業績概要(連結累計)

鳥屋和彦氏:執行役員管理総括の鳥屋です。本日はお忙しいところ、当社の決算説明会にご参加いただきありがとうございます。さっそく私から決算概要についてご説明します。

まずは業績概要です。売上高は前期比マイナス0.4パーセントの69億5,500万円、営業利益は前期比マイナス24.9パーセントの3億2,200万円、経常利益は前期比マイナス24.3パーセントの3億3,100万円、純利益は前期比マイナス27.4パーセントの2億900万円となりました。

主軸のソリューションサービス事業は2022年から徐々にストック売上に移行しており、今期はその結果が少しずつ現れて堅調に推移しています。そちらに対して、システム運用・サービス事業が回復遅れとなりました。また、サポートサービス事業は、主力顧客の内製化により減少傾向となっています。その結果、売上高は前期比で2,800万円の減少となりました。

営業利益は、主軸のソリューションサービス事業において、ストック売上に紐づく利益が堅調に推移しています。対して受託開発事業は、戦略的受注案件による高原価プロジェクトの発生やサポートサービス事業の売上連動の影響により、前期比で1億700万円の減少となりました。経常利益と当期利益は、営業利益に紐づいています。

計画数値に対しては、セグメント別に凹凸はあるものの、売上高で1.3パーセント、営業利益で8パーセントの不足となっています。

営業利益要因別増減分析(連結:前期比)

営業利益の要因別増減分析です。2024年3月期の営業利益4億2,900万円に対し、当期は3億2,200万円の内訳となっています。

高原価プロジェクトは第1四半期の発生分ですが、7,400万円の減少となりました。しかし、その他の事業で売上高に対する利益が増加し、1,800万円の利益を生み出しています。

また、今期より人的資本への投資を行っているほか、4月に開催した50周年のイベント等があったことで費用がかさんでいます。最終的には、3億2,200万円での着地となりました。

売上高増減内訳(連結:前期比)

売上高の増減内訳についてセグメント別にご説明します。2024年3月期の69億8,300万円に対して、ソリューションサービス事業はクラウド利用料の伸長により1億2,300万円増加しました。受託開発事業は横ばいです。

システム運用・サービス事業は、2024年3月期第1四半期から第3四半期にかけて徐々に受注量が減ってきました。2024年3月期第3四半期から2025年3月期第2四半期までは据え置きとなっていますが、2024年3月期の第1四半期と第2四半期が若干高くなっているため、売上高が減少しています。

サポートサービス事業は、4月1日の主要顧客の統合による内製化といった方針の影響が発生しています。

営業利益増減内訳(連結:前期比)

営業利益の増減内訳です。2024年3月期の4億2,900万円に対して、ソリューションサービス事業は、売上高同様にクラウド利用料の伸長によって利益が増加しました。

受託開発事業の売上高は据え置きでしたが、一部の戦略的受注案件の影響により、約1億円の減益となっています。戦略的受注案件とは、利益ベースでゼロないしは若干マイナスであるものの、将来的には利益が出ると見越して獲得している案件のことです。

システム運用・サービス事業は現在、適切なリソース管理により効率化を図ることができています。それによって売上高は減少していますが、利益は増加しています。

サポートサービス事業は、売上高の減少に紐づくものがあったことや2024年3月期第1四半期に大型案件があったことにより、利益も大幅に減少しています。

対通期計画値(2Q進捗率)

通期計画に対する第2四半期までの進捗についてご説明します。連結合計の売上高は、通期計画の150億円に対して、第2四半期時点の進捗率は46.4パーセントです。連結合計の営業利益は、通期計画の11億4,000万円に対して、現在は28.3パーセントの進捗率となっています。

今年度の通期計画は、前年期末の受注残状況や商談状況をふまえて第4四半期偏重としています。特に営業利益は、これらの状況や周年イベントなどの関係を考慮し、前期比でさらに低く計画を立てています。

したがって、計画値での利益は今より3,000万円弱の減少となりますが、おおむね計画どおりだと捉えています。

堅調なソリューションサービス事業は、下期はさらに伸ばしていきます。受託開発事業は、第1四半期ではビハインドを負いましたが、第2四半期からは利益体質になっているため、第3四半期から第4四半期にかけて伸ばしていきます。

ポイントとなるのが、システム運用・サービス事業とサポートサービス事業です。これらの数字を上げていくように注力しながら、連結の通期達成に向けて進めていきます。

<中期経営計画>中期経営計画の位置づけ

柿﨑淳一氏:代表取締役社長の柿﨑です。私からは、環境変化と今後の取組みについてご説明します。まずは、今年度6月末に発表した中期経営計画の概要です。スライドには、これまでの中期経営計画と本中期経営計画の位置づけを記載しています。

スライド左側に記載した第1次中期経営計画においては、ホールディング傘下の個社の事業統合・再構築を行い、ソリューションサービス事業を成長領域事業として位置づけて進んできました。

第2次中期経営計画では、収益基盤の安定化を重点テーマとし、グループの営業利益を10億円台で維持することが可能になりました。しかし、持続的成長に向けた事業基盤に関しては、さらに再構築をする必要があります。

本中期経営計画は、2030年に向けた方針です。「持続的成長への変革と創造」というスローガンのもと、それを可能とする事業基盤を再構築して企業価値向上につなげることをテーマとしています。

2026年度の数値目標には、売上高180億円、営業利益15億円、営業利益率8.3パーセントを設定しています。

<中期経営計画>基本方針

中期経営計画の基本方針は、4点あります。1点目は、ストックビジネスの拡充とクラウドサービスによる収益力の向上です。

2点目は、ソフトウェア会社において最大の財産である人財の強化です。こちらについては、特にクラウド技術者の育成に注力していきたいと考えています。

3点目は、グループ総合力の強化です。グループや個社の強みを連携させながら、お客さまへの深耕を図ったりロイヤルカスタマーを創出したりすることをテーマにしています。

4点目は、投資の拡大です。人的資本や製品開発など、事業の業容拡大が図れるようなM&A等を積極的に行い、成長への投資を拡大していきたいと考えています。

<中期経営計画>主な成長戦略(ストックビジネスの拡充)

重点成長戦略であるストックビジネスの拡充についてです。サービスを含めたクレオのソフトウェアの資産と、クレオのいわゆるモノ作りの強みを最大限に活用・発揮することで、コア事業の維持拡大とグループとしての共創、さらにはお客さまの事業成長への貢献に努めます。

将来的な目標としては、社会課題への貢献・解決に努めながら、お客さまの顧客数の増大・拡大、収益力の向上に努めていきたいと考えています。

<中期経営計画>主な成長戦略(ソリューションサービスの戦略)

成長戦略の中心となるソリューションサービス事業の主な成長戦略についてです。まずは、私どものコアである「ZeeM」による人事給与・会計、アマノ社と連携している「TimePro-VG」による就業管理を軸に、お客さまの安心安全な経営をサポートします。

そして、スライド左側に記載した各種クラウドアプリケーションの拡充を行いながら、お客さまのイノベーションを促進します。さらに、アウトプットされたデータをインテグレーションすることで経営を可視化し、お客さまのDXを推進します。

お客さまとともに進化しながら信頼を得ることで、企業価値を高めていきたいと考えています。

<中期経営計画>人財戦略(人財の強化)

人財戦略についてです。昨今は市場全体が人材不足ですが、「採用」「育成」「働き甲斐・働きやすさ」の3つのテーマごとに、多様な人財の採用、先端技術者やDX人財の育成などの各種施策を講じながら、社員一人ひとりや企業の成長につなげていきたいと思っています。

先端技術者の育成については、クラウドやAI等もありますが、まずはさまざまな先端技術に触れる場作りに注力していきたいと考えています。

<中期経営計画>サステナビリティ(人的資本等)

人的資本についてです。スライドの表には、私どものサステナビリティとしての目標を記載しています。細かいご説明は割愛しますが、一番下に記載した「人財育成」におけるエンゲージメントの醸成および成長投資については、中期計画の3年間を含めた今年度の重点目標だと捉えています。

<中期経営計画>投資の拡大

投資の拡大についてです。人的資本、製品・サービスの創出、先端技術の研究開発等の内部強化、私どもの業容拡大、新しい技術を持ったベンチャー企業との資本提携など、新規事業創出に向けたM&Aも積極的に実施していきたいと考えています。

配当、自己株式取得においては、3年間で16億円の水準としています。

株主還元(自己株式取得)

最近のトピックスについてです。2024年8月28日に開示した自己株式取得では、取得総額2億5000万円、取得株式22万株の自社株買いを行っています。

<2025年3月期>課題認識と今後の取組

事業セグメントごとの課題認識と今後の取り組みについてです。

ソリューションサービス事業においては、クラウド利用や月額課金型の需要増に向けたリソースの確保、クラウドサービスによる収益力の向上、既存顧客に対するカスタマーエクスペリエンスの向上を課題と捉えています。

こちらに対しては、製品導入作業の高効率化による回転率向上、サービス拡張に伴う製品開発および既存サービスの機能強化を行うほか、カスタマー営業体制を強化し、お客さまの声を聞きながら顧客満足度をアップすることで離反防止に取り組んでいきます。

受託開発事業においては、主要顧客との共創強化を課題と捉えています。こちらに対しては、ロイヤルカスタマーとの信頼関係の醸成、プロジェクトマネジメントの強化・徹底、お客さまに求められる高付加価値エンジニアの育成に注力していきます。

システム運用・サービス事業においては、オペレーションセンターで培ったLINEヤフー社のスキルをベースに、お客さまに選ばれ続ける優位性の向上に取り組みます。私どもが注力している特徴的な点で言えば、運用監視ノウハウを可視化しながら、LINEヤフーグループ以外の新たなお客さまの開拓にも取り組んでいきたいと思っています。

サポートサービス事業においては、人月ビジネスから価値提供型への転換に向けて、人的サポートとAIなどをベースにしたツールの活用によるハイブリッド運用の追求を行います。また、クラウド基盤構築案件の商談が非常に増えていますので、「Amazon Web Services(AWS)」「Microsoft Azure」関連の人財を育成するべく、人財のリスキリングなどに取り組んでいきたいと考えています。

ご説明は以上となります。引き続き企業価値向上に努めていきますので、今後ともご愛顧のほどよろしくお願いいたします。ご清聴ありがとうございました。

Q&A

質疑応答に関しましてはこちらに掲載されています。