2022年12月期第2四半期決算説明会
福井康夫氏(以下、福井):本日はお忙しいところご参加いただきまして、誠にありがとうございます。第2四半期決算の説明会ですが、私は先週土曜日から昨日までインドに行っていたため、インドの状況も後ほどご説明します。また、ショールームを新しくしましたので、そちらについても、簡単にご説明できればと思います。
一方で、先週、決算発表を行った1日で株価が15パーセントも下がってしまいました。その要因の1つに、3年前の中間決算が発表できなかったという背景があったように思います。その時は、監査が通らなかったため発表を延期した後、監理ポストに入ってしまい、監査法人を急きょ変更して、指定解除の申請を東証に提出し、なんとか上場を維持できました。あの時は、インドにおける混乱の中で株価も3桁になり、私もインドに行った時に「死んでしまう」と思ったくらいしんどい状況でした。
それを踏まえれば、ほとんどオンラインの進捗にも関わらずあれだけ株価が下がって、「うちの株ってこのような扱いになってしまったのか」と、怒りを通り越して感動したくらいです。しかし、下方修正したわけでもなんでもありません。3年前にインドであれだけ大変なことがあって、それを乗り越えて今がありますし、利益もその時の3倍以上出しています。当時ほど大変なことはもう絶対にないと考えています。
あの時は、ストップ安になり、監理ポストに入ったにも関わらず、銀行は1年半もの間まったくお金を貸してくれず、すぐに当座借越契約の締結に赴いてくるなど、とんでもないことがたくさん起きました。それらをすべて乗り越えてきていますし、今期の決算についても「予算は絶対達成できるはず」「達成してみせる」という気持ちで取り組んでいます。
今回は円安によって、IoTソリューション事業において利益率が下がりましたが、この2年半、コロナ禍で大変な思いをした企業は他にもたくさんあります。当社でも、覆面調査事業やマネキン事業の売上は約20パーセントまで落ち込みましたが、トータルでは伸ばして予算を達成して、利益も3倍になっています。要するに「変化対応」ということです。必ず今回も乗り越えて、予算は絶対に達成するという気持ちで臨んでいきます。
ハイライト
ハイライトです。
はじめに、第2四半期の連結売上高、営業利益ともに過去最高を連続更新しています。続いて、ミニショールームのリニューアルを行いました。毎週15社くらい、さまざまな企業さまをこちらにお呼びしており、特に消費財や食品メーカーの方々を中心に来ていただいています。
どのように催しを行っているかと言いますと、社内で「8階・ショールーム」というステータスを立ててスケジューリングしており、そこにどのようなメーカーの方が来るのかを全社員が把握できるようにしています。それをもとに、以前からお伝えしている「シナジー営業」として、同じお客さまに対して2社、3社がセールスを行い、さまざまなサービスをご提案できるように工夫しています。
連結損益計算書(YoY)
決算の概要です。スライド左側の欄を見ていただくと「HR」という欄がありますが、上からセールスプロモーション事業、こちらはグループ会社であるimpact connectの事業です。続いてラウンダーの事業、マネキン事業、BPO事業と、わかりやすく分けて記載しています。BPO事業は、セガサミーグループから買収したコールセンターなどの運営事業です。
「IoT」の欄がデジタルサイネージ事業、「MR」がマーケティングリサーチ事業と、それぞれ記載しております。
先ほどお話ししたように、マネキン事業やマーケティングリサーチ事業、後者は特に覆面調査について、コロナ禍で売上が約20パーセント、あるいは約30パーセントまで落ち込みましたが、他で伸ばしているものをしっかり取り込んで変化に対応したと思っています。
連結損益計算書(業績計画比)
第2四半期の状況です。売上は約69億円、営業利益は8億6,500万円ということで、しっかりと伸ばしています。予算についても、もともと下期偏重として、上期の営業利益の予算を8億円と社内で計画しており、それをクリアして上回っている状況になっています。
通期業績予想に対する進捗率
第2四半期までの進捗は、売上が約43パーセント、営業利益が約39パーセントです。昨年の進捗は売上が約44パーセント、営業利益が約40パーセントということで、たった1ポイントしか変わりません。それによって「15パーセントも株価が下がるなんて信じられない」と感じていますが、それについてもしっかりと対応していきたいと思っています。
セグメント別事業方針
セグメントごとの方針について簡単にご説明します。何を売るにしても、とにかく店舗DBが重要だと考えています。要するに、当社はデータベースマーケティングを行う販促会社だということです。
これをお客さまに対して明確に示すことで、売上も利益もついてきて、株価もいずれ上がってくるだろうと思っていますし、それがHRソリューションとIoTソリューション、双方の事業で効果を出しているとご理解ください。
HRソリューション事業 ー 増収増益
HRソリューション事業は非常に好調でした。特にラウンダーの受注が好調で、売上高・利益ともに伸ばしています。ラウンダーというのは、メーカーがどこの店舗に営業を行うのが一番効果的なのかを調査・検討し、営業代行する店舗数のご希望に対して業務設計を行い、営業を代行するサービスとしてご提供するものです。
例えば1万店舗を回るとして、そのうち2,000店舗はこちらの店舗に入れ替えたほうがよいのでは、月ごとに注力する商材によって店舗を変えるべきでは、などというご提案を継続して行っており、この取り組みによって大型のコンペにも勝てるようになってきています。
そのようなデータベースマーケティングを展開する販促会社は今までに1社もなかったということで、その領域を我々が切り拓いているからこそ、受注が拡大しているとご理解いただきたいと思います。
IoTソリューション事業 ー 増収減益
IoTソリューション事業には特機案件というものがあります。当社のエンジニアがすべてオリジナルで設計したものを深センで作って輸入する取り組みを行っており、受注した段階で建値が決まってしまっている案件です。
本来は、為替をフィックスすれば何の問題もなかったと考えています。今回は円安で利益を見込めなかった部分が大きく、一部の株主には「今時、為替をフィックスしないのは非常識だ」とかなり叱られてしまいました。そのようなイレギュラーがあったから利益率が低いということに尽きます。
最終的には通期で予算達成できるはずと考えて、進んでいきたいと思っています。
MRソリューション事業 ー 増収増益
MRソリューション事業は比較的順調です。特に第2四半期、第3四半期は、選挙関連の受注も積み上がってきていますが、この事業は、我々の強みである店舗DBを使った販促が難しい分野であり、大きく伸びるセグメントではないことをあらためてご理解いただきたいと思います。
連結貸借対照表
連結貸借対照表です。自己資本比率も50パーセント以上に回復しており、順調だと考えています。
渋谷本社オフィスミニショールームをリニューアル
事業のトピックスです。ミニショールームのリニューアルに関連して、新たなサービスをいくつか立ち上げている状況です。
まるごと催事の全国展開
「まるごと催事」は、当社子会社のサツキャリという札幌の派遣会社が立ち上げたサービスです。全国各地で、例えば人を派遣したり場所を確保したりすることがなかなか難しいものの、催事を行いたいというニーズに対して「それらをすべて代行しますよ」ということで、販売体制を構築するサービスです。
コロナ禍において販路の拡大を目指す中で、このようなサービスは非常に好評です。まだまだ会社全体の売上利益に貢献するわけではないですが、このようなサービスを地方から展開しています。
サツキャリという会社は、新卒13年目のメンバーが社長を務めています。そのような若手が新しくサービスを作って、いろいろな問い合わせを通じて事業拡大していることは、我々の未来にとっても非常によいことではないかと思っています。
新たな販促支援サービス「ファンサポ」提供開始
こちらも当社子会社のトピックスで、RJCリサーチが「ファンサポ」というサイトを開設しました。よりライトな覆面調査、店舗の買い回りを行おうということで立ち上げたサービスです。正確には9月から10月の立ち上がりを目指して、一生懸命に受注拡大を目論んでいるところです。
日本の流通小売及び販促プロモーション業界の現状
これまで何度かご説明しているとおり、現在、SDGs販促というものを全面的に打ち出しています。
インドでは「コロナは風邪だ」ということで、収束したものと認識されています。今年の春、バンガロールに非常に大きいショッピングモールができて、今回私も行って来たのですが、驚くほどたくさんの人が集まっており、何十年か昔の日本を彷彿とさせました。
こちらのスライドに、SDGs販促が必要とされるポイントを4つ挙げていますが、「日本において一番問題なのはオーバーストアなのだ」ということを、私はインドに行ってあらためて思いました。店が多すぎるのです。
需要に対して供給が多すぎるため、ショッピングモールが半分なくなったら、混むようになってよい感じになるのではないかと心から思いました。インドは店が少なく、特に日曜、月曜と独立記念日でちょうど休みだったため、かなりたくさんの人が詰めかけており、やはりオーバーストアを解消すれば人は来るはずだと思いました。
インドに関して、我々が「コンビニやるぞ」と言ったら、ある人は「インドはもう一気にECにいきます」と言いました。スマホを急に全員が持ったように「そのような小さいコンビニには誰も行かなくなりますよ」と言う人もいます。しかし、そうではないと思いました。やはり買い物体験などは、人間の根幹的な欲求だということを、あらためて気付かせてもらったと思っています。
そのような中では、やはり売り場の販促が鍵になります。コロナ禍によって、モールやドラッグストアにしてもとにかく優劣がはっきりしているわけです。コロナ禍が明けたとしても、混まない店は混みませんし、誰も行かないモールには誰も行きません。
しかし、行くところには行くわけです。ゆえに、同じような販促をリアルの店にしていたら、絶対にうまくいくわけありません。要は、機会ロスがたくさんあるようになってしまいます。
累計860万件を超える売場・販促活動データ (店舗DB)
したがって、我々の店舗DBを徹底的に回します。我々が蓄積している店舗の定量・定性のデータが昨年までで860万件、今年で1,000万件を超えます。これを徹底的に分析し、スライド中段にあるような公共のデータ、そして最新の店舗リストをマージしたものを我々は店舗DBと呼んでいます。
これをAIを使って分析し、「販促はここですべきですよ」「このような新商品はここで売るべきですよ」「全店なんて販促したらもったいないですよ。この200店舗は売れないから、こちらの200店舗でやりましょう」といった提案をメーカーに寄り添って徹底的に行っています。これが我々が使っている店舗DBです。
販促プロモーションの常識を覆すSDGs販促
それゆえ、我々の店舗DBのような考え方でいくと、流通には嫌われます。「うちは全店販促してくれよ」と言われます。我々は「このモールまったく入ってないから、販促しても意味がないからこちらにもっとお金を使いましょう」と、このような提案をしているのがポイントです。我々の販促は、あくまで食品メーカー、消費財メーカー、日雑メーカーなどに寄り添って仕事をしているのがポイントだと思っています。
販促の効率化とムダの削減、それをSDGs販促と呼び、徹底的に提案しています。
当社グループが実現したいSDGs販促の世界観
「ものの使い捨てをやめましょう」「販促を全店統一で行うのはやめましょう」「そもそも販促する店舗を、データベースマーケティングをしっかり行って決めましょう」といったことです。
そして、我々は今、広告代理店のようにいろいろなことができるようになっているわけです。メーカーからすると、我々に直接発注したほうが当然安いです。実は価格も非常に大事だと思っています。
今年、メーカーで一番大きな話題となったのは「値上げ」です。これでお客さまがどれだけ離れていくのか、もしくは店頭で何をしなくてはいけないかといった時に、やはり少しでも販促費を安くしたくなります。そのような時に、そうではなく、細かく我々と付き合えば、値段が抑えられます。
このようなわかりやすい話をして、聞かないメーカーはいないと思います。当たり前のように正しいことを提案しているわけで、これを徹底的に行います。
店舗DBを活用したSDGs販促事例
例えばサイネージを1,700台買いたい時、今までは単純に1,700台の見積りを提出していました。これに対し、1,700店舗分のここでこのサイネージを置くべきだという、店舗DBも無償で提供するといったことを徹底的に行っているわけです。
2,200店舗に対し、大きい店には大きい什器、小さい店には小さい什器を置きたい時、家電量販店の店舗リストも一緒に見積りを出します。このような什器などは言ってしまえば誰にでも作れるわけです。誰でも作れるから、結局今までは価格、「とにかく少し安くしろ」「あと5パーセント引け」となるわけですが、店舗DBを付加価値にし、徹底的に勝っていきます。
リノベーション什器を活用したSDGs販促事例
ちょうどそこに什器があるのですが、これは本当は捨てるはずの什器でした。捨てる予定だったものを、我々が回収し、脇に最新のサイネージを付けて再出荷したリノベーション什器です。このようなことも今後積極的に行っていきたいと思っています。
例えばリサイクルショップなども利益率が80パーセントほどあるわけで、同じような考え方を販促でもできるのではないかと思っています。このようなものも、お客さまに大変な好評をいただいています。
SDGs販促の推進 - 店舗DB利用企業数、プロジェクト件数の拡大
店舗DBの提供は順調に積み上がってくることと、もう1つは、同じクライアントに対してシナジーをしっかり推進していくこともポイントになっており、シナジーを生む文化作りを大事にしています。
我々もいろいろなM&Aをしており、7年前、8年前、サイネージの会社も買いました。マネキンの会社も買いました。しかし、今思うと真の意味でのシナジーはできていなかったと思います。M&Aなどをする会社はたくさんあると思うのですが、シナジーは本当に大変だと思います。
つまり、シナジーを生む文化作りはものすごく大事なのです。これは本当に自己犠牲の精神があるかどうかで、自社の売上よりも他社の売上が上がることを称賛する文化がないと、シナジーは本当にできないのです。
やはりシナジーは本当に簡単ではないとあらためて思いました。我々もこのような文化作りを大事にしながら、必ず成功していきたいと思っています。
中期経営計画2022-2026 - HRソリューション事業
これも以前からお伝えしているとおりですが、HRソリューション事業において、180億円のうち50億円はimpact connectというプロモーション企画を行う会社が成長していくイメージを持っており、ここが今後の我々の成長の非常に大事なポイントだと思っています。今期も一生懸命、そのような什器を作ったり、向こう側にキャンペーンを行うようなものを作ったりと取り組んでいるのですが、思うように伸びていない部分と、成功している部分と両方あります。
中期経営計画2022-2026 - IoTソリューション事業
IoTソリューション事業も同様で、販促と非販促、そしてオンラインを増やしていくということで、販促のサイネージでは我々のシェアが50パーセントくらいあるのですが、非販促のサイネージ、大型のサイネージのほうが市場は大きいです。したがって、いずれはそちらのほうが、2026年に向けて拡大していくはずだと考えています。
中期経営計画2022-2026 - MRソリューション事業
MRソリューション事業はスライドのとおりです。
販促・店舗DX推進
先ほどお伝えしたように、販促領域、非販促領域、ストックでしっかりと伸ばしていきます。
販促・店舗DX推進 - オンラインサイネージ導入拡大
オンラインサイネージもこの上期で5万台を突破しています。したがって、2026年に20万台と言っていますが、20万台になると10億円くらいのストックになります。2026年の100億円のうち、10億円はストックで入ってくるような対応をしていきたいと思っています。
インド・コンビニ事業概況
インドの話をしたいと思います。まず、今回インドについては資料から外しています。これは、やはりまずはインドなしで株価を、うちの会社を評価してほしいという思いで外しました。全部減損していますし、何十回も言っているのに貸倒も引当てていますし、プラスしかないのですが、なんだかんだ言って、インドが足を引っ張り、株価も相変わらず、PERも14倍か15倍で上がらない状況にあるため、外しています。
赤字やキャッシュを垂れ流しているわけではなく、P/Lが傷んでいるわけでもありません。つまり、あきらめる理由がないわけです。ゆえに僕はあきらめません。
例えば今回だって、13日から18日にかけて、普通だったら社長は休みを取ってハワイかどこかに行っているような時にインドに行ってきました。私が110パーセント、120パーセント働けば、1パーセント、いや、20パーセントくらいの可能性で、また花開く可能性があるため、推進するのです。「いつ撤退するんですか」というのは大きなお世話で、撤退などしません。お金を垂れ流しているわけでもないためです。
その20パーセントの可能性にかけて、私はなんとしてもがんばりたいと思っているのですが、状況としてはやはり非常に難しいです。
インド・コンビニ事業 - PepperTap Supermart
PepperTapという会社があり、これは2020年から事業を展開している、我々が目を付けたキラナという小さい店を小型のコンビニにしていくチェーンです。このPepperTapは2018年に作られ、1年と少しの間にBtoBのビジネスで1回倒産しています。
しかし2020年にもう1度資金調達し、2020年の1月か2月から出店を始め、2年半ですでに330店舗あります。これはつまり、この事業に可能性があるわけです。投資も非常に少なく済むし、店舗展開でフランチャイズを運営するのは、目を付ける所が一緒です。
インド・コンビニ事業 - Reliance Smart Point
例えば、インドの流通No.1のRelianceという会社があり、こちらも実は似たような事業を始めています。コンビニの横に、デリバリーポイントというものを作り、Relianceのアプリで購入されたものをそこから届けたり、キラナに売ったりといったことを、わずか2年くらいで展開しています。
バンガロールにあるのは残念ながら、写真にあるようにミニスーパーのようなもので、少しコンビニとは違う業態でしたが、実はRelianceはムンバイにセブン-イレブンも展開しています。しかし、Relianceは本気でセブン-イレブンに取り組む気はないと私は思いました。つまり、スモールコンビニのほうが絶対可能性があるということです。
このように、私としては本当にこのビジネスに可能性を見ているのですが、何度もお伝えしているように、貸倒引当金や減損があり、その可能性が5パーセントなのか10パーセントなのか20パーセントなのか、わかりませんが、それは少しでも追っていきたいと思っています。
今回もハイダラバードというところに行き、ある大手流通と交渉をしています。しかし、これは別として、今の株価が我々の店舗DBを中心としたSDGs販促という戦略の中で評価されるように、精一杯説明を繰り返していきたいと思っています。
店舗DB
先ほどお伝えした店舗DBです。これは下期に向けた取り組みです。
店舗DB利用企業数、プロジェクト件数の拡大
この7月末で175社、293データベースということで、今期は250社、500データベースを提供し、これのKPIができれば売上予算が達成できると思っています。順調に積み上がっています。
特に、先ほどお伝えしたラウンダーのコンペや引き合いにおいて、非常に効果を発揮しています。
事業領域と事業実績
続いて、シナジーについてです。我々はこれだけいろいろなことができるようになっており、非常にユニークなポジショニングになっています。それは先ほどお伝えしたように、競合が広告代理店のようになっているということです。しかし、プロモーションに特化した領域でこれだけのメニューを備えている会社は今のところないのです。
直接人も抱えており、サイネージにおいてはメーカーです。この抱えてきたポジショニングをさらに、先ほどお伝えした店舗DBのマーケティングを軸として、さまざまなソリューションを提供するという位置付けを、絶対に確立していきたいと思っています。
シナジーについても先ほどお伝えした文化作りも含めて順調に来ており、これを下期も対応していきたいと思っています。
質疑応答:店舗DBによる利益率の改善効果について
質問者:HRソリューション事業について、第2四半期の利益率が大きく改善していますが、店舗DBによる利益率の改善効果がどのくらいあったか、定性的なお話でもけっこうですので、ご解説いただけますか?
福井:やはり店舗DBが非常に大きく、例えば春先になると、コンペなどが入ります。年間契約なのですが、特に外資系の会社であれば、1年か2年に1回はコンペを行わなければいけません。我々もこの2年間くらい、店舗DBを全部提供しながら改善、改良を行ってきました。
同じクライアントでも、オリジナルの店舗DBをずっと提供していると、「この販促の施策は正しかったのか」「回るべき店舗はどこなのか」などという見直しを、3ヶ月に1回くらいの頻度で行っています。なぜコンペを行うかというと、当たり前ですが、先方もコストを下げつつ、よりクオリティの高い仕事ができる企業を探したいからです。
しかし、同じ仕事をずっと続けていると、必ず利益率は上がっていきます。なぜかというと、仕事が定常的に回るようになることにより、採用コストや見えないコストが減っていくからです。先方もそれを知っているため、「今年は昨年より3パーセント安くしてね」などと言ってきます。
しかし、それに対しては「嫌です」と言い続けています。なぜなら、店舗DBは全部無償で提供しているからです。「値下げなんて嫌ですよ。なんでそんなことしなくちゃいけないんですか?」とこちらが言うと、先方が何を言い出すかというと、「店舗DBだけよこせ」などと言ってきます。
「それも嫌です。仕事を伴っていないと嫌ですよ」ということを言うと、そのままの受注金額で仕事が来ます。そうすると、利益率が自然に上がっていきます。このようなことが実際に起きています。だから新規の受注で勝つこともあれば、継続していく中で利益率が上がっていくこともあります。
質疑応答:IoTソリューション事業の半導体の調達について
質問者:IoTソリューション事業についてご回答をお願いします。下期は受注の見通しが非常に好調ということですが、従来課題だと感じられていた半導体の調達について、下期と来期の見通しをおうかがいできますか?
福井:以前にもご説明したかもしれませんが、翌年の予算に応じて今ごろの時期に半導体、特に部材の中の半導体を中心に発注をしています。今期の予算は42億円くらいかなと決めており、そこまでの部材の確保はできています。そのため、そのような意味では今期の分は確保しています。
ポイントはやはり来期であり、これが非常に重要です。果たして来期はどのくらいの予算を立てるのか、それに応じてどのくらいの部材を確保するのかということは、ちょうど今精査して考えているところです。
前期と比べると成長は落ちているように見えますが、四半期ごとの3ヶ月に1回は開示しなければいけませんので、時期のズレや納品の遅れがあって当たり前です。しかし、店舗DXや販促のサイネージ化や、SDGs販促の流れが止まるということはありえません。当然、世の中はみるみるとそのようになっていきます。
さらに言えば、店舗DBという付加価値がありますので、販促の領域は絶対にすぐに我々だらけになると思っています。まだわずか15億円ですので、そのような心配は本当にぜんぜんないと思っています。
質疑応答:円安に対応したヘッジと、ストックの成長戦略イメージについて
質問者:2点質問があります。まず1点目は、円安という状況の中で、為替関連でヘッジの対応はなにかされていますかという質問です。2点目は、スライドの34ページのいわゆる課金型ストックのところで、積み上げていく成長戦略のイメージをもう1度おうかがいしたいと思います。
福井:為替のヘッジについては、先ほどお話ししたように、昨年受注した特機案件については行っておらず、一部の株主からお叱りの言葉を頂戴しました。そのため、これから受注する大型案件、特に特機案件についてはヘッジを行っていきたいと思います。
特機ではない案件は、ヘッジする必要がありません。普通の販促のサイネージは、値上げして、それを受け入れてもらえばよいからです。なぜ値上げできるかというと、店舗DBが付加価値になっているからです。
例えば、今まで「1,000台欲しいです」と言われて「1台あたり1万円で1,000万円です」と答えていた相手に「実は部材の値段が上がって、1台あたり1万1,000円になってしまったんです」と言うと「それでは900台しか買えないじゃないか」という話になってしまいます。しかし「その900台を効率よく効果的な場所に設置できる店舗DBがありますから」と伝えることで、値上げを受け入れてもらっています。
特機案件については、必ずこれからはすべてヘッジして、為替を確定して対応するということを徹底していきたいと思っています。
2点目のご質問の、スライドの34ページの成長戦略については、非常に重要ですのでぜひご理解いただきたいと思います。こちらはIoTソリューション事業のみの話です。今の我々のサイネージの収益は、販促のサイネージ、非販促のサイネージ、ストックという3層構造になっています。
販促のサイネージというのは、いわゆるメーカーに買ってもらって売り場に設置するというものです。非販促のサイネージというのは、飲食チェーン向けのオーダー端末や、メディアを扱う会社へのインフラの提供です。
ストックの説明をする前に、お話ししたいことがあります。もともと我々は、M&Aをするまでは販促のサイネージしか行っていませんでした。販促のサイネージは、今だいたい50億円くらいの市場で、我々は20億円以上売り上げています。
しかし本来であれば、非販促のサイネージのほうがずっと市場が大きく、1,000億円はあります。そのため、我々が100億円を売り上げる会社になるためには、やはり非販促の領域をとにかく拡大していかなければなりません。
3つ目のストックとは何かについてご説明します。配信の仕組みや顔認証の仕組みなど、我々が提供するSaaSの仕組みを利用してくれている会社があると、1台あたり月額約300円が我々に入ってくるようになっています。
それが今は5万台まで積み上がっています。5万台×300円×12ヶ月というのが、ストックにより入ってきている利益です。これが20万台になれば、20万台×300円×12ヶ月で10億円弱、という感覚で増えていくということです。
ただし、オンラインの端末というものは当然売り切りではないため、メーカーにとってもずっと負担はかかり続けます。なおかつ端末自体も高いため、すべてがオンラインに切り替わることはないと思っています。なぜなら、販促をオンラインに切り替えなくても、1ヶ月に1件くらいCMを流していれば、それでも十分だからです。
しかし、みなさまもスーパーに行って気をつけて見ていただくと、サイネージを見ることができます。実はカメラを使って、どのような人が商品を見ているのか、何人が通りかかったのか、何人が見ているのかなど、そのようなことを実はすべてカウントしています。
全店でそのようにしているわけではありませんが、例えば「重要な10パーセントの店だけは、オンラインで店頭、棚前の行動分析をしましょう」というご提案をしています。
「その10パーセントの店は、我々の店舗DBで選びましょう」「効果的な店はここです」「この店だけは10パーセントをオンラインにしてお客さまの動向をもっと調べましょう」と、このような提案をしており、評判がよいです。全店オンラインというとハードルが高くてお金がかかりますが、10パーセントだったら少し試してみようと考える方が多く、非常に好評をいただいています。
そのため、今は販促領域のサイネージが1番の収益の柱ですが、いずれは非販促領域がそれを抜いていき、ストックも積み上がっていきます。このような3層構造になっているということです。
質問者:ストックの積み上げを5万台から20万台へと増やしていくプロセスのイメージについてですが、そこに行き着くためのオンラインのサイネージは、販促領域と非販促領域の両方の部分から上がってくるという理解でよろしいでしょうか?
福井:素晴らしいご質問です。これは販促領域と非販促領域の両方です。
質問者:販促領域のマーケットサイズが50億円で、非販促領域が1,000億円という話でした。その1,000億円から売り上げを取りに行くということになると、この5万台から20万台へ増やしていくイメージというのは、どちらかというと、マーケットサイズが大きい非販促領域のほうに対して訴求していくという理解でよろしいですか?
福井:そのとおりです。現状では、5万台のうちだいたい半分が非販促領域です。その非販促領域にあたる会社が具体的になにを行っているかというと、広告運用をしている会社です。
そのような会社は今、広告がなかなか入らないというような話もあります。しかし、例えば美容室に置いてあるサイネージはうまくいっています。また、タクシーのサイネージも、みなさまもご存じのようにうまくいっています。
なにがポイントかと言いますと、やはりターゲティングがしっかりできるメディアというのは生き残ると思います。美容室の棚を見る人は多くの場合F1層であるように、ある程度ターゲット化ができます。タクシーについても同様です。そのようなメディアは効果的だと判断して、メーカーの広告出稿も増えていくのではないかと思っています。
質疑応答:株価の大幅下落について
質問者:株価が大幅下落になっていて、お怒りだというお話でした。
福井:我々はボラティリティが激しいです。機関の方に「なぜそんなにボラティリティが激しいんですか」と聞かれて、「そんなこと知るか」と思いました。その人に言われたことは要するに、インドであのような混乱もあり、ストップ安やストップ高などと言われていて、すでにそのような印象がついてしまったのではないかということです。
そのため、小さなことであってもみなさまが過敏に反応して、株価が下がったり上がったりします。しかし、それも仕方がないことだという感じがして、運命かなと思っています。
質疑応答:業績値の進捗について
質問者:個人的には、今回の業績値を見て、御社には年末商戦等で業績の季節性があるため、ぜんぜん問題のない進捗だったのではないかと思いましたが、そのような点からはいかがでしょうか?
福井:先ほどお話ししたように、進捗も我々の想定どおりですので、まったく心配していません。年末に向けて、受注も順調に積み上がっています。
質疑応答:HRソリューション事業の業績好調の要因について
質問者:HRソリューション事業についてお聞きします。今回の第2四半期の業績が非常に好調だったということですが、稼働人数や案件数のような数量ベースのものが寄与しているのか、それとも案件あたりの単価なのか、そのあたりを教えていただけますか?
福井:第2四半期までは、案件あたりの単価もしっかりと確保できていると思っています。ただし、第3四半期や第4四半期で今いただいてる案件は、稼働の件数が非常に大きい規模の案件もあるため、そのような意味ではトータルすると両方だと思います。やはり稼働が増えていくと原価も下がってくるという構造になっています。
また、先ほどお話ししたように、単価が下がらないように、店舗DBを基にして値下げ交渉に応じない姿勢を徹底することで、利益の確保ができるのではないかと思っています。
質疑応答:メーカーサイドのプロモーション意欲について
質問者:全般的なところになるかと思いますが、御社の主要なお客さまであるメーカー各社では、最近はさまざまなものの値上がりによって原価が上がっており、業績にもその影響が出る可能性がある状況になっています。そのため、販促や広告の予算が縮むかもしれないと思うのですが、メーカーサイドのそのようなプロモーションの意欲はどのように感じられているか、教えていただきたいです。
福井:そこは非常に重要な点です。我々は創業してからずっと、販促というところを相手にしています。これまでに、リーマンショックや東日本大震災などがありました。そのような時、やはり広告宣伝費というのは簡単に削られます。
広告宣伝と販促ではお金の性質がぜんぜん違います。広告宣伝というのは、目に見えないコストといいますか、効果がはっきりとわからないものです。一方、販促というのは、店頭あるいはWebでものを直接的に売るためのものです。POSが上がれば売れた、POSが下がれば売れなかったということです。
なおかつ、ダイレクトマーケティングをしているところは別ですが、相手が流通であれば、例えばイオンを相手に「今期は業績が悪いため販促費は半分でお願いします」ということは言えません。そのため、基本的に販促費は本当に下がることがありません。
しかし、先ほどお話ししたように、やはりしっかりと丁寧に使わなければいけないというニーズは非常に高まります。値上げの可能性もありますし、当たり前ですが、無駄なことはやめておこうということになります。そのため、「我々に発注してください」ということに尽きると思っています。