだてられたから答えるわけではないのですが、私を起業家、経営者として、ある程度対等に扱ってくださっていて、誠実に意見をいただいているので、私も誠実にお答えしたいと思います。したがって、特別にリップサービスします。
正直、先ほどお話ししたことがすべてです。もう少しシンプルに、わかりやすく、もう一回噛み砕いてお伝えしたいと思います。配当の方針と還元については、私も1人の株主で大株主ですので、配当や還元は行いたいというのが大前提です。
私が株主だからというのは置いておいて、私も個人で株式投資をしますが、配当を出してくれる会社を選びます。
中長期で投資する場合、配当があれば安心なので投資するわけですが、短期については、私個人もそうですが、あまり配当は意識していないと思います。クルーズ株を短期で捉えている方も多くいらっしゃると思いますが、やはりボラティリティを楽しむという方も、もちろん当然いらっしゃると思います。
ただ、中長期で持っていただく株主の方を想定したり、私もその立場になると、株主配当と還元は行ったほうがいいと思いますし、そのような株のほうが、なにかあった時にすぐには売られませんし、きちんと中長期的にファンとして対話していけると思いますので、中長期的には配当や還元をしたいと思っています。
短期で配当や還元をする可能性もゼロではありません。どういう状況になったら行うのかというのは、先ほど申し上げましたが、ITアウトソーシング、ないしはITアウトソーシングのグラハムグループの周辺事業なのか、どの事業かは分かりませんが、仮にITアウトソーシング事業とした場合、その事業が計画どおりに推移することが見えて、業績が絶好調で言っているとおりの絵になることがわかれば、当然、次は株価対策になります。
もしその時に、「さらに業績を伸ばすために、今は現金を事業に使ったほうがいいだろう」という話があればそうします。しかし、どのような気持ちになったら経営陣が配当、還元に踏み切ろうとなるかというと、今発表した事業がきちんと軌道に乗った場合です。
軌道に乗るというのは、3年先や5年先が確実だとなった時です。その時には配当、還元を行いたいと思います。
個人的には、私も中長期で投資する会社に対してはそれを求めます。ただし、今、配当や還元ができないのは、もちろん業績の話と資金の話の2つがあります。
例えば、「クルーズは好感が持てる」「いい会社だと思うよ」「変化に強いし、なかなかがんばっている」と、有名な投資家が、うちを見込んで期待してくださって、中長期で当社の株を持ってくださるという話があったとしても、やはり、多くの方のほとんどは、ボラティリティが出て大きく上がれば売るし、安くなったら買います。安くなるためにありもしないことを言って不安を煽って安くすることもあります。そのように、一個人の方の意見で株価が上下してしまいます。
機関投資家の方は一切気にしていませんが、最低でもやはり時価総額が100億円以上にならないと、機関投資家の方は、ほぼ入ってきません。おそらく社内のルールなどもあると思います。
そのため、私たちはまず業績を上げ、事業規模だけで時価総額を100億円以上にしていくことです。
配当や還元は、それ以降に話す話かと思っています。時価総額が2桁億円と、PBRが1を割っている状況で行っても、おそらく何の意味もなく焼け石に水です。
発表があったら翌日に上がる、発表から1日、2日経ったら株価がまた元に戻ります。いわゆる株で遊ぶ方ではなく、本当に真剣に当社の株を先を見据えて中長期的に投資してくださる方や、機関投資家の方が入ってくるのは、最低でも100億円以上です。
そこに到達するまでは、あまり配当や還元を実行する意味がないという意味です。したがって、それが達成されれば、気持ち的には意思決定しやすくなります。
質疑応答:ITアウトソーシング事業と「Ada.」事業以外の既存事業は、現状維持か縮小なのかについて
司会者:「メインに位置づけるITアウトソーシング事業と「Ada.」事業以外の既存事業は、今後、人員の配置や資金投入はどのような方向なのでしょうか? 現状維持か、それとも縮小していく方向なのでしょうか?」というご質問です。
小渕:既存事業についてのコメントは中で戦っている人たちもいるので控えますし個別の話なので置いておきますが、なるべく人材やお金を含む、経営資源の投資についてはITアウトソーシングと「Ada.」事業への投入を主に行います。
なるべく安全に利益に変わっていくように、会社のキャッシュが増えていくのも経営者として大事な仕事の1つだと思いますので、ベンチャー投資・不動産投資にお金を使います。
したがって、ITアウトソーシング、「Ada.」、ベンチャー、不動産への純投資以外はなるべく資金を使いたくありません。
質疑応答:業績悪化の原因について
司会者:「数年前はここまで悪くなかったと記憶していますが、何が原因だと分析していますか? また、どのような対策を取っていますか?」というご質問です。
小渕:私も、数年前まではここまで悪くなかったと認識しており、悪くなるとも思っていませんでした。これは先ほど申し上げた通り、読みが甘かったのだと思いますが、外そうと思って外したわけではないということはご理解いただきたいです。
このように悪くなることも見越していなかったわけではなく、見越していたので、現在、ITアウトソーシングであれだけの売上を4年で作り、「Ada.」で1年4ヶ月くらいで2桁億円の売上を作りました。これらは悪くなることも見越してチャレンジしていなければできませんでした。
逆に、対策していなければ、さらに悲惨な状況になっていたと思います。したがって、何もしなかったわけではなく、かなり対策を取りました。
この落ち込んでいる状況でも、自信を持って発表できる事業をまた作れたいうのは、ある意味で、クルーズの経営陣や仲間たちの底力を感じましたし、やはり優秀な社員が多いとあらためて思っています。先を見越せていなかったのかと言われると、見越せていませんでしたが、まったくなにも手を打ってこなかったわけではありません。想像以上に市況と競合環境が激化したということです。
「何が原因だと分析していますか?」という質問に対しては、原因は複数ありました。しかし、「読み切れなかった」という話がすべてです。
また、「永久進化構想」も失敗でもあり成功でもありました。ある程度は任せていかなければならず、任せたことにより2桁億円の事業が2つも生まれて、GameFiも含めると3つ生まれましたが、そういう面では、あれは功罪のうちの功績です。
子会社が複数増えて私の目が行き届かなくなり、温度感を察するのが遅れたことは罪の1つかもしれません。功罪両方ともが、表があれば裏があり、裏があれば表があり、何か成功があればなにか失敗があるので、なかなか難しいです。原因は1つではないと思います。
ただ、私はそんな悪くはないと思ってはいます。何をもって悪いと言うかによりますが、行っていた事業が落ち込んだ、それは悪いことだと思います。
しかし、新規事業が2つ出てきたことは、良いことです。経営もそうですし、中で働いている人たちにとっても、良いことのほうに目を向けていかないと、昔の悪い話を言っても、あまり良いことはないと思います。
したがって、新規事業を作ってくれたことをきちんと評価しています。悪かったのは私かもしれません。本当に細かすぎてたくさんあります。一言でまとめるとしたら、私が悪かったんだと思います。
質疑応答:後発であるITアウトソーシング市場を選んだ理由について
司会者:「ITアウトソーシング事業は、必ずしも新しい市場ではなく、先ほど競合として名前が挙がったようなSHIFTさんのように、すでに強い会社があります。後発として、あえてこの市場を選んだ理由がありますか?」というご質問です。
小渕:一言で言うと、我々は25年間ITを扱っているため、見地や見識があります。あえて選んだのではなく、必然で選んだという表現のほうが正しいかと思います。
後発、先行というのはあまり強く意識していません。何かの事業を始める場合、今の時代は先行がいないということはほぼなく、見つけるほうが困難です。
そのため、先行しているから選ばないとか、後発だからやめておこうという話よりは、どちらかと言えば「勝ち易きに勝つ」という孫子の兵法のようなところはありました。