連結損益計算書

佐野健一氏:ただいまご紹介いただきました株式会社ビジョンの佐野でございます。本日はお忙しい中、お時間をいただきまして誠にありがとうございます。さっそくではございますが、業績のハイライトを説明させていただきたいと思います。

まず今決算は中間期になります。昨年の中間の決算は、96億3,000万円という結果になっています。昨年の第1四半期は1月から3月ということで、3月の中盤以降に新型コロナウイルスの影響が出始めたわけですので、それまでは新型コロナウイルスの影響はなく順調に売り上がっていました。しかし、今年は最初からコロナ禍ということで、今のアウトバウンドのない状況からのスタートだということをご理解いただければと思います。

営業利益に関しては、昨年の中間期はマイナス1,500万円でした。第1四半期には利益が出ていたものの、初めての緊急事態宣言が出たということもあって、非常に大きく数字が下がったところではありました。今期に関しては6億5,400万円で、第1四半期、第2四半期ともにグローバルWiFiがない中で、既存の事業でしっかりと利益を出してきたかたちになります。

また、営業利益率も7.6パーセントと改善してきています。親会社株主に帰属する当期純利益ですが、昨年は大きく2つの要因がありました。1つはグローバルWiFiの端末の償却を、しばらく端末を使わないだろうということで監査法人と協議をして、減損の処理をしようというかたちになりました。そのため、そこで現金が出ていったわけではありませんが、価値を洗替えしています。

もう1つは、その前の期に利益計上し始めていた「ProDrivers」を、インバウンドや大使館等に依存していた関係というのも、比率が高かったことも含めて売却しました。その特別損失を主に計上していたわけですが、今年に関してはそのようなものはなにもなく、4億5,500万円という着地になっている状況です。

営業利益の増減要因

営業利益の増減要因です。売上は先ほどご説明したとおりです。昨年もご説明しましたが、原価に関しては、従量制に移行していたところで急激に原価を押し下げられたことが功を奏したところです。売上は減少していますが、原価も同じように減少し、人件費・広告費等に関しても減少しているという状況で、営業利益はプラスになっています。

セグメント業績

セグメントの利益です。まず、グローバルWiFiに関しては、昨年が46億3,400万円だったものが38億6,500万円というかたちになりました。情報通信サービスは45億2,000万円だったものが46億5,500万円ということで、こちらは伸びている状況になっています。

セグメントの利益ですが、グローバルWiFiは昨年マイナス2,000万円でしたが、今年は3億8,000万円のプラスということで、期首から黒字転換しています。情報通信サービスは8億1,700万円だったものが7億7,700万円に下がっていますが、こちらは第1四半期の決算説明でもご説明したとおり、昨年来SaaSのサブスクのサービスを増やしてきています。

一括で売上が計上できるような代理店ビジネスではなく、直収型で「毎月1アカウントあたりいくら」というかたちでもらえるようなサービスをいくつも出しているため、ここの部分はもともと下がる可能性があったものだと認識し、ご説明してきているものです。

グローバルWiFi事業 業績推移

グローバルWiFi事業の業績推移です。テレワークについてはニューノーマルな時代として、一般的になってきていると思います。現在私は本社にいるのですが、本社内のスタッフを見ると、おそらく10パーセントくらいしかいない状況です。すでにしっかりとビジネス運用ができる会社が非常に増えていると思います。

ワーケーションという新しい言葉ができており、東京にいなくても地方で働くことを可能にします。もしくは、グローバルワーケーションとして世界に出ているが、日本で働いているという新しい取り組みがどんどん増えています。そのようなところで、グローバルWiFiの国内向けを活用いただいている状況です。

法人向けの「グローバルWiFi for Biz」に関しては、テレワーク用に使っていただいています。そして、コロナ禍といった状況下でも、ビジネスでどうしても行かなければいけないという方々もいます。

そのため、コロナ禍が回復した時に、我々としても一気に大きくスタートできるように、現在の状況下でも「グローバルWiFi for Biz」は積極的に販売しています。こちらは非常に順調に売れており、保有数もどんどん増えている状況です。

現在、空港のカウンターなどはすべて維持している状態であるため、ここだけは残念ながら費用のみ出ていっている状況です。しかし、一方で、空港検疫所での水際対策において、アプリのインストールや、通信手段がない方に対するWi‐Fiのレンタルが行われています。

そのようなところは、昔のインバウンドほどではもちろんありませんが、借りてくださる方々はいますので、売上・利益ともに寄与しています。

情報通信サービス事業 業績推移

情報通信サービス事業の業績推移について、2つ要因があります。1つ目は先ほどお伝えしたとおり、自社サービスへの移行によって、若干の利益減少があります。

しかし、ここは中長期的に収益が上がるモデルです。我々の存在価値そのもののお客さまの認識は、お客さまと長く取引することにより、非常に高く改善されています。また、他の商品やサービスが非常に流通しやすくなるところにも一役買っているわけです。その自社サービスの収益が増加してきています。

ただ一方で、我々は電力小売の取次を数年前から行っていますが、今年1月の電力の高騰で過去類を見ない高騰が初めて起きました。それにより、取次手数料の単価が減少し、そこがマイナス要因になっている状況です。

通期業績予想修正①

通期業績予想修正です。売上高が174億6,800万円で、昨年の166億5,400万円を超えました。昨年は第1四半期が通常期に近い状況であり、今年はコロナ禍からのスタートと考え、そこを除くともっと伸びている状況ではあります。

しかし、前回の説明会では未定にしていましたが、発表時はもともと4億円くらいの利益として発表し、第1四半期で1回、コロナ禍の非常事態宣言などがまた発出されたことも含めて一旦未定にしました。市場の環境が変化するリスクはまだあるものの、この変化に耐え得る体質作りに仲間たちとともに取り組んできたため、今計算できる部分の数字はしっかり開示しようということです。

利益に関しては、昨年1億300万円だったものが10億700万円と、大きく伸びています。経常利益に関しても、2億2,700万円だったものが10億2,800万円、親会社株主に帰属する当期純利益に関しても6億8,500万円というかたちになります。この業績は推移のところでもう1回ご説明しますので、先にセグメントについてお話しします。

セグメント別通期業績予想修正

売上高は、グローバルWiFi自体は約72億円から約83億円、情報通信サービスは約88億から約88億8,000万円とほぼ横ばいという状況で、サブスクの積み上げを今進めている最中です。

セグメント利益は、グローバルWiFiに関してはマイナス9,000万円だったものがプラス8億300万円、情報通信サービスは15億2,000万円だったものが12億4,200万円です。

後ほど細かくご説明しますが、新しく電力の小売に参入し、「ビジョンでんき」という電気のサービスを新しく始めます。我々は今まで取次で相当数を売ってきたわけですが、今後はお客さまともっと密にお取引ができるようにということで、今までの電気も継続しながら「ビジョンでんき」も売っていくかたちになっていきます。

通期業績推移(四半期別推移)

スライドは四半期の推移です。昨年の2020年12月期第2四半期を見ていただくと36億4,100万円だった売上高が、今期は47億600万円です。昨年はマイナス5億300万円と、四半期で赤字になったわけですが、今年の同じ四半期では3億6,800万円のプラスという状況になっています。

通期業績予想修正②

これが業績修正の前提や事業方針に関わることになっています。「アフターコロナを見据えた戦略を、新サービス等含めて積極的に展開していきます」ということをご説明してきているわけですが、まず、グローバルWiFiについては今までどおり、「グローバルWiFi for Biz」は圧倒的な獲得数、新型コロナウイルスの終焉もしくは海外渡航の復活に向けて取り組んでいるかたちになります。

「25パーセントくらい回復してくるだろう」というのは、ワクチンパスポート等の期待値もあります。今日の数字等は見ていませんが、今ちょうど配信している最中にも感染者数が非常に多くなっており、ここ最近は非常に多い状況です。

しかし、ワクチンの接種も進み、重症化率も非常に下がり、少しは改善の兆しがあるのではないかと思っています。「風邪やインフルエンザと同じような扱いになってくれればよいのにな」というのが我々の願いです。そのあたりも含めて、今のところ「25パーセント回復」を織り込んでいる状況です。

その一方で、受託業務に関しては現在まだ不透明感があります。これはコロナ禍による国内のテレワークや国内Wi-Fiもそうですが、逆に言うと「ここが下がってくるということは、海外に行く人が増えることになる」というトレードオフになると思っているため、そのようにご認識いただければと思います。

情報通信サービスの中にある「ビジョンでんき」が与える業績影響値としては、売上高がマイナス2,600万円程度です。営業利益は、収入が今は立っていないところから、積極的な獲得コストが先行するかたちになるため、後ほどARRやMRRのところも少し説明したいと思いますが、今期に関してはマイナスではなく投資フェーズというかたちだとご認識いただければと思います。

新市場区分の上場維持基準への適合状況に関する一次判定結果

新市場区分の上場維持基準への適合条件に関する一次判定結果ですが、「プライム市場の上場維持基準への適合を確認した」という通知をいただいています。9月より新市場区分の選択手続きが行われていくため、取締役会でしっかり協議し、新市場区分の選択申請に係る所定の手続きを進めていきたいと考えています。このあたりに関しても、適時適切な開示を行いながら、中長期的な企業価値向上を目指していきたいと考えています。

グローバルWiFi for Biz積極拡販~渡航回復時の競争優位性~

先ほどご説明した「グローバルWiFi for Biz」の積極的な拡販をしていく、というところになります。中国、アメリカ、ベトナム、韓国、タイは稼働率が徐々に回復してきています。

まだまだ非常に流動的ではありますし、分母が非常に小さいため、過度な期待というよりは、今は「グローバルWiFi for Biz」を多くの企業に導入いただいて粛々と準備しているフェーズだとご認識いただければと思います。それによって先々の競争優位性をしっかり高めていくことを進めています。

国内Wi-Fiの販売強化~グローバルWiFi事業~

GIGAスクールや、ご移転の際にインターネットがすぐに引けない時、入院する際に「テレビだとおもしろくないから『Netflix』を大画面で見たい」という時、テレワークやリモート会議の時など、ポケットWi‐Fiにはさまざまなニーズがあるため、そこを積極的に進めています。

超高速通信5Gプラン提供開始~渡航回復時の競争優位性~

業界初になりますが、新たに5Gの提供を開始することを先立ってリリースしました。まずはハワイとアメリカ本土で使っていただけるようにします。準備が整い次第、韓国、中国、香港、台湾をはじめ、提供エリア拡大をしていく予定です。

我々が初めて4GのグローバルWiFiを導入した時、アメリカ、韓国、香港からスタートしました。ネットワークの地域によっては、まだまだ日本も同じような状況ですが、電波の届かないエリア等もあります。積極的に4Gを展開していき、後々は5Gと4Gのダブルというかたちで、世界中で安定的な通信を使える環境を整えていきたいと思っています。

スライドの絵のように、「走っている」「バイクに乗っている」「ロケット」というくらい、ものすごい差があるということです。我々も使いながら日本での実測値を見ていますが、「まだそこまでは」というイメージではあります。ただし、5Gを使ってみたい人は、我々が4Gを導入した時と同じように、多くいらっしゃると思いますので、しっかりしたサービスが提供できるように整えていきたいと思っています。

Vision WiMAX ~顧客基盤を活かしたサービス~

前にリリースした「Vision WiMAX」です。先ほどの「グローバルWiFi for Biz」やスポットレンタルとは違い、3年契約で使っていただくようなものですが、5Gプランを導入しており、お客さまのニーズをきちんと捉えてさらに拡大していきたいと考えています。

サービス「通訳吹替.com」 ~顧客基盤を活かした新サービス~

「通訳吹替.com」に関してです。今はさまざまな上場企業の開示の資料やIRの英語化、同時通訳化、収録したものを吹き替えるなど、海外投資家を増やしたい方々の中にはここを起点に攻めていきたいという会社も多いため、お客さまもどんどん増えつつあります。

売上総利益構成 情報通信サービス事業

情報通信サービス事業の売上総利益構成比率は、昨年と大幅には変わっていません。ポートフォリオにおける若干の変更はありますが、グローバルWiFiがあった時代と比べると、情報通信が中心になっています。そのような意味では、Wi-Fiも健闘している状況です。

自社サービス(月額制)販売好調~顧客・時代のニーズにあった商材・サービス提供~①

「VWSシリーズ」は自社サービスになります。スライドに記載の「申請」「勤怠」「社内SNS」「入退室」「福利厚生」「営業」「人事」というさまざまな分野で、どちらかと言いますとスタートアップ企業や小規模な会社に選んでいただいています。

我々がそこをターゲットにしていることが非常に大きいわけですが、ここも順調に販売数が伸びている状況です。

自社サービス(月額制)販売好調~顧客・時代のニーズにあった商材・サービス提供~②

「Vision Crafts!(ビジョクラ)」は、月額4,048円といった低価格でホームページが作れるサービスです。こちらもお客さまから月100件以上オーダーいただいている状況であるため、力を入れていきたい部分になります。

新電力サービス「ビジョンでんき」提供開始~顧客・時代のニーズにあった商材・サービス提供~

今日発表しました、新電力サービスの「ビジョンでんき」についてです。今まで、我々は電力も販売していました。また、エアコンも販売しており、LEDも積極的に販売しています。国も掲げているカーボンニュートラルにおいては、やはりLED化を進行させ、そして、エアコンを入れ替えることによって省電力化が進みます。

中でもエアコンは、数年前のものよりも今のほうが圧倒的に省電力になるため、そのあたりを入れ替え、「ビジョンでんき」と併せて、カーボンニュートラルに貢献していきたいと思います。また、SDGsの観点でそのあたりを捉え、お客さまにも呼びかけていきたいと考えています。

基本的に、「ビジョンでんき」は新しく始めるサービスではありますが、今まで電力販売は積極的に行ってきているため、「本当に受注は取れるのだろうか?」といった姿勢ではなく、積極的に獲得数を増やしていきたいと思っています。

新電力サービス「ビジョンでんき」提供開始に伴う影響

「ビジョンでんき」提供開始に伴う影響に関しては、最初に5ヶ年計画を開示しました。売上推移について、2021年は6,300万円、2022年が11億5,600万円、2023年が29億9,800万円で、2024年には52億9,800万円、そして、2025年は76億500万円となっています。

また、利益に関しては、今年と来年が投資フェーズであるため、貯まったストック自体が3期目から大きく黒転し始めてくるかたちで取り組んでいきたいと思っています。

新電力サービス「ビジョンでんき」ARR(年間経常収益)推移

年間ARRとしては、粗利になりますが、2021年は8,500万円、2022年が4億5,100万円、2023年が9億7700万円で、2024年には15億7,200万円、2025年は21億500万円となっています。

基本的に、ビジョンはお客さまとしっかり寄り添い、佐賀のコールセンターがコンシェルジュとしてお客さまとずっと接点を取りながら、中長期的にお付き合いいただいていますが、全商品において誘導率が非常に低いことも私どもの特徴ではあります。

そのため、長く、半永久的にお客さまと取引していただけるように、しっかりとした取り組みを行っていきたいと考えています。

ストック収益及び自社サービス 売上総利益推移 情報通信サービス事業

中間期におけるストック構成です。2019年の段階では、ストックにおける外部手数料は4億円、自社サービスで3.3億円だったものが、2020年には逆転し、自社サービスのサブスクが4.7億円となりました。そして、ストック収益が3.6億円となりました。さらに今年は、上半期だけで自社サービスが3億円となっており、順調に積み上がってきている状況です。累計では2021年上期で4.8億円となります。

グランピング事業~3つ目の柱となる事業の育成~

グランピング事業は、3つ目の柱となる事業の育成部分になります。情報通信サービス事業、グローバルWiFi事業に次ぐ第3の柱に成長する事業として、2022年上半期にグランピング事業を開始する予定です。前々にて「用地の取得や設備などで約12億円を投資していきます」と発表しました。

グローバルWiFiにおける私どものお客さまの特徴としては、世界を旅することが好きなお客さまが約1,000万人以上と多く存在していることです。ここではやはり差別化が非常に大事になります。私の実家でもともとグランピング事業をしていたことによりノウハウが貯まっていたこと、また、事業収入が非常に高いことから、「グランピング事業を行おう」となりました。

まずは、グランピングのドーム内には当たり前のように冷暖房を完備し、グランピングでは珍しい、各部屋専用のトイレを完備しています。他社のグランピングにおいては、トイレは共同であることがほとんどだと思います。

そしてお風呂も専用露天風呂を完備しており、全天候型対応、かつ周りを気にせずにプライベートな空間を楽しめるかたちになっています。また、150平米くらいの部屋が1部屋あるため、おそらくスイートルームと比べても遜色ない広さだろうと思っています。

ただし、我々が提供するサービスであるため、非常に高額で行いたいわけではもちろんありません。多くのお客さまに喜んでいただける価格帯のサービスや商品を届けたいというスタンスで行っているため、がんばっていきたいと思います。こちらについては、また進捗がありましたら、随時お知らせしていきたいと考えています。

社会・地球の持続可能な発展への貢献

今日本で子ども世界平和サミットがオンライン上で開催されています。我々はそのサポーターであり、詳しくはまた別途リリースをご覧いただければと思っています。

また、我々はSDGsの取り組みを持続していきます。これはやはり、地球が持続していく上で、そこに存在している人すべてが持続する考え方で行動していかなければならないと考えています。

特に我々のような企業は、積極的に行っていかなければいけない立場であり、もちろん我々としてもそのようなスタンスで行っていきたいという思いもあるため、積極的に推進していきたいと考えています。

簡単ではありますが、以上で2021年中間期の決算説明を終わらせていただきます。ご清聴いただき、誠にありがとうございました。