2024年2月期 累計業績ハイライト

石井宏和氏(以下、石井):執行役員の石井です。本日は決算説明会にご参加いただきましてありがとうございます。私から2024年2月期第2四半期の概況についてご説明します。

当第2四半期は増収ながら、営業利益は減益となりました。収益面では売上高が629億円の前期比102.4パーセントとなり、当初計画の101.1パーセントを上回りました。節約意識の高まりから、食品とPB商品の売上が伸びたことが要因に挙げられます。NB商品の値下げ企画も好評でした。

一方で、マスク、検査キット、体温計、加湿器など、利益率が高い新型コロナウイルス関連商品の売上が減少したことで、荒利益率は1.1パーセント下がりました。PB商品の売上を増やし、荒利益率の維持に努めましたが、落ち込みを補うまでには至りませんでした。

販売費及び一般管理費は、改装やEC事業にかかるコストが増えたことから、前期比104.2パーセントとなりました。この結果、営業利益は18億9,900万円で前期比68.5パーセント、期首計画の21億円に対し90パーセントとなりました。

営業利益の増減要因

営業利益の増減益要因についてご説明します。スライドの図の青い部分が利益の増加、オレンジの部分が利益の減少を示しています。

荒利益高は3億6,200万円減少しました。先ほどご説明したとおり、利益率の高い新型コロナウイルス関連商品の売上が下がったことが主な要因です。

経費の増加要因についてご説明します。8月までに4店舗の改装を行ったことで、経費は1億8,600万円増加しました。備品の購入や修繕、旅費などのコストが発生しました。減価償却費の増加は、オンラインストアと改装に伴う資産取得によるものです。

そのほかにも、キャッシュレス決済手数料、物流費、家賃などの経費が増えました。一方で、水道光熱費は増加を想定していましたが前期並みにとどまりました。

人件費についても前期並みに抑えることができました。店舗オペレーションにかかるコストコントロールはしっかりできていると思います。

既存店売上高の状況

スライドのグラフは既存店の売上高、客数、1人あたり買上個数の前年同月比を示しています。

5月以降は客数が回復し、これに比例して売上高も伸びていきました。NB商品の値下げ企画が好評だったことに加え、PB商品の売上高は前期比2割増となるなど、安さを訴求した商品が売上を伸ばしました。

買上個数については前年並みとなりました。物価が上がっていく中、お客さまには価値ある安さを打ち出すミスターマックスをご支持いただけたと考えています。

部門別売上高の状況

部門別売上高の状況です。食品の売上が特に好調でした。パンや米に人気が集まり、サラダ油やおつまみなどのPB商品も売上を伸ばしました。

また、外出の機会が増えたことから、キャリーケースやシューズ、化粧品なども好調でした。市場が変化していく中、品揃えを柔軟に変化させたことで、売上は前年を上回ることができたと考えています。

品揃えはまだまだ改善の余地があります。第3四半期以降も新しい品種の導入などに取り組んでいきます。

荒利益率の推移

スライドのグラフはコロナ禍以前の2019年2月からの荒利益率の推移です。原材料の高騰や円安の影響から、仕入れ原価は上がり続けています。このような厳しい環境の中でも、競合他社との相対的な安さを可能な限り続けながら、荒利益率はコロナ禍以前の水準を上回っています。

これまで取り組んできた日替わり特売の廃止やPB商品の拡大などの効果が出てきました。しかし、今の水準は決して満足できるレベルではありません。調達先の見直しやコスト削減に努め、利益率の改善を図っていきます。

2024年2月期業績予想 ~期初予想を変更せず~

平野能章氏:代表取締役社長の平野です。本日は決算説明会へご参加いただき、誠にありがとうございます。私からは、期初に設定した重点項目の進捗状況と今後の取り組みについてご説明します。

2024年2月期の業績予想です。今年度の売上高は1,246億円で前期比102パーセント、営業利益は40億円で前期比86.4パーセントを計画しています。この業績予想は変更しません。

先ほど石井からお伝えしたとおり、当第2四半期までの営業利益は計画比90パーセントとなり、残念ながら未達で終わりました。しかし、このところ客数の回復も見られ、売上も伸びてきています。期初に計画した取り組みに注力し、業績予想の利益を達成したいと考えています。

2024年2月期の方針

今期の重点項目である「EDLPの追求とEDLCの推進」「PB商品の拡大」「改装による既存店の強化」「DXによる市場変化への対応」の4つについて、ここまでの取り組みの状況と今後の方針をご説明します。

1.EDLPの追求とEDLCの推進

EDLP(エブリデー・ロープライス)として、昨年9月からNB商品の値下げ企画を続けています。特に、厳選した日用品30品目を圧倒的な安さでお客さまに提供し、店内でアピールすることを続けています。洗濯洗剤やお菓子など、1ヶ月あたりの売上高が前年の2倍となる商品も出ており、大変好評です。1ヶ月おきにお買い得商品を入れ替えながら、当面は続ける予定でいます。

EDLPを継続的な取り組みとするためには、EDLC(エブリデー・ローコスト)の推進も同時に行わなければなりません。今期は人時生産性(にんじせいさんせい)を高める取り組みとして、店ごとに売上高に応じた適正人員配置のモデルづくりにチャレンジしています。

人時生産性とは、店舗の従業員が1時間あたりに稼ぐ荒利益高のことです。これを上げていかなければいけません。

また、店ごとにばらつきがある生産性を一定にすることで、全体の人時生産性をさらに高めていこうと取り組んでいます。設定した人時数で運営できるよう、1人の従業員が複数の部門をカバーし、いろいろな作業を行うマルチタスク化も進めています。

このマルチタスク化に移行する前は、店舗従業員一人ひとりの担当部門を決め、品出し作業等を行っていました。しかし、分類にひもづく人員である場合、商品の納品時間などにより、作業量の多い時間と少ない時間が生まれてきます。つまり、生産性に無駄が発生していました。

そこで、担当業務が少ない時は別の部門の品出しをすることで、時間あたりの作業量を可能な限り平準化する取り組みを行っています。レジ担当も一定の時間は品出しを行うなど、マルチタスク化を進めています。

さらに、バックルームの在庫管理の標準化も進めています。当たり前といえば当たり前なことでも、できていなかったことがたくさんあります。例えば、入荷した商品の配置場所や、いつ店出しをするかといった売場展開のタイミングを明確に決めることで、個人の判断に依存しないオペレーションおよび在庫管理に変えようとしています。

当第2四半期における実際の人時数と設定した標準人時数を比較したところ、6パーセント削減の可能性が見えてきました。今期中に店ごとの課題を抽出して実験や教育を行い、来年度の初めには標準人時数による運用を全店で導入する計画です。

1.EDLPの追求とEDLCの推進

当第2四半期までの人時生産性の状況です。コロナ禍以前の2020年2月期と当第2四半期を比較すると、着実に15パーセント改善できています。前年の説明会などでもお伝えしましたが、コロナ禍において日替わり特売あるいは月1回のカード会員向けの優待セールをやめたことで、EDLPを徹底し、作業の標準化を進めたことが数字に表れてきていると思います。

今後の取り組みとしては、作業の標準化に加え、セルフレジの拡大による生産性の向上も図っていきます。現在は全店のレジ約800台のうち、セルフレジは2割にとどまっています。この比率を、2025年2月までには8割まで高めていく計画です。これにより、レジ担当の人時数を少なくとも3割は減らせると見込んでいます。

ただし、当社は家電やインテリアなどの大型商品の取り扱いも多く、大勢のお客さまにご購入いただいています。このような大型商品などの購入は有人レジのほうが便利であることから、有人レジも残します。

また、お客さまのお買い上げ品目数が非常に多いことも当社の特徴です。カートいっぱいにお買い物いただき、精算する品目数が多いお客さまにとっても、セルフレジは一定のストレスになります。そのような意味でも、十分な数の有人レジを残します。

また、セルフレジの中にもキャッシュが使えるものとキャッシュレスのものがあります。これらを組み合わせながら、最終的にはレジで気持ちよく、ストレスなく精算していただけることまで十分に考えることが我々のサービスだと考えているため、このあたりを徹底していきたいと思います。

2.PB商品の拡大

PB商品の拡大についてご説明します。PB商品の売上高構成比は、当第2四半期には19.9パーセントと約2割まで上がってきました。この2割は昨年度に目指していた数字であり、半年遅れでやっと達成できました。

しかし、今期のPB商品における売上高構成比の目標は30パーセントです。非常に高い目標ですが、この達成に向け開発を進めていきます。

また、今年から環境に配慮したPB商品の開発にも力を入れています。例えばスライドにあるペットボトル3種は、外見だけでは違いがわかりづらいのですが、実は従来品に比べてラベルの大きさが半分になっていることに加え、容器自体も軽いものに変更しています。これにより、プラスチック使用量が年間5トン削減されることになります。

また、ペットボトルの右横に記載した商品は、管理された森林の木材を使ったFSC認証マークがついたトイレットペーパーです。

PB商品において、安さはもちろん大事ですが、価格が安い上に、お客さまに共感していただける品質であることが重要です。サステナブルな社会の実現に貢献できる品質と価格のバランスが取れた「価値ある安さ」で、PB商品を増やしていきたいと考えています。

3.改装による既存店の強化

この数年はなかなか店舗数が増えておらず、残念ながら、今期も新規出店の予定はありません。したがって当初の売上高などの計画を達成するためには、既存店の収益力を高めることが非常に重要になるため、その実現のための体制づくりを進めています。

今期は18店舗の改装計画に対し、当第2四半期までに4店舗の改装を行いました。改装を行った大型店の数字を伸ばして予算を達成していく作戦でしたが、前期に改装した大型店の売上高が想定より上がらなかったため、改装が期初の計画から少し遅れています。

つまり、結果が出ていないにもかかわらず「改装計画があるので改装します」というのは無駄であるため、再度これらの店舗にテコ入れし、結果を検証しています。

スライドの写真は、福岡市内にある橋本店の様子です。昨年11月に改装を行い、今年7月に再度手直しを行いましたが、最初の改装で売上高が伸びなかった要因があります。

最初の改装では、売場の定番通路にお客さまをどんどん引き込んでいくレイアウトや定番売場の商品の並べ方、エンド、島、ゴンドラ通路の売場の目玉をしっかり設定していくことを企画していましたが、結果として、お客さまには十分に伝わっていませんでした。そのため、写真では少しわかりづらいのですが、スライド左側の写真のように定番売場のエンドやサイドの作り方を変え、お買い得商品を組み込み、お客さまを中へ引き込む陳列がより伝わるように変更しました。

お時間がある方にはぜひ売場を見ていただけるとありがたいのですが、橋本店と改装していないお店では、明らかに売場の見え具合が違っています。当然、定番通路から中に入っていただきたいため、お客さまがさらに奥の通路に入り、店内をくまなく歩いていただけるように売場全体の活性化を図っています。

このような手直しが功を奏し、7月の改装後は売上高が順調に増えており、10月も順調に伸びています。

スライド右側の写真は、定番売場の活性化および組み替えに合わせ、店内サインも全面的に見直しました。売場のどこに何があるのか、より一層伝わりやすくなったと思います。これによって欲しい商品がどこにあるかが今まで以上にわかりやすくなりましたし、結果的にお客さまの買い物にかかる時間も短縮できるのではないかと思っています。

橋本店である程度の効果が検証できたため、第3四半期からは改装のペースを上げていきます。改装店舗の目標を18店舗としていますが、18店舗という数字には特にこだわりは持っていません。成果が出るかたちで着実に、効果の高い店舗から順に改装を行っていきます。

4.DXによる市場変化への対応

DXによる市場変化への対応についてご説明します。2年前から担当役員の下でデジタル人材を積極的に採用し、体制を強化しています。DXの目的は、お客さまの利便性の向上とデータ活用による業務の変革です。

利便性の追求という意味では、今年3月にオンラインストアをオープンし、その1ヶ月後にはアプリのリニューアルを行いました。スマートフォンから注文し、ご自宅にお届けまたは店舗で商品を受け取ることができる環境を整えています。

また、オンラインストアではオンライン専用として値段を高く設定せず、店舗とまったく同じ品揃えおよび価格でお求めいただけます。オンラインストアでもEDLPを徹底させ、利便性の向上にチャレンジしています。

また今年9月からは、福岡市内の2店舗で、アメリカでは「カーブサイドピックアップ」などと呼ばれている、駐車場に車を停めた状態で商品をお渡しする実験も始めています。当社で可能な限りのサービスを提供し、商圏内のお客さまの利便性を追求して、シェアの獲得を目指していきたいと考えています。

そして、もう1つのDXの取り組みとして、我々の仕事の仕方の変革があります。実はこちらのほうが重要な部分も多いのですが、データ活用による業務変化に取り組んでいます。今年から本部員を対象にデータ分析の教育も始めました。

これまでデータ分析は資料を作るまでに労力を使い、その段階で仕事が終わったような感じになっている社員が少なからずいたわけです。そこをデジタルの力で簡便化します。また、分析についても、ベテラン社員が経験則だけで数字を扱っていたところを、必要な数字が必要な人のところに届くようにしていきます。

本当に当たり前のことですが、当たり前のことにしっかり取り組んでいきます。仕事の仕方を一つひとつ教育しながら、業務を変革することで業績の向上を図ります。特に本部内での生産性の向上を図ることが重要だと考えています。

サステナビリティ活動の状況

サステナビリティ活動についてご説明します。2021年に7つの重要課題(マテリアリティ)を設定し、取り組みを進めています。昨年2月にサステナビリティ委員会を発足させ、課題ごとに設置した分科会が中心となって具体的な取り組みが始まっています。

取り組みのほんの一例ですが、スライド左側の写真は、今年9月に行った女性社員向け研修の様子です。女性が働きやすい環境づくりを目的に、外部から講師をお招きして開催しました。

当日、約100名の女性社員に参加していただきました。100名というのは我が社の女性社員のほとんどですが、女性社員全員でも108名で、比率としては全体の15パーセントです。小売業の平均値はだいたい33パーセントといわれています。

入社を希望する人の数、実際に入社する人の数、そして途中で辞めていく人の数に対して、ミスターマックスとしてしっかりとアプローチしていかなければいけません。そのために、この研修にとどまらず、性別や生活の状況、家族の規模等にかかわらず、多様な人材が活躍できる環境づくりを進めていきたいと思います。

スライド右側の写真をご覧ください。これはフードドライブの取り組みの様子です。

フードドライブとは、家庭で余っている未開封の食品やペットフードを回収して、必要な人に届ける取り組みです。今年8月までに28店舗で行い、そこで集めた食品やペットフードを地域の団体へ寄付しています。今後は全店での実施を目指しています。このようなサステナビリティ活動にも積極的に取り組み、企業価値の向上を図っていきます。

今期は先ほどご説明した4つの重点項目を進めることで、お約束した業績に近づけるように努力していく所存です。以上で私からのご説明を終わります。ありがとうございました。

質疑応答:荒利益率の低下について

石井:「荒利益率の低下について、もう少し詳しく教えてください」というご質問です。

確かに昨年の第2四半期の23.1パーセントから、当第2四半期は22パーセントと大きく落ち込みました。先ほどもご説明しましたが、この落ち込みの最大の要因はコロナ禍による売上の減少です。細かい数字はご説明しませんが、荒利益率の落ち込みの半分がコロナ禍によるものでした。

ただし、当第2四半期でコロナ禍による売上の減少はピークを迎えており、第3四半期以降は売上の減少の影響が次第に小さくなると考えています。したがって、荒利益率への影響もここをピークに減少していくと考えています。

また、この点もよく質問をいただくのですが、仕入れ原価の値上がり分を売価に反映させるという意味では、価格の引き上げはほぼできていると考えています。原価が上がった中で、売価を引き上げられていないことで荒利益率が下がっているということはありません。

決算説明の参考資料には、PB商品の販売実績を記載しています。PBの荒利益率は当第2四半期で26.2パーセントと、全社ベースの荒利益率22パーセントを上回っています。第3四半期以降はPBの売上構成比率をさらに高め、荒利益率を改善していく考えです。

質疑応答:今年度以降の改装の効果について

「今年度以降は改装の効果を期待してよいのでしょうか?」というご質問です。

昨年からの改装にはハード面はもちろん、むしろ先ほど平野がご説明したような、品揃えを見直して買い上げ品種数を増やしていこうという考えがありました。しかし、当社が期待するほど、お客さまに通路を巡回していただけませんでした。

本来はもっとお客さまが驚いたり、興味を持っていただいたりすることで店内を巡回していただき、その間により多くの商品をお買い上げいただくことを期待していました。そのため、今年の第1四半期でいったん改装のペースを落としました。

橋本店は昨年11月に1度改装しましたが、思ったよりも効果が出なかったため今年7月にもう1度改装を実施しました。その後は売上が順調に推移していますので、第3四半期以降は改装のペースを高めていく考えです。

質疑応答:人材の確保について

「人手不足の中でパート・社員をきちんと確保できているのでしょうか?」というご質問です。

一般的には報道にもあるとおり、お店によってはパートや社員の採用が難しい現状があります。ミスターマックスにおいても、社員の採用が難しくなってきてはいますが、運用に支障をきたすレベルには至っていません。そのため、すべての店は健全に運営されています。

当第2四半期においては、パート社員の昇給ベースアップを合わせて、3パーセントほど賃上げをしました。組合と相談して、労働環境の改善、交通費を支給する、あるいはパート社員のキャリアアップとして社員への登用の道を開くなどの対応により、パート社員の働く意欲を高める努力もしています。

一方で、店舗での作業効率の改善を進めた結果、当第2四半期までのパート給与は前年同期比2パーセント増にとどめることができました。これは生産性の改善が寄与したものと考えています。