連結決算概況

浅野健二郎氏:株式会社コーエーテクモホールディングス 取締役専務執行役員CFOの浅野でございます。本日はお忙しい中、弊社の決算説明会へご参加いただきありがとうございます。私からは2021年3月期の決算概要、および2022年3月期の計画概要についてご説明申し上げます。

2021年の連結決算概況についてご説明します。売上高は603億7,000万円、営業利益は243億9,700万円、経常利益は392億9,900万円、当期純利益は295億5,000万円となり、各項目で前年を大きく上回り、過去最高の業績で11期連続の増益を達成しました。

パッケージゲームでは大型タイトルが発売となり、オンライン・モバイル分野では自社開発のスマートフォンゲームがヒットし大きな成果が出ました。また、IP許諾によるロイヤリティ収入が引き続き好調に推移しました。

営業外収益も、投資有価証券売却益が増加し高い水準となりました。ROEについても20.6パーセントとなり、資本効率も大幅に上昇しました。東証一部上場企業のROE平均が2018年度で9.4パーセント、2019年度で6.7パーセントですので、非常に高い水準となりました。

主なタイトル①

主なタイトルについてご説明します。11月に発売した『ゼルダ無双 厄災の黙示録』は370万本を超えるヒットとなりました。2月にはダウンロードコンテンツ3部作を収録しPS5とSteamのプラットフォームを追加した『仁王2 Complete Edition』を発売しました。『ライザのアトリエ2 ~失われた伝承と秘密の妖精~』は全世界で発売し、36万本の販売となりました。ライザのアトリエシリーズは、2作合計でミリオンセールスを達成しました。

2月に株式会社アトラスと共同開発した『ペルソナ5 スクランブル ザ ファントム ストライカーズ』が欧米で発売されました。

主なタイトル②

オンライン・モバイルでは、9月に国内で配信を開始した『三國志 覇道』が好調に推移し、中期経営計画で掲げていた目標の月商10億円を達成しました。『真・三國無双』『金色のコルダ スターライトオーケストラ』もそれぞれ国内で配信を開始しました。

IP許諾タイトルでは、『三国志・戦略版』が中国のApp Store月間セールスランキングにて18ヶ月連続で上位5位以内に入るなど引き続き好調で、台湾や韓国でも配信が開始されました。また、『新三國志』も引き続き好調です。

セグメント別

セグメント別の売上高、営業利益はご覧のとおりです。エンタテインメントセグメントはパッケージゲーム、オンライン・モバイルの両分野で大きく増加しました。アミューズメントと不動産セグメントは新型コロナウイルスの影響もあり、前年に比べ利益が減少しました。

地域別売上高

地域別の売上高はご覧のとおりです。海外売上高の比率は連結で51.3パーセント、エンタテインメントセグメントでは54.2パーセントとなり、大きく上昇しました。欧米ではパッケージゲームの販売が、アジアではIP許諾によるロイヤリティ収入が増加しました。

地域別販売本数・ダウンロード数

パッケージゲームの販売本数は全体で1,011万本となり、海外比率は79.1パーセントとなりました。ダウンロードでの販売本数は390万本で、全体に占める割合は38.6パーセントです。オンライン・モバイルでは、コーエーテクモIPのアプリのダウンロード数が、グローバルで57.1パーセント増の9,900万本を超え、海外比率は70パーセントとなり、海外のユーザー数が大幅に増加しています。

エンタテインメント売上高:内訳

エンタテインメントセグメントの売上高の内訳についてご説明します。パッケージ分野、オンライン・モバイル分野ともに前年に比べ大きく増加しました。パッケージでは、『ゼルダ無双 厄災の黙示録』『仁王2 Complete Edition』、オンライン・モバイルでは、『三国志・戦略版』のIP許諾ロイヤリティに加え、自社タイトル『三國志 覇道』により売上が増加しています。

主な費用・人員数

主な費用の内訳と人員数についてご説明します。人件費は21億3,000万円増加しました。好調な業績により賞与などが増えたほか、人員を148人増の1,983人とし、開発体制の拡充を図っていることが要因です。広告・販促費は『三國志 覇道』などのスマートフォンゲームの広告展開により増加しています。

計画概況

ここからは2022年3月期の計画についてご説明します。2022年3月期の通期計画については、売上高650億円、営業利益245億円、経常利益365億円、当期純利益265億円。第2四半期累計では売上高300億円、営業利益100億円、経常利益160億円、当期純利益120億円を計画しています。計画については保守的に考えていますが、前年の業績を上回り、今期も最高益が更新できるよう全力で取り組んでまいります。

セグメント別(計画)

セグメント別の計画についてはご覧のとおりです。エンタテインメントセグメントは200万本級タイトルの発売や、新作スマートフォンゲームのサービス開始を予定しています。アミューズメントセグメントは、前年は新型コロナウイルス感染症の影響を受けましたが、スロット・パチンコ、アミューズメント施設運営の双方において収益性の向上を図ってまいります。その他セグメントは、ベンチャー投資の収益を一部見込んでいます。

地域別売上高(計画)

地域別の売上高の計画はご覧のとおりです。海外売上高比率は連結で40.8パーセント、エンターテインメントセグメントで43.5パーセントを計画しています。

地域別販売本数(計画)

パッケージゲームの販売本数計画はご覧のとおりです。海外比率は71.3パーセントを計画しています。オンライン・モバイルのダウンロード数についてもご覧のとおりです。海外比率は69.9パーセントを計画しています。

設備投資・減価償却費(計画)

設備投資・減価償却費の計画はご覧のとおりです。2020年度、2021年度の不動産の設備投資は主に社員寮への投資によるものです。減価償却費は、みなとみらいオフィス、音楽ホールにより増加しています。

以上で、2021年3月期の決算概況および2022年3月期の計画概要に関する説明を終わらせていただきます。引き続き、社長の襟川と副社長兼コーエーテクモゲームス社長の鯉沼より、当社の経営方針と経営戦略についてご説明します。

コーエーテクモの精神

襟川陽一氏:株式会社コーエーテクモホールディングス代表取締役社長の襟川です。本日はお忙しい中、当社の決算説明会にご参加をいただきまして誠にありがとうございます。私からはコーエーテクモグループの経営方針についてご説明申し上げます。

コーエーテクモの精神は、創造と貢献です。新しい価値を創造して、社会に貢献する。 新しい商品やサービス、新しい技術、新しい価値を創造して、人類の発展や世界中のみなさまの心の豊かさや幸せに寄与・貢献していくこと。これが当社の存在意義であり、コーエーテクモの社員は日々このことを心掛けて仕事をしています。

経営基本方針

経営基本方針として、4つ掲げています。最高のコンテンツを創発して、お客さまに最高の感動を提供します。その最高のコンテンツを通じて、成長性と収益性を実現します。成長性と収益性を実現して、その収益で社員の福祉の向上を図り、活力に満ちた魅力ある企業となります。その活力を通じて新分野へ挑戦していきます。新分野への挑戦が、また最高のコンテンツの創発につながっていきます。

この4つの経営基本方針を大きく循環させて、経営を行っています。

中期経営計画の数値目標を大幅に上回る業績を達成

2018年度から3ヶ年の中期経営計画を策定して、2020年度において売上高510億円、営業利益170億円、経常利益210億円の数値目標を掲げてきました。2020年度、この数値目標を大幅に上回る業績を達成しました。成長性と収益性を実現して、中期経営計画の最終年度を非常によい形で締めくくることができました。

2023年度に売上高900億円、営業利益300億円を計画

そして新たに、2021年度から2023年度の新しい中期経営計画を策定しました。2023年度に売上高900億円、営業利益300億円、経常利益400億円を計画して、全社一丸となってさらなる成長を図ってまいります。

自社開発タイトルで成長

中期経営計画では、自社開発タイトルで成長する計画としています。IP許諾収益は、現状水準を維持するものと想定をして、自社開発タイトルの収益で年平均で14パーセントの成長を計画します。

重点目標

重点目標です。2023年度に営業利益300億円を目指します。500万本級のパッケージゲームを発売し、『仁王』を超えるトリプルAタイトルを実現します。毎期200万本級のパッケージゲームを発売し、パッケージゲーム分野において安定的な成長を図ります。スマートフォンゲームでは、『三國志 覇道』に次ぐ複数の月商10億円タイトルを実現して、月商20億円のスマートフォンゲームにもチャレンジしてまいります。

成長戦略

成長戦略として、『仁王』や『三國志 覇道』など成功タイトルのノウハウを活かした横展開で成長を図ります。『アトリエ』や歴史シミュレーションゲームの無双シリーズのグローバル化を進め、販売本数の上昇を図ります。新規IPを育成して、展開してまいります。また、GPSやバトルロイヤルなどの成長ジャンルへも挑戦をしていきます。

グローバル・ビジネスの拡大

グローバルビジネスの拡大を図ります。グローバルタイトルの品質を向上し、欧米・中国ビジネスを拡大します。コロナ禍に対応した、機動的な新開発体制へ移行を図り、SDGs実現への取り組みを強化していきます。SDGsについては、添付させていただきました補足資料に現状の取り組みを記載しています。そちらをご参照ください。

長期ビジョン

新しい中期経営計画を作成するにあたり、当社グループの長期ビジョンを、世界No.1のデジタルエンタテインメントカンパニーとしました。デジタルの時代において世界中のお客さまの心の豊かさと幸せに寄与・貢献する世界No.1企業を目指します。世界No.1は現実的な目標となりつつあることを感じています。

新しい中期経営計画では、上場企業のエンタテインメントコンテンツ事業分野の営業利益ベースでグローバルベスト15位以内に入ることを具体的な目標として掲げています。当社の調査によりますと、現在は21位です。この新たな長期ビジョンのもと、グループのさらなる発展を目指してまいります。

2021年度 経営方針

2021年度の経営方針は、グローバルIPの創造と展開です。グローバルな視点でゲーム開発に取り組み、IPをプラットフォーム、ジャンル、コラボレーション、ライセンス、タイアップと多方面へ展開し、成長性と収益性を実現します。

2021年度 前提

2021年度の業績予想については保守的に計画をしています。新型コロナウイルスはワクチンの普及によりまして今後収束に向かうことを強く念願していますが、その後の当社を取り巻く事業環境については競争がより激しくなり、厳しいものになると見立てています。

IP許諾収益については2020年度と同水準で計画しています。また、営業外収益については、2020年度の8割で計画しています。今期も12期連続となる増益を達成できるよう全力で取り組んでまいります。

株主の皆様に対する利益還元

株主のみなさまに対する利益還元についてご説明します。利益還元の基本方針は、配当金に自社株買い付けを加えた連結年間総配分性向50パーセント、あるいは1株あたり年間配当50円としています。2021年4月1日に1対1.3の株式分割を実施しています。配当予想は株式分割前で117円、分割後で90円を予定しています。みなさまの変わらぬご支援のほど、よろしくお願いします。

ハイライト

鯉沼久史氏:株式会社コーエーテクモホールディングス代表取締役副社長兼株式会社コーエーテクモゲームス代表取締役社長の鯉沼です。日頃は当社の事業にご理解とご支援をいただき、誠にありがとうございます。私からは、経営戦略についてご説明します。

2020年度と3ヶ年のハイライトについてご説明します。パッケージゲーム分野では、2020年度に『ゼルダ無双 厄災の黙示録』が370万本を超えるヒットとなりました。3ヶ年を通じてパッケージゲーム分野は重層的な収益構造により成長を継続しました。重層的な収益構造については、後ほどご説明します。

『仁王』が300万本を超え、コラボレーションタイトルの販売本数も上昇、メタクリティックで高評価を獲得するタイトルが複数出るなど、クオリティ面もこの3年で向上しました。

オンライン・モバイル分野では、目標の月商10億円のスマートフォンゲームを『三國志 覇道』で実現することができました。これにより、自社開発のスマートフォンゲーム事業の収益化に目途がつき、今後の当社グループの成長を考える上でも大きな成果と考えています。

また、IP許諾タイトル『三国志・戦略版』のヒットによりIP許諾収益が急拡大しました。一方、新型コロナウイルスにより開発体制に影響が出ています。コロナ禍での機動的なゲーム開発体制について、新しい中期経営計画期間内においても継続して取り組んでまいります。

オンライン・モバイル分野の四半期売上推移

こちらは、オンライン・モバイル分野の四半期での売上推移をグラフにしています。第4四半期も、『三國志 覇道』やIP許諾タイトル『三国志・戦略版』が好調に推移し、過去最高の売上水準となりました。この3年でパッケージゲーム分野だけでなく、オンライン・モバイル分野でも成長を描くことができるようになりました。パッケージゲーム、オンライン・モバイルの両方で今後もさらなる成長を目指してまいります。

オンライン・モバイル分野の売上高とダウンロード数

3ヶ年でのオンライン・モバイル分野の売上高の推移と、コーエーテクモIPのグローバルでのダウンロード数をグラフで表しています。ダウンロード数は累計で9,900万を超え、2年間で2.6倍に急拡大しています。中国や日本において、三國志IPを中心にコーエーテクモIPのゲームでお楽しみいただいているお客さまが非常に増えています。

新しい中期経営計画期間内においても、グローバルでますます拡大するスマートフォンゲーム市場において、さらなる成長を目指してまいります。

主なタイトル(パッケージゲーム)①

今後、発売予定の主なタイトルについてご説明します。まず、パッケージゲームです。5月に『アンジェリーク ルミナライズ』を、6月に『戦国無双5』を発売予定です。

主なタイトル(パッケージゲーム)②

シブサワ・コウ40周年記念作品となる、シリーズ最新作『信長の野望 新生』と、『真・三國無双8 Empires』をいずれも2021年発売で予定しています。

主なタイトル③

2017年に発売した『BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣』を原点とした『BLUE REFLECTION』プロジェクトが始動しました。アニメ、スマートフォンゲーム、パッケージゲームの3タイトルで、クロスメディア展開します。ご期待ください。

主なタイトル(オンライン・モバイル)

オンライン・モバイル分野では、IP許諾タイトルでテンセントゲームズ社が運営する『真・三國無双 覇』が中国で事前登録中で、登録者数は400万人を突破しています。『三国志・戦略版』の日本版となる『三國志・真戦』が国内で事前登録中です。

コーエーテクモの強み①

コーエーテクモの強みについて、2点ご説明します。1つ目は、優れた開発力・技術力・マネジメント力。2つ目は、重層的な収益構造です。

コーエーテクモの強み【優れた開発力】

まず、優れた開発力です。新規グローバルIPを創造する力が強みで、直近では『仁王』が300万本を超えました。オリエンタルな世界観を持ったゲームが当社の強みであると考えています。現在は、500万本級タイトルの開発に鋭意取り組んでいます。

40年以上にわたるさまざまなゲームジャンルの開発ノウハウにより、多様なゲーム性を持ったヒット作の開発に強みがあります。『仁王2 Complete Edition』がメタクリティックで86点を獲得するなど、クオリティもグローバルで高い評価を得ています。

40年で培ったIPでは、近年『三國志』が大きく成功しています。IP許諾タイトルが中国で成功し、自社スマートフォンゲーム『三國志 覇道』も国内でヒットしました。『三國志 覇道』は、ゲーム性においても当社にとって新たな成功となりました。今後、横展開にさらなる拡大を図ってまいります。

コーエーテクモの強み【優れた技術力】

優れた技術力です。コーエーテクモ独自開発のゲームエンジン『Katana Engine』を用いてPS5やSwitch、Steam、スマホなど、多様化するプラットフォームに効果的、効率的にゲームを開発しています。

ラストの『アトリエ』シリーズでは、『Katana Engine』の使用によりCGグラフィックス等が劇的に改善し、マルチプラットフォーム展開も可能になったことにより、『ライザのアトリエ』シリーズがミリオンセールスを達成しました。『三國志14』や、開発中の最新作『信長の野望 新生』の歴史シミュレーションゲームでは、AIによって戦略や戦術を生み出すだけではなく、武将の個性をゲーム内で表現するなど、AIを積極的に活用しています。

コーエーテクモの強み【優れたマネジメント力】

次に、優れたマネジメント力です。納期・品質・予算のプロジェクトマネジメントを徹底しています。よいゲームを作るのはもちろんですが、ビジネスとして納期をしっかり守り、求められる品質のさらにその上の品質を実現して、あらかじめ設定した予算内で期待を超える成果を実現する。この意識を社員全員が強く持っていて、企業文化として根付いていること。それを支えるプロジェクト利益管理の仕組みも整備していることが当社の強みです。

納期・品質・予算の徹底が当社への信頼の向上につながり、それがコラボレーション戦略のさらなる拡大に結び付いています。また、経営管理においても年ごとのIPのポートフォリオや、開発計画を適切にコントロールし、開発費を発生ベースで計上している中でも、全社の業績を鑑みながら5年にわたるような大型タイトルの開発も可能にしています。優れた開発力・技術力・マネジメント力、これらがコーエーテクモの強みの核となります。

コーエーテクモの強み②

強みの2点目が重層的な収益構造です。新規グローバルIPを創出して、シリーズ展開する、さらには開発力を活かしてコラボレーションにつなげる。最近はここに、さらにIP許諾が追加となりました。この重層的な収益構造があることで、特定のタイトルに過度に頼ることなく、ヒットビジネスであるゲーム業界においても持続的で安定した高い収益性を実現できています。

新しい中期経営計画においても、引き続きこの重層的な収益構造による好循環を回しながら、安定した成長を図ってまいります。みなさまの変わらぬご支援のほどよろしくお願いします。