第5部・株式会社インテリックス
俊成誠司氏(以下、俊成):インテリックス代表取締役社長の俊成です。よろしくお願いします。
まずは当社事業について、当社ロゴを用いて簡単にご説明します。スライドに載っている記号は、当社のシンボルマークです。インテリックスの社名は、英文表記にした時に、数字記号「‐」「+」「=」「×」が隠されています。
「‐」は取り除く、「+」は加える、「=」はイコール、「×」は倍の価値を意味し、全体で「リノベーション」のことを示しています。
リノベーションは、中古の住宅やマンションの中で「最初に何を取り除いて何を残すか」が一番大事です。何を取り除くかをきちんと図りながら、残せるものは残し、変える必要があるものは取り除いて変えていくという作業をまず行います。
その上で「加える」、つまり新しい工事を行い、今の時代に合った新しい設備を付加していきます。それらが付加価値を生み、「倍の価値」になります。
リノベーション事業分野の主なビジネスモデル(リノヴェックスマンション事業)
俊成:リノベーション事業のビジネスモデルについてご説明します。インテリックスは、中古マンションを1部屋単位で取得し、内装を施してリノベーションした後、アフターサービス保証を付けて販売する事業を行っています。当社は業界で初めてアフターサービス保証に取り組んできた会社で、来年で30周年を迎えます。
ビジネスモデルとしては、中古マンションを売りたい売主さまが、町の不動産会社に「売りたい」とお話しします。当社はそれらの情報をいただき、1部屋単位で購入し、リノベーションを施し、再度、販売するかたちとなっています。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):御社は「リノベーション事業が基本のビジネスモデル」ということですが、創業のきっかけなどがあれば教えてください。
俊成:当社は、1995年に会長の山本が創業しました。今から約30年前の1995年当時は、「リノベーション」という言葉自体、おそらくまだ世の中に広まっていなかった時代です。「マンションを買うなら、やはり新築だよね」というニーズが根強くあり、新築マンションの取り引きが活発に行われていました。
坂本:その頃は、新築がどんどん建っていた時期ですね。
俊成:おっしゃるとおりです。一方で、当時の中古マンションは、仲介会社が案内をしても、案内時にまだその建物で生活している方がいたり、あまりきれいな状態ではなかったりしたため、売買が進みませんでした。
その中で、会長の山本は「自分たちでリノベーションをきちんとして、それを売り出せば、お客さまにとっても安心だ」と考え、中古マンション事業に目をつけ、リノベーション住宅の販売をしたところ、どんどん売れていって上場もできたということです。
坂本:基本は、中古マンションの区分を買って再生される事業を行っているのだと思いますが、戸建ての再生事業は行っていないのでしょうか?
俊成:戸建てに関しても行っていないことはなく、もちろんチャレンジしたこともあります。ただし、戸建ての外装も含めた対応となると、費用対効果が合わないという現状があります。
マンションと戸建てには大きな違いがあります。まずマンションには、建物全体の「共用部分」と、インフィルと呼ばれる「専有部分」があり、室内と室外が明確に切り分けられます。
一方で、戸建ては躯体と専有部分が同じで、雨漏りやシロアリなどのいろいろな状況に対しても考慮した上でリノベーションを行うため、コストや工事期間が大きく異なります。
当社の場合は、まずインフィルへのリノベーションをきちんと行いたいと考えています。建物の管理状態等も含めた目利きにより、再現性の持てる事業を手掛けるという方針のもと、マンションに特化しています。
坂本:確かに、戸建ては築年数が経ち過ぎると再生にかなりお金がかかりますし、状態もシロアリなどに侵食されている可能性があり、戸建てはそこが大変だと思います。マンションであれば、管理が悪くても均一であるというところが、やはり1つの着目点なのですね。
俊成:おっしゃるとおりです。もう1つ、当社はアフターサービス保証をつけているという特長があります。何かあった時にきちんと修繕する際にも、履歴等がマンションのほうが見えやすいです。
戸建てはいろいろ外部要因が多いので、最長20年のインフラ保証などはなかなか難しいこと一因です。
坂本:ワンルームとファミリータイプでは、どちらの案件が多いですか? 平均平米数などもわかれば教えてください。
俊成:主にファミリータイプがベースになっており、平均で約60平米、築25年から30年ぐらいが当社のボリュームゾーンです。
リノベーション事例【Before-After】
俊成:スライドにはリノベーション事例を掲載しています。よくあるビフォー・アフターではありますが、左側のような古いマンションを、こちらの事例では「スケルトン状態」と呼ばれる躯体部分まで戻し、間取等を今の生活に合ったかたちに変えているという事例です。
リノヴェックスマンション販売実績
俊成:こちらは販売実績です。スライド紺色の棒グラフは、当社が今まで手掛けてきた「リノヴェックスマンション」の販売件数を示しています。年間およそ1,000室をマーケットに提供し続け、現在は累計で2万7,000室を供給しています。
グレーの棒グラフは「R住宅」の発行件数を示しています。「R住宅」とは、一般社団法人リノベーション協議会が認定したマンションの品質基準を満たす住宅です。スライド右下のオレンジ色の「R1」というマークが目印です。
リノベーション協議会は、きちんと施工がされている物件を認定し、世の中に安心安全のリノベーションを広げていこうという団体で、当社の会長が理事長を務めています。当社は「安心できる住まい」に対してきちんと取り組んでおり、現在「R住宅」はどんどん増え続けていますが、当社のシェアはNo.1となっています。
坂本:リノヴェックスマンションの販売実績をかなり積み上げてきていますが、リノベーションをするためには、どこかから中古マンションを仕入れなければならないと思います。仕入れルートについて教えてください。
俊成:仕入れルートは2つあります。1つは、大手の不動産仲介会社はもちろん、小手(こて)と呼ばれる地場の不動産会社から情報をいただき、仕入れを行っています。もう1つは「直接売りたい、早く換金したい」というお客さまがいれば、当社が直接買い取りを行っています。
坂本:同業他社のように、よくあるポスティングやDMなどで所有者へ直接アプローチすることもあるのですか?
俊成:ポスティング等はしていません。Webで集客し、そちらから直接お問い合わせがあり、実際に中を見せていただいた上で購入しています。
坂本:どちらかと言えば、ほとんどが仲介業者からの物件ということですね。
俊成:おっしゃるとおりです。
当社グループの事業概要
俊成:当社グループの事業概要です。リノベーション事業分野とソリューション事業分野の2つに分かれています。
先ほどからご説明しているのはリノベーション事業分野です。こちらは、中古マンションを当社で買い取り、リノベーションして再販するリノヴェックスマンション事業と、法人あるいは一般のお客さま向けのリノベーション内装事業があります。そして、リノベーション市場の透明化を進めるために「FLIE(フリエ)」というサイトを運営しています。
もう1つの軸はソリューション事業分野です。こちらは、不動産に関するいろいろな情報に対し、当社が企画し、運用商品として販売する等ソリューションによって付加価値を提供しているビジネスです。
坂本:御社の基本となるリノベーション事業は、自社で行っているのでしょうか? それとも外注しているのでしょうか?
俊成:施工に関しては自社でも行っていますが、ほとんどは提携している協力会社が行っています。当社が手掛けているのは、主に設計と現場管理です。
協力店には、今まで30年で蓄積された運用マニュアルや施工マニュアルに沿ってきちんと行っていただき、当社がチェックした上でマーケットに出すという仕組みで進めています。
循環型リノベーションモデル
俊成:冒頭で「インテリックスのロゴには『‐』『+』『=』『×』というリノベーションの概念が入っている」とお話ししました。こちらのスライドの図は、その「‐」「+」「=」「×」を、今後のインテリックスが目指す循環型リノベーションモデルとして新しくイメージ化したものです。
「‐」には、リノベーションでCO2を削減し社会のCO2負担を下げるという意味があり、「+」には、リノベーションの空間作りによってQOLの向上を実現したいという考えが込められています。それらに関する技術や取り組みを、市場のためにオープン化することを示したのが「=」です。
当社は、いろいろな業者や金融機関、株主のみなさまやパートナーと一緒に新たな価値を生み出すことで、循環型リノベーションをさらに広げていきたいと考えており、こちらのモデルに沿った取り組みを進めています。
中古マンション市場が新築市場を継続して上回る
俊成:今の中古マンションの市況感についてご説明します。スライドのグラフは、首都圏における新築マンションの供給戸数と中古マンションの成約戸数を比較したものです。
ご覧のとおり、2016年以降、中古マンションの成約件数が新築マンションの供給戸数を追い抜いており、今は中古マンションを中心に市場が形成されるようになってきています。
新築と中古のマンション価格ギャップが拡大
俊成:スライドのグラフは、新築と中古マンションの価格ギャップがどんどん拡大していることを示しています。よく新聞記事などでも言われていますが、2023年には首都圏の新築マンションの平均価格が8,000万円を超えました。中には、1億円を超えた地域もあります。
中古マンションも同様に上がってはいますが、新築と中古マンションの平均価格の乖離は今どんどん大きくなっている状況で、2012年から1.7倍と大きく拡大しています。
しかし、この要因には注意しなければならないことがあります。新築マンションの価格を引き上げているのは、昨年販売を開始した「三田ガーデンヒルズ」や今年からまた出てくる「麻布台ヒルズレジデンス」など、都心の高額タワーマンションです。それらの価格上昇が、平均値を大きく押し上げています。
一方で、郊外のマンションを見てみると、そこまで上がりきっているわけではありません。局地的に見る部分と、平均価格で見る部分については、実態がどうなのか、これからかなり注意して把握しなくてはならないというのが、今の不動産市況の見方かと考えています。
中古マンション成約件数・在庫件数の推移(前年比)
俊成:中古マンションのマーケット状況です。当社の前期決算にも関わりますが、スライドにグレーの折れ線グラフで示しているとおり、中古マンションは一昨年から昨年にかけて在庫数が相当増え、高止まりが起こっていました。
現在は成約数も少しずつ戻ってきており、在庫数も減り始めています。
中期経営方針「両利き経営」の継続推進
俊成:重点事業方針についてお話しします。当社は中期経営方針として、「両利きの経営」を継続的に推進しています。
既存の主軸事業であるリノベーション事業分野とソリューション事業分野を深掘りし、収益性を上げながら、あわせて、先行投資事業として、今後の省エネ化・省力化を進めるため、現在は「エコキューブ」や「FLIE」に関する事業を推進しています。
「両利きの経営」の推進により、既存事業で収益を上げながら新規投資し、これからの社会に必要な事業を前向きに育てていくことを目指しています。
2025年5月期 重点方針
俊成:2025年5月期の重点方針です。中期経営方針の実践を継続しながら、収益拡大のための体質強化を掲げています。バランスシートの強化も含め財務体質強化を図り、収益の出やすい事業体にしていきたいと考えています。
加えて、もう1つの方針である人的資本経営も推進していきます。
【既存事業】体質強化による収益拡大
俊成:体質強化による収益拡大について具体的にご説明します。先ほどもご説明したとおり、当社の既存事業は、リノベーション事業分野とソリューション事業分野の2つに大きく分かれています。
リノベーション事業分野では、前期に長期保有在庫の早期売却を実施し、目処がついたため、前期後半から仕入れを再活性化しています。今期は期初から鮮度の高い物件の占める割合が増え、収益性の回復が見込めます。加えて、高額帯の物件にも積極的にチャレンジしながら、「エコキューブ」による省エネ化も進めているところです。
ソリューション事業分野は、第1四半期に高い利益を計上しました。財務バランスを良くするため、保有していた販売用不動産を売却し、新たな資産に入れ替えることで利益に寄与しました。また、不動産小口化商品「アセットシェアリング」の継続販売・運用を進めています。
事業期間と粗利益率の相関性
俊成:リノヴェックスマンション事業部のリノベーション再販に関するKPIです。当社では事業回転を最重要視しており、利益を確実にとりつつ在庫リスクを抱えすぎないことにポイントを置いています。
スライドの棒グラフは事業期間を表しています。前期は事業期間が延び、先ほどご説明したマーケットの在庫過多の影響を受け、当社もかなり在庫を溜めてしまいました。価格が相当上がっていたタイミングだったため、事業期間を短くするモデルを若干緩めてしまったことが私の反省点です。
そこで今期は事業期間を短縮化し、鮮度の高い在庫へ素早く入れ替えるようにしました。事業期間を守りつつ収益性を高めた結果、第1四半期は事業期間が短くなり、粗利益率も大幅に改善しています。
坂本:足元の回復部分についてお話しいただきましたので、悪化部分である2022年上期から2024年上期までについて質問します。折れ線グラフで示された粗利益率が低下し、同時期の施工期間と販売期間が延びた理由を教えてください。
俊成:いくつかの理由があります。まず、マーケットの価格上昇により、物件を持っていれば持っているほど利益が出やすい時期がありました。特に、新型コロナウイルスの流行が始まってからは、巣ごもり需要などにより住宅市場が一気に良くなっています。
マーケットの価格が上がっていったことで、在庫数への意識が下がったのではないかと分析しています。
また、住宅ローン関係ではネット銀行のローン審査が長くなってしまったため、販売期間が若干延びています。さらに、当社は旧耐震基準の物件も多数扱っており、アスベスト検査などが入ることから、施工期間が長くなります。
施工期間については、職人の人手不足問題もあります。新型コロナウイルスの流行が始まり住宅市場が良くなった時は、マンションだけでなく戸建て市場もかなり活況でしたので、職人が足りず、今まで2人工で行っていたところを1人工でしか行えなかった影響などもあります。
言い訳にしかならないところもありますが、以上が事業期間の延びた要因です。
坂本:その裏返しで、販売期間が延びている間に物件価格の上昇が見られたならば、粗利と同じく利益は伸びているはずです。この半年間の回転では、そのような影響は見られなかったのでしょうか? 経費負けは言い過ぎかもしれませんが、このあたりを含めた不動産価格の推移について教えてください。
私も、物件を買い取りリフォームして貸す事業をずっと手がけていて都心部は確かに価格上昇してますが、地方によってはまだ値上がりが緩やかなところもあります。そのあたりの事情もあるかもしれませんので、お聞きしたいです。
俊成:ご指摘のとおり、「都心部」と言われる都心5区や都心3区は価格が相当上がっていますので、その地域ではリノベーションでも転嫁できる状態です。一方、ファミリー向けの郊外や地方の物件に関しては、資材費・職人の工賃は、都心同様に上げていかなければなりませんが、地域によっては賃金が上がってきていないエリアもあります。したがって、お客さまの価格受容度、いわゆるお客さまが買える価格帯を間違えると、在庫として残ってしまう状況が出てきています。
不動産小口化商品「アセットシェアリング」の特長
俊成:ソリューション事業分野で2015年から販売している「アセットシェアリング」という商品の特長についてご説明します。
当社はもともと実需のリノベーションをメインとしていますが、収益物件の情報をはじめ、いろいろな不動産情報が入ります。2015年にこの事業を立ち上げたのは、相続税の基礎控除改正がきっかけの1つです。当社の投資用物件を買われるお客さまの中には、相続対策を考えている方も多いからです。
また、投資用にワンルームマンションを1部屋持つと、賃貸管理は意外と手間がかかります。個人のお客さまがワンルームを所有していても、住んでいる方の「電球を変えてほしい」などの申し出に1つひとつ対応するわけにはなかなかいきません。所有し続ければ修繕も発生します。
「アセットシェアリング」であれば、1棟の収益物件を一口100万円単位で不動産として所有することができます。共同所有ですので、空室や滞納のリスクが分散されます。加えて、修繕を得意とするリノベーション会社の当社がきちんと運営管理するため、透明性のある管理することができます。
そして、なによりも相続・贈与対策になります。タワーマンションでの節税についてよく耳にしますが、時価と相続税評価額があまりにも乖離するのは良くありません。これまでは緩やかに相続・贈与対策ができる不動産商品が多くなかったため、当社が先駆けて開発し、世の中に出しています。
アセットシェアリング・シリーズの実績
坂本:「アセットシェアリング」の商品性と用途を見ると、最近流行っているクラウドファンディングとは若干異なるようですね。クラウドファンディングはつなぎ資金のイメージがあり、期間が短く「1年で終わり」という商品が多いですが、こちらは資産運用と相続目的で、償還まで長期間持つというイメージでしょうか?
俊成:おっしゃるとおり、不動産の現物を持つイメージに近いところがあります。クラウドファンディングの匿名組合型ではなく、あくまでも任意組合として、みなさまで共同所有することがテーマになっています。
そのため所有期間は長く、7年から10年くらい、10年以上のものもあります。資産は、しっかり修繕していれば長持ちします。相続や贈与が起こるタイミングは必ず出てきますから、長めに収益性をとりつつ、なにかあった時の相続対策にも使えるという商品です。
坂本:非常によくわかりました。購入者層と募集方法についても教えてください。
俊成:Webからの募集も一部ありますが、会計士や税理士、ファイナンシャル・プランナーからのご紹介がほとんどです。
坂本:余裕がある富裕層の方が多く使われているのでしょうか?
俊成:そうですね。100万円単位ですので、複数のシリーズを分散して買い続けるリピーターのような方もいらっしゃいます。それが次の紹介につながっていくかたちにもなっています。
坂本:銀行や地銀、信金からもご紹介が来そうですが、いかがですか?
俊成:今は地銀からのお話が多くあり、ご紹介も出てきていますので、これから徐々に広がっていくと思います。
「アセットシェアリング+」募集口数到達
俊成:直近の実績として、3つのエリアの異なる物件を組み合わせた「アセットシェアリング+(プラス)」という新シリーズの募集を行いました。
投資家には、東京の知られた場所がいいと言う方もいれば、最近は地震のリスクも含めて分散投資を求められている方もおり、さまざまです。そのため、柔軟性を持って物件を組み込めることは当社の特長でもあります。
【先行投資事業①】エコキューブ
俊成:先行投資事業の「エコキューブ」についてご説明します。「エコキューブ」は、省エネ化を実現し、性能を可視化したリノベーション済みマンションです。
先ほどマンションのビフォー・アフターについてご説明しましたが、まずはビフォー段階で省エネ計算を実施します。部屋の現在の電気代と、省エネ工事をすることで電気代をどれだけ削減できるのかを見える化します。1部屋単位で可視化されたものは今まであまりなかったため、業界的に初めて省エネ性能が評価できるようになりました。
わかりやすく言うと、例えば車を買う時、最近は燃費を確認して買う方が増えてきています。一方で住宅には、燃費という概念はあまりありません。当社はそのような性能値を、ビフォー・アフターで見える化する取り組みをしています。
こちらに関しては国の取り組みが大きく影響しています。新築住宅は、来年から省エネ基準適合が義務化されます。逆に言うと、省エネ化されていない住宅は建てられないということです。
そしてその流れは、数年後には必ずリノベーション業界にも入ってきます。すでに、リノベーションの省エネ適合住宅には住宅ローンの減税がありますので、国も本気で省エネ化に取り組み始めています。
SDGsの時代ということもありますが、当社はリノベーション自体が省エネ化に貢献すると考えています。現在、中古マンションは市場に約700万室ありますが、その4割程度はリノベーションが必要な状態です。そうした中古住宅の省エネ化は、CO2削減など、国の政策の方向性とも合致していますので、当社としてもいち早く省エネ化を進めています。
エコキューブ 新工法開発
俊成:「エコキューブ」では新工法の開発も進めています。先ほど施工期間が延びた要因をご説明した時にも触れましたが、省エネ化の工事には、断熱材を剥がすなどの大変な作業が含まれます。
しかし新工法では、既存の断熱材を剥がさずに上張りができます。また、床下断熱の開発も進めています。職人が少なくなる中で、省エネ工事をどれだけ簡単に、より安くできるかを考えて開発しました。省エネ工事をもっと世の中に広げていけるよう、積極的に進めているところです。
【先行投資事業②】不動産売買プラットフォーム FLIE
俊成:もう1つの先行投資事業は「FLIE」です。「エコキューブ」は省エネ化ですが、こちらは省力化に関するもので、不動産の売買プラットフォームを作っています。
売主直販不動産売買プラットフォーム「FLIE」
俊成:売主直販の不動産売買プラットフォームとして、「FLIE」というサイトを運営しています。こちらはtoCのサービスであり、売主さまはインテリックスや他の解体再販会社で、買主さまは個人のお客さまです。
個人のお客さまがリノベーション物件を直接買えるサイトとしては、日本で最大級の規模となっています。
不動産DX支援ツール「フリエ de 物確」
俊成:toBの「フリエ de 物確」というサービスについてご説明します。現在は仲介会社においても、お客さまの案内や物件確認などの業務の効率化を進めなければいけない状況です。
そこで「FLIE」は、「フリエ de 物確」という物件確認ツールを提供しています。人が行う営業と、ITで解決できる物件確認などの業務をうまく融合させることができ、大手企業も続々と参入いただいています。
スマート入退室管理サービス「Smaview」
俊成:続いて、「Smaview(スマビュー)」についてご紹介します。例えば、リノベーション済み物件を見に行きたい時、通常であれば不動産会社にアポを取る必要があります。また、以前内覧した物件をもう一度見たい時にあらためて手配するのは大変です。
「Smaview」をご利用いただくと、スマホ1つで簡単に解錠ができ、入退室ログの管理ができるようになります。オンライン管理によって、不正利用や鍵の紛失などのトラブルも防止できます。こちらも積極的に進めているところです。
人的資本経営の推進
俊成:今期は人的資本経営の推進にも取り組んでおり、新卒採用も積極的に進めています。当社は来年で創業30周年を迎えますので、そこに向けて当社のコアバリューをきちんと確認しながら次世代人財を育てていけるよう、環境作りを進めているところです。
成長イメージ
俊成:スライドには成長イメージを示しています。まずは既存事業をきちんと収益化しながら、今後変わっていく社会や人口減少による職人不足に対応できるよう、効率化を進めるための先行投資事業を拡充していきます。
そして、省エネ化は日本だけでなく地球全体にとっても必要なことですので、そちらに対するソリューションとして新規事業を進めていきます。
その結果、スライドに掲げた目標にコミットできるよう、「両利き経営」を推進していきます。
株式情報
俊成:株式情報です。詳細はスライドをご覧ください。
坂本:「安定配当は年間1株当たり最低20円」とありますが、今後の業績次第で変化していくと考えてよろしいでしょうか?
俊成:そのとおりです。
質疑応答:事業の地域性や独自性について
坂本:お話をうかがって、御社の強みとして、省エネに力を入れた物件や豊富な件数、ターゲットを絞った展開などをうかがいましたが、地域性や独自性についてはいかがでしょうか?
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