2019年度 連結決算の状況
澤田純氏:澤田です。お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。決算のご紹介の前に、このたび新型コロナウイルスに罹患された方々等、生活に影響を受けていらっしゃる方々に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。
実はNTTグループも多くの社員が新型コロナウイルスに罹患しています。1日も早い回復をお祈りするとともに、世界各国におけるこの感染症の流行が一刻も早く収まることを祈っています。
それでは、資料に沿ってご説明します。4ページをご覧ください。2020年3月期の連結決算の状況です。営業収益増収、営業利益減益、当期利益増益、業績予想に対しすべて達成という状況で、とくに営業収益は3期連続の増収であり、過去最高を更新しています。営業利益ですが、docomoのモバイル通信サービス収入減や、海外事業におけるグローバル再編に関わるコスト増などにより減益です。
当期利益は営業利益の減益はありますが、Ennet連結子会社側のサインの評価益等により、対前年でわずかに増益です。EPSは自己株買もあったため、11円ほどのプラス、海外売上高は2.9パーセント増ですが、こちらは為替の影響が770億円あったことから、収入側はかなり好調になっています。
一方、利益側ですが、NTTデータのブラジルにおける外部環境の変化に伴う事業見直し、あるいは将来の費用負担、軽減のための減損、高付加価値サービスへのシフト化の遅れも見られまして、165億円の減というかたちになっている状況です。
この2019年度における新型コロナウイルスの感染拡大の影響については、すでに北米アジア中心に新規のSI受注減が発生しており、若干の減益影響も出ています。一方で、国内販売側はコスト減などの増益の要素もあり、トータルでは連結全体に与える影響は軽微という状況です。
2019年度 セグメント別の状況
上段が営業収益のセグメント別の状況です。増収になっているのがデータ通信事業とその他事業のセグメントです。その他事業はEnnetの連結化、データ通信事業は受注の好調を背景にしています。下段が営業利益ですが、移動通信事業セグメントは新料金プランの影響に加えて端末の販売減等もあり、対前年で減益というかたちになっています。地域通信事業セグメントは、2018年度に実施した、メタルケーブル還元損がなくなることにより、増益が見られています。長距離・国際通信事業セグメントは、国内側では好調、海外側でグローバルサイエンスコストなどの増が対前年マイナス要素になっているのですが、対前年トータルでは34億円の増益になっています。
データ通信セグメントは、昨日のデータの発表のとおり、国内外のビジネス規模拡大により収入は堅調なのですが、中南米の事業構造改革費用およびブラジルにおける事業見直しのため、対前年で減益となっています。
2020年度の業績予想等
2020年度の業績予想と株主還元ですが、とくに海外において新規SI受注に影響が来ると考えています。また、端末も含めた各種サービス販売にも影響が出ると想定されます。5月末に、緊急事態宣言が解除されるかもしれませんが、その第二波が来る可能性等もあり、いつまでこのような状態が続くかが大きく収入に影響を与えると考えています。
そのような意味で、影響学を合理的に算定できないということで、現時点での業績予想は見送ることとしました。ただし、影響額を合理的に算定可能となった時点で、すみやかに開示したいと考えています。
配当についてですが、現在、新型コロナウイルスに対応し、お客さま向けにもいろいろな無償化や、支払い猶予などの還元策や対応策をとっており、あらゆるステークホルダーの皆さまに配慮したさまざまな取り組みを実施したいと考えています。また、そももも私どもは、継続的な増配を株主還元の基本的な考え方に置いていますので、2020年3月期は当期利益がわずかながらプラスになっていますので、5円増配をしたいと考えています。
これによりまして、10期連続の増配当となります。事業計画に関しては、このような状況ですが、少し簡単にトピックスの資料を用意しています。
新型コロナウイルスに対する主な取組み(1/2)
新型コロナウイルスに対する主な取組みとして、通信サービスの安定的な提供の確保と、お客さまの支援施策の実施が挙げられます。このなかでとくに5月1日から、特別定額給付金支給業務をサポートするために、RPAを使った自動化ソリューションを無償で提供しています。現在、128自治体でご利用のお申し出をいただいています。
新型コロナウイルスに対する主な取組み(2/2)
9ページには、教育分野における支援施策をピックアップしています。学生に向けては、これはとくに学生に限らないのですが、25歳以下のお客さまのデータ通信パケットの追加分を無償提供するという施策を展開しています。東日本においては、一番上に載せてある学校のオンライン教育環境を新たに整備・維持する費用を一定期間無償化でご提供しようという施策を展開しています。
アフターコロナに向けて
先ほどお伝えしたものがwithコロナだとすれば、10ページはアフターコロナに向けた施策です。ソーシャルディスタンスの確保継続として、とくにリモート型社会への定着に向けたいろいろなサービスです。行政手続きについてもオンライン化推進をお手伝いしています。また、セキュリティソリューションの提供を行ないます。
次に、DXで、とくに農業や建設業・製造業において、おそらくリモート化が必要になると思いますので、このようなところに注力して、人手不足解消にも貢献していきたいと考えています。
おそらく今後、経済のブロック化が進んでいくと思いますが、サプライチェーンも国内回帰しますので、三菱商事ともコネクテッドバリューチェーンの検討をいま行っていますが、そのような部分の構築を支援します。自らがリードする、beyond 5Gについても、国内回帰を考慮し、さらに経済安全保障の観点緩和、さらに自らが再生可能エネルギーをより使うようにしていきたいと考えています。
中期経営戦略の進捗について
11ページは中期経営戦略の進捗です。個々の説明は割愛しますが、2点ほどピックアップしてご説明します。1つは、B2B2Xプロジェクトが中期でスタートしたときは13プロジェクトでしたが、現在は66プロジェクトまで増えています。2021年度の目標を100プロジェクトとしていますが、順調に拡大しつつあります。2つ目は一番下に記載してあるとおり、独立社外取締役比率を50パーセントに上げます。執行役員制度を導入することで、取締役会の活性化と人数の減を実現しています。
環境エネルギーに関する取組み
環境エネルギービジョンです。目標としては「環境負荷ゼロ」を掲げています。まずグリーン電力を現在4.5パーセント使用していますが、それを10年後の2030年までに30パーセント以上自らが使うということです。当社は年間、世界で101億キロワットアワーを使っています。かなりの量なのですが、その30パーセントを再生可能エネルギーにし、さらにはSBT、あるいはTCFDのようなディスクロージャーのスポーツにも賛同し、グリーンボンドの発行をしていきたいと考えています。
大きな2点目は、ICT技術が社会の環境負荷を低減できるということで、テレワークを定着させ、サプライチェーンの電子化をしていくことや、プラスチックの利用削減、さらにはベンチャーが確立した光発電素子技術でガラスも遮熱・発電できるようなものを普及、導入したいと思っています。
今日発表しましたが、7月に、新しく環境系の研究所を設立します。光合成や、雷などいろいろな研究を行なうのですが、そのなかの1つにITER機構(国際核融合エネルギー機構)と包括連携協定の締結があります。これは7ヶ国が賛同して2025年にファストプラズマを動かすということで、核融合において、実験炉のマネージメント・管理・コントロールをIOWNの技術を使って行なうという包括連携協定になっています。これは日本企業に限らず、民間と締結するのは、ITERも初めてだということです。
このようなかたちで将来の低消費電力のインフラの構築と合わせて環境負荷ゼロに向かって取り組んでいきたいと考えています。
(参考)中期経営戦略の進捗
最後に中期経営戦略の数字の状況です。おおむね想定どおりの進捗となっています。私からの説明は以上です。ありがとうございます。