企業理念
後藤敏仁氏(以下、後藤):よろしくお願いします。では、さっそく説明します。まず私たちの企業理念は「私たちの生活 私たちの世界をよりよい未来につなぐトビラになる」ということで、このトビラがトビラシステムズの社名の由来になっています。今日はオンラインですが、リアルタイムで集まる説明会で「トビラシステムズって知ってますか?」と最初に質問すると、だいたい20パーセントから30パーセントくらいの方に手を挙げていただくのですが、たいがいの方は我々のことをご存知なく、名前から扉に関係するということで、ドアを開発していると思われる場合があります。そのようなことではなく「よりよい未来につなぐ トビラになる」という思いが社名の由来です。
私たちは「テクノロジーで社会の課題解決に挑戦する」という思いを持っていまして、その中でもとくに代表の明田が常々「放っておいたら大企業がやらないようなことをやろうよ」と言っています。大企業は大企業でいろいろと大変だと思うのですが、投資対効果、事業サイズ、採算性などいろいろな観点から、大企業の中では簡単に進まないようなことで、でも放っておいたらなかなか解決に進まない社会課題はたくさんあるのです。そのようなものに、私たちはテクノロジーで挑戦していきたいという思いを持っています。
トビラシステムズの迷惑情報フィルタ事業って何?
後藤:では、どんなことをしているのかというと、迷惑電話のブロックが今の我々の主力事業です。日々電話番号に関する情報をいろいろ集めてデータベース化しています。このデータベースが私たちの事業のコアな部分になっており、迷惑電話や特殊詐欺を防ぐことを行なっている会社です。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):僕らからすると非常に助かる企業です。もともと始めたきっかけを教えていただきたいと思うのですが。
後藤:代表の明田のおじいさまが小さな左官の工務店を経営されていて、あるとき北海道の無価値な土地を買わされたことがあり、……これは実は詐欺ではなく、ビジネス商法と呼ばれるグレーゾーンすれすれのものなのですが、それをきっかけにひっきりなしに迷惑な電話がかかってくるようになりました。業界では有名な話なのですが「カモリスト」というものがありまして、一旦「カモリスト」に載ると、どんどん悪人から電話がかかってくるようになります。それでなんとかおじいさまを助けたいと、最初は市場に電話のセキュリティー製品がないのか調べてみたらしいのですが、そのようなものは全くないことに気がつき、「だったら自分で作ろう」と考えたのが一番最初のきっかけだったということです。
八木ひとみ氏(以下、八木):何年くらい前ですか?
後藤:かれこれ10年以上前になります。逆に言えば、「電話のセキュリティーサービスがないのはチャンスかもしれない」と事業化したのが、最初のスタートのきっかけになっています。
事業内容
後藤:私たちの事業はおおまかにわけて2つのセグメントで成り立っています。主力は迷惑情報フィルタ事業で、2019年10月期の売上構成比ですが、全体の90パーセント程度を占めています。残りの10パーセントがその他事業ですが、私たちはもともと、いろいろなサービスを私たちは手がけてきたのですが、その残りの部分がまだ続いているようなものになっています。よって、主力は迷惑情報フィルタ事業です。
内容も3つありまして、1つ目がモバイル向けフィルタサービスです。こちらが売上全体の75パーセント以上を占めており、向こう2年から3年を考えてもかなり安定的に成長が期待できるサービスです。なぜ2年から3年くらい安定的に伸びると思っているのかについては、後ほどご説明します。
2つ目が固定電話向けフィルタサービスです。私たちの事業の目的である「特殊詐欺をなくしていきたい」で言うと、実際のところ、この固定電話での被害が多いものですから、なんとか普及させたいという思いを持っていますし、市場ポテンシャルも実はモバイル向けよりも固定電話の方が大きいと思っています。ただ、いろいろなハードウェアが絡むこともありますので、普及には少し時間がかかるかもしれないと思っています。
3つ目がビジネスフォン向けフィルタサービスで、今一番投資しており、3年後から5年後の将来の成長の柱を作っていくテーマが、こちらです。事業内容はこのような構成になっています。
特殊詐欺に関する社会的課題
後藤:競争優位性について少しお話しします。先ほども迷惑電話や特殊詐欺についての話がありましたが、2019年の年間被害額はだいたい301億円と言われています。その前の2018年は360億円と、1日1億円の被害が出ている状況です。最近は少し減ってきていますが、背景にある1つが被害の少額化ということで、単価が下がっているのです。
当社のデータベーステクノロジーの強み
後藤:単価が下がるとなぜこのようになるのかということですが、握り潰してしまう人が多いからなのですね。
八木:「ちょっとだし、いいか」と、被害届を出さない方が多いと……。
後藤:そうなのです。被害の83パーセント以上が高齢者の方でもあり、なかなか息子や娘に「この話をすると怒られるのではないか」あるいは「恥ずかしい」というような思いもあり、警察に届けられない方もいらっしゃると聞いています。
あと先ほどお話ししましたが、詐欺ではないものもあるのです。合法的に高い商品を売る、これ自体は決して違法ではないのですが、やり方そのもののモラルがどうなのかという問題もあるため、迷惑電話の被害は非常に大きいと思っています。
高齢者が多いということについても、少しみなさまにご想像いただきたいのですが、今日この動画配信を観ていらっしゃる方は比較的若い世代の方が多いのではないかなと思います。しかし、私たちが現在、このような豊かな社会で生活できているのも、ある意味、先輩方がすごくがんばって経済を成長させ、社会をよくしてきたからこそ、これだけ幸せな世の中で暮らせているのですね。
その先輩方が現役世代のときにコツコツと蓄えた資産を、卑劣な手口を使って騙し取る人がいるわけです。今日、観ていらっしゃるみなさまも、将来の老後の問題などを考えながら、資産運用をして、少しでも増やそうと考えていらっしゃると思います。それなのに、本当に巧みな方法で詐欺に遭ってしまうわけです。「自分は絶対に騙されない」と思っている人に限って、実は騙されやすいというジレンマがあるのですが、本当に巧みですので、このような問題に対し私たちはチャレンジしていきたいと思っています。
迷惑情報フィルタ事業の参入障壁
後藤:では、どのようにして防ぐのかということなのですが、ポイントは利用者が増えれば増えるほど私たちのデータ精度が上がっていって、より被害を防ぐことに貢献していくものになっていくということです。これが私たちの事業の強みであり、競争優位性の1つのポイントにもなっています。最終的にはブラックリストとして、この番号から掛かってきたら危険だよとお知らせするのがサービスの主な内容です。
この精度が低いと、やはり採用していただける企業も増えませんし、私たちの価値も減ってしまいます。データのサンプル数が少なければあまり精度がよくないため、利用者が多いほど勝ちやすいといえるビジネスです。
坂本:ブラックリストについて興味があります。判定はもちろん警察提供データであるとは思いますが、どういう審議委員会があるのですか? 当然そのあたりは、ブラックリストよりブラックボックスの部分があると思います。イメージでよいので、どのような会社がダメで、どのような会社はグレーなのかについて、あらためて教えていただきたいと思います。
後藤:そうですね。まずレーティングと言いますか、機械的な判定をしています。いろいろな電話番号や活動情報が私たちは分かるのです。サービスをご利用のみなさまのところに電話があると、その番号がブラックリストに当たっているかどうかをサーバーに問い合わせに来るのです。ということは、私たちのサーバーには大量の発着信番号が残るのです。このような発着信ログは、だいたい短い時間でたくさん電話している人は、何か営業しているのか、何かしら怪しい可能性がありますよね。あるいは電話番号に関するメタ情報。どういった企業でどういった事業なのかも参考にしています。さまざまな情報を複合的に分析し、機械が最初はあぶり出してくれるのです。「この番号は危ないかもしれないですよ」と、まさに判定会議の話がありましたが、人間が最後に確認し1件ずつ議論したうえで、ブラックリストに充てるということを毎日行なっており、日々アップデートされています。
元にするデータは昨年上場したときには6億件だったのですが、もう9億件以上になっていまして、利用者の伸びも非常に高まっていますし、データの総量も増えています。電話番号の数だけで言うと、実は数千万件くらいだと言われており、中でもアクティブなものはもう少し小さいのですが、先ほどお伝えしたように活動情報やメタ情報といったものもトータルして9億件になっています。これを独自のアルゴリズムで分析するのですが、こちらは幅広く特許を取っているため、なかなか簡単には参入できないパテント状況にあります。
坂本:これは当然特許とデータは競争優位性が厚く、他社の参入障壁になると思うのですが、どのような特許があるのですか?
後藤:幅広く取っていまして、データベースの中枢に関する技術や着信段階でブロックする仕組みそのものなど、抜け穴を作ることが難しくなるように、幅広く特許を取っています。
坂本:「入口から出口まで」というようなイメージですね。
後藤:そうです。
八木:そうなると、競合して参入してくるところは少なくなるという感じですか?
後藤:なかなか参入することは難しいと思います。仮になんらかのアルゴリズムによる、違う方法があったとしても、最後はデータ量が肝になってくると思いますので、私たちの競争優位性のほうが高いと思います。先ほど、警察の話もいただきましたが、私たちは警察から国内で犯罪に使われる情報などについても唯一ご提供いただいています。ただ、警察からいただくデータはあくまでも犯罪に使われたもののみですので、先ほどのグレーゾーンのものなどは対象になっていません。
坂本:ブラックの情報ですね。
八木:実際に犯罪を犯したものですので、そうですね。
坂本:実際にブロックされた会社から「なんとかなりませんか」という泣きが入ることはあるのですか?
後藤:そのような問い合わせをいただくこともあるのですが、忠実に私たちは判定していますので、中には本当に「これはどうなんだろうと」と思うケースもあります。だいたい「ちょっと危ないかな」と思うところについては、電話をかける側の自由が幅広く認められている反面、受ける側の自由がだいぶ無視されているのが電話というツールだと思います。受ける方の権利として、「そんなものは要らないよ」とある程度、自動でフィルタをかけるものがあってもいいだろうと進めています。
モバイル向けフィルタサービス
後藤:実際にどのようなものなのかということで、こちらがアプリのイメージです。極めてシンプルでして、資料の真ん中で見辛いのですが、危ない番号から電話がかかってきますと警告を表示するような仕組みになっています。
八木:「迷惑電話の可能性あり」という警告が出てくるということですか?
後藤:そうです。ウイルス対策製品や迷惑メールのようなものに非常に近いものとイメージしていただけるとわかりやすいかと思います。
迷惑なものだけではなく公開されている企業等の番号についても、私たちは収集していまして、初めて掛かってきた番号であっても、例えば、予約したレストランから電話があっても「どこどこのレストランですよ」というようなことが分かる仕組みになっています。これで安心して出られるということです。
坂本:それは便利でいいですね。
後藤:宅配ドライバーの番号も集めています。とくに女性の方は、知らない番号から掛かってくると少し怖いではないですか。それをある程度私たちで処理させていただくということです。
八木:確かに知らない番号からって、宅配業者からの電話番号のこともありますよね。
後藤:そうですね。それがわかれば、安心して出られるということですね。
モバイル向けフィルタサービスのビジネスモデル(1/2)
後藤:私たちのサービスのビジネスポイントは、KDDI、ドコモ、ソフトバンクの3社の基本のオプションパックに採用されているところです。それぞれ、ソフトバンクの場合は「iPhone基本パック」「スマートフォン基本パック」という名前で販売されています。だいたい、月額で500円くらいです。その中の1つに私たちのアプリがあります。KDDIの場合は「auスマートパス」「auスマートパス・プレミアム」の中で迷惑メッセージ・電話ブロックアプリがありますが、こちらも私たちのサービスです。ドコモの場合は「あんしんセキュリティサービス」でこちらも200円から300円くらいです。
セキュリティーに関するものや電話の基本的なオプションについてはいまだに「店頭で端末販売と一緒に説明していいですよ」という流れになっていまして、かつてはエンターテイメント系のアプリやサービスが付随で勝手に付いていることがあり、問題になったこともあるのですが、私たちが提供しているものはセキュリティーに関するものや電話の基本的なサービスに関するものですので、まだ認めていただいており、店頭でご案内されています。
モバイル向けフィルタサービスのビジネスモデル(2/2)
後藤:私たちのビジネスモデルのポイントは、単純にアプリを携帯キャリアであるドコモ、KDDI、ソフトバンクに提供して、彼らのサービス名でユーザーに提供しているということです。それもオプションパックというかたちで提供していますので、直接的に私たちが広告を打ってユーザーを獲得したり、料金回収したりするような負担が一切ありません。純粋にアプリの精度を上げ、改善していくことにフォーカスできるというのが高い収益性の1つの源泉になっています。
モバイル向けフィルタサービス オプションパックの市場規模
後藤:このスライドは私たちのビジネスを理解していただき、成長性を測る上でも非常に重要なものです。実はドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社とも、それぞれで契約のパターンが異なっていまして、どこの会社とどのような契約をしているのかはお伝えできないのですが、1つは固定契約と呼ばれているもので、「A社とは年間いくら」というかたちで売上が良くも悪くも一定に決まっています。次に、契約者数×単価は、オプションパックの販売に連動します。オプションパックはいろいろなアプリを使う権利を提供しているものですので、オプションパックに加入された方々は、すべて私たちのユーザーになるかというと、そうではないのです。
契約された方がダウンロードしてアプリをセットしていただくと使えます。真ん中のモデルはオプションパックに契約されただけで、私たちにも一定のレベニューがいただけるものです。最後に月間利用者数×単価は実際に使っていただいている方だけにライセンスしていますので、この月間利用者数×単価が一番ライセンス単価が高く、今後の成長においても、こちらが一番牽引することになります。全体の月間利用者数はすごいスピードで伸びているのですが、実際の収益につながるのは、この月間利用者数のみになります。
八木:キャリアで言うと楽天モバイルなど、格安携帯とかも出てきているので、このあたりに関しての3大キャリアと今契約しているようなかたちも広げていくお考えなのでしょうか。
後藤:楽天については、ぜひご提案したいと思ってはいるのですが、「まだビジネス的にご提案が相応しい時期なのかな?」と思っているところです。実は格安携帯キャリアにも、すでにいろいろとご提案しており、ひっそりと私たちのサービスも乗っていたりします。ただ、やはり格安を選ばれる方はあまりオプションを選択しないということもあります。リテラシーも高くて、そのようなことに困っていらっしゃらない方が多いですし、そもそも通話料をもっと下げたい方がメインとなってきますから、実は私たちのオプションパックはあまりヒットしないのです。
坂本:今後の展開としては、月間利用者数と単価は各社で仮に「キャリアで何名」とした場合は、やはり、さらに利用者数を増やすような働きをしなくてはいけないということでしょうか? そうなるとCMなどを1から打っていくような……そこそこの利用者数になるまではいったんこちらの契約にしてもらうというように交渉していくということですかね。
後藤:そうですね。今後の成長性から見て、2年から3年は安定的に伸びると思っているのですが、携帯電話の移動体通信で、もしかしたらタブレットも含んでいるのかもしれませんが、全体で1億8,000万件以上の契約が国内にありまして、個人と法人で持っている方も多いため、なんとなくイメージ的には1億8,000万件ほどといったところでしょうか。実はまだまだ緩やかにマーケットは伸びています。その中でもオプションパックの契約者数は推定4,400万件以上で、今だともう少しあるのではないかと思うのですが、相当な数の方がオプションパックに入っている状態です。この4,400万の方は追加で費用を払うことなく、私たちのアクティブは近い状態にありますから、ご覧になっているみなさまの中にも、もしかすると実は入っているが使っていないという方がいらっしゃると思います。
決して邪魔になるものでもないですし、ぜひ確認していただければと思いますが、これだけポテンシャルが残されていて、確かに月間利用者数×単価のストレートな契約モデルですので、それ以外の部分で売上の伸びは期待できないところはあるかもしれないのですが、携帯キャリアは大手3社ほどで主要な国内シェアの90パーセントを占めています。そのため、ざっくりと3つに分けても、まだあと3倍から4倍は伸びる余地が残っている状況ですから、十分まだ成長はありえます。また、みなさまも2年から3年くらいで携帯電話を変えられることが多いと思うのですが、そのタイミングで必ず接点になりますので、多くの方がユーザーになっていくということで、良くも悪くも放っておいても伸びていくのが、このビジネスモデルになります。
固定電話向けフィルタサービス
後藤:固定電話向けのメインはホームゲートウェイです。ご自宅のインターネット回線に接続するときに、一緒に家の電話も変えませんかというご提案があるかと思いますが、このように光電話やIP電話のオプションパックに組み込んでいただくのが主な戦略です。KDDIのau光とコミュファ光(中部地方のみ)の2社に採用されています。今後取り扱っていただけるパートナーが増えていくことで、もっともっと伸びていくだろうと考えています。
固定電話向けフィルタサービスのビジネスモデル
後藤:基本的なビジネスモデルはモバイルと一緒でショップ等で販売していただくということで、私たちが直接獲得するものではありません。こちらを主要ポテンシャルとすると、固定電話はだいたい5,400万契約ほど存在しており、緩やかに減っているのですが、急激に減るわけではないため、5,400万のすべての方に私たちはお届けしたいと考えています。迷惑電話を防ぐのに固定電話は非常に重要ですから、現実的に考えて、30パーセントくらいのシェアはありうると考えると、まだまだポテンシャルは大きく残されています。まだ33万人程度しか使っていないため、ここをもっと広げたいと考えています。
八木:そうなってくると、どれだけサービスを知ってもらえるかになってきますよね。
固定電話向けフィルタサービスのオプションパックの市場規模
後藤:そうですね。あとはパートナーを増やしていくということです。今はKDDIとそのグループ会社の中部テレコミュニケーションの2社のみなのですが、やはりNTTやソフトバンクなど、ほかの企業にもご提案していくことで、みなさまにお届けできるスピードを上げたいと考えています。
トビラフォンBizのビジネスモデル(1/2)
後藤:ビジネスフォン向けです。ハードウェアを設置していただくことで、会社全体が営業電話から守られるもので、以前からニーズがあったものなのですが、営業電話というものは聞いていて嬉しいこともあるのですが、時間を分断されてしまって集中して作業するのにあたり問題になることもありまして、止めたいという場合や、電話そのものの発着信履歴を管理したいという面でもニーズがある商品です。
トビラフォン Cloud とは?
後藤:ハードウェアのものと、最近は「トビラフォン Cloud」というクラウドフォンがあります。自宅でご自分の携帯電話にアプリを入れていただくと、会社にかかってきた番号を内線転送で受けられたり、逆にアプリを通じて発信しますと、会社負担の経費で通話ができるものになっています。テレワーク時代で非常にご注目いただいており、今後この分野にかなり注力して伸ばしていきたいと思っています。
トビラフォン Cloudのビジネスモデル
後藤:ビジネスモデルについては、こんな感じです。
坂本:21ページですね。実際のところ、在宅勤務等が増えると、この手の会社の電話について、営業の方も当然そうなのですが、ある程度は家にいなくてはいけないということで、資料に「開発に注力していきます」との話があったのですが、どのようなところを強化していくのかについてお伺いしたいです。
後藤:実は、デバイスって結構イノベーションが起きてきたのではないかと思うのです。携帯電話になったり、スマートフォンが生まれたりといったことがあるのですが、電話に関してはあまりイノベーションが起きていないのではないかと思っています。基本的には、通話履歴が出て電話帳が管理でき、あとは録音ができるくらいが基本のセットなのですが、本当はもうちょっとインテリジェンスにいろいろなことができるのではないかと思っています。
中期的な成長イメージ
後藤:最後に、中期的な成長イメージについてお話ししますと、モバイル向けについては、安定的にかなり伸びるだろうと考えています。ビジネスモデルが一番強いですので、今のスキームであれば安定的に伸ばすことができます。固定電話向けについては、パートナーをもっと増やしていく……増やさなくてもまだまだ伸びるのですが、パートナーを増やすことでさらに成長を高めることができると思っていますので、このポテンシャルは大きいです。ビジネスフォン向けは、3年後から5年後の成長を目指し、次の成長の柱にするべく投資をしていくというものが、全体の私たちのイメージになっています。
坂本:この「トビラフォンCloud」には、成長の可能性が非常にあると思っていて、単価もこれからちゃんと決まっていけば結構なボリュームになっていくのではないかと思います。
後藤:そうですね。現在開発しているもので言いますと、例えばカレンダーと連携して自分が「今打ち合わせ中ですよ」「収録中ですよ」という時には自動で「今は出られません」とメッセージングしたり、「この時間帯以後はかけられませんよ」というかたちにしたり、あるいは内線転送で言うと、ほとんどの場合、大体同じ方に内線転送するのですが、これは過去のデータを見れば「この人に転送がいく」となんとなく想像がつくのですね。インテリジェンスに内線を繋いでいくと、市役所などや大きな組織であればあるほど、内線転送のためだけにいる人というのが存在しまして、そちらがもったいないということです。人材は枯渇していますので、そのようなところにテクノロジーで少し便利なものを提供していきたいということで、できることはまだまだたくさんあると思っています。
さらに一番のポイントがデータで、データをいかに制するかが、このビジネスの面白いところでして、先ほどの個人向けのところで、初めてかかってきた番号でも誰からかわかるというお話しをしましたが、知らない番号を0にするというプロジェクトを進めています。進めている時に気が付いたのが、ほとんどの人はプライベートで電話をしないということなのですね。ただ仕事では何度も電話するので、初めてかかってきた番号が仕事ばかりで、誰かわからないという問題点があります。これが解決できるようになると、企業で収集した名刺情報や企業のデータベースとしてもっているものを自動で表示してあげてもいいと思うのですが、これがわかるとなにがすごいかというと、誰がどういうセクションの人とどのくらい接点をもっているのかがわかるということです。
つまり、CRMやSFAの世界に少し足を踏み入れることができるのですが、いまだに営業会などは「今週は何件アポを取った」「何件電話した」というものをエクセルに打ち込んで報告しているのです。これを全部デジタルでカウントして報告することができますから、このような分野に非常に大きな魅力を感じていまして、データベースは私たちの強みですから、そちらを活用できるようなサービスを育てていきたいと思っています。ただ、なかなか一朝一夕にはいかないので、少し長い目で見て3年から5年くらいの時間をかけて、投資したいという思いです。
坂本:ビジネスツールとしてさらに強化していくということですよね。
後藤:はい、そうです。
坂本:理念に反することになりますが、営業のデータがあるならば、営業先をある程度業種に絞って、そこからどんどん電話できたら便利ではないかと思います。
後藤:そちらは楽しみにしている部分ではあります。
ハイライト
後藤:足元の事業について少し簡単にお話ししますと、今見ていただいているのが第2四半期ですから4月末時点です。9月9日に第3四半期の決算発表しますので是非みなさま見ていただければと思うのですが、上期は非常に調子が良く、売上高でいうと4パーセントくらいの上振れなのですが、営業利益については計画比で20パーセント上回っていまして、非常に調子が良くなっています。
「新型コロナウイルスの影響はどうなんだ」というところもあるのですが、ちょうど第2四半期は4月でしたので、新型コロナウイルスの影響がまだそこまで反映されていない数字ではあるとは思うのですが、活動自粛によって、経費がけっこう下がったのですね。
なかなかお客さまとお会いできないため、いろいろなことが進められないということもあり、経費は下がっています。一方で、ビジネスモデル的には活動が下がっても売上が急に減るというものではありませんから、安定的に伸びたということもあります。
また、ドコモやソフトバンク、KDDIという主要な3キャリアのみなさまとは、アプリの改善についていろいろお話ししていて、日々いろいろな改善をしたり、もっと利用者を獲得するための施策を行なっています。そのような効果が出たことが成果につながったというかたちです。
トビラフォン Cloudリリース
後藤:4月より先ほどお伝えした「トビラフォン Cloud」がリリースできたというものです。
月間利用者数の増加
後藤:月間利用者数は約900万人を突破しています。ちょうど昨年上場した時から比べて倍以上になっており、増加ペースが非常に加速しています。「なんでこんなに増えているのですか?」というご質問をいただくことが多いのですが、これがまさに各キャリアと日々取り組んでいる成果が表れたためで、オーガニックに成長しやすい環境がどんどん整ってきていると言えます。ただ、懸念点として新型コロナウイルスで携帯ショップが、とくに5月以降通常の営業ではなくなってしまいましたし、みなさまの優先順位も携帯電話ではないところにいっていますから、そのような意味では携帯ショップの営業が縮小されることで、私たちの業績にも多少影響があり、第2四半期の最終月はペースが鈍化しています。
業績サマリー(1/2) 対前四半期、前年同期比
後藤:決算概要も同じような話なのですが、営業利益率が44.4パーセントと非常に高くなっています。ライセンスビジネスですので、当然売上が上がった分がそのままストレートに利益になります。変動費が一切ありませんので、売上が発生するごとにかかるコストもありません。伸びた分だけ利益になりやすいということで、44.4パーセントになっています。ちょうど昨年の4月に、私たちは東証マザーズに上場したのですが、営業利益率が高いということと、営業利益の成長が見込めるということを売りにして登場しましたので、そちらについては「きちんと証明できていますよ」ということでトラックレコードを重ねてきています。
業績サマリー(2/2) 業績進捗率
後藤:これは累積の進捗率なのですが、先ほどお伝えしたとおり、営業利益が20パーセントを超えていまして、本当だったら昨年の状況ですと上方修正を検討しなくてはならないシチュエーションだと思っています。ストック型のビジネスですから基本積み上がっていくこともあり悩んだのですが、今まで経験したことがないような、新型コロナウイルスの影響がどう出てくるのかわからないということもあり、今後も売上をもう少し伸ばしていきたいと思っているため、利益の上振れた分を多少今後の成長のために使っていきたいという思いがありまして、上方修正は行なっていません。
売上内訳
後藤:これが売上の内訳なのですが、見ていただくとモバイル向けのところが順調に伸びていまして、あと固定電話向けのところも対前四半期で153パーセント伸びています。固定電話向けは、電話機の横につけると止められますよというハードウェアが小売店に卸売することができたため、一時的に上がっているのですが、純粋なストックではないので、これは一過性のものです。
坂本:固定電話はその機械がないとブロックできないのですか?
後藤:そうです。
坂本:だから、携帯電話と比べると普及率が下がるということですね。こちらのほうが高齢者のためになるのに、ハードルは高いですね。
後藤:なかなか高いです。
坂本:「携帯で使って便利だから固定電話で使うか」という流れになればいいですね。
後藤:そうですね。なかなかご高齢の方が自らそのようなことに関心を持って進めるかというと、難しい状況もあり、あまり考えなくてもいいようなシチュエーションが作れないかと思っています。
坂本:昔だったら第ニ電電が「この機械をはめ込めば通話料が安くなります」と謳った時代がありました。そのようなものに便乗できる時代であればよかったかもしれませんが、なかなかそれも難しい時代ですね。固定の電話につける機械は、どうやってアップデートするのですか?
後藤:電話回線を通じてアップデートを行なっています。インターネット経由でのアップデートは比較的難しくないのですが、アナログ回線を使うのはハードウェア的に実は業界でもニッチなのです。
坂本:確かにそれはすごいですね。
後藤:なかなか開発には苦労したのですが、そのような電話回線でもできるというモデルになっています。
八木:現状では若いご家族等が高齢者の方を心配して家に付けるようなかたちでご提示するということになりますよね。
後藤:プレゼントや心配なので付けるということで、費用負担は若い世代の方が行なう場合がけっこうあります。
坂本:流行るといいですね。
後藤:そうですね。
2020年10月期 四半期コスト推移
後藤:細かい話になるのですが、私たちは基本的に、売上が上がってもコストはそれほど増えないというか、変わらないのです。大体これくらいのコストで推移します。今後は人をもっと増やしたいと思っていまして、やはり会社を成長させるのは人ですので、優秀な人をもっと集めたいと思っています。そのために、労務費や人件費はもう少し今後重たくなってくる可能性がありますが、人を増やさないと成長できないかというと当面では別にそのようなわけではなく、将来的な成長のために人を増やしていくということです。
広告宣伝費は第2四半期で1,100万円くらいしか使っていないのですが、やはりもっと認知を高めるためには広告活動をいろいろ行なっていかないといけないと思いますので、今後このようなところに少しお金を使っていきたいと考えています。
財務状況
後藤:財務状況はかなり安定しており、自己資本比率も70パーセント、現預金も一時的に4月頃、新聞でも大丈夫なのかという話題が社会全体でありましたが、私たち比較的現預金や支払い能力の高い状況が続いているため、状況は非常に安定している状況になっています。
通期業績見通し
後藤:通期業績見通しですが、基本的には配当予定の修正はしていませんので、今のところ通期計画売上高が12億2,700万円で、営業利益が4億6,800万円と、計画どおりにいけるだろうということでコントロールしています。
足元で少し上振れているところもありますが、まだまだどのようになっていくのかがわからない世界の状況でもありますし、多少将来のために投資をしたいということもありますので、計画どおりに達成できるように頑張りたいと考えています。
モバイル事業の成長率内訳
後藤:このスライドは毎年私たちが開示しているものなのですが、機関投資家で何度かお話しさせていただく方はこのページだけを見てご質問いただくケースもあるくらい、私たちの成長性を見る上では非常に重要なページになっていまして、もしご関心を持っていただける方がありましたら今後このページをとくによく見ていただくとわかりやすいと思います。
これはモバイル向け事業の成長の内訳を表しているグラフになっており、一番下の薄い青色が固定契約です。先ほどお話しした固定契約の売上の成長率と月間利用者数の成長率を表しています。見ていただきますと、月間利用者数はすごく伸びているのですが、当然、売上は一定なので売上高成長率は100パーセントのままです。
契約者数×単価はまだわずかに伸びており、月間利用者数×単価については、とくに2019年の第4四半期辺りから伸びだしたことが見て取れると思うのですが、こちらは先ほど言ったとおり、携帯キャリアといろいろな取り組みを行ない、提供方法を変えるなどの改善によって伸びやすい環境になったということです。
とくにこの第2四半期においてはプロモーションを一緒にさせていただいた効果が出てグッと上がったという状況です。ストックですから基本的に減ることは考えにくいかなと思ってまして、これを見ていただくと、なんとなく成長の推移が見て取れると思います。
八木:このくらいの成長というのは続いていくのでしょうか?
後藤:今年の昨対ベースで見ると、今期は月間利用者数×単価が1.8倍、2倍以上の伸びになるということを通期計画で出していまして、それくらい今年は伸びるだろうと考えています。来年以降もある程度高い成長率はオーガニックにいけるのではないかと思っています。
現状では、この月間利用者数×単価の利用者数はまだまだ少なく、実は残念ながら固定契約のお客さまが一番多いのです。そのため、ポテンシャルとしてはまだまだ大きく残されていますので、ある程度オーガニックに成長するだろうと考えています。
八木:プロモーションの仕方というものもあるわけですね。
後藤:そうですね。プロモーションの内容を簡単にお話ししておくと、ショートメールなどを送って「あなたは使えますよ」というご案内をしただけでして、なにかテレビCMをしたりタクシー広告をうったりというものではありません。今後もできればやりたいなと思っているのですが、なかなか今の状況では積極的にプロモーションしづらい部分もありますが、また機会があればどんどん大きくさせるためにやっていきたいなと思っています。
八木:さっきの私と坂本さんのようにショートメールが来たら使えるかどうか見てみようと思うわけですね。
後藤:タダだったら使ってみようということですね。
質疑応答:今後の経営戦略について
坂本:質問に進みたいと思います。今後の経営戦略について、利益率が非常に高いということなのですが、売上に関して実際に伸ばしていくのであれば、今日のお話しでいうところの単価契約の単価×契約者数を利用者×単価契約にするか「トビラフォン Cloud」に伸ばしていくこともあると思うのですが、そのほかの中長期的な成長のイメージとスパンを教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
後藤:大体3年から5年というものが1つのスパンです。一番イメージしているのは5年ですが、やはり売上高が小さいということは、私たちのサービスで満足していただいている方がまだまだ少ないのだと非常に強く思っています。そのために、今現在非常に高い利益率なのですが、今後は売上の成長をさせるために、とくに今は「トビラフォン Cloud」に注力したいと考えています。
ある程度モバイル向けや固定電話向けというものは行なうことが限られており、これは投資をしなくてもある程度増やすことができますので、行なうべきことをしっかり行なっていけばそれなりのスパンで成長できると考えています。それより先の事業を大きくさせる、唯一自分たちで努力して伸ばせるというのがこのビジネスフォン向けですので、ここに注力してもっと増やしていきたいと考えています。
質疑応答:認知度について
八木:やはり認知度というところに気になっている方がすごく多いようですので、先ほど、広告や、プロモーションについてのお話しをされていましたが、引き続き注力していく部分になっていくのでしょうか?
後藤:認知度に関しては非常に大きな2つの課題があるという認識をもっており、1つ目はサービスの認知度に関する問題で、2つ目は投資家のみなさまに対する認知度です。とくに投資家向けの認知度に関しては、今日もここにご出演させていただいたり、昨年の秋ごろからいろいろ取り組み出したりしていることから、1日の出来高は大体3倍くらいになっています。
いろいろ地道に活動してきた結果、それなりに知っていただいている方が少しずつ増えてきたと感じていまして、継続的に投資家のみなさまに知っていただけるように努力していきたいと考えていますし、サービスや会社の認知度という意味でいうとメディアへ出稿したり、このようなものをもっと積極的にやっていきたいと考えています。
八木:そうですね、やはり迷惑電話ということになるとなんとなくネットが主体だと「今から電話?」みたいな感じになってしまう方もいらっしゃるかもしれないということですよね。ただ、お話しを聞いている限りでは現状、まだまだ特殊詐欺の被害も多いですし、高い水準で止まってるということなので、その辺りも認知されたいということですよね。
後藤:そうですね。
質疑応答:「トビラフォン Cloud」について
坂本:会場からの質問は、けっこうお答えいただいたものが多くて……オフィス不要論が叫ばれており、その線でいくと、固定電話も減っていくのですかという話なのですがこれは「トビラフォン Cloud」の方で巻き取っていくというか……。
後藤:そうですね「トビラフォン Cloud」に関しては法人携帯をマーケットとして視野に入れているものでして、もちろん法人携帯はなくならないと思うのですが、全員が全員に必要があるのかというと中にはアプリでいいという方もいらっしゃるでしょうし、逆に今まで法人携帯をあえてお渡しするまでもないぐらいのレベルの方であっても、テレワークが推進されたりすると逆に必要であるということもありますから、そのような意味では代替手段の1つとして、多少そのような法人携帯の一部のシェアは狙えるのではないかと見ています。
坂本:この「トビラフォン Cloud」の営業はどのようにされているのですか?
後藤:メディアに出稿しインバウンドでお問い合わせいただくのが主要の戦略でして、事前のご質問にも新型コロナウイルスで営業を自粛しているため、私たちもいろいろな競合の分析をしているのですが、この手のサービスは比較的インバウンド戦略が多くて、私たち営業電話を止めるということも行なっていますので、基本的には問い合わせをいかにしていただけるかを主力にしており、お問い合わせをいただいた方にお電話したり、直接ご説明をさせていただいたりしていますので、これはあまり影響はないです。
坂本:あとは「トビラフォン Cloud」を現状採用されている会社はどういう業態でしょうかという、ニーズのようなものがあれば教えてください。
後藤:そうですね。実はけっこうさまざまでして、割と大企業の方が……これ一部署ということなのですが、使っていただいているというケースもありますし、あとは士業の方やフリーランスの方にとっては非常に親和性が高いのかなと思ってます。
八木:新型コロナウイルスで営業の仕方というのもほとんど変わって、会いに行くことに対してリスクだと……行く側も受け取る側も思っていると電話やこのようなZoomもそうですが、このようなかたちでの営業というのはまた増えてくるとは思うのです。そのような意味では御社にとっては新型コロナウイルスで今回テレワークが進んだことは、環境的にはどのようなものだと考えていますか?
後藤:そうですね、非常にいいタイミングでサービスを出せたと思っていまして、Zoomとかオンライン会議なんかも非常に便利で私たちも使ってるのですが、それとはまた互換関係にあるサービスだと思っています。
私たちも打ち合わせをリアルで行なったり当然オンラインで行なったりするのですが、会議はあらかじめ予定を入れておいて行なうものではないですか。電話は必要な時にすぐに掛けられますし、オンライン会議を行なってわかったのは、終わった後にそれぞれ個別で打ち合わせを電話で話すなどしていることでした。
リアルの会議も実際そうでして、終わったあとに「あの部長あんなこと言ってたんだけど」というようなものがその辺で繰り広げられるわけですけど、オンラインだとこれが電話しか環境がないので逆に使う機会が増えたり……通話料が増えてしまって大変だなと言っている方もいますが、チャンスかなとは思ってます。
質疑応答:機関投資家の関心について
坂本:あとは機関投資家の関心というのは、このページを見れば投資家の問い合わせはほぼ巻き込めるよという感じだったのですが、機関投資家の質問はどのようなものが多いのですか?
後藤:そうですね、初めてお会いする機関投資家の方はモバイル向けの成長がどういう状況なのかとか、どういうビジネスモデルなのかについては、非常に強く関心をもっていただいてますし、私たちの競争優位性は本当に続くのかというご質問をいただくことが多いです。海外の方であっても大体同じような感じでして、月間利用者数の話をしますと「そりゃすごいね」と言っていただけることが多いです。次が「トビラフォン Cloud」ですね。
坂本:「事業内容を説明してください」というようなご質問は、最近もありますか?
後藤:そうですね、まだまだありますね。
坂本:それは「このログを見てください」でいいのではないですか。
後藤:それが面白いことに見ていらっしゃった上で一応説明してくださいと言われることもけっこうあるのですよ。知らないのかなと思って一生懸命お話しをすると「いや実は書き下ろし見たのですが」と言われることがあります。基本的に、同じことしかお話ししていません。
坂本:見ている方も特別なことがあると思っていると思うのですよ、後半のミーティングで。ただ聞き方がうまいだけで基本的に話すのは同じことですからね。
後藤:フェアに情報公開しないといけないので、表情などまでどこまでできるかわかりませんが。
坂本:最近は1on1では普通会わないですよね?
後藤:会わないです。
坂本:Zoomですか? それとも電話ですか?
後藤:電話が多いですね。
坂本:電話だと表情がわからないですよね?
後藤:なぜか機関投資家のみなさま電話が多いのですよね、Zoomだったとしても顔を出さないです。こちらだけ出しているので「自分だけ出さないといけないのかな」と思いまして。
坂本:あとは問い合わせの量は最近増えましたか? 1on1本数でもいいのですが、教えてください。
後藤:大体四半期で40から50ぐらいで、私たちの平均的な数ですね。
坂本:大型株ファンドの中でのカバーはこのぐらいかという。
後藤:それでフォローしていただいている方とテーマ的に物色されてる方というのはその時々ありまして、注目してて「今はこのようなところだね」といったものがデジタル系の銘柄を探しているとかという意味で、そういうかたというのも時々バラバラですけど……。
坂本:今はまあまあのカバー率だと思います。100本という会社もあるのですが、40、50は多いと思います。
質疑応答:海外について
八木:海外の機関投資家の方も迷惑電話に関する理解ってあるのですか?
後藤:こちらについては、理解していただける方としていただけない方にけっこうわかれます。国内の環境というのはなかなか理解できないと思いますので、私たちもそこは海外の方に向けて説明をもう少し充実させたいなとは思ってるのですが。
坂本:海外の迷惑電話はあるのですか? メールは大抵スパムメールが来るのですが……。
後藤:意外と実は私たちも困っているのだという機関投資家の方がいることもあり、実際私たちが把握している限りアメリカと中国は最近増えているのですよ。
坂本:最近増えているのですか。
後藤:先進モデルなのですよ、よくない部分なのですが。
八木:もしかしたら海外進出も考えていらっしゃいますか?
後藤:海外は上場してからよく言われるのですが、もちろん狙いたいと思っています。私たちはもともとシリコンバレーに子会社もあったこともあるのですが、ちょっと優先順位を考えようということで子会社をたたみまして、今は国内に集中しているのですが、もう少し体制が整ってくれば海外向けにも取り組めるのではないかと思うのですが、まだまだ国内で行なう必要のあることが多いため「やりたいけれどもなかなか手が出せない」という状況です。ただ、チャンスはあると思っています。
坂本:キャリアをつかめば結局広がりますからね。このモデルをもっていけば、もっとでかいと自分のところのアプリをつくるということもできると思うのですが、現状ではそちらは考えていないということですね。
後藤:そうですね。データベースの仕組みというかノウハウについては基本的に流用できると思っているため、ローカルにすることもそれほど難しくはありません。