2021年3月期第2四半期決算説明会
荒川隆治氏(以下、荒川):みなさま、こんにちは。アルフレッサ ホールディングス株式会社の荒川隆治です。平素は格別のご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。弊社は11月5日に、2021年3月期第2四半期の決算発表を行いました。
まずはじめに、決算発表とは別に1点ご報告があります。去る10月13日、弊社連結子会社が医療用医薬品の入札に関して、独占禁止法違反容疑で東京地検および公正取引委員会の捜査を受けました。
現在、捜査に全面的に協力しています。ご心配をおかけしていますことを衷心よりお詫び申し上げます。今後、新たに発表すべき事実が発生した場合は速やかにお知らせいたします。
それでは本題に戻ります。はじめに岸田専務から第2四半期の業績について、次に私から主な取り組みと業績予想についてご説明します。それでは岸田専務、よろしくお願いします。
連結損益計算書
岸田誠一氏:こんにちは。アルフレッサ ホールディングスの岸田でございます。私からは当第2四半期の業績についてご説明します。
第2四半期の連結損益です。2020年9月期の売上高は前年同期比で5.3パーセント減の1兆2,951億円、売上総利益は16.6パーセント減の852億円で、売上比は6.58パーセント、前年同期と比べて0.89ポイントダウンしました。
販管費は2.4パーセント減の773億円、営業利益は65.7パーセント減の78億円で、売上比は0.61パーセント、前年同期と比べて1.07ポイントダウンしました。経常利益は50.1パーセント減の135億円、四半期純利益は38.8パーセント減の110億円となりました。
前年同期比で減収減益ですが、8月に修正した予想は達成し、若干の上振れとなりました。要因はセグメント別で後ほどご案内します。配当については、配当方針の純資産配当率DOE2.3パーセントに基づき、安定的な配当として中間期26円としました。
連結貸借対照表
バランスシートについてご説明します。2020年3月末と比較して、資産合計は152億円減少し、1兆3,363億円です。
主な要因ですが、資産の部では現預金・短期の有価証券が351億円の減少、有形・無形固定資産が物流センター投資などで50億円の増加、投資その他資産が投資有価証券の時価上昇により133億円増加しました。
負債・純資産の部では、支払手形・買掛金の仕入れ債務が214億円の減少、利益計上による利益剰余金の増加と投資有価証券の時価上昇により、純資産は127億円の増加でした。自己資本比率は36.5パーセントで、前年度末比でプラス1.5ポイントです。
連結キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローです。営業活動によるキャッシュ・フローは175億円の減少です。主な内訳は税金等調整前当期純利益で161億円、減価償却費、のれん償却でプラス58億円、ワーキングキャピタルでマイナス227億円、法人税等の支払いでマイナス93億円です。
投資活動によるキャッシュ・フローは102億円の減少です。主な内訳は、物流センター等への投資の有形固定資産の取得でマイナス102億円、投資有価証券の売却でプラス30億円、投資有価証券の取得でマイナス16億円です。
財務活動によるキャッシュ・フローは77億円の減少です。主な内訳は、配当金の支払いでマイナス52億円、子会社株式の追加取得でマイナス12億円です。この結果、2020年3月期に比べて、キャッシュは354億円減少し、期末残高は1,739億円となりました。
医療用医薬品等卸売事業
事業セグメント別に損益実績をご説明します。最初に、医療用医薬品等卸売事業の業績です。売上高は前年同期比で5.5パーセント減の1兆1,356億円、売上総利益は20.4パーセント減の603億円、売上比は5.32パーセントで1ポイントのダウンです。
販管費は2.5パーセント減の544億円、営業利益は70.3パーセント減の59億円で、売上比では0.53パーセントで1.14ポイントのダウンとなりました。なお、8月に修正した予想に対しては、100パーセント近い着地となりました。
減収減益の主な要因ですが、医療用医薬品市場は上期に5.1パーセント縮小し、その中で当社は5.4パーセントの減収でした。新型コロナウイルスの感染拡大などにより、医療機関において外来受診の抑制、手術件数の減少、医療機関の経営悪化に伴い、想定を超える納入価格の下落が見られました。
また、前年同期に消費増税に伴う仮需が2パーセント程度あり、その反動減による減収も見られました。一方、インフルエンザワクチンを中心とするワクチン需要は拡大しました。
医療用医薬品等卸売事業 売上構成比・妥結率
カテゴリー別の売上構成比ですが、新薬創出加算品が構成比で28.9パーセント、特許品・その他が43.7パーセント、長期収載品が15.3パーセント、後発医薬品が12.1パーセントとなっています。
前年同期比では、新薬創出加算品がプラス4.4パーセント、特許品・その他がプラス0.1パーセント、長期収載品がマイナス31.4パーセント、後発医薬品がプラス0.6パーセントとなっています。また、上期の妥結率は金額ベースで96.7パーセントです。
セルフメディケーション卸売事業
セルフメディケーション卸売事業の業績です。売上高は前年同期比で3.2パーセント減の1,341億円、売上総利益は1.2パーセント減の133億円、売上比は9.94パーセントで0.2ポイントのアップです。
販管費は4.2パーセント減の116億円、営業利益は25.5パーセント増の17億円、売上比では1.28パーセントで0.29ポイントアップし、減収増益となりました。
主な要因ですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、マスク、衛生用品等の感染予防関連商品が伸長した一方、インバウンド需要は減少しました。こちらに対して、需要変動へ機動的に対応する物流起点の改革を通じてコスト管理・利益管理を徹底し、増益を達成しました。
また、トピックスとして、2021年4月にアルフレッサ ヘルスケアが連結孫会社である茂木薬品商会を吸収合併することを決定しています。
医薬品等製造事業
医薬品等製造事業の業績です。売上高は前年同期比で8.5パーセント減の204億円、売上総利益は16.5パーセント減の52億円、販管費は3.4パーセント減の51億円、営業利益は92.1パーセント減の7,300万円となりました。
主な要因ですが、外来受診抑制、手術件数の減少および営業活動の自粛などの影響で、医薬品、診断薬などの自社製品が減収となりました。一方、受託や医薬品原薬は堅調に推移しました。減収に伴い粗利益が減少し、結果として大幅な営業減益となりました。
医療関連事業
医療関連事業、調剤薬局事業の業績です。売上高は前年同期比で6.6パーセント減の166億円、売上総利益は5.9パーセント減の59億円、販管費は1.8パーセント増の62億円、営業利益は2億9,400万円の赤字となりました。なお、7月期から9月期は若干の黒字転換となっています。
主な要因ですが、医療機関の外来受診抑制等の影響や店舗数の減少により減収となりました。一方で、人件費の増加およびシステム投資関連などの管理費の増加により、営業赤字となりました。上期は調剤報酬請求に係る不適切行為の再発防止策を徹底しています。
トピックスとして、2021年4月にアポロメディカルホールディングス、日本アポックと、非連結の孫会社である中日ファーマシーの3社を統合することを決定しています。機能の強化および効率化を図り、顧客視点で新たな価値の創造を目指していきます。
以上が、2020年9月期の業績説明になります。引き続き、荒川社長より「2019‐21 中期経営計画 取り組み状況」をご説明します。
主な取り組み
荒川:それでは、荒川よりご説明させていただきます。「2019‐21 中期経営計画」のセグメント別の取り組みになります。上期はスライドの青字に関して具体的な取り組みがありましたのでご紹介します。
医療用医薬品等卸売事業 メディカル品への注力
医療用医薬品等卸売事業では、医療用医薬品以外のメディカル品の取り組みを強化しています。アルフレッサは、乳房用超音波画像診断装置のベンチャー企業であるLily MedTechへ出資しています。
同社は「リングエコー」という新技術を使い、乳がん検診の被ばくリスクや検診時の痛みといった苦痛を和らげる製品を開発しています。同社と総販売代理店契約を締結しました。アルフレッサは、女性MS中心の専任チームを新たに設置し、販売を強化していきます。
医療用医薬品等卸売事業 再生医療等製品への取り組み①
再生医療等製品への取り組みです。川崎市殿町に続き、今年10月に神戸市に「再生医療流通ステーション」を開設しました。特徴は、マイナス150度以下の保管・輸送環境や、三菱倉庫との業務提携により保管、輸送、輸出入などの多様な業務への対応が可能なことです。
今回の「神戸ステーション」「殿町ステーション」をモデルケースとして、今後同様の施設を当社グループ全体へ拡大し、再生医療等製品の全国流通ネットワークを構築していきます。成長分野である再生医療等製品への取り組みをさらに強化していきます。
医療用医薬品等卸売事業 再生医療等製品への取り組み②
再生医療等製品のサプライチェーンに関する取り組みです。日立製作所は、同社のデジタルソリューション基盤「Lumada」の1つとして、再生医療等製品の流通の川上から川下までを結び、細胞の情報やトレース情報をデジタルデータで管理する「統合プラットフォーム」を提供しています。
今年8月、アルフレッサは他の医療機関、製薬企業などとともにファーストカスタマーの1社として参画することを決定しました。異業種との協業により、再生医療等製品のサプライチェーンに関する取り組みを進め、安心・安全に供給する体制を強化していきます。
医療用医薬品等卸売事業 再生医療等製品への取り組み③
再生医療等製品のベンチャー企業との資本提携です。ファーマバイオは、自家細胞型の再生医療等製品を開発する企業です。現在同社は、近視性網脈絡膜萎縮あるいは加齢黄斑変性などを対象とする再生医療等製品を開発中です。
アルフレッサは今回の資本提携により、同社製品の流通・販売の優先交渉権を取得しました。ファーマバイオの事業を支援し、治療薬の輸配送のノウハウを蓄積するなど、サプライチェーン体制の確立を目指していきます。
医療用医薬品等卸売事業 再生医療等製品への取り組み④
再生医療等製品のベンチャー企業との資本提携です。遺伝子治療研究所は、遺伝子治療技術の研究開発ベンチャーです。現在同社は、アデノ随伴ウィルスを遺伝子のベクターとする遺伝子治療薬を開発しています。
アルフレッサは、同社へ出資して製品化を支援します。今後はアデノ随伴ウィルスベクターを利用した遺伝子治療薬の輸送手法の構築、流通支援でも協力します。
医療用医薬品等卸売事業 事業モデルの変革
医療用医薬品等卸売事業の事業モデルの変革です。新型コロナウイルスの影響などもあり、非対面型、非接触型のオンライン診療に対するニーズが高まっています。インテグリティ・ヘルスケアは、オンライン診療システム「YaDoc(ヤードック)」を提供するテクノロジー企業です。
「YaDoc」はオンライン問診、オンライン診察、ウェアラブル端末を用いたモニタリングなどの機能を提供するオンラインサービスです。競合も増えていますが、機能、会員などで非常に競争力が高く、魅力的なサービスとなっています。
アルフレッサは同社と資本提携し、「YaDoc」を活用した新しいビジネスモデルの共同検討・共同開発を行います。
医療用医薬品等卸売事業 お得意様サポートの強化①
医療用医薬品等卸売事業のお得意さまサポートの取り組みです。気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の吸入薬にはさまざまな種類があり、正しい吸入方法をマスターすることが重要です。今年4月の診療報酬改定では「吸入薬指導加算」が新設され、調剤薬局における患者さまの吸入指導が必要とされています。
アルフレッサはQRコードを活用して、吸入指導用の動画資材などをWebサービス「alf‐web」で提供しており、このサービスでお得意さまの調剤薬局を支援していきます。
医療用医薬品等卸売事業 お得意様サポートの強化②
アルフレッサは2019年1月の「医薬品流通研究会」の共同設立以来、ヤマトグループとさまざまな協業の取り組みを進めています。その1つとして、今年6月に遠隔処方領域における相互協力を発表しました。
オンライン診療などで処方された処方薬に関して、調剤薬局と患者宅の間のいわゆる「ラストワンマイル」に関する配送サービスの共同研究や営業支援を、同社とともに協力して行います。
医療用医薬品等卸売事業 グループ物流の「高度化」「効率化」と「標準化」
「2019‐21 中期経営計画」では、グループ物流の「高度化」「効率化」と「標準化」に取り組んでいます。その一環で、9月に東北アルフレッサが福島県郡山市に「郡山物流センター」を稼働しました。
同センターの特徴は、PIC/S GDP準拠、デジタル・アソート・システム導入などの最新機能の導入と、免震構造、大型非常用電源、屋上ヘリポートの設置など、BCP体制の強化です。総額68億円を投資し、月あたり100億円規模の出荷能力を持つ当グループの南東北エリアの中核となる最新鋭の物流センターとなります。
医療用医薬品等卸売事業 配送業務の「効率化」
こちらもヤマトグループとの協業による取り組みです。今年7月、医薬品、医療機器、材料、診断薬などのヘルスケア商品の共同配送スキームの構築に向けて業務提携しました。
第1弾として、アルフレッサの配送業務の効率化のために、各種システム開発を両社で行います。次の段階で配送能力を増強するための各種システムの開発を行い、こちらを業界全体で提供します。2社以外の第三者も巻き込んで、共同配送スキームの実現を目指していきます。
このプロジェクトに関して、8月にはアルフレッサ内に専門部署も設置しました。ヤマトグループの社員も参加して、協力してプロジェクトを進めていきます。
セルフメディケーション卸売事業 セルフメディケーション卸売事業の経営統合
先ほど岸田専務が触れましたが、セルフメディケーション卸売事業では、2021年4月にアルフレッサ ヘルスケアが茂木薬品商会を吸収合併します。
全国展開しているアルフレッサ ヘルスケアが、東京都に本拠を置く茂木薬品商会を統合し、経営資源を有効活用して、お客さまにとって価値のあるさらなるサービス向上を目指していきます。
医療関連事業 医療関連事業の経営統合
こちらも先ほど岸田専務が触れましたが、医療関連事業では11月にアルフレッサの子会社である中日ファーマシーを完全子会社化、その後2021年4月にアポロメディカルホールディングス、日本アポック、中日ファーマシーの3社が経営統合します。
地域の中でなくてはならない薬局を目指すためには、事業基盤の強化と効率的な経営が必要です。3社が経営統合して経営資源を効率的に活用し、顧客視点に立った新たな価値を創造できる調剤薬局を目指します。
連結業績予想
2021年3月期業績予想です。連結業績予想は8月5日に修正し、今回は変更していません。セグメント別の業績予想も今回は変更していません。なお、年間配当金は1株あたり53円を予定しており、こちらは年初から変更していません。以上をもちまして、私からの決算関係のご説明を終わります。