ハイライト

長谷川敬起氏:みなさま、こんにちは。株式会社ELEMENTS代表取締役社長の長谷川です。これから2024年11月期第2四半期の決算説明を行います。よろしくお願いします。

まずは、四半期ハイライトです。売上高が7億7,600万円、EBITDAが2億600万円、営業利益が1億3,000万円と、いずれも過去最高を記録しています。当期純利益は5,500万円と、2四半期ぶりに黒字転換を果たしました。主力の個人認証ソリューションについては、前期比2.1倍の増収となっています。

前四半期の決算説明資料にも記載しましたが、足元の業績およびアドメディカ社の影響を取り込み、通期業績の修正を行いました。売上高の上限額は26億1,500万円から変更ありませんが、下限額は24億5,000万円と当初の20億5,000万円から4億円引き上げるかたちとなっています。

EBITDAは従来の上限額2億7,500万円を下限とし、2億7,500万円から3億5,000万円に修正しました。営業利益は0円から7,500万円としており、今期中の営業黒字を見込んでいます。また、営業外費用の影響とアドメディカ社における法人税負担、ならびに非支配株主に帰属する当期純利益の影響を勘案し、親会社株主に帰属する当期純利益については、従前と概ね同水準となる見込みです。

第2四半期連結業績ハイライト

第2四半期の連結業績ハイライトです。売上高は7億7,600万円で、前期比89パーセント増となり、個人認証ソリューションに限った場合は前期比2.1倍の増収となっています。主な増収要因については、後ほどご説明します。

売上総利益率は86.7パーセントと、引き続き高水準で推移しています。販管費は前期比8パーセント減となる5億4,300万円で着地しました。結果として、EBITDAは2億600万円、営業利益は1億3,000万円、当期純利益は5,500万円の黒字計上となっています。

第2四半期連結業績ハイライト(累計)

第2四半期までの累計連結業績についてです。詳細は別途ご覧いただければと思いますが、売上高は12億800万円、EBITDAは2億3,400万円、営業利益は1億4,700万円、当期純利益は3,900万円の黒字となっています。

当社は、昨年の第3四半期からEBITDAおよび営業利益で黒字を計上しているため、期はまたいでいますが、累計で12ヶ月間黒字化を達成した計算です。

売上について

売上の伸びについてです。ここからは、各段階の財務数値やビジネスのアップデートについてご説明します。

売上高は全社で7億7,600万円、個人認証ソリューションで7億6,600万円となっており、それぞれ前期比1.89倍、2.1倍の増収となっています。

増収要因は、当社の主力商品である「LIQUID eKYC」の増収、および石川県加賀市へ提供したデジタルIDウォレット「PASS」サービスの納品、ならびにアドメディカ社のPLの取り込み開始によるものです。これらを合算し、個人認証ソリューションは前期比2.1倍の増収となっています。

個人認証ソリューション主要トピック(1):LIQUID eKYCの導入拡大

個人認証ソリューションの主要なトピックについて触れていきたいと思います。「LIQUID eKYC」に関しては、暗号通貨業界の事業者による認証回数の大きな増加がありました。これにより、四半期ベースの認証完了回数が過去最高となっています。導入社数についても、この半年で約30社増加し、累計で237社まで拡大しています。

足元については、先日プレスリリースでも発表しましたが、公的個人認証関連のプロダクトを強化しています。これまでの公的個人認証では、必ず、スマートフォン上でネイティブアプリケーションのダウンロードを行い、それによって、マイナンバーカードを読み取る必要がありました。しかし、Apple社のiOSの新たな機能である「AppClip」を活用することで、ネイティブアプリのダウンロードをユーザーが行わなくても、ブラウザベースの状態からICチップの読み取りができるようになります。

この仕組みを技術的に調査し、プロトタイプを作った結果、すでに実装することができています。こちらは特許も出願しており、いち早く市場に投入することができました。

マーケットから見た場合、例えば、地方銀行等の金融機関ではネイティブアプリを提供していない会社もまだ多々いらっしゃいます。このような会社であっても、マイナンバーカードを使った公的個人認証の仕組みを利用できるようになるため、非常に有用な機能だと考えています。この機能も「LIQUID eKYC」のキラーファンクションの1つの重要な要素として投入していくことで、さらに利用者数を増やしていけたらと考えています。

個人認証ソリューション主要トピック(2)LIQUID Shieldの提供開始

次のトピックは「LIQUID Shield」です。こちらはプレスリリースを出したばかりですが、事業者共有のデータベースを提供しており、これによって不正利用の検証を行うことができます。こちらの共有データベースに関連し、三菱UFJ銀行とトッパン・フォームズ(現TOPPANエッジ)と共同で特許を取得しております。

我々のフラッグシッププロダクトである「LIQUID eKYC」は、事業者およびエンドユーザーに、累計で4,500万件以上利用していただいていますが、不正を働くユーザーが一定数発生します。そこで、この仕組みに参加している事業者を横断するかたちで、不正な情報を互いに共有し合い、一度発見した不正ユーザーに関しては、他の事業者に新たに訪れても、排除できるような仕組みを提供しています。

具体的に検知する不正の詳細な内容に関しては公表を差し控えさせていただきますが、「LIQUID eKYC」に登録されている顔写真やその他取得している情報を活用しながら、不正を行ったユーザーが別の事業者で登録する場合において、「これは危ないかもしれない」というアラートを出せる仕組みとして機能させています。

具体的な不正の事例としては、ID書類の偽造が挙げられます。本人確認を行った人物の顔が登録されていても、その顔に紐づくID書類上の身元情報が架空の人物のものになっているケースがあります。その逆もあり、どこかで入手した実在する人物の身元情報に対して、顔を差し替えて本人確認をしてくるケースもあります。このような不正に対して「LIQUID Shield」を用いて、身元情報が使い回しされていないかを検知していきます。

売上総利益について

売上総利益は6億7,300万円で、前期比2.1倍となりました。売上総利益率は86.7パーセントで、前期比7.5ポイント増となっています。売上総利益率が改善した要因については、前四半期に続いてセールスミックスに変化があったことに加え、個人認証ソリューションにおける学習コストの最適化によるものとなります。

販売費および一般管理費について

販管費は5億4,300万円で、前期比8パーセント減となりました。前期からの主な差異としては、アドメディカ社の連結子会社化に伴う費用増が挙げられます。一方で、株式報酬費用が1億3,000万円ほど減少し、コスト増により、オフセットしたかたちとなっています。

EBITDAの推移

EBITDAの推移です。冒頭でご説明したとおり、本四半期は2億600万円を計上しています。前期比で3億1,400万円の改善となりました。

なお、期初の通期予想では、EBITDAは5,000万円から2億7,500万円のレンジにしていましたが、上限額2億7,500万円に対して、上期終了時点で進捗率85パーセントまで到達しています。そのため、今期予想は2億7,500万円を下限として、予想を切り上げました。

連結貸借対照表

こちらのスライドは、連結貸借対照表です。前四半期の決算説明資料にも記載しましたが、昨年度末に発行した9億3,600万円分の転換社債型新株予約権付社債の転換が完了しました。その結果、株主資本が18億8,500万円、純資産が21億3,600万円まで増加し、自己資本比率は44.3パーセントまで改善しています。

通期業績予想のアップデートについて

すでに何度か触れていますが、通期業績予想についてあらためてまとめたいと思います。今回、第2四半期の決算発表とあわせて、既存事業の業績進捗およびアドメディカ社の業績取り込みを反映し、通期業績予想を変更しています。

内容としては、「LIQUID eKYC」に次ぐ、第2の事業の柱の創出に向けた先行投資を強化していきます。その一方で、利益確保の両立も図ります。

売上高は、24億5,000万円から26億1,500万円のレンジとしました。EBITDAに関しては、当初の上限額2億7,500万円を下限にして、そこから3億5,000万円の幅で考えています。

営業利益は0円から7,500万円と、黒字を前提とします。一方、親会社に帰属する当期純利益の水準は、アドメディカ社における法人税の発生や非支配株主に帰属する当期純利益の計上により、大きくは変化しない見込みです。

通期業績予想のアップデートについては、以上となります。