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システム障害の影響と警戒すべきこと

佐々木真奈美氏(以下、佐々木):さて、今夜も『広木隆のMonday Night Live』をご視聴いただきましてありがとうございます。本日のMCは佐々木真奈美が務めます。どうぞよろしくお願いいたします。本日も、質問は基本的にお一人さま1つとさせていただきます。

また不適切と思われる投稿をされた視聴者さまについては、それ以降の投稿を制限する場合がございますので、ご了承のほどお願い申し上げます。さあ広木さん、今日もよろしくお願いします。

広木隆氏(以下、広木):どうも、よろしくお願いします。

佐々木:まず、今日のマーケット(※動画配信当時)というところで、終値としては3週間ぶりに4万円台を割り込んだということで、その背景で言われているのがまず1つ、世界規模のシステム障害。

あとはやはり驚いたのはアメリカのバイデン大統領の、大統領選からの撤退というところです。今日はそれに関する質問がコメント欄に殺到しているので、この後たっぷりお答えいただきたいと思っていますが、私からはあえてもう1つのシステム障害についておうかがいしたいと思います。こちらもけっこう問題になったので、マーケットに与えた影響ですとか、今後同じようなことがあった場合に警戒すべきことなど、1つおうかがいしてもいいですか?

広木:これってやはりね、一種の天災に近いようなものだと思ったらいいと思うんですよ。ちょっと不謹慎かもしれませんが、日本ってやはり地震大国じゃないですか。こういう質問もよくいただくんですね。

今後10年、20年、30年のうちに南海トラフとかが来ると言われているので、それにどう備えればいいですか? みたいなことを言うわけです。

それとこのシステム障害って、かなり近い部分があると思うんですよね。つまりシステム=社会基盤になっていて、みんなシステム障害を起こそうと思って起こしているわけじゃないけれども、どうしてもこういうものって起きてしまう。

人が作っているものに完璧はないので、どこかでミスや事故が起こる。今我々が話しているこの時だって、東海道新幹線が止まっているという。

佐々木:そうですよね。

広木:社会インフラとして普通に運行しているものが止まるということが、普通にあり得るんだということを、常に頭に入れておくことですね。やはりとんでもないロスがあり、たくさんの経済的な損失があり、いろいろなものが立ち行かなくなるというね。

まさにシステム障害はその最大のもので、銀行の金融システム障害にいたっては、大変なことが過去にもいっぱいありました。今回は本当に飛行機が飛ばなくて、輸送や移動にすごく大きな制限が出た。

夏休みが始まったばかりで、テレビを見ていると、「旅行に行きたかったのに行けない」なんていう子どもたちの声があったりとか……ただこういうのって、誰もそういうことを起こそうと思ってやっているわけじゃないんだけど起きてしまう。

だからこういうものは避けられないんだということで、こういうものが起こると、被害が起こる、マーケットにも影響があるということはやはり常に頭の片隅に入れながら走ることが重要なんだろうと思うんですね。

名古屋セミナーの感想と視聴者からの反響

佐々木:そして広木さん、この前名古屋でセミナーを行ったということで。

広木:そうなんですよ。

佐々木:コメントにも、「名古屋に行きましたよ」と来ていますが、どうでしたか?

広木:去年も7月にやったので、1年ぶりに行ってまいりました。全国投資セミナーなんですけれども、我々はネット証券で店舗がないですから、リアルでお客さまと触れ合う場が非常に貴重なんですけれども、実際に、多くのお客さんと会って「『Monday Night Live』見ています」と言われました。

たくさん声をかけていただいてね。「本当にありがとうございます」「ありがとうございます」って僕も言ったんですけれども、先週土曜日に来てくださった方も、今見てくださっているんですかね。

名古屋であればしょっちゅう行きますし、名古屋の講演の時にも言ったんだけど、マネックス以外でもいろいろ仕事があって、例えば日本経済新聞さんに頼まれて、9月にやったりなど、本当にちょくちょく行きますので、この『Monday Night Live』をご視聴の方にも対面で会う機会がこれからますます多くなると思います。どうぞ引き続きご贔屓によろしくお願いします。

佐々木:本当にうれしいですね。実際コメントにも株侍さんから、「名古屋での全国投資セミナー、暑い中ありがとうございました。有益なるお話の中にも笑いありの最高の講演でした。今日もまた本質を突いたお話、よろしくお願いします」と来ています。

広木:ありがとうございます。全国各地行くと、必ず「『Monday Night Live』を見ています」という人が一番多いんですよ。

「『モーニングサテライト』を見ています」という人よりも、「『Monday Night Live』を見ています」という人のほうが多いので、本当にありがたい話だと思いますね。

最近は、東洋経済オンラインの編集長をやって、その後NewsPicksをやっていた、佐々木さん(佐々木紀彦氏)が立ち上げた「PIVOT」という動画がすごくきれいで、TBSのアナウンサーだった国山ハセンさんが来たりとか、いろいろな人、タレントを集めてやっていて、動画のチャンネルとして、すごく伸びていると思うんですよね。

その「PIVOT」に出させてもらったり、あとはやはり地上波ね。『モーニングサテライト』とか、最近はそれ以上にテレビ朝日の『グッド!モーニング』というニュースでコメントする機会が多くて、ああいうのにも出ています。そういうのはいろいろあるんだけど、やはりこの『Monday Night Live』が僕のホームと思っていますので、引き続きよろしくお願いします。

大統領選の影響で日本の個人投資家が注意すべきポイント

佐々木:今日も広木さんから、お話をうかがいたい方がたくさん集まっていますので、さっそく1問目にいきたいと思います。やはりなんと言っても一番多いのが、先ほど申し上げたように、アメリカ大統領選に関することです。

例えばBN1500さんからは、「『もしトラ』が現実味を増してきました。この場合、日本の個人投資家はどのような点に注意すべきでしょうか?」でしたり、武藤さんからは、「バイデン大統領立候補の辞退に対する影響はどういったものになりそうでしょうか? トランプ当選という決め付けでもう市場は動くんでしょうか?」などが来ています。

(コメントを見て)ナキスナさん、ありがとうございます。「トランプ再選で円安が終息するかと思いました。どうなんでしょう、株価に好都合でしょうか?」、確かにドル円もこのところ、また円高方向に動いています。

ご紹介しきれないくらいたくさん来ているのですが、大統領選に関して。最初にいただいた「日本の個人投資家はどのような点に注意すべきでしょうか?」というところはどうでしょうか?

広木:もうこうなると、たぶんトランプ氏の優位になってくると思うんですよね。つまりバイデン辞退で民主党が誰を候補に出すか次第なんだけれど、カマラ・ハリスだとすごく人気がないし、バイデン以上に人気がないというか存在感がもう薄い。この4年間何やっていたのというぐらいに副大統領として実績がまったくないので、候補として弱すぎるんですよね。

今までは高齢問題ばかりクローズアップされて、そのバイデンが降りたら、今度はトランプだってめちゃくちゃ高齢じゃないかと。じゃあ若いほうがいいんじゃないかとか言うけれど、そういう問題抜きになっちゃっている。

特にこの間の銃撃事件以降、年齢の問題をすっ飛ばして本当に強さがアピールされていて、単に若いだけとか、そういうことじゃもう対抗できなくなっちゃっているんだと思うんですよね。たぶんこれはバイデン対トランプで、バイデン氏の老齢問題で、ということ以上にオール民主党としての負けなんだと思うんですよ。

今回は、民主党が本当にダメだった。現職の大統領が当然再選に出るという上で、ここまで追い込まれて土壇場で交代させるよりも、もっと早く党としてなんとかできなかったのかということと、そのバックアップがいないじゃないかという話だったり。

でもいるんですよ。イリノイの知事とか、若手の知事とかがいろいろいるわけですが、これ言っちゃうとなんだけれど、いわゆる派閥問題、日本の政治みたいなものがあって、もう民主党でがっちりね、がんじがらめのクリントン派閥みたいのがあって動けないんですよね。

そういう民主党のダメさ加減がここで一気に出たというのが、今回の大統領選なので、実際勝負あったなという感じだと思うんですよね。ただ、選挙は水物なので、何があるかわからない。

トランプがダメでも、トランプ支持者は動かないわけですよ。でも、その逆もありきで、ここまで強くなったとしても、基本的に「トランプ嫌だ」という人は、これまた動かないわけだから。

最終的にはスイングステートだという話なんだけど、そのスイングステートがまた、民主党の基盤であるところのイーストコースト、ウエストコーストみたいなエスタブリッシュメントがいるところと違くて、教育水準があまり高くなかったりするので、文字どおり振れやすい、スイングステートなんですよね。

だとすると、今回のいろんなことを考えて、やはりトランプに流れるということを考えると、勝負あったかなという感じではあります。

トランプで決まった場合、日本の投資家はどうすればいいのかというと、これは難しくて、これだけ保護主義を打ち出してくるとなると、為替の円安阻止ということになって、流れがたぶん変わってくるんだろうと思います。

ただね、結局うまくいかないんですよね。トランプの経済政策って矛盾をはらみまくっていて、財政を拡大する、財政が悪化する、トランプ減税をやる……景気は一時的によくなるでしょう。でも、そうすると、またインフレが再燃するんですよね。ドル安に持っていこうとすると、なおさらなんですよ。

結局、1回は利下げだ利下げだと言ってFRBにプレッシャーかけて、金利が低下して、なおさらドル安になって、財政が悪化して、なおさらドル安になる。でも、そうするとそれは全部インフレ要因だから、結局落ち着いたと思ったインフレが再燃して、またFRBが慌てて金利を上げなきゃいけないという、そういうドッタンバッタンの政策が、トランプ就任の後半とかにたぶんきちゃうだろうと思います。

でも、それって前からわかる話なので、基本的には経済政策・金融政策のボラティリティがものすごく激しくなる。だから、マーケットも当然ボラティリティが激しくなる。

これはアメリカのマーケットもそうなんですよ。そのあおりを食らう日本は、もっとそうだと思います。つまりボラティリティの高まりに注意をしなければいけないというのが、やはりトランプ時代の投資の注意点だろうと思います。

佐々木:そういった意味では、ご質問もいただいています。アルファガダイジさんからは、「米国株や日本株にどういった影響ありそうでしょうか」とか、ナキスナさんからは「株価には好都合でしょうか」といった質問きていますが、ボラティリティが高いということであれば、一言で「いいですよ」とも言えないですか?

広木:そういうことですね。今後ますますリスクが高まるということですね。これまでは日米ともにけっこう安定的に上がってきた相場だと思うんですよ。でもやはり、アメリカの選挙戦とか、バイデン政権の中国の半導体の規制の問題しかり、そういうニュースが突発的に来ると、日本株だってすごく急落する局面が増えていますよね。

そういう場面がやはり増えると思います。ボラティリティが高まるということは、リスクが高まるということなので、株式投資にとってはマイナスなんですね。当然そこはエクスポージャー、このままでは持っていられない部分が下がっていく部分はあります。

変動が少ない業種はディフェンシブ

佐々木:逆にというところで、エーリカさんから「変動がむしろ少ない業種というのはありますか」という質問が来ています。

広木:業種で言うんだったら薬品とか、いわゆるディフェンシブということになってくるわけですね。そういうセクターなんだと思います。

あとは国内の通信業とか、そういったところはやはり為替にもあまり関係ないですし、たぶん安定的になってくるんだろうとは思います。

日本の政治リスクと投資家が注目すべき点

佐々木:一方で、「日本の政治はどうですかね。岸田政権は9月までかと思いますが、その後野党が勢力をつけ、ねじれが懸念されたり、株価にどう影響しそうでしょうか」とも来ています。

広木:今まで政権交代の芽なんていうのは、もうまったくなかったわけです。要は自民がダメでも、さらに野党がダメだから、受け皿がない。自民党を否定して「じゃあやらせてみるか」というような政権交代が十何年前にありましたが、民主党にやらせたらもっとひどかったという、あれでみんな懲りているので。

そのトラウマの体験を持っている人は、当然政権交代なんて選ばないんだけど、そこから十何年経っちゃっているから、それを忘れちゃっている部分と、それを知らない部分と、そういうのがあると、あまりにも今の自民の弱さからすると、(政権交代も)あり得るという芽が出てきちゃったわけですよね。石丸氏(石丸伸二氏)みたいなのが出ちゃうと。

彼が国政に打って出て、そのもとで野党が再編する。結局、立憲(立憲民主党)が蓮舫氏を担いでもぜんぜん票が取れなかったですよね。つまり、自民党も惨敗だったわけです。要は、自民党は都知事選にかかわっていないから、小池さんが勝ったのは自民党と何の関係もないですからね。都議会の補選があって、9地区の補選で自民が8つ候補を出したけど、2つしか取れなかった。改選前は5議席あったわけだから、もう惨敗中の惨敗なんです。

いかにこの政治資金の問題が逆風かというのが、わかって、自民党も何とかしなきゃいけないとなって、当然岸田さんのもとでは戦えないということで、たぶん9月の総裁選で岸田さん下ろすということになってくるんだけれど、じゃあどうするんですかという、そこなんですよね。

もちろん候補はいるんだけど、ただ、これまでのようなやり方で、麻生さん(麻生太郎氏)が決める、つまりキングメーカーが次の総裁を決めるみたいなやり方だったら、自民党は何にも変わってないじゃないですかという話になって、それじゃあねという話になるわけです。

野党は石丸伸二みたいなのを中心に、新たな野党再結集みたいな流れになって、それで総選挙を戦えますかというのが一番怖いわけですが、逆にそれもなさそうな感じなんですよね。

当初は、維新に石丸さんが合流してみたいな話もあったけれど、今は「それはないよ」という感じになってきちゃっているので。

というのは、今の維新(日本維新の会)も橋下さん(橋下徹氏)が作った時とだいぶ変わっちゃって、橋下さん自身も今の維新を批判したりしているわけだから。そういうようなところで、結局どこまでいっても日本の野党ってまとまらないんだなという話と、やはり石丸さん自身も、広島の安芸高田市の市長の時にすごく人気があり、そして今回の都知事選でも人気という点ではあったけれども、結局国政の経験もなくて、SNSで人気で票が取れたとしても、それが野党再結集の目玉みたいな求心力になるかという点ではね、まだちょっと未知数だし、ぜんぜんなんだと思うんですよね。

そういう意味では、今までまったくゼロだった政権交代の可能性がゼロから1パーセントぐらいには増えたかもしれないけれど、依然としてものすごく低い可能性であると。

じゃあ自民党でも総裁をどうするかというのは、秋のいろいろな政治日程考えてもすごく重要なので、そこのところをどうするかということと、やはり自民党も「変わりました」という刷新感が出せるのかとか、そのあたりのところが不透明になったというのは確かなんですよ。

そういう意味では、日本の政治リスクが高まったというのは確かで、リスクが高まる=株にとってはマイナスということですね。

年齢とリスク資産のバランス

佐々木:続いては、この前のセミナー(「マネックス証券 全国投資セミナー」)に関しての質問ということで、可能であれば2つ取り上げたいと思います。「シニアの投資スタンスについて。週末の投資セミナーで、広木さんは塚本さん(塚本憲弘氏)に牽制球を投げていましたね。シニアの投資については、どのようなバランスを取るのが適当だと思いますか」と来ています。

広木:それはね、笑いを取るのが僕のポジションなんでね、そういうようなことだったわけ。つまり塚本くんは、こういう説明をしたわけです。お客さんから、シニアの投資としてね、資産配分とかどういう考え方をしたらいいんだろうと。彼が典型例として、年齢が安全資産の割合だと思ってくださいよと言っていました。

つまり、若いうちはすごく時間があるから、株式のようなリスクアセットをたくさん持っていて、万が一それがドーンと下がっちゃっても、そこから取り返す時間がある。ところがだんだん年齢がいくと、買ってすごく大きなドローダウン、下げを食らった時に、やはり寿命があるので、それをリカバリーするまでの時間がね。だからたくさんリスク資産を持つのは避けた方がいいと。

1つの目安として、年齢を考えた時に、20歳の人だったら、安全資産を2割ぐらいにして、株のようなリスクの高い資産を8割入れることができるけれども、シニアになってきて、例えば50歳ぐらいになれば、それはフィフティ・フィフティにして、例えば60歳ぐらいになれば、もう安全資産6割で、残りの4割を株式にする。

年齢=リスク資産みたいな。要は100引く年齢が、株式のウエイト。そういうふうに考えたらいいんじゃないですかというアドバイスをしたわけです。

佐々木:はい。

広木:それってよく言われることなんですよ。僕がなんて言ったかっていうと、120歳の人はどうすればいいんですかと。

佐々木:フフフ。

広木:100引く年齢がリスクウエイト、株のウエイトだったら、100から120引いたら、マイナス20じゃない。

佐々木:確かに、マイナス20ですね。

広木:じゃあ、株式を20パーセント空売りしろってことかと。まあこういうふうなことでね。

佐々木:なるほど。

広木:そう言って、笑いをとったわけです。それだけの話なんですよ。

佐々木:そういうことだったんですね。

広木氏が商船三井(9104)を有望視する理由

佐々木:もう1つセミナーに関することで来ています。「有望銘柄に商船三井(9104)がありましたが、理由を教えてください」と株小僧さんから来ています。

広木:基本的に船株は、最近ボラティリティが高くて、いわゆる山っ気の多い仕手株っぽい動きなので、あまり推奨はしてないんですよね。特にコロナの時にバブルで、異常な利益水準が出たり、それによって異常なバリュエーションが付き、異常な株価になって、そういう異常さがまだ払拭しきれていないので、まっとうな判断ができないから、僕は触るのはずっと避けてきたわけです。

ある意味アンタッチャブル銘柄で、商船三井(9104)、日本郵船(9101)、川崎汽船(9107)はそういう位置づけだったんだけれども、当たり前ですけど、会社自体は良い会社なんですよね。

コロナですごく特需が出て利益を上振れたりというのは、別に彼らが悪いわけでもなんでもないわけで。

実際、商船三井(9104)を今回僕が推したのは、彼らの経営陣の考え方、特に資本比率の考え方がすごくしっかりしていて、4割から5割で抑えていくという表明をしていたからです。特に日本企業の財務戦略のあり方として、日本企業の全体感で言えば、これまでの意識があまりにも希薄だったんですね。稼いだら稼いだものを全部内部留保して、資本がどんどんどんどん膨らんでいった。過大になった。

ROEの分母は自己資本なので、自己資本もバーン増えていくと、いくら稼いでもまったくROEは高まりません。

逆にアメリカの企業は、稼いだ以上に自社株買いとか配当で資本を圧縮しています。Appleなんかが典型例ですが、本当に稼ぐ以上に還元とかしていて、資本がぜんぜん膨らまない。それでとんでもない利益率を出しているから、ROEが100パーセントを超えたりしているわけです。

それもどうかと思うわけですが、そういう中にあって、やはり資本の適正比率をすごく経営陣が意識して、それを保っていくと言っている。

ただそういうことを言うのは別に商船三井(9104)に限らず、最近、例の東証から株価や自己資本コストを考えた経営をしろという要請が、だいぶ多くなっているけれど、商船三井(9104)がすごいのは、資本を圧縮して、それで高いROEを達成しようなんてことは考えてないんですよ。

それで、自己資本が過大であるとも思っていないと言っている。だから資本はきちんと1,000億円ベースで増やしていくと言っているわけ。すばらしいことだと思うんですよ。

なぜかというと、つまるところ時価総額というのは、自己資本の時価評価額なんですよ。自己資本が増えていかなかったら、時価総額は増えないじゃないですか。

自己資本が増えなきゃ時価総額が増えないかというと、それもちょっと言い過ぎではあるのですが、結局のところ、一番わかりやすいのは自己資本を増やして時価総額を増やすことです。それは別にバリュエーションの拡大を伴いません。要は力技ででっかくなってっちゃう。

別にバリュエーションを拡大します。PBRが1倍、2倍、3倍、4倍とかいらないわけですよ。極論するとPBR1倍でいいわけですよ。自己資本がどんどんどんどん伸びるんだから。

極論、自己資本を伸ばすには、稼いだ利益を全部自己資本に積んだっていいわけです。

あまりにもROEがどうのこうのとかと言わない、それでも、きちんと自分たちの自己資本比率のあり方にマネジメントが意識を持って、それを表明しているというところが、経営陣として、当たり前っちゃ当たり前なんだけど、できている企業が日本は少ないので、そういう意味では商船三井(9104)はすばらしい会社だなと思って入れました。

佐々木:なるほど、そういったことだったんですね。

広木:うん。

自己資本比率の目安は? 広木氏が語る投資判断基準

佐々木:ちょうど話に出てきたので、最後に1つ質問したいと思います。広木製麺所さんから、「投資先の選別をする時に、自己資本比率はどれぐらいを意識して見ればいいですか」という質問をいただいていたのですが、そこの目安を広木さんはお持ちですか?

広木:ないです。ないです。ない、ないの。ないんだけど、一応、最適資本構成というのはあって、それはやはり企業と環境によって変わることだと思いますね。

こないだ僕がモーサテ(Newsモーニングサテライト)で言ったのは、今みたいな時期、つまり逆にデフレからインフレへの転換期というのは、もっと攻めの姿勢をアグレッシブに出してもいいので、こういう時はレバレッジをかけるべきだと。

自己資本比率を少し低めにして、負債を多めにするというのがレバレッジをかけるという意味なんですけれども、インフレの追い風がある時は、むしろそういう状況だろうと。

逆にそうではない時、デフレ下では、やはり負債は敬遠されるので、危なくなる時には、やはり自己資本比率を高めに持つということですね。

危機がいつ来るかわからないし、危機的な状況になると、自己資本比率が悪い会社はもう真っ先に売られます。アメリカでは、コロナの時に、例えば航空会社のデルタとかが政府の支援を受けたわけです。、そういうようなことにもなってくるし、あまりにもレバレッジ経営、ROE経営、株主還元をガンガンやるとか、そういうのは、あまりよろしくないです。

ざっくり言っちゃえば、50パーセントは目処ですが、今だったらもっと低くてぜんぜん構わないと思います。

あとはやはり企業のライフサイクルによるということですよね。成長している会社は、結局、資金の使い道がなければ、当然全部還元に回すべきだし、過大資本、過大になり過ぎるケースが多いので、やはりそれは株主還元したり、企業のビジネスサイクル、成長のステージ、あとは経済環境とそれぞれ考えていくことが必要で、決まりきったものはないですよね。

佐々木:その時々、その企業によるというところだと思います。広木製麺所さん、ご質問ありがとうございました。広木さんのお話がこれからの投資のヒントになればと思います。

広木さん、今日はここまで大変ありがとうございました。

広木:どうもありがとうございました。

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