前期比増減概要(2020年3月期実績)

本間洋氏:みなさま、こんにちは。社長の本間でございます。大変お忙しいところご出席いただきまして、誠にありがとうございます。本日は新型コロナウイルス感染症の関係でこのようにオンライン方式で失礼いたします。私から2メートル以内には誰もおりませんので、マスクは取ってお話をさせていただきます。

さっそくですが、まずはじめに2020年3月期の業績についてご説明します。好調な国内事業および海外事業の規模拡大によって受注高は過去最高値を更新するとともに、売上高については創立以来31期連続で増収を達成できました。

営業利益については中期経営計画に基づく成長投資や事業構造改革がほぼ期初の予定どおりに進捗したことに加えて、事業構造改革の一環として行なった海外の一部低採算事業の見直しによる費用の増加などにより減益となっています。それでは各項目について増減の内容をセグメントごとにご説明します。

受注高 セグメント別増減(2020年3月期実績)

まずこちらが受注高の状況になります。公共・社会基盤は中央府省からの大型案件を含む複数の案件を獲得し、大幅なプラスで着地することができました。金融は前期に受注した銀行向け大型案件の反動減はありましたが、共同組織や金融機関からの公開受注などによってその一部をカバーし、期初の予定よりもマイナス幅を大幅に小さくすることができました。

法人・ソリューションは、製造業を中心に引き続き順調に受注が拡大しています。また、北米は第4四半期でも大型案件を獲得しており、引き続き好調を維持しています。EMEA・中南米についても第4四半期にスペインで大型案件の受注を大きく伸ばすことができました。

売上高 セグメント別増減(2020年3月期実績)

次に売上高の状況になります。公共・社会基盤は中央府省およびテレコム、ユーティリティ向けの売上が拡大しています。金融は幅広い金融機関のお客さまからの売上が拡大しています。法人・ソリューションは、製造業向けサービスの増収に加え、前期に行なったM&Aによる連結拡大やペイメント向けサービスの増収が続いており、引き続き好調です。

北米は円高に伴う為替の影響によって増収幅が実態よりも小さく見えていますが、前期のM&Aによる連結の拡大によって増収となっています。EMEA・中南米についても為替の影響によって増収幅が小さく見えていますが、スペインやイタリアを中心に増収となっています。

営業利益 セグメント別増減(2020年3月期実績)

次に営業利益の状況になります。公共・社会基盤は増収に伴う増益に加え、前期に比べて不採算額が減少しており増益となりました。一方、金融は第3四半期に発生した不採算案件により減益となっています。法人・ソリューションは増収によって着実に利益も積み上がっています。

北米は好調な受注に伴うセールスの費用など事業拡大に向けた費用の増加はありましたが、PMI費用の減少や前期のM&A費用による連結拡大によって前年並みとなっています。

EMEA・中南米は事業構造改革が順調に進捗し、期初に予定していた施策に加えて低採算事業の見直しを行なったことによる関連費用の増加や、ブラジルにおける一部事業の見直しに伴う一過性の費用の増加によって減益となっています。

新型コロナウイルス感染症の主な影響

次に2021年3月期についてご説明します。まず新型コロナウイルス感染症による当社への主な影響についてです。世界的な影響拡大のために現状では海外事業において事業影響の合理的な算定が大変難しい状況となっています。

しかし、私どもの主要ビジネスへの影響は小さく、受注残高からの売上やリカーリングビジネスに加え、お客さまの事業推進や社会インフラを維持するための必要なIT投資へ着実に対応していきます。

また、「Digital」などの先進案件やコンサルティングビジネス、海外事業については継続的に精査が必要ですが、今後の動向をしっかりと見極めながら影響を最小限に抑えるべく、受注の確保に向けて取り組んでいきます。

さらにアフターコロナのよりよい社会の実現に向けた事業機会が高まると想定しており、当社は「Digital」などを活用して新しい社会のシステム作りにしっかりと貢献していきたいと考えています。

2021年3月期業績予想等について

2021年3月期の業績予想については、とくに海外事業に関する合理的な算定が困難なことから現段階では未定とします。業績の影響を慎重に見極めて、合理的な算定が可能となり次第すみやかに公表させていただく予定です。

また、配当については中長期スパンでの連結キャッシュ・フロー配当性向の維持を重視し、安定的に配当を行なうという当社の配当方針に基づいて前期と同額の18円の予想としています。

アフターコロナに向けた当社の取組み

また、新型コロナウイルスの影響によってこれから社会のしくみは世界中で大きく変要していくと想定しています。私どもはこれまで培ってきた社会を支えるITインフラ構築という強みを生かし、デジタル技術を活用してアフターコロナにおけるよりよい社会の実現にしっかりと貢献していきます。

これは私どもの変わらぬ信念、企業理念そのものです。お客さまとともに未来の社会を作ることへ全社をあげて世界中で取り組んでいきます。

中期経営計画の全体像

続きまして、中期経営計画の進捗状況をご説明します。こちらが全体像をまとめたものになります。変わらぬ信念と変える勇気によって、グローバルで質の伴った成長を目指しています。

グローバルで質の伴った成長

まずはグローバルで質の伴った成長ですが、2021年度に目指す経営目標はスライドのとおりになります。

変える勇気

こちらは、目標達成に向けて取り組む戦略になります。 お客さまへの提供価値を最大化するために、変える勇気としてこれら4つの戦略を徹底的に実行しています。2019年度の進捗の状況と成果を順番にご説明していきます。なお本日は時間の関係から簡潔にご紹介します。

戦略1:グローバルデジタルオファリングの拡充

まず、戦略1のグローバルデジタルオファリングの拡充になります。狙いとしては、戦うための武器作りと戦い方のレベルアップになります。具体的には赤い文字で示している3つの施策「Global One Team」「Digital Strategy Office」「Center of Excellence」によって、グローバルとデジタルの強みを全面に出して戦っていきます。

グローバルマーケティングの加速 〜グローバル連携の強化〜

まずは「Global One Team」の取り組みについてです。グローバルマーケティングを加速するため各6つの重点領域に「Global One Team」を作り、グローバルのお客さまに対し一体となって高度なサービスを提供しています。

グローバルマーケティングの加速 〜Global One Team〜

こちらは「Telco Team」の取り組みで、グローバルなコラボレーションを発揮した「Telefonica」の事例になります。

積極投資によるオファリング創出 〜Digital Strategy Office〜

ここからは「Digital Strategy Office」によるオファリング戦略と具体的な事例をご紹介します。デジタルビジネスをさらに加速するため「DSO」という組織を作り、スライドにある重点8領域でグローバルレベルのソリューションやサービスの創出に取り組んでいます。

積極投資によるオファリング創出 〜Insurance〜

こちらは、保険領域の取り組み事例になります。グループ各社の保険ソリューションをグローバルで統合してサービスを提供しています。

積極投資によるオファリング創出 〜Healthcare〜

こちらはヘルスケア領域の取り組みで、AIを活用した画像診断ソリューションの検証をグローバルで進めています。

積極投資によるオファリング創出 〜Retail〜

こちらは小売業界向けの取り組みで、レジ無しデジタル店舗出店サービスの「Catch&Go」になります。新たに顔認証入店とダイナミックプライシングを導入し、さらに進化させており、2020年度ではお客さまとともに商用化を目指しています。

技術集約拠点(CoE)の拡充

次に、グローバルでの技術集約拠点「Center of Excellence」の取り組み状況になります。テクノロジーの知見の集約と活用をグローバルで推進するため、「CoE」という技術、集約拠点を組成し、お客さまへのデジタル化を支援しています。

技術集約拠点(CoE)の拡充 〜Blockchain〜

「Blockchain」のCoEには24ヶ国の300名を超えるメンバーが参画しています。

技術集約拠点(CoE)の拡充 〜Digital Design〜

こちらは「Digital Design」の「CoE」の取り組みになります。デザインの拠点をグローバルで共有し、お客さまの「DX」を支援しています。

技術集約拠点(CoE)の拡充 〜DevOps〜

「Dev Ops」は、当社のアジャイル開発プラットフォーム「Altemista Cloud」を中心とし、イタリアやスペイン、北米などで受注に大きく貢献しています。

技術集約拠点(CoE)の拡充 〜AI〜

2019年度に立ち上げた「AI」の「CoE」は、ユースケースの共有や技術者の育成などに取り組んでいます。

戦略2:リージョン特性に合わせたお客様への価値提供の深化

続きまして、戦略2のリージョン特性に合わせたお客さまへの価値提供の深化です。狙いとしては、お客さまに魅力的な価値を提供し続けることになります。

2019年度は各セグメントにおいて、既存のシステムの強みとデジタル技術をかけ合わせた取り組みが加速し、スライドにあるような成果が出ています。具体的な取り組みを簡単にご紹介していきます。

戦略2:リージョン特性に合わせたお客様への価値提供の深化 公共

こちらは公共社会分野の事例になります。「SI」などで培ったお客さまとの信頼関係をもとに、東京電力などとともにラボを基点とした競争を推進する「Grid Data Bank Lab.」を設立しています。

戦略2:リージョン特性に合わせたお客様への価値提供の深化 金融

こちらは金融分野の事例で、全銀システムになります。デジタル技術などを活用した開発プロセス変革などの工夫を行ない、無事に公開を完遂しています。

戦略2:リージョン特性に合わせたお客様への価値提供の深化 法人

次に法人ソリューション分野の事例になります。2019年度にキャッシュレス決済総合プラットフォーム「CAFIS」のコード決済ゲートウェイの提供を開始しています。現在、1万を超える店舗でご利用いただいています。

戦略2:リージョン特性に合わせたお客様への価値提供の深化 北米①

続きまして、北米の戦略のご紹介になります。北米ではオファリングの選択と集中によって、サービスの高度化、効率化に注力していきました。

戦略2:リージョン特性に合わせたお客様への価値提供の深化 北米②

こちらは具体的な事例になります。米国のオクラホマ州政府からIoTおよびコンサルティングサービスの新規の大型案件を受注しています。

戦略2:リージョン特性に合わせたお客様への価値提供の深化 北米③

こちらも同じく大型アウトソーシングの事例になります。米国の大手化学メーカーにデジタル技術を活用したダイナミック・ワークプレイスサービスの提供を開始しています。

戦略2:リージョン特性に合わせたお客様への価値提供の深化 欧州①

続きまして、EMEA・中南米の戦略のご紹介になります。既存の強みとデジタル投資をかけ合わせて売上高を拡大し、また事業構造改革による効率化を実現しています。

戦略2:リージョン特性に合わせたお客様への価値提供の深化 欧州②

こちらは具体的な取り組み事例になります。everisが大手のガス・電力会社のNaturgyと大型アウトソーシング契約を締結しています。

戦略2:リージョン特性に合わせたお客様への価値提供の深化 欧州③

こちらはNTT DATA EMEAとAGの連携によって、ドイツ鉄道と大型のSAP導入サービスを受注しています。コンサルティングからアプリケーション開発まで一貫して「SAP S/4HANA」を最大限活用し、グループ一体となってお客さまのDXを推進していきます。

戦略3:グローバル全社員の力を高めた組織力の最大化①

続きまして、こちらは戦略3のグローバル全社員の力を高めた組織力の最大化になります。狙いとしては、社員1人1人のデジタル対応力やグローバル対応力の強化、組織力の強化になります。

こちらが当社が定義しているデジタル経済像になります。技術の知識の深さによって3つに分類しています。私どもはデジタル活用人材の100パーセント化を目指しています。

戦略3:グローバル全社員の力を高めた組織力の最大化②

その目標に向けて、2019年度は人材育成プログラムや制度変更など多様な施策を整備し、実行していきました。今後も引き続き社員1人1人のデジタル対応力とグローバル対応力の強化を推進、加速していきます。

戦略3:グローバル全社員の力を高めた組織力の最大化③

また、デジタルを活用した働き方変革として、グローバルで知見やノウハウを共有できる最先端の仕組みを導入し、多数の提案活動やノウハウの展開に活用しています。

NTTグループ連携の強化 〜コネクティッドカー〜

次はNTTグループ連携の強化になります。こちらはトヨタの事例になります。これまでコネクティッドカーに関連してAI、IoT、ビッグデータ解析などで共同研究を実施してきました。また、モビリティーサービスのグローバル展開に向けてトヨタコネクティッドとの業務提携を実施しています。

さらにスマートシティ構想へもNTTグループ一体となって積極的に取り組んでいきます。

NTTグループ連携の強化 〜交通安全ソリューション〜

こちらは海外で取り組んでいる事例になります。NTT DATA Servicesですが、One NTT Teamの一員として、プライムSIで参画し、NTTリミテッドと連携しながらラスベガス市でスマートシティのサービスを提供しています。

変わらぬ信念

次に、私どもの変わらぬ信念になります。中期経営計画ではESG経営でSDGs達成に貢献することを掲げています。お客さまとともに未来の社会を作るため、お客さまとの「Long-Term Relationships」に基づく価値創造を通じ、SDGs達成に貢献して企業価値を持続的に向上していきます。

変わらぬ信念:ESG重要課題

2019年度に12項目のESG重要課題を策定しています。事業を通じた社会貢献と企業活動を通じた社会貢献の両方を推進していきます。

変わらぬ信念:事業を通じた社会貢献 〜遠隔医療ソリューション〜

ここから事業を通じた社会貢献の事例を簡単にご紹介します。まずは昨年、新型コロナウイルス感染症が世界中に広がる中、とくに感染拡大が著しい北米や欧州において医療機関へ遠隔医療ソリューションを提供しています。

変わらぬ信念:事業を通じた社会貢献 〜COTO LABO〜

こちらは、iPS細胞などを取り扱う次世代ラボの提供を目指して、8社でコンソーシアムを設立した事例になります。

変わらぬ信念:事業を通じた社会貢献 〜WinActorⓇ〜

こちらはRPAソリューションの「Win Actor」になります。お客さまの働き方変革を実現するためのソリューションとして全社横断で普及展開に取り組み、現在約3,000社のお客さまにご利用いただいています。

変わらぬ信念:事業を通じた社会貢献 〜AW3DⓇ〜

こちらは世界最高精度のデジタル3D地図を提供する「AW3D」になります。世界130ヶ国でインフラ整備や自然災害対策などの幅広い分野で活用されています。

変わらぬ信念:企業活動を通じた社会貢献 〜気候変動への対応〜

こちらは企業活動を通じた社会貢献の事例となります。気候変動問題への対応はこれまでより1段、2段上を目指して取り組んでいきます。今年度はSBT認定取得と、TCFD提言への賛同目標を掲げています。

変わらぬ信念:企業活動を通じた社会貢献 〜AI指針〜

ガバナンス面においては、NTTデータグループ共通の「AI指針」を策定しています。

個別重要課題:不採算案件抑止施策

最後に個別重要課題への対応についてご説明します。まず不採算案件の抑止になりますが、今後もさらなる抑止強化が課題であると考えています。

2019年度は提案前の初期段階における第三者チェックの実施などに取り組んでいきました。今後も継続的に施策の強化に取り組んでいきます。

個別重要課題:海外事業の収益性向上(事業構造改革)

続きまして、海外事業の収益性向上に向けた取り組みとなります。北米と欧州の収益性を高めるため、事業構造改革を実行してきました。具体的には人材の拡充やリスキルといったコンサルティング、デジタル領域の強化や、採算性が低い事業の整理といった一部のビジネス見直しに取り組んできました。これらの施策の効果を見極めながら、引き続き収益性の向上を目指していきます。

2020年3月期の主な取り組み

以降はセグメントごとのトピックスや数値情報などを記載していますので、ご説明のは省略したいと思います。私のプレゼンテーションは以上とさせていただきます。ご清聴、誠にありがとうございました。