2023年3月期決算説明
志水雄一郎氏:みなさま、こんにちは。フォースタートアップス代表の志水でございます。本日はご参集いただき誠にありがとうございます。ただいまより、2023年3月期通期決算説明会を開催いたします。
Misson Vision Value
2023年3月期も非常に多くの日本を代表する起業家・投資家のみなさまに、当社のオフィスにお集まりいただき、社員向けの勉強会を開催していただきました。
みなさまとともに、当社はMissionを「(共に)進化の中心へ」、Visionとして社名同様「for Startups」を掲げ、私たちメンバーは「Startups First」 「Be a Talent 」「The Team」という3つのValueを胸に秘め、日本の未来、新産業創出のために活動しています。
Agenda
本日のアジェンダです。2023年3月期通期業績と中長期の経営戦略の2つに絞ってお話しします。
2023年3月期 キーメッセージ
2023年3月期通期業績からお話しします。2023年3月期は厳しい事業環境の中、過去最高の業績を達成しています。
エグゼクティブサマリー
エグゼクティブサマリーとして、それぞれ前期比でまとめています。2023年3月期通期業績は売上高が29.9億円、前期比27.7パーセントの成長です。営業利益は5.8億円、前期比19.8パーセントの成長で着地しています。
過年度決算訂正もありましたが、結果としては、当初予算および2023年1月20日に開示した修正予想を上回る着地で終えています。また、2022年3月期に課題であった社員数の純増に関しては、2023年3月期末時点で166名体制となり、51名の純増で期初目標を達成しています。
各事業に目を向けると、タレントエージェンシーの売上高は26.6億円、前期比プラス23.5パーセントの成長を果たしています。オープンイノベーションも売上高3.3億円、前期比プラス74.2パーセントの成長です。
決算ハイライト
決算ハイライトです。各指標で過去最高の実績を示しています。
営業利益増減分析
営業利益の増減分析です。2022年3月期の営業利益は4億8,800万円でした。2023年3月期は51名の人材採用を行ってきましたが、その結果、規模は1.5倍に拡大し、人件費は3億3,900万円増加しています。
粗利益の増益幅は、タレントエージェンシーが4億6,500万円、オープンイノベーションが1億1,700万円と2つの事業が全体を牽引した結果、販売管理費を大きく上回り、結果として2023年3月期の営業利益は5億8,500万円となりました。
【全社】売上高-四半期推移
全社の売上高の四半期推移です。2023年3月期第4四半期の売上高は過去最高を示しています。
【全社】受注高-四半期推移
受注高の四半期推移です。2023年3月期第4四半期も高水準で推移しています。もう一段上の受注高の達成を目指していきたいと考えています。
【全社】人材確保目標に対する進捗
採用についてです。2023年3月期末日時点で166名体制となり、期初目標の50名純増を達成した大変素晴らしい1年間だったと考えています。
【タレントエージェンシー】売上高の推移
各事業についてお話しします。まずはタレントエージェンシーサービスの売上高の推移です。第4四半期の売上高は6億6,300万円で着地しています。成功報酬型の人材紹介サービスの売上高としては過去最高となりました。ただし、コンサルティングサービスは外部環境の影響もあり厳しい第4四半期となりました。
【タレントエージェンシー】人材紹介取引数と単価の推移
人材紹介取引数と単価の推移です。紹介取引数は過去最大レベルで推移し、単価は2023年3月期第1四半期と同水準まで低下しています。
【タレントエージェンシー】決定年収比率の推移
決定年収比率の推移です。第3四半期はハイレイヤー人材の支援比率が非常に高くなりました。第4四半期は第1四半期と同水準までハイレイヤー人材の比率が下がっていますが、ミドル層の支援が増えている状況です。
1年間を通して見ると、2022年3月期からはハイレイヤー人材の支援比率が大幅に向上した1年となりました。
【タレントエージェンシー】スタートアップの成長戦略に合う人材支援
具体的な支援事例をご紹介します。スライドは昨年12月以降、当社のホームページで紹介している具体的な事例です。
左側上段のカケハシ社は、合計資金調達金額が150億円と非常に競争力のあるスタートアップで、社員の4分の1となる70名を当社経由でご入社されています。現在は人材と資金を組み合わせたハイブリッドキャピタルでご支援しています。
左側下段のタイミー社は、合計資金調達金額272億円のスタートアップです。こちらもCFOをはじめとして社員の5分の1となる累計65名を当社よりご支援しています。
右側の2社は、当社のご支援を通じて結果として上場した企業です。上段のセーフィー社は部門長クラス6名をはじめ、計30名を支援しました。下段のココナラ社は現CEOである鈴木歩さまをはじめ、マネージャーの半数が当社経由でご入社されています。
引き続き、このような事例をホームページなどでご紹介していきます。決算説明の場などでもお話しさせていただければと思います。
【タレントエージェンシー】CxO・ハイレイヤー人材の支援実績
CxO・ハイレイヤー人材の支援実績です。スライド左側はEVANGE(エヴァンジェ)で、当社がご支援したCxO・経営幹部層の具体的な事例をご紹介しているオウンドメディアです。BASE社のCOO、ココナラ社のCEO、SmartHR社のCOO、ispace社のCFOなど、当社がなし得てきたさまざまなハイレイヤーの方々のご支援の事例を紹介しています。
右側は「HEROES(ヒーローズ)」です。こちらのオウンドメディアでは、エンジニア、CTO、VPoE(Vice President of Engineering)、エンジニアリングマネージャーといったハイレイヤーのエンジニアの方々の支援事例をご紹介しています。ぜひご参考にしていただければと思います。
【オープンイノベーション】売上高の推移
オープンイノベーションの売上高の推移です。「STARTUP DB(スタートアップデータベース)」が会員数を大きく伸ばした結果、売上高は前年比で2倍に拡大しています。また、スタートアップ支援が国策となる中、「Public Affairs」の売上の多くが第4四半期に計上され、前年比で増収となっています。
【オープンイノベーション】STARTUP DB
2018年よりスタートした「STARTUP DB」は、現時点で1万7,000社以上のスタートアップ情報を集約した国内最大級の情報プラットフォームに成長しています。金融機関や政府・公共団体など、さまざまな方にご利用いただいています。
【オープンイノベーション】STARTUP DBを活用した情報発信強化
「STARTUP DB」を活用した情報発信をさらに強化しています。特に、1989年と2023年を比較した世界時価総額ランキングは、多くのメディアで活用いただきました。本当にありがとうございました。
【オープンイノベーション】Public Affairs 実績
オープンイノベーションにおける「Public Affairs」の実績です。スタートアップ・エコシステム拠点構想に基づき、8拠点のうち4拠点において当社がアクセラレーションプログラム等の支援をしています。
【オープンイノベーション】資金調達支援 実績
資金調達支援の実績の1つをご紹介します。エムスリー社とWizWe社の2社の資本業務提携を、当社で支援しました。
【ベンチャーキャピタル】2023年3月期にて3社に投資
フォースタートアップスキャピタルの今年度の実績です。2023年3月期は、READYFOR社、ポケトーク社、カケハシ社の3社に出資を行い、現在までに計5社へ支援しています。
【ベンチャーキャピタル】2023年3月期にて3社に投資
3社の概要ならびに支援内容をスライドにまとめました。ぜひご確認ください。
2024年3月期 キーメッセージ
中長期の経営戦略についてお話しします。まずは、キーメッセージです。2024年3月期は「中長期の成長にフォーカスした『未来を育む種まきの1年』」としました。
サマリー
サマリーです。2024年3月期業績見通しは、スタートアップ「冬の時代」ではあるものの、中長期の成長にフォーカスして「未来を育む種まきの1年」とします。今年度は、売上高33億円、営業利益3.3億円を目指し、増収減益の計画です。
それぞれの事業について、ご説明します。今期のタレントエージェンシーは、顧客層の拡大を考えています。また、新たに入社した方々の成長に寄与するため、育成も集中的に進めます。
オープンイノベーションは「STARTUP DB」を中核として、広告宣伝に投資を進め、オープンイノベーション事業全体のシナジー向上に努める1年にします。
中長期の方針については、現在の状況を踏まえ、2025年の3月期の売上高目標50億円を2026年3月期に繰り延べる計画としています。2025年の3月期以降は、営業利益率15パーセント程度を原則とし、タレントエージェンシーではPre-IPOマーケットでの人材紹介で圧倒的No.1を目指し、オープンイノベーションではシナジー創出による成長に挑戦していきます。
【スタートアップを取り巻く環境】資金調達市場の動向
現在のスタートアップを取り巻く、資金調達市場についてご紹介します。2021年と2022年を比較すると、資金調達市場のエクイティは微増、デッドのファイナンスは倍に拡大しました。
額面では非常に競争力のある2022年でしたが、スタートアップがランウェイを何ヶ月分のコストとして考えているかが変わっていきました。2022年の上期までは、12ヶ月分のコストとして資金調達を行っていましたが、2022年の下期からは、24ヶ月分のコストとして資金調達をしています。つまり、人材採用にかけるコストが2分の1程度まで減少する可能性があるということです。
スライド右端のグラフは、2023年1月から3月の資金調達市場の状況です。2022年の同四半期と比較して、資金調達額が30パーセント減少しており、4月に入っても同じようなトレンドではないかと見ています。30パーセント減という市場の中で、私たちは工夫して戦わなければならないと認識しています。
24年3月期 営業利益計画の分解
そのような環境を踏まえて、2024年3月期の営業利益計画の分解をします。2023年の3月期の営業利益の実績は5億8,500万円でした。2023年3月期に採用された方々、ならびに4月入社の新卒メンバー分として、人件費が4億1,100万円増加しています。
本来ならば、タレントエージェンシーならびにオープンイノベーションの粗利益増益分を大きく伸ばせる1年であればベストでしたが、現在の市況下では2事業合わせて2億円くらいと考えています。これらを組み合わせた結果、2024年の3月期の実績は、営業利益3億3,000万円の着地を見込んでいます。
【外部環境】日本の国家戦略としての重要な柱『スタートアップ支援』
厳しい現況ではありますが、私たちにも希望の光はあります。それは、スタートアップ支援が国策ということです。年末に、2022年度の補正予算で1兆円規模の予算がスタートアップに向けて作られました。現在は随時、政策として実行されています。
ただし、資金は民間まで下りてきている状況ではありません。こちらをしっかりとターゲティングし、自社の施策に落とし込んでいければと考えています。
また、「スタートアップ育成5か年計画」が発表されました。3本の柱である、人・お金・オープンイノベーションは、まさしく当社の3事業です。国策としての政策をしっかり捉えて、当社の成長に繋げていければと考えています。
さらに、5年後の2027年には、国家としてスタートアップの投資額を10兆円規模まで拡大する目標を掲げています。政府が推進し、民間とも連動してこの数字を作り上げていくような4年間となるだろうと考えています。現況のさらなる追い風になると考えていますので、当社もしっかりと捉えて成長していきます。
2024年3月期 フォースタートアップスの支援領域
2024年3月期の当社の支援領域についてです。政府のスタートアップ支援に関する各種施策に基づき、付加価値・利益率が高いヒトの支援領域にリソースを集中投下します。これにより、Pre-IPOマーケットにおける人材紹介シェアで「圧倒的No.1」を目指す1年にしていきます。
【タレントエージェンシー】Pre-IPOスタートアップの顧客拡大
投資について3点お話しします。1つ目はタレントエージェンシーにおける営業戦略です。現在まで当社の集中した営業戦略により、レイター・IPOを迎えられる企業群、いわゆるユニコーン・Nextユニコーンと呼ばれる企業群が当社の既存のお客さまとなっていました。
今年度は、新たにNextユニコーン予備軍としてアーリーからミドル領域の企業群を新規に開拓します。このような企業群は来年、再来年にさらなる成長を果たし、ユニコーン・Nextユニコーンとなれるよう、アーリー・ミドルからハイレイヤーゾーンまで支援していく1年にしたいと考えています。
【タレントエージェンシー】人材育成の強化
2つ目の投資ポイントは人材育成の強化です。当社に入社している方々、タレントエージェンシーに所属している方々それぞれにおいて、入社後2年未満の割合が64パーセントまで拡大しています。
当社のタレントエージェンシーという事業は簡単なものではありません。日本を代表する起業家・投資家の経営課題を解決し、さらに日本を代表するハイタレントの方々の未来を支援する難しい仕事です。
つまり経験を積むことが重要だと考えており、実際に経験年数の高いメンバーほど生産性も高くなっています。今年度は、若くて力のある仲間をしっかりと育成し、生産性の高い組織に成長させる1年にしていきます。
【オープンイノベーション】STARTUP DBへの投資
3つ目は「STARTUP DB」への投資です。「STARTUP DB」をハブとする事業展開を見据えた投資を実行します。「STARTUP DB」については、大企業・CVC会員の獲得に向けた広告投資を拡大していきます。
カンファレンスについては、海外投資家との接点を拡大し、国内外の投資家を集めた日本のシンボルカンファレンスへの成長を見据えています。
資金調達支援については、大企業とスタートアップを繋ぐ資金調達、ならびに海外機関投資家と日本のスタートアップを繋ぐグローバルオファリングなどにより、高い収益性を持った事業に育てていきます。
成長産業支援のシナジーを創出するビジネスモデル
創業時、データドリブンなハイブリッドキャピタルで、日本の再成長を実現するというテーマを掲げ、当社を立ち上げました。現在の事業を組み合わせながらさらに研ぎ澄ませていくことで、日本を代表する最高峰の総合スタートアップ支援会社として今後も成長していきたいと考えています。
【全社】中期業績目標
中期業績目標についてです。スタートアップを取り巻く直近の環境を踏まえ、目標を修正しました。2026年3月期の連結売上高は50億円を目指しています。また、2025年の3月期以降は営業利益率15パーセント程度を原則とします。それ以上に利益が出るモデルであると認識していますが、その利益分を翌年以降のさらなる売上高成長のために投資したいと考えています。
現時点における2025年3月期の目標は、売上高40億円から45億円、営業利益は6億円から6億7,000万円を計画しています。
2026年3月期の売上高は50億円から55億円、営業利益は7億5,000万円から8億2,000万円を目指しています。
for Startups
我々はこれまでと変わらず、「世界で勝てる成長産業・成長企業を日本から生み出す。」というこのテーマを力強く推進していきます。ご説明は以上です。