1.2021年度 通期決算(2020年10月~2021年9月)①
藤田晋氏:株式会社サイバーエージェント社長の藤田でございます。本日は2021年本決算ですので、私からご説明します。まず、通期決算については、期中に2度の大きな上方修正を行い、結果として過去最高の売上高、営業利益を更新しています。
各セグメントについては、メディア事業は「ABEMA」およびその周辺事業が増収となり、損益の改善フェーズに入ったと言えます。
広告事業に関しては、全般的に好調です。
ゲーム事業は、「ウマ娘 プリティーダービー」を中心とした新規タイトルのヒットの恩恵があり、増収増益に大きく貢献しています。
1.2021年度 通期決算(2020年10月~2021年9月)②
グラフにすると、連結売上高は39.3パーセントの大幅増で、6,664億円になっています。
1.2021年度 通期決算(2020年10月~2021年9月)③
ここ数年、「ABEMA」を中心とした新規事業への投資フェーズで、利益は300億円程度で抑えていましたが、連結営業利益は一気に1,000億円超えの結果になりました。
1.2021年度 通期決算(2020年10月~2021年9月)④
販売管理費は売上高の増収、営業利益の増益ほどは増えておらず、1,276億円になっています。従業員数は現在6,000人強です。
1.2021年度 通期決算(2020年10月~2021年9月)⑤
損益計算書で見ると、当期純利益は約415億円で、前年比は528.8パーセント増と、大幅な増益になっています。
1.2021年度 通期決算
バランスシートは、現預金が約1,800億円まで積み上がり、新たなゲームの大きなタイトルの開発や新規事業への投資、およびM&Aへの資金が十分に保有できています。
2.2022年度 業績見通し
今期の業績見通しは、この時点では見合わせています。現時点で大きなゲームのヒットがどの程度で落ち着くのか、我々経営陣も予測がつかない状況になっているからです。予測を出すことはできますが、大きすぎるレンジになります。投資家のみなさまをミスリードしてしまう懸念があるため、ある程度数字が見えた段階で、速やかに業績見通しを出すようにしたいと思います。
3.インターネット広告事業①
各セグメントのご説明に移ります。インターネット広告事業は好調に推移しています。2021年度の増収率は19.3パーセント増で、近年の中でも大幅な増収となりました。
3.インターネット広告事業②
売上高を四半期で比較して見ると、直近では過去最高を更新しています。
3.インターネット広告事業③
一方で、この部門では技術開発やAI、DXへの先行投資を非常に強化しており、利益はスライドのグラフのように推移しています。
3.インターネット広告事業④
広告部門の優位性についてご説明します。広告というと華やかなイメージがありますが、実際には運用力および技術開発力によって広告効果を最大化していくものです。この点が、弊社の競争優位性になっていると思います。
3.インターネット広告事業⑤
法人向け営業部門は、我々の中で唯一のBtoBと言ってよい部門です。現在この部門において、さまざまな業種との連携を通じて、幅広いDX事業を強化しています。
3.インターネット広告事業⑥
ビジネスモデルは業界によってさまざまで、例えば小売業界においてはすでに業務提携を発表しているだけでも、スライドにあるような会社と事業を展開し始めています。主に広告ビジネスを一緒に作り、その販売促進を通じて事業拡大をしていくDX事業です。このあたりはまだ始めて間もないため、業績への影響は来期以降になると思われます。
4.ゲーム事業①
ゲーム事業は本当に大きく伸ばした分野で、売上高、営業利益ともに大幅な増収増益になっています。
4.ゲーム事業②
四半期の売上高の推移についてご説明します。毎年、第1四半期はあまりよくない状況で「ゲーム事業が先細っているのではないか」と言われた時もありました。「ウマ娘 プリティーダービー」が出たのが第2四半期で、以降は非常に好調に推移しています。
4.ゲーム事業③
本日、今期の通期決算を発表していますが、後半の3四半期に「ウマ娘 プリティーダービー」のスタート以来の大幅な増益が集中しています。来期以降のヒットはどの程度になるのか、現時点では静観したいと思っています。足元は堅調に推移していますが、12ヶ月の推移は現時点では分かりません。
4.ゲーム事業④
「ウマ娘 プリティーダービー」は開始から約7ヶ月経ち、1,000万DLを突破しました。我々の非常に大きなIPですので、長年にわたって愛されるIPに育てるべく、大切に運営していきたいと考えています。
4.ゲーム事業⑤
我々のゲーム事業の優位性についてご説明します。ゲーム事業は非常に大型化していますので、その運営を行える組織力、作る技術力、そして運営力とノウハウのようなものがあり、かつ十分な資金力が備わっていなければ、ヒットを出しにくいセグメントです。その中で我々は、十分にゲーム事業を行えるポジションにきましたので、今後も継続的にヒットを出したいと考えています。
4.ゲーム事業⑥
今後のペースとしては、年間におよそ4本から5本の新規タイトルを、どれもしっかり作り上げてからリリースする体制になっています。今後計画しているものはスライドにもありますが、非常に期待できるタイトルだと思います。
5.メディア事業①
この1年で「ABEMA」がかなり増収となったことを受け、メディア事業のセグメントも大きく増収となっています。営業損益に関しても、長年にわたって先行投資し、損益の改善フェーズに入ってきました。
5.メディア事業②
売上高を四半期で比較すると、特に第4四半期はぐんと伸びました。
5.メディア事業③
DL数は継続的に増えており、7,300万DLに達しています。
5.メディア事業④
Weekly Active Users(WAU)が、この直近の四半期で1,825万人と、過去最高を記録しました。大谷選手が活躍したMLBや、「Girls Planet 999」のように若年層に非常に大きな支持を受けた番組を放送したことも影響した結果になっています。
5.メディア事業⑤
視聴デバイスの推移については、相変わらずスマートフォン経由のユーザーが多いものの、この1年から2年の中で非常に大きく伸びたのはテレビデバイスです。テレビデバイスの視聴は、2年前と比較して2倍になっています。当然、コロナ禍の影響もありますが、新しいテレビのリモコンのほとんどに「ABEMA」のボタンがあり、これが出荷されるにつれ、伸びてきたのが大きいと思います。
5.メディア事業⑥
ABEMAは「テレビの良さをインターネットで活かす『新しい未来のテレビ』へ」というコンセプトで行っており、何より大事なのは無料で誰でも見られる手軽さと同時性だと考えています。具体的には報道やスポーツの中継ですが、ドラマやバラエティにしても「この週はこの話をみんなで見よう」という同時性の要素があり、これを残しています。
さらにオンデマンドや「追っかけ再生」によっていつでも見られるため時間の制約がないこと、またマルチデバイスであるため移動しながらスマートフォンで見たり、家でテレビでじっくり見たり、パソコンで見たりと、どこでも見られる利点があります。「時間・空間からの解放」の組み合わせで、テレビをより便利にしていくというコンセプトで行っています。
5.メディア事業⑦
コンテンツは全方位的に強化しています。今期始まった新しい『会社は学校じゃねぇんだよ』というドラマ、そしてバラエティなど、非常におもしろい作品を意欲的に作り、引き続きコンテンツを強化していきたいと思っています。
5.メディア事業⑧
スライドはセグメント別の年度の売上を示しています。各セグメントが伸びていますが、特に今期は周辺事業がぐんと伸びました。
5.メディア事業⑨
この周辺事業の内訳を四半期の推移で見ますと、「WINTICKET」の売上、そして「ABEMA Shopping」あたりが大きくなっています。「ペイパービュー」も大きく伸びました。
5.メディア事業⑩
「WINTICKET」は特に大きく伸びていますが、実は我々が2年半前にゼロから新規事業として開発したサービスです。スライドにあるように取扱高が大きく伸びています。
5.メディア事業⑪
競輪全体もミッドナイト競輪という、夜に行っている競輪のおかげもあってぐんと市場が拡大しています。その中でも、取扱高を非常に大きく伸ばしているのが、我々の「WINTICKET」です。
「ABEMA」にチャンネルを設けて、常に中継できる体制にあることや、尺やチャンネル数も作ろうと思えばいくらでも作れることが、ネットの事業です。スポーツ全般において言えることですが、チャンネルの開設に加え、技術開発力やマーケティング力があれば、事業を展開できるということがこの2年半で証明できました。したがって、我々にとってメディア事業は、非常に相性がよい事業だと思っています。
5.メディア事業⑫
中長期の売上高イメージに関して、ほぼこの図のとおりに推移しています。広告や課金で収入のベースを作りながら、周辺ビジネスを拡大していくかたちです。
6.中長期の戦略①
株主のみなさまには「中長期で応援してほしい」とお願いし続けています。「ABEMA」を成功させることによって安定したメディアプラットフォーム事業を作り上げるという中長期的な戦略は、変わらずに戦略のベースにあります。
好調な広告事業では、しっかりと地に足のついた「広告効果最大化」を強みにし、シェア拡大を狙っていきます。ゲーム事業に関しては、我々の主力タイトルの運用を行いつつ、新規タイトル、新規ヒットの創出を通じて事業を拡大していきます。
6.中長期の戦略②
中長期的な戦略としてはスライドの図のように、メディア事業が非常に安定的な利益になるように長期の投資を続けています。
7.パーパス
先日、我々のパーパスを制定し、社内および社外に対して発表しました。「新しい力とインターネットで日本の閉塞感を打破する」というものです。誰もが日本の閉塞感を感じていると思います。このパーパスの言葉には、我々インターネットの世代が新しく作った会社が、インターネットで新しい時代にイノベーションを起こすことで、日本を元気にしていこう、という意味が込められています。
中長期で応援してもらえる企業を目指す
株主のみなさまにも中長期で応援していただきいたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。私からの説明は以上です。ありがとうございました。