会社概要

高橋雅彦氏(以下、高橋):会社概要からご説明します。昨年10月1日にテクニカル上場し、ミアヘルサ株式会社からミアヘルサホールディングス株式会社を発足させました。事業内容は変わらず、調剤薬局・介護サービス・保育園の運営です。

ミアヘルサの理念

高橋:当社の経営理念は「私が変わる愛の経営『響働』」で、「地域包括ケアシステム」の推進がベースとなっています。

「地域包括ケアシステム」とは

高橋:「地域包括ケアシステム」とは、スライドに記載のとおり、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい生活を送り続けられるように、高齢化社会に必要な高齢者住宅・介護サービス・薬局・診療所・コンビニなどが整備された街づくりのことをイメージしています。これは厚生労働省の方針でもあります。

経営環境の変化 と 当社の変遷

高橋:当社の変遷です。はじめに、厚生労働省が医薬分業を進めたタイミングで調剤薬局事業に進出しました。続いて、介護保険制度がスタートした時に介護事業に進出しました。保育園事業は、それまでは民間の会社で事業を行うことができませんでしたが、民間企業に解放されたタイミングで進出しました。

組織体制・事業展開

高橋:組織体制・事業展開についてです。ミアヘルサホールディングスのもと、ミアヘルサとライフサポートそれぞれの会社で医薬・介護・保育関連事業を、スライドに記載のブランドによって展開しています。

事業拠点(196 拠点)※グループ会社を含む

高橋:事業拠点は1都3県を中心に196拠点あります。特に、東京に150拠点が集中しています。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):ここで質問なのですが、ライフサポートとM&Aしたことのシナジーを教えてください。ライフサポートは学童クラブを30ヶ所展開しており、このノウハウを吸収したことはイメージできるのですが、人員面など他のポジティブな面を教えてください。

高橋:ライフサポートは保育事業を中心に、学童まで事業を縦に広げて推進している会社です。私どもは1都3県が中心ですが、お互いに出店しているエリアが異なり、そのようなところで競合しないといったことも見定めました。

また、保育のノウハウは私どもも持っていますし、ライフサポートも持っています。ただし、私どもは自治体から運営を委託された学童クラブは持っていません。そのような部分で、お互いのよいところを持ち寄ってシナジーを発揮しています。これにより、グループ内における保育事業の基盤をしっかり固めていきたいと思っています。

坂本:ライフサポートの保育事業とミアヘルサの保育事業は、将来的にブランド統合する可能性はありますか? 給与体系の統合などいろいろ大変かもしれませんが、人を使う仕事なので、統合すれば人的な融通が利き、シナジーがより高まるのではないかと思っています。

また、前回登壇いただいた時に、「『ミアヘルサ薬局』の名前を残したのは顧客に愛着があるから」というお話しをされていました。このあたりも含めて、事業統合・ブランド統合の考えを教えてください。

高橋:大きな観点では、事業統合・ブランド統合することでグループ全体が最適化すると思います。ただし、そう簡単には進めませんので、最初はお互いに協業できる部分で少しずつ効率化を進め、人と人とが理解し合い、最終的には一緒に進んでいける環境を作りたいと思っています。業務の効率化に関してはすぐに手をつけられますので、まずはそのようなことからスタートしていこうと思います。

また、利用者にブランドを評価してもらって今があると思っています。そのため、ブランド統合については利用者の評価を大事にしながら先々について検討したいと思います。

ミアヘルサが描く未来ビジョン

高橋:スライドにあるイラストをご覧ください。弊社が考える街のイメージを示しています。それぞれの事業を連携させて、住みやすい街づくりのお手伝いができればと思っています。

2022年3月期第3四半期 決算概要

高橋:第3四半期の決算概要についてご説明します。具体的な数字はスライドに記載のとおりです。

売上高は前年同期比12.8パーセント増、営業利益は微減で、増収減益となりました。詳細については後ほどご説明します。

セグメント売上高・セグメント利益(前年同四半期比)

高橋:スライド15ページには、セグメントごとの数字を一括してまとめています。

2022年3月期3Q 医薬事業(前年同四半期比)

高橋:医薬事業の第3四半期の状況についてです。売上高は微減、営業利益は微増で、減収増益となりました。

処方箋枚数は前年同期累計比105.2パーセントということで、少しずつ回復傾向にあると思っています。一方、処方箋単価は前年同期累計比96.9パーセントと下がっています。これは、毎年の薬価改定で引き下げられることと、昨年に長期処方が多かったのが正常に戻ってきている影響が出ています。

坂本:医薬品について、後発品の違反によって製造が止まったことや、検査体制に時間とコストがかかるため供給を取りやめる企業があったことなどが報道されていますが、その影響はありましたか?

高橋:調剤薬局は影響を受けています。ご利用いただく患者さんによっては同じ薬でも合うものと合わないものがありますが、患者さんと相談したり、処方箋を見たりして工夫しながら、今ある薬への切り替えを進めています。

患者さんは待ったなしで薬をお求めになりますので、できるかぎり供給不足や漏れがないように努めており、このような対応に現場は苦労している状況です。

2022年3月期3Q 介護事業(前年同四半期比)

高橋:介護事業についてです。売上高は伸びましたが、営業利益が大幅に落ち、増収減益となりました。

コロナ禍の影響で通所介護の利用者が減少したことも大きいですが、減益の最も大きな要因は新規事業所の開設による先行コストです。施設への入居が思ったより進まなかったこともあり、どうしても先行コストが発生してしまいました。ただし、これは投資コストですので、しっかり回収していきたいと思っています。

2022年3月期3Q 保育事業(前年同四半期比)

高橋:保育事業についてです。ライフサポートを買収した結果、売上高は1.5倍、営業利益は1.2倍で、増収・増益となりました。これはライフサポートだけではなく、一昨年買収した東昇商事の保育園や新規開設の保育園が着実に増えていったことも含めた結果であるとご理解ください。

2022年3月期 業績予想達成状況

高橋:2022年3月期の連結業績予想の達成状況についてです。売上高は、昨年業績予想を修正しましたが、スライドに記載のとおり順調に推移しています。

なお、当期純利益の進捗が低いように見えますが、新規保育園を3園開設しているためで、その補助金は3月に計上されます。その規模にもよりますが、業績予想にはこの点を想定し織り込んでいます。

ライフサポート(株)の概要と体質強化への改善策

高橋:ライフサポートとはお互いの強みを伸ばしていきたいと考えていますが、買収にあたっての課題もありました。1つ目は、認証保育園のウエイトが高く、コロナ禍によって影響を受けていることです。2つ目は、採用に苦戦していたことです。3つ目は、間接コストが非常に大きかったことです。これらに対して、私どもとしても手を打っていかなければいけません。

認証保育園は13園で、経営の影響を受けているところとそうでもないところがありますが、改善策をしっかり実施していきます。設備の基準などをクリアにすることによって認可化への道が開けるようであれば、自治体と話し合いトライしていきたいと思っています。

保育士の採用については、ミアヘルサのほうで定期採用と中途採用が順調に進んでいます。この採用ノウハウを共有することによって、互いにシナジーを生み、採用コストの減少を図ります。すぐに着手できるのは間接コストの削減ですので、まずはお互いに協業することによってカバーし合い、適正な間接コストを達成していきたいと思います。

主な経営指標の推移 (2022年3月期)

高橋:スライド22ページには、2018年3月期からの業績の経過を記載していますのでご覧ください。

ミアヘルサの経営環境と対応策

高橋:中期経営計画については、ポイントを絞ってご説明します。まずは背景についてです。

高齢化に伴う財政難によって薬価が引き下げられ、一番大きな事業である調剤薬局の経営環境は大変厳しいものになっています。また、少子化に伴う人手不足は、全事業の採用において脅威になってくると認識しています。

反対に、機会としては高齢化社会の到来により、医薬・介護事業の市場がまだまだ拡大します。政府でも少子化対策をしっかり行っていますので、そのような政策によって私どものビジネスチャンスは広がっているとご理解ください。

医薬事業の経営環境と対応策

高橋:個別事業の課題についてです。繰り返しになりますが、高齢化によって医療費が増大し、薬価は引き下げられていきます。医療費の増大ペースを下げようとして薬価の引き下げが行われているとご理解ください。

スライドに記載のとおり、私どもの店舗の6割ほどは大学病院などの大きな病院の前に立地しています。そのような店舗では高度薬学管理として、難しい薬をご提供することも多いため、そのような取り組みをより強化していきたいと考えています。

あわせて、みなさまに便利に使っていただくためには、駅前に立地する建物にクリニックが入るよう展開することも必要です。このように、計画的に狙いを定めた薬局開発をしていきたいと思っています。

介護事業の経営環境と対応策

高橋:介護事業については市場拡大が予想されています。私どもとしては、足元の営業利益率の改善と新規開発をしっかり行いたいと思っています。

特に居住系のニーズが非常に高くみなさまがお困りですので、しっかり対応することで利益率も上がっていくホスピスを展開していきたいと思います。そのために、医療機関や大手の病院との関係性をきちんと構築し、連携していきたいと考えています。

また、病院のメリットにつながる大きな開発なども実施したいと思っています。

市場機会(医薬・介護)

高橋:中期の背景として、高齢者数の増加、認知症患者数の増加を示すグラフを記載しています。まだまだ私どもが社会の役に立つビジネスチャンスがあると考えています。

保育事業の経営環境と対応策

高橋:保育事業は、少子化により待機児童が減少する、新設の認可保育園の開設が減少するといった課題があります。少子化の影響もありますが、女性の社会進出を進め、社会が必要とする労働力を確保していくことが必要です。その受け皿として保育園が必要になるため、しっかりと対応していきたいと考えています。

しかし、自治体の予算などいろいろな流れがあります。そのような中では、今後は認可保育園を作ることから、少しずつ中身が変わってくると予測しています。対応として民間委託、民営化の受託を1つの柱として取り組んでいきたいと思います。

また、保育園が終わり小学校の低学年になったからといって、手が離れるということはありません。働くお母さま、お父さまのニーズに沿って、今回買収したライフサポートとともに学童クラブも推進していきたいと思っています。

市場機会(保育)

高橋:私どもの市場環境です。女性の就業者数は増加していき、日本の経済を回すためにも必須です。保育園の市場規模が拡大していても、待機児童は出てきます。また、待機児童としてカウントされない隠れ待機児童がどのくらいいるかは、新型コロナウイルスの影響もあり、まだはっきりと分かりません。しかし、間違いなく女性の就業者数が増加すれば、必要になるのは保育園や学童クラブだと思っています。

3事業の市場機会(医薬・介護・ 保育)

高橋:3事業の市場機会についてです。社会保障給付費について見ると、当社は大変恵まれたマーケットにいることがわかります。当社の対応している3事業は、社会保障給付費が2018年121兆円から2040年には188兆円と1.5倍に拡大すると予想されてます。これはもの凄い金額です。このことを事業機会と捉えてしっかりと取り組んでいきます。

中期経営計画 基本方針

高橋:おさらいとして中期経営計画についてご説明します。中期経営計画の方針は、高齢化社会を機能連携によって「生涯を支える地域包括ケア」に取り組み、事業で社会へ貢献することです。

重点施策(1)

高橋:重点施策はスライドに記載のとおり、3事業の機能連携によって展開していきます。

重点施策(2)

高橋:施策は事業に直結するものですので、どのように新しい店舗や施設を開設していくのか、どのような目標を持っているのかを策定したものを、スライドで具体的に示しています。

中期経営計画 数値目標 (業績の実績・予想・目標)

高橋:中期経営計画の数値目標は売上高200億円以上と記載していますが、ライフサポートを買収したことで190億円を超える規模になったため、再度、中期経営計画を修正して開示したいと思います。

中期経営計画 数値目標 (業績の実績・予想・目標)

高橋:2021年、2022年、2023年と修正計画まではこのような推移で、セグメント別にはこのようになっているということをスライドにてご確認ください。

中期計画のポイント

高橋:中期計画の修正ポイントとしては、M&Aの子会社化でいろいろな費用、取得費用などを加味する必要があり、買収した会社の効率化や収益の向上などの見直しをすべて行っていきます。

医薬事業

高橋:事業部ごとの目標値と重点施策についてお話しします。大幅に目標が変わるところがあります。まずは医薬事業の調剤薬局です。先ほどお話ししたように、門前薬局が66パーセントあることが特徴で、この強みをしっかりと活かしていきたいと思います。

医薬事業 事業部方針

高橋:高度薬学管理にしっかり取り組みます。同じ店舗数では薬価は下がるため、少しでも新規開発をして売上を上げていく方針です。

坂本:ガンなどの高額医薬品は単価が高く、技術料を取ることができると思いますが、医療モールの開発は御社にとってどのようなメリットがあるのかお教えください。

高橋:当社は大学病院の前に薬局を置いていますが、現在の大学病院は治療した患者の症状が軽くなると、地域の病院に戻すようにしています。

坂本:慢性的な疾患は地域でも診ることができるから、医療が逼迫しないようにするということですね。

高橋:はい。そうすると、大学病院前にある薬局に患者が来なくなります。地域の病院に戻った患者は最寄りの駅や居住地の近くにある薬局に行きます。また、通勤や通学をしていると、最寄りの駅の近くに薬局があったらよいと思うようになるため、そのような立地に設定することで受け皿になることができます。

地域に戻ってくる患者の受け皿として、それぞれの診療科が1つのパッケージになっている医療モールというかたちになれば、利用する患者にとっても安心です。医療モールという名称を使っているのは、このようなことを狙っているとご理解ください。

坂本:医療モールの近くに薬局を作っていくのか、御社で医療モールを建ててテナントを募集するのか、どちらのビジネスをお考えですか?

高橋:両方の要素があります。

坂本:両方とも取り組むわけですね。

高橋:一番よいのは、私どもがビルを建てるのではなく、ワンフロアの開発に最初から参画することです。3クリニックや4クリニックを、診療科が重ならないように医者と話して勧誘し、そこに私どもが調剤薬局を開業するという流れです。それにより地域の方々の病院のニーズに応え、患者の受け皿をしっかりと地域の中で作っていきたいです。

坂本:よくわかりました。

医薬事業 重点施策

高橋:医薬事業についてです。大型病院前や駅前立地の医療モールなどで、医薬事業の売上をしっかり確保していきたいと思います。

医薬事業 在宅医療への取り組み

高橋:スライドにはイメージ図を記載しています。新型コロナウイルスの影響で経験された方もいるかもしれませんが、オンライン診療、オンライン服薬指導が増えていくと考えられます。そのため在宅でいろいろなことを行いたいと思っています。

在宅診療を中心に行う医者も増えているため、このようなサービスの提供がしっかりできるように考えています。少なくとも病院の前に箱を作るかたちだけではない、自宅や介護施設へも対応していく取り組みをしていきたいと思います。

介護事業

高橋:こちらはミアヘルサ・ケアの主な特徴です。この中でも、ホスピスと認知症の患者向けのグループホームの社会ニーズが高いため、しっかりと取り組んでいきます。

介護事業 事業部方針

高橋:2つの事業を着実に伸ばしていきたいと思います。新規開発はスライドに記載の数字を考えています。ホスピスは施設としてそれなりの比率になりますので、地域の病院との連携をしっかり取れるエリアかどうか考えて対応していきます。

坂本:ホスピスは場所や施設をしっかり作ることによって変わるかもしれませんが、介護施設と比較すると利益率はどのくらい高いのでしょうか?

高橋:介護施設は、介護の度合いが低い方から高い方までいますが、ホスピスに入る利用者は、かなり介護の度合いが高いです。ホスピスだからということではなく、ホスピスは介護の度合いの高い方々を受け入れる施設であるため、結果として重要なケアが必要になり、報酬としての利益率が上がっていきます。

坂本:なるほど、ありがとうございます。最近ホスピスが増えている印象がありますが、まだ飽和していないのでしょうか?

高橋:ホスピスは病院との連携がありますが、病院は長期間にわたって同じ患者をずっとその病院に入院させていくわけにいきません。

坂本:保険点数が減るなどいろいろありますね。

高橋:はい。しかし受け皿がないのに、患者を在宅に放り出すわけにもいきません。それぞれの家庭で受け入れられるかどうかは家庭の事情にもよります。施設に入ることもあれば、家庭で在宅医療をすることもあります。在宅医療を行う際は在宅専門の医者がいて、私どもの在宅向けのサービスを提供する薬局が対応していくことになります。

施設に入ると、そこですべてケアができるため、家族の負担はなく、きちんとした日常生活を送ることができます。そのようなケアをしていくことが必要になると考えています。

介護事業 重点施策

高橋:介護事業は、ホスピスと認知症対応型のグループホームをしっかりと着実に開設し、地域のニーズに対応していきたいと思っています。

介護事業 収益改善に向けたホスピスの展開

高橋:スライド左側がイメージ図です。地域の医療機関と連携強化を図り、地域の人が安心できる、病院を退院した後に行くところがないという事態がないように取り組んでいきたいと思います。

保育事業

高橋:保育事業です。ミアヘルサ保育園は、ライフサポートを含めて84園と、かなり大規模になりました。保育事業へのノウハウは、年齢が上がっても学童クラブというかたちで社会ニーズを取り込むことを行っていきます。

ここでのキーは、どちらも採用です。保育士を確保しなければいけませんが、保育士自身にも子どもがいると、仕事をするのが大変になります。私どもがこの事業を着実に進めていくことで、社会の役に立っていきたいと思います。

保育事業 事業部方針

高橋:指定管理を含む新園の開設は、ミアヘルサ保育園のみの内容になっているため、リニューアルします。

保育事業 重点施策

高橋:今回一緒になったライフサポートは民間委託・民営化の受託が強いため、シナジーを発揮していきたいと思います。加えて必要人材の直接確保ができれば、非常に強みになります。

八木ひとみ氏(以下、八木):視聴者の方から「人材の獲得、定着について工夫されていることを教えてください」と質問がありましたが、専門学校などとの確固たる採用ルートがあることは強みとなりますか?

高橋:はい、北は北海道から南は沖縄まで、全国の保育士を養成する専門学校や短期大学があるため、そちらに訪問し、しっかりと対応しています。また、先輩が入って来てどのように活躍しているのか紹介するリクルート活動のようなものを行っています。

坂本:連絡をしっかり取るということですね。

高橋:新卒採用においても、訪問することで就職担当の先生に安心してもらい、長期間でそのような信頼を一つひとつ作っていきたいと思います。

財務・資本施策(当初計画)

高橋:財務と資本施策についてご説明します。ここに記載のとおり、これもすべてリニューアルするということのみ、お伝えしたいと思います。現在策定中ですので、過去のライフサポートを買収する前の計画ということでご理解ください。

資本政策と株主還元方針

高橋:株主還元についても数字はかなり変わりますが、年間の配当予想についてのみお伝えします。すでにみなさまに公表したように、この2022年3月期の配当予想は30円です。このような安定した配当をしっかり継続していけることが重要と考えているため、ぜひご理解いただければと思います。

ミアヘルサHD設立記念 特別優待

高橋:私どもとしては、ぜひ株主のみなさまへ還元していきたいと考えています。みなさまのおかげで、昨年10月1日にミアヘルサホールディングスを開設すると同時に、テクニカル上場というかたちで引き続きJASDAQ市場に上場しています。

ホールディングス化したことを特別優待というかたちでしっかり還元していきたいと考え、1単元(100株)以上を保有している株主のみなさまに対して、1度きりの株主優待策として、記念QUOカード1,000円1枚の贈呈を行いたいと思います。

3月末時点の株主名簿に記載されているみなさま方に優待をしたいと思っているため、ご理解をよろしくお願いします。

SDGsに関連するの当社の取り組みと目標

高橋:SDGsに関する取り組みについてご説明します。私どもの事業そのものが、社会に貢献する事業を行っています。そうは言っても、やはりどのような観点で考えるかという基礎を、スライドで詳しくご説明しています。「地域の生活の質の向上」に密着する部分で、SDGsの番号で3番、11番、4番で示すようなことをしっかり担っていきます。

また女性の多い職場ですので、「多様性の尊重」にしっかり取り組み、目標にすることを社会に約束したいと思っています。

スライド下部にいくつか示しているように、私どもは社会貢献イベントをいろいろ行っています。このようなものを地道に行うことで、みなさまに評価されていくと思っていますので、ご理解をよろしくお願いします。

介護事業 メディア オアシス 新百合ヶ丘

高橋:新規事業についてご説明します。来年に向けて業績がよくなるのかについてですが、今年きちんと種をまいたため、そのまいた種をご紹介したいと思います。

先ほどよりお伝えしているホスピスです。現在、新百合ヶ丘に40床レベルのホスピスを出しています。在宅型で、24時間365日しっかりと患者さま一人ひとりに寄り添ったサービスをご提供していきたいと考えています。この施設は9月1日に開設しています。

医薬事業 日生薬局 江北店

高橋:日生薬局の江北店についてご説明します。一般的に言うと、先ほどお伝えした門前薬局です。

今年の1月5日に、東京女子医科大学の足立医療センターが開院しました。その目の前に私どもの江北店を出店しています。足立医療センターは足立区の中核医療機関となるため、区がしっかりと計画して東京女子医科大学と連携し、大型病院ができました。私どももそのような地域の医療、拠点病院にぜひ貢献していけるよう、この薬局でしっかりと患者のみなさまに対応していきます。

医薬事業 日生薬局 調布店

高橋:続いて、調布駅前の店舗についてご説明します。みなさまご承知のとおり、調布の駅が地下に入り、その上の広場から少し進んだところに商業ビルがあります。この商業ビルの5階フロアに、各クリニックが入り、私どもも薬局を運営するかたちになっています。

坂本:これが先ほどお話しされていた医療モールですね。

高橋:はい、おっしゃるとおりです。

保育事業 ミアヘルサ保育園ひびき 新小岩

高橋:保育園を3ヶ所続けてご紹介します。はじめに、新小岩に認可保育園を1園開設しました。JR東日本グループの遊休地の再開発に私どもも参画し、保育園を運営するという取り組みです。

坂本:こちらも上は住宅ですか?

高橋:はい、上は住宅になります。低層階は多目的な利用が行われます。

坂本:なるほど。

高橋:新小岩駅の本当にすぐ近くにあります。

保育事業 ミアヘルサ保育園ひびき 一之江

高橋:続いて、子育て世代がたくさんいる江戸川区の一之江に、認可保育園を4月1日開設予定です。すでに建物はすべて出来上がっています。

八木:こちらは1棟すべて、保育園ですか?

高橋:はい、おっしゃるとおりです。

保育事業 ミアヘルサ保育園ひびき 高田

高橋:続いてご説明する園は、豊島区の高田馬場と目白の間にあります。こちらに認可保育園を1園開設します。このあたりも大変ファミリーが多く、急増しているエリアですので、そのようなところに私どもが豊島区と一緒になって、施設を開設しています。

質疑応答:出店する街の戦略について

坂本:前回もお話しいただいたように、御社は柏や新座、朝霞、小岩といったように、駅を中心として多くの店舗を出店されている地域があります。

前回お話しいただいたひばりが丘のように、大手デベロッパーと組んで開発する街は別として、柏や新座に関しては、最初から街を絞って介護施設や保育園を一気に出店するのでしょうか? それとも、一つひとつ店舗を出し、「ここの街はいける」というかたちで増やしていくのですか?

高橋:経過としては、一番最初に埼玉県の和光市に進出しました。和光市は介護の施設や、このような事業に大変理解がありました。福祉をしっかりと充実させたいという市の意向に沿って、私どもが最初にサービス付き高齢者住宅、さらに付随する施設を開設しました。

また、和光市からの受託を複合的に、かつ着実に受けることによって、仕事を行っていく中で信頼感を積み上げました。最初から地域全体で狙っていたわけではないものの、そのようなかたちで、その地域が1つの拠点になっていきました。

結果的に東武東上線沿線が拠点となり、新座や朝霞で展開しています。1つ出店すると、やはり集中的に立店するほうが効率がよいということがだんだんわかってきたため、そのように取り組んでいくことになりました。

先ほどご説明した柏についても、和光と同じように「柏モデル」というものがあるほど、介護のような社会福祉に大変熱心な自治体です。そのため、そのようなところに私どもが進出して実態を理解し、着実にこのように事業を積み上げてきました。

そのような意味で、できる限りコアになる施設をつくり、しっかりと事業を積み上げていくことが、先ほどお伝えした地域包括ケアで貢献していく道だと考え、出店整備を行っています。出店は当然、計画的に行っていきますが、そのようなご縁をきちんと高めていくということと、両方で取り組んでいます。

坂本:お仕事として進めるには、行政の意向も大事ですね。

高橋:はい、行政のみなさまと一緒に仕事をしなければ、保育にしても介護にしてもうまくいきません。そのような意味では行政のみなさまのニーズは社会のニーズ、住民のみなさまのニーズですので、そこにお応えしたいと考えています。

坂本:自治体も大事なことかと思いますが、それでもやはり濃淡があるということですね。国の意向といいますか、政策的な追い風はあるのでしょうか?

高橋:やはり国も、高齢者対策や少子化対策にはかなり力を入れて取り組んでいます。そのため、国の政策が自治体におりてきて、具体的なものになり、私どもがその受け皿をしっかり作って、地域で貢献できるような事業に取り組みたいと思っています。厚生労働省や国の政策、動きについては、しっかりと受け止めて対応していきたいと考えています。

質疑応答:認証保育園の認可化と収益について

坂本:認証保育園の認可化というお話もありました。このハードルはかなり高いのでしょうか? また、新型コロナウイルスの影響で、収益が少し安定しなかったというお話もありましたが、やはりこのあたりの事業は安定化に寄与しますか? 仕組みを含めて教えてください。

高橋:認証の認可化というのは、そう簡単なことではありません。やはり、施設そのものの基準は、認可保育園とその他でいろいろなものがまったく異なります。

認可保育園とは国が作った制度で、認証保育園とは東京都のみの制度です。東京都として、少子化対策のために民間活力をしっかり活用して、施設が認可に至らないもののしっかりと見ていきたい、拡大していきたいという方針があります。そのような政策のもとに、認証保育園はスタートしています。

ただし、認可保育園をしっかり作っていくというのが国を含めた全体的な政策ですので、そのあたりをしっかりと受け止めて、私どもとしては認可化できるものはきちんと基準をクリアしていきたいと思います。また、認証保育園のままで十分に利益確保ができている園であれば、それを続けていきたいと考えています。

ただし、どうしても入園者がおらず、児童が確保できないとなると、やはり少し長い目で見てどうだろうかというケースも想定されます。場合によっては、スクラップアンドビルドということで、考えていきたいと思います。

質疑応答:中期経営計画の見直しについて

坂本:中期経営計画を少し作り直す、というお話もありました。作り直すにあたって見えている部分を教えてください。M&Aは積極的に絶対行うということではなく、おそらく出会いがあるからこそ行うということだと思います。御社が考える今後の分野やイメージなど、お話できる点があれば、教えてください。

高橋:私どもは店舗や施設を、一つひとつ開発して着実に収益を上げていくということを行っていますが、これには時間がかかります。採算ベースに乗るまでの時間は、例えば保育園だと0歳から2歳で入園して、4歳児や5歳児で園がいっぱいになるのに3年間ほどかかるというタイムラグがあります。それを把握した上で、きちんと対応していくということも必要です。

あわせて事業を一気に拡大するには、M&Aという手だてもあり、当然私どもはその利用も視野に入れています。実質的にはM&Aも行ってきていますので、今後もそれぞれの事業内容や、その企業の風土、私どもの力量で一緒に取り組んでいけるかなど、いろいろな要素をかみ合わせ、拡大の手段の1つとして、十分認識して対応したいと思っています。

質疑応答:関東以外への事業拠点の拡大について

八木:視聴者の方から質問で、「例えばM&Aに関して、関東以外への事業拠点の拡大などは考えていますか?」とのことです。

高橋:現在は、幅広にいろいろなお話をいただくことが必要だと思っています。現段階でM&Aを全国区で行うのかと言いますと、私どもの強みというのは、1都3県に集中出店していることです。人口も経済パワーもこれだけの市場というのは、ほかにあるでしょうか? したがって、私どもの足元の市場をしっかり固めていきたいと考えています。

質疑応答:保育事業のM&Aについて

坂本:保育事業のほうも学童と保育園を合わせると100店舗近くになり、もっと規模が大きいM&Aができるような体制も整ってきたと思うのですが、そのあたりもやはりお考えでしょうか? これも今回のM&Aが落ち着けばできると思いますが、そのあたりを教えてください。

高橋:そのようなことも視野に入れつつも、今は大きな買い物をしたばかりですので、その収益化を図り、次のより大きな取り組みができるような企業体制にして、しっかり進めていきたいと思っています。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問1:待機児童問題によって、保育所の新規開設はどこも事業拡大のチャンスがあると思うのですが、あまり待機児童問題がクリアになっている印象がなく、何か障壁があるのでしょうか? 貴社なりの戦略も具体的にお示しいただけますと幸いです。

回答1:待機児童の問題は、政府も改善方針を明確にし、保育園開設等に取り組んできました。女性の就業率向上により、計画よりも待機児童の減少が遅れていますが、少子化の影響もあり状況は改善されつつあります。

このような状況の中で、各自治体では公営保育園の民間委託・民営化が進められており、当社も民間委託・民営化・学童クラブ等の受託を推進していく計画としています。

<質問2>

質問2:ホスピス対応型ホームについて、新規開設後どのくらいの期間でどのくらいの入居率になるのか、大体の目安を教えてください。

回答2:現在は新型コロナウイルスの感染拡大による入館規制等があり、既存のホスピスの入居率は計画どおりにはなっていませんが、今後の新規開設施設では開設後4ヶ月で50パーセント、1年で80パーセントとなる予定です。

<質問3>

質問3:「地域包括ケアシステム」構築の過程で街づくりに参画することは、薬局、介護、保育それぞれを単独で行うよりも参入障壁が上がるのでしょうか?

回答3:単独でも街づくりの一端を担うことは可能ですが、3事業のサービスを一体的に提供するためには、「地域包括ケア」の実現が可能な大手デベロッパーの街づくりに参画することが必要だと考えます。大手デベロッパーのニーズに応えられるのが当社の強みであり、競合他社との差別化につながると考えています。

<質問4>

質問4:青木社長の保有株を放出するにあたり、AMTを採用した理由を教えてください。

回答4:AMT(有価証券処分信託)を採用した理由は以下のとおりです。

・一度に株式を売り出す方法に比べ、市場への影響が比較的小さい。

・信託設定時に流通株式数にカウントできる。

株価低下リスクを最小限にしつつ、流通株式数を増加させ、スタンダード市場の上場維持基準である流通株式時価総額10億円達成につなげることを目的としています。

<質問5>

質問5:保育事業について、新型コロナウイルスにより保育園の休園などが起きることがあるかと思いますが、影響はいかがでしょうか?

回答5:認可保育園については、休園となっても自治体からの補助金は通常どおり支給されるため、業績に大きな影響はありません。