主力事業が牽引し、通期計画達成を見込む
大櫛顕也氏:大櫛でございます。みなさん、ご多忙のところ、決算の説明会へお越しくださいまして、どうもありがとうございます。それでは私から、第2四半期のグループ業績と通期の見通しについてご説明します。
まず1ページ目は連結業績サマリーです。第2四半期累計、上期の売上高は、加工食品がプラス4パーセント、低温物流がプラス3パーセントと順調に推移し、合計で2,918億円、前期比プラス28億円、1パーセントの増収となりました。
営業利益は、畜産事業や主にバイオサイエンスのその他事業は減益となりましたが、主力の加工食品が前期比プラス20億円と全体を牽引し、合計で150億円、前期比プラス12億円で9パーセントの増益となりました。
上半期純利益は、固定資産除却損が増加したことなどにより95億円となり、1パーセントの増益にとどまりました。
次に、通期の見込みです。売上高は水産で70億円、畜産で28億円と、それぞれ下方修正し、グループ全体で5,880億円、前期比で1パーセントの増収を見込んでいます。
営業利益は305億円で変更していませんが、上期の進捗などを踏まえ、セグメントごとの数値を表のとおり変更しています。畜産事業やその他の事業は、計画対比で進捗が遅れていることから、下方修正しました。順調に推移している主力事業の加工食品と低温物流を中心にカバーし、通期計画の達成を図ってまいります。
セグメントごとの状況につきましては、後ほどご説明します。なお、当期純利益200億円は、前回見込みから変更ありません。
上期の進捗を踏まえ、通期見込を上方修正
それでは、セグメントごとの説明に入ります。2ページをご覧ください。加工食品事業です。上期の業績は、売上高が1,185億円で、プラス41億円、4パーセントの増収となりました。
家庭用調理品は前期比プラス15億円、5パーセントの増収と、好調を持続しています。この春にリニューアルした米飯類は「本格炒め炒飯」が2桁伸長をするなど大変好調に推移し、全体で8パーセント伸長いたしました。また、チキン加工品では主力商品の「特から」が牽引し、全体で6パーセント近く伸びました。
マーケットの状況は、SCIのデータによりますと、全体で1パーセント程度の伸びとなっており、当社は引き続きマーケットを上回り進捗しています。
次に業務用ですが、前期比プラス11億円、2パーセントの増収となりました。主力のチキン加工品は、需要が堅調な中食向けを中心に販売を強化し、5パーセントの伸びとなりました。一方、ハンバーグ類は、2018年に伸びた商品が一巡したほか、春巻類も伸び悩みました。
海外では、米国のイノバジアン・クイジーン社の販売が好調に推移し、11パーセントの2桁の増収となりました。連結の営業利益につきましては85億円と、前期比でプラス20億円、31パーセントの増益となりました。増収効果に加え、タイを中心とした関係会社の業績が改善し、大幅増益となりました。
続きまして、通期の見込みです。上期の進捗を踏まえ、営業利益を3億円上方修正し、162億円を見込んでいます。下期は前期比4億円の減益を見込んでいますが、前期の下期以降に関係会社の業績が改善しており、これが一巡することや、前下期に削減した広告費を今期は通常に戻すことなどが理由でございます。
なお、営業利益の増減要因につきましては、低温物流事業と合わせて資料の8ページに項目を載せていますので、後ほどご確認いただければと思います。
需要が堅調に推移するなか、冷凍食品の価値をさらに高める
この中計の主な施策は、収益基盤の強化と海外成長の加速ですが、今回は収益基盤の強化のうち、主要カテゴリーの成長に向けた施策についてご説明します。
食の外部化の進展や人手不足が深刻化するなか、需要は堅調に推移しており、冷凍食品に対する期待はますます高まっています。当社は主力商品をいっそう磨き上げるとともに、個食需要や健康志向などにも対応した新たな基軸の商品を開発し、冷凍食品の価値をさらに高めることで、需要の創造・拡大を図ってまいります。
家庭用調理品において、冷凍米飯は伸長していますが、国内の米消費量全体から見ると構成比はわずかで、未だ7割近くの方が炒飯を手作りをしており、今後は冷凍食品に置き換わっていく可能性がございます。
家庭内調理からのシフトにより、成長の伸びしろが大きい米飯需要に対して、この春には既存品の価値アップのリニューアル、秋には趣向の異なる3品を加えてラインナップの拡充を図るとともに、当社独自の商品を提供していくことで、カテゴリーシェアを高めてまいります。
次に、業務用調理品です。スーパーや専門店の惣菜売場、コンビニエンス、外食店などの需要は堅調に推移をしていますが、人手不足に伴い、現場での調理オペレーションの簡素化は喫緊の課題になっています。このような業態別のニーズを的確に捉え、当社の生産技術を活かした商品を提供していきます。
この春には、ボイル調理でも揚げたて・焼きたてのような食感のある商品を発売し、大変好評を得ています。今後も変化する社会環境に対し、新たな価値を付け加えた商品を提供し、社会課題の解決に貢献していきます。
米国では販売が伸長、タイでは生産能力の増強に着手
続きまして、4ページです。まず米国イノバジアン・クイジーン社の販売ですが、ブランド強化として積極的な販促活動を行い、既存商品群の拡販が大きく進んでいます。今後はカテゴリを増やすなど、新たな商品開発を進めるとともに、生産機能の増強についても改めて検討してまいります。
タイのGFPTニチレイでは、生産工場の増設、第2工場の建設に着手しました。日本での旺盛なチキン加工品需要に対応し、生産能力を現状の1.5倍に増強します。
加えまして、中国に副産物の加工品を輸出できるライセンスが正式に取れたことから、単価アップに向けた新しいマーケットが獲得でき、相場変動を吸収していくとともに、収益改善を図ってまいります。
下期も引き続き保管需要は堅調に推移
続きまして、5ページの低温物流です。第2四半期累計の業績です。第1四半期は順調にスタートいたしましたが、7月以降、長梅雨や台風による荷動き鈍化の影響を受け、第2四半期単独では伸び悩みましたが、売上高は1,027億円、3パーセントの増収。営業利益は57億円、3パーセントの増益となりました。
まず国内事業ですが、売上高は3パーセントの増収となりました。物流ネットワークは、通過型センターのTC事業が好調に推移し、地域保管では、旺盛な保管需要を背景に、引き続き高水準の在庫を維持しました。
地域保管の売上高はマイナス7億円となっていますが、これは一部事業所を物流ネットワークへ移管したことによるもので、その影響が上半期、売上高ベースで12億円程度ございますので、これを除外しますと、実質的には増収となります。
営業利益は、物流ネットワーク・地域保管ともに増益となりました。車両調達や荷役作業量などのコスト上昇は続いていますが、集荷の拡大や業務改善などにより吸収し、利益は前期を上回りました。
通期の見込みにつきましては、コスト上昇は継続していますが、引き続き保管需要は堅調に推移することが見込まれ、業務内容に合った適正料金収受も進めることで、営業利益を2億円上方修正いたしました。
続いて海外ですが、上期の売上高は187億円、2パーセントの減収となりましたが、これはユーロ安による為替換算影響によるもので、現地通貨ベースでは5パーセントの増収となっています。営業利益は6億円で、3パーセントの増益となりました。オランダの通関倉庫業務が回復したことや、中国での輸配送業務が好調に推移したことが要因でございます。
前期より、上海地区でのコンビニ物流のエリアを江蘇省に拡大しましたが、こちらも大変順調に進捗をしています。下期も、ブレグジットの先行きが欧州の景況に与える影響は懸念されますが、英国のEU離脱は物流面での新たなビジネスチャンスとなるとポジティブに捉えています。
EU離脱の影響を見込み、通期の海外事業の売上高は下方修正しましたが、利益面では、欧州での新たな貨物の取り込みを進めるとともに、ドライバー人件費のコストアップに対応して輸送業務の効率化を進めることで、好調な中国事業と合わせて通期計画を確保する見込みです。
安定拡大に向けた施策を着実に実施
続きまして、6ページは施策の進捗です。現中計では、国内では大都市圏を中心に保管拠点を最大限に活用し、運送機能と合わせて収益の最大化を図っていきます。保管事業においては、人件費上昇が継続するなか、首都圏では2018年以降、庫腹不足が厳しい状況になっています。
これは、東京圏への貨物集中のほか、天候等による荷動き鈍化もありますが、一方で、人手不足基調のなかで、競合各社とも働き方改革を踏まえ、時間外労働がかかる貨物量を無理して取り込むことを避ける動きが顕著になってきており、このような意味で、従来よりも実際上利用できる庫腹量が少なくなっていることも、需給がタイトになっている要因の1つでございます。
このように、コスト上昇や庫腹不足はしばらく続くと見込まるため、効率的な倉庫運営を行うことが成長のポイントとなり、貨物の最適配置や業務革新を進めていきます。
また、倉庫内作業員を確保するために、残業時間の削減や時給のアップなど、労働条件を整備していくことも肝要で、サービス品質に見合った適正な料金を荷主さまから収受できますよう、計画を立てて交渉を進めていきます。
名古屋地区では、老朽化した設備を一部閉鎖し、新たに冷蔵倉庫を新設します。名古屋地区では同業他社による新設も旺盛で、主要冷蔵庫業社の中で占める庫腹シェアは現在40パーセント程度ですが、これを向上するために、スクラップアンドビルドにより総庫腹量を増やしていきます。
また、先ほども触れましたが、東京・大阪港湾地区では、輸入の通関保管業務が非常にタイトになってきており、名古屋地区に荷揚げする事例も増え、港湾機能としての相対的な位置づけが上がってきています。当社は中部地区にある複数の拠点網を活かし、輸入品のワンストップサービスを拡充することで、顧客獲得に注力してまいります。
厳しい状況となるが中計施策を着実に実行
7ページ目は、水産・畜産事業です。中計の進捗ですが、水産事業は加工品の取り扱いの拡大や海外販売の伸長など、安定的な収益体制の構築に向けた構造改革に、畜産事業は「亜麻仁の恵み」シリーズなどの差別化商品の拡販や、加工機能の強化に取り組んでいます。
このようななかで、上期は、水産事業はタコの販売価格低迷が響き減収減益となりました。畜産事業は、国産チキンの需給悪化により相場が軟調に推移したほか、アフリカ豚コレラにより高値で推移した輸入ポークの取り扱いを絞り込んだことなどにより、減収減益となりました。
通期見込みは、水産事業では、採算性を重視した販売に徹することにより、売上高は70億円下方修正しますが、利益率が改善したエビの販売拡大を図るとともに、タコの在庫入れ替えも進んでいることから、営業利益4億円を確保いたします。
畜産事業は、下期の需要期に鶏肉加工品を中心に中食・外食向けに拡販を進めますが、上期の遅れを取り戻せず、営業利益を3億円下方修正しました。
続きまして、この資料にはありませんが、上期に苦戦したその他事業のなかのバイオサイエンスの事業の状況についてご説明します。上期の営業利益はマイナス4億円、前期比でマイナス6億円となりました。
上期より、新開発センターの稼動による減価償却費、および米国の会社を買収したのれんの償却費が増加したことに加え、一時的な費用として新センターへの移転費用と、先ほどの米国企業の買収関連費用が発生したことが収益を圧迫しました。
それと、とくにインフルエンザキットを取り扱う迅速診断薬事業があります。この売上が上がらず、これらの費用を吸収できなかったことで、上期が4億円の赤字となりました。
このインフルエンザキットですが、前期は輸入先でインフルエンザが流行したことで早期調達と判断し、当社の出荷が第2四半期から開始されたのを受けて、今期中計も第2四半期からの販売を計画として織り込んでいましたが、今期は通常の納入サイクルに戻ったことにより、上期の売上高が大きく減少した結果となりました。
下期は、先の一時的な費用が発生しないことや、インフルエンザキットなどの迅速診断薬の売上がすでに成約済みであることから増収となり、営業利益もプラス1億円を見込んでいます。しかしながら、通期では上期の遅れを取り戻せず、マイナス3億円と、前回見込み比で6億円下方修正いたします。
計画下方修正の主な要点を整理しますと、1つ目は、先ほどの迅速診断薬の販売の影響、2つ目は、上期に一過性の買収関連費用が増加したこと、3つ目は、分子診断薬事業において販売拡大に必要な新たな機械装置の開発が遅れ、販売が計画に届かなかったことです。この機械の開発につきましてはもう少し時間を要することになりますが、急ピッチで取り進め、早期の収益の改善を進めていきます。
最後に、1ページに戻っていただければと思います。調整額の通期予想を、前回見込比で3億円アップしています。これは戦略費用で計上していますが、戦略費用の減少について補足説明します。
これは消費税率変更対応など、IT関連費用が計画より少なくて済んだことや新規事業開発案件の精査と進捗が遅れたことにより、費用の支出が翌期にずれ込むことが見込まれることを踏まえ、今期の戦略費用を減額修正しました。
以上、4月より新たな中期経営計画「WeWill 2021」がスタートいたしました。半年が経過しましたが、全体の進捗としては、主力事業である加工食品と低温物流事業の2つの事業が大変堅調に推移し、業績を牽引しています。以上から今期の目標である営業利益300億円を目指して、必達できるようにしたいと思っています。
一方、水産事業・畜産事業の構造改革と、先ほどご説明したバイオサイエンスの収益改善については課題が残ったため、今期は先ほどの2事業で収益をカバーしていきますが、中計期間内にこれらの課題についてすばやく打ち手を講じたいと思います。
また、海外の成長についても、アライアンス戦略は相手のあることではありますが、慎重に、かつスピーディーに進めてまいりたいと考えています。
以上で、私からの説明を終わります。