会社概要

松岡元氏(以下、松岡):みなさま、こんにちは。株式会社ニーズウェルの松岡です。本日は、2024年9月期第1四半期の決算概況に関するご説明と、事業の成長戦略についてお話ししたいと思います。ぜひこの機会に、当社のことを知っていただければと思いますので、よろしくお願いします。

まずは会社概要からご説明します。あらためて、株式会社ニーズウェルといいます。1986年に設立して、今期で第38期を迎えている独立系のSIerです。東証プライム市場に上場しており、会社の規模としては従業員数が約630名、9割がエンジニアとして在籍しています。

本社は千代田区紀尾井町にあり、新宿と長崎に開発センターを設けています。また、東京の大門にサテライトオフィスを構えています。

直近、零壱製作、ビー・オー・スタジオ、コムソフトと、それぞれ特徴のある3社がグループインし、事業展開をしています。

それでは、第1四半期の決算概況について新井からご説明します。

1.1 決算ハイライト 総括

新井千波氏(以下、新井):IRを担当している新井です。

まず決算ハイライトです。昨年10月から12月の2024年9月期第1四半期の売上高は、前年同期比18.5パーセント増、経常利益は前年同期比45.8パーセント増と、好調な滑り出しとなりました。経常利益率は前年同期の12.4パーセントから14.6パーセントと、収益力が上がってきていると言えます。

また、子会社とのシナジーで公共系の入札案件が増えてきたことに加え、オンライン営業にも力を入れています。Webの展示会・セミナー、さらにホームページからの受注も多くなっているため、これらが受注拡大に貢献しています。

増井麻里子氏(以下、増井):子会社のビー・オー・スタジオは、SEOやWeb製作に強みがある会社かと思いますが、どのようなシナジー効果があるのでしょうか?

松岡:ビー・オー・スタジオはWeb製作に強みのある会社です。特に官公庁向け、独立法人向けのホームページの開発に強みを持っており、ホームページの構築から運用まで幅広く展開し、多くの販路を持っています。官公庁向けであり、もともと入札に関するノウハウを持っていましたので、共に一緒に入札を行うことでシナジーを生んでいます。

ビー・オー・スタジオの規模はあまり大きくないのですが、当社と組むことで、これまではできなかった規模の案件も手掛けられるようになってきました。

増井:お互いに良かったということですね。

松岡:そうですね。当社は基幹システム側、いわゆるシステムのバック側の開発に強みを持っていますが、ビー・オー・スタジオはどちらかというとフロント側の開発に強みがある会社です。そのため、2社を合わせることで、フロントからバックまで一気通貫でシステム開発できるようになったことも大きなシナジー効果だと思います。

受注も増え、次に狙っている案件や入札の幅も広げることができていますので、シナジー効果は非常に大きいと思っています。

増井:買収となると償却があると思いますが、何年ぐらいで償却されるのでしょうか?

新井:M&Aの償却ということで、会社ごとにのれんや顧客関連資産を見積もり、償却していく計画を立てています。会社ごとに異なるものの、概ね4年から13年の間で償却していく予定です。

今期は、年間約9,000万円の償却となる見込みですが、2025年からは段階的に金額が減り、2035年で終了する計画となっています。

増井:徐々に減っていくということですね?

新井:そのとおりです。

1.2 売上高・経常利益 年度別・四半期別推移

新井:売上高・経常利益、年度別・四半期別推移です。今期も過去と同様、売上高・経常利益ともに前年同期を上回りました。

1点補足です。業績予想で売上高105億円とグラフに記載していますが、実は3月14日に業績の上方修正を公表しています。現在は売上高が107億2,000万円、経常利益が14億4,000万円の計画としています。

増井:今期も非常に好調とのことですが、業務効率化においては具体的にどのような取り組みをされたのでしょうか?

松岡:業務効率化に関しては、さまざまな取り組みを行っています。まずプロジェクトの推進として、生産性高くプロジェクトを進めていくため、例えば週報の運用など、課題を早期に発見する取り組みに対し、例年に増して注力しています。

生産性を上げる取り組みとしては、残業時間管理、アサイン調整で余計なリソースを投入しないなどです。これらの取り組みにより生産性を上げてきました。

同時に、社内の業務改善も進めています。例えばペーパーレス化したり、DX化ということで各ツールを使ったり、ワークフローを見直して承認ルートを早くしたりなどの取り組みを続けてきました。その結果、販管費もかなり抑えられてきています。

また、社内では業務改善委員会を立ち上げました。当社社長も含めて、毎月、社内業務を効率化するためのアイディアを募集し、内容を審査、採用されたものは担当部署に対応依頼しています。この取り組みはかなり浸透してきていると思います。

1.3 サービスライン別売上高推移

新井:サービスライン別の売上高推移です。前期まではサービスラインを4つに区分していたのですが、今期から構成を一部見直し、「業務系システム開発」「IT基盤」「ソリューション」という3つの区分で整理することとなりました。

特にIT基盤は、これまで業務系システム開発でカウントしていたソフトウェアテストやITサポートを入れたことから、前年同期比の伸びも高くなっています。

ソリューションは、昨年まで電子帳簿保存法やインボイス制度の猶予期間、経過期間があったため、特需のようなかたちで売上が増えていました。「今期からは減少するのか?」とよく聞かれるのですが、制度に未対応の企業も多いことから、関連の受注は堅調に伸びています。

それ以外に新たなソリューションも数多く提供を開始していますので、今後の伸びに注目していただきたいと思います。

増井:セグメントを変更されたということですが、この分け方の背景にあるお考えを教えてください。

松岡:前期までは「コネクテッド」というサービスラインがあったのですが、今期からはそれを業務系システム開発の中に統合しています。その背景の1つとして、コネクテッドのプロジェクトの規模が縮小したことがあります。

具体的には、組み込み系で事業を推進していましたが、直近のプロジェクトでは制御に関わる開発より、その周辺のツール開発や試験、品質評価などの比重が増えており、業務系システム開発との垣根があまりなくなってきました。それであれば、リソースの共有も含めて1つのセグメントの中に入れて、効率よく事業を推進するということでまとめています。

セグメント別では、IT基盤のボリュームが増加しています。ソフトウェアテストは開発とは異なり、その品質を評価するためのIT基盤の構築も必要という観点からシステム開発とは別のセグメントに含めました。注力するものや規模によって柔軟に対応していこうと思っています。

1.4 経常利益増減要因分析

新井:経常利益の増減要因分析です。売上の拡大と高付加価値案件の獲得で、売上総利益が前年同期比122.7パーセントとなりました。販管費は、賞与引当金の戻りなどがあったため、前年同期比で600万円減少しており、経常利益は前年同期比145.8パーセントと好調な成績となりました。

1.5 損益計算書

新井:損益計算書です。当社の経営指標として、売上高成長率や販管比率などを掲げています。スライド右側のKPI達成状況に記載しているように、売上高成長率は、第1四半期は残念ながら目標の20パーセント以上に届いていませんが、第2四半期以降も努力していきたいと思っています。

販管比率と経常利益率は目標達成となりました。販管比率は、賞与引当金として前期の退職者の分を戻し入れたという特別な事情により多く戻ってきている分があるため、10パーセントを切って、8パーセント台となっています。

EPS・PER・ROEについては通期の実績で判定したいと思います。PERは株価ですので、なかなか当社がコントロールできるものではありませんが、EPSとROEは今回上方修正して、なんとか達成できるのではと考えています。

2.1 中期経営計画(連結)

新井:2024年9月期の業績計画についてご説明します。中期経営計画では、2024年9月期は既存事業で105億円、M&Aで5億円、合計110億円を目標としています。

先ほどお伝えしたとおり、既存事業は105億円から107億円に修正しています。M&Aについては現在大きな進捗はありませんが、対象企業と日々さまざまなお話をしていますので、焦らず、良い会社とのご縁を探していきたいと考えています。

2.2 2024年9月期 サービスライン別売上計画(連結)

新井:サービスライン別の売上計画です。今期は業務系システム開発にカウントしているマイグレーション開発や物流のビジネスに加えて、IT基盤にカウントするITアウトソーシング、ソリューションにカウントするAIビジネスや各種のソリューションの開発提供などを注力分野として重点的に取り組んでいます。すべてのサービスラインで昨年よりもさらに拡大する計画です。

飯村美樹氏(以下、飯村):上方修正が発表されましたが、どちらの分野が好調で引き上げられたのでしょうか?

松岡:業務系システム開発、ビー・オー・スタジオとのコラボレーションで、公共関連の案件で大きな受注がありました。比較的規模の大きな2つのプロジェクトが動き始めていることが大きな要素の1つかと思います。

ソリューションに関しても、オンライン営業に注力しており、サービスメニューの追加や新しいソリューションをホームページやプレスリリースを出すことで、そこから多くの引き合いをいただくようになりました。

今期の第1四半期はその受注が特に進んだことで、業務系システム開発とソリューションがかなり増えていると思います。

増井:企業のDX投資は、まだ続くのでしょうか?

松岡:現在は少子高齢化と言われ、労働力が減っていく時代ですので、私はDXやIT投資は増えていくと考えています。業務効率化を進めていかなければいけませんし、自動化は今後も注目されると思います。技術トレンドとして「生成AI」というキーワードが世の中に普及していますので、これが追い風になることは間違いないと考えています。

当社も生成AIに関するソリューションの取り組みを始めていますので、このようなところを追いかけながら、お客さまのご要望に応えていきたいと考えています。

2.3 株主還元①

新井:株主還元です。2024年9月期の配当について、当初の計画では前年比3円増配の15円と考えていましたが、その後の業績修正なども考慮して、1株あたり18円と増配しました。前年比4円50銭の増加、配当性向は35パーセントを見込んでいます。

増井:今回増配して配当性向が35パーセントとなっていますが、株主還元のスタンスとして、配当性向35パーセントが下限でしょうか?

新井:当社は、これまで30パーセントを目安に配当、還元していく方針でしたが、昨今他社を見ても、以前より配当性向の平均値が上がってきている傾向にあると思います。正式に35パーセント以上にすると機関決定をしたわけではありませんが、今後検討する必要があると考えています。

2.3 株主還元②

新井:スライドは、社内でさまざまな議論を続けている中で、「当社の株式の資産価値はどのような推移なのか?」という話が出て作成したグラフです。株価が低迷する時期はありましたが、2017年の上場当時から見ると、2023年の9月末では資産価値が約65パーセント増加していると言えます。

当社は東京証券取引所のプライム市場上場維持基準「流通株式時価総額100億円」のラインを達成したいという強い思いがあります。松岡、私もメンバーとなっている社長直轄の企業価値向上委員会で株価の動きなどを見つつ、必要な施策について議論を重ねています。

増井:すばらしいですね。IRセミナーにも四半期ごとにご登壇いただくなど、IR活動にかなり力を入れていますね。

松岡:現在、IR活動に注力しています。新井からもお伝えしたとおり、企業価値向上委員会での取り組みを力強く推進しています。

当社はIT企業であるため、新しいソリューションを出したり、世の中に新しいものを発信したりしたいという強い意志を持って取り組んでいます。グラフでも少しずつ結果が表れてきていると思いますので、継続して取り組んでいこうと考えています。

3.1 経営理念・中期方針

松岡:事業の成長戦略についてご説明します。当社は四半期ごとに登壇していますので、経営理念、中期基本方針は何度かご説明していますが、中期基本方針に「真のシステムインテグレータへ移行」を掲げ、新しいソリューションやサービスを拡充しながら企業価値を上げていくことを基本的なスタンスとしています。

生産性を上げることで、社員や株主へ還元しようと注力しており、少しずつステップアップする方針に変更はありません。今回は当社が今期、注力しているソリューションやサービスについてご説明します。

3.2 成長戦略

松岡:持続的な成長を果たすために、さまざまな視点から対策を実施しています。事業拡大、プロジェクト体制強化、社員満足度向上と、大きく3点の施策を推進しています。

事業拡大については、ソリューションの拡充に注力し、メニューを増やしています。後ほどご説明しますが、スライドに記載している「Dgent」や「UI/UX」、これまでも推進してきた経費精算システムの「コンカー」、物流関連のソリューションを拡充しています。

「Dgent」は業務効率化のソリューションです。紙ベースで運用されていたものを「AI-OCR」でデータ化します。データ化に取り組むお客さまはいますが、それを活用して業務効率化するところまでは足踏みをされる企業は多いです。そこで当社の経験を踏まえて提案し、お客さまと一緒に業務改善していくプロセスをパッケージ化して「Dgent」と名付け、ソリューションを展開しています。

サービス強化としては、マイグレーション、ITアウトソーシング、ソフトウェアテストということで、サービスを拡充しながら、基本的にはパッケージ化した当社の技術力をお客さまに使ってもらうかたちで、提供を開始しています。

協業強化については、各企業と協業体制を組み、大型案件の受注やシステム運用業務のアウトソースなどを当社が行うことで、当社の安定受注とお客さまのシステム安定化を目指しています。

営業強化と技術基盤強化については、後ほどご説明しますが、特にプロジェクトのマネジメントの規模が大きくなったり、パートナーに協力いただく機会が増えたりしているため、マネジメント力の強化が必須ということで、現在注力しています。

プロジェクト体制強化にもつながりますが、業務提携が増えているため、協業を強化することでプロジェクトの体制強化を図っています。また、共存・共栄の推進として、パートナー、特にコアパートナーと協業することで、各社がWin-Winの関係で事業推進できる仕組みを構築しています。

プロジェクトの体制強化のためには、社内教育の拡充が必要です。品質管理や営業研修にあらためて取り組むことで、社員の意識づけとスキルのベースアップをする取り組みを行っています。

当社の研修をプロジェクトに参画しているパートナーにも受けていただき、意識共有や足並みを揃える取り組みも始めており、成果が出てきています。プロジェクト参画も含めて、結果が出てきているため継続していこうと思っています。

加えて、最小限のインプット情報で業績の見通しの数字を出すツール「ManaSupport」を導入し、活用することでグループ全体で足並みを揃える取り組みを行っています。

社員満足度向上については、業務改善制度の導入や、働きやすい環境を作るために別のプロジェクトの仕事に参画できる社内FA制度、ダブルジョブ制度などの導入を予定しています。ダブルジョブ制度は、主にバックオフィス部門に適用する予定です。自身が担当している業務とは別の業務を一部行い、自分に合う仕事を確認できるような制度でスキルのミスマッチを防ぐ取り組みです。

また、世の中では賃上げが進んでいるため、昇給率を上げる取り組みも行っており、社員の満足度向上を図っています。

増井:システム開発の需要が増加して事業が拡大するとのことですが、技術者の確保が大きな要因になると思います。来期は何名の新卒が入社する予定ですか?

松岡:4月に入社する新入社員は約60名です。そのうち50名以上がエンジニア採用で、バックオフィス部門が約10名です。

エンジニアとして採用された新入社員は2ヶ月間研修を受けて、プロジェクトに配属する予定です。来年は70名以上を目標にすでに採用活動が始まっていますが、人材確保のハードルは上がっています。

増井:新卒でも難しいのですか?

松岡:競争が激しい状況です。IT業界は働き方が比較的自由な業界のため働きやすく人気があります。学生からの見え方も含めて、試行錯誤しながら活動しています。

増井:中途社員よりも新卒を育てる方針でしょうか?

松岡:おっしゃるとおりです。数年前から新卒採用に切り変えていますが、難易度は年々上がっている印象です。顔合わせなど、さまざまなコミュニケーションを経て入社するため、最初から意識が高い状態で、立ち上がりのスピードは早くなってきていると思います。

3.3 事業領域

松岡:事業領域についてご説明します。先ほどセグメントについてお伝えしましたが、金融系向けの業務系システム開発を中心に、今回はコネクテッドを外した3つの分野でトータルサービスを提供していきます。

業務系システム開発にマイグレーション開発を含め、IT基盤にITアウトソーシングとソフトウェアテストというサービスラインを追加し、事業の拡充を図ります。

3.4 AIビジネスの拡大①

松岡:その中で注力しているのがAIビジネスの拡大です。当社は長崎県に長崎開発センターがあり長崎大学と交流があるため、産学共同でAIに関する共同開発を行ってきました。

そこからソリューションを2つ立ち上げています。1つ目は、決算書や決算に関する資料をAIで作る「FSGen」です。2つ目は、公共関連の入札に伴う入札資格や情報収集をある程度AIで自動化できる「QualiBot」です。

入札については、入札仕様書の内容把握や必須の資格の確認を目視でチェックするのが大変なため、ある程度の粒度までAIが判定した上で、最終的なチェックを人ができるような仕組みを考えています。精度も上がってきており、ソリューションとしての展開を考えています。

3.4 AIビジネスの拡大②

松岡:AIビジネスとして、「Work AI」というソリューションを数年前から展開しています。当社はお客さまが持つデータを分析(クレンジング)して、業務改善の提案につなげる業務を得意としています。その技術をパッケージ化したソリューションです。

こちらは業種を問わず、さまざまなお客さまから引き合いがありますので、引き続き展開していきたいと考えています。

飯村:業種問わず引き合いがあるとのことですが、その中でも引き合いが多い業界はありますか?

松岡:実績のある会社では、例えば建設関連です。人によってばらつきがある機材の見積もりを一定の精度で出したいという希望に応えるもので、一定の精度でAIが自動生成したものを最終的に担当者がチェックするといったモデルをお客さまごとに作ります。建設関係向けに実績がありますが、実はさまざまな業種のお客さまから声がかかっています。

飯村:見積もりをする業務であれば、展開できるということでしょうか?

松岡:そのとおりです。これまで見積もりしたデータ履歴があれば、それを分析して、ある程度の精度まで出すことができます。

データ分析に関しては、自動車メーカーからも引き合いをいただいており、幅広い業種に対応しているのが現状です。データを分析してお客さま特有のモデルを作れるのが「Work AI Prophetterシリーズ」の特徴で、お客さまからも評価いただいています。

3.5 ソフトウェアテストサービス

松岡:今期はソフトウェアテストサービスに注力しています。ソフトウェアテスト自体は事業の中で進めていましたが、マイグレーションテストサービス、自動テストサービスなどに特化しています。

テストについても、ある程度効率よく品質が担保できる仕組みを考えていかないといけません。自動化ツールは世の中にも多くあるため、適切なツールを選び、試験の提案をしています。特に最近はアプリなど、スマホで見る画面が増えているため、スマホ特有の試験に注力しています。

当社のグループ会社である零壱製作は格安SIMを売りにしています。「iPhone」や「Android」など、SIMを使ったさまざまな端末で効率よく試験ができるような仕組みを提供し始めており、特に「Android」ではさまざまなバージョンで試験ができますので、こちらに注力しています。

3.6 マイグレーション開発ビジネスの拡大

松岡:マイグレーションサービスは、各国産メーカーの汎用機からの撤退が進んでいるため、システムのオープン化に伴う現新比較や、基本的に新しいものを作るというより動きはそのままに中身を変えるため、変わっていないところ・変えるべきところのチェックなどを高品質で効率よくできるような仕組みを提供しています。

長崎のニアショア拠点を活用し、関東側のSEがドライブして、効率よく試験する仕組みができているため、お客さまから高い評価をいただいています。

3.7 ITアウトソーシングビジネスの拡大

松岡:ITアウトソーシングビジネスについて、DX投資の話がありました。各社でDX投資を進めていくものの、例えばシステムを構築したり、運用するエンジニアを確保したりと難しい課題がお客さま側にあります。スライドには「運用設計・運用監視」と記載していますが、エンジニアの投入も含めて当社がサポートします。

同様に「オペレーション代行」やシステムの運用、システム更改のご提案などを当社がサポートする「マネージドサービス」を始めています。こちらもエンドユーザーからの引き合いを多くいただいているため、今後はさらに増やしていけると思っています。

3.8 収益拡大と目標

松岡:これらのソリューションやサービスの取り組みを進めて、収益拡大を実現するためにKPIの数値を設定しています。

1つ目は「ストック売上の拡大」です。売上が安定的に上がる割合を増やしたいと考えています。ITアウトソーシングやソフトウェアテストは、基本的に長期間お客さまとともに進めていくプロジェクトですので、お客さまと関係を構築しながら、売上を上げていくことを狙っています。

2つ目は「オンライン営業の促進」です。今後もオンライン営業を促進していくため、最小限の人数で最大の引き合いをもらえるような仕組みを考えていきます。

3つ目は「エンドユーザー取引の拡大」です。ITアウトソーシングやソフトウェアテストは基本的にエンドユーザーからの引き合いが多いため、エンドユーザーとのご縁を増やし、関係強化とともに売上も確保したいと考えています。

増井:オンライン営業について、セミナーや展示会を開催されているとのことですが、どのようなアプローチでイベント案内をされているのでしょうか?

松岡:イベント案内は基本的にはメルマガを配信し、そこからお問い合わせをいただくことが最も多いです。

あるいは、ホームページでの告知やイベントへの出展です。RPAやAI関連のさまざまなイベントに出展し、そこでお客さまとお話をしてリードを獲得するかたちです。

メルマガについては、現在、配信先のお客さまの数がかなり増えています。

増井:それはどのような仕組みで増やされたのですか?

松岡:基本的にはイベントに出展した時のリードです。また、ホームページにアクセスいただき、お問い合わせいただいたお客さまとのコミュニケーションを増やしていくことで、リードが増えてきています。オンライン営業は、かなりの効果が出てきていると考えています。

増井:日鉄ソリューションズなどと共同でセミナーをされていますが、どのような意図があるのでしょうか?

松岡:日鉄ソリューションズは、当社も使っている電子契約ツールを扱っているため、製品紹介から使い方、使う前と使ったあとでどのように便利になったかなどをご紹介しています。

一方、日鉄ソリューションズからは同社の製品を紹介していただき、お互いPRポイントを持ち寄って、1つのセミナーを開いています。

増井:共催などもよくされているのですか?

松岡:物流や経費精算システムなどについても共催セミナーを行っています。

質疑応答:M&Aについて

増井:「以前の『ログミーFinance』のIRセミナーで、M&Aについて前向きな印象を受けました。今後も継続してM&Aは検討されますか? それとも腰を据えて現在のグループで事業拡大する方向でしょうか?」というご質問です。

松岡:冒頭、新井からご説明したとおり、掲げている売上目標についてM&Aでの売上もある程度見込んでおり、今期も検討しています。ただし、事業シナジーを創出することが重要ですので、検討には時間をかけています。

現在、グループインしていただいている会社の事業シナジーを最大化していきながら、新しいM&Aも随時動いているかたちです。

質疑応答:買収した各社との意識統一のための取り組みについて

飯村:「グループとして買収した各社と一体化し、意識統一するために、どのようなことを行っているのでしょうか?」というご質問です。

松岡:事業シナジーを考えてからグループインしているため、そのプロセスの中で検討したことをどのように実現するか具体的に話し合うことで、足並みを揃えようとしています。

ビー・オー・スタジオが最も良い例です。公共系の案件の入札についてグループイン前から話をしており、それを実現していくということで足並みを揃えられたため、1つの大きな成果だと思います。

足並みを揃える意味でいうと、四半期に1回、ニーズウェル主催で関係会社会を開催し、各社の事業状況や課題などを共有しています。例えばグループ会社側のエンジニアの育成に関して、ニーズウェル側の研修を共有して一緒に行っています。

場合によっては人材交流というかたちで、ニーズウェル側のエンジニアがグループ会社側に入り込んで一緒にプロジェクトを回す取り組みも行っており、足並みはかなり揃えやすくなっていると思います。

質疑応答:エンジニアの採用について

飯村:「今年の新卒も60名中50名がエンジニアという話でしたが、今後、文系学生を採用し、教育して人材確保するようなお考えはあるのでしょうか?」というご質問です。

松岡:実は50名のエンジニア採用のうち、半分以上は文系の方です。プログラミングを行ったことがないような方の採用も進めています。

プログラミングは入社してから2ヶ月間の技術研修で受けていただきますが、そこである程度はできるようになると考えています。プログラミングの知識をベースに、システムエンジニアとしてはお客さまの業務の理解に注力する割合が多いと思います。

プログラミングはプログラミングで、まずは1つの知識として蓄えていただき、案件に入っていただくことで、早期に立ち上げをしていくスタンスです。プログラミングだけを行うことはそれほどないと思います。

飯村:お客さまのことを考える時間が、それなりに長いということですね。

松岡:おっしゃるとおりです。理系だけにこだわらず、いろいろなタイプの方に入っていただくほうがよいと思っているため、現在はよいかたちで進められていると思っています。

質疑応答:サテライトオフィスの役割について

増井:「サテライトオフィスの役割は何ですか?」というご質問です。

松岡:大門にサテライトオフィスがありますが、プロジェクトの推進に特化してオフィスを構えています。プロジェクトが大きくなればサテライトオフィスを使いますし、縮小すればそこを開放し、本社のほうに集約するかたちで考えています。

直近、大門にオフィスを持っていますが、新宿と大門を合併し、別の場所にオフィスを構える準備をしています。紀尾井町のオフィスに近いところに広めのオフィスを借りて、そこでプロジェクトの推進の土台を作る予定です。

サテライトオフィスはプロジェクトの規模によって、使ったり開放したりしています。

質疑応答:リスク管理について

飯村:「本日も好調なお話が多かったのですが、御社にとってリスクは何でしょうか?」というご質問です。

松岡:さまざまなリスクがあると思いますが、1つは人材です。プロジェクト推進という点では、少子化が1つのリスクになると思います。

人材あっての事業です。先ほどの採用の話にもありましたが、少子化で人材が確保しづらい環境になっているため、当社の魅力をどのようにPRできるか考え、採用を行っていく必要があると思います。

技術面についても、例えばクラウドが主流になっていく中で、セキュリティ脅威なども考えるべきで、社内では引き続き教育や技術習得を進めています。時代の変化に適応するエンジニアの育成も必要だと考えています。

質疑応答:採用に関しての反応について

飯村:採用に関しての学生の反応はいかがでしょうか?

松岡:実は、内定を出した学生たち向けに「フォロー会」を開いています。会社の情報・状況や魅力を聞けるなど、先輩社員がリクルーターとして彼らとコミュニケーションをとる機会を増やしています。

「フォロー会」は学生からも評価をいただき、会社のことを知るよい機会になっているため、学生からの反応は比較的良好だと思っています。

質疑応答:公共系の入札案件について

増井:「公共系の入札案件について、詳しく教えてください」というご質問です。

松岡:具体的に進めているのは、主に官公庁向けのシステム刷新です。例えば「WinActor」などのRPAの導入や、「AI-OCR」の導入でペーパーレスを中心にDX化するような案件全般です。

対象は官公庁や自治体全般で、当社では公共系案件と呼んでいます。そのようなところへの入札や引き合いの対応を、公共関連のプロジェクトというカテゴリーに入れています。

増井:1つ事例ができると、横展開ができるということでしょうか?

松岡:おっしゃるとおりです。区役所からの引き合いなど、今期の3月末に実績ができますので、同様の案件が入りやすくなると思います。そのような意味でも横展開がしやすくなっていくと思います。

松岡氏からのご挨拶

松岡:当社は経営課題などがまだ多いのですが、一つひとつ解決しつつ事業拡大、販路拡大に向けて動いています。また、学生ともコミュニケーションをとりながら、人材確保にも努めています。本日のセミナーで当社を知っていただき、お問い合わせしていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問:御社は現状外国の機関投資家からの話は多くなってきているのでしょうか?

回答:英文開示を進めていることもあり、海外の機関投資家の訪問やWebミーティング等のオファーが増えてきています。

<質問2>

質問:今後5年から10年も順調に右肩上がりで成長できる見込みという捉え方で良いのでしょうか?

回答:右肩上がりで成長できるよう、今後も継続的な業績拡大に取り組みます。

<質問3>

質問:優秀なIT人材は争奪戦が激しいと思いますが、今後の人材採用状況について教えてください。

回答:ご認識のとおり、昨年よりも採用には苦戦しています。今後も少子化の影響で優秀な人材確保が困難になる傾向は強まると考えますが、これに対応するため、当社では以下のような施策をとっています。

【従業員満足度の向上】
・昇給や初任給の引上げ
・関東圏以外での採用
・各種の制度による働きやすい環境づくり等

【パートナー企業との協業強化】
・ビジネスパートナーのコアパートナー化による連携強化
・コアパートナーとの業務提携による技術空洞化防止

<質問4>

質問:社員への譲渡制限付の株式無償付与はどのようなかたちで実施されているのでしょうか?

回答:普通株式を各自の証券口座に無償で割り当てました。5年間の譲渡制限がついていますので、譲渡制限期間中の売買はできません。

<質問5>

質問:パートナー企業はどこまで増やしていく方針でしょうか?

回答:技術の空洞化を防ぐため、社員とビジネスパートナーは1:1を目処としています。パートナーが1:1を超える場合はコアパートナーの中から業務提携を行い、技術の空洞化を防ぎます。

<質問6>

質問:在宅勤務者も増えるのでしょうか?

回答:当社は、技術者は週に数回、バックオフィスは週に1回を目処に在宅勤務を行っており、当面この体制を継続したいと考えています。

<質問7>

質問:東京と長崎の2拠点に分けているのはなぜでしょうか? 統合したほうが効率が良いのではと思います。

回答:関東圏での採用が厳しいこともあり、地方の優秀な技術者を確保することが必要と考えています。

東京・長崎でセキュアなリモート環境を構築し、地方にいながらにして首都圏案件を行うことができるため、地方で勤務したい技術者のスキル向上、モチベーション向上につながっています。