2020年12月期決算説明会

レイモンド・シェルトン氏:みなさま、こんにちは。コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングス株式会社、IR&コーポレートコミュニケーション本部長のレイモンド・シェルトンです。本日は、アナリストおよび投資家のみなさま向けの2020年通期決算電話会議にご出席賜り、ありがとうございます。

私とともに、社長のカリン・ドラガン、CFOのビヨン・ウルゲネス、そして日本コカ・コーラの和佐高志氏が参加しています。開始にあたりまして、本日の発表内容には通期または長期的な利益目標などの将来の見通しや業績予想が含まれますことを、あらかじめみなさまに申し上げます。

つきましては、説明会の参考資料に含まれます留意事項と合わせてご参照いただけますよう、お願いいたします。両資料とも、弊社Webサイト(https://www.ccbj-holdings.com)のIR投資家セクションに掲載されています。いずれも日本語版・英語版を用意しています。それでは、カリン・ドラガンの発表に移らせていただきます。カリン、どうぞ。

「これまでのやり方は選択肢にない」

カリン・ドラガン氏(以下、カリン):ありがとうございます。みなさん、こんにちは。カリン・ドラガンです。本日はご参加いただき、ありがとうございます。本日は、2020年の業績と2021年の見通しについてご説明いたします。まず、2020年の新型コロナウイルスの影響を受けた非常に困難な時期をスピード感と機敏さで乗り切ってきた、当社の取り組みをご紹介したいと思います。

2020年を通じてトレンドは徐々に改善してきましたが、2021年1月に政府が2回目の緊急事態宣言を発出してから、少なくとも3月7日までは渡航・事業活動・外出が制限されるなど、2021年の日本市場は新たな不確実性に直面しています。

それでは、スライド5をご覧ください。2019年の日本に戻り、この会社変革を推進しており、私は常日頃、従業員に対して「これまでのやり方は選択肢にない」と言い続けています。今、この言葉は以前にも増して、まさにそのとおりであると思います。

また、私たちの優先順位とコミットメントという点では、変わらないものがいくつかあります。これらには、当社の多くのステークホルダーやパートナーのみなさまの安全と安心を確保すること、注力することが含まれています。

また、このような大変な時期に、私たちが安全で健康的な生活を続けられるよう、さまざまな立場で尽力いただいているみなさまに、感謝の気持ちを伝えたいと思います。

私たちコカ・コーラボトラーズジャパンのミッションは、「すべての人にハッピーなひとときをお届けし、価値を創造する」ことです。このミッションは、厳しい状況下で新しい日常を確立しようと取り組んでおられるお客さまや消費者のみなさまに、安全かつ安心していただける新しい方法で飲料やサービスを提供できるよう、日々努力していく重要性を再認識させてくれます。

また、状況の変化に即時に対応できるよう、堅牢なプロセスやシステム、将来に備えた従業員能力のさらなる向上により、アジリティを高めています。そして、2020年に加速させた重要な変革により確立した基盤に基づき、事業の強靭さを構築することに重点を置いてきました。

コカ・コーラの事業は、これまで日本と世界中で困難を乗り越え、より強くなってきました。私たちは、この危機からも立ち直ることができると考えています。この3つの重点分野にしっかりと注力していくことで、この嵐を乗り越え、より強固な基盤を持って継続的に発展・成長していくことができると信じています。

2020年のハイライト

スライド6にまいります。2020年の業績のハイライトを見てみましょう。事業利益は、感染拡大により売上は1,000億円減少したにも関わらず、修正計画を上回りました。私たちのチームは、協力して大幅なコスト削減、フレキシブルな計画と業務プロセス、固定費の削減を実現し、2020年のボトムラインを守りつつ、将来に向けた継続した成果を挙げることができました。

この業績は、次の内容を反映しています。まず、市場で勝つことに注力し、ベンディングチャネルの継続的なシェア成長と第4四半期からの小売チャネルのシェア回復を成し遂げたこと。そして、コストを削減し、現在の課題を克服するだけではなく、より強くなるための十分な立ち位置を確保するための変革を推進し続けることです。

2020年のハイライト(続き)

スライド7で、2020年のハイライトを続けたいと思います。成長分野で成長することで、消費者の需要に対応していく。例えばアルコール飲料の成功、在宅需要の獲得、オンラインチャネルでの成長などがその例です。

また、当社の製品供給能力は、製造と物流の両方において、かつてないほどに向上しています。これは将来、優れた顧客サービスと低コストオペレーションを実現するための鍵となります。

最後に、当社は資本の適切な管理と運用に注力して、財務規律を維持しています。当社のバランスシートは強固であり、先日完了したヘルスケア・スキンケア事業の子会社キューサイの売却を含め、非中核資産の売却を進めてきました。この件については、後ほどビヨンが詳しく説明します。

コントロール可能な分野に注力

2020年を振り返って、もっともみなさんにお伝えしたいことは、これまでにない厳しい外部環境の中でも、ボトムラインを守るために何ができるかを明確にしてきたことです。スライド8をご覧ください。

2020年は、コロナの影響やオリンピックの延期などの外部環境の影響で約1,000億円の減収となったものの、事業利益は計画を40億円上回り、事業利益の赤字を防ぐことができました。そして、2020年の350億円のコスト削減は、その大きなドライバーであり、大きな成果と言えます。

しかし、目に見えない成果もありました。過去数年間の人材・プロセス・システムへの投資により、当社はより機動的になり、市場の変化を即時に反映した、よりフレキシブルな計画策定・オペレーション・市場実行を行えるようになりました。

これにより、コスト削減だけではなく、固定されたプロセスとコストを変動化し、トップラインの不透明さを相殺する、よりフレキシブルで適切な規模のオペレーションを実現することができました。

このように、自分たちでコントロール可能な分野に注力することで、厳しい年でも結果を出しつつ、2021年以降の市場の変化や継続する不透明感に対応するための基盤もできつつあります。これは、「これまでのやり方は選択肢にない」という私の言葉の意味するところの一例です。

そして、私たちは中期経営計画に基づいた明確な変革の取り組みを通じて、事業を柔軟に変化させながら継続し、現在の困難を乗り越え、状況が正常化し始めた時に、より収益性の高い成長を実現することができると期待しています。

ホワイトスペース進出 – アルコール飲料での成功

先ほど、「成長分野で成長する」というお話をしました。スライド9では、未開拓の新たな成長機会、つまりホワイトスペース展開の成功例を紹介します。

アルコールブランドの「檸檬堂」は、全国発売後、売上は計画を上回って推移しており、拡大する消費者の需要に応えるべく、商品ラインナップと製造能力の拡大を続けています。

「檸檬堂」は競争の激しいアルコール飲料市場への初参入となりますが、2020年の全国発売初年度にも関わらず、「定番レモン」ではすでにトップシェアを獲得していることをうれしく思います。

機敏かつ柔軟な供給体制構築

また、2020年の活動の成果として、より機敏で柔軟な供給インフラの完成が挙げられます。当社は2019年から7本の新製造ラインに投資し、消費者の需要増加に対応するための無菌充填製品の製造能力を20パーセント増加させました。

さらに、アルコール飲料の内製力の拡大を継続しています。これは、ゼロから新ラインを導入するのではなく、フル稼働していない既存の清涼飲料水のラインを活用しており、成長投資にしっかりとROIの視点を適用しているよい事例です。

最後に、物流ネットワーク最適化の「新生プロジェクト」が順調に進んでいます。今月、埼玉メガDCが稼働しました。フル稼働時には国内最大級の自動化された倉庫・物流センターとして、6万パレットの保管能力と年間8,500万ケースの製品出荷能力を有しています。

それでは、ここでCFOのビヨン・ウルゲネスから、通期の業績と現状の状況や見通しについて説明してもらいます。その前に、私が話したことをまとめさせていただきます。

2020年は日本の業界全体、そして世界にとって非常に厳しい年でした。私たちの第一の優先事項は、私たちの事業を守り、お客さま、従業員、そして地域社会を継続的にサポートすることです。

また、コンビニエンスストア・ベンディング・外食などの重要なチャネルにおいて、人出の減少に伴う販売数量とミックスのプレッシャーという当面の課題に迅速に対応しつつ、人材・プロセス・システムの抜本的な変革を継続しながら、2021年以降、確実なスタートを切るための準備を進めてきました。それでは、ビヨン、どうぞ。

2020年 通期業績概況

ビヨン・ウルゲネス氏:カリン、ありがとうございます。みなさま、こんにちは。コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングスでCFOを務めます、ビヨン・ウルゲネスです。

まず、スライド12をご覧ください。2020年通期の業績は、昨年、ヘルスケア・スキンケア事業のキューサイの売却を発表したことで、営業利益までは非継続事業のキューサイを除いた、継続事業である飲料事業の業績となります。当期利益は、飲料事業とキューサイの業績が含まれています。

継続事業の売上高は、清涼飲料の販売数量が11パーセント減、アルコールを含めた販売数量が9パーセント減となり、約1,000億円の減収となりました。全体的には、非常に変動の激しい時期にも関わらず、事業利益は黒字を確保し、営業利益は前年比で大幅に改善しました。

2020年通期 事業利益増減要因

スライド13では、通期の飲料事業の事業利益の主な増減要因をご覧いただけます。第4四半期は第2・第3四半期に比べ、改善が見られました。トップラインへの大きな影響を一部相殺するためのコスト削減の成果が大きく、事業全体で経常的なコスト削減と一時的なコスト削減を合わせ、約350億円の削減を達成しました。このうち約130億円が、変革を通じた経常的なコスト削減です。

スライドの左側、数量、価格/ミックスをご覧いただけますが、これは飲料事業の営業活動による限界利益の前年同期比の変化を示しています。

限界利益は、飲料の販売数量が9パーセント減少したことと、チャネルミックスの悪化により売上が1,000億円減少したことにより、453億円の減少となりました。第4四半期だけの限界利益の減少は104億円と、第2・第3四半期に比べ改善しています。

453億円の減少のうち、ベンディング・コンビニエンスストア・リテールフードチャネルの数量減少による数量・チャネルミックスのマイナスが約451億円あります。価格や商品ミックスも、消費行動が大型パッケージや在宅消費にシフトしていることによるパッケージミックスの悪化を反映して、マイナスとなりました。

アルコール飲料は、通期で約790万ケースを販売しました。これとベンディングの販売手数料・販促値引きなどの変動費の減少が、数量、価格/ミックスの影響を一部相殺しました。

固定販促費であるDMEは、73億円減少しました。新型コロナウイルスの影響をもっとも受けている期間の販促活動削減などによるものです。第4四半期は、前年同期をやや下回るものの、マーケティング活動を平常により近い水準に戻し、2021年の成長に向け、勢いをつけていこうとしたことによるものです。

原材料費と商品市況のコストへの影響は、為替とPETレジンやアルミを含む原材料市況の改善が継続し、15億円減少しました。

製造は、24億円の増加となりました。これは、製造数量の計画からの減少、新たな製造能力への投資により減価償却費が増加したことによるもので、新ライン導入や変革を通じた製造効率化の効果の一部が相殺されました。

2021年の販売数量にも左右されますが、一方で前年のコロナ影響の反動もあり、効率性とスケールメリットによる効果が期待できます。しかし、1月に再度発出された緊急事態宣言を考えると、販売数量とミックスがどのように推移するか、今見極めるのは、まだ難しいと考えます。

その他では、コロナの影響を受けている期間中に行った人件費・IT・旅費交通費などの大幅なコスト削減の効果がありました。また、ベンディング事業の変革を加速させたことによる効果や、物流費減少の寄与も出ています。

通期の事業利益は2億円と若干黒字となり、約1,000億円の減収にも関わらず、前回予想の36億円の事業損失を上回る結果となりました。

昨年、1回目の緊急事態宣言が発出された際に、迅速にシフトチェンジを行い、コスト削減のためのアクションを特定して実行し、将来に向けた変革の重要な取り組みを計画以上に継続して実施した私たちのチームの成果を、喜ばしく思っています。

2020年 清涼飲料販売数量の状況①

清涼飲料の数量実績のチャネル別の説明を、スライド14に掲載しています。スーパーマーケットやドラッグストア・量販店チャネルの成長は、このパンデミックの間に消費者がどこで買い物をしているのかを反映しています。何よりもまず第一に、私たちは成長分野で勝てるようになる必要があります。

例えば、家庭内消費向けのケース販売の成長に加えて、急速に拡大しているオンラインチャネルでも力強い成長を見せ、大手オンライン事業者でシェア第1位を獲得しています。

そして重要なのは、ベンディングチャネルの金額シェア成長を続けていることです。2020年のベンディングの販売数量は13パーセント減少しましたが、消費者にとって重要なチャネルであり、人出が徐々に回復していく中で、このチャネルの強さを維持することが重要であると考えています。

今年のケースあたり納価平均は前年に比べ下がっていますが、これは主に、パッケージミックスの変化により大型PETの数量が増加し、小型PETや缶の数量が減少していることによるものです。

第4四半期のケースあたり納価は、小売チャネルでは前の四半期に比べて大幅に減少しています。これは主に、1.5リットルPETの1ケースあたりの本数を8本から6本に変更したことによるもので、1本あたりの価格ミックスの悪化によるものではありません。このケース構成の変更により、1パレットあたりのボトル数を20パーセント増やすことができ、出荷効率の向上により、トラックへの積み込みやフリート管理の効率化が実現できます。

最後に、当社製品の小売価格は、小型PETと大型PETとも、市場平均に対してプレミアムが継続していることが見られます。

2020年 清涼飲料販売数量の状況②

次のスライド15では、通期の飲料カテゴリー別の販売数量の詳細をご紹介しています。通期の傾向として、コロナによる消費者の需要やミックスの変化を反映しており、スライド16の第4四半期の数値は、第2・第3四半期と比較して改善傾向にあります。

炭酸と無糖茶カテゴリーは、コンビニエンスストア・ベンディング・飲食店の人出減少を反映していますが、「ファンタ プレミア」シリーズや「綾鷹 濃い緑茶」などの新製品の貢献により、一部相殺されています。

水の通期の販売数量は、即時消費チャネルの減少により小型PETが減少したことが大きく影響し、3パーセント減少しました。第4四半期には製造能力が前年比で増加したことに加え、スーパーマーケットとドラッグストア・量販店のチャネルの成長を反映して、5パーセント増加しました。

コーヒーは、缶・ボトル缶の低迷が続いていますが、ペットボトルは「ジョージア ラテニスタ」と「ジャパンクラフトマン」が牽引して伸長しました。ボトル缶は、第4四半期に「ジョージア 香るブラック」が牽引してプラスとなりました。

最後に、果汁の販売数量が、飲食店の休業や営業時間短縮の影響を受けて、飲食チャネルでの大きな減少傾向を反映したものです。

清涼飲料チャネル/カテゴリー/パッケージ別販売数量

第4四半期の清涼飲料の数量実績やパッケージ別の情報は、スライド16に掲載しています。

2021年の金額シェア成長に向けた基盤確立

スライド17では、金額シェアのモメンタムが続いていることを確認いただけます。第4四半期の手売り市場の金額シェアは、オリンピックの延期によるマーケティング計画の見直しがあったものの、販促投資等がより平常に近い水準に戻ったこともあり、2019年の水準に戻りつつあります。この勢いは2021年も続くと予想しており、これまでのところ、1月にも同様の結果が出ています。

ベンディングでは、21ヶ月連続で金額シェアが成長し、シェア拡大の勢いが続いています。これは、コロナの影響を受けて人出が低迷していた時期であっても、このチャネルでの変革努力が成果を上げていることを示す重要な成果です。

そして、これにより人出と販売数量が回復した時には、私たちのベンディング事業はよい状態で臨めると考えています。

変革の加速と即効性のある施策により、 2020年は350億円以上のコスト削減を実現

これまでにも変革の加速により、2020年に約350億円のコスト削減を行い、トップラインへの大きなプレッシャーを相殺するための、より緊急性の高い緩和策を実行してきたことをお話ししてきました。スライド18にありますように、この削減は、経常的なコスト削減と即効性のある一時的なコスト削減を組み合わせたものです。

経常的なコスト削減は、当初計画の50億円を大きく上回り、また、修正計画値の100億円を上回りました。これは、ベンディングのオペレーションモデルの抜本的変革と、小売店の店頭訪問活動の最適化によるものです。

また、高速製造ラインの状況・広島の新施設の建設・販売拠点の段階的な統廃合など、サプライチェーン全体の回復と拡張による効果もあります。

その他にも、緊急性の高い緩和策によりコスト管理を徹底し、人件費・販促費・旅費交通費・交際費・間接部門経費の削減を実現したことによるものです。

当初、2020年に300億円以上を目標としていたコスト削減は、修正後の計画を若干上回りました。2021年は2020年の130億円に加え、さらなる変革による新たな経常的なコスト削減を70億円から90億円以上見込んでおり、今後も経費管理を徹底し、状況に応じて柔軟にコスト削減ができるようにしていきます。

資本の適切な管理・運用への注力継続

最後のスライドは、不透明性の強い時代における価値創造と、資本のスチュワードシップとして資本の適切な管理と運用をするという、当社のアプローチについてのまとめです。2020年は、コロナによる極度の先行き不透明感とボラティリティの中、適切なキャッシュポジションを維持することに注力しました。

そして、年度前半に配当予想を未定といたしましたが、その後、1株あたり25円の期末配当を復活させることができました。2021年に向けては、より安定した年間50円・中間25円・期末25円の配当予想に戻せるものと考えています。

バランスシートやキャッシュ・フローは、堅調に推移しています。JCRは先日、当社の格付「AA-」で継続し、期末時点での自己資本比率は53.4パーセントとなっています。

また、遊休資産や持ち合い株式を売却して2020年に150億円のキャッシュインを確保し、今月初めにはヘルスケア・スキンケア事業のキューサイの売却を完了し、2021年の第1四半期に450億円の追加キャッシュインを得ています。

当社は、マクロの不透明感がある中で、持続的な成長への投資と株主のみなさまへの価値創造を全体的な優先事項とし、適切なキャッシュポジションを引き続き維持していきたいと考えています。

当面はコロナウイルスの影響を受けた環境が続くと見込まれる中、設備投資は引き続き抑制していきます。2020年の設備投資額は693億円で、当初計画より約260億円減少しました。2021年は450億円から500億円程度を見込んでいます。

最後に、2021年に向けては、シナリオプランニングと変化に迅速かつ機敏に対応していくことに重点を置いています。私の考えでは、真実は1つではなく、それに対応した複数のシナリオがあります。しかし、どのようなことがあっても、いくつかの基本的な原則を今年の私たちの事業への取り組みに適用していきます。

それは、市場で勝利し、金額シェア成長と売上回復実現に引き続き注力すること。今後も資本のよきスチュワードとして、資本の適切な管理と運用を行っていくこと。株主価値創出を優先すること。人とシステムの変革を進め、変化に対応した機動的なビジネスを実現し、現在の経営状況や先行きに見合ったコストベースで事業を展開していくことです。

それでは、日本コカ・コーラのチーフマーケティングオフィサーである和佐高志氏から、マーケティング活動のアップデートをしていただきます。和佐さん、お願いします。

2020年第4四半期 活動ハイライト

和佐高志氏:みなさん、こんにちは。日本コカ・コーラの和佐です。本日、私からは、2020年第4四半期の振り返りと、2021年第1四半期のマーケティングハイライトをお話しさせていただきます。

まずは2020年第4四半期を中心に、主な活動を振り返ります。昨年8月31日にフルリニューアルを実施した「コカ・コーラ ゼロシュガー」。第4四半期に入ってからも継続して炭酸市場でのシェアを拡大させ、飲用者を確実に増やしています。新型コロナウイルスの影響により家庭内で過ごす時間が長くなり、リフレッシュしたい、運動不足なので摂取カロリーを抑えたいという消費者のニーズにお応えできていると捉えています。

続きまして、9月7日からスタートした「ジョージア 運だめしキャンペーン」です。キャンペーン総参加者数410万人、総参加回数3,200万回と、多くの消費者にコーヒーのおいしさと運だめしのワクワク感を提供することができました。

本キャンペーンも一助となり、ジョージアはおかげさまで2020年、RTDコーヒー市場において2年連続売上ナンバーワンを獲得。さらに、「ジョージア ジャパンクラフトマン カフェラテ」はペットボトルコーヒーカテゴリーで2年連続ナンバーワンを獲得するなど、好調が続いています。

続きまして、カテゴリー横断で実施したウィンタープロモーションです。コカ・コーラ社製品すべてを対象とし、PayPayを活用した大規模なデジタルプロモーションを実施しました。全国各地から幅広い年代のお客さまに参加いただき、最終参加者は110万人を超えました。

また、「Coke ON」では「1本買うと1本もらえるキャンペーン」を通じて、コカ・コーラシステムのコアビジネスである自販機にユーザーを再度誘引することができました。キャンペーン期間中、「Coke ON」のアプリを使って初めて購入する方、または久しぶりに購入する方を対象に、毎週1本目の購入に対して「Coke ON」ドリンクチケットを1枚プレゼントしました。その結果、約100万人のユーザーを誘引し、「Coke ON」アプリのダウンロード拡大にも貢献しました。

次は、10月28日に全国発売1周年を迎えた「檸檬堂」です。12月28日に、「檸檬堂」ブランドから初となるドライケースの製品「カミソリレモン」を発売しました。「檸檬堂」発売日よりご好評をいただいているフレーバーや、アルコール度数の異なるラインナップに加えることで、さらに幅広いユーザーを獲得し、カテゴリーの成長にいっそう貢献してまいります。

そして、これまでにない1年を締めくくったのは、「コカ・コーラ 宇宙からの年越しカウントダウン」イベントです。新たな1年のスタートを切る瞬間を国際宇宙ステーションからライブ配信し、宇宙とつながりながら年越しをするという新しい体験を提供しました。

総視聴者数は900万人。例年のように大勢の人が集まるイベントが実施できない中、これだけ多くの人と同じ体験をオンラインで共有し、新しい生活の中でも、コカ・コーラ社ならではの驚きやワクワク感をご提供できると確信できたイベントでした。

サステナビリティー推進:い・ろ・は・す 第21回グリーン購入大賞 大賞受賞

ページ23に移ります。2020年の振り返り、最後にサステナビリティーの取り組みの一環として、2020年3月に導入した「い・ろ・は・す 天然水 100%リサイクルペットボトル」、同4月に導入した「い・ろ・は・す 天然水 ラベルレス」にいただいた評価についてお知らせいたします。

環境NPO団体のグリーン購入ネットワークが運営している、持続可能な調達を通じてグリーン市場の拡大に貢献した取り組みや、SDGsの目標達成に寄与する取り組みを表彰する「第21回 グリーン購入大賞」のプラスチック資源循環特別部門において、「い・ろ・は・す 天然水 100%リサイクルペットボトル」、また「い・ろ・は・す 天然水 ラベルレス」の2製品が大賞を受賞しました。

これらの製品のボトルtoボトルによる100パーセントリサイクルペットボトル・ラベルレスは、業界に先駆けた取り組みでもあり、積極的にリサイクル素材を採用していること等が評価されました。今後も、こうした取り組みを強化していきたいと思っています。

2021年第1四半期ビジネスプラン(1月)

さて、ここからは、本年度のマーケティングプログラムを紹介させていただきます。1月から3月までの主要なプログラムについてお話しします。2021年は、コカ・コーラの「この瞬間が、私。」キャンペーンでスタートしました。昨年大きく変わった私たちの日常、どうせ変わるなら楽しんだ方がいい。コカ・コーラはそんな前向きな気持ちをお届けし、友達や家族・仲間と過ごす、その瞬間を大切にしていただきたいというメッセージを発信します。

新しいテレビCMには、昨年紅白歌合戦にも登場しました大人気ガールズグループNiziUを起用しました。「この瞬間が、私。」をテーマに、メンバーが自分らしくいられる瞬間を描いています。

また、対象製品のQRコードから応募すると、コカ・コーラ、NiziU限定オンラインイベントが当たるインスタントウィンのキャンペーンが好調で、開始から4週間で65万人もの人が参加してくれています。

続いて、1月11日スタートの「『ジョージア』×『機動戦士ガンダム』」キャンペーンです。ジョージアのブランドメッセージ「世界は誰かの仕事でできている」は、今年で8年目を迎えます。2021年春は、テレビアニメ『機動戦士ガンダム』および実物大の動くガンダムを実現させた「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」とコラボレーションをしています。

昨年12月28日から先行して実施している「『ジョージア』×『機動戦士ガンダム』」コラボデザイン缶の購入で参加できるプロモーションに加え、「Coke ON」対応の自動販売機・スーパーマーケット・コンビニをはじめとする店舗・対象ECサイトなどに、幅広いチャネルでのキャンペーンを展開しています。

1月25日には、「シールド乳酸菌®」を100億個配合した「アクエリアス まもる乳酸菌ウォーター」を発売しました。当社が実施した調査から、冬の水分補給の大切さを理解しながらも、うまく実践できていないと感じている人が約9割、中でも子どもの水分補給が難しいと思っている人が7割いることが判明しました。また、コロナ禍において、家族の健康管理がちゃんとできているのか不安に思っている人が約8割いることもわかっています。

家族の健康維持に大切な「マスク・うがい・手洗い・水分補給」の水分補給に、「アクエリアス まもる乳酸菌ウォーター」をお役立てていただきたいと考えています。

本製品は発売して約2週間の速報になりますが、おおむね好評です。すでに4万件近くのツイートが寄せられており、これは我々の予想に対して約1.6倍の反響です。また、98パーセントがポジティブなコメントで、特に「子どもにも習慣化させたい」といった親御さんからの支持を得ています。

人々が外出を控える中、スポーツ・機能性市場は対前年比でマイナス23パーセントと、カテゴリーは落ち込んでいますが、その中でも機能性市場はプラス15パーセントと成長しています。特に乳酸菌・ビタミン系がそのドライバーとなっているので、今後もこの成長を促進していきたいと考えています。

2021年第1四半期ビジネスプラン(2-3月)

ページ25に移ります。そして今週、2月8日に日本で初めて、記憶力と血圧にWではたらくGABAを機能性関与成分として配合した機能性表示食品、「からだおだやか茶 W」を発売しました。

今年は、コロナ禍における生活様式の変化に伴い、特に40代以上の世代において、記憶力や血圧が気になっている方が増えています。こうした方々が毎日の健康習慣として続けられるよう、「からだおだやか茶 W」は、ほどよい渋みとすっきりとした味わいの緑茶に仕上げました。仕事中・休憩中・食事中などのシーンを問わず、日常的に飲用できます。

2月15日は、「綾鷹」より「綾鷹 伝統工芸支援ボトル」を発売します。ニューノーマルと呼ばれる新しい生活様式の中、ライフスタイルやヒト・モノへの価値観が見直されています。私たちは、人の英知と技術が詰まったすばらしい伝統工芸品を、特別なものではなく、より身近なものとして日常的に取り入れることを、「伝統工芸支援ボトル」を通じて提案します。

全国の12種類の日本の伝統工芸品を、ボトルデザインのモチーフに採用しています。1本ごとの売上の一部が日本の伝統工芸を支援する活動の寄付に充てられ、未来の伝統工芸を担う若手職人たちの応援につながります。お茶という代表的な日本文化において、長い歴史と深い伝承を継承した本格緑茶ブランド「綾鷹」ならではの取り組みです。

私から最後に紹介するのが、「ファンタ プレミア」です。昨年3月に大人向けプレミアム炭酸飲料として発売し、30代・40代の世代をファンタブランドに呼び戻すことに成功しています。今年3月1日には、グレープのリニューアルとともに、オレンジを新たに発売します。

働き方も変わりつつある今、果実本来のすっきりした甘さと炭酸の刺激でリフレッシュして次に向かえる、大人ならではの休息を提案し、大人向けプレミアム炭酸のポジションをより強固なものとしてまいります。

2021年ビジネスプラン: 引き続き環境変化に柔軟かつ迅速に対応

本日の私のプレゼンテーションは以上になりますが、昨年来の新型コロナの拡大は人々の暮らしに変化をもたらし、そこから我々はさまざまなビジネス機会を見出しました。本日ご紹介したプログラムは、いずれもその学びを活かし、消費者に寄り添いながら開発したものです。

今後も我々は「Refresh the World. Make a Difference.(世界中をうるおし、さわやかさを提供すること。前向きな変化をもたらすこと。)」を使命とし、清涼飲料を通じて、少しでもさわやかなひととき・前向きな気持ちをお届けできるよう邁進します。ご清聴ありがとうございました。

COVID-19感染拡大再燃と2回目の緊急事態宣言発令により、 先行き不透明感が強まる

カリン:和佐さん、ありがとうございました。カリンです。では、2021年の方向性についてご説明します。2020年は、年末に向けて販売数量の減少傾向は持ち直してきていましたが、コロナウイルス感染再拡大と2回目の緊急事態宣言の発出により、先行きの不透明感が高まっています。

期初段階での予測は難しいですが、2020年に日本経済に大きな打撃を与えたことを考えれば、2021年にはある程度のGDP成長と販売数量増加の回復が考えられます。コロナ第3波の感染者数は落ち着きの兆しを見せているものの、2回目の緊急事態宣言発出後も人出が減少していますが、2020年の1回目の緊急事態宣言よりも緩やかなレベルです。

2回目の緊急事態宣言により2021年の不透明感が強まる

昨年、この危機は時が経てば治まるものと話していましたが、影響が長引き、状況が変化する中、私たちはウィズコロナという環境の中で、複数のシナリオを想定して事業を運営していかなければなりませんでした。

昨年は販売数量が徐々に持ち直してきたことから、2021年第1四半期もその傾向が続くと予想していました。しかし、1月に再度緊急事態宣言が発出されたことで、ウイルスの感染状況やワクチンの時期や見通しの不透明さ、景気回復、消費者行動の正常化などによっては、まったく新しいシナリオの立案が必要となります。

売上とミックスの第1四半期に与える影響も含め、不透明さが高いため、2021年通期業績をより適切に見通せることができるまでは、2021年通期業績予想の発表を控えることにしました。

2021年の方向性

感染の規模や期間、チャネルやパッケージミックスが、今後数ヶ月の間にどのように変化するかを見極めていくことが重要になります。そのため、2021年も引き続きコントロール可能な分野に注力し、状況変化に応じた複数シナリオに基づく事業運営を行い、アジャイルに変化に対応することに注力していきます。

2020年の経験から学んだことですが、和佐さんが発表したように、私たちはROIを重視し、より少なく、より大きなイノベーションに注力し、コアへの回帰、そして在宅機会を活用するために、強力で柔軟性のあるマーケティング計画を用意しています。

私たちボトラーの営業部門の明確な優先事項は、売上回復を実現し、市場で勝ち、市場実行のROIを向上させ、新たな消費機会を獲得することです。

そして、このような厳しい環境の中でも、重要な変革への取り組みは緩めません。これまでに達成した成果を継続して積み上げ、短期的なコスト削減に取り組み、事業を徐々に回復させる準備をしながら、変革をより深く掘り下げていかなければなりません。

2020年の大幅なコスト削減に加え、2021年には新たに70億円から90億円の経常的なコスト削減を見込んでおり、必要に応じて他の削減機会を見極められるよう、柔軟に対応していきます。例えば、ビヨンが説明したように、設備投資計画を前年から3割程度減らした450億円から500億円に抑えることです。

そして、資本の適切な管理と強固な財務基盤の維持は不可欠です。1株あたり年間50円の配当を予想しており、バランスシートの最適化を継続しながら、適切なキャッシュポジションを慎重に検討していきます。

最後に、ESGへの取り組みにも力を入れ、事業全体で共有価値を創造していきます。2021年も持続可能なパッケージングを推進し、資源・インクルージョン・コミュニティを中心とした持続可能性の枠組みの一環として、管理職のダイバーシティ&インクルージョンの目標を高めていきます。

売上回復を目指した営業戦略・施策

スライド31をご覧ください。先ほど、金額シェアの成長による売上回復と、より規律を持ってROIを重視していくことが営業活動の最重要課題であるとお話ししましたが、この成長フレームワークの詳細をご紹介します。

「ニューノーマル」に機敏に対応した市場実行

スライド32では、ニューノーマルの中でどのように成長機会を捉えようとしているか、いくつかの例を紹介しています。オンラインチャネルでの定期購入のお客さまからの売上拡大を含め、ラベルレス製品や新しいパッケージ、新しいケース仕様を継続的に投入しています。

コンビニエンスストアでは950ミリリットルのPET、スーパーマーケットやドラッグ&ディスカウントストアのチャネルでは350ミリリットルと700ミリリットルのPETなど、マルチパック・バンドル製品・新しいパッケージサイズが売上成長の原動力となっています。また、小売チャネルでの新たなラック展開は、しっかりとしたリターンをもたらす規律ある投資の一例です。

また、「Coke ON」アプリを活用して、自動販売機での集客増加につながるクロスチャネルプロモーションを推進し、キャッシュレス機能へのさらなる投資を行うことで、当社のデジタルプレゼンスを拡大しています。

サプライチェーン全般にわたる変革

スライド33は、当社の供給ネットワーク全体で進行中の変革の概要を示しています。2021年は、高度に自動化された新しい物流インフラが稼働し、物流業務を変革することに重点を置いています。2020年に14ヶ所の営業拠点を集約した後、今年はハブの拡充やメガDCの運営の強化を進めていく予定です。

今月稼働を開始した埼玉メガDCは、サプライチェーンから現場業務まで一気通貫で働き方改革を実現します。これには、各種計画立案のデジタル化や、オンライン化された自動販売機から倉庫の自動ピッキング、訪問ルート計画やサービス、現金決済までの一連の流れを最適化し、現在進めているベンディングのオペレーション変革をさらに加速していくことが含まれます。

より重要性を増したESG活動

スライド34では、非財務指標に話題を変えます。ESGの重要性はこれまで以上に高まっており、廃棄物ゼロ社会の目標に向けて、着実に前進しています。2020年には、当社のパッケージに含まれるリサイクルPETと植物由来PETの使用率33パーセントを達成しました。2021年には再生PETの使用率を40パーセントまで拡大し、2022年には再生PETの使用率を50パーセント、2030年には90パーセントを達成する予定です。

また、「MSCI 日本株女性活躍指数」や「Dow Jones Sustainability Index」などの主要な株式市場インデックスに採用されています。先日、東京都より「女性活躍推進大賞」を受賞したほか、水源涵養力確保に向けた地域連携、コロナ感染拡大への対応として医療機関・フードバンクへの製品寄付など、地域社会への支援活動を着実に進めています。

Creating Shared Value – 社会との共創価値

スライド35では、「Creating Shared Value(共創価値)」という私たちのCSVゴールをご紹介しています。2020年には当初の目標である女性管理職比率6パーセントを達成していますが、2030年までに女性管理職比率20パーセントを目指すという新たな目標を発表しています。これらの目標は、資源・多様性の尊重・地域社会の3つの柱を中心とした、当社のサステナビリティーの枠組みに沿ったものです。

2021年の主な目標指標

通期の業績予想は、業績への影響が見通せ次第、改めてご報告いたします。今年は当面、当社が積極的にコントロールできることに注力し、6つの指標を目標に置いています。

金額シェア成長と市場で勝つことにより、売上回復を実現する。変革の継続により、70億円から90億円の新たな経常的コスト削減を実現する。1株あたり50円の安定した年間配当見通しへの回帰。設備投資はより抑制し、450億円から500億円。減価償却費は、ここ数年の投資により550億円から600億円程度を予想しています。

サステナブルなパッケージの推進を継続し、再生PET使用率を2021年には40パーセントまで拡大することで、長期的な目標達成を計画どおり進めていきます。

現在の市場やマクロの不透明感にも関わらず、私たちは2020年の強靭さの重視から、2021年は回復と成長にシフトしています。状況が明確になり次第、今年の業績予想をお知らせしたいと思います。

まとめ

先ほど、私たちの会社のミッションは「すべての人にハッピーなひとときをお届けし、価値を創造する」ことだと言いました。このミッションは、2021年に持続的な成長を実現し、共創価値を創出することと言い換えることができると考えます。

私がみなさまにお約束するのは、コロナウイルス感染・市場への影響・消費動向などが今後1年間でどのような状況になろうとも、私たちは市場で勝ち、変革を継続し、不透明な時代にあってもよき資本の管理者であり続けることで、持続可能な成長を推進し、ステークホルダーのみなさまとの共創価値の創出に注力していきます。