目次

若山健彦氏(以下、若山):みなさま、こんばんは。ミナトホールディングス株式会社代表取締役の若山健彦でございます。ご多用のところ、ご視聴いただきまして誠にありがとうございます。

本日はまず、我々が初めて発表する「中期経営計画2027」についてご説明します。本資料は、1月26日にすでに開示済みです。それでは、エグゼクティブ・サマリー、当社グループの現況、「中期経営計画2027」、サステナビリティ経営への取り組みの順にお話しします。

ビジョン

エグゼクティブ・サマリーです。ミナトホールディングスのビジョンは「デジタルコンソーシアムで、未来の社会を創造する。」です。このビジョンを全面的に打ち出して、今後の中期計画の軸としたいと考えています。

引き続き、デジタルの分野に特化した企業との提携やM&Aを実施し、コンソーシアム(共同体)と呼ばれるようなグループ、仲間を作って相乗効果を作っていきます。新しい製品やサービスの開発にも挑戦します。そして、新しい市場を開拓することで、人や社会に貢献し、持続可能なサステナブルな未来を創造していきます。

当社グループの事業領域と周辺ビジネス領域

当社グループの事業領域と周辺ビジネス領域についてです。我々が今行っているデジタルデバイス領域は、メモリーモジュールやWeb会議システム、eスポーツ関係の製品の分野です。デジタルエンジニアリング領域では、ROMへの書き込みやソフトウェア・ハードウェアの設計を行っています。そして、システムエンジニアリング領域では、システム開発を行っています。

さらに、このような既存分野だけではなく、スライドで周りに記載したようなヘルステックやメディカル、ロボティクス、モビリティ、DXなど、現在ではまだ手がけていない他の分野にも意欲的に出ていく可能性もあります。

デジタルコンソーシアム構想により実現したい社会

デジタルコンソーシアム構想を進めていくと、社会のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上に貢献できます。デジタル製品や新技術によって、健康で安全な生活や、多様な働き方、自由な学び、人と人とのつながりをますます発展させ、活性化させていきたいと考えています。

中期経営計画2027(計画数値)

中期経営計画2027では、連結売上高480億円、連結営業利益25億円を目標にしています。現在からすると約4年後の数字、今年度からすると5年度分の数値です。先日発表した後も、とかくこの数字が独り歩きしている部分がありますが、我々の目標の中で、もちろんこの数字も1つの大きな目標となりますし、ROE15パーセント以上、自己資本率30パーセント以上という数値も含めて、この中期経営計画の内容すべてが我々の目指しているものです。

当社グループの主力商材(主要6商材)

当社グループの現況についてご説明します。デジタルデバイス領域では、サンマックス・テクノロジーズが手がけるメモリーモジュールやSSD、eMMCの設計・製造・販売等があります。プリンストンが手がけるデジタル会議システム関連機器では、シスコシステムズやPolyなど、アメリカの有力なブランドパートナーの製品を扱っています。eスポーツ市場向け製品では、ヘッドセットやモニターなどが非常に伸びています。

デジタルエンジニアリング領域では、デバイスプログラマを長年手がけています。ROMというメモリにプログラムを書き込む装置ですが、国内ではナンバーワンのシェアを誇るミナト・アドバンスト・テクノロジーズの製品です。

そして、ミナト・アドバンスト・テクノロジーズの「ROM書込みサービス」は、自社製品であるデバイスプログラマを使って、ROM等にプログラムを書込むサービスです。1個いくらと、作業に対してお金を頂戴するビジネスとなっています。

また、タッチパネルやデジタルサイネージも、業界のリーディングカンパニーとして、ミナト・アドバンスト・テクノロジーズが30年以上ずっと手がけている商材です。

当社グループ会社におけるサービス/ソリューション領域

スライドは、今お話しした内容を会社別に図式化したものです。デジタルデバイス領域では、サンマックス・テクノロジーズのメモリーモジュール事業や、プリンストンの事業、ジー・ワーカーのモバイルアクセサリ等の販売があります。また、海外では、港御(香港)有限公司で国内と同じ事業を展開しています。

デジタルエンジニアリング領域では、ミナト・アドバンスト・テクノロジーズのデバイスプログラマやディスプレイソリューションなどの事業に加えて、函館のエクスプローラー社の事業があります。さらに、上海の子会社でも事業を継続的に行っています。

システムエンジニアリング領域では、2022年7月1日にグループ2社が合併してできた新会社、クレイトソリューションズで約200人のシステムエンジニアを擁し、事業を継続的に行っています。

また、 2023年1月1日付でアイティ・クラフトと合併して新スタートを切った日本ジョイントソリューションズでは、Webサイトや業務システムを作っています。その他、ファイナンスや投資の会社、ミナト・フィナンシャル・パートナーズなどもあります。

会社沿革とM&Aによる売上高の拡大

この10年あまりの実績を振り返ると、10年前はミナト・アドバンスト・テクノロジーズの事業があったのみで、売上高は約10億円強でした。そして、2014年にイーアイティーが入って20億円レベル、2016年にサンマックス・テクノロジーズが入って80億円レベルになりました。

その後、各社の事業も伸び、2020年、2021年には5社増え、9年間でグループ会社は11社に増えました。2022年度の売上高は245億7,800万円と、急激に成長してきています。

当社を取り巻く環境 ❶世界の半導体市場

当社を取り巻く環境についてお話しします。世界の半導体市場はこれからもますます伸びていきます。2022年に6,020億ドルに到達した市場は、2026年には7,540億ドルに増加すると予想されています。

半導体市場は、サイクルで上がったり下がったりする分野ではありますが、今後も半導体の利用は間違いなくますます増えていくと思います。

当社を取り巻く環境 ❷国内DX市場

国内DX市場では、自治体や金融、製造、交通・運輸などの分野で、ますますデジタルトランスフォーメーションが進んでいきます。2030年度の予測は5兆1,957億円と、2020年度の3.8倍規模になると予想されています。

当社を取り巻く環境 ❸スタートアップ投資市場

スタートアップ投資市場では、国内の資金調達額は2021年で7,801億円に達しており、10年前に比べて大幅に伸びてきています。我々は国内のみならず、海外も含めてターゲットしたいと考えています。

以上、当社を取り巻く3つの環境をご説明しましたが、我々は大きく成長する分野に身を置いているということです。中での競争はもちろんあると思いますが、自信を持って成長を享受していきたいと思います。

当社グループの業績サマリー

2022年3月期の売上高を3つの領域別に分けると、デジタルデバイスが約203億円、デジタル・エンジニアが約22億円、システムエンジニアリングが約20億円となりました。

M&A投資による成長の軌跡

スライド13ページのグラフでもお話ししましたが、過去を振り返ると、もともと1社で13億円からスタートし、2017年には6社で138億円、2022年には12社で245億円となりました。やはりM&Aの威力、投資の力は大きいと感じています。

ミナトが描く“事業”ד投資”による成長サイクル

今後も投資を継続して行っていき、次の3つの展開により、事業規模と新事業領域の拡大を目指します。1つ目は、既存事業への追加投資です。今ある事業の中でますます有望な分野に投資をしていきます。なお、現在我々グループにある会社の事業を「既存事業」と呼んでいます。

2つ目は、M&Aによる連結子会社化です。会計上の連結を利用して、新たな企業に投資していきます。一般的には、50パーセント以上の株式を保有して連結子会社化することが多いと思います。我々もそのような対象があれば、積極的に投資を行っていきます。

3つ目は、ベンチャー投資による領域の拡大です。すでに、IoTやメタバース分野のベンチャー企業に対してスタートアップ投資を行っていますが、その他、AIやDX、SaaSなどの分野も積極的に取り組んでいきます。

中期経営計画2027の位置づけ

「中期経営計画2027」の位置づけについてです。この10年を振り返ると、2012年から2016年はミナトエレクトロニクスとして厳しい状況にあり、再生の時期(ターンアラウンド期)であったと考えられます。2016年以降にM&Aが加速して事業が拡大した時期がありました。

そして、今年度から2027年3月期までの5年間を、「中期経営計画2027」の時期と定めています。連結営業利益20億円以上を継続的に計上できるベース収益力を獲得することが、我々の大きなゴールです。

デジタル分野にイノベーションをもたらす新技術を創出し、次の中期経営計画がスタートする2028年度以降につながる企業体を作っていきたいという強い決意が表れたものになっています。

「デジタルコンソーシアム構想」実現のためのテーマ

スライドに記載の3つの重点テーマに基づき、デジタルコンソーシアム構想を多角的に実現していきます。1つ目は、既存事業領域のさらなる拡大ということで、今まで以上に投資し、事業を拡大していきます。

2つ目は、新規事業領域への投資です。ベンチャー投資やM&Aで、新規事業領域にも進出していくことが、我々の成長力につながると考えています。きっちりとよい投資案件を見つけ、適切な金額やリスクを取って投資を行っていく、投資力が重要だと考えています。

3つ目は、グローバル展開です。これまでも、輸出入や海外パートナーとの事業など、海外に目を向けたビジネスを展開してきましたが、この3年ほどは新型コロナウイルスの影響で停滞していました。しかしながら、新型コロナウイルスもずいぶん下火になりましたので、これからは積極的に海外拠点を新設し、米国企業の新技術やビジネスモデルも取り込んでいきたいと考えています。

「中期経営計画2027」 2027年3月期の到達目標

2027年3月期の売上高は、2022年度245億円の約2倍となる480億円を目標としています。その結果、営業利益も25億円レベルに到達させることを目標値としています。

M&Aによる展開として、今後何社に投資して連結できるかは、現段階では未知数です。しっかりとした企業3社を連結子会社として、連結グループ会社として一緒に成長し、収益貢献していただくことを目標としたいと思います。

中期経営計画2027で取り組む3つのテーマ

「中期経営計画2027」で取り組む3つのテーマを、もう少し掘り下げていきたいと思います。

既存事業領域のさらなる拡大

1つ目のテーマは、既存事業領域のさらなる拡大です。「ROM書込みサービス」は、受注数量が大幅に拡大しており、今後も拡大していくだろうと考えています。そこで、横浜での新社屋の建設や作業スペース拡大に向けた機械設備への投資も行っています。

さらに、すでに発表したとおり、トーメンデバイス、日本サムスンとのパートナーシップにより、特定のプロジェクトにおいてもしっかりと拡大させていきます。その他、海外関連ビジネスや、コミュニケーション機器・サービス、プリンストンが行っているeスポーツ関連も、しっかりと拡大していくと見込んでいます。

2027年3月期までの目標は、「ROM書込みサービス」の書込み能力を2022年比で5倍以上に拡大することです。

ROM書込みサービスの受注数量の拡大

横浜市に建設中の子会社社屋は、再来年までに第1期工事・第2期工事を終了し、スライドの写真のような、すばらしい建物が建つこととなっています。

社屋には13億2,000万円、機械設備には19億円を投資する予定です。現在よりも進化したオートハンドラやデバイスプログラマを導入することにより、能力をさらに増強し、受注数量の増加に対応できるような能力を身につけたいと考えています。

取り扱い技術、事業領域の拡大

海外関連ビジネスは、海外拠点や海外パートナー、商材サービスを拡大していきます。特にeスポーツ関連商品やVR関連の製品は現在も売上が伸長しています。このようなものをより多く取り入れ、成長分野に身を置きたいと考えています。

システム開発の分野では、新たなERPの取り扱いなどにより現在も売上が伸びており、今後も引き続き伸長していくと考えられるため、非常に有効で希望の持てる拡大を確信しています。

新規事業領域への投資

新規事業領域への投資についてです。M&Aにより、デジタル関連企業に投資します。先ほど、2027年3月期までの目標は3社だとお伝えしました。1件あたりの売上高は20億円から100億円程度で考えています。50パーセント以上の株式を保有することで、連結決算を拡大していきます。

ベンチャー投資について、ターゲットは日本および米国です。スタートアップ企業やベンチャーキャピタルそのものへの出資やコミットメントも、これまでと同様に行っていきます。投資から直接的に得られるキャピタルゲインを獲得するとともに、新たな技術や商流、ビジネスを弊社グループに取り込めるのではないかと考えています。

基本的にベンチャー投資は非連結の取引だと思いますが、そのようなことも含め、今回の中期経営計画では、現在3億円弱のベンチャー投資残高を約18億円にまで伸長させていく計画を立てています。

M&A投資実績

「これまでのM&Aはどうだったのか?」というご質問もあると思いますので、スライドに事例を掲載しました。

売上高が拡大した例として、サンマックス・テクノロジーズやプリンストンがあります。また、投資前に赤字だった会社がグループジョイン後に黒字化した例として、現在のクレイトソリューションズであるイーアイティー、パイオニア・ソフト、現在の日本ジョイントソリューションであるアイティ・クラフトがあります。

M&A投資後のシナジー創出実績

こちらのスライドには、数字だけではなく相乗効果が出ているケースを掲載しています。技術協力、共同での事業推進、一体運営・合併でのシナジー創出の実績があります。

管理部門の共通化により、継続的にコストや機能の効率化を図っています。例えば大阪オフィス・東京オフィスは、昨年、地域のグループ企業を統合したオフィスです。本日、動画を配信している新橋オフィスも、昨年12月にグループ8社を統合したオフィスです。

また、システム面においても、会計システムや人事システムなどの統一により効率化を図っています。

M&Aする主なターゲット(ターゲット領域/ビジネス規模)

現在、我々が手がけているデジタルデバイス、デジタルエンジニアリング、システム開発などもM&Aのターゲットとなります。また、こちらとは若干異なる周辺分野でも、積極的に連結投資として拡大していくことを考えています。

ベンチャー投資の実績

ベンチャー投資は国内外のベンチャー投資が7件、米国ファンド投資が1件を手がけています。そのうちサイバーセキュリティクラウドが約3年前に上場し、投資金額の8倍以上のリターンを実現しています。

現在、台湾のEmBester社やアメリカのBodygram社、日本のBraveGroup社などにも出資おり、これらは今後、成長が期待されています。

ベンチャー投資戦略の今後の方針

現在3億円弱のポートフォリオを、2027年には18億円レベルまで持っていくために、米国シリコンバレーをはじめニューヨークなどでも投資をする予定です。

1件あたり1,000万円から5,000万円ですが、毎年5件から10件の投資をすることにより、スライドに記載したようなポートフォリオを生み出していきます。18億円は簿価ですが、2027年には2倍から3倍の時価を実現することを目標としています。

グローバル展開

グローバル展開は、海外拠点の設立と海外企業との連携を第一とし、2023年2月にサンマックス・テクノロジーズの台湾支店設立を発表しています。2023年5月には稼働できるかと思います。

現在は一時的にストップしているバンコクの事業をはじめ、東南アジア企業との提携のための拠点設立や、北米拠点の設立についても検討していきたいと思います。

また、米国の技術にもアクセスし、新市場に打って出ることを考えています。海外拠点数は現在の2ヶ所から5ヶ所程度に、海外パートナー企業数も増やしていきたいと考えています。

グローバル展開の今後の方針

スライドの世界地図をご覧ください。上海・香港の拠点に加え、先日発表した台湾の拠点は、2023年5月には実現すると思います。また、東南アジア・北米での拠点の設立も考えています。

デジタルコンソーシアム構想による拡大戦略

スライドの図は、16ページでお示しした図を5年後まで拡大したものです。目標とする2027年の売上高480億が見えてきています。

中期経営計画2027(計画数値)

スライドのグラフは、7ページと同じものです。ROE15パーセント以上、自己資本比率30パーセント以上という計画が十分に視野に入ってきています。

中期経営計画2027 3つの領域での成長

具体的な成長についてご説明します。既存事業で130億円、M&Aで100億円、ベンチャー投資で5億円という売上高の増加を目標としています。営業利益は既存事業で13億円、M&Aで6億円、ベンチャー投資で2億円という数字になると考えています。

セグメント別の計画数値(詳細)

2022年度の売上高245億7,800万円、営業利益7億8,300万円から、2027年は売上高480億円、営業利益25億円ということで、デジタルデバイス、デジタルエンジニアリングの分野を主力として数字を上げていきます。そこにM&Aやベンチャー投資、システムエンジニアリングの分野も加わり、実現に向けて自信を持って進めています。

株主還元についての方針

株主還元はこれまでも積極的に行ってきました。配当・自己株取得・株主優待を3本柱としてきましたが、今後は配当と自己株式取得を強化し、総還元性向30パーセントを目指します。

配当は、2019年3月期に復配してから2円、4円、6円、9円という高倍率で、2023年6月の総会以降には10円の配当とすることを発表しました。このような伸長はなかなか見られるものではないと自負しています。

株主優待の一部を縮小して残していますが、その分をしっかりと配当に充てることにより、公平な還元ができると考え実施していきます。

SDGs/サステナビリティへの基本方針

非常に重要な分野である、サステナビリティ経営への取り組みについてです。スライドに記載のとおり、我々は企業の社会的責任を十分に認識し、持続可能な未来の社会の実現と事業の成長のために重要な課題に取り組み、社会の変化に柔軟に対応できる企業グループとして、社会に貢献していきたいと考えています。

サステナビリティ経営

QOL向上の実現や地球環境の保全、人材ダイバーシティを重視した働きやすい職場、持続可能な成長を可能にする経営基盤という4点の取り組みを推進していきます。

サステナビリティ経営 取り組み方針

具体的な取り組みは、スライドに記載のとおりです。数値目標として、例えば女性管理職の比率をアップし、現在の2.2パーセント程度から10パーセントに持っていきます。外国人雇用者の比率も、3.9パーセントから8パーセントに持っていきます。また、コーポレート・ガバナンスも強化し、独立社外取締役を3分の1以上とするなどの具体的な目標を設定し、一つひとつ実現していくことを考えています。

以上が、先日発表した「中期経営計画2027」の骨子です。資料を用意しましたが、Webサイトに継続的に載せている内容や開示資料で共有している内容のため、ご説明は割愛します。株主構成や株数も記載していますので、参考資料としてご覧ください。

2023年3月期 第3四半期の総括

2023年2月10日に発表した第3四半期の決算について、簡単にお話ししたいと思います。スライドに、第3四半期の総括を4点記載しています。

売上高は、前年同期比でほぼ横ばいの172億円ですが、営業利益は6億6,800万円と、前年同期比で大幅な増益です。経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益も伸長しています。

また、ミナト・アドバンスト・テクノロジーズが提供する「ROM書込みサービス」に大規模な投資を決定したことも発表しました。

先ほども触れましたが、グループ8社の本社を東京港区新橋に集約することで、コミュニケーションをよりよくし、効率的で柔軟な働き方を推進したいと考えています。

2023年3月期 第3四半期以降のトピックス

2023年1月26日付で中期経営計画を発表し、2月10日付で2023年3月期連結通期業績予想の上方修正を発表しました。

また、日本ジョイントソリューションズとアイティ・クラフトが合併しました。サンマックス・テクノロジーと子会社のジー・ワーカーの合併は4月1日からスタートします。株主還元の一部である自己株式取得も順調に進んでいます。

2023年3月期 第3四半期連結業績

具体的な数字は、先ほどお話ししたとおりです。スライドの図から、利益がしっかりと伸長していることがわかります。

2023年3月期業績予想(修正前)に対する進捗状況

2022年5月に業績予想として売上高220億円、営業利益5億4,000万円と発表しましたが、第3四半期時点で営業利益の進捗率が123.8パーセント、経常利益は149.1パーセントと大幅に達成したこともあり、上方修正しました。

2023年3月期業績予想(修正後)に対する進捗状況

スライドに記載のとおり、売上高230億円、営業利益6億8,000万円、経常利益7億4,000万円に修正しています。

修正した目標値をすでに超えているものもあります。第4四半期の動向などを踏まえて保守的に設定していますが、3月が終わるまでに1ヶ月以上あるため、しっかりとオペレーションを行い、数字の変更があれば早めに発表したいと考えています。

営業利益の増減分析

営業利益の増減の分析は、スライドに記載のとおりです。DRAMの価格などが下がったことで、売上原価が減少したことが利益の向上につながりました。

2023年3月期 第3四半期連結BS

バランスシートです。スライドに記載のとおり、流動資産が減少しました。借入金も減少して利益面が伸長したことで、自己資本比率が前期比で2パーセント改善し、29.6パーセントとなりました。

セグメント別 第3四半期連結業績

各セグメントについてご説明します。メモリーモジュール事業は営業利益が大幅に伸長しました。また、ミナト・アドバンスト・テクノロジーズが手がけるデバイスプログラミング・ディスプレイソリューション事業は、前年の高い利益率をさらに上回る数値となりました。

また、2社が合併してスタートしたクレイトソリューションズのシステム開発事業も利益が大幅に伸長し、前年と比較して2倍以上となっています。

グループ会社及び各社が担うセグメント領域

先ほどもお見せした図ですが、こちらのスライドは、各社が手がけている事業を説明したものです。

メモリーモジュール事業

メモリーモジュール事業は、コンスタントに利益を上げることができています。しかし第4四半期は、在庫を抱えているためその出荷の兼ね合い、またDRAMの価格とメモリの価格が高止まり、あるいは下落していることから、第4四半期の伸長は若干止まるのではないかと考えています。

テレワークソリューション事業

テレワークソリューション事業については、経営改善の成果が少しずつ出てきているものの、第3四半期までは残念ながら赤字となっています。

デジタルデバイス周辺機器事業

デジタルデバイス周辺機器事業については、累計ではまだ赤字ですが、第3四半期にだいぶプラスのきっかけが見えてきました。eスポーツ関連やPC関連製品の販売は堅調に推移しています。

デバイスプログラミング・ディスプレイソリューション事業

ミナト・アドバンスト・テクノロジーズを中心に行っている、デバイスプログラミング・ディスプレイソリューション事業は、業績が順調に伸びています。特に「ROM書込みサービス」やデバイスプログラマ関連製品の販売が順調に伸びている状況です。

システム開発事業

システム開発事業については、2022年3月期第2四半期からパイオニア・ソフトの事業を連結したこともあり、前期比で大幅に伸びました。これには事業の効率化が進んでいることも大きく貢献しています。

その他事業

その他事業は数字の小さい分野でしたが、エクスプローラがグループに加わり、フルに決算に計上できていることで、売上高と営業利益が大幅に伸びました。

また、日本ジョイントソリューションズでも新しいプロジェクトを手がけたことで、売上高・営業利益ともにしっかりと伸ばすことができています。

ミナトグループのビジョン

ミナトグループの成長戦略については、先ほどご説明したデジタルコンソーシアム構想について記載しています。

デジタルコンソーシアム構想とは

スライドで、デジタルコンソーシアム構想についてご説明しています。

DC構想イメージ図

スライドはデジタルコンソーシアム構想のイメージ図です。

これまでのDC構想実現に向けた取り組み

スライドには、過去10年間の売上高および当期純利益の推移と、どのような企業をどのようなタイミングで子会社化してきたかを記載しています。

「中期経営計画2027」の概要①

中期経営計画についてです。既存事業領域のさらなる拡大、新規事業領域への投資、グローバル展開の3つの重点テーマに基づいて、デジタルコンソーシアム構想の実現を目指します。

「中期経営計画2027」の概要②

デジタルコンソーシアム構想の実現により、先ほどご説明した数値を達成していけると思っています。

サステナビリティ経営について

大変重要なテーマであるサステナビリティ経営については、スライドに記載の4分野で重要かつ具体的な目標を作って取り組んでいます。

会社概要

こちら以降のスライドはAppendixとして、我々の事業や商品をご説明しています。お時間のある時にご覧ください。

質疑応答:2023年3月期業績予想の上方修正について

司会者:「2023年3月期業績予想の上方修正についてです。上方修正後の数値を計算すると第4四半期は大幅減益となりますが、その要因は何でしょうか?」というご質問です。

若山:第3四半期までにすでに達成している数字もあるため、計算するとマイナスになる数値もあります。要因の1つは、今半導体の市況が少し下がってきていることです。我々の売値などが下がってくることによって、売上高・利益ともに減速します。

また、半年ほど前に140円台や150円台で仕入れていたものが、現在円高に少し振れてきているため135円や136円になっています。これを踏まえて、損失などについて多少保守的な見方をしているためです。事業の構造が大幅に変わるなどなにか問題があるということではありません。

質疑応答:プリンストンの収益改善策について

司会者:「プリンストンの収益改善策について教えてください」とのご質問です。

若山:プリンストンは海外から製品を輸入して日本で販売する輸入事業です。プリンストンの会計の仕方や方針により、為替の数値は為替差損として出るのではなく、仕入れのコストとして売上原価に分類されています。したがって、かなり厳しい営業利益となっています。

ただし、多少円高に振れたため、現状では少し落ち着いてきました。また、拠点の一部縮小やグループの中での人員の最適配分など、さまざまな経営改善策を行うことで収益改善の目処がついてきたと思います。

質疑応答:「ROM書込みサービス」が伸びる要因について

司会者:「『ROM書込みサービス』が伸びる要因は何でしょうか?」というご質問です。

若山:ミナト・アドバンスト・テクノロジーズの「ROM書込みサービス」は、デバイスプログラマの製造・販売分野で国内シェアNo.1です。その中で書込みサービスにも継続的に力を入れてきています。

直近の2年間で伸びてきた要因としては、日本サムスンおよびトーメンデバイスとビジネスパートナーとして取り組んでいるプロジェクトの伸びが非常に大きくなっています。これに伴って我々は書込み能力を拡大しており、他のお客さまからもより多くのご注文をいただけるといういいかたちの相乗効果が見られています。

このような背景から、今後も当事業が伸びていくと見込み、中期経営計画を作っています。

質疑応答:「ROM書込みサービス」拡大のスケジュールと費用について

質問者:「『ROM書込みサービス』拡大のための、本社建物の建て替えおよび設備投資のスケジュールと減価償却費、収益拡大のイメージについて教えてください」というご質問です。

若山:我々が保有している横浜の土地は約1,000坪で、現在「ROM書込みサービス」を行っている設備は継続して残っています。それ以外の部分を取り壊しており、2024年の頭までには第1期の工事が終了し社屋が建つ予定です。

その後に設備を移し、現在使っている社屋を取り壊して、そこに新しい社屋を建てて第2期工事が終わります。トータルでは1年半から2年で、2024年半ばから後半にはすべてが完了するスケジュールです。

19億円の設備投資については、定率法で初年度から少し多めの30パーセントから40パーセントぐらいの減価償却費が発生する想定です。社屋の建物部分は償却していきますが、それほど負担にはならないと考えています。

書込み能力は3倍から5倍程度に順次拡大していき、ご注文に応じて収益が拡大しコストを大幅に上回っていきます。減価償却費はどんどん減っていくため、3年から5年後にはかなり大きな収益貢献となるのではないかという計画です。

質疑応答:今後のグローバル展開について

司会者:「先日、サンマックス・テクノロジーズの台湾支店開設のリリースがありましたが、今後のグローバル展開について説明してください」とのご質問です。

若山:中期経営計画の中でもご説明しましたが、我々は現在上海と香港に子会社があり、上海の子会社には上海エリアと東莞・深圳エリアに2拠点があります。今後この2つだけでなく5つぐらいの拠点を作っていこうということで、その第1弾がサンマックス・テクノロジーズの台湾支店です。

こちらはサンマックス・テクノロジーズの支店ですので、サンマックス・テクノロジーズのビジネスであるメモリモジュールの製造をしっかりと見て改善していきます。加えて、台湾支店はミナトグループの拠点として、中国や台湾、東南アジアからの調達において役割を果たし、我々の製品を販売していく上でも貢献していくのではないかと思います。

今後のグローバル展開としては、東南アジアが1つのターゲットです。以前拠点を開設したバンコクや、シンガポールのようなエリアで、我々の事業をしっかりと伸ばせるようにしたいと思っています。また、現在投資を行っており、これからも拡大するつもりですので、北米の拠点についても積極的に検討していきたい考えです。

質疑応答:資金調達と株主還元について

司会者:「資金調達はどのような手法をお考えでしょうか? また先日、増配と株主優待制度変更のリリースがありましたが、こちらに至った考え方を教えてください」とのご質問です。

若山:現在は銀行借入を中心に資金調達を行っています。おかげさまで連続的に収益を生み出す体制ができているため、金融機関との関係も良好で、しっかりと信用の枠をいただいています。今回のミナト・アドバンスト・テクノロジーズの設備投資等については、そのような借入を中心に資金調達ができているということです。

もちろん株価の状況や自己資本の強化も非常に重要なファクターですので、そのような資本性についても検討していくつもりです。私は銀行や投資会社でキャリアを積んできたため、この分野については非常に多様な手段を検討できると自負しています。

増配と株主優待制度については、株主還元自体を我々の非常に大きなテーマとして積極的に取り組んでいくこととしています。今回も連続して大きく増配しているように、株数に応じてしっかりと配当を受け取っていただくための公平な制度を適用していこうというのが制度変更の主旨です。

株主のみなさまには増配というかたちでキャッシュを受け取っていただくとともに、我々の製品をよく知っていただくために優待制度はしっかりと残させていただいたという考え方に基づいています。

質疑応答:若山社長の今後の意気込みについて

司会者:「若山社長の今後の意気込みを聞かせてください」とのご要望です。

若山:2023年3月で、社長として11年度が終了します。中期経営計画は、ある意味で今まで行ってきたことを、これからもさらに推し進めるという意気込みです。

それだけを聞くと、なにも変わらず同じことをするのかと思われるかもしれませんが、この10年を見ていただいても、売上高は約20倍、利益はマイナスレベルから大きくプラスレベルに成長してきました。また、会社も増え、拠点にも投資し、大きな進化があったと自負しています。

まだ元気に、経営の中心を担っていくつもりです。今回、我々の思いを、デジタルコンソーシアム構想とともに「中期経営計画2027」として発表したばかりです。5年という長丁場ですが、2027年3月期を終えた時にはしっかりと目標の100パーセント以上を達成している状態を作りたいと思っていますし、それに向けた自信も持っています。

その実現のためにも、私自身を含め社員全員が楽しく健康に働けるような職場作りに取り組みます。今回、サステナビリティ経営として発表したように、ミナトグループで働くことが社会にも自分にも健康にもいいという職場にしていくことが、私が実現したい夢となっていくかと思います。

もちろん数字は大事な要素の1つですが、働く場所や企業体として、社員にも社会にも貢献するような理想に一歩でも近づけるように努力し、強い意気込みを持って引き続き頑張っていきたいと思います。