会社概要

宮崎智裕氏:三晃金属工業株式会社執行役員の宮崎智裕です。それでは、当社の会社概要からご説明します。

当社は1949年の創業以来、自社開発した屋根製品の製造から設計・施工を通じてさまざまな用途の屋根工事を手掛けてきました。

皇居新宮殿、日本で開催された4度のオリンピック会場と4度の万博関連施設、鉄道、空港、各地の体育館といった街のランドマークから、工場、倉庫、商業施設、集合住宅・戸建て住宅など、暮らしに身近な建物までを70年以上にわたって手掛けています。

薄い金属を継ぎ目なく波型にロール成型した「折版(折板・せっぱん)」や「瓦棒(かわらぼう)」と呼ばれる金属屋根は、今では日本中の鉄骨造建築物でスタンダードとなっており、その元祖は三晃金属工業です。屋根を構成するタイトフレームなどの専用部材までほぼ内製化している数少ないメーカーでもあります。

その後も時代のニーズの変化(大規模、断熱、3次元、高強度、高遮音など)に応じてさまざまな屋根工法を世に送り出しています。

3つの強み

当社の3つの強みをご説明します。1つ目は、「屋根のリーディングカンパニー」であることです。金属屋根のトップカンパニーとして、長年業界をリードしてきた三晃金属工業は、ランドマークとなる大規模建築や意匠を凝らした構造物など、これまでに積み上げてきた実績と信頼のもと、常に新たな挑戦を続けています。

2つ目は、「屋根のこと、全部」ということで、三晃金属工業では屋根の研究開発から設計、製造、施工までを一貫して担当しています。長年培ってきた独自のノウハウや技術を活用することで、品質をはじめ、納期やコストなどあらゆる面で高い競争力を誇ります。

3つ目は、「高い技術力と専門性」を有していることです。金属屋根はもちろん、太陽光発電屋根や緑化屋根など、時代のニーズに応える商品を提供しています。優れた断熱性・耐候性・軽量性などの高機能や、新素材・新工法といった技術革新により、常に屋根を進化させています。

数字で知る

当社の創業は1949年、今期で76期目です。年間施工件数は2,000件以上、ソーラー屋根施工は10年間で20万キロワットです。全国53ヶ所に事業場を展開しています。売上高は3期連続で増収を実現しており、2024年度も増収の見通しです。

屋根の種類/⻑尺屋根

屋根の種類をご説明します。「⻑尺屋根」は、スタジアムや美術館、空港施設、工場など、大規模な屋根づくりに用いられます。素材にはアルミやステンレス、ガルバリウム鋼板、チタンといった各種金属が使用され、形状も「嵌合タイプ」「馳タイプ」「重ねタイプ」「断熱タイプ」「横葺タイプ」とさまざまです。

屋根の種類/R−T⼯法

「R-T工法」は、ステンレスもしくはチタンを成型した屋根材同士を溶接することで高い水密性と耐久性を実現する防水工法です。国内では当社独自のシステムとしてJASS(日本建築工事標準仕様)に定められています。曲線を活かした特殊な形状にも対応できるため、スポーツ施設や文化施設などの意匠性の高い建築物に数多く採用されています。

屋根の種類/ハイタフEG

工場や研究所など、高度な耐久性が求められる建物に採用されているのが「ハイタフEG」です。環境にやさしいアメリカ製のエチレンプロピレンゴムを主原料とした防水シートを使用し、高い耐候性と耐薬品性を発揮します。完全な防水性を誇り、あらゆる気候や自然災害から屋内を守ります。

屋根の種類/住宅建材

当社の製品は、大型建築だけでなく「一般住宅」の分野でも活躍しています。これまで培ってきた知識と最新のCAD/CAMシステムを応用することにより、一般住宅に求められる安全性や経済性、デザイン性、耐久性、加工性を実現しています。1軒ごとの希望に応える多彩で高品質な製品を提供しています。

未来に向けた挑戦

屋根のリーディングカンパニーとして常に新しい挑戦を続けています。環境問題への取り組みや、施工現場の担い手不足を解消するための省人・省力化への試みなど、未来を見据えたさまざまな施策を行っています。

未来に向けた5つの挑戦

当社は、気候変動による自然災害の頻発や甚大化に伴い、時代のニーズに合った商品開発に取り組んでいます。

例えば、屋根の断面形状と固定方法を工夫することにより、極めて高い負圧強度を持つ新商品を開発しました。台風などの災害に強いだけでなく、強風域の建物や高層化する大型物流センターの屋根としても最適です。

こうした商品を世の中に送り出せるのは、自社の技術開発センターを所有している三晃金属工業ならではの強みです。実証実験もすべて社内で行うことにより、安定した品質や価格を担保しています。

未来に向けた5つの挑戦

ドローンを活用した測量やBIMの三次元モデルによる建築図面の管理など、最新テクノロジーを活用することで現場の省人化・効率化を目指しています。

工法に関しても、例えば、従来は溶接により接合していたフレームをボルト固定にすることにより、現場での作業を省略化しました。これにより、溶接技術を持たない職人にも作業が可能になっただけでなく、溶接部の塗装や溶接火花の落下防止対策が不要になるなど、現場の作業効率が大幅にアップしています。

こうした最新の技術や工法を採用することで、現場の担い手不足の問題に対応しています。

未来に向けた5つの挑戦

当社は、早くから太陽光電池や屋上緑化の可能性を追求してきました。

東京駅の一部ホームには、パネルと屋根の機能を併せ持つ建材一体型のソーラーパネルを採用しています。屋根の上から設置される一般的なソーラーパネルとは異なり、施設利用者が天井越しにパネルを視認できる他、バックシートから淡い光を取り込むことで採光も確保できます。

また、屋上緑化については、金属屋根による緑化システム工法を開発しました。ヒートアイランド現象への対策や景観への配慮、建物の耐久性や断熱性の向上など、より自然と共生できる屋根を目指します。

未来に向けた5つの挑戦

全国500社を超える協力会社とのネットワークを活かし、製造から施工までを一貫して行う「責任施工」を実現しています。

そのために充実した社員教育はもちろん、若手職人を対象とした技量・安全研修なども積極的に開催しています。

特に、高度な技術を要する施工研修を自社工場で行うことにより、現場だけでは習得が難しい知識やスキルを身に着けてもらいます。こうした取り組みによって職人との連携を強化することで、クライアントはもちろん、職人からも選ばれ、信頼される企業を目指します。

また、三友会会員の施工技術向上と技術伝承のため、埼玉県深谷市に「三晃クラフトアカデミー」を開設しました。今後も施工技術に磨きをかけていきます。

未来に向けた5つの挑戦

今後も当社が社会の役に立つ商品・サービスを提供し続けるために、仕事の質や生産性の向上などを通して、若手からベテランまで社員一人ひとりが、自らの成長を実感しながらやりがいを持って、心身ともに健康で活き活きと、持てる力を最大限発揮して働くことを実現します。

そのために、業務プロセスの改革、人材育成の強化などさまざまな取り組みを通して、快適で効率的な職場環境づくりに取り組んでいます。

2025年3月期 決算概要

それでは、2025年3月期中間期の業績についてご説明します。

当事業年度の需要の前提となる2022年度(2022年10月から2023年9月)の全国非住宅鉄骨造着工床面積(申請ベース)は、前年同期比19.1パーセント減少しました。

全国非住宅鉄骨造着工床面積のうち、当社工事物件に関係する工場・倉庫においては前年同期比21.5パーセント減少と大きく減少しました。

建築コストについては、諸資材価格は総じて高い水準で推移しています。

業績ハイライト

売上高は、豊富な受注残高に支えられ前年同期比2.1パーセント増収、経常利益は、増収及び売上総利益率改善に伴い前年同期比1.2パーセント増益、ROSは前期レベルの7.6パーセントとなりました。

受注高

受注高については、受注環境悪化の中ではありましたが、国内生産施設、物流倉庫を中心とした大型新築工事物件の増加や、竣工後20年以上経過した建屋の改修ニーズ捕捉による改修工事の増加、屋根上のソーラーパネル設置工事の増加などにより、前年同期比8億1,500万円(マイナス3.3パーセント)減少の239億6,000万円と引き続き高いレベルで推移しました。

売上高

売上高については、前年同期比4億2,200万円(プラス2.1パーセント)増収の209億1,600万円となりました。

うち完成工事高は、高いレベルにあった期首受注残の工事が概ね順調に進捗したこと等により、前年同期比7億3,700万円(プラス4.3パーセント)増収の179億7,700万円となりました。

うち製品販売高は、屋根製品販売、住宅建材事業における減収から、前年同期比3億1,200万円(マイナス9.8パーセント)減収の28億9,100万円となりました。

うち売電事業売上高は、前年同期比200万円(マイナス5.4パーセント)減収の4,600万円となりました。

受注残高

結果として、中間期末の受注残高は過去最高を更新し、前年同期比44億4,700万円(プラス14.1パーセント)増加の360億5,200万円となりました。

経常利益増減分析

営業利益については、工事量の増加により6億9,200万円の増益となり、コストアップによる原価増5億6,700万円、ベースアップ等による販売費及び一般管理費の増加1億2,900万円を吸収し、前年同期比500万円(マイナス0.4パーセント)減益の15億6,300万円となりました。

経常利益については、営業外収益2,500万円の計上により、前年同期比1,800万円(プラス1.2パーセント)増益の15億8,800万円となりました。

財政状況

総資産については、流動資産の減少を中心に9億3,500万円減少し、392億2,600万円となりました。

負債・純資産については、負債が12億6,400万円の減少、純資産が3億2,800万円増加の252億9,200万円となりました。

自己資本

自己資本は、前事業年度末比3億2,800万円増加の252億9,200万円となりました。自己資本比率は、総資産9億3,500万円減少、純資産3億2,800万円増加により、前事業年度末の62.2パーセントから2.3パーセント改善し、64.5パーセントとなりました。

キャッシュフロー

営業活動による資金の増加は2,000万円となりました。主な増加要因は、税引前中間純利益15億8,800万円、売上債権及び契約資産の減少7億6,500万円、減価償却費3億100万円です。

主な減少要因は、棚卸資産の増加6億8,400万円、仕入債務の減少6億3,200万円、法人税等の支払額4億9,600万円、その他に含まれる消費税等の支払額4億7,400万円です。

補足として、当中間期の営業活動による資金の増加額が2,000万円と少なくなっているのは、前期末金融機関休日により、本来前期に支出されるべき資金7億4,000万円が当中間期に支出されたためです。

投資活動による資金の減少は4億4,900万円となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出1億8,300万円、差入敷金の支払による支出1億6,500万円です。

財務活動による資金の減少は7億7,400万円となりました。主な減少要因は、配当金の支払額7億6,500万円です。

2025年3月期通期見通し

次に、2025年3月期の通期業績予想についてご説明します。

建設業界においては、新築需要の減少、今年度から建設業にも適用される残業規制や人手不足に起因する前工程の遅延、建設コスト高騰による建設計画の中止・延期などが懸念され、引き続き今後の動向を注視していきます。

当社においては、営業面では技術提案を中心とした設計織込み営業の強化に注力するとともに、今秋には新しい省施工商品を市場に投入する計画としており、さらに受注を拡大していきます。

工事面では引き続き高レベルの期首受注残高を維持しており、工事量の増加を確実に実行し、増収に注力します。

一方で、資材コスト、労務コスト、運送コスト等建築コストは上昇しており、受注価格への転嫁と一層のコスト低減強化により全体的な利益確保に努めていきます。

業績予想

2025年3月期の通期業績見通しについてご説明します。

売上高は期首受注残高が売上に寄与し前年同期比20億8,600万円(プラス4.9パーセント)増収の450億円、経常利益は売上総利益が増収により3億8,600万円増加し、営業外収益が2,300万円改善するものの、人件費上昇及び施工関連費用等販売費及び一般管理費が6億1,800万円増加するため、前年同期比2億900万円(マイナス5.6パーセント)減益の35億円、当期純利益は24億6,000万円としています。

2024年4月26日に公表した計画から変更ありません。

配当実績・予定

配当金については、配当性向30パーセント方針により、前期より10円減配の190円を予定しています。

2024年4月26日に公表した計画から変更ありません。

当社は、今後持続的成長を可能とすべく、中長期視点から競争力のコアとなる技術力の強化、施工協力会社との連携による施工体制の強化に努めるとともに、「業界最高レベルの商品力・営業力・工事力」で好循環を創出し、圧倒的な総合力で業界をリードするため、安全の確保を前提とした工事現場の生産性向上と工事品質向上、そのために必要な投資に継続的に取り組んでいきます。

今後とも、安全・法令遵守への取り組みを継続的に行うとともに、すべてのステークホルダーから信用・信頼され、選ばれる企業として社会に貢献し、持続的な成長を図っていきます。

1.スマートクリップ

最後に、2つの新商品についてご説明します。

「スマートクリップ」については、「速い!」「強い!」「美しい!」の3つのポイントがあります。

速さについては、屋根材に孔をあけない新工法のため準備作業が不要です。仮葺きは、クリップ金具に嵌め込むだけで完了します。屋根材同士が強力に嵌合するため中間緊結ボルトが不要で、加えて、ドリルによる孔あけ作業がないため安全です。

強さについては、従来の吊折版と同等の強度で梁間の変更は不要です。従来の打ち込み式吊金具の2倍の強度でしっかりと固定します。下から挟み込むX金具で長期的な強度もバッチリです。

美しさについては、屋根材に孔をあけないため漏水リスクが減少します。金具類は錆びにくい高耐食性の「ZEXEED(ゼクシード)」、屋根材の標準材に、次世代ガルバリウム鋼板「SGL(エスジーエル)」を採用しています。

1.スマートクリップ

こちらは、従来品とスマートクリップの施工方法の違いを図示しています。吊庇の歴史が変わることをご確認いただけると思います。

2.フラットジョイント

「フラットジョイント」は、業界初の定尺ジョイント折版でシングル・ダブルともに屋根30分耐火構造認定を取得しています。

「現場成型のスペースがない」「屋根から壁を一体化したい」「断熱カバーを改修したい」「人手が足りない」「急勾配」といった現場に対し、「フラットジョイント」には6つの特徴があります。

メリットの1つ目は「業界初屋根30分耐火構造認定取得」、2つ目は「段差のない縦ジョイント」、3つ目は「高い防水性能」、4つ目は「少人数での施工が可能」、5つ目は「敷地条件不問」、6つ目は「断熱性能の向上」です。

2.フラットジョイント

こちらでは、ジョイント部基本断面図、水密試験結果、先端ラジアル、許容梁間の画像・データを記載しています。