USIC IRプレゼンコンテスト

佐川寛明氏:明治大学のBreakouts!です。みなさま、我々のために最後まで残ってくださり、ありがとうございます。ただいまより、ホソカワミクロン株式会社のIRプレゼンを始めます。

突然ですが、みなさまがいつも使っているスマートフォンや手元の紙に共通しているものは何でしょうか? 正解は「すべて粉から作られている製品である」ということです。このように、粉は我々の生活に欠かせません。そのような粉に関わる技術開発を行っている会社が、ホソカワミクロンです。

企業紹介:事業内容

ホソカワミクロンは、機械・エンジニアリングを提供する会社で、粉体関連事業とプラスチック薄膜関連事業の2つのセグメントで構成されています。このプレゼンでは、同社の売上の8割を占める粉体関連事業についてご説明します。

粉体市場は、さまざまな製品の進化に伴い、時代とともに変化し続けてきました。この市場の変化にどのように対応してきたのかを中心にご紹介していきます。

企業紹介:事業内容

事業の話に入る前に、そもそも粉体とはどのようなものなのでしょうか? 粉体とは簡単にいうと粉の集まりです。固体でありながら、液体のようにふるまう場合もあり、扱いが非常に難しいという特徴があります。そのため粉体を扱うには高度な技術が必要です。

企業紹介:事業内容

ホソカワミクロンでは、粉の粉砕、混合、乾燥など、粉体製造に関わるすべての工程を行える機械を顧客に提供しています。

企業紹介:事業内容

これらの機械によって加工された粉体は、スライドに記載のとおり、さまざまな分野に貢献しています。

企業紹介:歴史

ホソカワミクロンは1916年に創業されました。とても長い歴史を持つ会社ですが、今回はその中でも、今のホソカワミクロンを形作った2つの出来事をご紹介します。

1つ目は、1980年代の積極的なグローバルM&Aです。オランダやドイツなどの海外にある5社を立て続けに買収したことで、世界シェアの3割を占めるグローバルニッチトップ企業へと成長しました。

企業紹介:歴史

2つ目は、2000年代の倒産危機です。銀行の貸し渋りの影響で資金難になり、一時は倒産危機に陥りました。その時の経験により必要なキャッシュを確保し、不況が起きても負けない強固な財務基盤を確立しました。

業界分析:市場推移

次に市場推移についてです。ホソカワミクロンが位置する高付加価値粉体装置市場は、2022年から2030年の間に約1.6倍になると予測されており、今後も継続的に市場が拡大する見込みです。

業界分析:注目の分野

ここまでのご説明を踏まえ、成長するイメージが湧きづらい方もいると思います。そこで、スライドの9ページでは、業界における注目分野をご紹介します。

注目を集めているのは、EVなどに使われるリチウムイオン電池です。電極材は粉からできており、優れた電池を作るためには優れた粉体技術が必要不可欠です。

EV市場は今後5年間で約3倍になる見込みで、EV市場の拡大とともに粉体技術の需要が拡大していきます。

事業強み①:製品力

山崎陸空氏:ホソカワミクロンの事業の強みは、大きく3つあります。1つ目は製品力です。我々は製品力の強みを探るために、「国際粉体工業展」という展示会に参加しました。国際粉体工業展では、ホソカワミクロンとその競合他社の製品を調べることで、2つの特徴に気づきました。

1つは幅広い製品・サービス展開です。ホソカワミクロンでは、多岐にわたる粉体関連装置の製造に加え、システムエンジニアリングを提供するなど、幅広いラインナップを展開しています。

もう1つは技術力の高さです。ホソカワミクロンは、さまざまな技術において業界最高峰の技術を誇っています。また、他社には提供できない複数のオプションも存在しており、顧客のあらゆる要望に応えることが可能です。結果として、市場シェアトップを勝ち取っています。

事業強み②:グローバル経営

2つ目の強みはグローバル展開です。海外会社の買収を経て、世界で事業を展開しています。2022年度の海外売上比率は80.5パーセントにのぼり、その内訳は世界各地に分散されています。

世界中の顧客要求に応えられる高い技術力を背景に、特定の経済圏に依存しない経営が可能となっています。

事業強み③:利益率

3つ目の強みは利益率です。先ほどお伝えしたように、高付加価値の製品・サービスを提供することで、高い利益率を生む事業を展開しており、利益率は製造業界の平均の約2倍と、他社を圧倒しています。

また、獲得した利益を設備投資や研究開発に投じることで、より一層の利益を生む好循環を起こしています。

業績分析:業績推移

業績分析です。売上高・営業利益ともに堅調に推移しています。また、リーマンショックやコロナ禍においても、黒字の維持に成功しています。

業績分析:受注高と受注残高

受注残高についてです。受注が大変好調である一方で、国際的なサプライチェーンの混乱で部材の調達が困難となり、納期が長期化傾向にあります。その結果、将来の売上に直結する受注残高は過去最高に達しています。

業績分析:成長分野

成長分野についてです。世界的なEVの需要増による市場の拡大に伴い、リチウムイオン電池用を中心とした電子材料向けの製品・サービスが伸長しています。また、今後もさらなる成長が見込まれています。

財務分析:自己資本比率

財務に関してご説明します。一般的な製造業の自己資本比率は約51パーセントであるのに対し、ホソカワミクロンは自己資本比率60パーセント以上という高い比率を有しています。

財務分析:株主還元

株主還元については、継続的に増配を行っています。配当性向も上昇傾向にあり、株主への還元を進めている状況です。

事業リスク:納期の長期化

佐野真知洲氏:事業リスクとその解決策についてお話しします。現状、我々が考えている一番のリスクは、納期の長期化です。サプライチェーンの混乱や内製化比率の低さにより、粉体機のリードタイムは通常時の2倍にまで長期化しています。

また、受注残滞留日数は2019年以降、悪化の一途をたどっており、納期改善の兆しが見えません。そのため、顧客のスケジュールと合わず、受注機会を損失する可能性があり、大きなリスクだと感じています。

事業リスク:原因

粉体機の製造には、少量多品種かつ特殊な材料が必要となります。そのため、大量の在庫を抱えることや内製化することは非常に困難です。そのような背景もあり、ホソカワミクロンでは受注設計生産方式を採用しています。

スライドに記載のとおり、この方式では顧客の注文を受け、ニーズの把握、仕様設計、部品表の作成を実施した後、材料の調達を始めます。ただし、材料の先行調達を行わないため、サプライチェーン混乱の影響を直接受けてしまいます。

事業リスク:納期の長期化に対する解決案

そこで我々は、納期を短縮するための新たな材料の調達手段を提案します。受注プロセスの際に、仕様設計と同時に材料を調達し、調達プロセスを早めるという方法です。この方法は、ホソカワミクロンと同じ状況下でサプライチェーンの大きな影響を受けなかった重工業メーカーを参考に応用しました。

この方法を実現するためには、営業人員が製品設計の知識と、必要な材料を見積もる能力を身につけることが必要です。加えて、顧客の受注歴、使用機材、業界動向を機械的に学習し、必要な材料を予測するための情報技術も必要になります。

これらを取り入れることで、納期の短縮が可能になると考えています。

コロナ対策:非接触の徹底

新型コロナウイルス対策についてです。他の会社と同様に、Web会議や在宅勤務などを利用し、商談を継続しました。

また、ホソカワミクロン独自の取り組みとして、テストセンターのリモート化を行いました。従来はお客さまに来社していただき、粉体の製造現場を見ていただいていました。しかしながら、そちらもリモート化し、お客さまが来社する必要のない環境を整えました。

このようにDXを進めたことで、コロナ禍後も一層効率的な業務が可能になっています。

攻めの経営戦略導入

最後に、2021年にホソカワミクロンの代表取締役社長に就任された、細川晃平氏についてご紹介します。ホソカワミクロンでは2000年代に倒産に陥りかけた経験により、常にキャッシュを多く保持し、赤字にしないことを目指す保守的な文化が浸透していました。

しかし、細川氏は持続的な成長を実現するために、攻めの経営戦略を取り入れ、企業風土を改変しようと取り組んでいます。その施策の1つとして、昨年南米市場の販路拡大などを行い、グローバルネットワークの拡充を進めました。

総括

総括です。スライドの上部には、技術変革による市場規模の拡大、盤石な財務基盤、そして業界最高峰の製品力の3つを記載しています。これらを、細川氏の攻めの経営戦略と組み合わせることによって、ホソカワミクロンのこれからの飛躍的な成長が期待できるのではないでしょうか? 少なくとも、我々はそのような成長を確信しています。

ご清聴いただき、ありがとうございました。