要約損益計算書(連結)

木谷高明氏:ブシロードの木谷です。2024年6月期第3四半期の決算説明をします。よろしくお願いします。

損益計算書はスライドに記載のとおりです。第3四半期の売上高は107億1,900万円、前年同期比マイナス3億4,600万円、営業利益はマイナス3億3,500万円、前年同期比マイナス9億8,900万円となりました。

デジタルコンテンツユニットが引き続き低調であることが影響し、前期比で売上・利益ともに減少しています。ライブエンタメユニットは、観客動員は順調だったものの、都心集約のイベントを行い、好調であった第2四半期に比べると利益率が低下しました。

TCGユニットは、ブランドごとに上げ下げがあるものの、全体としては堅調に推移しています。スポーツユニットは、新日本プロレスのビッグマッチ「WRESTLE KINGDOM 18」などを開催し、堅調に推移しました。

なお、営業外収益に為替相場の変動による為替差益2億7,400万円を計上しています。

2024年6月期 連結業績予想の進捗(前回予想(2023年8月14日公表)比)

第3四半期累計での連結業績予想に対する進捗率は、売上高が64.4パーセント、営業利益が3.5パーセント、経常利益が28.4パーセントです。

親会社株主に帰属する当期純利益はマイナス2,500万円となりました。

業績未達の主な要因は、モバイルゲームの低調です。赤字縮小のための対策として、複数のモバイルゲームのクローズを実施しているものの、クローズに伴う売上の減少や費用の負担が大きく影響しました。

また、第4四半期のTCGユニットは、新作TCG・既存TCGともに順調ではあるものの、第3四半期累計時点でのビハインドを取り戻すまでには至らない見通しです。

このように、第4四半期の見通しを考慮した結果、2023年8月14日公表の通期業績予想を達成することが困難な状況となったことから、通期業績予想を下方修正することとしました。

株主のみなさまをはじめ、ステークホルダーのみなさまのご期待に沿えず、下方修正となったことを深くお詫び申し上げます。

2024年6月期 連結業績予想の下方修正

今回公表した通期業績予想では、売上高は前回予想比60億円減の450億円、営業利益は13億円減の7億円、経常利益は10億円減の13億円、親会社株主に帰属する当期純利益は6億3,400万円減の6億円です。配当予想の金額は変更せず、1株当たり4円50銭を見込んでいます。

ユニット別ハイライト

引き続き、第3四半期の実績についてご説明します。スライドは、ユニット別に第3四半期の実績と今後の展開をまとめたハイライトです。詳細はユニット別のトピックスにてご説明します。

四半期 連結業績推移 - 販売管理費

販管費の推移です。「プロ野球カードゲーム ドリームオーダー」の宣伝活動や、「Bushiroad EXPO 2024」をはじめとする海外イベントに広告宣伝費と販売促進費を注力しました。また、デジタルコンテンツユニットの開発案件の増加により、研究開発費が前年同期比で3億円ほど増加しています。

四半期 セグメント別売上高・営業利益推移

四半期のセグメント別の推移です。エンターテイメント事業は、デジタルコンテンツユニットが引き続き低調であることと、ライブエンタメユニットの利益率が好調であった前四半期から低下したことが影響し、売上・利益ともに前期比、前四半期比で減少しました。

四半期 セグメント別売上高・営業利益推移

スポーツ事業は、2024年1月4日に開催した新日本プロレスとスターダムの興行に合わせて約2万9,000人を動員するなど堅調に推移し、営業利益は前期比、前四半期比で増加しました。

四半期 ユニット別売上高推移

ユニット別の売上高推移は、スライドのグラフのとおりです。

ここからはユニット別のトピックスや今後の展開についてご説明します。

TCGユニット 2024年6月期 第3四半期 トピックス

TCGユニットは、『ヴァイスシュヴァルツ』『カードファイト!! ヴァンガード』は堅調、『Shadowverse EVOLVE』は軟調に推移しました。『カードファイト!! ヴァンガード』では、新シリーズ『カードファイト!! ヴァンガード Divinez』の放送や、『コロコロコミック』での漫画の新連載を開始し、盛り上がりを見せています。

TCGユニット 2024年6月期第4四半期以降の展開①

第4四半期以降の展開として、まず4月20日に新作TCGである「プロ野球カードゲーム ドリームオーダー」を発売しました。こちらの商品は、TCGショップや家電量販店に加え全国1万2,000店以上のローソンでも販売を実施し、幅広いお客さまに手に取っていただけるよう取り組んでいます。

また、各球団での協賛試合の実施や、秋葉原でのポップアップストアの開設など、プロ野球ファンに向けての認知拡大に取り組んでいます。

プロ野球という⽇本で最⼤規模のIP、年間2,500万⼈以上を動員するIPのカードゲームとして「プロ野球カードゲーム ドリームオーダー」を展開しています。徐々にお客さまが増えていますので、今後の成長にご期待ください。

TCGユニット 2024年6月期第4四半期以降の展開③

5月3日・4日に、東京ビッグサイトにて「PalVerse presents カードゲーム祭 2024 in 東京」を開催しました。今年は他社にも出店していただいての初めての開催となり、昨年から2,000人以上増となる約1万7,000人のお客さまにご来場いただきました。

TCGユニット 2024年6月期第4四半期以降の展開④

来期の展開についてもご説明します。『五等分の花嫁』新作オリジナルTCGのほか、複数の新作TCGの発売を予定しています。また、カバー株式会社から発売の『hololive OFFICIAL CARD GAME』について、販売や大会・イベント運営での協力を行っていきます。

このような新作TCGの展開・拡大に伴い、TCGユニットの人員や製造・開発ラインの強化にも積極的に取り組んでいます。

デジタルコンテンツユニット 2024年6月期第3四半期トピックス

デジタルコンテンツユニットでは、モバイルゲームが引き続き低調に推移しています。コンソールゲームは2タイトルを発売したものの、開発中のタイトルについて開発費が先行して発生するため、赤字の状況が継続しています。

なお、売上高が増加していますが、これは当第3四半期より、モバイルゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』を自社パブリッシュに変更したことによるものです。

デジタルコンテンツユニット 2024年6月期第4四半期以降の展開①

デジタルコンテンツユニットは、当第3四半期累計で約20億円の損失となっており、現在赤字縮小・黒字回復のため、中期的な事業改善を進めています。

モバイルゲームは第3四半期に3タイトルのサービスを終了したことで、第4四半期以降の赤字が縮小される見込みです。

コンソールゲームは、開発費が研究開発費として発売に先行して計上されるため、現状では赤字が続いていますが、今後、発売中のタイトル数を積み上げ、開発中タイトル数とのバランスを取ることにより、安定した収益化を図ります。

デジタルコンテンツユニット (参考)今後の発売スケジュール

コンソールゲームの発売スケジュールとモバイルゲームの運用状況は、スライドに記載のとおりです。現在開発中の本格対戦格闘ゲーム『HUNTER×HUNTER NEN×IMPACT』は、格闘ゲームの祭典「EVO Japan 2024」にて先行試遊体験会を実施し、日本のみならず世界中から大きな注目を受けています。

ライブエンタメユニット 2024年6月期第3四半期トピックス

ライブエンタメユニットについてご説明します。『バンドリ!』プロジェクトのバンド「Roselia」「RAISE A SUILEN」「MyGO!!!!!」「Ave Mujica」が、各地で音楽ライブを開催しました。

都心集約型のライブイベントを行い好調だった第2四半期と比較して、売上・利益水準は低いものの、前年同期比で売上が増加し、堅調に推移しました。

テレビアニメ「BanG Dream! Ave Mujica」は2025年1月に放送予定です。新バンド「Ave Mujica」の今後の展開にぜひご注目ください。今後も、『バンドリ!』プロジェクトの音楽ライブを多数開催していきます。

ライブエンタメユニット 2024年6月期第4四半期以降の展開

4月29日に横浜アリーナにて開催した「Poppin'Party」と「MyGO!!!!!」の合同ライブ「Divide/Unite」では、海外からのお客さまにも多数お越しいただき、両バンドのファンのみなさまの歓声で熱く盛り上がりました。

MDユニット 2024年6月期第3四半期トピックス

MDユニットは、第2四半期に引き続き、『バンドリ!』のライブグッズやキャラクターグッズを中心に堅調に推移しました。

MDユニット 2024年6月期第4四半期以降の展開

第4四半期以降の展開として、「PalVerse」シリーズをはじめとするフィギュアの開発体制を強化していきます。

2024年4月、石川県金沢市にフィギュアの開発拠点となるサテライトオフィスを開業しました。フィギュアの開発の内製化により、原型完成までのスピードアップや高品質のフィギュア制作を実現していきます。

アドユニット 2024年6月期 第3四半期 トピックス

アドユニットは、イベント運営・制作等の代理店事業が貢献し、堅調に推移しました。代理店事業やアニメ製作委員会への出資等を通じて、引き続きグループ事業全体の規模拡大に貢献しています。

スポーツユニット 2024年6月期 第3四半期 トピックス

スポーツユニットです。1月4日に開催した「ベルク Presents WRESTLE KINGDOM 18 in 東京ドーム」と「イッテンヨン・スターダムゲート」に合わせて約2万9,000人を動員し、堅調に推移しました。

スポーツユニット 2024年6月期 第4四半期以降の展開

第4四半期以降の展開としては、スターダムの運営元である株式会社ブシロードファイトが新日本プロレスリング株式会社の子会社となることで、スポーツユニットの業務効率化を図ります。連携強化した新体制により、新日本プロレスとスターダムの魅力を国内外へ発信していきます。

また、健康食品事業のプロテインバーの展開も拡大しており、自社IP・他社IPとコラボレーションした商品を今後も発売していきます。

プレスリリース

プレスリリースとして、組織編成関連のものを3つご紹介します。『ヴァイスシュヴァルツ』英語版や『カードファイト!! ヴァンガード』英語版などのTCGで長年製造を行っているGorin Technical Industry(Malaysia)Sdn Bhdの株式を、2024年4月3日にブシロードの子会社であるBushiroad International Pte. Ltd.が取得し、連結子会社化しました。業績への反映は、2025年6月期からを予定しています。

プレスリリース

連結子会社である株式会社ブシロードミュージックを存続会社とし、同じく連結子会社である株式会社アルゴナビスを消滅会社とする吸収合併を実施することを決議しました。

プレスリリース

先ほどご説明したとおり、連結子会社である株式会社ブシロードファイトの全株式を、同じく連結子会社である新日本プロレスリング株式会社に譲渡することについて決議しました。

このように強化・効率化した体制で、国内外にブシロードのエンターテインメントを届けていきます。

海外戦略ー国際展示会・イベントの実施

海外への取り組みとしては、引き続き「Bushiroad EXPO 2024」をはじめとする国際展示会やイベントの実施を予定しています。日本・シンガポール・アメリカの3拠点が連携して、世界で展示会・イベントを実施し、各地域での事業展開の地盤を固めた上で、中期的な海外事業の拡大につなげていきます。

2024年6月期 連結業績予想の進捗(今回予想(2024年5月14日公表)比)

今回予想に基づく連結業績予想の進捗は、スライドに記載のとおりです。売上高の進捗率は73.0パーセント、営業利益は10.1パーセント、経常利益は50.3パーセントとなっています。

TCGユニットについて、新作TCGの「プロ野球カードゲーム ドリームオーダー」の第1弾商品を発売しました。プロ野球の開幕とプロモーションの実施に伴い、本商品の認知も徐々に広がってきており、発売直後の状況としては計画した売上水準に達しています。既存TCGの商品の発売も多いことから、エンターテインメント事業の黒字回復に貢献する見込みです。

デジタルコンテンツユニットについて、モバイルゲームは、一部のゲームのサービス終了が完了したことから、赤字幅は縮小する見込みです。コンソールゲームは、開発投資にかかる費用が引き続き発生しますが、新商品の発売が伴い始めることで、赤字幅は段階的に改善する見込みです。

スポーツユニットについて、新日本プロレスは、6月に開催の「AEW x NJPW: Forbidden Door」をはじめ、国内外で興行を多数開催します。スポーツ事業の通期としては、売上は前年と同程度の水準に、営業利益は前年を上回る水準となる見込みです。

以上が、ブシロード2024年6月期第3四半期の決算説明となります。ご期待に沿えず、誠に申し訳ありません。残りの第4四半期を全力で駆け抜けるとともに、来期に向けて準備をしっかりと進めていきたいと思います。引き続き応援のほど、よろしくお願いします。

ご視聴いただき、ありがとうございました。

質疑応答①

Q.FY25下期にも複数の新作TCGを発売予定とありますが、どの程度の規模感になる見込みでしょうか? また、展開するTCGのブランド数が多くなりますが、開発や運営の体制は整っているのでしょうか?

A.未発表の新作TCGにつきましては、2024年後半から2025年初めにかけて実施する発表会などで詳細を発表させていただく予定となっておりますので、今後の発表をお待ちいただけますと幸いです。

開発や運営の体制につきましては、TCGユニットの人員の確保やノウハウの共有・連携、開発会社である有限会社遊宝洞との資本業務提携、TCGの製造を行うGorin Technical Industry(Malaysia)Sdn Bhdの連結子会社化などを通じて強化を図ってまいります。

質疑応答②

Q.「プロ野球カードゲーム ドリームオーダー」の感触はいかがでしょうか?

A.2024年4月20日に最初の商品を発売したばかりですのでまだわからないというのが正直なところではありますが、TCGプレイヤーのみなさまにも、野球ファンのみなさまにも広く手に取っていただけていると考えております。まだプロ野球も開幕して1ヶ月から2ヶ月ですので、引き続き協賛試合などを通じてみなさまに知っていただき遊んでいただけるよう努めてまいります。

質疑応答③

Q.デジタルコンテンツユニットの事業改善について段階的に実施とありますが、今後の事業方針についてはどのように考えていますか?

A.モバイルゲームの運営のコンパクト化は2023年末ごろより前倒しで実施を進めており、引き続きタイトルごとに判断しクローズや運営体制の変更を実施し、赤字の縮小を図ります。

コンソールゲームは、現在開発中のタイトル以降のパイプラインについてこれまでや今後の業績を踏まえて規模感を調整し、売上と開発費のバランスをとることで、安定した収益化を目指します。

質疑応答④

Q.モバイルゲーム事業の運営規模の縮小に合わせて人員の調整を進めているとのことですが、どのように行っているのでしょうか?

A.コンソール事業・TCG事業などグループ内での異動を1年ほど前より段階的に実施しております。また、モバイルゲーム事業内では、自社パブリッシュとなった「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」への集約もあわせて行っております。

質疑応答⑤

Q.新日本プロレスリング株式会社に棚橋弘至社長が、スターダムを運営する株式会社ブシロードファイトに岡田太郎社長が就任して約半年が経ちますが、それぞれの会社に変化は出てきていますか?

A.棚橋社長になってから新日本プロレスはオフィスの雰囲気がとても明るくなりました。組織を引っ張っていくという力があるのはトップの資質として大事な要素だと思っています。岡田社長も体制の立て直しからのスタートでしたが、選手やスタッフともよく話して興行を動かしていると思います。

もともと学生プロレス出身であったりプロデューサーやタレントマネジメントの経験があるというキャリアが活きていると感じます。新日本プロレス・スターダムともに解決していく必要のある課題がありますが、お客さまとの信頼関係を築きながら、会社を成長させることができると考えています。

質疑応答⑥

Q.下方修正後も配当予想に変更がなかったのはどのような理由でしょうか?

A.前回予想にて2024年6月期は前年比で減益の予想となっていましたが、主に新規ゲームへの開発投資の増加によるものであるため、2023年6月期実績から据え置きの4円50銭を予定しておりました。このたび、通期業績予想を下方修正いたしましたが、今回予想でも通期は黒字での着地を見込んでおりますため、配当予想については当初の説明のとおり、据え置きの4円50銭から変更しないことといたしました。

質疑応答⑦

Q.中期経営計画の進捗についてどのように考えていますか?

A.デジタルコンテンツの低調が続いていることから、現時点において特に利益項目が計画からの乖離が大きくなっていることを認識しております。2024年6月期の通期見通しも踏まえまして、中期経営計画の取り扱いについては慎重に検討を行ってまいります。