2020年3月期 業績ハイライト(前期比)
安達雅彦氏:おはようございます。TIS株式会社の安達でございます。本日は当社決算説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。今回は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、会場を用意しての開催は見合わせました。電話会議の形式ですが、みなさまとのコミュニケーションをしっかり取れるよう努めていきます。ご理解のほどよろしくお願いいたします。
私から2020年3月期の業績概要および2021年3月期業績見通し、株主還元の3点についてご説明します。4ページをご覧ください。2020年3月期業績の概要です。IT投資の拡大を背景に事業拡大および収益性向上が継続し、前期比増収増益となり、当社グループの最高業績を更新しました。
売上高は前期比5.5パーセント増の4,437億円となりました。営業利益は前期比17.9パーセント増の448億円となり、営業利益率は10.1パーセントに向上しました。親会社株主に帰属する当期純利益も大きく増加し、前期比13パーセント増の294億円となりました。ROEも収益性向上にともなって前期の11.5パーセントから1ポイント上昇し、12.5パーセントとなりました。この結果、すべての指標において中期経営計画の最終年度の計画値を1年前倒しで達成しました。
なお、通期で特別利益106億円、特別損失121億円を計上しましたが、特別利益の主な内容は、投資有価証券売却益の69億円および固定資産売却益31億円です。特別損失の主な内容は、第2四半期決算でご説明した当社グループの次世代オフィス関連41億円と、Sequentの子会社化にともなうのれんの減損損失22億円です。また、2020年3月期業績についての新型コロナウイルス感染症の影響はほとんどなかったと考えています。
2020年3月期 主要セグメント別損益状況(前期比)
6ページは主要セグメント別の損益状況です。サービスITは決済関連ビジネスの拡大を中心に、売上高は前期比6.7パーセント増の1,255億円と好調に推移しました。一方、営業利益については事業強化のための先行投資費用の増加に加え、プラットフォーム事業のさらなる強化に向けた戦略見直しに伴う損失計上が影響し、前期比3.8パーセント減の81億円となりました。
BPOの売上高は前期に実施した子会社売却の影響により前期比7パーセント減の336億円となりましたが、営業利益は収益性改善が進み、前期比42.2パーセント増の26億円となりました。
金融ITは、期初想定でも織り込んでいるクレジットカード系の大型開発案件の反動減の影響があったものの、根幹先顧客におけるIT投資拡大の動き等がそれを吸収し、好調に推移しました。売上高は前期比7.6パーセント増の1,144億円、営業利益は前期比16.7パーセント増の149億円となりました。
産業ITは、製造業系の根幹先顧客やエネルギー系をはじめとする幅広い顧客のIT投資拡大の動き等により、売上高は前期比6.9パーセント増の2,027億円、営業利益は前期比29.7パーセント増の191億円となりました。とくに営業利益率はサービスIT以外の3セグメントで中計最終年度の目標を上回った結果、全体の10パーセント達成をもたらしました。
2020年3月期 主要セグメント別損益状況(計画比)
7ページはセグメント別の計画比です。ご覧のとおり主要セグメントすべてで上期決算のときに見直した修正計画を上回ることができました。
2020年3月期 営業利益要因別増減分析(前期比)
8ページは営業利益要因別増減です。2020年3月期は、構造転換推進のための先行投資コストやブランド戦略コストなど、積極的な先行投資を続けながらも営業増益を実現しました。増収効果と収益性改善を合わせた売上総利益は前期比で111億円増加し、その結果、売上総利益率は23.9パーセントまで高まりました。当期の不採算案件は通期で約15億円の結果であり、目標である開発損失率0.8パーセント、金額ベースで18億円の範囲内におさえることができました。
(参考)2020年3月期第4四半期(1–3月) 業績ハイライト・主要セグメント別損益
10ページは2020年3月期第4四半期の業績です。直近の第4四半期3ヶ月の業績も好調に推移したと考えています。
2020年3月期 顧客業種別売上高
12ページは顧客業種別の売上高の状況です。第3四半期までと傾向は大きく変わっていません。2020年3月期についてはほぼすべての業種で増収であり、好調でした。
2020年3月期 受注状況(ソフトウェア開発)
13ページはソフトウェア開発にかかる受注状況です。当期受注高は前期比3.4パーセント増、期末受注残高は前期比4.9パーセント増となりました。第4四半期の受注高は前年同期と同じく700億円を超える高い水準に積み上がりました。産業ITは、中堅中小企業の景況感悪化を受けてIT投資抑制の傾向が見られましたが、サービスIT、金融ITは大きく増加しています。
2020年3月期 受注状況(全体)
14ページは運用等にかかる受注を含む全体の受注状況です。当期受注高、期末受注残高ともに前期を上回る水準を確保でき、好調に推移したと考えています。
2020年3月期 貸借対照表、キャッシュ・フローの状況
15ページは貸借対照表とキャッシュ・フローの状況です。積極的な成長投資を行なう一方、政策保有株式や不動産等の資産圧縮を引き続き推進しました。期末時点ではネットキャッシュの状態で自己資本比率も63パーセントありますので、財務健全性をしっかり確保できていると認識しています。以上が2020年3月期実績に関するご説明となります。
外部環境の認識
続いて、2021年3月期の業績見通しについてご説明します。残念ながら、新しい期は我々も新型コロナウイルス感染症拡大の影響を避けられず、影響が出てくることは止むを得ないと考えています。
17ページは外部環境の認識です。当社グループを取り巻く外部環境は、今お伝えしたように、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により先行きは不透明になっています。短期的には、経済活動の停滞や企業業績の悪化に伴い、IT投資抑制の動きが強まるものと予測しています。天気マークはここ数年晴れをつけることが多かったのですが、当面の見立てとして曇りで一部に雨を付けました。
サービスITの外部環境ですが、DX需要やキャッシュレスの流れは基本的には揺るがないものと思います。またクラウド等サービスとしてのIT需要が強まる傾向もあり、曇りの中で少し晴れ間も期待できるのではないかと思っています。ただ、例えばERPでは、製造業を中心に基幹更改タイミング先送りなどの懸念も出ている状況です。
金融ITについては、決済等の重要な社会インフラを支える事業という点において底堅い需要があります。一方、産業ITは新たなIT投資を控える傾向がすでに強まってきているため、状況に差があると考えています。ただし、長期的に見れば顧客がデジタル経営を志向する流れは変わらず、IT投資拡大の傾向は不変だと考えています。新型コロナウイルス感染症拡大が収束すれば、IT投資の加速も期待されます。あくまで短期的な環境が厳しいだろうという見方をしています。
2021年3月期業績予想の前提条件 ~新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受けて~
18ページでは業績予想の前提についてお示ししています。現時点では、新型コロナウイルス感染症拡大の収束時期を合理的に見通すことができないため、確度の高い業績予想を算出することは困難な状況です。したがって、2021年3月期の業績予想は「新型コロナウイルス感染症拡大の影響が第2四半期中から収束に向かい、経済活動が徐々に回復し、第3四半期から当社グループの事業環境が正常化」するという仮定のもと算出しています。この新型コロナウイルス感染症拡大の収束状況等によっては、今後業績予想を変更する可能性がある点はご理解いただきたいと思います。
なお、当社グループの事業はお客さまへの日々の業務提供を通じて社会インフラを支える重要なものと認識しています。重要な社会インフラを支える使命と社員の安全確保の両立を前提に、すでに事業継続計画に基づき、各事業所データセンター等で衛生対策の強化を行なう等、感染症の発生レベルに応じたさまざまな対策を講じ、可能な限りの体制を整えています。
2021年3月期 業績予想ハイライト
19ページは2021年3月期の業績予想です。先ほどご説明したとおり、当第2四半期までは新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けると想定し、売上高は前期比0.8パーセント減収の4,400億円を見込んでいます。営業利益も前期比1.9パーセント減益の440億円の見込みですが、収益性を重視する経営方針は堅持する方針であり、営業利益率は10パーセントを維持したいと考えています。
2021年3月期 主要セグメント別損益状況(予想)
20ページはセグメント別の業績予想です。先ほどお伝えした外部環境の影響を受けることになりますが、その中でも産業ITが一番受けると見ています。製造業や中堅中小企業のIT投資抑制の影響を想定し、前期比で減収減益の計画としています。一方、サービスITは決済ビジネス、クラウド等のIT投資ニーズを取り込み、前期比で増収増益を見込んでいます。また金融ITは、社会インフラを支える事業として底堅い需要があり、前期比で増収増益を見込んでいます。
2021年3月期 営業利益要因別増減分析(予想)
21ページは営業利益要因別増減分析です。構造転換推進のための先行投資等に資することを継続する一方、生産性向上施策も継続していきます。また、本社機能高度化プロジェクト「G20」によるコスト削減効果約10億円に加え、コストコントロール強化していく方針です。
厳しい事業環境に加え、不要不急の経費抑制など、コスト抑制もすでに指示を出しており、業績予想に織り込んでいます。不採算案件については中計目標としていた10億円以内を目標に、抑制に向けた取り組みを徹底していきます。このような状況だからこそ、より一層引き締めていきます。新規連結子会社影響等を除く実勢ベースでは、営業利益は前期並みの水準を維持したいと考えています。
株主還元の状況
最後に株主還元についてご説明します。2019年3月期もそうでしたが、2020年3月期は業績が好調に推移し、計画を上回って着地したことを受け、1株当たり配当金を10円増やし、90円とする予定としました。これにより、総還元性向は目安である40パーセントとほぼ同じ39.8パーセントになります。また2021年3月期についても、中期経営計画で掲げた基本方針に則り、総還元性向40パーセント、配当性向30パーセントを目安とした株主還元を行ないます。
1株当たり年間配当金は1対3の株式分割後となり35円、総額30億3,000万円の自己株式取得を行なうこととしました。1株当たり年間配当金は前期を1対3の株式分割後の値に換算すると、前期比プラス5円の実質増配となります。以上で私からの説明を終了します。
重要な経営指標(KPI)の進捗状況
桑野徹氏:あらためまして、本日は当社の決算説明会にご参加いただきまして誠にありがとうございます。みなさまと直接お会いできないのは非常に残念ではありますが、どうぞよろしくお願いいたします。
私から中期経営計画の進捗状況についてご説明します。まず28ページの重要な経営指標(KPI)の進捗状況です。安達からの業績説明でも触れましたが、2020年3月期の中期経営計画における4つのKPIになります。戦略ドメイン比率50パーセント、営業利益430億円、営業利益率10パーセント、ROE12パーセントのすべてについて1年前倒しで達成することができました。
もちろん事業環境の良さも追い風になったとは思いますが、事業持株会社体制に移行後、グループ一体経営が加速したこと、また人材投資等利益成長の全循環が進んできたことの2つが大きな要因だと考えています。
中期経営計画への取り組み 2020年3月期の全体総括
29ページは2020年3月期の全体総括を掲載しています。全体としては引き続き順調に進捗したと考えていますが、事業拡大・構造転換のための積極的な先行投資のみ三角としています。戦略ドメイン比率は50パーセントの1年前倒し達成や、決済関連ビジネスを中心としたサービス型ビジネスの拡大という点では、我々が目指す事業拡大、構造転換はしっかりと進んでいるわけですが、先の展開を見据え、積極的な投資先行フェーズにあることから、収益性の面で引き続き課題があることを踏まえた結果となっています。
それ以外の4つは丸にしています。このうち、収益性向上のための施策推進・事業ポートフォリオの見直しについて、売上総利益率が23.9パーセントまで向上したように、さまざまな取り組みの成果がしっかりと現れていると考えています。また、ASEANトップクラスのIT企業連合体を目指した成長戦略の推進、働きがい向上と人材マネジメントの高度化、グループ経営の高度化・効率化の実現の3つについても、それぞれ着実に進展したことからマルとしています。こうした取り組みについては、後ほどご紹介したいと思います。
2021年3月期 グループ経営方針
30ページは中期経営計画の最終年度となります。今年度2021年3月期のグループ経営方針を掲載しています。不確実性が高まっている状況ではありますが、グループ一体経営をさらに進化させながら、我々の目指すスピード感ある構造転換と企業価値の向上の実現に向け、引き続き力強く進めていきたいと思います。
中期経営計画への取り組み(トピックス) ①構造転換戦略–1
中期経営計画への進捗状況に関連するトピックスをご紹介します。まず31ページをご覧ください。構造転換戦略からKPIに掲げていました戦略ドメインの状況です。根幹先顧客向けのビジネス拡大による、SPBの伸長やサービス型ビジネスの拡大を通じたIOSの伸長を中心として、繰り返しにはなりますが、2020年3月期の戦略ドメイン比率は50パーセントに到達し、中期経営計画の計画を1年前倒しで達成しました。構造転換がスピード感を伴って進んでいることがお分かりいただけると思います。
中期経営計画への取り組み(トピックス) ①構造転換戦略–2
32ページはサービス型ビジネスの状況です。引き続き成長エンジンの中核に位置付けるセグメントが牽引役となり、売上高が中期経営計画の計画値を上回るなど、順調に伸長しています。
一方、先ほど申し上げましたとおり、収益性は、例えばクレジットSaaSが次期中期経営計画期間中でのサービスインに向けた準備構築段階にあるなど、今は投資が先行するフェーズにあるため、まだまだの状況にありますが、取り組み自体は着実に進展しています。将来的に当社グループの成長を牽引するビジネスになるという見方に変わりはありません。
中期経営計画への取り組み(トピックス) ②決済事業戦略
33ページの決済事業戦略についてです。昨年の12月に開催した事業説明会においてもいろいろとご説明しましたが、我々が長年培ってきたクレジットカード分野の技術やノウハウの強みを最大限に生かし、グループの成長エンジンとして決済事業に積極的に取り組んでいます。2020年3月期の売上高は約225億円となり、1年前の2019年3月期の1.5倍に成長するなど、その取り組みは着実に進展し、数字にも現れています。
デジタル口座サービスについては、クレジットSaaSが次期中期経営計画期間中でのサービスインに向けて着実に伸展しているほか、デビットSaaSやプリペイドSaaSのキャッシュレス決済拡大の流れの中で、トランザクションの増加など順調に需要が拡大しています。加えてデジタルウォレットサービスは、「MUFG Wallet」「TOYOTA Wallet」への提供のほか、決済やカード情報をセキュアに格納する重要技術です。トークナイゼーション技術を持つアメリカのフィンテック企業であるSequent Softwareの連結子会社化と、2020年3月期は事業展開が加速し、大きな手応えを感じた1年だと思います。
中期経営計画への取り組み(トピックス) ③海外事業戦略–1
34ページからは海外事業戦略について述べています。ASEANトップクラスのIT企業連合体の組成に向け、2020年3月期も既存の出資先の関係強化や複数の有力パートナーのグループ会社化、新たな資本業務提携等を積極的に推進し、事業基盤をさらに拡充します。アライアンスを通じた総合力を生かし、プラットフォームサービスの共同展開が展望できるようになど、飛躍的な事業拡大フェーズに差し掛かったと考えています。
中期経営計画への取り組み(トピックス) ③海外事業戦略–2
35ページで紹介していますASEANトップクラスのスーパーアプリを展開するGrab Holdings Inc.との資本・業務提携は、今お伝えしたことの象徴的な事例になるのではないかと思います。日本のITサービス企業で、Grab Holdings Inc.とこうした関係を持つことができているのは、現時点ではTISのみと聞いています。我々は決済における豊富な実績やITノウハウ、またASEAN各国に現地の有力パートナーとの資本業務提携を通じたネットワーク網を構築していることなどを評価いただいたからこそであり、我々としても非常に心強いパートナーを得たと考えています。
東南アジアで普及の進むデジタルペイメントの安全なインフラ強化や、新たな決済技術の開発の共同推進など、Grab Holdings Inc.との協議はすでに何度も行なっており、協業内容は具体化してきています。ただ、先方との関係もあり、現時点ではその内容をお伝えすることはできません。状況が整ったものから順次発表していきますので、今後の展開にご期待いただければと思います。
中期経営計画への取り組み(トピックス) ④経営高度化・効率化戦略 コーポレートブランドの強化
37ページに経営高度化・効率化戦略をお示ししています。ここではコーポレートブランドの強化をご紹介します。2020年3月期下期から戦略的なブランド活動を強力に推進することとしています。みなさまもご覧になったかと思いますが、今年の2月から3月にかけて、当社グループとしては初めてとなるテレビCMの展開等を実施してきました。その結果、さっそく認知度の向上や採用面での効果が得られ、第一段階としての手応えは感じています。ですが、ブランドは一朝一夕に構築できるものではありませんので、今後も「ビジネス機会の拡大」「人材採用力の向上」「働く誇りの向上」の獲得に向けて、戦略的なブランド投資を継続していきます。
中期経営計画への取り組み(トピックス) ⑤人財戦略
38ページは人財戦略です。以前からお伝えしていますが、人財は、我々にとってもっとも重要な経営資源であり、将来の我々の企業価値向上を支える基盤です。そのため、人財戦略は引き続き強力に推進しています。このページに記載しているとおり、個々の施策も積極的に推進しており、それに連れて外部評価も得られてきています。
こうしたことからも、「社員の自己実現」を促進する取り組みは着実に進展していると考えています。何より、この中期経営計画のKPIを1年前倒しで達成できたのは、職場環境や制度、施策の向上といった取り組みに対し、社員の一人ひとりが応え、意識の変化やパフォーマンスの向上に努めた結果だと考えています。
まだまだ取り組むべきテーマが多くあることには変わりませんが、働きがいの向上と人材マネジメントの強化が新たな活力を生み、構造転換の推進等のイノベーションの創出につながります。それが原動力になって我々の企業価値の向上につながると信じています。引き続き緩めることなく、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。
すでにご案内しました来春解説予定の豊洲のオフィスも、もっとも重要な経営資源である人財というソフトを支えるカードとして大きな意味を持つと考えており、その有効活用によって社員の働きがい向上や、イノベーティブな風土の醸成がさらに加速すると期待しています。
中期経営計画への取り組み(トピックス) ⑥投資戦略
中期経営計画の進捗状況に関連しますトピックスの最後として、投資戦略の状況を39ページにまとめています。この2年間で着実な利益成長を実現する中、構造転換推進のための成長投資についてもしっかりと実施することができたと考えています。とくに新サービス創出のためのソフトウェア投資は、この2年間で当初計画の170億円を上回っており、その取り組みが加速しています。
現在、経済環境が大きく変わってきており、利益と投資の舵取りのバランスがより一層難しい局面になってきましたが、将来を見据えた成長投資を止めることはせず、引き続き積極的に実施する方針に変わりはありません。こうした状況を踏まえ、個々の投資については慎重にその内容を見極めて判断したいと考えています。
さらなる企業価値向上を目指して
あらためて、2020年3月期は中期経営計画の4つのKPIのすべてを達成するという、大きな成果を得られた1年であったと考えています。ただ、これに満足することなく、今後も引き続き施策を着実に遂行することで、構造転換を推進し、持続的な成長を通じてグループビジョン2026の実現、ひいてはさらなる企業価値の向上の実現を目指していきます。
そうした中、今は新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、先行きが非常に不透明な状況にあります。良好な事業環境という追い風のあったこれまでとは違うからこそ、これまで取り組んできたことの真価が問われる局面が訪れたとも考えています。我々は強固な経営基盤をベースとして、厳しい環境にもしなやかに向き合い、迅速果敢な経営判断を行なうことで、しっかりと乗り越えていきたいと思っています。それが可能なだけの力を我々のグループは備えていると確信しています。
社会価値と経済価値の両立に向けて
一方、41ページにありますように、新型コロナウイルス感染症拡大を契機として、社会全体の在り方が大きく変化していくことは不可逆な事象であると言っても過言ではないと思います。「ニューノーマル」を見据えて企業のみならず、社会全体のDX化が求められるようになり、デジタルシフトがさらに急速に進展するのではないかと思います。
こうした中で我々は、テレビCMでもお示しした「ITで、社会の願いを叶えよう」というキャッチコピーのとおり、デジタル技術を駆使したムーバーとして、社会に果たすべく役割の大きさをあらためて認識し、社会課題に正対し、その解決をリードする企業へと変革していくことが重要であると考えています。そして、その変革の先には大きなビジネスチャンスが待っています。引き続きグループ一体経営のもと、持続的な成長と企業価値向上に邁進していきます。以上でご説明を終了します。