1.2023年3月期 第2四半期 ハイライト

田島安希彦氏:株式会社カクヤスグループ代表取締役社長の田島安希彦でございます。株主のみなさまには、日頃より応援とご理解いただき、誠にありがとうございます。また、本日は当社の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

最初に上半期の総括をお伝えします。上半期は前年に比べて業績は大きく回復したものの、新型コロナウイルス第7波の影響により、業績予想には届きませんでした。しかし、9月、10月は着実に回復の手応えを感じています。また、これから当社の稼ぎ時の12月、3月を迎えますので、下半期は上半期とは違った様相を呈すると考えています。今後の業績回復にご期待ください。

1.2023年3月期 第2四半期 ハイライト

2023年3月期第2四半期のハイライトです。スライドの左下の表をご覧ください。前年同期比で、売上高は168億9,000万円、営業利益は20億8,400万円、親会社に帰属する四半期純利益は11億1,800万円の回復となりました。

業績予想と比較すると、売上高は38億9,100万円、営業利益は4億8,300万円、経常利益は4億4,500万円、親会社に帰属する四半期純利益は5億2,200万円のビハインドという結果になりました。

当社は固定費の割合が高いため、売上高の下降局面では赤字がやや強く出る傾向にありますが、一方で、売上の上昇局面では黒字が出やすくなると見ています。

1.2023年3月期 第2四半期 ハイライト - 月次推移

スライドのグラフは、前期からの月次売上高の推移です。ご覧のとおり、売上高は右肩上がりに推移しているものの、7月、8月はコロナ禍の影響により下降しています。ただし、この落ち込みがなければ、ほぼ予想どおりの半期だったと考えています。

10月からはコロナ禍前の水準に戻ってきていますので、この状態からどのように伸ばしていくかだと考えています。

2.2023年3月期 第2四半期決算概要 - 連結損益計算書

PL、BS、キャッシュ・フローの決算概要をご説明します。売上高から親会社株主に帰属する当期純利益までを記載していますが、注目していただきたいのは売上総利益率です。

2022年3月期第2四半期の21.4パーセントから、2023年3月期第2四半期は20.7パーセントと若干下がっています。こちらは後ほどお伝えしますが、業務用の売上高の回復により、総じて利益率が若干下がったことが影響しています。

みなさまにはご理解いただけると思いますが、飲食店に向けて定価で販売することはなかなかできず、業務用は若干利益率が低くなります。その割合が高くなってしまったため利益率が少し下がっていますが、10月に価格改定を行っていますので、取り戻せると思っています。

2.2023年3月期 第2四半期決算概要 - 連結営業損益の増減要因

連結営業損益の増減要因です。売上総利益から経費にかけてご説明します。スライド左側の前期第2四半期の営業損失マイナス27億6,800万円から始まり、今期の上半期の売上総利益は32億400万円と回復しています。

さらに、前年に放映していたテレビCMが今年はなかったため、2億3,100万円のコストが削減されつつも売上は拡大しました。また、それに伴う人件費・配送費が増加したため、結果として営業損失は6億8,400万円となっていますが、前期と比べて約20億円改善しています。

2.2023年3月期 第2四半期決算概要 - 連結売上高区分

連結売上高を区分別に見ると、コロナ禍が少し収まり、今まで伸びていた宅配・POSは少し落ち着きを見せているものの、業務の売上高は前年比104.3パーセント増と、倍以上の伸びを見せています。顧客数は前年比32.2パーセント増、客単価も前年比54.6パーセント増と伸びています。

2.2023年3月期 第2四半期決算概要 - サービス別売上高構成比

サービス別売上高構成比ですが、売上高の構成比が変わってきています。2023年3月期第2四半期は業務用の割合が増え、64.5パーセントとなりました。このように業務用の割合が増えると、事業が安定してきます。

安定する理由として、家庭用は月に1回くらいの注文で個人の利用が多く、なおかつ、購入先はスーパーやコンビニなどに移ってしまうこともありますので、流動性が高いのですが、業務用は飲食店のメニューに組み込まれているため、お客さまが飲む量をほぼ毎日ご注文いただけます。

そうなると、「業務用を中心に事業を展開すればよいのでは?」と思われるかもしれませんが、実は約3兆円の酒類市場において、7割が家庭用、3割が業務用と言われていますので、家庭用のほうが市場拡大の余地があります。そのため、当社としては業務用・家庭用の両方に注力しています。

2.2023年3月期 第2四半期決算概要 - 営業損益以下の変動

営業損益以下の変動です。主な増減の内訳ですが、営業外収益は雇用調整助成金がなくなったため、減少しています。法人税等調整額も2022年3月期は繰延税金資産を計上していましたが、今年度はなくなったため、昨年と比べて差が出ています。

2.2023年3月期 第2四半期決算概要 - 連結貸借対照表

連結貸借対照表についてご説明します。売上債権が75億5,900万円と、2022年3月末に比べて19億7,200万円、商品は5億7,200万円増加しました。売上回復局面ではこの2つが増加し、したがって仕入債務も2022年3月末に比べて32億円増と大きくなっています。

売上債権・商品・仕入債務はバランス関係にありますが、仕入債務が大きくなることは良いことだと思っています。理由として、売上債権のサイトよりも支払いサイトのほうが長いため仕入債務のほうが大きくなる傾向があり、これはキャッシュフロー的なメリットが享受できていることの表れだとご理解いただければと思います。

2.2023年3月期 第2半期決算概要 - 連結キャッシュフロー計算書

今の話を踏まえて、キャッシュフローの売上債権・仕入債務の増減額をご覧ください。売上債権に貸倒を含めたり、仕入債務に前払い金を含めたりしているため、BSの差とは若干異なりますが、結果的に営業キャッシュフローは2億8,500万円となっています。小売業においてPL、あるいは、業績が回復する時の先行指標が黒字転換したとご理解ください。

「小売業において」と表現したことについて、「カクヤスグループは卸売業に分類されているのでは?」と感じる方がいらっしゃるかもしれません。たしかに当社は卸売業に分類されていますが、ここには議論の余地があると思っています。

我々が卸売業に分類されているのは業務店との取引が多いためですが、そもそもお酒の最終消費者は一般家庭だけでなく、最後にビールの栓を開ける飲食店も当てはまります。我々は酒税法上、小売免許で業務を行っていますが、我々がもし卸売業であるならば、例えば商社のマージンと同程度の利益率になるはずです。

しかし、一般家庭用と業務用は数パーセントの違いはあれど、似たような売上総利益率ですので、みなさまには我々を小売業として見ていただくのが理解しやすいと思います。分類を変更する話もありますが、これについてはハードルが高いと感じています。

3.売上区分別概要 - 業務用

売上区分別に課題や取り組みなどをご説明します。スライドのグラフは、コロナ禍前と比較した業務用の客数・客単価推移を示しています。青色の折れ線グラフが客数ですが、コロナ禍前よりもお客さまが増え、100パーセントのラインを突破しています。これは、営業努力を重ねたことの表れであり、展開エリアでのシェア拡大が実現できています。

また、赤色の折れ線グラフの客単価は、コロナ禍で50パーセントだったところから、ようやく70パーセントから80パーセントあたりまで回復しつつあり、さらにひと伸びしてほしいところです。

業務用における客数と客単価の定義ですが、客数は月に1回以上のご注文があった飲食店の数で、客単価は1店舗で1ヶ月間にどの程度の注文があったのかを示しています。

飲食店における1ヶ月間の酒の消費量は、大きく2つの要因が関係しています。1つ目が「飲食店にお客さまがどのくらい来たか」2つ目が「来店したお客さまがどのくらいお酒を飲んだか」ということです。

コロナ禍以降は、大宴会を開くことは少なくなりました。残念なことに、お客さまの来店数も減り、盛り上がるほどの量を飲むこともなくなりましたが、今お伝えした酒の消費量がどこに影響しているかを次のスライドでご説明します。

3.売上区分別概要 - 業務用

業態ごとの売上推移として、個人飲食店とチェーン飲食店を比べると、コロナ禍の影響をいまだに強く受けているのはチェーン飲食店系だということが見てとれると思います。

コロナ禍が落ち着き、これから年末年始に突入しますので、宴会に客足が戻るかがポイントになると思います。

3.売上区分別概要 - 業務用

業務用において、会長の佐藤からこれまで「三層物流体制を目指す」という話をしていましたが、9月末に三層物流体制が完成しました。

これまでは家庭用と業務用で配送量を一定のバランスで差配していたところ、コロナ禍で家庭向けが伸びています。三層物流体制では、今後の需要に応えつつ、回復が見込まれる業務用配送にも対応可能なフレキシブルな物流体制の構築を目的としています。業務用の需要が戻りつつある今、なんとか間に合わせることができました。

3.売上区分別概要 - 家庭用

家庭用についてご説明します。家庭用は宅配・POSに区分されており、POSとは来店されるお客さまを指します。スライド左側にある宅配のグラフを見ると、青色の折れ線グラフで示した客数については、維持するという当初の目論見どおりに推移しています。一方でスライド右側のPOSのグラフでは、行動制限などがあった時期に比べると若干下がってきていますが、客数はほぼ横ばいです。

3.売上区分別概要 - 家庭用

家庭用宅配については「カクヤスネットショッピング」でのご注文か、コールセンターにお電話いただくかの2通りの注文方法がありますが、どちらも会員登録数は右肩上がりに伸びています。

さらに実際の利用者数を表すアクティブ会員数は、昨年7月にバナナマンによるテレビCMを放映した時に一度ぐんと上がっています。その後、盛り上がりは落ち着きましたが、今期に入りもう一度右肩上がりになりました。

3.売上区分別概要 - 家庭用

アクティブ会員数が再度右肩上がりとなった要因として、ブランド認知の強化のためにSNSマーケティングに注力したことがあります。例えば、この5月の「Twitter」のフォロワー数は9,400件でしたが、4ヶ月で約2倍の2万2,000件になりました。

「Twitter」ではバナナマンのテレビCMに注目する方もいれば、スライド右側のトラックやペット用品などの他の品揃えに着目する方もおり、特に若年層へのリーチが拡大できました。

今後は、SNSマーケティングを継続することもできますが、利益の状況を見ながらもう一度テレビCMも放映したいと考えています。

3.売上区分別概要 - 家庭用

さらに、ブランド認知については、リアル・デジタル・メディアの3つを複合させてこそ最も効果が出ると思っています。スライド右側には港北店や稲城店などを例に挙げていますが、リアルの店舗網でも、「KYリカー」19店舗の看板をピンク色の「なんでも酒やカクヤス」に変更しました。

リアルでも認知を広げ、さらに複合効果としてテレビCMの効果も高められる準備ができていますので、機会があればまたテレビCMを放映したいと考えています。

3.売上区分別概要 - 家庭用

看板をピンク色の看板に変更していくという施策では、九州の福岡県と長崎県で5店舗オープンしました。さらに全国に知名度を広げていくため、着々と準備を進めています。

4.2023年3月期 通期業績予想

これまでお伝えした取り組みや傾向を踏まえた上で、通期業績予想については5月12日の公表数値を据え置くこととしました。

まず、今年10月に取扱商品の価格改定を行い、価格を約10パーセント上げました。基本的にはメーカーの値上げがスタートとしてあるのですが、我々としてはお客さまが離反しない価格を検討し、改定しました。現在のところ、お客さまのご利用はほぼ想定どおりとなっています。

また、東京都でも「Go To Eat」キャンペーンが始まりました。当社でも紙による食事券を扱っており、比較的順調に推移しています。食事券を取り扱うことは、BtoCであるPOSのお客さまの来店が増えることに加えて、BtoBである飲食店や業務用のお客さまの応援にもなります。まさに一石二鳥の施策のため、現在注力しています。

さらに、これから宴会需要のある12月、3月がやってきます。現在、新型コロナウイルス感染症については第8波の懸念もありますが、通期予想は変更しないことにしました。営業利益は通期で前期比約40億円増としています。冒頭、半期で前期比20億円増とお伝えしましたが、残り半年間でさらに20億円伸ばし、通期予想を達成していきたいと考えています。

4.配当方針について

お伝えした業績などから、2023年3月期の中間配当金は1株当たり10円としました。

5.今後の課題と取り組み

今後の取り組みについてご説明します。業務遂行上、いくつか課題があるのですが、例えばスライドの「業務遂行上の課題」2段目に「品不足」と記載しています。これは、高級シャンパンなどが品薄になっているためです。

理由として、コロナ禍で日本は飲食店を閉めてしまいましたが、海外ではそのようなことはあまりありませんでした。そうすると、日本のマーケットでは商品があまり売れないため、ヨーロッパから別の国に回ってしまうという流れになってしまい、「ドンペリ」「ヴーヴ・クリコ」「モエ・エ・シャンドン」などのシャンパンが日本に入りにくい状況でこの年末を迎えることになります。

これに対しては、品が良く、高級感のある「ツァリーヌ」という新しい銘柄のシャンパンの輸入など、独自で新しいルートを開拓しています。年末に向けて、この「ツァリーヌ」など数千本を直接仕入れるルートを開拓しましたので、みなさまも機会がある時に、ぜひ「ツァリーヌ」をご用命ください。

スライド中央の青色部分は、資本政策の課題について取り組んでいるものです。その下のピンク色の部分は、ESG、ガバナンス上の課題として、サステナビリティなどについても着実に取り組んでいます。

ここまで、上半期についてご説明しましたが、下半期は上半期とは違った様相になると考えています。まずは業績回復、そして配当、事業拡大へと、一歩一歩進んでいきます。株主のみなさまには、引き続き応援をぜひよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。