2020年度実績ハイライト

森雅彦氏:みなさん、こんにちは。DMG森精機株式会社 社長の森雅彦です。本日はお忙しいところ、このビデオを見ていただきまして、ありがとうございます。2020年度の決算がまとまりましたので、発表させていただきます。

連結受注ですが、前年度比、2019年度比32パーセント減で2,797億円となりました。第2四半期を底に回復してきております。

機械本体の受注残が960億円へと減少しております。2019年は1,460億円ですので、今年21年は、この500億円減った受注残を期中成約、期中売上で回復していく必要があります。

より早いお客さまへのレスポンス、工場での生産等、努力するところがありますけれども、過去の景気回復局面を経験しておりますので、お客さまの需要に遅れることのないように、しっかりとこの受注残の減少をカバーしていきたいと考えております。

高速・高精度化、5軸化・複合化・ターンキー化・自動化、こういったことで、いわゆる景気の悪い時の安売りをするメーカーが出てきておりますが、それに対抗して、なんとか1台当りの平均受注金額を維持することができました。

コロナ禍でデジタルマーケティングが期せずして進展しておりまして、私どもが以前から仕込んでおりました「デジタルツインショールーム」とかオンライン展示会が非常に効果を発揮し、また、お客さま個別向けのオンラインセミナーも非常に好評を得ております。

ただ、やはりリアルの環境も重要でございまして、毎週金曜日にごく限られた少人数のお客さまに商談会ということで、3密にならない対策をした上で、地道に展示会を東京と伊賀で行ってきました。

これによりまして、より真剣な引き合いを持ってくださっているお客さまと数時間にわたって密な議論を繰り返すことで、昨年の受注、また今年以降の大きな引き合いへとつなぐことができました。

損益分岐点を大きく引き下げました。3,850億円から3,020億円です。多くは社員の協力によって、給与カット、役職手当カット等を行ったことでありますが、それ以外にも、実際の見本市ができなかったことによって数十億円の削減とか、ありとあらゆる手はずを立てまして、なんとか赤字を回避したということでございます。

また、ハイブリッド資本を導入したことで、株主資本比率を35パーセントまで復活することができました。

2020年12月期 決算概要

決算概要はこのようになっておりまして、受注が先ほど申し上げた2,797億円、売上収益が3,283億円、営業利益が107億円、連結に伴う金融収支がございまして、これがマイナス30億円で、その他を含めるとマイナス56億円、税引前利益が51億円で、当期利益は17億円となっております。

いわゆる税引前と当期利益の間が大きすぎるんですけれども、これは一部の赤字になった会社での税負担等が大きくなっておりまして、そういったことで、来年は正常化するものと考えております。

世界⾦融危機時との⽐較

前回の世界金融危機、リーマンショックの時との比較でございます。左側が前回の時、右側が今回でありますが。前回の時は2年かけて落ちたということであります。あの時はまだAGと一緒になっておりませんでしたが、COの単体受注でいきますと1,772億円から618億円と、約3分の1になったわけでございます。

今回は、連結ですけれども、5,312億円から2,797億円ということで、ピークから約半分になっております。

前回の時は比較的早く回復しておりますが、今回は前回の時ほど早い回復にはなっていないということで、結局この谷の面積は一緒ぐらいになるんじゃないかなと考えております。これから2022年、2023年、2024年にかけて緩やかに回復していくんじゃないかなと考えております。

前回の金融危機の時は大きく赤字になりましたが、今回は黒字を維持しております。来年度に関しては、ややコンサバティブでありますけれども、先ほど言いました受注残が減った影響で最初から数百億円のハンディキャップがございますので、まずは今年と同じ並みの3,300億円で同じ損益分岐点をキープして、110億円の利益は最低出したいと考えております。

この数字に関しては、今後の受注状況を見ながら四半期ごとに修正を加えていきたいと考えております。

連結受注 vs 日本工作機械工業会(JMTBA)受注推移

連結受注と日工会の受注推移をグラフにしてみました。ほぼ相関性があるわけであります。日工会の受注が、昨年9,000億円、今年は1兆2,000億円という発表になっておりますので、それぐらいの伸び以上は我々も達成しなきゃならないと考えております。

四半期業績推移

四半期の業績推移でございます。第4四半期で939億円の売上となっております。このように、第2四半期が底で、そこから順調に今回復してきているところでございます。

営業利益増減分析 2019年度通期 vs 2020年度通期

ウォーターフォールチャートでございますが、このようになっておりまして、人件費の削減は我慢ですね。展示会費の削減、粗利益の改善に関しましては、私ども、昨年は約5,000台弱を出荷したわけでございますが、この売買台帳をしっかり作って、売買台帳にはそれぞれの電子的な部品表が付いております。個々の機械の仕入と個々の機械の売上に関わる、すべての製造に関わる費用と販売管理に関わる費用を全部ひも付けしまして、一個一個PDCAを繰り返していくことで採算を確実にしていきます。

また、お客さまに納めたあとも、個々の売買台帳にお客さまが5年、10年、20年とお使いになる間のサービス・部品の売上等を付けていって、その機械のライフサイクルコストを明確にするという取り組みをやっております。そういった効果が今後も確実に出てくるものと考えております。

キャッシュフロー

キャッシュフローに関しましては、やはり受注が減ったことによって前払金が44億円減りました。これが主な原因でございまして、それによりまして、第4四半期でがんばったんですけれども、年間を通してマイナス52億円となってしまいました。

今年は、これがかなりポジティブな方向にくるとは考えております。すでに12月、1月の受注は大変いい状況になってきておりまして、2月の本決算も大変よろしいので、このあたりで前金がかなり増えてくるんじゃないかと考えております。

貸借対照表サマリー

貸借対照表に関しましては、昨年ファンドからAGの株式を追加取得しまして、約90パーセント弱のAGの株式を持っておりますので、買取債務残高は520億円に縮小しております。

また、ハイブリッド資本を700億円調達したことによりまして、株主資本比率を35パーセント、Net D/Eレシオを0.35と改善することができました。

地域別受注構成(連結受注)

地域別の受注構成でございます。このように中国、米州が非常に活況を示してきております。また、ヨーロッパもそんなに悪くはなくて、やはり回復が一番遅いのがコンサバティブな日本とドイツであります。

これは、うちがマーケットシェアを落としているわけではございませんで、ドイツと日本においても毎年0.5パーセントずつぐらいマーケットシェアを上げてきているんですけれども、非常にコンサバティブな両国の国民性がここに出ているなという感じでございます。

2021年の第1四半期、1、2、3に関しては、850億円は確実に受注できるという見通しでございます。

1台あたりの機械受注単価推移

1台あたりの単価でございます。先ほども申し上げたとおり、各社の在庫処分とそれから値引き対策でなかなか厳しい商談も多かったですけれども、私どもシステム受注、高付加価値受注でもって、あまりにも大きな値引きの商談は辞退する等をして、なんとか単価の維持に努めました。

システム化はますます進展しておりまして、今年は伊賀の新システムソリューション工場も夏以降稼働しますので、それも含めてますます単価を上げていきたいと考えているところであります。

連結受注構成(1月-12月)

このように地域別でいきますと、かっこ内の数字が2019年度、このグラフの中に入っている数字が2020年度でございますが、米州が18パーセントから24パーセント、それから中国が8パーセントから10パーセントと伸びております。

業種別にいきますと、中小企業とそれから半導体等が非常に伸びております。特に半導体が7パーセントから14パーセント、金型が9パーセントから12パーセントですね。これは電気自動車関連の金型も大変伸びております。

航空・宇宙は、いわゆるパッセンジャーの航空機はほぼメンテナンス部品以外はゼロになってしまったんですけれども、宇宙用途ですね、各種ロケットメーカーさんからグローバルに受注が進みまして、この8パーセントを維持しております。

機種別にいきますと、あまり大きな変化はございませんで、横形マシニングセンタの大口案件が多数ございました。これは、カーボンニュートラルに向けて、船舶用エンジンとか、リニューアブルエナジーのギヤの加工とか、エレクトリックビークル用のさまざまな部品の加工等、そういったものが増えた結果であります。

また、規模別には、大変おもしろいところなんですけれども、1名から20名の中小企業のみなさんがこういう時期に、補助金もありますけれども、リスクを張ってさまざまな部品加工に積極的に投資されたということがここで見てとれます。

反対に、大企業が比較的コンサバティブだったということでありますが、このあたりは現在の引き合い状況から見ると、この2021年、2022年にかけて回復してくるんじゃないかなと考えております。

2021年度 業績予想

2021年の業績予想でありますが、まずは連結受注3,800億円、これは昨年の約2,800億円から1,000億円程度増えます。ということで、この3,800億円の受注をいかに年内の売上に結びつけられるかということであります。

これはもうワクチン次第ということでありまして、やっぱり工作機械の場合、半分程度は納めて検収があがるわけですけれども、半分程度はシステム化とかお客さまへのサイクルタイム保証で、最後の立ち上げは我が社のエンジニアがお客さまを訪問してやらなきゃなりませんので、その進展次第ということであります。

できるだけこの3,300ではなくて、上に検収をあげてもっていくようにはしたいですが、まずはこの3,300億円で営業利益110億円は絶対達成できるということで、ここでコミットメントしておきたいと思います。

ドミネーション・アグリーメントに伴う経済補填等、連結のやつが徐々に年を追うにつれて軽くなってきておりまして、昨年のマイナス30億円に比べると、今年はマイナス20億円ぐらいで済むんじゃないかなと考えております。

したがいまして、同じ営業利益でも税引前利益は65億円となりまして、税負担も正常化し、当期利益は40億円以上を目指しております。

償却、リース等に関しては昨年と同程度を考えております。設備投資に関しましては、今年は工場の整流化と改善が終わりましたので、昨年までの設備投資よりも額を減らして、昨年までの分を利益に結びつけていく活動にしていきたいと考えます。

配当に関しては、まずは20円ということで、今後の業績の動向を見ながら考えていきたいと思います。

2021年度重点施策

重点的には、連結受注は3,800億円へ向けてやります。それから、リアルとデジタルの双方でもって、お客さまへのつながりと商品の魅力を伝えることを徹底的に行っていきたいと思います。

過去1年間、開発の人間が山ごもり状態で、すばらしいアイデアを図面に落としているところでございまして、この秋以降、高速・高精度の新シリーズを大量に投入していく予定でございます。

テスト加工とか難削材とかおもしろい形状のワークが増えてきました。これを伊賀のシステムソリューション工場で、お客さまの要求に合わせ、立ち会いも含めて、いわゆるシステムとして立ち上げて、お客さまでの垂直立ち上げを狙う能力をさらに拡充します。

また、機械の動特性、サーボ特性等を完璧にデジタルツイン化することができましたので、工具とかワークとかワークホールディングの状況も含めて、バーチャルでシミュレーションすることができるようになってきました。

これも5年来取り組んできた技術なんですけれども、例えば従来10日間かかっていた実際のリアルのテスト加工を、まずは数時間でコンピューター上でシミュレーションして、それとリアルとの突き合わせをすることで、ほぼプラスマイナス5パーセントぐらいの面粗度の評価とか加工時間の評価とかができるようになってきました。こういったことも活用して、すばやくテスト加工をお客さまに提供するということを考えております。

脱炭素化、これはやればやるほどわかってきたんですけれども、リーンな生産とか、ネットワーキングキャピタルを減らすとか、速く加工するとか速く組み立てるとか、カーボンニュートラルイコール会社の体質強化、利益の創出に非常につながるなということがわかってきました。

今後もますます取り組んでいって、また、中小のお客さまは自社で取り組むのが大変なので、そういったところの相談役にもなれるように、がんばっていきたいと考えております。

「my DMG MORI」とかT Projectによるお客さまの利便性向上をさらに図って、私どものメインのお客さまである中小のお客さま、もしくは大企業の機械加工工場に本当のデジタルの利点、恩恵をもたらすように努力していきます。

サステナビリティの強化ということで、ホームページ内にサステナビリティ専門サイトを設けました。ぜひご覧になってください。

また、ガバナンスの強化ということで、10人いる取締役のうち社外の取締役比率はもうすでに40パーセントですが、外国の方を20パーセント、それから女性の社外取締役を迎えることで、今後もきちんとしたガバナンスを強化していきたいと思います。

受注・受注残高の推移(年度)

受注とそれから受注残高の推移でございます。このようになっております。2021年が、昨年申し上げた「経済が順調に回復すれば」というのに比べると、みなさまのご期待に対してちょっと出遅れている感があります。受注に関しては去年コミットしたレベルまではいくんですけれども、私の予想よりも半年、COVIDからの回復が世の中全体で遅れましたので、その分ちょっとご容赦願いたいと。

しかし、2023年、2024年ぐらいには、社員の給料をある程度戻す以外は、今の低い損益分岐点をある程度維持できると思っていますので、そういった意味で、必ず2023年、2024年ぐらいまでには、5,000億円程度の売上高に戻ってきますので、その時に10パーセント以上の利益が出るように会社の設計を行っていきたいと思います。

損益分岐点売上高の管理徹底:2023年度乃⾄2024年度にピーク更新目指す

損益分岐点、今申し上げたとおりでございますが、5,000億円にいった時も、3,700億円程度で済むように、今仕込みを行っているところでございます。

テクノロジーフライデー(リアル・マーケティング)

「テクノロジーフライデー」でありますが、有効に活用しております。私どもの社員は、抗体検査等もやっておりますし、今年からお客さまに接する社員は毎月PCR検査を受けることにしましたが、もともとあまり密な環境にない会社でありますし、また、ほとんどの生産は伊賀、奈良で行われていますので、東京地区での勤務等をきちんとコントロールしていけば、損害を最小に抑えられると考えております。

DMG MORI デジタルイベント(ドイツ・フロンテン/オンライン開催)

デジタルイベント、特にドイツのフロンテンでのデジタルイベントは大成功に終わりまして、8,000名程度のお客さんが訪問してくれました。日本はやはりデジタルイベントに関して、前回の「JIMTOF」もそうですけれども、なかなかコンサバティブなところがあるんですけれども、このドイツ語圏、英語圏に関しては非常に効果のある、また、中国圏に関しては大変効果のある取り組みだなと考えております。

今後も、地域の特性に合わせて、デジタルとリアルをうまく組み合わせて、当社の商品力とかサービス力をお客さまにご理解いただけるようにしていきたいなと思っております。

もともと工作機械産業は、工作機械屋はすべてデジタルで設計しておりますし、お客さまもデジタルな図面で緻密に1,000分の1ミリ単位で加工されているので、こういうデジタル的なもの、コンピューターを徹底的に使い倒した環境というのに、サプライヤーもユーザーも非常に適して、慣れている産業であります。今後も、ほかから見てもよいサンプルとなるように努力していきます。

フロンテンの近況ですが、日本の白馬村みたいな感じのスキーリゾートであるんですけれども、専用のデジタルのショールームで、これは実は、私も特別の許可をもらって先月ドイツに入国して、ここのスタジオで一緒にやってきました。ドイツとは毎日のようにテレビ会議をやっているんですけれども、やはり数ヶ月に1度はちゃんと面合わせで実際の工場現場を見てくるということが重要だと思います。

この工場は、AGVで3点支持の巨大な同時5軸加工機を作っている工場でございます。またこれは別途詳しく「YouTube」等で示しておりますが、ぜひご覧になってください。

これはフロンテンでの例ですが、このように工具交換をする自動運行型のフォークリフト型ロボットなんですけれども、ドイツ側でも日本側でも、こういった装置がだんだんお客さまに受け入れられるようになってきております。

デジタルツインによるテスト加工

これはデジタルツインによるテスト加工でございます。お客さまがCAMデータ、それからワークの情報、工具の情報を用意されるのを我々がサポートします。それで、当社の「デジタルツインショールーム」に登録していただいて、実機での加工、デジタルツインでの加工の両方をやりますが、まずはデジタルツインでやって、フィジビリティスタディをやって、それでOKになると実機で検証するということをやります。

サイクルタイムとか加工振動とか面品位とか、こういったものが綿密にシミュレーションできるわけでございます。

脱炭素社会で「高精度・高速の5軸機・複合加工機+自動化」への需要拡大

脱炭素でいきますと、「エンジンカーがなくなると、化石燃料を燃やすエンジンがなくなると、工作機械がだめになる」という非常に大きな誤解があります。

先日も、日本電産が三菱重工のギヤ加工機の魅力を認めて、エレクトリックビークルに必要な技術であるということで買収されておりましたが、モーターには必ずギヤとか、ここで書いてありますけど、バッテリーをとってみても放熱板からさまざまなものが絡んでくるわけでございます。

洋上の風力発電をとっても、非常にたくさんの機械加工部品が使われるわけでございまして、結局、太陽で核融合でできたエネルギーを地上に持ってきてモビリティに使うという過程において、エネルギーを動力に変換するということにおいては、手元で化石燃料を燃やそうと、外で作ったリニューアブルエナジーを手元に持ってこようと、必要なプロセスというのは、全体のエネルギーは一緒でございまして。

そこでさらに効率を高めるためには、部品の精度がさらに高速・高精度で不完全燃焼をなくすとか、伝達効率を上げるとかです。昔の10年前のギヤでしたら40パーセント、50パーセントぐらいの伝達効率でしたけれども、今の最新の同時5軸によって削られたギヤでは70パーセント、80パーセントの伝達効率であり、そのためには同時5軸とか多軸化、自動化が必要ということです。

また、お客さまで使われる時に、10年前の工作機械に比べると、少なくとも20パーセント、場合によっては30パーセントのカーボンニュートラルを達成した工作機械を使うことによって、加工現場でもさらにクリーンな加工ができ、膨大な工作機械の需要が今後も生まれてくるわけでございます。

my DMG MORI

「my DMG MORI」でございますが、4万件のお客さまが登録してくださいました。さまざまな面がありまして、お客さまの人材育成ということで、スキルアップのいわゆるeラーニング、それから保守メンテナンスでサービスリクエストとかサービスパーツをネット上でできる、それから工場の品質とか仕事量のモニタリング、計測とかそういったこと、トレーサビリティをやるということですね。さまざまなことがここで実現するわけでございます。

TULIPソリューションの日本での独占的販売会社「株式会社T Project」設⽴

あと、MITのMedia Lab発祥で「TULIP」がありまして、ここに私ども出資しております。それの日本向け、それからヨーロッパ、アメリカでの機械加工業向けの総代理店権を得ております。

クラウドベースの製造業支援サービスでございまして、いわゆるローコード、コードレスとも言いますけれども、お客さまの現場のみなさんがC言語とかPythonとか使うことなしに、自由自在にプログラミングを「レゴブロック」のようにアジャイルに組むことで、自分たちの暗黙知をデジタル化したり、マニュアルをちゃんと呼び出すことができたりとか、こういったことに使われるわけであります。

まずは金属加工業とか、組立業にご紹介しますけれども、これはさまざまなプロセスのある産業、製薬業とか繊維産業とか、さまざまな産業でも使うことができるものであります。そういった意味で、専門の会社を作りまして、スペシャリストを雇用して、世界中の製造業にお届けしていきたいと考えております。

経営理念の改訂

最後に、ESGに関してでございます。経営理念、私が社長になった時以来の経営理念でございますが、最近の商品内容に照らし合わせまして、赤字のところを加えております。

また、「よく遊び、よく学び、よく働き」というのを入れております。「よく遊ぶ」は「健康でいましょう」と、「ポジティブにいきましょう」ということであります。技術は数年おき、10年おきに必ず変わりますので、そういったことによくキャッチアップして、「50歳になったからもういい」とか「60歳になったらもういい」ということじゃなくて、謙虚にアップトゥデイトしていくということでありまして。

「よく働く」。一生懸命働くのは当然なんですけれども、「効率よく働こう」と、それから「丁寧に働こう」というようなことを謳っております。

DMG MORIの目指す姿

我々がオファーできるのは、ハード・ソフトとサービスであります。多軸機・先端加工の工作機械領域、それから自動化用モジュールとか当社独自で開発している商品、それから断トツに強いスピンドルとかボールねじ等の内製コンポーネントと、さまざまなメーカーとパートナー企業とワークして周辺装置を組み合わせます。

それに当社ならではの直接のサービス、それからエスアイアーといいますか、インテグレーターとしてお客さまの自動化工場とかコネクティビティの垂直立ち上げ、それで10年、20年安心して使っていただける加工システムの保全、パーツの供給ですね。

また、プロセスの改善。新しい工具が出たり、新しいパスの出し方を提案して、従来のものよりもさらに短い時間で高精度に削れるようなことを提案していくと。

最後には、ファイナンスをもって、分割払いとかサブスクリプションとかさまざまなスキームでもって、お客さまの需要の動向に合わせて、長い目での関係を築いていきたいと考えております。

気候変動への対応① 自社製品のカーボンニュートラル化

日経新聞にうまくまとめていただきましたので、ここに掲載しておりますが、ドイツ側でScope1、2のCO2ゼロを獲得しまして、同じ手法でもって今年の3月までに上流の3まで含めてカーボンニュートラル達成を宣言します。来年度は、サプライチェーン全体のカーボンニュートラルを達成していきたいと思います。

ここでありますとおり、2030年には2019年比で、まず排出量そのものを30パーセント削減しますし、そのためのCO2フリー電力の購入とかバイオマス発電等、我々ができる限りの再生可能エネルギーを工場内で作ったり、部材の調達ルートを見直したり、特に鋳物なんかで、これをやっていきます。

気候変動への対応② バイオマス発電の導入

その一例なんですけれども、私どものオーストリアでのお客さまでGLOCKというメーカーさんがあります。オーストリアも山岳国で大変良質のチップができるわけでありまして、ここで新しく、うちの機械で加工した部品を使ってバイオマス発電の装置を作りました。

それを私どもが実験導入して、伊賀工場におきまして新設した塗装工場の電力とか熱はここで全部賄うというようなことをやっております。

我々、奈良も伊賀も紀伊半島にありますので、多くの台風で被害を受けたような伐採の進んでいない倒木がたくさんありまして、そういったものを森林を健全にきれいにするということで処理して、チップ化して、こういうバイオマスでやっていくと非常にいい循環が生まれます。地域貢献も含め、今後も積極的に取り組んでいきたいと考えております。

健康経営の取り組み

あと、コロナでひしひしと感じたのは、社員の健康が非常に重要であるということであります。まずは、非常に手厚い人間ドックを行って生活指導をやっていくということも重要ですが、まずはきっちりと休める会社、それから労働時間をしっかりと守れる会社ということで。

昨年はちょっと暇なのもあったんですけれども、IFRS上では未消化の有給休暇は労働債務としてのってきますので、それを削減することも兼ねて、平均で25.9日も休んでもらいました。

これは休業の補償金とかはもらっておりませんので、そういうのではなくて、きちんとやっております。今年も20日以上の有休を取ってもらって、メリハリのきいた働き方のできる会社、組織として、常にフレッシュな頭と心でお客さまに接するようにしていきたいと考えております。

コーポレートガバナンスへの取り組み

コーポレートガバナンスへの取り組みでございますが、10人の取締役のうち4名が社外であります。監査役は3名のうち2名が社外でございまして、すでに外国の方は取締役のうち2名。両方ともうちの社内ですが、ドイツのミスタートーネスとアメリカのミスターヌドの2名であります。今仕込んでおりまして、将来的には海外からの人員ももう少し増えますし、また女性ももう少し社内から増えてくると思います。

まずは、社外取締役で1名、非常に適切な方が見つかりましたので、今年の3月の株主総会から我が社の社外取締役になっていただきます。来年からはこれを2名体制にしていきたいと考えております。

執行役員は従来からのベテランで、もう70を超えている人もいますし、30代もおります。将来の経営幹部の候補と従来の非常にベテランの領域の方とをうまくミックスしながらやっていきたいと思います。

執行役員に関しては、すでに女性もいますし、それから国籍もご覧のようになっておりまして、今後はやはり海外国籍はますます増えていくものと考えております。

以上でございます。長時間どうもありがとうございました。今年もがんばってやっていきますので、ぜひご支援のほどよろしくお願いします。どうもありがとうございます。