2020年9月期第1四半期の連結売上高
小椋一宏氏(以下、小椋):こんにちは、小椋と申します。本日はお忙しいなかお集まりいただきましてありがとうございます。
当社の第1四半期の決算説明会です。第1四半期の結果について私から説明したいと思います。
本日は四半期決算のお話、業績見通しのお話、成長戦略のお話をした後に、会社の概要、サービスの概要等について触れさせていただければと思っています。
まず、第1四半期の決算業績です。
HENNGE One事業の売上は前年同期比26.4パーセント増、1億8,000万円増加となりました。一方でプロフェッショナル・サービス及びその他事業はマイナス12.4パーセントで、2,000万円減となりました。
合計した実績としては、全社で20.5パーセント増、1億6,000万円増加となりました。売上の状況でした。
2020年9月期第1四半期の連結業績サマリー
業績サマリーです。以上の結果により売上高が前年同期比20.5パーセント増となった一方で、販管費及び一般管理費は36.5パーセント増となりました。結果、純利益は500万円の赤字となりました。
2020年9月期第1四半期の売上総利益
売上総利益です。「当社は高い粗利率が特徴である」とご説明してまいりましたが、当四半期も前年同期比0.1ポイント増加して売上総利益率は81.2パーセントとなりました。
依然として高い限界利益率を継続できていると考えています。額にすると1億3,000万円の増加、率にすると20.7パーセントの増加となりました。
2020年9月期第1四半期の当期純利益
将来成長のために費用を積極投資する方針によって第1四半期に積極的な費用の投下を行った結果、販管費率は前年同期比9.5ポイント増の81.5パーセントとなりました。
結果として親会社株主に帰属する当期純利益は4,700万円の減益となりました。
2020年9月期第1四半期の営業費用の構造(対前年同期比)
営業費用の内訳についてコメントします。対前年同期比と対前四半期比の2種類でご説明します。
まず、対前年同期比についてご説明します。上からご説明します。その他販管費は売上高の26.7パーセントを占めていて、前年同期比で7.7ポイント増となっています。
オフィス増床や上場に伴う一過性費用が約4,000万円計上されたことや、営業・採用強化活動に伴い、旅費交通費、採用教育費等が増加しました。
また、地代家賃は、将来の人員増を見越した本社やブランチ・オフィスの増床により、前年同期比では2倍強となりました。
広告宣伝費は、売上高比率が前年同期比で4.3ポイント増加して、8.7パーセントとなりました。
これはとくに第1四半期で過去最大級の自社イベントである「HENNGE NOW!」の開催を行う等の積極的な広告宣伝費の投下により、増加傾向となっています。
売上原価率は18.8パーセントまで低下して、引き続き顧客獲得コストを積極的に投下できる構造となっています。
以上が対前年同期比の説明でした。
2020年9月期第1四半期の営業費用の構造(対前四半期比)
次に、当社の事業はリカーリング事業であるため、前四半期との対比も見ていただきたいと思い、ご用意しています。
2019年9月期の第4四半期と比べると、その他販管費は700万円増、広告宣伝費は4,600万円増となっています。内訳は先ほどご説明したとおりです。
従業員(アルバイト含まず)の状況
人員採用等を積極的に行っておりますが、結果として社員全員の人数としては158名となりました。当社の事業の特徴として、全従業員の27.2パーセントを営業人員に割いています。(営業人員は)当社にとって将来の売上を作る活動を行う人員です。
カスタマー・サクセスは22.2パーセントを占めていますが、受注してきた顧客のオンボーディングを行ったり、リカーリングのお客さまがチャーンしないように維持する活動をしています。
その他は、海外事業開発に1.9パーセント、プロフェッショナル・サービス事業に10.8パーセント、その他に22.2パーセントといった人員構成となっています。
自社イベント「HENNGE One!」の開催 (2019年11月)
次に事業のトピックスをご紹介します。広告・イベント、その他の2つに分けています。
まず、2019年11月に自社イベント「HENNGE NOW!」を開催しました。
当社はSaaSとSaaSをつなげるITプラットフォームとしての立場を表明しています。そのような立場から、企業におけるSaaSの利用の推進を応援しつつ、当社のブランド認知を高めるための活動を行っています。
その活動の1つとして「HENNGE NOW!」のイベントを開催して、企業におけるSaaS活動を促すということで他のSaaS企業さまにもご登壇いただいたり、パートナー、既存顧客を含めて多くの方にご来場いただき、ブランド認知の向上、そして将来の案件獲得を期待したいと考えています。
本社(東京渋谷オフィス)のリニューアル (2019年11月)
本社オフィスのリニューアルを行いました。今後のビジネス拡大に伴う人員増に備えることが第一義的な目標ですが、同時に当社はSaaSを活用した新しいワークスタイルを追求していくなかで、お客さまに提案できるようなソリューションを生み出していきたいと考えています。
アイデアを活性化して効率的に働けるオフィスを目指すため、オフィスの増床等を行い、2019年11月に東京本社のリニューアルを行いました。
企業のSaaS利用に関する調査結果調査とその発表 (2019年12月)
それから、企業のSaaS利用に関する調査結果を調査し、それを発表しました。以前から、これから企業は複数のSaaSを活用して生産性を高めるような働き方をしていく、そのような世の中が来る、ということを発信してきました。
その裏付けとして現在どのくらい実際に企業がSaaSを使うようになっているのか、例えば平均して各社はいくつくらいのSaaSを使っているのかというようなことを追っていくことにより、広く世の中に向けてSaaSを活用した働き方をPRしていきたいと考えています。
本調査によると、1社につき平均7つのSaaSを利用しているということでした。とはいえピークはもう一つあるのですが。
複数のSaaSを使うような働き方が一般的になってきているということを裏付けるようなデータが取れました。24パーセントの企業は10個以上のSaaSを利用しているという実態が見てとれます。
HENNGE One KPIの前年同期比較
次にKPIです。主にHENNGE Oneビジネスに関するKPIについてご紹介したいと思います。HENNGE Oneの契約社数については前年同期比で20.9パーセント増、257社の増加となりました。
HENNGE Oneの契約ユーザ数は23.2パーセント増となり、33.4万人増えています。ARRは7.2億円増加して26.5パーセント増となっています。
2020年9月期第1四半期のKPIハイライト
第1四半期のKPIのハイライトとして、前四半期からのアップデートを申し上げますと、平均月次解約率は0.01ポイント上昇して0.13パーセントとなりました。若干上昇しましたが、引き続き低解約率を維持していると考えています。
契約社数については前四半期末から59社増加して1,487社、ユーザ数は前四半期末から10.4万人増加して177.6万人、ARRは前四半期末から1.72億円増加して34.11億円となり堅調な成長を実現しました。ARPUは前期末より若干減少して1,921円となりました。
HENNGE One 平均月次解約率
グラフでご覧いただくと、平均月次解約率は0.15パーセントから0.10パーセントの間を行ったり来たりしているという状況です。最新では0.13パーセントとなりました。理論上の平均契約年数は約64年ということで、引き続き非常に長期の契約を期待できるような顧客ベースを維持しているという状況だと認識しています。
HENNGE One 契約企業数と契約ユーザ数
契約ユーザ数については前四半期と比べると10.4万人増えました。契約社数は59社増えたということで、ユーザ数も順調に積み上がっていて契約社数も順調に積み上がっているという状況になっています。
HENNGE One ARRとARPU
ARPUは17円減少した一方で、ARRは1.72億円の増加となっています。ARPUについては減少傾向にあるとは認識していないのですが、当四半期についてはとくに既存のお客さまのなかで低めの単価でご契約いただいているお客さまのユーザ増等があったことによってARPUが若干低下する結果となりました。
2020年9月期の連結業績見通し
業績の見通しについてです。2020年の9月期の業績見通しは期初に公表した内容から変更なしとしています。期初の発表どおりの業績見通しです。
2020年9月期の連結売上高見通し
HENNGE One事業の売上高は通期見通しに対して第1四半期の時点で23.1パーセント進捗しています。
2020年9月期の営業費用見通し
営業費用については通期の見通しに対して24.5パーセントの進捗となっています。第1四半期は赤字となり、売上の進捗率が25パーセント未満であることなどを見ると、この見通しのままで推移するかどうか気にされる方もいらっしゃるのではないかと思うのでコメントします。
2020年9月期の営業利益見通し
当社の売上は基本的には毎四半期新しい契約を得るごとに売上が積み上がっていくリカーリング・レベニューモデルなので、四半期ベースで見ると基本的には増加していきます。
とても大きなチャーンがあって受注がとても少ないという状況でない限りは、基本的には右肩上がりが維持されるという状況です。
従って、今期についても、傾向としては例年通りの傾向であろうと考え、見通しどおりの着地も十分可能であり、順調な状況であるということを補足しておきます。
LTV最大化
当社の成長戦略についてです。当社はSaaSの企業で、お客さまからいただいた契約を毎年毎年積み上げていくというスタイルの会社です。従って、LTVの最大化を引き続き、経営の目標としておいています。
LTVを上げていく、つまり当社のもっている契約の総価値を上げていくということですね。
例えば、当社が今年間100万円のARRを獲得したとして、今期の売上としては100万円の計上になるとして、とはいえ、実際にはそれは今後数十年にわたって当社に売上をもたらす契約です。
例えば、このYを少し保守的に見て50年だとすると、一件あたり100万円のARRが50年分あって、売上総利益率を80パーセントだと仮定したら、4,000万円の契約総価値が積み上げられるという事業構造になっています。
直近の営業利益にこだわりすぎることなく、将来のARRを積み上げ続けるための先行投資を続けるというのが当社の営業のスタイルとなっています。
LTVを上げるためにはARR、平均契約年数、そして売上総利益率を上げていく必要がありますが、平均契約年数については現在十分に低いチャーンレートを維持しているため、現状から2倍にするなどということは難しいという状況になっています。
売上総利益率はゆるやかに上昇しているものの、こちらも十分に高い水準を維持していると認識しているので、注力すべきポイントはやはりARRを積み上げていくということにあるのではないかと認識しています。
ARR最大化
ARRをさらに3つの要素に分解すると、契約社数×1契約あたりの平均契約ユーザ数×ARPUの3項で表されると考えています。
この3つを同時に上げていくことが仮にできたとしたら、3次元的な成長ができるということで、そのようなエクスポネンシャルな成長を実現していくために、これらのパラメータをいかに上げていけるか考えていきたいと考えています。
そのなかでも、まずどこに注力しているのかというと、契約社数を最大化するということです。まだまだ日本はクラウドの導入率が高いとは言えない状況で、今まさに首都圏からその他の地方にもクラウドの浸透が進んでいるという段階にあるため、これからクラウドを活用していこうと考えていらっしゃる会社さまのお手伝いをしていきます。
そのようなお客さまをたくさん見つけ、当社の「HENNGE One」をご利用いただくということが、基本的にはNを増やしていくということにつながると考えているので、この3つのなかだとまずNに注力していきたいと考えています。
次にARPUです。現在、当社のARPUは1,920円前後となっていますが、お客さまにさらにご利用いただけるような新機能あるいは価値の高い新サービスを提供していくことができれば、ARPUを上げていくことができるだろうと考えています。中期的にはARPUを上げていきたいと考えています。
nについては、より大きな企業への導入が進んでいけばnも同調していくということになるわけですが、一方で中小企業にもクラウドの活用が広がっていくということを考えますと、現実的には横ばい、もしくは微増といったところを狙っていくということになると考えています。
成長戦略としては、まずはとにかく契約社数を増やし、それから、新機能等を開発してARPUを上げていくということが当面の成長戦略になるかと思います。
成長戦略の検算
以上を実際に分解したのが30ページの資料です。1番左がARRです。ARRは前期末で32億円強だったのが、当期の第1四半期末では34億円強となっているという状況です。
ARRを構成する要素がNとnとARPUですが、Nについては順調に積み上がっていると認識していまして、当期の第1四半期末では1,487社獲得したという状況です。
別途、1,500社突破のプレスリリースを1月にだしています。
nについては、こちらも少しずつ上昇しているというのが現実で、既存ユーザがクラウドを活用していく過程で今のところは増加傾向にあると認識していまして、若干は増加しているという状況です。
一方でARPUに関しては、2014年から2017年にかけて低下傾向にあったものが、その後上昇に転じています。これは、新機能のリリース等によって、より価値の高いものをお客さまに提供してきている結果であると認識していますが、当期の第1四半期末については若干低下したということになっています。
この低下は先ほど述べたように、比較的ARPUの低い既存のお客さまからユーザ追加の注文がたくさんあったということによるもので、今後も低下傾向であるとは認識していません。
2021年以降の成長戦略
今後の成長戦略としては、IDaaSである「HENNGE One」を中心に、導入企業内におけるSaaS化の流れとともに拡大していきたいと考えています。当社の「HENNGE One」というSaaSは、特殊な位置づけにあるSaaSプラットフォームであり、さまざまなSaaSとSaaSを繋ぐ位置付けにあるプラットフォームです。
このことから、お客さまがSaaSを利用すればするほど当社のプラットフォームも価値が高まっていくという流れになっていくわけです。
現在の流れとして、企業のSaaS使用は拡大する一方であると当社は捉えています。実際に、2019年末にさまざまなSaaS企業が上場を果たしている状況をご覧いただいているかと思います。
企業においては、これまでは1種類のプラットフォームに依存するかたちの働き方をしていたところから、スイート型のSaaSソリューションだけではなく、経費精算、名刺管理、人事管理、ビジネスチャットなど、各分野におけるベスト・オブ・ブリードのSaaSを複数組み合わせて生産性を上げていくような働き方をしていくという時代に、まさに変わろうとしています。
企業においてSaaSの活用はまだまだ始まったばかりで、これから拡大していくと考えています。
当社はそのようななかで、さまざまなSaaSのIDの基盤となるような、セキュリティの基盤となるような機能を提供していくことで、企業のSaaS化の流れとともにユーザを拡大しながらお客さまの生産性向上を応援していきたいと考えています。
以上が成長戦略です。
会社概要
遅れてになりましたが、会社概要です。ビジネスの内容について、若干ご説明したいと思います。
当社はHENNGE株式会社と申しまして、1996年11月に設立した会社です。HENNGEという名前になったのは2019年2月からで、その前はHDEという名前でした。
役員構成としては、1996年当時学生だった3人の創業者が現在も常勤の役員として経営を担っています。従業員数は158名です。
Locations
Locationsです。事業所としては東京に本社があり、1996年以降ずっと東京で活動してきたITの会社です。今後のクラウドの成長とともに当社が拡大していくためにはクラウドが地方に拡大していく流れを捉えるということが非常に重要だと考えており、この4年から5年の間に名古屋・大阪・福岡にも事業所を開設して、地方企業へのクラウドの浸透を図っている状況です。
海外にはHENNGE Taiwan子会社が台北に存在しています。
VISION
当社の理念は「テクノロジーの解放」です。テクノロジーを素晴らしいと感じていて、これがさまざまな可能性を企業やユーザにもたらすと考えています。
できるだけたくさんの企業にテクノロジーを届けたいと考え、「テクノロジーの解放」を企業理念としています。
変わらない志、変わり続ける事業領域
1996年に創業して以来さまざまにピボットしてきました。2回ほど大きな不況がありましたので、そのたびにつぶれそうになりながらもピボットし、最終的には2011年の震災後、SaaSの会社になりました。
震災で従業員が会社に出てこれず、停電が起こってBCPがままならない状況のなかで、今後はクラウドを使ってどこからでも分散して働けるような働き方がメインになっていくだろう、しかしそのためには企業においてセキュリティーという課題があるだろう、と考えました。
これを解決できれば企業さまのお手伝いができるに違いないと思い、SaaSの会社に変わりました。
売上高の事業別構成
現在の売上構成は、89パーセント弱がHENNGE One事業で、11.1パーセントがプロフェッショナル・サービス及びその他事業となっています。
2011年以降に始めたHENNGE One事業が、現在では主力の事業となっています。今後もさまざまな事業の種を発見して、お客さまに届けていきたいと考えています。
HENNGE One①
HENNGE Oneサービスの機能について少し説明します。先ほど、いろいろな会社がいろいろなSaaSを使うような時代になったと申しましたが、このとき問題になることが2つあります。ID統合とアクセスコントロールの2つです。
ID統合というのは、例えば、企業は平均で7つのSaaSサービスを使うと先ほど申し上げましたが、7つのサービスを使っていると、7つのサービスそれぞれにIDとパスワードを作って管理するという負担が企業およびユーザの双方に発生します。
そこに社員が1人入社すると7つのサービスそれぞれにユーザを追加する必要があり大変面倒くさいわけです。より厄介なのは社員が退職された場合で、確実にその7つのサービスからIDを消さないといけません。
とくにクラウドサービスは世界中どこからでもログインできるというところが強みになっているため、万が一アカウントの消し忘れなどが起こってしまうと、退職した社員が人事情報にアクセスしてしまったり、名刺情報にアクセスしてしまうというようなことが起こり得ます。これがID統合の問題です。
もう1つはアクセスコントロールの問題です。SaaS、クラウドのすばらしいところは誰でもどこからでもクラウドにアクセスでき、サービスにアクセスでき、情報にアクセスできて働けるというところです。
一方で、問題点として誰でもどこからでもアクセスできてしまいます。例えば、漫画喫茶から人事管理情報にアクセスできるという状況が本当に企業が実現したいことなのかというと必ずしもそうでないことがあります。
このように、アクセスコントロールの問題とID統合の問題があるわけです。
当社のHENNGE Oneを使うとそれをどう解決できるかというと、まずID統合面では複数のSaaSサービスに1つのIDでログオンできるようになります。イメージとしては、社員が会社でPCをひらいたり、家でノートパソコンを開いてクラウドサービスにアクセスしようとすると、そのクラウドサービスのログイン画面ではなくてHENNGE Oneのログイン画面が出てくるというようなイメージのサービスです。
そこでユーザがHENNGE OneのIDとパスワードさえ入れれば、あとはどのサービスにもIDとパスワードなしでログインできるというサービスです。
これによってユーザはたくさんパスワードを覚えなくていいという利点があると同時に、先ほど申し上げた社員が辞めたあとにサービスにアクセスできてしまうという問題も防げます。
入社したらHENNGE OneにIDを追加して、退職したらHENNGE OneからIDを消せば、ID管理の煩雑な作業から企業も解放されるということです。
IDを統合すれば全部解決するのかというとそうではなくて、アクセスコントロールの部分が問題になってきます。これに関しても、各サービスごとにアクセスポリシーを設定できるというのがHENNGE Oneの特徴です。
例えば人事情報は人事しか見ることができないようにできますし、例えばカオナビ、SmartHRのような人事管理情報に関しては会社支給のPCでないとアクセスできない、漫画喫茶からはアクセスできない、特定の階層の社員しかアクセスできないというように設定することができます。
一方で、機動的な情報交換が必要なビジネスチャットなどに関してはもう少しアクセス権限をゆるく設けて、さまざまな端末からアクセスしてみんながコラボレーションすることができるというように、SaaSごとにアクセスポリシーを設定できるというのが特徴です。
この2つの機能を組み合わせることによって、企業はたくさんのSaaSを組み合わせて働くというワークスタイルを機動的に導入できて、その際の煩わしい問題や、セキュリティのリスクなどから解放され、SaaSを使った働き方にシフトしやすくなるというのがHENNGE Oneの強みです。
HENNGE One②
その他、アクセスコントロールの部分だけではなく、Eメールやスマートフォンのセキュリティ、また大容量ファイルの転送といったクラウドを利用し始めた企業さまがだいたい遭遇するような問題を解決する機能も同時に備えていることが、他社に対する機能的な優位性となっています。
強固な顧客基盤
ご利用いただいているお客さまは本当に幅広く、1,487社の多様な業種業態でご利用いただいています。契約ユーザ数は177.6万人にのぼるということです。
現在、1社あたりの平均ユーザ数は約1,200人です。そのような中堅企業様がスイートスポットになっていますが、それよりもっと大きい企業さまも、もっと小さい企業さまにもご利用いただいているということで、幅広くさまざまな企業様にご利用いただいているサービスです。
以上が事業の説明です。ありがとうございました。
質疑応答:社員の採用計画について
質問者1:ご説明ありがとうございました。2点教えてください。貴社は企業価値を高めるために、契約企業数(N)を増やすこと(を目標にしていると思います)。
1点目は採用についてです。営業人員の増加によって契約社数を増やそうということだと思うのですが、当四半期は前期末に対して4名増えていて、営業人員の増加は2名ということで、これは計画どおりなのか、今期は徐々に増えていくのか、その点について教えてください。
天野治夫氏(以下、天野):執行役員の天野です。ご質問ありがとうございます。採用については、前期末の決算説明会でもセールスを中心に積極的に採用していきますとお伝えしています。
当社ですと、第1四半期は2019年10月から12月で、まだ上場したばかりというタイミングですので、それほど増加人数的には進捗していないという状況です。
計画では3ヶ月でここまで採用するというように区切っているわけではないため、通期でしっかりと全体の目標人数を採用していきたいと考えています。また前回もコメントしましたが、採用がもう少し積極的にできるような余地があれば、計画にとらわれずに積極的に投資していきたいと考えています。
質疑応答:「HENNGE NOW!」の反響について
質問者1:ありがとうございます。あともう1点は、今回「HENNGE NOW!」という大きなイベントを開催されたことについてです。
イベント後、第1四半期の契約社数の増加数だけを見ると59社増えてます。過去の平均では、年間250社から260社ほど増えています。それに対すると、59社の増加は他の年度と変わらないように感じます。
実際に「HENNGE NOW!」を開催した手ごたえについて、第2四半期以降、契約社数が増えていくことが確認できそうか、実際その「HENNGE NOW!」の後まだ1.5ヶ月くらいしか経っていないので、その点も一応理解していますが、手ごたえについて教えてください。
小椋氏:ありがとうございます。まず前提として、四半期ごとのユーザ数と社数の増え方を改めて分析してみてわかった傾向としては、企業さまにとって4月や10月といった月が区切れになっているために、1月から3月、または7月から9月に社数が増えやすい、受注が起こりやすい、と認識しています。
一方で、ユーザ数については、契約したお客さまが実際にその利用を拡大していくことにより増えるため、4月から6月や、10月から12月に拡大していく傾向があるのではないかと考えています。
そのような意味からしても、10月から12月はどちらかというとユーザ数が増える期と考えています。
以上の前提を踏まえた上でご回答しますと、「HENNGE NOW!」の手ごたえは非常に良好だったと考えています。これまでアプローチできていなかったようなお客さまも含め、多数のお客さまがいらっしゃいました。
あとは、他のSaaS企業様と連携してお客さまにとって価値のある情報を発信するという、当社にとって新しい試みが比較的うまくいったのかと考えていて、今後の契約社数拡大に寄与していくものと考えています。
質問者1:ありがとうございます。確認でもう1点だけ、実際に「HENNGE NOW!」に手ごたえがあったということで、今後このようなかたちのイベントをどのようなかたちで進めていくのか、例えば年間2回ぐらい開催するなど、ご計画はありますか?
小椋氏:現時点は計画は特にありません。同じ規模のイベントの計画は特になく、やはりお客さま獲得のためのシーズンとして考えると、10月から12月ごろにイベントを開催するのがいいのではないかと考えていて、今回はそこで開催したという状況です。
このようなイベントを毎四半期開催したらうまくいくかというと、そのようなわけでもありません。メリハリとして、このような大イベントを年1回、ないしは1.5回ほど開催し、もう少し地方に特化したかたちのイベントを織り交ぜていくようなスタイルで、顧客獲得、及びブランド浸透を図っていきたいというのが基本的な考え方です。
具体的にどこでどのくらいの規模のイベントを開催するというような計画は、現在はないという状況です。
質問者1:ありがとうございました。
質疑応答:ARPUの低下について
質問者2:2つほどあります。1つ目はARPUに関してです。クオーターでARPUが低下しているがトレンドではないと認識しているとご説明がありました。
既存のお客さまと新規のお客さまを分けてトレンドを見た場合、既存のお客さま(のARPU)は上昇していると考えていいのか、それとも横ばいだと考えていいのか、ARPUについてご説明いただけますでしょうか。
天野:執行役員の天野です。ご質問ありがとうございます。
ARPUの低下については小椋からコメントがあったとおりですが、10月から12月の期間の新規の契約に関しては、ARPUは総平均よりも高く出ているという状況だったため、今のご質問にお答えすると、既存の総平均はこの期間では総平均よりも低下し、全体として若干低下したという結果になっています。
質問者2:ARPUを上げていくために新しいサービスを付加したことによる効果は、この四半期では出ていないかもしれませんが、今後の見方として、どのようなタイミングでアップセル、クロスセルのような効果がでてくると見ていらっしゃいますか?
小椋:ありがとうございます。当社は現在ARPU向上について努力しているという状況にありますが、先ほどのご回答に重ねるかたちだと、この第1四半期については、とくに既存の契約でユーザ数が増える時期にあたるため、既存の契約でのユーザ追加の価格影響がけっこう大きい期間だと認識しています。
2019年から改定したプライステーブルによる営業を開始していて、新しい機能をお客さまにご利用いただくということを通して、ARPUを向上していくという活動を行っているという状況です。
現在は営業展開しているという状況なので、とくに新規の社数が増えてくるようなタイミングにあってはARPU上昇の圧力がもう少し上がるのかと思っています。基本的には年間で上昇のトレンドを作っていきたいと考えているので、どの時期から影響が出るか、現在はっきりとは申し上げられないというのが実情です。
質疑応答:今後のビジネス展開について
質問者2:2つ目です。現在のビジネスモデルを継続してもまだまだ売上は十分に伸びると思うのですが、その先には新たなビジネスを考えているのか、もしくは海外に進出しようとしているのか、だいぶ先になるかもしれませんが、どのようなビジネスをお考えになっているか教えてください。
小椋:ありがとうございます。現在当社が提供しているSaaSのID基盤という特質を利用すると、当社は他のSaaSさまと比べ、SaaSとSaaSの情報をアグリゲートして、より付加価値の高い情報をお客さまに提供したり、付加価値の高いアクションをお客さまに提供したりできる立場にあると考えていますので、当社の現在のチャレンジとしては、ワークスタイル変革にともなって必要となるような機能を現在のお客さまに対して新規で販売できるようにしていきたいというのが、行っていきたいアクションの1つとしてあります。
地域的な拡大という意味では、現在は関西、名古屋、九州といった地域にSaaSが拡大していっている状況なので、そのようなところをきちんとカバレッジすることが第1にありますが、例えばアジアや欧州といった地域でもクラウドが浸透するタイミングがくれば、そのような地域での活動を強化していくことによって同様なビジネスを展開していける可能性があるのではないかと考えています。
質問者2:ありがとうございます。働き方改革のなかで新規のものを販売していきたいということですが、自社で開発されるのか、それとも他社との提携などをお考えでしょうか。
小椋:そうですね。幅広く、可能性を排除せずに、考えています。開発も進めていきたいと思いますし、他社との提携・連携も進めていきたいと考えています。
質問者2:ありがとうございます。
質疑応答:日本におけるSaaSの利用数増加について
質問者3:15ページに、12月に行われた調査で貴社の顧客のうち72社は平均して7つのSaaSを使われているというグラフが載っています。アメリカなどの調査を見ると、アメリカの企業は80個以上のSaaSを使っていたりするため、日本はかなり遅れてしまっているのだと思います。
アメリカのように、日本の企業がSaaSを数十個使うようになる世界が果たして来るのか、もし来る場合はいつごろにそのような状況が来るのか、中長期の市場全体の見通しを教えてください。
小椋:ありがとうございます。おっしゃるとおりで、アメリカの調査を見ると桁が10倍ぐらい違っています(笑)。いろいろなSaaSを使っていくことが一般的になっているということだと思います。
当社としてもトレンドがどのような状況にあるのか知りたいためこの調査を始めたというのが本音で、継続的にこうした調査をしていきたいと考えています。
日本ではおそらく去年が「ベスト・オブ・ブリード型元年」だったと考えています。さまざまなSaaS企業が実際に上場するという状況になって、テレビCMでもSaaSのCMをたくさん見るような時代になったというのが2019年だったのではないかと考えています。
そのため、ここが踊り場だというよりは、まさに今ここから企業がSaaSを活用する時代がスタートしたのではないかと考えており、当社としては極めて楽観的に考えています。
当社自身も長いことソフトウェアを販売するビジネスを営んできました。当社の24年間の歴史のなかで18年間くらいはソフトウェアを販売するというビジネスモデルでした。長らくソフトウェアのビジネスを営んできた当社から見ると、SaaSというのは本当に革命的なサービス提供形態であると考えています。
お客さまにとっては、いつでもやめられる……チャーンされると困ってしまうのですが(笑)、基本的には一気に投資するのではなく、毎年少しずつお金を使って、実際に使えるサービスだけを選択していくことができます。
企業から見ても、お客さまにウソをつかず、お客さまに対して正直に向き合って、必要な機能をお客さまからヒアリングして、お客さまに合った機能を提供し続けることができます。
そのようなことがビジネスモデルに組み込まれているのがSaaSで、そうした競争を生き残ってきたのが、まさに2019年いろいろなところで出てきたBtoBのSaaSだろうと考えています。
このようなSaaSがこれからもどんどん登場してくるであろうと考えていますし、企業もこれを活用して生産性を高めていくという流れに、もうすでになっていると考えています。そのため、楽観的に見ています。このような調査については当社も継続して行っていきたいと思います。以上です。
質問者3:ありがとうございます。
質疑応答:下期の広告宣伝費のスタンスについて
質問者4:ご説明ありがとうございました。まず1点目に、下期の広告宣伝費の見通しについてどのようなスタンスをお持ちかお聞かせください。
天野:ありがとうございます。広告宣伝費の計画の数字はお出ししていないのですが、実績としてすでに出ている2019年9月期の通期の広告宣伝費よりも若干多い程度を計画していますので、そこに向けて計画どおり消化していく予定です。
質疑応答:海外キャリアフォーラムへの参加の狙いと成果について
質問者4:ありがとうございます。貴社のニュースリリースを拝見すると、けっこう海外のキャリアフォーラムに積極的に参加されているようですが、その狙いと実際に参加されての成果などについてどのような手応えか教えてください。
天野:ありがとうございます。こちらについては会社の特徴としてもお伝えしているのですが、現在は日本国籍ではない別の国籍の会社の仲間たちが会社全体の2割程度います。ソフトウェアプログラマーを中心に外国籍の社員の採用を積極的に行っています。
グローバルインターンシッププログラムとして海外の大学院生、大学生をインターンで招いて、そこから採用していくということも行っています。新卒の採用も積極的に行おうと思っています。
理系に限らず、文系でセールスやカスタマーサクセスの将来の人材になるようなポテンシャルも含めて積極的に採用を行っていこうと考えていて、そのような目的で海外のキャリアフォーラム等にも積極的に参加しています。こちらは広告宣伝というよりは採用活動のご質問ですよね?
質問者4:はい。ありがとうございます。続いて、14ページのところで、リニューアルされたオフィスの写真を載せられています。社屋が変わるとコミュニケーションも変わるのかなと思って興味を持ってます。実際に変わられてまだ日が浅いのですが、どのような感想を持たれているのか教えてください。
小椋:もともと当社はフリーアドレスを採用したオフィスを持っていたのですが、さらにもう1歩進めて固定席が全くないという働き方を実験してみようということでリニューアルしました。正直に申し上げると、やはりこれまでと違う環境に対して初めは社員は当惑していました(笑)。
そのなかで、実際にどのようにすると働きやすいのか、このような職場で効率的に働くためには何が必要なのかといったことを発見するような議論が活発になってきていると感じます。
私としては、現在多様な働き方が一般的になってきているなかで、オフィスのフリーアドレス化は非常に進展していくのではないかなと考えています。
単純に経営者視点で見ると、例えば週に3日しか来ない人のためにデスクを1つ作るとスペース効率がどんどん悪くなっていくと考えています。オフィス賃料が高騰していっているようなことからも考え、フリーアドレスでできるだけ効率的にスペースを使えるようなオフィスに皆なっていくと思います。
ただ、それで窮屈だと社員の生産性も落ちていくため、どうしたらそのあたりを両立できるのかを企業が考える時代になるのではないかと考えてます。そのような実験を当社もいち早く行っているという状況です。
総論で申し上げると、いろいろな文句もありつつ発見もありつつ、当社としては思考が活性化されて、今後このような中でどのような問題があったか、当社がどのように改善したのかといったことをお客さまに発信できるような場になっているのではないかなと考えています。ありがとうございます。
質問者4:どうもありがとうございました。
質疑応答:競合への対応について
質問者5:1点教えてください。先ほどクラウドのSaaSの複数利用が進んでいくという話がありました。HENNGE Oneの利用可能なサービス数は106サービスで、海外のベンダーさまを見ますともっとより多い連携数を有していると思います。
日本市場でSaaSの複数利用がより進んでいく場合、貴社として契約社数を拡大させるために連携数の増加等が1つの差別化要因になってくると思います。
競合に対応するためにどのように対応していくのか、ざっくりとした質問ですが教えてください。
小椋:ありがとうございます。連携するSaaSの数は、例えば海外のSSOサービスと比べると少ないかもしれないが、今後、連携するサービスの数を増やしていくことで、より当社サービスの強みにつながるのかどうか、あるいはどのように取り組んでいるのか、そのような趣旨のご質問だと理解しました。
現在、正直に申し上げると、当社は連携可能サービス数を増やそうと目標を置いて増やしているというよりは、新規営業のなかでお客さまを訪問したりして「当社はこのサービスを使っているのだが、これは使えるのか?」というお問い合わせを受け、それに対応するかたちで実際に動作検証を行って、繋がりそうだったら繋がったサービスとして認定して数を増やしていっている状況です。
現在の状況だけ見ると、連携可能サービス数が増えたことによってリードが増えて受注が拡大する状況には、まだ至っていないのかなと考えています。
そこ(連携可能サービス数)がキーになるようであれば、積極的に連携クラウドサービス数自体を増やすというKPIを作って、どのように増やしていくかを考えるような戦略を実施していくことも可能だろうと考えています。
少し技術的なことを申し上げると、米国のSaaSサービスは、だいたいSAMLと呼ばれるID連携のプロトコルに標準で対応している傾向にあります。
当社のIDaaSも、SAMLプロトコルをベースにID連携を行っています。
海外のSaaSサービスがSAMLに対応している一方で、日本のサービスがあまり対応してきていない背景としては、まず、海外のSaaSサービスでは教育機関のID基盤に接続するためにSAML対応が必須であるというような背景があって、みんなだいたい対応しているという状況になっていることです。また、海外のSaaS企業にとってのARPU向上の策になっているということがあります。
例えばSaaSだとだいたいベーシックプラン、プロプラン、エンタープライズプランのような3段階のプランになっていることをよく見かけると思います。
ベーシックプランはとても安いがあまり機能はなく、プロプランは中程度で、エンタープライズプランは高いというラインナップで、SlackやBoxを見るとそのようになっていると思います。
SAMLは、300人以上の企業に売るときにARPUを拡大するためのキー機能として実装されていることが多く、要はSAMLに対応するとARPUが上がるという構造があるので、海外のSaaSベンダーはSAMLに対応していることが多い傾向があります。
一方、日本については、まだBtoB SaaSが普及し始めたのが最近で、歴史が浅いこともあり、まさに現在SAML対応が進んでいる状況だろうと考えています。
昨年も、いくつかそのようなSAML連携のサービスを発表しましたし、連携サービスも増やしてきたのですが、今後は当社のサービスにとって接続しやすい環境になってくると、さらに増やしやすい環境になってくると思っています。
以上です。
質問者5:ありがとうございます。
質疑応答:SAP S/4HANAについて
質問者6:ご説明ありがとうございました。2つお願いします。1つ目は大きいSaaSについてです。大企業向けを考えたときに、SAP S/4HANAへの移行がそろそろ本格化してくるということで、これがどう影響するか、何かアイデアがあったら教えてください。
2点目は、おそらくSAML以外にOAuthに対応している会社さまも、ひょっとするといらっしゃるのかなと思うのですが、そのようなものに自社ソリューション等々で対応している会社が貴社のソリューションにマイグレートすることが事例としてあるかどうか、あるいはケースとして案件が動いているということがあったらご紹介いただきたいです。お願いします。
小椋氏:ありがとうございます。大きいSaaSについて、SAP S/4HANAへの移行が当社に影響を与えるのか、今後そのことによって何か事業に及ぼす影響があるかということですが、現状でいうと、当社のスイートスポットは平均1,200名の企業ということもあって、正直に申し上げると、いまのところ話として絡んでくる規模にリーチしているという状況ではないのかなと思っています。
SaaSを導入している企業さまは、もう少し機動的な情報システムを導入していくようなフェーズにあります。
もう少しこれが進展してくると、ERPへの接続といった話に進展してくるのかと思いますが、現在は、とくに当社にとっては、ポジティブな部分もネガティブな部分もないというのが回答です。
2番目の、OAuthに対応している会社が自社で実装しているようなケースについてですが、いまのところ、OAuthでの認可を利用してログインを実装したりするシングルサインオンとは、似て非なる世界にあるのかなと思っています。事例は思い当たらないというのが正直な回答となります。
質疑応答:SaaSのプラットフォーム化がIDaaSに与える影響について
質問者6:追加でもう1点お願いします。逆にローエンドのマーケットで、例えばマネーフォワードさまのように、いろいろな機能を束ねて統合型(のサービス)になってきているという、いわゆるプラットフォーム化が進んできていると思います。このようなサービスが出てくると貴社に悪影響があるかとも思いますが、こちらについてはいかがお考えですか?
小椋:みなさまがプラットフォーム化を推進されている状況で、当社としては、仮にどこかのプラットフォームが法人市場ですごく支配的になったとしても、そのプラットフォームのなかだけでSaaSを使うような世界になるかというと、必ずしもそうはならないと思っています。
アメリカのように1社あたり90個から100個のSaaSを使っている世界が示しているとおり、ベスト・オブ・ブリードの会社のSaaSを利用しながら、どこかのプラットフォームも利用していくというな、ハイブリッドなスタイルになっていくのが本流だろうと考えています。
例えば、どこかのプラットフォームの普及が進んできたことによって当社の立場が脅かされるかというと、そこもまたレイヤーが違う部分かと思っています。
当社としてはSaaSが導入されること自体は歓迎しますし、ユーザさまがSaaSを使うようになれば当社のサービスをお使いいただく可能性も高まるし、価値も高まるだろうと考えています。
よくいただく質問として、「プラットフォームが自分で認証の統合をしたり、アクセスコントロールを実装したりするようにはならないのか」という質問があります。
実態としては、そのような機能を持っているプラットフォームはすでにあります。にもかかわらず、当社のようなサードパーティを使っていくという流れになっているのは、まずはユーザさま自身が、どこか1個のプラットフォームに囲い込まれることについて危機感を持っているからです。
とくにIDに関しては、横串で使えるものを求めているという側面があるのではないかと考えています。また、各SaaSベンダーの立場になって考えると、例えば経費精算のSaaSの本質的な強みは経費精算の部分であり、仮にユーザから「アクセスコントロールを強化してくれ」「IDの連携を強化してくれ」という声があったとしても、他社との競争において、そのような要望にリソースを割いていくよりは、本筋の機能にリソースを割いていきたくなると思います。
そうなってくると、アクセスコントロールやID連携はIDaaSという分野があるので、そのようなSaaSをお使いいただくことをお客さまに推奨しながら、自分たちのコアとなる機能を実装していくという流れになるのではないかと思っています。
アメリカの市場を見てもそのような構造になっていることを考えると日本もそうなっていくと考えられますし、当社としてもさまざまなSaaSをお客さまが利用していく時代になるとチャンスも増えるし、お客さまの生産性も上がっていくし、楽しくなるなと考えている状況です。ありがとうございます。
質問者6:ありがとうございます。