2022年3月期第1四半期決算説明会
柳橋仁機氏:代表取締役社長CEOの柳橋でございます。本日は、お忙しい中お時間を頂戴しまして、誠にありがとうございます。はじめに会社概要と事業について、次に、2022年3月期第1四半期決算ハイライト、最後に通期業績見通しの3部構成でご説明したいと思います。
ミッション・ビジョン
まず、掲げているミッションやビジョンの説明です。事業内容に紐づくのですが、当社のミッション、つまり経営理念は、「個の力にフォーカスしマネジメントを革新する」です。私は日本の働き方に強く問題意識を持ち起業したのですが、人材の個の力に注目して、組織のマネジメントを変えていくことを理念としています。
日本の生産性改善や働き方の改革を個の力にフォーカスして行っていくことが当社のミッションです。
ビジョンは、「人材情報を一元化したデータプラットフォームを築く」です。ミッションを実現するための手段として、働く人の人材情報を一元化したデータプラットフォームを築きます。例えば「この業界ではこのような人が活躍している」「このような人同士がうまくコラボレーションできる」「このような人に実はこういう才能が隠れている」といった人の可能性・個の力を、人材情報のデータから導き出せるプラットフォームを作ることです。
個の力にフォーカスしマネジメントを革新する。その手段として、人材データプラットフォームを築く。そういった考え方のもとで事業を運営しています。
カオナビとは...
「カオナビ」は、人材データベースを中心としたタレントマネジメントシステムであり、BtoBのSaaS、クラウドサービスとして提供しています。
タレントマネジメントシステムの中心には、ビジョンにもあるように、人材データベースがあります。活用しているお客さまには、我々のプラットフォームを使用して、人事評価、異動・昇格、スキル管理、人材採用、教育研修といった人材マネジメント業務を行っていただき、我々はその業務を支援するという事業を展開しています。
機能と効果
スライド上段にある10個のイラストが、「カオナビ」に具体的に搭載されている機能です。
例えば、左上の「人材データベース」は、ご利用のお客さまの人材情報を一元化したデータベース機能です。「このようなことが得意」「このような経歴を歩んできた」「今度、このような仕事を希望している」などの社員のキャリアに関する情報が、常に活用できる状態で保管されています。この機能が一番重要になります。
また、「評価ワークフロー」や「パルスサーベイ」、今年リリースした「申請ワークフロー」等、人材データベースを中心に人材マネジメントを行うための機能がワンセットになっている。以上が「カオナビ」の機能概要です。
そしてこれら機能の利用により、お客さまからは、スライド下部に黄色の文字で記載している業務効率化や生産性向上、人材開発、離職防止など、組織開発上における効果を感じていただけるサービスになっています。
昨今では、働き方改革やDX推進といった言葉で表現する機会も多いですが、このような機能と効果を提供するサービスです。
カオナビの強み
「カオナビ」の強みについてです。我々独自の強みは「システムとノウハウの両輪を提供」と記載しています。人材マネジメントは、答えが曖昧ではっきりしない業務です。当社は2,000社を超えるお客様に導入いただいています。そのため、さまざまな業界・会社における「カオナビ」を活用した人材マネジメントの事例を多く持っており、それを他のお客さまにも提供しています。
そうすると、システム導入だけでなく、「『カオナビ』を使うとこんな人材マネジメントができる」「教育研修、人事評価などはこのように行えばよい」「組織配置はこう考える」など、システムとセットで生きたノウハウを提供できます。これが我々の最大の強みということです。
カオナビの強み:システム
先ほど「システムとノウハウの両輪を提供」とお伝えしましたが、システムの特徴をもう少し詳しくご説明します。
まず「カスタム自在な人材データベース」です。人材情報のデータベース、つまり格納する情報の箱は、お客さま自身でレイアウトを自由に組むことができます。
管理したい人材情報はお客さまによって異なります。その構築にエンジニアの工数や費用を膨大にかけなくても、ご自身のマウス操作のみでデータベースのレイアウトを簡単に作ることができます。そのため、欲しい人材データベースを自分たちで簡単に、かつ、すぐに導入できます。このような柔軟性が1つ目の強みです。
次に「マニュアル不要のユーザー画面」とあります。これはいかに直感的に使いやすいかということです。複雑なマニュアルを見ずに簡単に使えるわかりやすいUI(ユーザーインターフェース)を心がけ、わかりやすく作っていることが2つ目の強みです。
3つ目は「セキュアなアクセス管理」です。人材情報は当然個人情報にあたるため、セキュアに管理しなければなりません。また、人材情報を一元化し、「カオナビ」で活用するといっても、「この立場の人はここまで見てよい」「この立場の人はここまでは見てはいけない」といった、人材情報の閲覧権限を細かく設定しなければなりません。それが、例えば「部長はここまで見られる」「マネージャーはここまで見られる」など簡単に設定できます。
以上の3つをもって、「カオナビ」のシステムの強みと考えています。
カオナビの強み:ノウハウ
ノウハウについてです。まずは「コミュニティ」です。「ユーザーがユーザーから直接学べる場」と記載していますが、お客さまの「他の会社はどのように『カオナビ』を使っているの?」といった疑問について、直接勉強できるセミナーなどを我々が開催しているということです。「カオナビ」の活用方法や事例を直接ユーザーから学ぶことができます。
一般的にシステムの提供元がサポートし、セミナーを開催することは普通にありますが、当社の場合はユーザーが他のユーザーに教える、もしくは学べる場を提供しています。これが1つの特徴です。
中央の「ライブラリー」についてです。当社の導入実績は2,000社以上あるため、圧倒的にノウハウや活用テクニックを蓄積しています。なおかつ、それを体系化した情報としてまとめているのがライブラリーで、探しやすく、見やすくなっています。
お客さまから見てどのようなメリットがあるかと言いますと、「自分の会社と同規模の会社の例を探したい」ということが簡単にできます。あるいは、「自分の会社と同じ業界では、どのような評価制度を取り入れているのか」など、自分で検索ができるライブラリーが既に整備されている状態です。つまり、業種・業態・規模を横断した圧倒的な情報量をもつ、活用できるライブラリーとなります。
ノウハウの3つ目は「専任スタッフ」です。やはりこの業界内で一番長く事業を行っているため、専任のベテランスタッフがいます。長年の知見を持ったサポートスタッフが充実しているところも、当社の強みであると思っています。
人材データプラットフォーム構想
当社が最終的に描く戦略についてです。ビジョンにおいて「人材情報を一元化したデータプラットフォームを築く」とお伝えしました。我々はお客さまへの製品として、タレントマネジメントシステムを提供していますが、そこに格納される人材データに一番価値があると考えています。
この人材データを業種・業態・規模を横断し、蓄積していきます。そうすると、「この業界では、このような人が活躍する傾向がある」「この業界では、こういった人の相性がよく、うまく働ける」「このような人には、実はこんな才能が眠っている」といった情報を、データから導き出せる日が来ます。
それをもとに、スライド中央にある「カオナビ」以外の、例えば「求人マッチング」「人材紹介」「データ分析」「人事コンサル」など、人事や人材サービスの既存市場に対して「人材データプラットフォーム」というデータをレバレッジさせ、新しい収益ポイントを作っていきます。このような構想を「人材データプラットフォーム構想」として、基本戦略としています。
第1四半期の業績ハイライトは、CFOの橋本よりご説明したいと思います。
業績ハイライト
橋本公隆氏:CFOの橋本でございます。以降のファイナンシャルの部分については、私からご説明します。
最初に、P/Lについてです。スライドに記載のとおり、第1四半期は売上高が10億800万円、前年同期比で33.9パーセントの成長、売上総利益が7億1,500万円、前年同期比で27パーセントの成長となりました。利益率は後ほどご説明しますが、70.9パーセントまで上昇しています。その他についてはスライドに記載のとおりです。
事業ハイライト
事業ハイライトです。当社が最も重視するストック収益は8億8,900万円、前年同期比で32.1パーセントと、しっかり成長できたと思っています。
また、それを因数分解した構成要素である利用企業数と単価についてですが、利用企業数は2,122社、前年同期比で15.2パーセント成長となりました。ARPUは15万円、前年同期比で19.2パーセント成長となり、順調に推移しています。また、解約率は0.69パーセントで、LTV/CACは5.1倍となっています。
売上高の推移
売上高の推移です。スライド左側の黄色の棒グラフであるストック収益が積み上がっており、トップラインが右肩上がりに成長している状況です。売上高ストック比率も88.2パーセントと、高い水準をキープできていると思っています。
売上高の内訳ですが、ストック収益が前年同期比32.1パーセントの増収となり、フロー収益が同49.6パーセントの増収となっています。
利用企業数・ARPUの推移
利用企業数とARPUの推移です。先ほどもお伝えしましたが、利用企業数の前年同期比の成長率は1,842社から2,122社と、順調に顧客数が増えています。
スライド左側ですが、黄色が200人から900人、青色が1,000人以上の登録人数プランです。それらを合わせて83パーセントとなり、着実に比率が高まってきています。
当然、登録人数の多いプランが増えれば増えるほど、単価は上がっていく傾向にあります。スライド右側のARPUのグラフは、12万6,000円から15万円と単価が上がっています。新規獲得で登録人数が多いプランが増加したことに加えて、既存顧客のアップセルも進んだため、このダブルの効果で19.2パーセント成長となっています。
解約率の推移
解約率は12ヶ月平均で示しています。2021年3月末が0.71パーセントですので若干改善し、今回の四半期は0.69パーセントで着地しています。引き続き低い解約率を維持している認識です。
ユニットエコノミクスの推移
ユニットエコノミクスの推移です。スライド右側にLTV/CACに関する折れ線グラフを記載しています。LTV/CACは5.1倍で、前四半期から0.2ポイント改善しています。要因については分子と分母がありますが、まず分子のLTVに関しては、ARPUと売上総利益が上昇したこと、また、解約率が低下したことで、大幅に改善しました。
一方、CACについて、マーケティング関連費用はスライド左側の棒グラフのとおり、前期比で減少していますが、分母にあたる新規獲得社数が減少したことで、CACが上がっています。以上のミックスにより、LTV/CACは0.2ポイント改善しました。
売上総利益・営業利益の推移
売上総利益と営業利益の推移です。売上総利益は、前四半期から2.7ポイント改善しています。前回の第4四半期は、オフィス移転に伴う家賃増加や、一時的な脆弱性診断によるコスト計上などがあり、利益率が下がりました。
今回の第1四半期に関しては、そのような一時的なコスト解消に加え、売上が増加したことにより、固定費である家賃増加を吸収し、利益率が改善していく傾向にあります。これは今後も継続すると思っています。
2022年3月期の営業利益は3,000万円です。前年同期は1億2,000万円ですので、かなりの減益に見えますが、昨年の今の時期はコロナ禍の影響で投資を縮小せざるを得ない環境でした。そのため、去年は利益が出すぎたと思っています。
現在は、成長投資をきちんと実施できる、すなわち正常な環境に戻ったと認識しており、その状況下での3,000万円の営業利益となります。
コスト分析
コスト分析です。営業費用は前年同期比で54.7パーセントと大幅に増加しています。主な要因は、スライド右側のグラフにあるとおり、従業員数の増加です。これに伴い、売上原価と、販管費のうち人件費が増加しています。
また、広告宣伝費も6,200万円から1億1,400万円と大幅に増えており、オフィスの移転に伴い地代家賃が増加しているのも主な要因です。
その他も7,800万円増えていますが、大きなものとしては販売促進費や通信費、オフィス移転関連の減価償却や敷金償却といった費用が、前年同期比で増加しています。
フリーキャッシュフロー・前受収益の推移
フリー・キャッシュ・フローと前受収益の推移です。フリー・キャッシュ・フローは1億8,100万円で、着実に資金創出ができています。
ストック収益を積み上げることで、前受収益が増加し、フリー・キャッシュ・フローが創出できるという好サイクルに入りますが、このサイクルで獲得した現金は、お客さまに対してのサービス価値をさらに高めるために、プロダクト改善や新機能開発、さらには新規顧客の獲得に向けての人材獲得やマーケ投資に充当しています。
スライド右側の前受収益のグラフです。グレー部分がフロー収益に該当しますが、これまでよりも増加しています。これは、新しい収益認識基準では契約期間に応じて収益を認識するため、フロー収益がこれまでの一括計上ではなく、前受収益を計上して期間按分されるかたちに変わったためです。
2022年3月期の業績予想
2022年3月期の業績予想です。第1四半期の進捗に関しては、概ね順調と認識しており、通期予想に変更はありません。1点、マネジメントで注視しているのが、フロー収益の部分です。通期で7億円の予想に対して、第1四半期は1億1,900万円で、社内計画を下回りました。
ストック収益は、新規顧客の獲得に加えて、既存顧客からの収益拡大が順調に進んでいるため、社内計画を上回って着地しています。
フロー収益には、主に導入時の初期費用や有償サポートの2つがあり、いずれも導入企業の規模にかかわらず、多くは単純に社数に比例しています。ストック収益は、大企業の顧客を獲得すれば単価が上がるため、その部分をカバーできますが、フロー収益はそれができません。そのため、初期費用に関しては、新規獲得社数が想定よりも減少した影響で、若干ショートしました。
また、有償サポートについて、付帯率に変化はないのですが、初期費用と同様に社数の影響もありましたし、加えて単価が下がったことが一番の要因だと分析しています。これについては、7月に有償サポートのメニューや価格変更を実施しており、第2四半期以降で、フロー収益をきちんと挽回していこうと考えています。
主要コストの考え方
主要コストの考え方は、5月にご説明したとおり主に変更はありません。
中期的な成長イメージ
最後に、中期的な成長イメージです。中期成長のグランドデザインに記載されているマイルストーンの達成に向けて、一歩一歩、着実に事業成長を実現していきたいと考えています。説明は以上になります。