本日のご説明内容

藤田進一氏(以下、藤田):ムゲンエステート代表取締役社長の藤田です。よろしくお願いします。本日は、会社概要、事業内容、中古不動産市場、第2次中期経営計画と今期の取り組み状況の順でお話しします。

会社概要及び沿革

藤田:会社概要です。当社は1990年5月、ちょうどバブルが崩壊した頃に設立されました。代表者は設立者である会長の藤田進と、社長の藤田進一です。社員数は連結で344名、そのうち営業職が約150名です。

本社は東京都千代田区大手町、支店は神奈川県横浜市、関東の営業所は北千住、船橋、荻窪、赤羽、池袋、蒲田にあります。2023年5月に、大阪にも営業所を開設しました。

子会社として、賃貸管理や工事を行うフジホームとクラウドファンディングを行うムゲンファンディングがあります。

企業理念

藤田:企業理念は、当社の社名にもつながる「夢現(MUGEN)」です。「夢を現実に」と記載しているとおり、夢を幻で終わらせるのではなく、実現させることが重要だと考えています。

ミッションは、「不動産に新たな価値を創造し、すべての人の豊かな暮らしと夢に挑戦する」です。バリューとして、「速さを追求」「あくなき挑戦」「多様な連携」「先を見通す」「貫く責任」を、日々考えながら行動していくことを掲げています。

事業内容

藤田:事業内容です。当社は不動産売買事業及び賃貸その他事業を展開しており、不動産買取再販事業を主力事業とし、持続的に成長しています。不動産買取再販事業としては、投資用不動産及び居住用不動産を扱っています。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):御社は主に不動産再販事業を展開されており、投資用不動産と居住用不動産がありますが、現状ではどちらのほうが多いのでしょうか?

藤田:販売面では投資用不動産と居住用不動産が半分ずつです。件数としては、1件1件の金額が大きい投資用不動産が約25パーセント、居住用不動産が約75パーセントです。具体的には、投資用不動産は63件、居住用不動産は204件と差があります。

坂本:以前からこの程度の割合ですか? それとも、近年変化があったのでしょうか?

藤田:近年は居住用不動産を増やしています。居住用不動産を増やして小さな物件を扱うことにより、投資用不動産の情報量が増えるスタイルにするため、営業所を増やしています。

不動産買取再販事業とは

藤田:不動産買取再販事業とは、首都圏を中心に中古不動産を買い取り、きれいにし、バリューアップして再販する事業です。価格帯は数百万円から20億円規模まで扱っています。

坂本:数百万円は区分ですか?

藤田:区分のオーナーチェンジ物件で、ワンルームです。

坂本:数十億円は一棟のイメージですか?

藤田:一棟のマンションやビルです。また、ホテルも多少扱っています。

坂本:御社はそのような買取が商売の起点になる部分だと思うのですが、仕入のルートはどのようなかたちですか?

藤田:仕入ルートについては、次のスライドでご説明します。

不動産買取再販事業<事業の流れ>

藤田:当社の場合は個人や法人の売主に直接あたるのではなく、仲介会社、例えば東急リバブルや三井のリハウスなどを通して情報をいただき、当社が買い取ります。直接お客さまを見つけるよりも、仲介会社を通したほうが幅広く情報が集まります。

坂本:支店が多くあるのはそのためですね。

藤田:おっしゃるとおりです。

坂本:ビルなどの大きな建物も仲介会社を通しているのでしょうか?

藤田:そのとおりです。情報量は多いですが、仲介会社に事前に精査していただけます。土地の権利等も先に調べてもらえるのはお得だと考えています。

坂本:スピードアップが図れるということですね。

藤田:おっしゃるとおりです。

坂本:さまざまな物件を買い取られると思いますが、平均の規模感があれば教えてください。

藤田:投資用不動産は小さなワンルームもありますが、1億8,000万円前後が平均値となっています。一方、居住用不動産は二極化しています。3,000万円前後の3LDKのマンションや、3億円から5億円のRC(鉄筋コンクリート)造の大きくて高い注文住宅も扱っているため、平均価格は出しづらいですが、現在はこのようなかたちになっています。

坂本:1億8,000万円は高額ですが、購入されるのは富裕層や法人というイメージでしょうか?

藤田:昔はフルレバ(フルレバレッジ)で100パーセント借入できたと思いますが、現在は3割程度(自己資金)です。やはり銀行も信用度合いを見るため、どうしても富裕層の方になると思います。

坂本:やはり頭金がある程度必要ですよね。1億8,000万円の物件を購入されるのは富裕層やいろいろな法人などですが、こちらの売却の営業も仲介会社にお願いするようなビジネス形態ですか?

藤田:そのとおりです。資料にも記載していますが、仲介会社から紹介していただいた物件を当社がきれいに仕上げ、出来上がったものを同じ仲介会社に営業していただくと当社も利益が得られます。仲介会社も当社もWin-Winになるかたちです。

坂本:それはかなりやる気がありますよね。

藤田:紹介しやすいところもあると思います。

坂本:購入して仕上げるのには意外とお金がかかりますし、双方が手数料をもらえると、よい仕事になりますね。

藤田:上場会社のブランドがあるため、「何かあった時もすぐにきちんと対応してくれるだろう」と安心していただけるのがメリットだと思います。

坂本:非常によくわかりました。ご説明の続きをお願いします。

藤田:不動産買取再販事業の流れは、仲介会社を通して当社が仕入れていきます。仕入れたものを「この物件であれば、このような内装にすればよいだろう」と当社で企画し、工事を行い、販売できる状態にします。

販売も我々が直接行わず、仲介会社を通します。それにより、いろいろなお客さまに購入していただけるところがメインとなっています。

不動産買取再販事業<収益モデル>

藤田:当社の収益モデルです。居住用不動産及び投資用不動産の2種類となっています。居住用不動産は空のため、物件の売却による収入(キャピタル・ゲイン)のみとなります。一方、投資用不動産は、当社が購入した際には2割から3割程度しか埋まっていない状態で、稼働率の低い物件が多いです。残りの7割の部分は外装を含めてきれいにし、リーシングを行って家賃をつけることで価値を上げます。

売却から販売までの賃貸収入(インカム・ゲイン)を取りながら売却による収入(キャピタル・ゲイン)も上げていくかたちです。

坂本:御社が空施設を埋めてから売却すると、けっこう時間がかかると思います。物件によって異なると思いますが、買取から再販までの期間と利益の目標があれば、話せる範囲で教えてください。

藤田:おっしゃるとおり、投資用不動産は時間がかかります。1年から1年半程度かかるため、借入も短期ではなく5年から10年にしています。

再びリーマン・ショックが来たとしても、安売りせず、すぐに売却しなくてもよい状態にはしています。ただし、営業のインセンティブとして、売却後の利益に対して賞与が出るようになっているため、早く売りたいということです。したがって、社内金利をかけて利益コントロールをしています。期間をなるべく早くするかたちです。

居住用不動産は8ヶ月から10ヶ月程度です。空のため、早く販売してフレッシュなうちに購入していただくのが一般的です。

坂本:リフォームを実施してからということですね。

藤田:そのとおりです。

不動産買取再販事業<主な購入者層>

藤田:主な購入者層です。投資用不動産と居住用不動産に分かれており、投資用不動産の購入者は事業法人です。例えば製造業を営んでいる会社が余った資金で購入されます。

また、相続対策層、年金対策層、資産運用層、海外投資家はアジア圏の方が多くなっています。そのような層にご購入いただいています。

居住用不動産の購入者は、賃貸から独立した一次取得者や、遠くで戸建てを購入していて、「大きいものは要らないから区分所有マンションにしよう」と言って、買い替えで購入される二次取得者です。

坂本:投資用不動産を購入される方は、法人や富裕層だというお話があったのですが、海外の方はどうなのでしょうか?

インバウンド需要の回復とともに、海外投資家の不動産需要も高まりつつあると思うのですが、海外投資家の販売比率はどの程度でしょうか?

藤田:コロナ禍以前は2割程度でしたが、まだ1割程度しか戻ってきていません。

もちろん、海外の件数が戻ってきていないのもありますが、送金の関係できちんとした方に購入していただくには規制が厳しいため、日本に住んでいる海外の方などに購入していただいています。

こちらのお金がありますので、安心してやり取りしやすいのは大きいと思います。この部分は少しずつ増えていますし、これからも増えていくと思います。

坂本:仲介会社の中でも海外に強いところがあるのでしょうか?

藤田:やはり中華圏の仲介会社に商売していただいています。当社にも中国人の社員が6名程度います。そちらと仲介会社がつながっており、私自身もお会いしています。

コロナ禍以前は上海まで行って、そのような方と仲介会社とでお話ししていました。そこでニーズを捕えていくと、仕入がしやすくなります。やはり日本人の好みと中国人の好みは違うため、そのようなものがノウハウになっていくと考えています。

坂本:リフォームの仕方も、中国人が多く住んでいるエリアだと、そちらが好むようなリフォームを行って販売することもありますか?

藤田:日本人は世田谷などの静かなところが好きです。しかし中国人は、新宿など、下にコンビニが入っているほうが人の流れがいいなど、価値観が違います。中国人にはそれがバシッとハマるのがおもしろいです。日本人が好まないものは安く買えるため、適正な値段で販売ができるのがよいかたちだと思います。

不動産買取再販事業の特色<営業体制>

藤田:営業体制です。スライド左側は当社の特徴となっています。スライド右側の他社では、仕入(アクイジション)部隊と販売部隊に分かれていますが、当社は営業担当1人が、コントローラーとして仕入から企画、工事、販売までを行っています。

したがって、最初に販売価格を決め、そこから2割程度の利益を取ります。「工事代はこのくらいかかるよね」と、バックキャスティングしながら仕入価格を決めていくようにしています。

それにより1件1件の利益管理がしやすくなるため、こちらをコントローラーとして行っています。

増井麻里子氏(以下、増井):営業一貫責任体制は、例えば1年目の新人の方でもできるのですか?

藤田:新人にしてもらうようにしており、それが当社の魅力となっています。金額ごとに3,000万円までは主任が、5,000万円や1億円であれば課長や部長が一緒につくかたちです。

物件の情報は新卒の社員もどんどん拾ってきます。今年入社した新卒の中には、すでに多くの物件を購入できている社員もいます。そうすると、どんどんマインドが上がってくるため、早く育ちます。

これまで研修期間は1ヶ月から2ヶ月でしたが、今年は半年近くかけています。研修期間中も、両方行っていくとだんだんおもしろくなって、購入できるようになります。

増井:その研修は御社の中で行うのでしょうか?

藤田:当社の中で行っています。

不動産買取再販事業の特色<幅広いアセットタイプ>

藤田:幅広いアセットタイプです。当社は、区分所有マンションのワンルームから一棟オフィスビル、一棟賃貸マンションを仕入れています。

金融機関が50個程度あるため、地域性や価格帯、種類によって銀行の借入ができ、このような物件を仕入れることができます。

また、ノウハウがたまっていくため、いろいろな種類の物件を扱うことができます。

不動産開発事業・不動産特定共同事業

藤田:不動産開発事業と不動産特定共同事業です。当社は中古不動産のみを扱っているのですが、そこから出た古い家がついている土地などをどのように活かすかということで、不動産開発事業を行っています。

当社は中古物件を扱っていますので、その経験から、中古になった時にも価値を出すことができるよう、ペットが共存できるマンションや、LEDや再生可能エネルギーを使用する物件などを作っています。ただし、今は建築の工事代金が相当上がっていますので、状況を見ながら時間をかけて行っており、数も少なくしています。

不動産特定共同事業は、今まで1,000万円、2,000万円のような大きい金額でしか不動産が買えなかったところを小口化し、1口100万円から販売することができます。それにより、不動産投資の裾野を増やしていきます。

スライド右下にあるように、ファンディング会社から実物の不動産を購入していただける方を増やしていくため、本事業を行っています。

首都圏中古不動産流通市場の動向

藤田:首都圏中古不動産流通市場の動向です。濃い青色のグラフでお示ししているとおり、中古マンションがどんどん増えてきています。

2021年から2022年は多少減っていますが、流通量自体は増加傾向にあります。今は新築が建てにくく、新築は1年経てばすべて中古物件となります。そのため、順調に増えていくだろうと思っています。

首都圏マンション市場の動向 中古 vs. 新築

藤田:成約件数は、中古マンションが新築マンションを追い抜いたかたちになっています。

坂本:中古マンションは好調だと思いますが、今後もこの状況は続くのでしょうか? 御社の見通しで構いませんので、教えてください。

藤田:居住用と投資用で分けて考える必要があります。居住用の場合、駅から多少離れた物件は売りづらくなり、売買の動きが緩くなると思います。

ただし、首都圏の都心部は未だにそれほど落ちていません。天井をずっと這っているような状態です。当社も高額物件として、成城にある5億円の注文住宅などを扱っていますが、引き合いがけっこうあります。そのため、富裕層の方と一般の方の違いが相当出てきていると思っています。

坂本:金額の上昇については、物件を選べば問題なく動く状況にあるということでしょうか?

藤田:おっしゃるとおりです。投資用はずっとよいかたちです。新築が買えないので、賃貸に回る方もいらっしゃいます。居住用に関しても同様です。ビルは多少余っている状態と出ていますが、それほど影響はないと見ています。

この1年、2年はそれほど金利の影響もありません。今までならば100パーセントで借入するところを、7割くらいで抑えていますので、例え金利が0.5パーセント上がったとしても、それほど影響はないと考えています。

第2次中期経営計画 基本方針と重点施策

藤田:第2次中期経営計画です。当社は事業戦略と経営基盤の強化のため、4点の基本方針を挙げ、それを元に重点施策を打ち出しています。

まず、「主力事業の拡大」です。不動産買取再販事業により中古不動産をさらに拡大し、投資用不動産を増やすことで賃貸事業も業績を上げていくかたちとなっています。

それだけではなく、「成長事業の拡大・強化」の施策として、不動産開発事業では、中古になった時によい物件を作ります。そして、不特事業では、不動産投資の裾野を広げていく体制を構築しています。

そのために必要となるのが、「人材の採用・拡大と育成」です。毎年100名近くを採用しています。現在は新卒を50名から60名採用し、さらに中途採用の人材を加えるかたちで積極的に増員しています。

ただし、人だけを増やしてもうまくいきませんので、しっかりと「ガバナンス強化」を実施しています。1つ1つの物件の金額が大きいため、みなさまにご迷惑をかけることなく、きちんとしたものを提供できるよう、ガバナンスを強化していきます。

そして、「DX戦略」です。当社もデータとして情報を扱いますが、不動産価格をAI化することはなかなか難しいと考えています。そのため、より早く情報を出すことができるかたちで活用していこうと考えています。

続いて、「資本効率の改善」です。当社の場合、何かがあった時のために現金を多く取っていますが、ROEなどの改善についてしっかりと考えていくようにしています。

「株主還元の強化」については、後ほど詳しいお話をしますが、この部分を整え、ステークホルダーの方にもきちんと恩返しをしていきます。

サステナビリティは、企業として儲け続けながら、継続していくことが必要だと考えています。

第2次中期経営計画 連結数値目標

藤田:数値目標は7月18日に修正しました。今年も調子がよく、他の業者と同様、我が社も利益が多く出ています。利益を取ることができれば、トップラインはある程度抑えてもよいと考えており、利益を重視するかたちで進めます。

2023年12月期の取り組み状況<不動産買取再販事業>

藤田:今期の取り組みである、エリア特化型の営業所展開です。東京近辺に5ヶ所増やしたことで、東京での展開は大体終わったと考えています。プラスアルファで西日本への進出を検討しています。

坂本:関西への進出ということですが、大阪にも相当数のエリアがあります。首都圏のように営業所をいくつか作るイメージでしょうか?

藤田:今は大阪に営業所を出し、京都や神戸の物件も見に行っています。物件数がある程度増えたら営業所を分けていきます。そのような中、問題となるのは工事業者です。安心してお任せできるかが重要ですので、お任せできる工事業者を探し、見つけられたときにきちんと増やしていきます。

現地採用についても、東京から2名派遣していましたが、今は現地採用により10名くらいの体制になっています。おかげさまで、東京の会社であっても入っていただくことができています。人数はますます増やしていけるだろうと考えています。

坂本:将来はリフォーム会社も御社の自前で関西に持っていくこともお考えでしょうか?

藤田:そのようにできればありがたいですが、今は協力会社を積極的に増やしていこうと考えています。

工事担当も採用しています。先日も大阪へ行き、懇親会を開きながら状況などを確認してきました。安心して任せられる人に入っていただけたと思っています。

坂本:不動産マーケットについて、物件数の動きを考えると次は福岡になるかと思っています。福岡への進出もお考えでしょうか?

藤田:おっしゃるとおりです。先日発表しましたが、すでに福岡と名古屋、そして札幌に店舗を準備し、支店長も配置しています。これからますます進出していきます。

元々東京にしか拠点がなかったため、離れた地域の人材を教育する難しさがありました。しかし、大阪営業所を作った経験から「このようにすればできるだろう」というかたちができあがりましたので、一挙に攻めていくかたちです。

坂本:それでは、全国展開を積極的に攻めるということですね?

藤田:そうですね。

坂本:イメージとしてのお話で構いませんが、福岡と札幌、そして名古屋ができあがる時期は、どのくらいをお考えでしょうか?

藤田:店舗自体については、来年早々からご報告できると思いますが、そこから買取し、内装を仕上げ、売上を出すとなると、やはり早くても来年の後半くらいになるだろうと考えています。そのあたりの目標値などについては、これから取り組むところです。

坂本:成長のイメージがわきました。

藤田:販売するだけではなく販売強化の取り組みとして、仲介会社向けに新しい物件の情報を提供するサイトを裏側に作っています。当社では「マーズ」と呼んでおり、会員数も1万社以上まで増えています。

スライド右下に記載しているように、現在営業人員を増やしています。2024年に向けて人数を増やすため、積極的に新卒を採用しています。

2023年12月期の取り組み状況 <不動産開発事業/不動産特定共同事業>

藤田:不動産開発事業と不動産特定共同事業です。不動産開発事業については建築費が相当高くなっています。とはいえ、今まで取り扱ってこなかったおもしろい部分です。いろいろな方に提供できるものに取り組んでいて、反応もけっこうよいので、少しずつ進めていきます。来年、再来年にはある程度の規模の物件も出来上がりますので、そちらを販売していきます。

坂本:不動産特定共同事業のプロジェクトに参加されたお客さまは御社とのつながりができると思います。セールスして、再販できる流れはすでにできているのでしょうか?

藤田:正直なところ、まだそこまではできていません。現在のお客さまは、資産運用を目的とした「とりあえずやってみよう」という方です。そのためまだ額は小さくなっています。そのため、来年くらいからまた違うものを販売していこうと考えています。

坂本:そこにつながれば、またチャネルが増えますね。

2023年12月期の取り組み <株主還元>

藤田:今年の株主還元です。配当政策の基本方針を30パーセント以上から、40パーセント以上に変更しました。配当方針の変更により、株主優待制度は平等性・公平性の観点から廃止しました。配当予想修正としては増配し、40パーセント以上のため43円にする予定です。

増井:配当方針を40パーセント以上と、「以上」を付けて掲げている企業はあまりないと思います。これは40パーセント以上の配当性向が続いていく可能性があるということでしょうか?

藤田:こちらは50パーセントになるという意味ではなく、どうしても40.4パーセントなどの細かい数字が出てしまうので40パーセント以上としています。

当社は仕入のために現金を置いていますが、あまりにも現金が多すぎると、下がってしまう場合もあります。そのあたりのバランスと、安全性を保ちながら、どのようにしていくかが課題だと考えています。そこの部分を配当に回し、みなさまにも還元していくかたちがよいかと考えました。また、当社には持株会がありますので、社員にも配当があります。このような取り組みが重要であると思っています。

2023年12月期の取り組み <サステナビリティ>

藤田:サステナビリティは、企業が存続していくために必要なものです。SDGsによる資金調達については、なるべく不動産の紐づけでない借入金に対して、いろいろな銀行に提供していただき、その一部を寄付しています。

社内の取り組みとして、「くるみんマーク」を取得しました。さらに「プラチナくるみん」の取得を目指して積極的に取り組んでいます。

さらに、スライド右下に記載しているように、管理職向け「女性活躍推進」講演会を実施しています。人口の半分が女性となった場合、女性に活躍してもらわないと、男性だけでは成立しなくなっていきます。そのため、ジェンダーフリーなど、女性がどのように活躍できるのかを考える必要があります。

当社はまだジェンダーフリーの前段階のレベルですので、外部の有識者の方に講演していただき、まずは上級管理職に理解してもらおうという取り組みです。ただし、今は新卒の約半分が女性のため、課長職に就く女性も増えています。理解が進めば、ジェンダーフリーが一気に進み、性別に関係なく有能な人が昇進していく体制ができると考えています。

2023年度12月期2Q実績

藤田:第2四半期の実績です。業績予想を修正し、進捗率は約75パーセントと大体よいかたちになっており、現在も順調に進んでいます。

第2次中期経営計画の達成に向けて①

藤田:計画の達成に向けて、人材採用、育成強化とともに、当社は製造業ではありませんので、きちんと仕入を実施することにより在庫を増やしていきます。

坂本:投資用不動産が横ばいで、居住用不動産が増えているお話は冒頭にうかがいましたが、居住用不動産の積み上がりは回転が鈍っているのでしょうか? もしくは、新規出店された経緯もありますので、人員を増やしているために在庫が増えているのでしょうか? 

藤田:営業所を増やしたことにより、仕入在庫を増やしています。回転率も、投資用と居住用を分けています。居住用の方は空ですので、なるべく8ヶ月で売り切るよう、チェックを積極的に進めながら販売しています。もし販売できなかった場合は、1回社内的に損切りし、評価してしまいます。

金利をかけてこれだけ利益がないと、マイナスの評価をします。当社はこのような厳しいシステムにしているため、それまでに売り切ります。販売できなかった場合は、違う部署で対応します。不動産業は少し変わっていて、担当を替えると売れることがあるため、そのような取り組みをしています。

投資用の場合は家賃が入りますので多少緩めにしており、1年半くらい時間をかけて在庫をコントロールして不良在庫を少なくするシステムを作っています。

坂本:居住用の物件は、中に賃貸が付いているものは扱わないようにしていますか?

藤田:そのとおりです。賃貸の場合は投資用としてカウントします。

坂本:それでは居住用は、基本的に実需の方が買うかたちになっているのですか?

藤田:そのとおりです。

坂本:中にはそれを投資用に回す方もいますか?

藤田:回す方もいらっしゃいます。

坂本:御社の今後の成長ポイントに、人材があると思いますが、先ほどのお話では「教育システムで成長させる」ということでしたので、採用も含めてもう少し人材について教えてください。

藤田:人材について、普通は人事部が管理すると思いますが、当社は人事部とは別に人材開発部を作りました。人材開発部は、不動産の買取再販営業に特化した部隊です。新卒は1度人材開発部に配属し、徹底的に教育していくことになっています。

中途採用の人たちには別個の機会を作って丁寧に研修し、早く慣れてもらうようにしています。当社の場合は同業から移られる方も多いのですが、まったく違う分野からくる方もいます。例えば、自動販売機の営業出身の方など、いろいろな方がいます。当社はそのような方の普通の目線を大事にしています。

当社で扱っている物件は普通の物件ですので、その方に欲しいと思うかを判断してもらいます。プロ目線で「ここの価格はこうだよね」ではなく、お客様の立場に立てる方のほうが早く成長します。違う商品を売ることができる方は、不動産も売ることができるケースが多いですので、そのようなところで工夫しています。そうすると、同業以外の一般の方が増えてきます。

また、開発長やマネージャー職の教育が非常に大変ですので、それには外部の力を使っています。今は全国展開しているところですので、それに合った人材活用のできる人事部長に他から入っていただいています。

第2次中期経営計画の達成に向けて②

藤田:計画達成に向けて名古屋営業所と福岡営業所の開設を予定しています。そして、現在は札幌営業所の開設準備をしています。来年度には開設して、そこから仕入を行うと、年末くらいには1号機と2号機が売れる状態になっていくと考えています。

IR・SRサイトのご紹介

藤田:IR・SRサイトのご紹介です。社員が力を入れて、サイトのランキングなどをとっていますので、ぜひ見ていただきたいと思います。よろしくお願いします。

以上でご説明を終わります。

質疑応答:中古不動産の価格高騰と今後の事業環境の見通しについて

坂本:「御社の取り扱う中古不動産の価格も高騰していますか? 今後の事業環境の見通しを教えてください」というご質問です。私がすでに質問してしまった部分もありますが、補足等があれば教えてください。

藤田:投資用不動産に関しては、場所によって区別がありますが、だいぶ高止まりしているイメージです。当社は工夫をこらし、他の会社ではできないような物件を仕入れ、どのようにしたら価値が上がるかに注力しています。そのために、大手だけでなく、地場の業者のところも歩き回って情報を仕入れ、物件を購入しています。

例えば、普通の会社だと2割から3割しか埋まっていない物件は、なかなか融資が使えなかったり買えなかったりします。

そのような物件は競合が少なくなりますので、そこを狙って、半年で7割埋める企画などを行っています。具体的には、フジホームの子会社に埋めていく部隊があり、そこが実施していくこととなります。

居住用に関しては、戸建の業界も少しずつ大変な状態になってきているため、駅から近いなどの差別化ができる物件を見つけていく必要があると思います。場所を考慮し、例えばこれから伸びる路線などの好条件をよく検討してから購入すれば大丈夫だと思っています。

質疑応答:M&Aの計画と営業所増設以外の取り組みについて

坂本:「M&Aの計画があれば教えてください。また、営業所を増やす以外の新規事業の構想があればお話できる範囲で教えてください」というご質問です。

藤田:M&Aなどもなかなか難しいと考えています。当社はバーチャルインテリアのカラーアンドデコに投資しており、そのようなものがあれば実施していこうと思っています。

私は今年の3月まで慶應義塾大学大学院にMBAを取りにいっていました。そこではベンチャーのいろいろなお話を聞くこともあり、そのような人脈を使いながら、できるものがあれば積極的に取り組んでいきたいと考えています。

私はもともとIT系で、大塚商会というコンピューターの会社に勤めていました。そのため、自分でパソコンやネットワークくらいは作ることができます。そのようなものを会社のシステムに少し組み込んでいるため、これからも入れられるものは入れたいと思います。

また、情報をいかに早く取れるかが重要だと考えていますので、そのようなものには投資していきたいと考えています。

質疑応答:プライム市場を目指すことについて

坂本:「スタンダード市場の選択をされましたが、プライム市場を目指す考えはありますか?」というご質問です。

藤田:第2次中期経営計画にも出していますが、再度プライム市場に向けて展開していこうと考えています。安定してスタンダード市場で準備を進めるために、今回市場替えをしました。TCFDなどいろいろと対応しなくてはならない部分に取り組みながら、再度プライム市場を目指そうと考えています。

質疑応答:大口案件の営業活動について

坂本:「大口の案件で社長自身が営業活動することはありますか?」というご質問です。先ほど中国に行くというお話をいただきましたので、そちらも含めお願いします。

藤田:仲介業者と会うことはありますが、私自身は物件を扱わないようにしています。情報はいただきますが、販売推進部という社員の評価が個人評価にならない部隊に専属でその情報をどんどん持っていき、料理してもらうようにしています。

私が行ってしまうと、すべて私のところに物件がきてしまい、社員の食い扶持がなくなってしまいますので、営業活動は販売推進部で行うかたちにしています。

質疑応答:採用後の定着率について

坂本:「採用について、地方で現地の方も採用できているというお話でしたが、定着率はいかがでしょうか?」というご質問です。

藤田:離職率はおおよそ10パーセント弱くらいです。

坂本:この業界ではかなり低いですね。

藤田:そのとおりです。不動産業の離職率は、おおよそ14パーセントくらいだと思います。それよりは低くなっています。

今回理念も作り直しましたが、入社前からきちんとコミュニケーションの取れる方を大事にしており、みんなと協業できるのがよいと思っています。それでも合わない方がどうしても出てしまうのは仕方がないことで、それは残念だと思っています。

坂本:仕入から売却まで一貫して体験できるところは、御社のおもしろさだと思います。

藤田:新卒でも、先輩とセットにはなりますが、個人では扱えない10億円、20億円の物件を買うことができます。そのようなおもしろみはあると思います。

坂本:私が住んでいる家の上の階の物件を御社が取り扱っているのですが、1日から2日くらいで承諾書を入れています。2日くらいお渡しするのが遅れると確認にきていましたので、時間の観念を大事にされているのだと感じました。早くリフォームすれば、そのぶん出来上がりも早まるので、そのあたりを非常に徹底していると思いました。

藤田:おっしゃるとおりです。時間の管理は重要視しています。

質疑応答:インボイスの影響について

坂本:「不動産買取再販事業について、インボイスの影響はありますか? 個人からの仕入の難易度は上がる気がしますが、どのような現状ですか?」というご質問です。

藤田:それはあまり影響がないと考えています。

坂本:おそらく不動産業の中でも、個人の仕入には特に影響がないですよね。

藤田:工事業者などには影響があると思います。

坂本:小さい会社などですか?

藤田:今出ている問題は、小さな会社のことだと思います。

坂本:例えば、一人親方などですか?

藤田:おっしゃるとおりです。そこの部分は、すでに適切に取り組んでいます。そのため、問題はないと思います。それよりも工事費が上がったことのほうが、インボイス以上に大変です。

坂本:工事費は非常に高いですね。私も自分の店舗などを持っているためよく要望を出すのですが、壁紙なども驚くほど高いです。

藤田:3倍になっています。

坂本:数年で3倍とは本当に驚きます。そこは販売価格の上昇に、ある程度乗る感じですか?

藤田:そのとおりです。ある程度で限界がくると思いますので、どのように低い価格で買うかが難しいところです。

坂本:特に不動産買取再販事業では、新築の値段が上がっているため、そこの部分も上がりますか?

藤田:おっしゃるとおりです。

質疑応答:地方展開でのPRについて

坂本:「地方に展開する際、現地で浸透する工夫や顧客獲得の宣伝はどのようにPRしていますか?」というご質問です。顧客獲得はどちらかというと仲介業者の営業の範疇だと思いますが、「Win-Winで」というお話もありましたので、御社が取り組まれている工夫を含め、補足等があれば教えてください。

藤田:銀行系や財閥系の不動産会社のネットワークというものは、東京の上司の方に紹介していただくのが一番早いです。そうすると、地方でもすんなりと入ることができます。

また、地べたをきちんと回ることが大切です。営業職の人たちですので、自分で見つけていくことが重要です。最初はムゲンエステートの名前を知らなくても、ある程度回りはじめるとすぐに覚えていただけます。みんな非常によく回ってくれています。

質疑応答:中国の不動産バブル崩壊の影響について

坂本:「中国の不動産バブル崩壊の噂を耳にしますが、日本への影響はいかがですか?」というご質問です。中国人投資家が「中国は駄目だから日本に買いに行ってみよう」「中国で損したから日本に売りに行く」など、現在の状況がわかる何かがあれば教えてください。

藤田:中国の不動産バブル崩壊は、当社にはそれほど関係ないのではないかと思っています。当社は本当の富裕層の方たちを対象としており、その影響を受けない方が買っています。中国の人口は10億人と数がぜんぜん違いますので、富裕層も10倍ではきかないほどいらっしゃいます。

そのような方々を確実に押さえるにはノウハウ的なものが必要となり、それを紹介していただける強い仲介業者と取引しています。また、中国本土だけではなく、台湾やシンガポールなどの需要もあります。

ただし、その部分を増やすよりも、やはり日本の方に買っていただきたいため、そこもきちんと丁寧に商売していくのがよいと思っています。

坂本:確かに円安の魅力があるとは言われてはいますね。

質疑応答:地方進出の際の仲介業者の選び方について

増井:地方進出について、先ほど工事業者を確保するのが重要というお話でしたが、仲介業者はどのように選んでいますか?

藤田:銀行系などの仲介業者は、東京に本社がある場合、他の支店の上の方を紹介していただき一斉に回っていきます。大手であればネットワークもあります。

増井:ネットワークがあるのですね。

藤田:私自身も業界団体にいろいろと入っていますので、そこで「今度出しますのでお願いします」とご挨拶に行くと展開が早いです。

坂本:地場の大きなところは、直接行くということですか?

藤田:そのとおりです。私は青年会議所(JC)にも所属していましたので、地元の先輩にご挨拶に行くと、すぐに情報をいただけます。今も同様で「もうすぐ出す」と公表すると、お話が私のところにくるため、それを社員に振っていくというかたちにしています。

増井:社長の人脈が非常に効いているのですね。

坂本:最初のうちは人脈が肝ということですか?

藤田:おっしゃるとおりです。

また、当社を辞めて地方に戻った元社員などもいて、会いに行くこともあります。「この会社、嫌だな」という理由で辞めているわけではないため、助かっています。離職率の話にもつながりますが、残念ながらどうしても合わない場合ももちろんあります。そのため、退職後も会うことのできる関係はありがたいと思います。

坂本:御社を辞める方は仲介業者になる場合と、自分1人で売っていく場合のどちらが多いですか?

藤田:独立の方もいますし、同業に行く方もいます。いろいろなタイプがあって、それでよいと思います。

坂本:縁が続いていけばよいですね。

藤田:当社の社員だった人は非常に優秀だというのが一番よいことだと思っているため、それを輩出するのが大事だと考えています。

藤田氏からのご挨拶

藤田:本日はお忙しい中ご視聴いただき、誠にありがとうございます。不動産業は波がある世界ですので、みなさまは投資しづらい部分があると思いますが、当社は金融機関で言いますと信用金庫と今でもお付き合いするなど、長きにわたって地道に活動している会社です。また赤字も長らく出していません。そのあたりも含め、ぜひ投資して信頼性を見ていただきたいと思います。これからも応援をよろしくお願いします。