2025年3月期第2四半期決算説明
谷郷元昭氏(以下、谷郷):みなさま、本日は当社決算説明会のためにお時間をいただき、ありがとうございます。カバー株式会社CEOの谷郷です。
本日はまず、CFOの金子から2025年3月期第2四半期決算概況及び2025年3月期下半期にかけてのサービス分野別の事業展開についてご説明し、続いて私から中長期事業開発の進捗状況についてご説明します。
決算ハイライト 2025年3月期Q2のサマリー①
金子陽亮氏(以下、金子):CFOの金子です。2025年3月期第2四半期の決算ハイライトをご説明します。第2四半期単体の業績概況は、売上高が106億8,800万円、売上総利益が57億5,700万円、限界利益が48億6,500万円、営業利益が25億3,700万円、純利益が15億円となりました。
サービス別売上の概況はスライドに記載のとおりです。配信/コンテンツは、前年同期比プラス21.4パーセントの21億8,400万円です。こちらは昨年デビューした新規タレントの収益貢献などにより、順調に進捗しています。
ライブ/イベントは、前年同期比マイナス11.0パーセントの11億4,400万円です。こちらは海外ライブコンサートの好調などにより社内計画を上振れたものの、第2四半期のライブコンサート件数が昨年度対比で少ないことにより減収となっている状況です。一方で、今期は第3四半期以降に中・大型のライブコンサートを実施する計画のため、通年計画は順調に進捗していると理解しています。
マーチャンダイジングは、前年同期比プラス79.8パーセントの58億7,900万円です。こちらは「hololive OFFICIAL CARD GAME」などの新規施策が想定を超える販売を記録し、大きく伸長しています。
ライセンス/タイアップは、前年同期比プラス90.1パーセントの14億8,000万円です。こちらは年初からの営業組織の刷新の効果が見え始めているほか、海外案件の獲得など、取引パイプラインが順調に拡大しています。
そして、第2四半期においては新規タレント「ReGLOSS」の3D配信ライブが最大同時接続数20万人を集めるなど、好評を博しました。また、米国拠点である「COVER USA」の稼働と並行して、海外施策の強化を行っています。
決算ハイライト 2025年3月期Q2のサマリー②
サービス分野別の実績を表で示しました。2025年3月期第2四半期累計の全体の売上高は171億400万円、通期進捗率は46.9パーセントです。
限界利益が78億3,200万円で通期進捗率は49.9パーセント、営業利益が33億7,200万円で通期進捗率は46.2パーセント、純利益が21億2,000万円で通期進捗率は41.9パーセントとなっています。
当社の業績は下半期に拡大しやすいという季節性を持っていることを考えると、順調な進捗と理解しています。
VTuberあたり収益の状況
第2四半期期間の在籍VTuberあたり四半期収益の指標は、前年同期比で41.2パーセント上昇しました。トレーディングカードゲームなどのIPの多面展開を通じて限界利益を改善することにより、VTuberあたりの収益は引き続き大きく伸長しています。
売上高の推移
売上高の推移です。マーチャンダイジング及びライセンス/タイアップ分野の事業拡大により、売上高は前年同期比プラス49.8パーセントまで成長しています。
マーチャンダイジングについては、販売チャネルの拡充を背景に小売売上高が着実に拡大しています。加えて、受注生産商品も好調が継続し、BS上では前受金残高が過去最高の約84億円を記録している状況です。
ライセンス/タイアップについては、営業組織再編の効果が出始め、国内外で取引クライアント数や案件数が増加しています。
コスト推移(売上原価)
売上原価の推移です。第2四半期期間ではマーチャンダイジング取引の増加を背景とした製造原価の増加や、コンテンツの増加に伴うスタジオ関連費用の増加が確認された一方で、イベント費が前年同期比でやや限定的な水準に留まっています。
売上総利益及び売上総利益率の推移
売上総利益と売上総利益率の推移です。第2四半期期間は、トレーディングカードゲームなどの収益性が高い商品が売上高を牽引した結果、粗利率及び粗利水準が過去最高値を更新しています。
コスト推移(販管費および販管費率)
販管費の推移です。第2四半期期間はマーチャンダイジング売上の増加に伴い、倉庫販管費が増加しました。しかし売上高対比の販管費率は、固定費率の相対的な低下によって、前四半期対比で低下して推移している状況です。
限界利益及び限界利益率の推移
限界利益の状況です。非労働集約的なコマース領域が売上高を引き続き牽引していることを背景に、限界利益水準は前年同期比プラス63.6パーセントまで拡大し、過去最高値を更新しました。
営業利益及び営業利益率の推移
営業利益の推移です。限界利益の継続的な改善により、営業利益水準は前年同期比プラス80.2パーセントまで拡大しています。将来の業績拡大に向けた人材投資を継続しつつ、営業利益は2022年3月期以来の高水準を記録しています。
サービスミックス及びプロダクトミックスの概観
第2四半期累計期間で売上高全体に占めるコマース領域の構成比は、66.6パーセントまで上昇しています。右側のグラフで示しているように、小売流通による卸売が大部分を占めるトレーディングカードゲームの展開開始により、商品カテゴリ及び販路の拡大も大きく進捗している状況です。
2025年3月期下半期にかけてのサービス分野別の事業展開
下半期以降の事業展開に関してご説明します。各サービス分野で着々と進捗している状況です。
配信/コンテンツについては、2024年11月9日に「hololive DEV_IS」より新規ユニット「FLOW GLOW」がデビューしました。また、音楽を起点とした商品・サービスの拡充、海外タレントをフィーチャーしたコンテンツの拡充などが進捗している状況です。
ライブ/イベントについては、多数の中・大型のイベントがすでに公表されています。2024年10月に有明アリーナで「さくらみこ」のソロライブ、11月から12月にかけて「星街すいせい」の国内ライブツアー、12月にKアリーナ横浜で「宝鐘マリン」のソロライブ、2025年2月にぴあアリーナMMで「白上フブキ」のソロライブの開催など、複数本の中・大型ライブを実施予定です。
これらに加え、今年度も2025年3月8日、9日に、超大型の「hololive Super EXPO/hololive Fes.」の開催を予定しています。
マーチャンダイジングについては、9月からトレーディングカードゲームの販売が開始しています。また、コンテンツの拡充に合わせた商品企画・生産及び物流キャパシティの拡大が進捗しています。
さらに、国内・海外における小売店販売も拡大しています。トレーディングカードゲームについては、2024年12月にブースターパック第2弾の発売を予定しており、今後も定期的に新商品を拡充していく想定です。
ライセンス/タイアップについては、引き続き、営業組織再編による収益力の強化、北米現地拠点や各地域の現地代理店などを介した海外BtoBの拡大を進めていきます。
タレントの開発
谷郷:中長期事業開発の進捗状況について、私からご説明します。当社はVTuberタレントのプロデュースとそのIT展開の両輪を回すことにより、事業を大きく拡大してきました。
ホロライブプロダクションのファンコミュニティをベースにした新規VTuberタレントの立ち上げ、企業として蓄積された制作能力や最新のモーションキャプチャ設備を活用したタレント育成、トレーディングカードゲームやゲームのようなIP露出によるファンコミュニティ拡大及び回遊、企業収益の再投資によるタレントの個性に応じたさらなる活躍機会の提供に取り組んでいます。
このような弾み車の存在により、当社の所属VTuberは個人では実現できないような大きな影響力を持てるようになりつつあります。
ホロライブ内でのファンの回遊・メンバーシップ加入の状況
YouTube上で当社VTuberの有料メンバーシップに加入するファンのうち、複数のVTuberのチャンネルメンバーシップに加入しているファンは全体の約55パーセントに上ります。ブランド内でのファンの回遊が、ファンコミュニティのリテンションの高さや新規タレントの立ち上げに寄与しています。
ReGLOSS – 初の 3D ライブ開催 –
2024年9月に開催された、デビュー1周年のユニット「ReGLOSS」の初3Dライブコンサートでは、最大同時接続数約20万という大きな集客を確認できました。
自社保有のモーションキャプチャ・スタジオの運用能力や表現技術の向上によって、以前に増して一層臨場感のあるライブコンサート演出が可能となっており、「ReGLOSS」の人気を加速させる一因となりました。
ReGLOSS – ファン数の増加 –
昨年2023年にデビューした「ReGLOSS」は、ショート動画のヒットや、先の3Dライブコンサートの盛況などを経て、2024年8月頃からファン数が顕著に増加しています。
当社の能力拡充を活かした再現性の高い人気VTuberの立ち上げが、今後も継続的な事業成長の基礎となっていくと考えています。
ホロライブEnglish のモメンタム向上
英語圏向けVTuberグループ「ホロライブEnglish」については、2023年以降のメンバー増員により配信コンテンツ数のフローが顕著に拡大しています。コンテンツ数の拡充は、着実にファンの総視聴時間数の増加にもつながっており、ファンのエンゲージメント強化に寄与しています。
今年度の海外イベント出展について
今年度は、スライドの地図上にプロットした世界各地でのイベント出展を実施しています。海外イベント出展を通じ、現地のファンコミュニティの拡大とエンゲージメントの向上を図っていきます。
自社企画TCG 「hololive OFFICIAL CARD GAME」の販売開始
2024年9月20日より販売開始した「hololive OFFICIAL CARD GAME」は、販売前より全国での試遊会やルール講習会などを通じたプロモーションを実施した結果、9月販売分のブースターパック第1弾やスタートデッキが好調な売れ行きとなっています。
12月にはブースターパック第2弾の発売が予定されているほか、発売後も大型の関連イベントを実施するなど、今後もユーザーコミュニティの拡大を実施していく想定です。
マーチャンダイジング分野における物流改善について
マーチャンダイジングの取引高が急速に拡大する一方で、物流についても生産性の改善を計画しています。来期には新物流センターの立ち上げを計画しており、これによって複数稼働している倉庫を1箇所に集約し、生産性を高める想定です。
加えて、生産販売計画の合理化を推進し、期間を通じた取扱物量の変化にも柔軟に対応可能な体制を構築する予定となっています。
ホロアース / ゲームの開発状況について
中長期の事業拡大に向けた新規サービス開発も着実に進捗しています。開発中の「ホロアース」については、月ごとに頻繁なアップデートを行っており、ユーザー体験の基盤となるインフラの拡充を行っています。
「ホロアース」については、下半期より一部開発資産の償却を開始予定であり、2025年3月期は3億5,000万円程度のPLへの影響を見込んでいます。
また、子会社を通じて行っているゲーム開発は、インディーズゲームブランド「holo Indie」にて、すでに14本のゲームをリリースしており、ゲーム・ディベロッパーコミュニティにおける認知拡大を推進しています。
これとは別に、当社IPをベースにしたライセンスゲームの開発も、ゲームディベロッパー企業との協業により継続的に進行しています。
その他財務状況に関わる事項に関して
最後に、その他の財務状況に関わる事項に関してご説明します。1つ目は、2024年10月25日に公正取引委員会から発表された、下請代金支払遅延等防止法に基づく勧告についてです。
当該事項については、同日の公正取引委員会からの「下請代金支払遅延等防止法に基づく勧告について」のリリースにて言及しているとおり、クリエイターのみなさまや各取引先との取引を円滑かつ安心して進められるよう、役員及び従業員に対する社内研修を実施するなど、各法令の遵守とともに、社内体制の強化とモニタリング等の未然の対策を整備し、引き続きコンプライアンスの強化と再発防止に向け、改善を図る方針です。
直接の財務的な影響は軽微であるものの、今後も改善に向けて対応を進めていきます。
2つ目は、諸外国間接税引当金の特別損失の計上についてです。本件は2024年10月29日に「2025年3月期第2四半期(累計)業績予想の修正及び特別損失の計上に関するお知らせ」の中で開示しています。
米国における売上税をはじめとしてユーザーから徴収していなかった諸外国間接税を見積もり、当社の責任において、当該諸外国間接税の納付見積金額を諸外国間接税引当金繰入額として4億5,000万円の特別損失を計上しました。
こちらは、各税務論点を税務アドバイザーとともに精査し、今回のみの一過性の計上となる見通しです。現状は最大の見積金額を引当金として計上しているため、今後においては戻入等が発生する可能性があります。
ご説明は以上となります。
質疑応答:マーチャンダイジング事業の売上の内訳について
質問者:マーチャンダイジング事業の第2四半期の売上を分解すると、どのような構成になっていますか? トレーディングカードゲーム、小売、ECなどの比率を教えてください。
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