業績概要

岩村康次氏:イオンモール株式会社の岩村でございます。本日はお忙しい中、弊社決算説明会にご参加いただきありがとうございます。それでは、早速ですけれども2020年度決算概要についてご説明させていただきます。

3ページをご覧ください。先月30日の業績予想修正リリースのとおり、2020年度業績は営業収益・各利益とも通期計画に対して超過達成となりました。国内では、新型コロナウイルス感染症拡大および一部地域で緊急事態宣言の再発出の影響があり、一時的に専門店売上が落ち込みましたけれども、年間を通じて国内外の専門店売上は改善基調で推移し、営業収益は前回予想どおりの着地となりました。

営業費用は、2020年6月15日に全面リニューアルしましたイオンモールアプリのユーザビリティの向上による販促の効率化、ウェブ会議やテレワーク等の推進による業務効率向上により、全社的なコスト削減につながりました。

株主還元

4ページをご覧ください。配当につきましては、当社株主のみなさまに対する安定配当を継続する考えのもと、2019年度から配当を維持することとし、期末配当を当初予定どおり20円にて実施し、中間期20円と合わせ、年間40円とさせていただきました。次期配当金は、現在通期で10円増配の50円と、連結配当性向30パーセント以上に引き上げる計画としております。

海外事情が利益創出フェーズに入ったこと、また国内事業は2020年度の新型コロナウイルス感染症拡大の影響による一時的な収益低下を脱し、今後も持続可能な成長計画が達成できると見込まれることから、長期継続的な増配を目指すことといたしました。

セグメント別営業概況(中国)

5ページをご覧ください。5ページから7ページには各国の営業状況を記載しております。詳細は割愛させていただきますけれども、本年度に入り、中国、ベトナムでは足元の売上が前年を超えるトレンドに回復しており、ほぼコロナ前の成長に戻りつつあります。

イオン防疫プロトコルに基づく防疫対策①

14ページをご覧ください。2020年度のウィズコロナにおける当社の取り組みについてご説明させていただきます。2020年度は新型コロナウイルス感染症対応に追われた1年でしたけれども、決してマイナスな面だけではなく、さまざまな面で課題が把握でき、中長期視点で変革と進化を果たすことができたと考えています。

その1つが、恒久的な防疫体制の構築です。イオングループでは、2020年6月に専門家の指導のもと、科学的根拠に基づいたイオン新型ウイルス防疫プロトコルを制定し、当社モールもプロトコルに基づく対応を徹底してきました。

感染防止に向けては、私も従業員と一緒に感染経路や館内感染拡大リスクについて深夜まで分析を行いましたけれども、その中で直接的な飛沫感染とエアロゾルによる空気感染が主たる感染経路になっていることを確信し、換気対策の重要性を再認識いたしました。

そして11月のプロトコル改定では、これらの経験を生かして、有効な施設内換気と空気清浄化の設備導入に対する対策を加えるとともに、従業員からの施設内感染を撲滅する仕組みや、発生後の2次感染の防止対策に関する項目についても追加させていただきました。

イオン防疫プロトコルに基づく防疫対策②

15ページをご覧ください。私たちが早期に防疫対策を講じることができたのは、新型コロナウイルス感染症が世界で初めて蔓延した中国武漢にモールを展開していることが大きかったと思っています。現在実施している防疫対策は武漢での対策を進化させてきたものであり、これらを恒久的な対策とすべく、さらなる改善を図ってきました。

このスライドにあるのは、3月5日にオープンしましたイオンモール新利府南館における防疫対策の一部でございますけれども、12月にオープンしたイオンモール上尾に続いて、イオンモール新利府においても当社の防疫対策が高く評価され、国際的な第3者評価である「WELL Health-Safety Rating」を取得することができました。

これは、新型コロナウイルスなど感染症や、その他緊急事態に対してさまざまな対策を実施していることを示す第3者評価で、当社の最新の防疫対策が外部から高い評価を受けていることがおわかりになると思います。

新利府につきましては、私自身も現地の様子を確認して、従業員とともに環境づくりに取り組みましたけれども、きれいなモール環境づくりの中で、自然なかたちでの「Keep Distance」、抗菌対策などのウイルス感染症対策を実施していることを確認いたしました。

これは、当社が武漢から始まり、この1年をかけて迷いながらも信念を持って対応をしてきた結果であり、当社のレジリエンスを発揮できたと感じております。現在も専門家の方々と効果検証を継続しており、当社の対策は高い評価をいただいておりますが、現在検討中の新たな対策についても今後実施していく予定です。

防疫対策の強化に加えて、空間の快適さも両立させることで、お客さまや従業員のみなさまに、安全・安心、そしてその先にある価値創造に継続して取り組んでまいりたいと思います。

デジタル活⽤による販促効率化

16ページをご覧ください。コロナ禍の昨年6月、イオンモールアプリを大幅にデザイン変更し、ユーザビリティ向上や新機能を追加することで、従来とは手法を変えたアプリ活用による販促企画を強化させていただきました。

これにより、従来のマスマーケティング型のチラシやテレビCMなどが中心の販促企画から、モールごとのクーポン配布や抽選キャンペーンなど、それぞれのモールの地域、お客さま特性に配慮し、お客さまにアプローチをする販促へ切り替えることができました。

イオンモールアプリは、累計ダウンロード数が足元330万を超えて多くのユーザーにご利用いただいております。なお、本アプリケーションは、2020年にもっとも人気や話題を集めたアプリデベロッパーを表彰するアプリの祭典である「App Ape Award 2020」において、アプリオブ・ザ・イヤー優秀賞を受賞することができました。

デジタルを活用したCX向上の取り組み

17ページをご覧ください。当社のリアルの強みを生かすには、お客さまとの接点をオンラインで創出していくことがとても重要と考えています。

その取り組みとして、まずはLIVE SHOPPING、いわゆるライブコマースです。これは専門店従業員のみなさんが商品の魅力をライブで紹介し、オンライン上で購入いただけるだけでなく、リアルなお店の雰囲気やそこで働く従業員のキャラクター等をご紹介することで、お客さまのリアル店舗への来館につなげることを目的として実施しています。2020年度は、幕張新都心をはじめ複数のモールで実証実験を行い、水平展開につなげる態勢が整いましたので、今年度は約80モールでの展開を計画しております。

続いて、フードデリバリーでございますけれども、このコロナ禍でフードデリバリー需要は高まり、今後定着化も想定されることから、届くまでの安全性を考慮しまして、出前館さまとの協業でさらなる需要の取り込みを図っております。

また、PAPATTOステーションという新しい配送ステーションの設置も進めています。配送サービスやクロークサービスなど、一時的な機能に加えて、フリマアプリの資材販売などの機能を追加しましたが、こちらは正直まだまだ実験段階であって、検証を続けながら機能改善を図ってまいりたいと思っています。

そして、Putmenuというモバイルオーダーの仕組みも導入させていただきました。これは、モール館内でも外からでもスマートフォンアプリで複数の店舗の商品をまとめて注文・会計することができ、商品受け取りも店内、あるいは、ドライブピックアップポイントで自由に選べるオーダーシステムとなっています。これらのシステムについては順次導入モールを拡大させていきます。

デジタル活用によるESの向上

18ページをご覧ください。専門店従業員に対する満足度向上の施策としては、昨年3月よりイオンモールワークスを本格的に稼働させることができました。これにより、専門店従業員のみなさまが、お店にいながらもモール事務所スタッフとの手続きが可能となりました。業務効率向上に加えて、コロナ禍においては、早期情報伝達、接触機会の削減という面でも大いに役立ちました。

また昨年4月より、体調チェックを紙での運用からタブレット利用による非接触運用に変えることもできました。6月には、店長会を動画配信に切り替えるなど、現在も順次機能を拡張を図っております。

働き⽅改⾰・業務効率化の推進

19ページをご覧ください。当社においても、主に本社、拠点オフィスにおいて働き方改革や業務効率化を高める取り組みが進みました。テレワークは在社率30パーセントを目標に現在も継続中です。社内会議につきましては、すべての会議がオンラインでの実施に切り替わり、取引先との商談もオンライン中心となったため、2020年度は、旅費・交通費が約7億円削減となりました。

また、テレワークによって在社率が減少したことから、現在のオフィススペースの価値を見直し、従業員の交流機会を増やすべく、フリーデスク化の準備を進めています。来月5月にフロア数を減らすことで、コストメリットも創出できる見込みとなっております。

経営方針

21ページをご覧ください。当社の経営方針についてでございますけれども、あらためてみなさまに当社が事業を通じてどのような社会を実現し、当社自身どうありたいかをお話ししたいと思います。

こちらは当社の理念をまとめたものです。イオンの基本理念は「お客さま第一」です。経営理念は、「イオンモールは、地域とともに『暮らしの未来』をつくるLife Design Developerです」としております。この理念には当社の目指すべき姿として、商業施設という枠組みに囚われることなく、地域・社会の抱える課題にソリューションを提供することを、事業としてイオンモールが地域コミュニティーの集客施設、社会的インフラの地位を確立するという意思を込めています。

⻑期ビジョン

22ページをご覧ください。当社は、長期ビジョンとして2025年に目指す姿を定めておりますけれども、資料に記載のとおり、2020年度において、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって1年分の利益成長を逸したこと、また、特に海外において新規物件の交渉や街づくりに遅れが生じたことから、今回、2025年時点の利益目標および海外出店計画の見直しをさせていただきました。

2025年時点の営業利益は900億円に、海外出店は50モール体制と変更しますけれども、1年後の2026年度には、営業利益1,000億円を目指し、海外出店においても2025年時点で70モール体制を実現することが確定するよう計画を進めています。