ミッション
宮下尚之氏(以下、宮下):代表の宮下と申します。よろしくお願いいたします。それでは、第2四半期の決算についてご説明します。
はじめに、当社は「人の数だけ、キャリアをつくる。」をミッションに掲げています。このミッションは、仕事選びに関するあらゆるデータがないという課題意識からできました。このようなデータを「キャリアデータ」と呼んでおり、当社がデータを公開することによって、誰もが自由に働き方を選択できる社会を目指しています。
個人の就職活動のパラダイムシフト
宮下:ミッションの実現によって起こる変化についてご説明します。まずは個人の就職活動についてのパラダイムシフトです。
1つ目は「『点』の就職活動から、『線』の就職活動へ」の変化です。キャリアに関するあらゆる情報が可視化される「キャリアの地図」で、個人の目標に合わせて最適なキャリアを設計できます。
2つ目は「『高コスト』な就職活動から、『低コスト』な就職活動へ」の変化です。個人にとって最適な企業やコンテンツがレコメンドされることで、人生のステージにおいて、個人に合ったキャリアを効率的に選択できます。
3つ目は、「『一律』な就職活動から、『選択可能』な就職活動へ」の変化です。個人の経験や就職活動の状況に合わせた選考プロセスや、個人のペースに合わせた入社タイミングを選択することができます。
企業の採用活動のパラダイムシフト
宮下:続いて、企業の採用活動におけるパラダイムシフトです。1つ目は「『選ぶ』採用から、『育てる』採用へ」の変化です。内定につながらなかった求職者のデータを毎年失っていくのではなく、長期的に接点を持ち続けることで将来の採用機会に繋げられます。また、過去のデータを資産として活用することで、採用コストが削減できます。
2つ目の変化は「『企業最適』な採用から、『求職者最適』な採用へ」の変化です。企業都合ではなく、求職者にとって最適化されたタイミングで、求職者のインサイトを捉えた最適なアプローチができます。
3つ目は「『画一的』な採用から、『個別最適』な採用へ」の変化です。テクノロジーを活用することで、求職者の能力や志向に合わせた個別最適な選考プロセスを設計でき、ミスマッチな採用を低減できると考えています。
これまでは仕事選びに関するデータがなかったことで課題を解決できなかったのですが、当社のキャリアデータを使うことで、変化を起こし、ミッションの実現を目指していきます。
当社概要
宮下:事業内容です。当社は2015年8月に設立し、今週で設立7周年を迎えました。事業内容としてはキャリアデータプラットフォーム事業を行っておりますが、後ほどご説明します。社員数についても後ほど詳細をご説明しますが、現在105名です。
経営メンバー
宮下:スライドに取締役のメンバーを記載しています。特徴としては、人材業界出身者がほとんどいないことが挙げられます。また、7名の取締役のうち4名が社外取締役となり、ガバナンスを強化しています。
経営メンバー
宮下:続いて、執行役員です。30歳前後の若いメンバーが多いことが特徴として挙げられます。
サービス一覧
宮下:サービス一覧についてご説明します。現在は、人事向け採用クラウド「ONE CAREER CLOUD」、中央の新卒採用メディア「ONE CAREER」、一番右の中途採用メディア「ONE CAREER PLUS」の3つのサービスを運営しています。
我々が「キャリアデータ」と呼んでいる、これまで可視化されていなかったデータを活用することで、求職者と人事それぞれの意思決定をサポートしています。
ビジネスモデル
宮下:こちらはビジネスモデルです。左から順にご覧いただくと、求職者の方々が会員登録をして、当社から求職者の方々にサービスを提供します。また、許諾を取って求職者からデータを提供していただき、そちらを使ってビジネスを展開しています。
当社がサービスを提供することで、企業が求職者に募集を出し、それに対する料金を支払っていただいています。右側に記載のアライアンスパートナーとは、いわゆる同業他社で、求職者がワンキャリアに登録する際に、他社にもサービス登録していただき、その登録数に合わせて料金を支払っていただくようなビジネスモデルです。
市場の成⻑ポテンシャル
宮下:中長期の戦略についてお話しします。まず市場の成長ポテンシャルについてです。
新卒採用領域が1,200億円、中途採用領域が6,000億円の市場規模になっています。こちらに派遣やアルバイトの領域を含めると、すべての人材サービスで8.6兆円のマーケットがあります。非常に広大なマーケットとなっており、成長ポテンシャルは高いと考えています。
契約数の拡大
宮下:契約数の拡大についてです。当社が対象とする顧客は3万社強あると考えています。その顧客を大規模、中規模、小規模の3つのセグメントに分けて考えています。
スライド左側のピラミッド図をご覧ください。採用人数ごとに規模を分けており、1年間の採用人数が51名以上の企業は大規模、11名から50名の企業は中規模、10名以下の企業は小規模と定義しています。すべての規模において利用企業カバー率が広がっており、成長余地があると考えています。
大規模のお客さまに関しては、これまでの商品や営業手法で拡大できると考えています。一方で、中小規模のお客さまに対しては、これまでご要望があった「スカウトサービス」を2022年2月にリリースしています。これによって、さらなるマーケットシェア拡大が望めると考えています。
利用顧客
宮下:利用顧客についてです。各業界のトップ企業にご利用いただいていることが特徴となります。これもひとえに、当社の「キャリアデータ」へたくさんのご要望をいただいているためだと考えています。現在の日本の時価総額ランキングトップ100のうち、約50パーセント以上の企業がご利用されている状況です。
学生から支持を集める新卒サービス
宮下:新卒サービスの「ONE CAREER」についてご説明します。スライド中央には、1年を通して最も利用した就職サイトという調査の推移を示しています。
現在、リクルートの「リクナビ」を抜き、「マイナビ」に次いで2位に位置しています。3年連続で2位を獲得しているのですが、1位を目指していきたいと考えています。就職活動の情報収集・選考対策ツールとして、これまでと異なる地位を確立できたことが、2位という結果につながっているのだと思います。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):「リクナビ」「マイナビ」は昔からあったと思いますが、直近のランキングでは御社が2位まで上がっているということですね。「リクナビ」「マイナビ」とのサービスの最大の違いについて教えてください。
宮下:社内では「エンドユーザーファースト」と呼んでいるのですが、求職者が最も欲しいサービスを作ることで、2位という結果を達成できたと思っています。
例えば、大学生の方がトヨタ自動車に入社したいと思った時に、これまではトヨタ自動車のコーポレートサイトに掲載されているような、選考がいつ始まるのかといった情報ぐらいしか入手できませんでした。詳細を知るためには、OB訪問や先輩の内定者からいろいろと話を聞くことで情報収集していたと思います。
「ONE CAREER」では、例えばトヨタ自動車に年間で何名入社しているか、自分の大学の卒業生がどれくらいいるのかといった情報も公開しています。また、1次面接で先輩たちが何を聞かれてどう答えたのかといった、求職者が実際に体験してどうだったのかという情報を一同に集めることで、今まで限られた人しかアクセスできなかった情報を公開することができました。
公開当初から「これが欲しかった」と、登録する方がいたことが非常に大きい要因でした。
坂本:私が就職活動をしたのは2002年頃ですが、その少し後から面接で何を聞かれるかといった就活の情報がネットに掲載されてきました。そのような情報が就活サイト上にポータル化し、一括して得られるようになったことは大変助かると思います。
宮下:2000年代は掲示板サイトからの情報が多かったと思いますが、情報の半分ぐらいがゴシップや嘘でした。
坂本:志望者を減らすためにわざわざアンチコメントとか書く人もいましたね。「本当か?」と思いながら見ていました。
宮下:そのようなサイトには情報の真偽がわからないといった課題がありました。トラフィックは多いけれど、結局実態がどうなのかわからないという状況でした。
当社のサービスは、投稿されている内容に関して、すべて社内で検閲しています。投稿者も、大学のメールアドレスまたは大学の学生証がないと基本的に登録できないようになっています。「半実名」と言っているのですが、裏側では誰が書いたのかがわかっており、それに対して公開するかどうかを決めているため、確かな情報が掲載されていることがこれまでとの違いだと思います。
坂本:情報の質が高いということですね。トヨタ自動車の採用人数などのデータも、御社が整備されているのですか?
宮下:基本的には学生が投稿した情報から公開しています。それ以外については、企業の公開情報や当社が独自に調べた情報が掲載されています。
坂本:まとめると、「リクナビ」などの他社サイトは、企業が公開した情報を掲載して応募を促しているのに対し、御社のサイトは体験者の生の声などの情報を掲載しているのが強みということですね。
宮下:おっしゃるとおりです。
坂本:他にないサイトという強みがランキングの順位を押し上げた背景だと思いますが、知名度を高める際には、当然クチコミもあったと思います。学生のリーチ数を上げるために、広告などを出して増やしていったのでしょうか? また、今でもそれが続いているのでしょうか? 広告宣伝費を増やしているのかも含めてお聞きしたいです。
宮下:実は、創業当初から広告宣伝はほとんど行っていません。2018年、2019年ぐらいから渋谷駅に、いろいろな会社のエントリーシートを公開したり、直近では就職活動の七不思議といった本当に正しい情報なのかわからない都市伝説が実際にどうなのかデータで検証するようなことを、キャンペーン的に打ち出したりしました。いわゆる獲得型の広告というよりも、社会に対して課題を提示していくような広告活動を行っています。
広告宣伝費の比率に関しては、BtoCの広告はほぼ横ばいで推移して、ほとんど増えていません。
求職者会員数の獲得率
宮下:大学生の求職者の獲得率についてご説明します。現在、年間で約51.4万人が就職すると言われており、そのうち56.6パーセントの方々が当社のサービスに登録している状況です。特に都市部、東京や関西などの有名校、旧帝大や早慶、MARCHといった大学の学生は、ほぼ100パーセントの方が登録しています。
新卒採用マーケットでの伸び代
宮下:新卒採用マーケットでの伸び代についてご説明します。左から順にトラフィック、売上、掲載社数のグラフです。
「ONE CAREER」は大手2社と比較すると、トラフィックが3分の1程度まで拡大しています。しかし、大手2社は数百億円単位の売上があるのに対して、当社の売上は昨期で19億円でした。
掲載社数に関しても、大手2社が2万社前後ある中で、当社は1,000社強ですので、まだまだ成長余地があると思っています。トラフィック自体はずっと伸びているため、トラフィックに応じて掲載者数や売上も伸びていく余地があるのが見て取れるかと思います。
坂本:ユーザー数のシェアに比べて取引社数が少ないことについては、先ほどのご説明にあったように、早慶や旧帝大、MARCHなどの学生の登録者の割合が高いことから逆算して考えると、おそらく大企業が多く掲載されているのだと思います。ユーザーシェアの背景と今後の取引拡大に向けた施策を教えていただけますか?
宮下:1つ目のユーザーシェアが大きいということに関しては、本当に想定よりも早くシェア拡大が進みました。口コミもそうですし、今までになかったサービスということで、たくさんの方々から一気にご利用いただきました。もともと我々の戦略はBtoCで、まずは求職者の方々にとって、なくてはならないサービスになることです。
坂本:どちらかというと求職サービスではあるものの、まずは情報収集に必須なサービスとして、ユーザーシェアを取りに行きたかったということでしょうか?
宮下:おっしゃるとおりです。したがって、学生のユーザーシェアで圧倒的な地位を獲得し、また、利用者が多くなれば、企業側でも必ず採用広告を出稿してくださいますので、営業戦略上、まずはBtoCを一気に広げたということです。
2つ目の、今後の顧客拡大をどのように行っていくのかについては、非常にオーソドックスに進めることになると思います。実は2018年ぐらいまで営業活動はほとんどしていませんでした。それまでは、お問い合わせがあったお客さまとやりとりするという、ほぼインバウンドのかたちで顧客を獲得していました。
2018年から2019年くらいから、いわゆる営業担当が企業に訪問して社数を獲得していくかたちになってきたので、本当にこれから伸ばしていくところです。また、地方のシェアを伸ばしていくことが、今後の戦略上は重要になると思っています。
FY26売上高100億円、営業利益率30%を目指す
宮下:ここまでが成長ポテンシャルについてのお話でした。ここからは、中長期の戦略についてお話します。スライドに記載しているとおり、 FY26で売上高100億円、営業利益率30パーセントの達成を目指しています。
坂本:今後の業績としては、かなり強気の予想ではあると思います。来期以降の中長期の業績見通しについて、また実際に出稿する会社への営業数が増えるかもしれませんので、このあたりの売上部分を含めて、売上の成長率や利益率を教えていただけたらと思います。
FY26へのパスと言いますか、目標への過程において、どのようなカーブを描くのかを含めてイメージしたいと思いますので、施策を含めて教えてください。
宮下:基本的な考え方として、売上高の成長についてはCAGRプラス40パーセント以上を続けていますが、基本的にこの成長を維持していくことを大前提としています。先ほどご覧いただいたとおり、トラフィックの数や伸びに対して、掲載社数がまだ追いついていませんので、40パーセント成長の維持というのは、FY26まで十分に可能だと思っています。
もう1つ、営業利益率の考え方については、我々は広告宣伝で拡大していくモデルではなく、ユーザーの口コミなどをより効率的に収集すると、進めば進むほどデータ量が大きくなり、ソフトウエアの効率もどんどん上がりますので、広告宣伝費活動や原価は徐々に低減していっています。その結果、営業利益率も上がるという考え方です。
平均すると年率で約2パーセントの改善となりますが、2パーセントずつ順次改善していくわけではなく、この5年間で必要があれば投資も行います。営業利益率20パーセント程度を保ちつつ、30パーセントを出せるような体制を構築していくという考え方です。
事業展開のマイルストーン
宮下:スライドは事業展開のマイルストーンになります。現在、新卒採用領域から中途採用領域へと事業領域を広げています。今後は新卒や中途の採用だけでなく、アルバイトや派遣、またそれ以外に、教育領域にも目を向けています。
坂本:こちらは今の事業基盤があれば、実際すぐに広げられるものなのでしょうか? 想定やパスのようなものを教えていただけたらと思います。
宮下:今、一番注目しているのは教育領域です。我々のキャリアデータを公開した結果として、人事や求職者の方はもちろんですが、例えば就職活動を控えたお子さまをお持ちの親御さんからも「見せてほしい」「なぜこのような情報を一般に公開しないんだ」と、お問い合わせをいただくようになりました。
我々としては、大学生などの求職者の方々へ向けて、しっかりとサービスを提供したいという思いがあり、大学生に限定して情報を公開しています。しかし、20年前や30年前とは会社がまったく異なりますので、親御さんとしては子どもがどのような会社に入るのかをきちんと事前に知りたいのです。
坂本:私は就職先が決まるまでは放って置かれていて、親に「ここに決まったよ」と言ったら「そこはだめだ」と返されたので「もっと前に言ってくださいよ」と思いました。それが今や、どんどん過保護になって、親御さんは就職活動の最初の段階から興味があるのですね。そうなると、親御さん向けの企業セミナー開催なども可能性としてはあるのでしょうか?
宮下:そのとおりです。我々としては、できればソフトウエアで情報を提供していきたいと思っています。特に、直近約5年の間に設立したようなスタートアップ企業に就職する方も増えていますので、そうなると親御さんは事業内容も評判もわかりません。我々は新しいソフトウエアとして、そうした情報を得られるデータとして期待されているところが大きいため、親御さん向けのセミナーというのもアリかと思っています。
また、大学や高校、中学といった学校の先生方からも、進路指導やキャリア面談で情報を使いたいというお声をいただいています。そのため、大学機関や先生方向けにサービスを提供することも考えたいと思っています。
坂本:そちらもデータで提供されるかたちでしょうか? スコアのようなイメージになるのでしょうか?
宮下:そのあたりはまだ未確定でして、みなさまのニーズに合わせて作っていきたいと思っています。もちろん、セミナーなどのリアルで接点を持って提供するという案もありますが、均一に正しい情報を提供していくために、基本的にはソフトウエアを中心に考えています。
坂本:データ中心になるということですね。
宮下:おっしゃるとおりです。
坂本:おもしろいですね。口コミの部分があるため、ある程度担保されたデータや情報が提供できるというところも強いですね。
宮下:データ量としては圧倒的です。大学生の方々が今それぞれの企業をどう評価しているのか、また中途採用のサービスも始めていますので。入社した方がどうしているのかという、キャリアを連綿と続くものして捉えて、みなさまにご提供することができるようになってきています。まだサービスの時期などは決まっていないのですが、ご期待いただければと思います。
キャリアデータを活用した提供価値
宮下:先ほど少しお話しした、キャリアデータを活用した提供価値について、BtoBとBtoCにそれぞれ分けてご説明していきたいと思います。
採用DXを推進する「ONE CAREER CLOUD」
宮下:まず、BtoBの戦略です。企業に対して採用活動を支援する「ONE CAREER CLOUD」シリーズというサービスを提供しています。現在「ONE CAREER CLOUD」では、求人掲載、採用計画、オンライン説明会という3つの機能を主に提供して、企業の新卒採用活動のDX支援を実施しています。
採用DXを推進する「ONE CAREER CLOUD」の機能拡張
宮下:「ONE CAREER CLOUD」の今後の機能拡張について、より詳しくお話ししたいと思います。スライドに示した円フラグの左側が現在の機能となっており、集客機能がメインです。2022年2月にスカウトサービスをリリースしました。ダイレクトリクルーティングという言葉がよく聞かれますが、我々もそのような機能を実装しています。
今後は集客機能だけでなく、円グラフの右側のように応募者を管理する仕組みや、人事、労務の領域にまで事業展開することにより、人事のみなさまにより多くの価値を提供できると考えています。
顧客の利用事例
宮下:参考までに、顧客の利用事例をご紹介します。大前提として、我々は契約数と契約単価でビジネスを見ています。
スライド中段の基本プランとオプションの項目をご覧ください。求人掲載を基本プランとして、オプションでさまざまな商品を提供しています。
例えば、モデルケースAは4ヶ月間の求人掲載をご利用いただき、300万円のオンライン説明会を3回と、それ以外に200万円のオプションをつけて、1,250万円の費用をいただくようなケースです。
求職者がデータを活用してキャリアに向き合う時間を創出
宮下:BtoCの戦略についてご説明します。先ほども少しお伝えしたとおり、現在は、新卒採用領域でスライド中央に記載の「ONE CAREER」を、転職領域で右側の「ONE CAREER PLUS」というサービスをそれぞれ提供しています。
今後は、キャリアに関する情報を教育観点で提供するような、キャリア教育サービスをリリースしていきたいと考えています。このサービスによって、求職者がデータを活用してキャリアに向き合う時間がさらに創出できると考えています。
オンライン企業説明会「ワンキャリアライブ」
宮下:コロナ禍で急拡大したオンライン企業説明会「ワンキャリアライブ」についてご説明します。「ワンキャリアライブ」は求職者のニーズをとらえて急成長しており、累計でこれまで1,100回以上のオンライン説明会を実施して、延べ150万人以上の方々にこのイベント経由で企業求人へ申込みをいただきました。
直近2年間で始めたサービスですが、大学生の就職者数が年間で51.4万人ということを考えると、かなり多くの方々にご利用いただいていると思います。「YouTube」にチャンネルも開設しており、現在3.9万人以上のチャンネル登録者がいます。こちらも新たな会員獲得のチャネルとして、非常にワークしていると思っています。
坂本:「ワンキャリアライブ」は、企業の内側の話を聞けるものだと思っていますが、そのあたりについて教えていただきたいです。また、個人的にはオンライン説明会のようなものかと思いましたが、どのようなステップで企業の求人につながるのか教えていただければと思います。
宮下:1つ目の質問についてですが、中身としては一方的に話す説明会ではなく、本セミナーのようにプロのアナウンサーが司会として付いて、企業が自身で気づいていない魅力を我々のほうで引き出すという、いわゆるニュース番組や情報番組に近いものです。しっかり企画して台本も作った上で、企業説明会を開催しています。
他社でもこのようなオンライン型の企業説明会を行っています。ただ、我々と他社との一番の違いはキャリアデータになります。この1週間で学生に一番ニーズがあるのは何か、どの口コミを一番見ているのかがわかります。
例えば、今週はIT企業の選考が非常に活発ですが、あまり見られておらず、注目度が高まっていません。なぜかというと、昨年と違って他の業界に人が流れているためです。人事の方々に「なぜこんなに人が流れているのですか?」や、またはメーカーの方々に「今年はメーカーへの注目が増えていますよね」と聞くなどして、リアリティのある情報をタイムリーに提供でき、それによって他社とは圧倒的にコンテンツのレベルが異なるのです。
坂本:学生が何を求めているのかを説明できるため、コンテンツ力が非常に高いということになるのでしょうね。
宮下:おっしゃるとおりです。逆に「今、学生の中で御社についてこのような意見がありますが、実際にどうなのですか?」といったようなことも聞くことができます。
坂本:フィードバックもできるというのは面白いですね。おそらく、それを見て企業質問を考える人がいるのだろうと思います。
宮下:おっしゃるとおりです。
増井麻里子氏:こちらの説明会はコロナ禍前から実施されていたのでしょうか?
宮下:コロナ禍前は企業の方々が自社説明会をオンラインで行うことが基本的にありませんでした。「YouTube」チャンネルでもいろいろな説明会を見てみると、基本的に2020年3月以降のコンテンツなのです。コロナ禍になって、オンライン説明会を行わざるを得なくなった際、最初は丸1日無料で企業説明会を行っていました。
企業の方が「来てください」というのでおうかがいすると、自社でZoomを使ったことがないような企業も多かったです。そのような企業が一気に集まって、武道館ライブのように数万人が1つのイベントに参加します。これが我々のキャンペーンのように働いて、「オンライン説明会ならワンキャリア」というブランドができました。
坂本:今までの合同説明会は、対面だけれども得られる情報は限られるため、そのようなところで優位性があったということですね。
宮下:おっしゃるとおりです。我々も合同企業説明会を行っていましたが、1回あたり約数千人の参加があっても、1つのブースでリアルで見られるのは数百人くらいまででしょう。
坂本:加えて、特定の企業に人が集中しますよね。
宮下:おっしゃるとおりです。やはりオフラインですとあまり環境もよくないです。オンラインでは、一律の環境で同じ画面で、みなさまで同じコンテンツを見られます。それを最初にできたのが大きかったと思っています。
2022年12月期 第2四半期決算 サマリー
宮下:ここからは業績ハイライトをご説明します。はじめにサマリーです。詳細は後ほど、それぞれのスライドで一つひとつご説明します。
業績予想に対して、売上と収益、そしてKPIは順調に進捗しています。安定して多くの新規取引社数を獲得したことにより、法人取引累計社数が前年同期比プラス60.6パーセントとなりました。また、会員数も堅調に伸びて、累計会員数が前年同期比プラス35.8パーセントとなっています。また、第2四半期でも中長期の成長を実現するための各種取り組みを推進しています。
通期業績予想に対する進捗率
宮下:こちらは、通期業績予想に対する進捗率です。すべての指標において、通期業績予想に対して順調に進捗しています。各指標の詳細については、次ページ以降でご説明します。
売上高の推移
宮下:売上高の推移です。第2四半期の売上高は順調に進捗しています。例年同様に、採用の繁忙に起因する売上変動の季節性があり、売上の比率としては第2四半期と第4四半期が大きくなります。スライド右側をご覧いただければと思うのですが、結果として、通期で前年同期比プラス40パーセント以上の成長ペースを維持する見込みです。
中途採用マーケットの拡大に伴うキャリアデータのニーズの高まり
宮下:なお、採用の季節性とお伝えしましたが、こちらについては、2022年12月期第2四半期決算説明資料の55ページで補足しています。よろしければ、ぜひご覧ください。
営業利益の推移
宮下:営業利益の推移についてです。第2四半期の営業利益は、前年同期比プラス47.7パーセントと、計画の範囲内で進捗しています。
当初は第1四半期から第3四半期で、主に法人顧客獲得のための投資を想定していたのですが、獲得効率の最適化を重視しました。上期では過剰な投資を回避し、下期に効率的な投資を行うことに変更しています。その結果、スライド右側をご覧のとおり、売上と同様に、通期では前年同期比プラス40パーセント以上の成長ペースを維持する見込みです。
坂本:スライドには「法人獲得のための経費」とあるのですが、主に広告費になると、結局は黒字にしないといけないと思います。この時期は中途採用する部分もあると思うのですが、人材に充てる割合を変更したという意味かと個人的には思っています。そのあたりを含めて獲得投資について教えていただけたらと思います。
宮下:まず、こちらは広告費に限定するのですが、獲得効率がよかったものと悪かったものが、非常にはっきり分かれます。
坂本:媒体や方法によってですね。
宮下:おっしゃるとおりです。よかったものだけを残して投資した結果、当初想定していた社数のお客さまに十分アプローチすることができたため、効率が悪かったものをすべてばっさり切ったということです。
ただし、この分の広告費が浮いてしまいました。そちらについては、もともと出稿を予定していたところがありましたが、そちらに投資せずに、もう少ししっかり選定した上で下期に投資することで、下半期の売上や、ひいては来期の売上を先んじて創出できるような広告投資を行いたいと考えており、効率の悪かった広告については、すべて切ったということです。
坂本:営業の人員は、あまり変わらない状況でしょうか?
宮下:そうです。この後のスライドで人員数も出てくるのですが、営業人員については順調に増えており、むしろ採用については、しっかり前倒しで推進できていると考えています。
損益計算書
宮下:こちらはP/Lです。売上高から純利益まで堅調な成長率を維持できており、スライドをご覧になれば、通期業績予想に対して順調に進捗していることがわかるかと思います。
貸借対照表
宮下:B/Sです。第2四半期末時点で、約25億円の現金および預金を保有しています。純資産比率も68パーセントとなっており、財務健全性は高い状態だと思います。
広告宣伝費の詳細
宮下:こちらのスライドは、先ほどご質問いただいた広告宣伝費の詳細になりますが、2021年12月期までは、広告宣伝活動は主に求職者の方々に限定して行っていました。
第1四半期の説明資料でもお伝えしているとおり、今期からは法人の顧客開拓をより強化しています。今までも少し行っていたのですが、こちらに大きく投資を進めています。その結果、広告宣伝費の通期の総額については、前年同期比プラス100パーセントとなる想定です。
人件費の詳細
宮下:こちらも先ほどご質問いただいた人件費のところです。社員数と記載しているのですが、今は新卒、中途採用ともに売り手市場の中で、従業員数を非常に安定的に増やせていると思います。継続的な事業成長に向けてリソースを確保することで、しっかりと成長を牽引できていると思います。
4月には新卒で13名の方々が入社し、第2四半期末時点で、正社員数が初めて100名を超えています。今期末では、だいたい110名から120名前後まで正社員数を増やすことを想定しています。
法人取引累計社数の推移
宮下:事業KPIについてご説明します。法人取引の累計社数についてですが、新規取引企業を安定的に獲得し、前年同期比プラス60.6パーセント伸長し、1,256社に到達しました。
求職者会員数の推移
宮下:次に求職者会員数の推移です。前年同期比プラス35.8パーセントで伸長し、累計で119万人となりました。はじめにお伝えしているとおり、当社しか持たないキャリアデータのニーズが非常に高まっており、学生からの大きな支持を受けた結果だと考えています。
膨大なキャリアデータ
宮下:実際のキャリアデータの保有社数についてです。キャリアデータの保有社数は1万社を超えています。つまり1万社以上の企業について、求職者が投稿した何らかの情報や、我々が作った情報があるといった状況です。
多くの学生が最初に選考を受けるような、非常にニーズの高い1万社になっているため、彼らが求めるような企業群はカバーできていると考えています。
ビジネスアップデート
宮下:最後に、ビジネスアップデートと当社のESGの取組事例についてお伝えできればと思います。
まず、ビジネスアップデートからです。1つ目として、中途採用の支援メディア「ONE CAREER PLUS」が1周年を迎え、企業向けに中途採用のブランディングサポートを開始しています。こちらは企業のDXを加速させることを目的に、ブランディングを通した専門的な人材の採用をサポートしています。
2つ目として、「就活で出会ってよかった企業100名社 電子Book」を無料公開しています。こちらは就活生が重視する「その土地で働く魅力」を伝えることをコンセプトに、地域における「就活で出会ってよかった企業」を、丸の内・大阪・名古屋でそれぞれ100社ずつ表彰しています。
3つ目としては、先ほどもお伝えしたとおりですが、正社員数が100名を突破しています。
ESGの取組事例
宮下:最後に、ESGの取組事例です。まず左側が「Environment」です。こちらは環境に配慮した企業経営になります。2022年3月より本社オフィスの使用電力を実質再エネ電力に切り替えており、これによりCO2排出量の削減を実現します。
次に「Social」です。こちらは「人の数だけ、キャリアをつくる。」というミッションの実現に取り組んでいます。大学と連携し、学生のキャリア観を育むセミナーを実施しています。また、当社の新卒採用インターン参加者に対して継続的なキャリア面談を行う、キャリアディベロップメント制度の運用を開始しています。さらに、当社の従業員向けには、希望する男性社員の育休取得率100パーセントを実現するようなサポートを開始しています。
右側の「Governance」は、コーポレート・ガバナンスの強化です。2021年12月期には、社外を含めた取締役の取締役会への参加率は100パーセントとなっています。また、2022年3月の株主総会をもって監査等委員会設置会社へ移行し、取締役の社外比率も57パーセントとなりました。今後も新しい取り組みについては、随時開示していきたいと思っています。
以上で、2022年12月期第2四半期の決算説明となります。
質疑応答:新卒の学生減少の中での今後のビジョンについて
坂本:事前質問が1問あります。「これから新卒の学生が減っていくと思いますが、今後どのようなビジョンを描いているでしょうか?」という質問をいただいています。中途採用で補うなど、おそらくいろいろあるかと思うのですが、そのあたりも教えていただけたらと思います。おそらくよく聞かれている質問だと思いますので、よい答えがいただけるかと思います。
宮下:本当に、この質問は一番よくいただきます。みなさまご存じだと思うのですが、少子化自体は進んでいます。ただ、実は大学生の数は、この10年でまったく減っていません。
坂本:全入時代ですが、おそらく進学率がより高くなっているのですね。
宮下:そうです。まさに大学進学率が上がることにより、大学生の数は10年間一緒で、この先10年もほぼ変わらないと言われています。20年後、30年後となると大学生の数自体も減ってくるかもしれませんが、直近10年に関しては、それほど減らないと予想しています。
坂本:大学生の新卒制度というのは、ここまでいろいろな働き方が多様化してきても、おそらく変わりません。国としても、日本は新卒制度があることで若年層の即戦力化や、若年層の戦力の均一化にある程度寄与しているため、あまりうるさくは言わないのかと思います。一方で、例えば他国ですと、就職できない方のスキル問題が出てきてしまうため、そこもあると思います。
宮下:おっしゃるとおりです。やはり人事の方々にとっては非常に秀逸なシステムだとは思います。
もう1つは、若い人たちの労働力は希少性がどんどん高まっていくため、企業の方々も投資をより加速させていっています。かつ、そのような方々を採用する方法も今は多様化しており、多様化・高度化というのが新卒採用の非常に大きなテーマです。それに関して、投資するお金はさらに増えていくのではないかというのが、我々が予測しているところです。
質疑応答:スカウトサービスについて
坂本:「スカウト機能の実装があったようですが、顧客の反応や、導入にあたっての障害として感じていること、また、おそらく何社か競合他社がスカウトを行うと思うのですが、その差別化要因など、お話しできることがあれば教えてください」という質問をいただいています。
宮下:実は昔から、お客さまに「ワンキャリアはスカウトサービスをやらないのか?」と、非常にご要望をいただいていていました。サービスを開始したことで何が起こったかと言いますと、先ほどもピラミッド図でご説明したとおり、中小規模のお客さまは、求人サービスですと単価が比較的高くなります。
坂本:きめ細かいサービスというか、データもありますからね。
宮下:求人掲載やオンライン動画説明会は単価が少し高いのですが、スカウトサービスは数万円から開始できるため、より多くのお客さまに対してアプローチできるようになったということがこれまでの商品との違いだと思っています。
他社との差別化についてですが、リリース時点で国内最大級の学生データベースがあることが一番のポイントだと思っています。また、もう1つとして、他社ではスカウトサービスしか行っていないため、通知が来たら見に行きます。しかし、ワンキャリアは、例えば明日選考があるので、その準備のためといった理由で、普段からページを見ることになります。その時に通知が来ていたら「あ、スカウトサービスでメールが来ているから見なきゃな」というかたちで、明らかに認知する接触回数が多くなります。
そのため、人事の方々も、より効率的なアプローチができると思いますし、見ていただける可能性が高いということで、サービスを開始したばかりなのですが、既存のお客さまからも非常にご好評をいただいているサービスになっています。
質疑応答:企業のデータについて
坂本:データについての質問ですが、会員になった方は、実際には新卒時点のデータをもらうことになります。その後、継続して「この会社はよい」と書いてくれる人がいた場合、そちらも中途採用サービスから使えるようになるのでしょうか? そのようなループになって回っている状況でしょうか?
宮下:実際に、中途採用サービスを初めてご利用いただいている方は、もともと学生時代にワンキャリアを使っていただいた方が中途サービスでも戻ってきてくださっているということがあります。今は、この2つのサービスは、まったく別々で登録するかたちになっています。
坂本:そのまま使えないというか「新しく登録してください」という状況になっているのですね。
宮下:はい。今こちらは、共通で使えるIDの開発を順次進めていっている状況ですので、それが可能になると、新卒でも「ONE CAREER PLUS」で、例えば「この会社からこの会社に転職しているんだ」など、中途採用向けの情報を見ることができます。
坂本:入社前から、学生が実際のキャリアパスを見て、なんとなく描くことができるわけですね。OB訪問などで「先輩はこちらに勤めていますが、同期の人はどこに行ったのですか?」「どこどこだよ」「そうなのですか」といったやりとりが不要になり、非接触でできてしまうということですね。
宮下:OB訪問のようなアプローチを行えるかについても、人によると思います。アプローチ方法を持っている人はよいのですが、そうではない人でも「ONE CAREER PLUS」に来ていただけると、どんな企業でも転職情報が見られるということです。
坂本:こちらは、例えば、転職予定者、新卒の利用者でもよいのですが、企業も他の会社の情報を見られるのですか?
宮下:おっしゃるとおりです。
坂本:それは価値がありますね。同業他社はこのようなところへ行っているのか、ということがわかりますね。「うちもこうした学生や中途を採用できるかもしれない」というようなことや、場合によってはスカウトメールを打てるかもしれない、ということにもなりますね。将来のイメージがなんとなく沸きました。
本日は非常におもしろいお話をいただきました。なぜ学生の認知度ランキングも上がっているのか、また、やはりデータベースの力だというお話をしていただき、またデータベースを活用した将来の策についても教えていただいたため、おもしろそうだなと思っています。今後も注目したいと思います。
当日に寄せられたその他の質問と回答
当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。
<質問1>
質問:今後、同業他社とのアライアンスはどのくらい増加する予定ですか? または希望される規模はどのくらいでしょうか?
回答:今後、アライアンスを積極的に増加させていく想定はしていません。
<質問2>
質問:有報を拝見すると、2021年の原価4.3億円のうち、2.6億円が外注費となっています。どのような業務を外注されているのでしょうか?
回答:主に、キャリアデータ収集に関する求職者への謝礼費やシステム開発の委託費が原価の外注費に含まれます。
<質問3>
質問:データを企業に提供する内容について、リクナビ事件がありましたが、ユーザーの信頼を得るために、どのような取り組みをしてきたのでしょうか?
回答:キャリアデータの収集にあたって、社内で公開前に確認/校閲を行うことで、個人が特定されないかたちにキャリアデータを加工していること、求職者が企業へエントリーする際の情報の取り扱いについて、丁寧に説明し許諾を取得していること、この2つを中心に、求職者がデータに関して不安を持つことがないようにサービス運営を行っています。
<質問4>
質問:口コミをすべてチェックするのは、規模が大きくなるとコスト負担が心配になりますが、どのような対処をされているのでしょうか?
回答:キャリアデータの質を担保する上で、全件チェックは必須だと考えています。そのため、毎年業務を効率化することでコストの効率化を行っています。
<質問5>
質問:現在対処すべき課題が何かありますか?
回答:2022年12月期第2四半期決算説明資料の56ページ、57ページにてリスクと対応策をまとめていますので、こちらの資料をご確認ください。
<質問6>
質問:採用簡単動画について、利用している企業はいますか? また、作った動画を見てみたいのですが、どこかにURLなどは掲載されていますか?
回答:個別商品の具体的な利用状況は開示していないため、回答を差し控えさせていただきます。
<質問7>
質問:新卒で利用した人が中途で利用する、ということは、新卒で入社した企業の満足度が低かったということなのでしょうか?
回答:厚生労働省の調査によると、昭和の終わり頃から、3年で3割の新卒学生が辞める状況は続いています。辞める理由はさまざまですが、求職者と企業のミスマッチが原因の1つとして挙げられると当社では考えており、キャリアデータを活用して、こうしたミスマッチを減らしていくことを目指しています。